JP5501901B2 - 窒素酸化物センサおよび窒素酸化物検出方法 - Google Patents

窒素酸化物センサおよび窒素酸化物検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、窒素酸化物センサおよび窒素酸化物検出方法に関し、特に、酸素存在条件下、窒素酸化物の濃度を検出する窒素酸化物センサおよび窒素酸化物検出方法に関する。
近年、自動車などの内燃機関から発生される窒素酸化物(以下、NOxということがある)は、人体および地球環境への影響からその排出量の規制が厳しくなってきている。また、NOxの排出を有効的に抑制するために、NOxを正確かつ迅速に検出するNOxセンサが強く望まれている。
従来、NOxセンサとしては、酸素イオン伝導性を有する固体電解質と、NOx分解特性を有する触媒電極(検出電極)と、この触媒電極に対向して形成された参照電極とから構成されたNOxセンサが知られている。このNOxセンサでは電極間の電位差を測定することにより、NOx濃度を求めていた。
しかしながら、上記のような構成では、酸素濃度が変化する排ガス中のNOx濃度を検出する際に、電極間の電位差は酸素濃度の変動に大きく影響され、正確にNOx濃度を測定できないという問題があった。
そこで、従来、NOx検出方法として、電解質と、二つの触媒電極と、参照電極とから構成されたセンサ素子に対し、予め温度とセンサ素子のバルク抵抗との関係、各温度、各酸素濃度における電極抵抗とNOx濃度との相関データを測定しておき、実際に検出する際は、電極間のインピーダンスおよび酸素濃度を同時に測定して、演算処理により電極抵抗を求め、更にデータベースとの比較によりNOx濃度を出力する方法が知られている(特許文献1参照)。この特許文献1には、酸素が存在する雰囲気中のNOx濃度を検出することができると記載されている。
特開平8−128979号公報
しかしながら、特許文献1のNOx検出方法では、温度とセンサ素子のバルク抵抗との関係、各温度、各酸素濃度における電極抵抗とNOx濃度との相関データなど、予め測定する必要があるデータが膨大であるという問題があった。また、演算の結果とデータベースとの比較で近似なNOx濃度しか得られないという問題があった。
本発明は、酸素が存在する被検出ガス中のNOx濃度を容易に高い精度で検知できる窒素酸化物センサおよび窒素酸化物検出方法を提供する。
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討した結果、酸素とNOxとが同時に存在する被検出ガス中におけるセンサ素子の抵抗成分から、NOxが存在しない場合のセンサ素子の抵抗成分を除去することによりNOxの反応抵抗を得ることができ、これによりNOxの反応抵抗からNOxの濃度を求めることができることを見出し、本発明に至った。
本発明の窒素酸化物センサは、電解質を一対の電極で挟持してなるセンサ素子と、該センサ素子からの信号に基づいてNOx濃度を算出する演算部とを備えてなる窒素酸化物センサであって、前記演算部が、
前記センサ素子の酸素反応抵抗Roと酸素濃度Coとの関係を示す式1、前記センサ素子のNOx反応抵抗RnoとNOx濃度Cnoとの関係を示す式2、および前記センサ素子の実抵抗Rrが保存されている関係式記憶手段と、
被検出ガス中で実際に測定した前記センサ素子の前記一対の電極間の全抵抗Raと、前記被検出ガス中で実際に測定した酸素濃度Coと前記式1とを用いて求めた前記酸素反応抵抗Roと、予め求めた前記実抵抗Rrと、NOx反応抵抗Rnoを求める式3とを用いて、前記被検出ガス中における前記センサ素子のNOx反応抵抗Rnoを求め、前記式2から前記NOx濃度Cnoを求める算出手段とを具備する。
Ro=F(Co) 式1
Cno=F(Rno) 式2
Rno=Ro(Ra−Rr)/(Ro+Rr−Ra) 式3
このような窒素酸化物センサでは、事前に測定を要するデータが少なく、酸素が存在する被検出ガス中のNOx濃度を瞬時にかつ容易に高い精度で検知できる。
式1は、例えば、一定温度にて前記一対の電極間に低周波交流電流或いは直流電流を印加して測定したNOxを含まない酸素含有雰囲気中における前記センサ素子の抵抗値から、前記一定温度にて前記一対の電極間に高周波交流電流を印加して測定した前記酸素含有雰囲気中の前記センサ素子の実抵抗Rrを差し引いて求めた前記センサ素子の酸素反応抵抗Roについて、前記酸素含有雰囲気中における酸素濃度Coを変化させた場合の、前記酸素反応抵抗Roと前記酸素濃度Coとの関係を求めることで得られる。
式2は、例えば、前記一定温度にて前記一対の電極間に低周波交流電流或いは直流電流を印加して測定したNOx雰囲気中における前記センサ素子の抵抗値から、前記実抵抗Rrを差し引いて求めた前記センサ素子のNOx反応抵抗Rnoについて、前記NOx雰囲気中におけるNOx濃度Cnoを変化させた場合の、前記NOx反応抵抗Rnoと前記NOx濃度Cnoとの関係を求めることで得られる。
また、前記センサ素子は、前記酸素濃度Coを測定するための電極を具備する場合がある。
本発明の窒素酸化物検出方法は、電解質を一対の電極で挟持してなるセンサ素子を一定温度に加熱し、前記センサ素子からの信号に基づいてNOx濃度を算出する窒素酸化物検出方法であって、予め、前記センサ素子の酸素反応抵抗Roと酸素濃度Coとの関係を示す式1、前記センサ素子のNOx反応抵抗RnoとNOx濃度Cnoとの関係を示す式2、および前記センサ素子の実抵抗Rrを求めておき、被検出ガス中で実際に測定した前記センサ素子の前記一対の電極間の全抵抗Raと、前記被検出ガス中で実際に測定した酸素濃度Coと前記式1とを用いて求めた前記酸素反応抵抗Roと、予め求めた前記実抵抗Rrと、NOx反応抵抗Rnoを求める式3とを用いて、前記被検出ガス中における前記センサ素子のNOx反応抵抗Rnoを求め、前記式2から前記NOx濃度Cnoを求めることを特徴とする。
Ro=F(Co) 式1
Cno=F(Rno) 式2
Rno=Ro(Ra−Rr)/(Ro+Rr−Ra) 式3
このような窒素酸化物検出方法では、事前に測定を要するデータが少なく、被検出ガス中での酸素濃度とセンサ素子の抵抗とを測定すればNOx濃度を出力できるため、酸素が
存在する被検出ガス中のNOx濃度を瞬時にかつ容易に高い精度で検出できる。
また、前記センサ素子の前記一対の電極間の全抵抗Raを、周波数10Hz以下の低周波交流電流もしくは直流電流を印加して測定する場合がある。
本発明の窒素酸化物センサおよび窒素酸化物検出方法では、酸素とNOxとが同時に存在する、例えば自動車の排ガス等の被検出ガスにおけるNOx濃度を、被検出ガス中の酸素濃度の変化に影響されずに測定できるとともに、等価回路に基づいた明確な測定原理に基づき、予め測定に要するデータおよび実際に測定するデータを少なくでき、容易にかつ瞬時に高い精度で検出できる。
平板状の電解質を用いた窒素酸化物センサの説明図である。 (a)は被検出ガス中の反応成分が酸素のみの場合の等価回路図であり、(b)は被検出ガス中の反応成分がNOxのみの場合の等価回路図である。 被検出ガス中の反応成分が酸素およびNOxの場合の等価回路図である。 円筒状の電解質を用いた窒素酸化物センサの説明図である。 低周波交流電流を用いて測定した、それぞれの酸素濃度におけるNO濃度の測定値と、導入ガス中のNO濃度との関係を示すグラフである。 NO濃度の測定値と、導入ガス中の酸素濃度との関係を示すグラフである。 直流電流を用いて測定した、それぞれの酸素濃度におけるNO濃度の測定値と、導入ガス中のNO濃度との関係を示すグラフである。
図1は、窒素酸化物センサの一形態を示すもので、窒素酸化物センサは、平板状の電解質11を一対の電極13a、13bで挟持してなるセンサ素子15と、該センサ素子15を一定温度に加熱して保持する温度制御部(図示せず)と、NOx濃度を算出する演算部17とを具備して構成されている。さらに、この形態の窒素酸化物センサは、抵抗測定装置19および酸素濃度測定装置21を具備している。なお、電極13aは検出電極、電極13bは参照電極とされている。温度制御部は、測定する際にセンサ素子15を一定温度に保持する。
検出電極13aはNOxを吸着し、所定の温度でNOxの分解反応を発生し得る触媒機能を有する電極である。参照電極13bは、酸素の離脱反応を発生する場合と、単純に電気信号を取り出す場合がある。後者の場合は、酸素の離脱反応を発生させる電極を別に設ける必要がある。図1の形態では、参照電極13bは、酸素の離脱反応を発生するものである。
検出電極13aと参照電極13bとは、電解質11の両面に配置することが一般的であるが、電解質11の同一面に一定の間隔をおいて配置することも可能であり、この場合には、センサの製造を容易にできる。また、検出電極13aと参照電極13bとは同じ材質であることが望ましい。この場合には、材質が異なる場合に生じる起電力等を考慮することなく容易に検出できる。
電解質11は、主に酸素イオン伝導性を有する固体酸化物型電解質とされている。例えば希土類元素が固溶して安定化されたZrO、あるいはGd添加のCeOなどである。電解質11の形状は特に限定されるものではない。
本形態の窒素酸化物センサは、センサ素子15を一定温度に加熱保持する温度制御部を
有している。すなわち、種々の内燃機関の排ガスは燃焼状態などにより温度が変動するが、窒素酸化物センサを構成する電解質11および検出電極13aの特性は温度の変動に敏感に変化する。センサ素子15を一定温度に加熱保持することにより、センサ特性を安定化できる。
本形態の窒素酸化物センサは、予め測定したセンサ特性のデータを関係式として演算部に入力し、被検出ガス中の雰囲気でセンサ素子15の全抵抗を測定し、上記の関係式を用いて演算を行い、NOx濃度Cnoを算出することができる。
温度制御部は、例えば、センサ素子15を収容する収容管(図示せず)の外部に配置されたヒータ(図示せず)で構成することができる。
演算部17は、関係式記憶手段と算出手段とを有している。関係式記憶手段は、センサ素子15の酸素反応抵抗Roと酸素濃度Coとの関係を示す式1、センサ素子15のNOx反応抵抗RnoとNOx濃度Cnoとの関係を示す式2、およびセンサ素子15の実抵抗Rrを求め、記憶する部分である。
式1は、Ro=F(Co)で表されるが、この関係式は以下のようにして、予め求める。すなわち、温度制御部により、センサ素子15を、実質的にNOxを含まない酸素含有雰囲気、例えば大気中において一定温度、例えば700℃に加熱して保持した状態で、実質的にNOxを含まない酸素含有雰囲気において検出電極13aと参照電極13bとの間に高周波交流電流を印加してセンサ素子15の実抵抗Rrを測定する。関係式を求める際に、温度制御部により保持される一定温度は、実際に測定する際に保持される一定温度と同一温度である。
また、検出電極13aと参照電極13bとの間に低周波交流電流を印加してセンサ素子15の抵抗値(RrとRoとの合計抵抗として表される)を測定し、このセンサ素子15の抵抗値から、上記の実抵抗Rrを差し引いて、ある酸素濃度Coにおけるセンサ素子15の酸素反応抵抗Roを得ることができる。
そして、NOxを含まない酸素含有雰囲気中の酸素濃度Coを変化させ、その際の酸素反応抵抗Roと、酸素濃度Coとの関係を求めることで、式1を得ることができる。
さらに詳細に説明する。図2(a)は被検出ガス中の反応成分が酸素のみの場合の等価回路である。Rrはセルの実抵抗で、バルク抵抗とも言う。Roは酸素による反応抵抗で、酸素電極抵抗とも言う。Cはコンデンサ成分である。この等価回路において、検出電極13aと参照電極13bとの間に高周波交流電流を印加すると、高周波交流電流はコンデンサCの部分を流れ、酸素反応抵抗Roの部分は流れないため、センサ素子15の実抵抗Rrを得ることができる。高周波交流電流の周波数は、コンデンサ成分の影響を十分に小さくするという点から、10Hz以上が望ましい。
一方、検出電極13aと参照電極13bとの間に低周波交流電流を印加すると、コンデンサ成分のインピーダンスが大きい値となり、低周波交流電流はコンデンサCを流れないため、センサ素子15の抵抗値(RrとRoの合計抵抗として表される)が得られ、このセンサ素子15の抵抗値から、先に高周波交流電流を印加して求めた実抵抗Rrを差し引くことにより、酸素反応抵抗Roが得られる。
使用する低周波交流電流の周波数は、コンデンサ成分のインピーダンスが十分に大きく、計算による誤差を十分に小さくするためには、10Hz以下が好ましい。検出電極13
aと参照電極13bとの間に直流電流を印加して求めることもできる。この場合には、計算による誤差を小さくでき、測定時間を短くでき、応答速度を向上できる。
なお、センサ素子15の実抵抗Rrは、低周波交流電流または高周波交流電流を印加してもほぼ同一値を示す。また、式1は、センサ素子15を構成する電解質11、電極13、測定温度等により異なる近似式となる。
式3で得たNOx反応抵抗RnoよりNOx濃度Cnoを得るには、NOx反応抵抗RnoとNOx濃度Cnoとの間の式2を予め求める必要がある。このために、式1を求める場合と同様な方法で、酸素が殆ど存在しないNOx雰囲気でNOx濃度Cnoを変化させて、NOx反応抵抗RnoとNOx濃度Cnoとの関係を示す式2を求めることができる。例えば、窒素とNOxガスとを混合したNOx含有雰囲気で測定すれば、酸素濃度Coが10ppm以下の低酸素濃度での測定値が得られる。なお、NOx雰囲気には不純物として不可避的に酸素を微量含む。
式2は、Cno=F(Rno)で表されるが、この関係式は以下のようにして求める。すなわち、温度制御部により、センサ素子15を酸素が殆ど存在しないNOx雰囲気において一定温度にて保持した状態で、検出電極13aと参照電極13bとの間に低周波交流電流を印加して測定したセンサ素子15の抵抗値(RrとRnoの合計抵抗として表される)から、先に求めた実抵抗Rrを差し引いて、あるNOx濃度Cnoにおけるセンサ素子15のNOx反応抵抗Rnoが得られる。そして、NOx雰囲気中のNOx濃度Cnoを変化させ、その際のNOx反応抵抗Rnoと、NOx濃度Cnoとの関係を求めることで式2が得られる。なお、式2は、センサ素子15を構成する電解質11、電極13、測定温度等により異なる近似式となる。
さらに詳細に説明する。図2(b)は被検出ガス中の反応成分がNOxのみの場合の等価回路である。この等価回路において、検出電極13aと参照電極13bとの間に低周波交流電流または直流電流を印加すると、低周波交流電流はコンデンサCを流れないため、センサ素子15の抵抗値(RrとRnoの合計抵抗として表される)が得られ、先に求めた実抵抗Rrを差し引くことにより、NOx反応抵抗Rnoが得られる。
本形態の窒素酸化物センサは、予め測定したセンサ特性である式1、式2、および実抵抗Rrを、演算部17の関係式記憶手段に記憶させておき、実際の被検出ガスの雰囲気でセンサ素子15の全抵抗Raおよび被検出ガスの酸素濃度Coを測定し、算出手段で、式3からNOx反応抵抗Rnoを求め、式2からNOx濃度Cnoを算出して求める。
すなわち、算出手段において、被検出ガス中で実際に測定したセンサ素子15の一対の電極13間の全抵抗Raと、被検出ガス中で実際に測定した酸素濃度Coと式1とを用いて求めた酸素反応抵抗Roと、予め求めた実抵抗Rrと、NOx反応抵抗Rnoを求める式3とを用いて、被検出ガス中におけるセンサ素子15のNOx反応抵抗Rnoを求め、式2からNOx濃度Cnoを求める。
さらに詳細に説明する。図3は、被検出ガス中に酸素とNOxが同時に存在する場合の等価回路である。同じ電極で2種類の反応が同時に起こるため、NOxと酸素の反応抵抗を並列回路と見なすことができる。
図2、3の等価回路において、交流電流の周波数が十分に小さい場合は、図2(a)の回路の全抵抗Rbは式4で、図3の回路の全抵抗Raは式5でそれぞれ与えられる。
Rb=Rr+Ro 式4
Ra=Rr+Ro*Rno/(Ro+Rno) 式5
式5から式4を引いて整理すると、NOxの反応抵抗Rnoを計算する式3が得られる。
式3は、Rno=Ro(Ra−Rr)/(Ro+Rr−Ra)で表されるが、式3を用いてRnoを計算するためには、予め、一定温度で高周波交流電流で測定しておいたセンサ素子の実抵抗Rrを測定する必要がある。上記したように、図2(a)に示す等価回路で高周波交流電流を流すと、コンデンサ成分のインピーダンスを無視できる数値となり、端子間の抵抗値測定で実抵抗Rrが得られる。
なお、電極間の全抵抗Raは、直流電流を印加することにより測定することができる。これにより、低周波交流電流の周波数が十分に低くない場合に誤差が生じることを防止することができ、また、低周波交流電流の周波数が低すぎることにより検知に要する時間が長くなることを避けることができる。直流電流の印加時間は特に規定するものではないが、応答速度向上の要求により、例えば、0.1秒〜10秒の範囲で任意に選択することができる。なお、1mA以下の直流電流を連続して印加し、全抵抗Raを連続して検出し、この値を用いてNOx濃度を計算することも可能である。
算出手段は、式3からNOx反応抵抗Rnoを求め、式2からNOx濃度Cnoを算出して求める。すなわち、実際の被検出ガス中でセンサ素子15を一定温度に加熱して保持し、センサ素子15の検出電極13aと参照電極13bとの間で測定した全抵抗Raと、実際の被検出ガス中の酸素濃度Coと式1とを用いて求めた酸素反応抵抗Roと、センサ素子15の実抵抗Rrとを、NOx反応抵抗Rnoを理論的に求める式3に代入し、被検出ガス中のNOxガスによるセンサ素子のNOx反応抵抗Rnoを求め、式2からNOx濃度Cnoを求める。
本発明のNOxセンサでは、構造が簡単で、事前に測定を要するデータが少なく、酸素が存在する被検出ガス中のNOx濃度を瞬時にかつ容易に高い精度で検知できる。NOx濃度の測定に必要とする酸素濃度Coは、NOxセンサとは別個に酸素センサを設けても良い。例えば自動車の場合は燃焼制御用排ガスの酸素濃度測定用センサで測定したものを用いることができる。
また、NOxセンサは、酸素濃度の検出部を具備することができる。NOxセンサと同一場所のガス、同一時間で測定した酸素濃度を用いることにより、NOx濃度の測定精度をさらに向上することができる。
図4に、チューブ状の電解質31を用いたNOxセンサを示す。このNOxセンサは、酸素濃度検出部32を有しており、有底筒状の電解質31の底部側外周面に、環状の検出電極33aと環状の参照電極33bとが所定間隔をおいて形成され、さらに、電解質31の底部側外周面に環状の酸素濃度検出部の一方側電極32aが形成され、電解質11の底部内面に他方側電極32bが形成され、これによりセンサ素子35が構成されている。そして、有底筒状の電解質31内部には、温度制御部の一部を構成する棒状のヒータ39が挿入され、このヒータ39は制御部41により制御され、NOxセンサが一定温度に制御されている。
なお、符号49は抵抗測定装置であり、符号51は、酸素濃度検出部32の電極32a、32bに接続される酸素濃度測定装置である。
このようなNOxセンサでも、図1の場合と同様に、被検出ガス中のNOxガスによるセンサ素子35のNOx反応抵抗Rnoを求め、式2からNOx濃度Cnoを求める
ことができるとともに、NOx濃度Cnoを検出する部分と同一場所、同一時間で測定した酸素濃度を用いることにより、NOx濃度の測定精度をさらに向上することができる。
イットリア安定化ジルコニアの焼結体からなる電解質11を縦15mm、横15mm、厚み0.4mmの板状に加工し、その両面にそれぞれZnCrペーストを直径10mmの面積で円形に対向して印刷し、乾燥後1200℃×2hで焼き付け、電解質11の上下面に電極13aと電極13bとを形成した。これらの各電極13a、13bに直径0.5mmのPt線2本ずつ接合し、図1に示すセンサ素子15とした。
上記のセンサ素子15を石英管の中に入れ、石英管の外部に設けたヒータにより700℃に加熱し、一定温度に保持した。その温度でセンサ素子15に10Hzの高周波交流電流(50mV)を流し、センサ素子15の実抵抗Rrを大気中で測定した。なお、石英管の外部のヒータにより温度制御部が構成される。
次に、石英管の両端にガス流路を設け、その他の部分を密閉して反応室とし、中にO−N混合ガスを導入した。センサ素子15に1Hzの低周波交流電流(50mV)を流し、測定した抵抗値から先に測定した実抵抗Rrを引いて、同酸素濃度における酸素反応抵抗Roを求めた。O−N混合ガス中の酸素濃度Coを1〜10%に変化させ、それぞれの酸素濃度Coでの酸素反応抵抗Roと酸素濃度Coとの関係を経験式(式1)にまとめた。式1は、Ro=4.7×10/Co+116(Ω)と表された。
さらに、同様な方法で反応室内にNO−N混合ガス(NOxとしてNOを用いた)を導入し、NOの反応抵抗Rnoを測定した。NO−N混合ガスにおけるNOx濃度Cnoを100ppm〜800ppmの範囲で変化させ、NOx反応抵抗RnoとNOx濃度Cnoとの関係を経験式(式2)にまとめた。式2は、Cno=3.4×10/Rno−18(ppm)と表された。
上記の反応室にO、NO、Nガスを用いて、酸素濃度Coを1、5、10%で、NO濃度を100、200、400、800ppmと変化させ、上記と同じ方法で素子端子間の全抵抗Rrを測定し、式1、2と、NOxの反応抵抗Rnoを求める式3、すなわちRno=Ro(Ra−Rr)/(Ro+Rr−Ra)から、NOx濃度Cnoを計算し、導入ガスの濃度と比較した。
図5にそれぞれの酸素濃度におけるNO濃度の算出値と、導入ガス中のNO濃度との関係を示す。この方法で検出したNO濃度値は、酸素濃度に殆ど影響されずに、導入ガス中のNO濃度とよく一致した結果が得られた。
上記の石英管内に導入するNOの濃度Cnoを200ppmに固定し、酸素濃度Coを1〜10%を変化させ、センサ素子15のZnCr電極端子間の抵抗を測定し、前記式1〜3を用いてNO濃度Cnoを計算し、導入ガスの濃度と比較した。
図6にNO濃度Cnoの算出値と導入値との比較を示す。ガス中の酸素濃度が変化しても、出力したNO濃度値Cnoは殆ど影響されずに、導入ガス中のNO濃度Cnoとよく一致した結果が得られた。
上記と同じセルについて、上記と同じ温度とガス組成条件下で50mVの直流電圧を印加し、式1、2、3中のRaを求めて、更にNO濃度Cnoを計算した。電流の負荷時
間は1秒、5秒、10秒、20秒で実施したが、測定結果はほぼ同じであった。図7に電流の負荷時間が1秒の場合の、それぞれの酸素濃度におけるNO濃度の算出値と、導入ガス中のNO濃度との関係を示す。図5、図7から直流電源と低周波電源により測定した結果はほぼ同じであった。
11、31・・・電解質
13a、33a・・・検出電極
13b、33b・・・参照電極
15、35・・・センサ素子
17・・・演算部
32a、32b・・・酸素濃度を測定するための電極
39・・・ヒータ

Claims (4)

  1. 電解質を一対の電極で挟持してなるセンサ素子と、該センサ素子からの信号に基づいてNOx濃度を算出する演算部とを備えてなる窒素酸化物センサであって、前記演算部が、
    前記センサ素子の酸素反応抵抗Roと酸素濃度Coとの関係を示す式1、前記センサ素子のNOx反応抵抗RnoとNOx濃度Cnoとの関係を示す式2、および前記センサ素子の実抵抗Rrが保存されている関係式記憶手段と、
    被検出ガス中で実際に測定した前記センサ素子の前記一対の電極間の全抵抗Raと、前記被検出ガス中で実際に測定した酸素濃度Coと前記式1とを用いて求めた前記酸素反応抵抗Roと、予め求めた前記実抵抗Rrと、NOx反応抵抗Rnoを求める式3とを用いて、前記被検出ガス中における前記センサ素子のNOx反応抵抗Rnoを求め、前記式2から前記NOx濃度Cnoを求める算出手段とを具備することを特徴とする窒素酸化物センサ。
    Ro=F(Co) 式1
    Cno=F(Rno) 式2
    Rno=Ro(Ra−Rr)/(Ro+Rr−Ra) 式3
  2. 前記センサ素子は、前記酸素濃度Coを測定するための電極を具備することを特徴とする請求項1記載の窒素酸化物センサ。
  3. 電解質を一対の電極で挟持してなるセンサ素子を一定温度に加熱し、前記センサ素子からの信号に基づいてNOx濃度を算出する窒素酸化物検出方法であって、予め、前記センサ素子の酸素反応抵抗Roと酸素濃度Coとの関係を示す式1、前記センサ素子のNOx反応抵抗RnoとNOx濃度Cnoとの関係を示す式2、および前記センサ素子の実抵抗Rrを求めておき、被検出ガス中で実際に測定した前記センサ素子の前記一対の電極間の全抵抗Raと、前記被検出ガス中で実際に測定した酸素濃度Coと前記式1とを用いて求めた前記酸素反応抵抗Roと、予め求めた前記実抵抗Rrと、NOx反応抵抗Rnoを求める式3とを用いて、前記被検出ガス中における前記センサ素子のNOx反応抵抗Rnoを求め、前記式2から前記NOx濃度Cnoを求めることを特徴とする窒素酸化物検出方法。
    Ro=F(Co) 式1
    Cno=F(Rno) 式2
    Rno=Ro(Ra−Rr)/(Ro+Rr−Ra) 式3
  4. 前記センサ素子の前記一対の電極間の全抵抗Raを、周波数10Hz以下の低周波交流電流もしくは直流電流を印加して測定することを特徴とする請求項3記載の窒素酸化物検出方法。
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