図1は、本発明の第1の実施の形態に係る保形部材5を示す平面図である。保形部材5は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品において、着用者の股間部に対向する中間部に凸状部または凹状部を形成してその形状を保持する部材である。図1に示すように、保形部材5は、略円弧状(本実施の形態では、半円に近い円弧状)に湾曲する帯状の保形本体部51、および、保形本体部51上に設けられる複数の止着部材52a,52bを備える。保形部材5は、1つの平面内にて湾曲する平坦な部材である。
保形部材5は、互いに同様の構造を有する複数(本実施の形態では、2つ)の帯状の部材55(以下、「分割部材55」という。)が接続されて形成される。各分割部材55は、上記保形本体部51の一部である帯状の分割本体部551上に止着部材52a,52bが設けられた構造を有し、複数の分割部材55の分割本体部551は互いに同様の構造を有する。
図2は、一の分割部材55を示す平面図である。分割本体部551は略円弧状に湾曲しており、弾性変形可能な薄板状のプラスチックフィルム517が、積層された不織布518の間に挟まれて接合されることにより形成される。分割本体部551の一方の主面512(図2中における手前側の主面であり、以下、「上面512」という。)の両端部には、略矩形の2つの止着部材52aがホットメルト接着剤等により接合されている。また、分割部材55の上面512のおよそ中央には、止着部材52aよりも大きい略矩形の止着部材52bがホットメルト接着剤等により接合されている。止着部材52a,52bは面ファスナのフック部材であり、分割本体部551の不織布518に対して着脱自在である。また、止着部材52a,52bは、後述する補助吸収具1のバックシート23(図4および図5参照)の外面に対しても着脱自在である。
保形部材5は、図1中の右側に位置する分割部材55の左側端部に設けられた止着部材52aが、図1中の左側に位置する分割部材55の下面513(すなわち、上面512とは反対側の主面)において右側の端部に止着されることにより形成される。換言すれば、保形部材5では、2つの分割部材55のそれぞれの片方の端部同士が重ねられ、当該重ねられた部位において、一方の分割部材55の止着部材52aが他方の分割部材55の下面513に止着される。上述のように、止着部材52aは不織布518(図2参照)に対して着脱自在であり、保形部材5の保形本体部51は、互いに着脱自在に止着される複数の分割本体部551の集合となっている。保形部材5の上面では、保形本体部51の左右の端部53(以下、「本体端部53」という。)および中央部に止着部材52aが配置され、3つの止着部材52aのうち中央の止着部材52aの左右両側に止着部材52bが配置される。
保形部材5が使用される際には、使用者は、保形本体部51の両側の本体端部53近傍を把持し、2つの本体端部53(すなわち、保形本体部51の両端部)が互いに近づくように保形本体部51を立体的に湾曲させる。そして、一方の本体端部53に位置する止着部材52aを、他方の本体端部53の下面513に止着して2つの本体端部53を互いに固定することにより、図3に示すように、保形本体部51を略円錐台状(より正確には、円錐台の側面におよそ等しい形状)とする。このとき、保形部材5の止着部材52a,52bが設けられた上面は円錐台の外側面となり、下面は円錐台の内側面となる。保形部材5では、図1に示す2つの本体端部53に設けられた2つの止着部材52aは、重ねられた2つの本体端部53を着脱自在に互いに止着して固定する両端位置固定部となっている。
本実施の形態では、図3に示す略円錐台状の保形部材5において、上下の開口エッジ58a,58bのうち小さい方の開口エッジ58a(すなわち、図3中における上側のエッジ)の径は30mm〜150mmであり、大きい方の開口エッジ58bの径は50〜250mmである。また、保形部材5の高さ(すなわち、保形部材5の中心軸方向における開口エッジ58aと開口エッジ58bとの間の距離)は10〜60mmである。
図4は、保形部材5が取り付けられる対象である補助吸収具1を広げた状態にて示す平面図である。補助吸収具1は、着用者が着用する使い捨ておむつ等の外装物品の内側(すなわち、着用者側)に取り付けられて着用者からの排泄物を受ける吸収性物品である。図4では、着用時に着用者に接する側の面を手前にして補助吸収具1を描いている。
図5は、補助吸収具1を図4中に示すA−Aの位置で長手方向(すなわち、図4中における上下方向)に垂直な面で切断した断面図である。図4および図5に示すように、補助吸収具1は、略シート状の吸収具本体部2、および、吸収具本体部2の両側部(すなわち、長手方向に垂直な左右方向の両側)上に配置されて吸収具本体部2の長手方向のおよそ全長に亘る一対のサイドシート3を備える。
吸収具本体部2の図4中における上側の部位201および下側の部位203はそれぞれ、着用者の腹側および背側の肌に接する部位であり、以下の説明では、「前方部201」および「後方部203」と呼ぶ。また、前方部201と後方部203との間において前方部201および後方部203から連続するとともに着用者の股間部に対向する部位202を「中間部202」と呼ぶ。補助吸収具1では、吸収具本体部2が前方部201、中間部202および後方部203を長手方向に順に有し、前方部201および後方部203の左右方向の幅が、中間部202の幅よりも大きい。換言すれば、吸収具本体部2は、平面視においていわゆる砂時計型である。
図4および図5に示すように、吸収具本体部2は、透液性のトップシート21、撥水性または不透液性のバックシート23、および、トップシート21とバックシート23との間に配置された吸収コア22を備える。図5に示すように、バックシート23は、複数のシート部材(本実施の形態では、第1シート231および第2シート232の2枚のシート部材)が積層された積層構造を有する。第1シート231は、トップシート21および吸収コア22に対向し、第2シート232は、第1シート231と同形状であり、第1シート231の外面(すなわち、着用者やトップシート21および吸収コア22とは反対側の面)に接合される。図5では、図示の都合上、補助吸収具1の各構成を厚さ方向に離して描いている。また、図4では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太破線にて描いている。図4に示すように、前方部201および後方部203における吸収コア22の幅は、中間部202における吸収コア22の幅よりも大きい。換言すれば、吸収コア22は、いわゆる砂時計型である。
吸収コア22は、中間部202において、左右の両側部から左右方向の内側に向かう(すなわち、長手方向を向く吸収コア22の中心線222に向かって両側部から形成される)二対の弱化領域221を有する。弱化領域221は吸収コア22に設けられたスリットであり、弱化領域221では、トップシート21とバックシート23との間に吸収コア22を形成する吸収性材料は存在しない。長手方向の前側に位置する一対の弱化領域221、および、後側に位置する他の一対の弱化領域221は、中心線222に向かうに従って補助吸収具1の長手方向において互いに近づく。また、4つの弱化領域221のそれぞれの幅(すなわち、弱化領域221の前後のエッジ間の長手方向の距離)は、中心線222に向かうに従って小さくなる。換言すれば、4つの弱化領域221は、当該4つの弱化領域221の左右方向の外端部を頂点とする略矩形状の領域のおよそ中央(すなわち、中間部202のおよそ中央)から放射状に広がるように配置される。
図5に示すように、トップシート21は、吸収コア22の周りにおいてホットメルト接着剤を介してバックシート23に接合される。また、サイドシート3の左右方向の外側の部位313(以下、「固定部313」という。)は、長手方向の全長に亘ってトップシート21の側端部およびバックシート23の側端部にホットメルト接着剤を介して接合される。図4および図5に示すように、サイドシート3は、サイドシート本体31、および、サイドシート本体31の左右方向の内縁部である自由端にホットメルト接着剤により接合されて長手方向に伸びる側壁部弾性部材32を備える。各側壁部弾性部材32は2本の弾性要素を有する。上記ホットメルト接着剤としては、ポリオレフィン系、ゴム系、酢酸ビニル系等のものが利用される。なお、トップシート21とバックシート23との接合やサイドシート3とトップシート21およびバックシート23との接合は、熱融着接合や超音波接合等により行われてもよい。
図5に示すように、各サイドシート3の左右方向の内側の部位311(すなわち、固定部313よりも内側にて固定部313に連続する部位であり、以下、「側壁部311」という。)は、長手方向の両端部を除いてトップシート21(および他の構成)と非接合とされる。補助吸収具1では、自由端に接合された側壁部弾性部材32が収縮することにより、長手方向に沿って設けられた一対の側壁部311が、吸収具本体部2の両側部上において吸収具本体部2から着用者に向かって起立し、着用者の脚の付け根近傍に当接する一対の立体ギャザーとなる。これにより、補助吸収具1では、脚周りからの尿等の漏出防止が図られている。
図4に示すように、吸収具本体部2は、吸収コア22の二対の弱化領域221に重なりつつ長手方向に伸びる一対のコア部弾性部材26を備え、各コア部弾性部材26は、それぞれが長手方向に伸びるとともに互いに平行に左右方向に配列された3本の弾性要素を有する。換言すれば、各コア部弾性部材26の3本の弾性要素は、弱化領域221の左右方向の内側の端部と外側の縁部との間に配置される。一対のコア部弾性部材26は、前側の一対の弱化領域221よりも前方へと伸びており、また、後側の一対の弱化領域221よりも後方へと伸びている。コア部弾性部材26は、図5に示すように、吸収コア22の厚さ方向の外側(すなわち、着用者やトップシート21とは反対側の外面側)において、バックシート23の第1シート231と第2シート232との間に配置され、吸収コア22の外面に沿って長手方向に伸びる。一対のコア部弾性部材26は、ホットメルト接着剤により第1シート231および第2シート232に伸張状態にて接合され(すなわち、吸収コア22の外面に間接的に接合され)、吸収コア22に長手方向の収縮力を作用させる。
補助吸収具1では、側壁部弾性部材32およびコア部弾性部材26が収縮することにより、図4に示す吸収具本体部2の前方部201および後方部203が、互いに近づくように着用者側へと湾曲する。これにより、補助吸収具1の中間部202近傍の部位が自然に、または、容易に凹状(いわゆる、カップ状)に変形し、補助吸収具1が着用者の身体に沿う形状となる。また、中間部202に二対の弱化領域221が設けられることにより、吸収具本体部2の前方部201および後方部203がより容易に着用者側へと湾曲し、中間部202近傍の部位(すなわち、中間部202および中間部202の周囲の部位)がより容易に凹状に変形する。
トップシート21は透液性のシート材料であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。トップシート21は、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布であり、当該不織布として、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布が利用される。なお、トップシート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
吸収コア22は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))や高吸収性ファイバー等の高吸収性材料を混合した吸収性材料をティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成され、トップシート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。吸収性材料を包むティッシュペーパーや透液性不織布等は、親水性繊維および高吸収性材料とホットメルト接着剤により接合されて、親水性繊維の型崩れ、および、高吸収性材料の脱落(特に、吸水後における脱落)を防止する。本実施の形態では、吸収コア22はパルプ繊維およびSAPを含む。
バックシート23としては、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布と非常に薄いプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用され、バックシート23に到達した排泄物の水分等が、吸収具本体部2の外側にしみ出すことが防止される。本実施の形態では、バックシート23の第1シート231としてプラスチックフィルムが利用され、第2シート232として不織布が利用される。補助吸収具1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、第1シート231として透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
サイドシート本体31としては、例えば、疎水性繊維にて形成された撥水性または不透液性の不織布(スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布等)が利用される。側壁部弾性部材32およびコア部弾性部材26(の弾性要素)としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が利用され、本実施の形態では、ポリウレタン糸が各弾性部材として利用される。
図3に示す保形部材5が補助吸収具1に取り付けられる際には、保形部材5の小さい方の開口エッジ58aが補助吸収具1の中間部202においてバックシート23(図4参照)に対向するように配置される。そして、図6および図7に示すように、保形部材5の開口エッジ58aが、補助吸収具1の中間部202においてバックシート23に当接する。保形部材5は、図6に示すように、前側の一対の弱化領域221の間、かつ、後側の一対の弱化領域221の間に位置する。
その後、図7に示すように、補助吸収具1の吸収具本体部2が保形部材5の外側面に沿うように変形され、保形部材5の外側面上の止着部材52a,52bが、補助吸収具1の外面であるバックシート23に着脱自在に止着される。具体的には、図1に示す保形部材5の両端部の止着部材52aのうちの一方、保形部材5の中央の止着部材52a、および、2つの止着部材52bがバックシート23に止着される。図7は、図5と同様に、図4中のA−Aの位置における断面であり、止着部材52bは断面上にないため、図7には描かれていない(図9においても同様)。
このように、補助吸収具1の中間部202に保形部材5を取り付けることにより、着用者側へと突出する(すなわち、厚さ方向の外側から内側へと突出する)凸状部204が補助吸収具1に容易に形成される。保形部材5は略円錐状であり、ある程度以上の強度を有するため、着用者の体圧等により保形部材5が平坦に潰れることが防止される。その結果、着用者に着用された状態の補助吸収具1において、中間部202を着用者の股間部に密着させることができる。
一方、保形部材5を、図8に示すように、止着部材52a,52bが設けられた上面が内側面となるように立体的に湾曲させ、一方の本体端部53(図1参照)に位置する止着部材52aを、他方の本体端部53の下面513に止着して2つの本体端部53(すなわち、保形本体部51の両端部)を互いに固定することにより、保形部材5の保形本体部51が(上下が反転した)略円錐台状とされてもよい。この場合、保形部材5の2つの開口エッジ58a,58bのうち大きい方の開口エッジ58bが、補助吸収具1の中間部202においてバックシート23(図4参照)に当接するように配置される。そして、図9に示すように、補助吸収具1の吸収具本体部2が保形部材5の内側面に沿うように変形され、保形部材5の内側面上の止着部材52a,52bが、補助吸収具1の外面であるバックシート23に着脱自在に止着される。
このように、図9に示す保形部材5が補助吸収具1の中間部202に取り付けられることにより、着用者から離れる方向に凹む(すなわち、着用者側から厚さ方向の外側へと凹む)凹状部205が補助吸収具1に容易に形成される。上述のように、保形部材5は着用者の体圧等により平坦に潰れることがないため、着用者に着用された状態の補助吸収具1において、凹状部205に排泄物(大便等)を収容することができ、補助吸収具1の排泄物の収容力を増加させることができる。また、尿等の排泄物が吸収コア22に吸収されるまでの間、凹状部205において一時的に保持される。その結果、補助吸収具1からの排泄物の漏出を防止することができる。
保形部材5では、2つの本体端部53を着脱自在に互いに止着する止着部材52aが設けられることにより、2つの本体端部53を容易に固定することができる。また、保形部材5が、2つの本体端部53の固定に利用される止着部材52aに加えて、保形部材5を補助吸収具1の外面であるバックシート23に着脱自在に止着する他の止着部材52a,52bを備えることにより、保形部材5を補助吸収具1に容易に取り付けることができる。また、使用後の補助吸収具1を廃棄する際に、保形部材5を容易に取り外して次の補助吸収具1に取り付けて再使用することができる。
保形部材5の保形本体部51は、上述のように、互いに着脱自在に止着される複数の分割本体部551の集合であり、2つの分割部材55を接続する際に、一方の分割部材55の端部の止着部材52aを、他方の分割部材55の下面513の任意の位置に止着することができる。このため、保形部材5の使用前の形状を容易に変更することができ、その結果、使用時における略円錐台状の保形部材5の開口エッジ58a,58bの径や保形部材5の高さ(すなわち、保形部材5の大きさ)を容易に変更することができる。なお、保形部材5を略円錐台状に変形させる際には、保形部材5の2つの本体端部53は必ずしも重ねられる必要はなく、一方の本体端部53が他方の本体端部53よりも中央部側の部位に止着されることにより、開口エッジ58a,58bの径が小さくされてもよい。一方、保形部材5の使用時の大きさを様々に変更する必要があまり無い場合には、保形部材5は、複数の分割部材に分割不能な一体物として製造されてもよい。
保形部材5が止着された補助吸収具1では、保形部材5により補助吸収具1の特定の部位の凹状または凸状の形状を保持することができる。また、上述のように、補助吸収具1の吸収コア22において、中間部202に二対の弱化領域221が設けられることにより、中間部202近傍の部位が容易に凹状に変形して着用者の身体に沿うため、保形部材5による補助吸収具1の変形により生じる上述の効果(すなわち、凸状部204による補助吸収具1の着用者への密着、並びに、凹状部205による補助吸収具1の収容力増大および尿等の一時的保持)を高めることができる。さらに、吸収コア22に長手方向の収縮力を作用させる一対のコア部弾性部材26が設けられることにより、中間部202近傍の部位がより容易に凹状に変形して着用者の身体に沿うため、保形部材5による補助吸収具1の変形により生じる上述の効果をさらに高めることができる。
上述のように、補助吸収具1では、各弱化領域221の幅が吸収コア22の中心線222に向かうに従って小さくなるため、中間部202近傍の部位が凹状に変形する際に、前方部201および後方部203における吸収コア22の側端部(すなわち、左右方向の外側の部位)が、着用者側かつ左右方向の内側に向かって容易に変形する。これにより、中間部202近傍の部位がさらに容易に凹状に変形して着用者の身体に沿う。また、各弱化領域221が、吸収コア22を形成する吸収性材料が存在しないスリットであるため、弱化領域221の剛性が、吸収コア22の弱化領域221以外の部位の剛性に比べて非常に低くなる。その結果、中間部202近傍の部位の凹状の変形をより容易とすることができる。
補助吸収具1では、中間部202に吸収コア22の両側部から形成される少なくとも一対の弱化領域221が設けられていれば、一対のコア部弾性部材26の収縮により中間部202近傍の部位が自然に、または、容易に凹状に変形して着用者の身体に沿うため、保形部材5による補助吸収具1の変形により生じる上述の効果を高めることができる。ただし、中間部202近傍の部位の凹状への変形をより容易とし、当該効果をより一層高めるためには、本実施の形態のように、長手方向に配列される二対以上の弱化領域221が吸収コア22に設けられることが好ましい。また、中間部202近傍の部位の変形をさらに容易とするためには、一対の弱化領域221、および、他の一対の弱化領域221が、吸収コア22の中心線222に向かうに従って長手方向において互いに近づくことがさらに好ましい。
補助吸収具1では、一対のコア部弾性部材26が吸収コア22の外面側に配置されるため、コア部弾性部材26の収縮による中間部202近傍の部位の凹状への変形がより一層容易となる。また、バックシート23が複数のシート部材(本実施の形態では、第1シート231および第2シート232)が積層された積層構造を有し、一対のコア部弾性部材26が、当該複数のシート部材の間に配置されることにより、一対のコア部弾性部材26を吸収コア22の外面側に配置しつつ補助吸収具1の製造を容易とすることができる。
次に、保形部材5を補助吸収具1に止着する際の他の態様について説明する。図10は、保形部材5が止着された補助吸収具1を示す平面図であり、図11は、図10中の保形部材5のみを示す斜視図である。図10および図11に示す保形部材5では、2つの本体端部53が重なることなく互いに近づくように保形本体部51が立体的に湾曲され、保形本体部51が略円錐台状(より具体的には、円錐台の側面からその一部が欠落した形状であり、平面視において馬蹄形状である。)とされる。図11に示すように、止着部材52a,52bは、略円錐台状の保形部材5の外側面に配置される。
そして、保形部材5の第1エッジ58aを、図10に示す補助吸収具1の中間部202においてバックシート23に当接させ、保形部材5の2つの本体端部53に位置する2つの止着部材52a(両端位置固定部)がそれぞれ、バックシート23(すなわち、補助吸収具1の外面)に着脱自在に止着されることにより、2つの本体端部53がバックシート23に固定される。また、吸収具本体部2が保形部材5の外側面に沿うように変形し、保形部材5の本体端部53以外の部位に設けられた止着部材52a,52bが、補助吸収具1のバックシート23に着脱自在に止着される。具体的には、図1に示す保形部材5の中央の止着部材52a、および、2つの止着部材52bがバックシート23に止着される。これにより、図7に示す例と同様に、着用者側へと突出する凸状部204が、補助吸収具1の中間部202に容易に形成され、中間部202を着用者の股間部に密着させることができる。
また、保形部材5は、図12に示すように、止着部材52a,52bが略円錐台状の保形部材5の内側面に配置されるように立体的に湾曲され、上下が反転した略円錐台状とされた状態で、補助吸収具1の中間部202においてバックシート23(図10参照)に止着することもできる。この場合も、保形部材5の2つの本体端部53に位置する2つの止着部材52aが、図10および図11に示す例と同様に、2つの本体端部53をバックシート23に着脱自在に止着して固定する両端位置固定部となる。
そして、吸収具本体部2が保形部材5の内側面に沿うように変形し、保形部材5の本体端部53以外の部位に設けられた止着部材52a,52bが、補助吸収具1のバックシート23に着脱自在に止着される。これにより、図9に示す例と同様に、着用者から離れる方向に凹む凹状部205が、補助吸収具1の中間部202に容易に形成され、補助吸収具1の排泄物の収容力を増加させることができる。また、尿等を凹状部205において一時的に保持することができる。
上述のように、2つの本体端部53に設けられた2つの止着部材52aにより保形部材5が補助吸収具1に止着される場合、補助吸収具1の外面上において、2つの本体端部53の相対的な位置関係を様々に変更することができる。これにより、立体的に湾曲された保形部材5の大きさ(すなわち、高さや上下の開口エッジの幅等)を様々に変更しつつ、保形部材5を補助吸収具1の外面に取り付けることができる。また、使用後の補助吸収具1を廃棄する際に、保形部材5を容易に取り外して次の補助吸収具1に取り付けて再使用することができる。さらに、上記2つの止着部材52aに加えて、補助吸収具1の外面に着脱自在に止着可能な他の止着部材52a,52bを備えることにより、保形部材5を補助吸収具1に強固に取り付けることができる。
保形部材5では、上述のように、2つの分割部材55(図2参照)の接続位置を変更することにより、保形部材5の使用前の形状を容易に変更することができ、その結果、使用時における略円錐台状の保形部材5の大きさを容易に変更することができる。なお、保形部材5の使用時の大きさを様々に変更する必要があまり無い場合には、保形部材5は、分割不能な一体物として製造されてもよい。
図11および図12に示す態様にて保形部材5が止着された補助吸収具1では、図7および図9に示す場合と同様に、保形部材5により補助吸収具1の特定の部位の凹状または凸状の形状を保持することができる。また、補助吸収具1の吸収コア22において、中間部202に二対の弱化領域221が設けられることにより、中間部202近傍の部位が容易に凹状に変形して着用者の身体に沿うため、保形部材5による補助吸収具1の変形により生じる上述の効果(すなわち、凸状部による補助吸収具1の着用者への密着、並びに、凹状部による補助吸収具1の収容力増大および尿等の一時的保持)を高めることができる。さらに、吸収コア22に長手方向の収縮力を作用させる一対のコア部弾性部材26が設けられることにより、中間部202近傍の部位がより容易に凹状に変形して着用者の身体に沿うため、保形部材5による補助吸収具1の変形により生じる上述の効果をさらに高めることができる。
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る保形部材5aを示す斜視図である。保形部材5aは、第1の実施の形態に係る保形部材5と同様に、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品において、着用者の股間部に対向する中間部に凸状部または凹状部を形成してその形状を保持する部材である。保形部材5aは、図3に示す使用時の保形部材5とおよそ同様の形状を有する立体的な部材であり、立体的に湾曲する薄板にて形成される略円錐台状(より正確には、円錐台の側面におよそ等しい形状)である。当該薄板は、弾性変形可能な薄板状のプラスチックフィルムが、積層された不織布の間に挟まれて接合されることにより形成される。
保形部材5aは、分割不能な一体物であり、外側面573には、およそ等間隔に配置された同形状の複数の止着部材52cが設けられる。また、保形部材5aの内側面574にも、外側面573と同様に、複数の止着部材52cが設けられる。止着部材52cは、第1の実施の形態に係る保形部材5の止着部材52a,52bと同様に、面ファスナのフック部材であり、補助吸収具1のバックシート23(図4参照)の外面に対して着脱自在である。
保形部材5aが使用される際には、図6に示す保形部材5と同様に、保形部材5aの小さい方の開口エッジ58a(すなわち、図13中における上側のエッジ)が、補助吸収具1の中間部202においてバックシート23(図6参照)に当接するように保形部材5aが配置される。保形部材5aは、前側の一対の弱化領域221の間、かつ、後側の一対の弱化領域221の間に位置する。
そして、図7に示す場合と同様に、補助吸収具1の吸収具本体部2(図7参照)が保形部材5aの外側面573に沿うように変形され、保形部材5aの外側面573上の複数の止着部材52cが、補助吸収具1の外面であるバックシート23に着脱自在に止着される。このように、補助吸収具1の中間部202に保形部材5aを取り付けることにより、第1の実施の形態と同様に、着用者側へと突出する凸状部204(図7参照)が容易に形成され、その結果、着用者に着用された状態の補助吸収具1において、中間部202を着用者の股間部に密着させることができる。
一方、保形部材5aのうち大きい方の開口エッジ58b(すなわち、図13中における下側のエッジ)を、補助吸収具1の中間部202においてバックシート23に当接するように配置し、図9に示す場合と同様に、補助吸収具1の吸収具本体部2が保形部材5aの内側面574に沿うように変形され、補助吸収具1の外面であるバックシート23が、保形部材5aの内側面574上の止着部材52cに着脱自在に止着されてもよい。これにより、第1の実施の形態と同様に、着用者から離れる方向に凹む凹状部205が容易に形成され、その結果、補助吸収具1の排泄物の収容力を増加させることができる。また、尿等を凹状部205において一時的に保持することができる。
保形部材5aは、第1の実施の形態に係る保形部材5とは異なり、保形部材5aの大きさ(すなわち、高さや上下の開口エッジの径等)を様々に変更することはできないが、使用する際に変形させる必要が無いため、補助吸収具1に対して迅速に取り付けることができる。なお、保形部材5aでは、図7および図9に示す使用例のいずれか一方のみに利用される場合には、保形部材5aの内側面および外側面の止着部材52cのうち使用されない止着部材52cは省略されてもよい。また、保形部材5aの外側面と内側面とが反対になるように反転させることができる場合には、保形部材5aの側面のうち一方のみに止着部材52cが設けられていればよい。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、第1の実施の形態に係る保形部材5は、3つ以上の分割部材が接続されることにより形成されてもよい。また、保形部材5が複数の分割部材により形成される場合、当該複数の分割部材は互いに形状が異なってもよい。図3および図8に示すように、保形本体部51の両端部を互いに固定して保形部材5を使用する場合、当該両端部は、例えば、粘着テープにより着脱自在に止着されてもよい。あるいは、両端部の固定は、例えば、両端部にそれぞれ設けられた切り込みを嵌め合わせることにより実現されてもよい。
第1および第2の実施の形態に係る保形部材5,5aでは、補助吸収具1に止着される止着部材52a〜52cとして、例えば、粘着テープが利用されてもよい。また、保形部材5,5aが、補助吸収具1の外面と外装物品である使い捨ておむつとの間に挟まれることにより、補助吸収具1に対する相対位置が固定される場合、保形部材5,5aは、必ずしも補助吸収具1の外面に止着される必要はなく、補助吸収具1の外面に止着するための止着部材は保形部材5,5aから省略されてよい。
保形部材5,5aは、必ずしも不織布の積層体の間にプラスチックフィルムが挟まれた構造とされる必要はなく、例えば、プラスチックフィルムのみ、あるいは、比較的厚い不織布のみにより形成されてもよい。また、プラスチックフィルムや不織布以外の様々な材料により形成されてもよい。
保形部材5が、折り曲げて折り目をつけることができる薄板状の部材により形成される場合、立体的に湾曲された保形部材5の形状は、例えば、多角錐台状であってもよい。したがって、湾曲する前の保形部材5の形状は円弧状には限定されない。また、立体的に湾曲された保形部材5の形状は、高さ方向に垂直な断面の形状が高さ方向において徐々に拡大または縮小するのであれば、正確に幾何学的な錐台状である必要はない。保形部材5aの形状は、高さ方向に垂直な断面の形状が高さ方向において徐々に拡大または縮小するのであれば、正確に幾何学的な円錐台状である必要はない。本発明の関連技術では、保形部材5aが、折り曲げて折り目をつけることができる薄板状の部材により形成される場合、保形部材5aの形状は、例えば、多角錐台状であってもよい。
保形部材は、容易には取り外すことができない態様で(例えば、ホットメルト接着剤等による強固な接着にて)補助吸収具1の外面に予め接合されていてもよい。例えば、図14に示すように、2つの平坦な分割部材55の中央部555(図中にて平行斜線を付す。)が補助吸収具1の外面に予め接合され、補助吸収具1の使用時に一方の分割部材55の両端部が他方の分割部材55の両端部に固定されることにより、補助吸収具1の中間部202に凹状部または凸状部が形成されてもよい。あるいは、図15に示すように、保形部材5(図1参照)とほぼ同形状の一体物の保形部材5bの中央部555が補助吸収具1の外面に予め接合され、補助吸収具1の使用時に保形部材5bの両端部が互いに固定されることにより、補助吸収具1の中間部202に凹状部または凸状部が形成されてもよい。このように、補助吸収具1に予め保形部材が固定された吸収性物品においても、保形部材により補助吸収具1の特定の部位の凹状または凸状の形状を保持することができる。そして、保形部材により凹状部が形成される場合には、補助吸収具1の排泄物の収容力を増加させることができ、凹状部において尿等を一時的に保持することができる。また、保形部材により凸状部が形成される場合には、補助吸収具1の中間部202を着用者の股間部に密着させることができる。
補助吸収具1では、バックシート23は、単層のシート部材や3層以上のシート部材の積層体であってもよい。例えば、上述の第1シート231および第2シート232上にもう1枚の不織布が積層され、当該不織布と第1シート231との間にコア部弾性部材26が接合されてもよい。この場合、当該不織布は、一対のコア部弾性部材26を覆う程度の大きさを有していれば、第1シート231よりも小さくてもよい。一対のコア部弾性部材26は、吸収コア22の外面とバックシート23との間に配置され、吸収コア22の外面およびバックシート23に直接的に接合されてもよい。また、一対のコア部弾性部材26は、吸収コア22の厚さ方向の内側(すなわち、着用者やトップシート21側である内面側)において、吸収コア22の内面とトップシート21との間に配置され、吸収コア22の内面およびトップシート21に直接的に接合されてもよい。あるいは、トップシート21が複数のシートの積層体とされる場合、一対のコア部弾性部材26は、当該複数のシートの間に配置されて接合されることにより、吸収コア22の内面に間接的に接合されてもよい。さらには、吸収コア22が複数のコア部材の積層体である場合には、一対のコア部弾性部材26は、当該複数のコア部材の間に配置されて吸収コア22に直接的に接合されてもよい。上記実施の形態では、コア部弾性部材26は、それぞれが長手方向に伸びるとともに互いに平行に左右方向に配列された3本の弾性要素を有しているが、弾性要素の本数は4本以上あるいは2本以下であってもよい。
弱化領域221は、必ずしも吸収コア22に設けられたスリットである必要はなく、吸収コア22において、周囲の部位よりも剛性が低い領域であればよい。例えば、吸収コア22を形成する吸収性材料が弱化領域221にも配置され、弱化領域221における吸収性材料の厚さや密度が、周囲の部位における吸収性材料の厚さや密度よりも小さくされてもよい。あるいは、弱化領域221に配置された吸収性材料がローラ等により押しつぶされて薄くされてもよい。
上記実施の形態に係る保形部材は、例えば、着用者の腹側に当接する部位と背側に当接する部位とを腰回りで止着して着用するテープタイプの使い捨ておむつや、上端に胴部開口を有するとともに下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつに取り付けられてもよい。この場合も、補助吸収具1に取り付ける場合と同様に、保形部材により使い捨ておむつに凹状部または凸状部が容易に形成される。このように、保形部材は補助吸収具1以外の様々な吸収性物品に固定されて使用されてもよいが、上述のように、保形部材により吸収性物品の収容力を増大したり、尿等を一時的に保持することができ、また、吸収性物品を着用者に密着させることができるため、保形部材は、着用者に直接接するとともに排泄物を直接的に受ける補助吸収具に固定されて利用されることが特に好ましい。