(遊技機の説明)
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る遊技機について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る遊技機1の一例を示す概略正面図である。
図1において、遊技機1は、例えば遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたパチンコ遊技機である。この遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材5とを備えている。枠部材5は、軸支側に設けられた蝶番を中心に、遊技機1の主部に対して開閉可能に構成され、遊技盤2に対して着脱自在に取り付けられている。そして、枠部材5の前面側となる所定位置(例えば、軸支側とは反対側となる端部)には錠部43が設けられており、錠部43を開錠することによって枠部材5を開くことが可能となる。
遊技盤2は、その前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域20が形成されている。遊技領域20には、下方(発射装置211;図2参照)から発射された遊技球が遊技盤2の主面に沿って上昇して遊技領域20の上部位置へ向かう通路を形成するレール部材(図示せず)と、上昇した遊技球を遊技領域20の右側に案内する案内部材(図示せず)とを備えている。
また、遊技盤2には、遊技者により視認され易い位置に、各種演出のための画像を表示する画像表示器21が配設されている。画像表示器21は、遊技者によるゲームの進行に応じて、例えば、装飾図柄を表示することによって図柄抽選結果(図柄変動結果)を遊技者に報知したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による予告演出を表示したりする。なお、画像表示器21は、液晶表示装置、EL(Electro Luminescence:電界発光)表示装置、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)ドット表示装置、および7セグメントディスプレイ(以下、7セグ表示装置と記載する)等によって構成されるが、他の任意の表示装置を利用してもよい。さらに、遊技盤2の前面には、各種の演出に用いられる可動役物22および盤ランプ23が設けられている。可動役物22は、遊技盤2に対して可動に構成され、遊技者によるゲームの進行に応じて所定の動作で移動させることによって各種の演出を行う。また、盤ランプ23は、遊技者によるゲームの進行に応じて発光することによって光による各種の演出を行う。
遊技領域20には、遊技球が下方へ落下する方向を変化させる遊技くぎおよび風車(共に、図示せず)等が配設されている。また、遊技領域20には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。なお、図1においては、入賞や抽選に関する種々の役物の一例として、第1始動口25a、第2始動口25b、ゲート27、大入賞口28、および普通入賞口29が遊技盤2に配設されている。さらに、遊技領域20には、遊技領域20に打ち出された遊技球のうち入賞口に入賞しなかった遊技球を、遊技領域20の外に排出する排出口24が配設されている。
第1始動口25aは、遊技球が入ると入賞して第1特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する。第1始動口25aは、予め定められた特別電動役物(大入賞口28)および/または予め定められた特別図柄表示器(例えば、後述する第1特別図柄表示器31a)を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。第2始動口25bは、遊技球が入ると入賞して第2特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する。第2始動口25bは、予め定められた特別電動役物(大入賞口28)および/または予め定められた特別図柄表示器(例えば、後述する第2特別図柄表示器31b)を作動させることとなる、遊技球の入賞に係る入賞口である。ゲート27は、遊技球が通過すると普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する。
第2始動口25bは、普通電動役物の一例として、遊技球の入口近傍に電動チューリップ26を備えている。電動チューリップ26は、チューリップの花を模した一対の羽根部を有しており、後述する電動チューリップ開閉部112(例えば、電動ソレノイド)の駆動によって当該一対の羽根部が左右に開閉し、開閉動作と共に点灯または点滅する。電動チューリップ26の一対の羽根部が閉じていると、第2始動口25bの入口がほぼ閉ざされるため、遊技球が第2始動口25bへほとんど入らない。一方、電動チューリップ26の一対の羽根部が左右に開くと、第2始動口25bの入口へ案内される開口幅が拡大するため、遊技球が第2始動口25bへ入り易くなる。そして、電動チューリップ26は、ゲート27を遊技球が通過することによって普通図柄抽選に当選すると、点灯または点滅しながら一対の羽根部が規定時間(例えば、6秒間)開き、規定回数(例えば、3回)だけ開閉する。
大入賞口28は、第2始動口25bの下方に位置し、特別図柄抽選(第1特別図柄抽選、第2特別図柄抽選)の結果に応じて開放する。大入賞口28は、通常は閉状態であり遊技球が入ることがない状態となっているが、特別図柄抽選の結果に応じて遊技盤2の主面から突出傾斜して開状態となって遊技球が入り易い状態となる。例えば、大入賞口28は、所定条件(例えば、30秒経過または遊技球10個の入賞や開放累積時間が1.8秒以内)を満たすまで開状態が維持されるラウンドを、所定回数(例えば、15回または2回)だけ繰り返す。また、普通入賞口29は、遊技球が入賞しても抽選が始動しない。
また、遊技盤2の所定位置(例えば、右下)に、上述した特別図柄抽選や普通図柄抽選の結果や保留数に関する表示を行う表示器3が配設されている。
また、遊技機1は、遊技領域20に1つの大入賞口28が配設されているが、大入賞口28と同様の機能を有する大入賞口を複数設けてもかまわない。
また、遊技機1は、所定の条件下で、特別図柄抽選時に大当たりが抽選される大当たり確率が変動することがある。例えば、遊技機1は、上記大当たり確率が相対的に低い状態(低確状態;例えば大当たり確率が300分の1)から上記大当たり確率が相対的に高い状態(高確状態;例えば大当たり確率が30分の1)へ変動することがある。また、遊技機1は、所定の条件下で、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間が短縮されたり、普通図柄抽選時の当選する確率が高まったり、普通図柄抽選時の普通図柄変動時間が短縮されたり、電動チューリップ26の羽根部の開時間が延長されたり、電動チューリップ26の羽根部が開閉する回数が増えたりする(電チューサポート)場合がある。
ここで、賞球の払い出しについて説明する。第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29に遊技球が入る(入賞)と、遊技球が入賞した場所に応じて、1つの遊技球当たり規定個数の賞球が払い出される。例えば、第1始動口25aまたは第2始動口25bに遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口28に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口29に遊技球が入賞すると10個の賞球がそれぞれ払い出される。なお、ゲート27を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しはない。
遊技機1の前面となる枠部材5には、ハンドル51、レバー52、停止ボタン53、取り出しボタン54、スピーカ55、枠ランプ56、演出ボタン57、演出キー58、皿59、および錠部43等が設けられている。
遊技者がハンドル51に触れてレバー52を時計方向に回転させる操作を行うと、その操作角度に応じた打球力にて所定の時間間隔(例えば、1分間に100個)で、発射装置211(図2参照)が遊技球を電動発射する。皿59は、遊技機1の前方に突出して設けられ、発射装置211に供給する遊技球を一時的に溜めておく。また、皿59には、上述した賞球が払い出される。そして、皿59に溜められた遊技球は、遊技者のレバー52による操作と連動したタイミングで、供給装置(図示せず)によって1つずつ発射装置211に供給される。なお、皿59は、上下皿一体で構成してもいいし、上皿と下皿とを分離して構成してもかまわない。また、ハンドル51は、所定条件下で発光させてもかまわない。
停止ボタン53は、ハンドル51の下部側面に設けられ、ハンドル51に遊技者が触れてレバー52を時計方向に回転させている状態であっても、遊技者に押下されることによって遊技球の発射を一時的に停止させる。取り出しボタン54は、皿59が設けられた位置近傍の前面に設けられ、遊技者に押下されることによって皿59に溜まっている遊技球を箱(図示せず)に落下させる。
スピーカ55および枠ランプ56は、それぞれ遊技機1の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりする。スピーカ55は、楽曲や音声、効果音による各種の演出を行う。また、枠ランプ56は、点灯/点滅によるパターンや発光色の違い等によって光による各種の演出を行う。なお、枠ランプ56は、光の照射方向を変更可能にして、当該照射方向を変えることによる演出を行ってもかまわない。
また、遊技機1の背面側には、払出用の遊技球を溜めておく球タンクや遊技球を皿59に払い出す払出装置(払出駆動部311)が設けられ、各種の基板等が取り付けられている。例えば、遊技盤2の後面には、メイン基板(主制御基板)およびサブ基板(周辺基板)等が配設されている。具体的には、メイン基板には、内部抽選および当選の判定等を行うメイン制御部100が構成されたメイン制御基板、遊技球を遊技領域20の上部へ発射する発射装置211を制御する発射制御部200が構成された発射制御基板、および賞球の払出を制御する払出制御部300が構成された払出制御基板等が配設されている。このメイン基板は、開封されることにより痕跡が残るように透明部材で構成されたメイン基板ケースによって密封されている。また、サブ基板には、演出を統括的に制御する演出制御部400と画像や音による演出を制御する画像音響制御部500とが構成された演出制御基板、および各種のランプ(枠ランプ56、盤ランプ23)や可動役物22による演出を制御するランプ制御部600が構成されたランプ制御基板等が配設されている。また、遊技盤2の後面には、遊技機1に供給された100VのAC電源をDC電源に変換して上述した各種の基板等に出力するスイッチング電源が配設されている。なお、演出制御部400と画像音響制御部500とは、別々の基板上に実装されてもよい。
次に、図2を参照して、遊技機1での動作制御や信号処理を行う制御装置について説明する。図2は、遊技機1に設けられた制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2において、遊技機1の制御装置は、メイン制御部100、発射制御部200、払出制御部300、演出制御部400、画像音響制御部500、およびランプ制御部600を備えている。
メイン制御部(主制御基板)100は、CPU(Central Processing Unit;中央処理装置)101、ROM(Read Only Memory)102、及び、RAM(Random Access Memory)103を備えている。CPU101は、内部抽選および当選の判定等の払い出し賞球数に関連する各種制御を行う際の演算処理を行う。ROM102は、CPU101にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM103は、CPU101の作業用メモリ等として用いられる。
メイン制御部100は、第1始動口25aまたは第2始動口25bに遊技球が入賞すると特別図柄抽選(第1特別図柄抽選または第2特別図柄抽選)を行い、特別図柄抽選での当選か否かを示す判定結果データを演出制御部400に送る。また、メイン制御部100は、特別図柄抽選に応じて決定した当選確率の変動設定(例えば300分の1から30分の1への変動設定)および特別図柄変動時間の短縮設定を示すデータや、普通図柄抽選に応じて決定した普通図柄変動時間の短縮設定を示すデータを、演出制御部400に送る。
メイン制御部100は、電動チューリップ26の羽根部が開状態となる開時間や羽根部が開閉する回数、さらには羽根部が開閉する開閉時間間隔を制御する。また、メイン制御部100は、遊技球が第1始動口25aへ入賞したときの保留回数や、遊技球が第2始動口25bへ入賞したときの保留回数や、遊技球がゲート27を通過したときの保留回数を管理する。
メイン制御部100は、特別図柄抽選の結果に応じて、大入賞口28の開閉動作を制御する。例えば、メイン制御部100は、所定条件(例えば、30秒経過または遊技球10個の入賞や開放累積時間が1.8秒以内)を満たすまで、大入賞口28が突出傾斜して開状態を維持するラウンドを所定回数(例えば15回または2回)だけ繰り返すように制御する。また、メイン制御部100は、大入賞口28が開閉する開閉時間間隔を制御する。
メイン制御部100は、第1始動口25a、第2始動口25b、大入賞口28、および普通入賞口29に遊技球が入賞すると、遊技球が入賞した場所に応じて1つの遊技球当たり所定数の賞球を払い出すように、払出数を払出制御部300に対して指示する。例えば、メイン制御部100は、第1始動口25aまたは第2始動口25bに遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口28に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口29に遊技球が入賞すると10個の賞球をそれぞれ払い出すように、払出制御部300に指示命令(コマンド)を送る。なお、メイン制御部100は、ゲート27を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しを払出制御部300に指示しない。払出制御部300がメイン制御部100の指示に応じて賞球の払い出しを行った場合、払出制御部300から払い出した賞球の個数に関する情報がメイン制御部100へ送られる。そして、メイン制御部100は、払出制御部300から取得した情報に基づいて、払い出した賞球の個数を管理する。
メイン制御部100は、発射制御部200を介して、遊技球を発射する発射装置211を制御する。例えば、メイン制御部100は、所定の条件に基づいて、発射装置211が遊技球を発射する動作を許可する信号を、払出制御部300を介して発射制御部200へ送信する。
上述した機能を実現するために、メイン制御部100には、第1始動口スイッチ111a、第2始動口スイッチ111b、電動チューリップ開閉部112、ゲートスイッチ113、大入賞口スイッチ114、大入賞口開閉部115、普通入賞口スイッチ116、第1特別図柄表示器31a、第2特別図柄表示器31b、第1特別図柄保留表示器32a、第2特別図柄保留表示器32b、普通図柄表示器33、普通図柄保留表示器34、および遊技状態表示器35が接続されている。
第1始動口スイッチ111aは、第1始動口25aへ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。第2始動口スイッチ111bは、第2始動口25bへ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。電動チューリップ開閉部112は、メイン制御部100から送られる制御信号に応じて、電動チューリップ26の一対の羽根部を開閉する。ゲートスイッチ113は、ゲート27を遊技球が通過したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。大入賞口スイッチ114は、大入賞口28へ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。大入賞口開閉部115は、メイン制御部100から送られる制御信号に応じて、大入賞口28を開閉する。普通入賞口スイッチ116は、普通入賞口29へ遊技球が入賞したことを検出して、その検出信号をメイン制御部100へ送る。
また、メイン制御部100は、第1始動口25aへの遊技球の入賞により始動した第1特別図柄抽選の結果を、第1特別図柄表示器31aに表示する。メイン制御部100は、第1始動口25aへの遊技球の入賞に応じて抽選を保留にしている保留回数を、第1特別図柄保留表示器32aに表示する。メイン制御部100は、第2始動口25bへの遊技球の入賞により始動した第2特別図柄抽選の結果を、第2特別図柄表示器31bに表示する。メイン制御部100は、第2始動口25bへの遊技球の入賞に応じて抽選を保留にしている保留回数を、第2特別図柄保留表示器32bに表示する。メイン制御部100は、ゲート27への遊技球の通過により始動した普通図柄抽選の結果を、普通図柄表示器33に表示する。そして、メイン制御部100は、ゲート27への遊技球の通過に応じて抽選を保留にしている保留回数を、普通図柄保留表示器34に表示する。
さらに、メイン制御部100は、遊技機1を設置している店(ホール)に設けられたホストコンピュータに対して、各種の情報を送信する。そして、メイン制御部100は、払出制御部300から取得した、払い出した賞球数に関する情報やメイン制御部100の状態等を示す情報を、上記ホストコンピュータに送信する。
発射制御部200は、CPU201、ROM202、およびRAM203を備えている。CPU201は、発射装置211に関連する各種制御を行う際の演算処理を行う。ROM202は、CPU201にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM203は、CPU201の作業用メモリ等として用いられる。
レバー52は、その位置が中立位置にある場合、信号を出力せずに発射停止状態となる。そして、レバー52は、時計方向に回転操作されると、その回転角度に応じた信号を打球発射指令信号として発射制御部200に出力する。発射制御部200は、打球発射指令信号に基づいて、発射装置211の発射動作を制御する。例えば、発射制御部200は、レバー52の回転角度が増すほど、遊技球が発射される速度が速くなるように、発射装置211の動作を制御する。また、発射制御部200は、メイン制御部100から発射を許可する信号を受信することによって、発射装置211の発射動作が可能となる。一方、発射制御部200は、停止ボタン53が押下された信号が出力されたり、メイン制御部100から発射を停止する制御信号が出力されたりした場合、発射装置211が遊技球を発射する動作を停止させる。
払出制御部300は、CPU301、ROM302、およびRAM303を備えている。CPU301は、払出球の払い出しを制御する際の演算処理を行う。ROM302は、CPU301にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM303は、CPU301の作業用メモリ等として用いられる。そして、払出制御部300は、メイン制御部100から送られたコマンドに基づいて、払出球の払い出しを制御する。
具体的には、払出制御部300は、メイン制御部100から、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球を払い出すコマンドを取得する。そして、コマンドに指定された数だけの賞球を払い出すように払出駆動部311を制御する。ここで、払出駆動部311は、遊技球の貯留部(球タンク)から遊技球を送り出す駆動モータ等で構成される。
また、払出制御部300には、上記ホストコンピュータに対して各種の情報を送信する。例えば、払出制御部300は、払出駆動部311に対して払い出すように指示した賞球数に関する情報や実際に払い出された賞球数に関する情報等を、ホストコンピュータに送信する。また、払出制御部300は、メイン制御部100に対しても、同様の情報を送信する。
演出制御部400は、CPU(演出制御CPU)401、ROM402、RAM403、およびRTC404を備えている。また、演出制御部400には、演出ボタン57および演出キー58が接続されている。CPU401は、演出を制御する際の演算処理を行う。ROM402は、CPU401にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM403は、CPU401の作業用メモリ等として用いられる。RTC404は、現時点の日時を計測する。
演出制御部400は、メイン制御部100から送られる特別図柄抽選結果等を示すデータに基づいて、演出内容を設定する。その際、演出制御部400は、遊技者によって演出ボタン57または演出キー58が押下操作された場合、当該操作入力に応じて演出内容を設定する場合もある。また、演出制御部400は、遊技機1に対する遊技が所定期間以上中断された場合、演出の1つとして客待ち用の演出を設定する。さらに、メイン制御部100が、特別図柄抽選時の当選確率を変動させたことを示すデータを出力した場合、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間を短縮させたことを示すデータを出力した場合、および普通図柄抽選時の普通図柄変動時間を短縮させたことを示すデータを出力した場合、演出制御部400は、それぞれ出力されたデータが示す内容に対応させて、演出内容を設定する。そして、演出制御部400は、設定した演出内容の実行を指示するコマンドを画像音響制御部500およびランプ制御部600にそれぞれ送る。
画像音響制御部500は、CPU(画像音響制御CPU)501、ROM502、およびRAM503を備えている。CPU501は、演出内容を表現する画像を制御する際の演算処理を行う。ROM502は、CPU501にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM503は、CPU501の作業用メモリ等として用いられる。
画像音響制御部500は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、画像表示器21に表示する画像およびスピーカ55から出力する音響を制御する。具体的には、画像音響制御部500のROM502には、画像表示器21において遊技中に表示する図柄画像や背景画像、遊技者に抽選結果を報知するための装飾図柄、遊技者に予告演出を表示するためのキャラクタやアイテム等といった画像データが記憶されている。また、画像音響制御部500のROM502には、画像表示器21に表示される画像と同期させて、または表示される画像とは独立に、スピーカ55から出力させる楽曲や音声、さらにはジングル等の効果音等の各種音響データが記憶されている。画像音響制御部500のCPU501は、ROM502に記憶された画像データや音響データの中から、演出制御部400から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、CPU501は、読み出した画像データを用いて、背景画像表示、図柄画像表示、図柄画像変動、およびキャラクタ/アイテム表示等のための画像処理を行う。また、CPU501は、読み出した音響データを用いて音声処理を行う。そして、CPU501は、画像処理された画像データが示す画像を画像表示器21に表示する。また、CPU501は、音声処理された音響データが示す音響をスピーカ55から出力する。
ランプ制御部600は、CPU601、ROM602、およびRAM603を備えている。CPU601は、盤ランプ23や枠ランプ56の発光、および可動役物22の動作を制御する際の演算処理を行う。ROM602は、CPU601にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶され、RAM603は、CPU601の作業用メモリ等として用いられる。
ランプ制御部600は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、盤ランプ23や枠ランプ56の点灯/点滅や発光色等を制御する。また、ランプ制御部600は、演出制御部400から送られたコマンドに基づいて、可動役物22の動作を制御する。具体的には、ランプ制御部600のROM602には、演出制御部400にて設定される演出内容に応じた盤ランプ23や枠ランプ56での点灯/点滅パターンデータおよび発光色パターンデータ(発光パターンデータ)が記憶されている。CPU601は、ROM602に記憶された発光パターンデータの中から、演出制御部400から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、CPU601は、読み出した発光パターンデータに基づいて、盤ランプ23や枠ランプ56の発光を制御する。また、ROM602には、演出制御部400にて設定される演出内容に応じた可動役物22の動作パターンデータが記憶されている。CPU601は、ROM602に記憶された動作パターンデータの中から、演出制御部400から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、CPU601は、読み出した動作パターンデータに基づいて、可動役物22の動作を制御する。
(第1実施形態)
次に、図3を参照して、第1実施形態に係る遊技機1の可動役物22とその制御について説明する。図3は、第1実施形態のランプ制御部600及び可動役物22の構成の詳細を示すブロック図である。
図3に示すように、ランプ制御部600は、上述したCPU601と、ROM602と、RAM603に加えて、モータドライバ611を含む。また、ランプ制御部600には、モータ612が電気的に接続される。モータ612は、例えば、100ステップで1回転するステッピングモータである。ROM602には、モータ612を制御するための制御プログラムが記憶されている。CPU601は、当該プログラムを実行することによって、モータドライバ611を介してモータ612を回転させ、可動役物22を可動させる。
モータ612は、CPU601及びモータドライバ611によって制御される。具体的には、CPU601は、モータドライバ611に対して、パルス信号及び回転方向に関する情報を送信する。モータドライバ611は、CPU601からのパルス信号及び回転方向の情報を受信すると、モータ612を1ステップ(すなわち、3.6度)だけ所定の方向に回転させる。CPU601は、パルス信号を所定の時間間隔で送信することによって、モータ612を所定の速度で回転させることができる。
また、モータ612は、可動役物22に接続され、可動役物22に対して駆動力を与える。モータ612からの駆動力によって、可動役物22が可動し、所定の動作をする。なお、可動役物22は、モータ612からの回転力に応じて、一部が回転する役物である。
図4は、可動役物22の詳細を示した図である。図4に示すように、可動役物22は、回転体22aが回転軸22bを中心にして所定の方向に回転する役物である。回転体22aは、初期的には(演出が実行されない間は)図4に示すような位置(初期位置)で静止している。上述のように演出制御部400から送られたコマンドに基づいて演出が実行されると、回転体22aが回転する。具体的には、ランプ制御部600のCPU601は、演出制御部400からの可動役物22の動作に関するコマンドを受信すると、当該コマンドに対応した制御パターンでモータ612を駆動(回転)させる。そして、モータ612からの駆動力が歯車等(図示せず)を介して回転軸22bに伝えられ、回転体22aが回転する。なお、ROM602には、演出制御部400からのコマンドに対応した複数の制御パターンが予め記憶されている。このような複数の制御パターンによって、異なる動作パターンの演出が実行される。異なる動作パターンの演出とは、回転体22aの回転方向や回転時間、速度等が異なる演出である。このように、演出制御部400からのコマンドに応じて回転体22aが所定の動作をすることによって、演出が実行される。演出が終了すると、回転体22aは初期位置で停止するように制御される。
一方、図3及び図4に示すように、可動役物22の近傍には、フォトセンサ613が設けられる。フォトセンサ613は、可動役物22の一部の位置(回転体22aの初期位置)に光を照射することによって、回転体22aがその位置を通過したか否か(回転体22aがその位置に存在するか否か)を検出する(図4参照)。フォトセンサ613は、回転体22aを検出した場合、CPU601に検出したことを示す情報を送信する。これにより、CPU601は、回転体22aが初期位置に存在するか否かや、回転体22aが何回転したかを判定することができる。
次に、可動役物22の制御の詳細について説明する。上述のように、ROM602には、モータ612の制御パターンが予め記憶されており、その制御パターンに応じて、回転体22aが動作する。例えば、回転体22aが10秒間だけ所定方向に回転するような動作パターンでは、回転体22aは、演出開始後の所定時間(例えば、1秒間)、加速され、その後に所定の速度で等速運動(等速回転)するように制御される。そして、演出開始から所定の時間(例えば、9秒)が経過すると(又は所定回数回転すると)、回転体22aは、残りの時間(1秒)で減速され、初期位置に停止する。すなわち、演出が終了すると、上記回転体22aは、上記制御パターンで制御されることによって、初期位置で停止するように制御される。ここで、モータ612は、上述のようにCPU601からのパルス信号によって回転角が制御されるため、モータ612の回転速度は、単位時間当たりのCPU601からのパルス信号の数(パルス周波数)で定められる。従って、回転体22aを等速運動の状態から減速させる場合、CPU601は、上記残りの時間(1秒)に、パルス周波数を徐々に小さくすることによって、回転体22aを減速させる。そして、CPU601は、初期位置で回転体22aが停止するように、予め定められたパターンでパルス周波数を変化させる。
図5は、回転体22aをあるパターンで回転させる場合において、モータ612に入力されるパルス信号のパルス周波数と時間の関係の一例を示した図である。図5において、縦軸はパルス周波数を示し、横軸は演出開始(回転体22aの回転開始)からの経過時間を示す。上記のように、モータ612の回転速度は、パルス周波数と比例関係にある。図5に示すように、0〜1秒の間(加速期間)は、モータ612は所定の割合で加速され(加速パターン)、1〜9秒の間(等速期間)は、モータ612は等速運動する(等速パターン)。そして、9〜10秒の間(減速期間)は、モータ612は所定の割合で減速される(減速パターン)。なお、図5では、加速期間又は減速期間ではグラフは直線状、すなわち、モータ612の回転加速度(角加速度)は一定となっているが、実際にはステップ状となる。また、加速期間又は減速期間でのグラフは、曲線状でもよい。なお、モータ612の回転加速度は、モータの回転速度の単位時間当たりの変化率であり、回転の加速度及び減速度を意味する。
図5のようなパターンでモータ612を動作させた場合、回転体22aは、例えば、初期位置から18回転して再び初期位置で停止する。ここで、図5において横軸とグラフによって囲まれる面積(すなわち、モータ612の回転速度を時間で積分した積分値)は、モータ612へのパルス送信数(モータ612に与えたステップ数)である。従って、上記加速期間では、回転体22aは1回転し、上記等速期間では回転体22aは16回転する。また、上記減速期間では、回転体22aは1回転し、初期位置に停止する。
しかしながら、モータ612に脱調が生じた場合、回転体22aが初期位置よりも遅れた位置で停止する場合がある。ここで、脱調とは、パルス信号の入力があったにも拘らず、モータ612の回転軸が回転しない状態をいう。脱調は、モータ612に大きな負荷がかかったり、モータ612のトルクが足りなかったり等の理由で発生する。
図6は、モータ612の脱調によって、回転体22aが初期位置に停止しない場合を示した図である。図6(a)は、モータ612に脱調が発生した場合において、モータ612の減速を開始した時点の回転体22aの位置を示す図である。図6(b)は、モータ612に脱調が発生した場合において、回転体22aが停止した位置を示す図である。図6(a)は、回転体22aの回転開始時点から9秒経過した時点の図であり、脱調が発生していなければ、回転体22aは初期位置に存在する。しかしながら、脱調が発生しているため、図6(a)のように、所定ステップだけ回転体22aが遅れている。このような状態で、上記減速パターンで減速を開始すると、図6(b)に示すように、所定ステップ遅れた状態で回転体22aは停止する。このように脱調が発生すると、回転体22aは初期位置で停止しないため、外観上好ましくない。また、可動役物22が演出時にのみ出現し、演出時以外のときは収容されている場合、回転体22aが初期位置で停止していないと収容できないことがある。すなわち、可動役物22を収容する際、回転体22aが初期位置で静止していないと周辺の役物等に接触する場合があるため、可動役物22を収容することができないことがある。
従って、第1実施形態に係る遊技機1では、脱調を検出し、その度合いに応じて、回転体22aの速度を制御する。図7は、脱調の度合いと減速パターンとの関係を示した図表である。図7に示すように、例えば、脱調が1〜5ステップの間の場合、減速パターンA(Aは回転の加速度(角加速度)を表す)で回転体22aを減速させ、脱調が6〜10ステップの間の場合、減速パターンBで回転体22aを減速させる。なお、減速パターンBでは、減速パターンAよりも回転体22aはゆっくりと減速される。
ここで、脱調の度合いは、CPU601からモータドライバ611へのパルス信号と、フォトセンサ613の検出結果とに基づいて、検出される。具体的には、CPU601は、モータドライバ611に対してパルス信号を送信する際、送信したパルスの数をカウントする。例えば、100ステップで1回転するモータの場合、CPU601は、パルスの送信数をカウントすることによって、モータ612を何回転させたかがわかる。一方、フォトセンサ613は、回転体22aが初期位置を通過すると、回転体22aを検出したことを示す信号をCPU601に送信する。従って、CPU601は、フォトセンサ613からの信号をカウントすることによって、モータ612が実際に何回転したかを知ることができる。そして、CPU601は、フォトセンサ613からの信号を受信した時点でのモータドライバ611に対するパルス信号の送信数に基づいて、モータ612が何ステップ脱調しているかを検出することができる。例えば、フォトセンサ613からの信号を受信した時点でのパルス信号の送信数が102の場合、CPU601は、2ステップ脱調が発生していると判定することができる。
次に、図7に示す各減速パターンの詳細について説明する。図8は、各減速パターンを示した概念図である。図8に示すように、減速パターンAでは、脱調が1〜5ステップと比較的小さいため、通常(脱調が発生していない場合)の減速パターンと同様の回転加速度で回転体22aが減速される。減速パターンAでは、脱調が例えば3ステップ発生している場合、回転体22aは初期位置よりも3ステップ遅れた位置(回転方向と反対方向に3ステップだけずれた位置)に停止する。脱調の度合いが比較的小さい場合、回転体22aが初期位置から僅かにずれて停止しても外観上問題にならない。また、上述したように可動役物22を収容する際に他の役物等に接触しない程度であれば、僅かなずれは問題にはならない。従って、比較的脱調の度合いが小さい場合は、通常と同様のパターンで回転体22aを減速させる。
しかしながら、脱調の度合いが比較的大きい場合は、回転体22aが初期位置から比較的大きくずれて停止するため、上述した問題が発生する可能性がある。従って、脱調の度合いが比較的大きい場合は、回転体22aを比較的ゆっくりと減速させる(回転体22aの減速度(回転方向とは反対方向の加速度)を小さくする)ことによって初期位置の近傍に停止させる。具体的には、図8に示すように、減速パターンBでは、減速パターンAよりもゆっくりと回転体22aが減速される。すなわち、減速パターンBでは、脱調が6〜10ステップ発生しているため、減速パターンAの場合よりも減速期間が長くなるように回転体22aの回転速度が制御される。上述のように、図8のグラフと横軸とで囲まれる面積はモータ612へのパルス送信数であるため、回転体22aが減速を開始した時点からのモータ612へのパルス送信数は、減速パターンAよりも減速パターンBの方が多くなる。つまり、減速パターンAよりも減速パターンBの方が所定ステップ回転方向に進む(減速期間に回転体22aが回転する角度は、減速パターンBの方が減速パターンAよりも大きくなる)。従って、減速を開始した時点では回転体22aが初期位置よりも6〜10ステップ遅れているが、停止する時点では当該遅れが解消されるため、回転体22aは初期位置の近傍に停止することになる。同様に、脱調が11〜15ステップ発生している場合、回転体22aは、減速パターンCでさらにゆっくりと減速される。これにより、脱調の度合いが大きい場合であっても初期位置の近傍に回転体22aを停止させることができる。
次に、図9を参照してランプ制御部600で行われる可動役物22の制御について詳細に説明する。図9は、ランプ制御部600で行われる処理の一例を示すフローチャートである。演出制御部400から可動役物22を用いた演出の実行を示すコマンドが送られると、CPU601は、ROM602に格納されたプログラムをRAM603にコピーし、当該プログラムの実行を開始する。図9に示すフローチャートは、以上の処理が完了した後に行われる処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、CPU601は、所定のパターンでモータ612を加速させる。ここでの処理は、図5における加速パターンでの処理である。当該加速パターンは、予めRAM603に記憶されたモータ612の制御に関するパターンである。具体的には、CPU601は、モータドライバ611に対して所定のパターン(モータ612が加速するパターンの時間間隔)でパルス信号と回転方向を示す情報を送信する。例えば、CPU601は、加速開始からの所定期間(又は所定ステップ)はモータドライバ611に対して比較的低い周波数でパルスを送信する。CPU601は、その次の所定期間では最初の所定期間よりも高い周波数でパルスを送信する。このようにして、CPU601は、加速開始からの時間経過(又は累計ステップ数)に応じてパルス周波数を徐々に高くすることによって、モータ612を加速させる。なお、CPU601は、送信したパルス信号の数をカウントし、カウント値iとしてRAM603に記憶する。次に、CPU601は、ステップS2の処理を実行する。
ステップS2において、CPU601は、演出のためのモータ制御を行う。ここでの処理は、図5における等速パターンでの処理である。当該等速パターンは、予めRAM603に記憶されたモータ612の制御に関するパターンである。具体的には、CPU601は、モータ612が等速回転するように、モータドライバ611に対して一定の時間間隔でパルス信号と回転方向を示す情報を送信する。また、CPU601は、ステップS1と同様に、送信したパルス信号の数をカウントし、当該送信パルス数を上記カウント値iに加えてRAM603に記憶する。なお、ステップS2の処理では、CPU601は、モータ612を等速で回転させるのみならず、演出の内容に適合して様々なパターンで回転させてもよい。例えば、モータ612は、所定の時間間隔で回転方向が変化するように制御されてもよい。次に、CPU601は、ステップS3の処理を実行する。
ステップS3において、CPU601は、フォトセンサ613が回転体22aを検出したか否かを判定する。なお、CPU601は、フォトセンサ613が回転体22aを検出した回数を検出回数値mとして、RAM603に記憶している。すなわち、ステップS3においては、CPU601は、RAM603に記憶された検出回数mに1を加えて、再びRAM603に記憶する。従って、検出回数値mは、回転体22aが回転を開始してから実際に回転体22aが回転した回数を表す。フォトセンサ613が回転体22aを検出した場合、CPU601は、次にステップS4の処理を実行する。一方、フォトセンサ613が回転体22aを検出していない場合、CPU601は、次にステップS6の処理を実行する。
ステップS4において、CPU601は、ステップ数を取得する。具体的には、CPU601は、RAM603に記憶されたカウント値iを参照して、ステップ数nとしてRAM603に記憶する。すなわち、CPU601は、ステップS1及びS2の処理でモータ612に対して送信したパルスの総数をステップ数nとしてRAM603に記憶する。次に、CPU601は、ステップS5の処理を実行する。
ステップS5において、CPU601は、脱調の度合いを検出する。具体的には、CPU601は、ステップS4で取得したステップ数nから上記検出回数mにモータ612のステップ数(100)を掛けた値を引くことにより、脱調の度合い(=ステップ数n−検出回数m×100)を算出する。モータ612で脱調が発生していない場合、モータ612に与えた回転と実際の回転が一致するため、脱調の度合いは0となる。しかしながら、モータ612で脱調が発生している場合、脱調の度合いは0ではない値になる。例えば、ステップ数nが302であり、検出回数m(実際の回転体22aの回転数)が3の場合、脱調の度合いは2ステップとなる。なお、回転体22aの回転方向に何らかの力が加わった場合、脱調の度合いは負の値になることがある(モータ612に与えたステップ数よりも実際に回転したステップ数の方が大きくなることがある)。次に、CPU601は、ステップS6の処理を実行する。
ステップS6において、CPU601は、減速を開始するか否かを判定する。ここでは、可動役物22の演出を終了するか否かの判定である。CPU601は、演出の開始からの経過時間や演出制御部400からのコマンドに基づいて、演出を終了するか否かを判定する。判定結果が肯定の場合、CPU601は、ステップS7の処理を実行する。判定結果が否定の場合、CPU601は、ステップS2に処理を戻し、継続してモータ制御を行う。
ステップS7において、CPU601は、減速パターンを設定する。具体的には、CPU601は、RAM603に記憶されたテーブル(図7に示す脱調の度合いと減速パターンとの関係を示したテーブル)を参照して、ステップS5で検出した脱調の度合いに応じた減速パターンを設定する。次に、CPU601は、ステップS8の処理を実行する。
ステップS8において、CPU601は、ステップS7で設定された減速パターンでモータを制御する。ここでの処理は、図5又は図8における減速パターンでの処理であり、可動役物22を停止させる処理である。具体的には、CPU601は、モータドライバ611に対して所定のパターン(モータ612が所定の加速度(減速度)で減速するパターンの時間間隔)でパルス信号と回転方向を示す情報を送信する。CPU601は、モータ612の回転速度が0になるまでモータ612を減速させる。そして、可動役物22が停止し、本フローチャートの処理が終了する(演出が終了する)。
以上のように、モータ612の脱調を検出し、その度合いに応じてモータ612の減速度を制御することによって、可動役物22(回転体22a)を所望の位置に停止させることができる。また、回転体22aが停止するまでの速度が脱調の度合いに応じて変化するため、一見して脱調が発生しているか否かを判断することができる。また、図7に示すように脱調の度合いと減速パターンを予めテーブルに記憶しておくことにより、CPU601に大きな負荷をかけることなく、可動役物22を制御することができる。
なお、上記実施形態では、回転する役物を例として説明したが、他の実施形態では、一方向に動作する役物であってもよい。例えば、左右方向に動作する役物を所定の位置に停止させるために、モータの回転速度(角速度)を制御してもよい。また、これらの例に限らず、本発明は、モータによって駆動される任意の役物の制御に適用できる。
また、上記実施形態では、役物を所定の位置に停止させるために、モータの脱調の度合いに応じてモータの減速度を制御した。他の実施形態では、モータの脱調の度合いに応じて、役物を所定の位置に停止させるための上記減速期間のみならず、上記加速期間や上記等速期間におけるモータの速度を制御してもよい。例えば、モータを加速させる場合、回転加速度(角加速度)の大きさによっては当該加速期間に脱調が発生する場合がある。そのような加速期間において発生した脱調を検出した場合、モータの回転加速度を小さくするように制御してもよい。これにより、回転加速度が大きすぎるために発生する脱調を防止することができる。同様に、モータが等速で回転している場合において、上述した方法によってモータの速度を制御することにより、一定の速度以上で脱調が発生しやすくなるような場合でも脱調を防止することができる。また、役物を所定の位置に停止させる目的のみならず、様々な目的で上記減速期間におけるモータの速度を脱調の度合いに応じて制御してもよい。このように、モータに与えた駆動量(回転数や回転角)と実際に役物が駆動した量との差に応じて、モータの回転速度を制御してもよい。
また、上記実施形態では、ステッピングモータを用いて役物を可動させたが、他の実施形態ではDCモータやサーボモータ等、他のモータが用いられてもよい。
また、上記実施形態では、1つのフォトセンサを用いて可動役物の一部が初期位置に存在するか否かを検出したが、複数のフォトセンサを用いて可動役物の位置を正確に検出してもよい。また、他の実施形態では、可動役物の位置の検出のため、フォトセンサに限らず、どのようなセンサが用いられてもよい。
また、上記実施形態では、モータに与えた回転数と実際の役物の回転数との差によって、脱調の度合いを検出した。他の実施形態では、脱調の検出方法はこれに限らず、どのような方法で脱調を検出してもよい。
また、モータに与えた回転数と実際の役物の回転数との差の原因としては、モータの脱調に限られない。例えば、歯車等の空回りによりモータの駆動力を可動役物に伝える際に駆動力の伝達が正常に行われない場合があるが、このような場合でも上述した方法により、可動役物を所定の位置に停止させることができる。
また、上記実施形態では、モータの脱調の度合いが大きいほどモータの減速度を小さくすることによって、回転体22aを所定の位置に停止させた。他の実施形態では、モータを一定の減速度で減速し、モータを停止する際、検出した脱調のステップ数だけ余分にモータを回転させることによって回転体22aを所定の位置に停止させてもよい。
また、上記実施形態では、モータの脱調の度合いに応じた減速パターンをテーブルに記憶させたが、他の実施形態では、モータの脱調の度合いに応じて、モータの回転速度が計算により求められてもよい。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、説明する。ここでは、上述した可動役物22及びモータ612をリユース(再利用)する場合の検査方法の詳細について説明する。第2実施形態においても、ランプ制御部600及び可動役物22の構成については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
上述のように、モータ612は様々な原因により脱調が発生することがあり、これにより可動役物22は正常に動作しないことがある。また、可動役物22及び可動役物22にモータ612の駆動力を伝達する歯車等の経年変化や製造誤差により、モータ612の駆動力が回転体22aに正常に伝達されない場合がある。このように、可動役物22に動作上の不具合があると、市場から回収した遊技機から可動役物22を取り出して新しい遊技機に再利用することはできない。
従って、このような可動役物22が正常に動作するか否かを実際に可動役物22を可動させることによって、目視で検査する必要がある。
しかしながら、目視で可動役物22が正常に動作するか否かを検出することは困難である。例えば、図6に示すように、回転体22aが初期位置から所定ステップだけずれて停止しているが、どの程度ずれているのか、あるいは、実際にずれているのかを目視で判別することは困難である。
そこで、第2実施形態では、演出制御部400からランプ制御部600に対して検査用コマンドを送信し、可動役物22を動作させる。具体的には、メイン制御部100を検査用のメイン制御部に交換し、電源投入又は所定の操作を行うと、当該検査用のメイン制御部から演出制御部400に所定のコマンドが送信される。それに応じて演出制御部400からランプ制御部600に対して検査用コマンドが送信される。検査用コマンドを受信した場合、CPU601は、検査用の所定の動作を開始する。この動作は、実際の演出の動作と同様であるが、許容できない脱調を検出した場合、実際の演出の動作とは異なる動作となる。すなわち、可動役物22が動作して減速する際、許容できない脱調を検出した場合、CPU601は、脱調がない場合に比べて回転体22aがゆっくりと減速する(減速度を小さくする)ように制御する。図10は、第2実施形態における脱調の度合いと減速パターンとの関係を示した図表である。図10に示すように、例えば、脱調の度合いが1〜5ステップの間の場合、減速パターンAで回転体22aを減速させ、脱調が6ステップ以上の場合、減速パターンDで回転体22aを減速させる。減速パターンDでは、例えば、回転体22aを上記減速パターンC(図8参照)よりもさらにゆっくりと減速させる(さらに減速度を小さくする)。
これにより、脱調やその他の原因によって、モータ612に与えた回転数と実際の回転体22aの回転数との差が所定以上発生しているか否かを、可動役物22の動き(特に減速時の動き)を観察することによって容易に確認することができる。また、可動役物22が再利用可能か否かを、可動役物22を実際の演出の動作と同様の動作させて確認することが好ましい。一方で、実際の演出動作の過程で正常か否かを確認することは困難である。すなわち、可動役物22自体は動作するが、脱調が頻繁に発生する不具合がある場合、動作の過程でこのような不具合を判別することは困難だからである。しかしながら、上述した方法では、実際に演出動作を開始して、演出を実行する。そして、演出動作を終了する際に脱調が発生しているか否かを検出して、脱調が発生している場合は回転体22aをゆっくりと減速させる。これにより、上述した方法では容易かつ確実に可動役物22の動作を確認することができる。
以上のように、第2実施形態では、可動役物22が正常に動作可能か否かを容易に判定することができる。また、検査用コマンドに応じた可動役物22の動作パターンを予め用意しておくことで、判定が容易になる。
なお、可動役物22の動作速度を目視ではなく、速度計等によって計測することによって、可動役物22が再利用可能か否かを判定してもよい。
また、第2実施形態に係る検査方法は、可動役物22のリユースの際に限らず、製造段階での検査方法としても有効である。
また、上記では検査用のメイン制御部に交換することによって検査用コマンドをランプ制御部600に送信したが、通常の演出用のコマンドを送信し、可動役物22を動作させることによって再利用可能か否かを判定してもよい。すなわち、通常のメイン制御部100からのコマンドに応じて行われる可動役物22の演出を目視等で確認することにより、可動役物22を検査することができる。