以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図10は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に左右一側、例えば左側のヒンジ3により開閉自在に枢着された前枠4とを備えている。前枠4の前側には、遊技盤5等が上部側に、遊技盤5の前側の遊技領域5aに向けて遊技球を発射する発射手段6等が下部側にそれぞれ配置され、また遊技盤5等の前側に対応してガラス扉7が、発射手段6等の前側に対応して前面板8がそれぞれヒンジ3と同じ側のヒンジ9により開閉自在に枢支されている。
前面板8の前側には、払い出し手段(図示省略)から払い出された遊技球を貯留して発射手段6に供給する上皿10が上部側に配置され、その上皿10の下側には、例えば上皿10が満杯のときにその余剰球を貯留する下皿11が左端側に、発射手段6を作動させるための発射ハンドル12が右端側に夫々設けられている。なお、ガラス扉7と前面板8とを一体化して一つの扉体としてもよい。
遊技盤5の前面側には、発射手段6から発射された遊技球を案内するガイドレール13が環状に装着されると共に、そのガイドレール13の内側の遊技領域5aに、中央表示ユニット14、普通図柄始動手段15、特別図柄始動手段16、大入賞手段17、普通入賞手段18等の各種遊技部品が配置されている。
中央表示ユニット14は、遊技盤5に対して前側から着脱自在に装着される前構造体21と、液晶式その他の画像表示手段22が装着され且つ前構造体21に対応して遊技盤5の裏側に着脱自在に装着される後構造体23(図2)とを備えている。前構造体21は、画像表示手段22を取り囲む枠状に形成されており、側部の入球口25に入球した遊技球を自由に転動させて前側に落下させるステージ26を下部前側に備えると共に、普通図柄表示手段27、特別図柄表示手段28、普通保留個数表示手段29等の各種表示手段が配置されている。
後構造体23は、図2に示すように、前側が開放した略箱形に形成され且つその略中央に表示窓31が形成された後ケース32と、この後ケース32の内側で且つ表示窓31の上側に配置される上部可動ユニット33と、後ケース32の内側で且つ表示窓31の下側に配置される下部可動ユニット34とを備えており、前構造体21の後側に対応するように遊技盤5の裏側に装着され、後ケース32の前端側に一体に設けられた鍔状の固定部35においてねじ止め等により遊技盤5に固定されている。画像表示手段22は、その表示画面22aを表示窓31に一致させた状態で後ケース32の背面側に着脱自在に固定されている。
上部可動ユニット33は、後ケース32に着脱自在に固定される上部駆動ユニット36と、この上部駆動ユニット36により揺動自在に支持される上部可動体37とを備えている。上部可動体37は、図3に示すように、例えば前後方向の回転軸38に対して略半径方向に配置され且つその先端側に所定形状の装飾体39が設けられた可動アーム部40と、回転軸38に対して可動アーム部40とは異なる半径方向に配置されたガイド部41とを例えば一体に備えている。ガイド部41には、その長手方向、即ち回転軸38の半径方向に沿って細長状のガイド孔41aが形成されている。
上部駆動ユニット36は、図3に示すように、上部可動体37を駆動する上部駆動手段42と、上部駆動手段42の回転動作を上部可動体37の揺動動作に変換するためのクランクギヤ43と、上部可動体37が所定位置にあることを検出する位置検出手段44(図5)と、上部可動体37を回転軸38廻りに揺動自在に支持する上部駆動ケース45等を備え、上部駆動ケース45が後ケース32に着脱自在に固定されている。
上部駆動手段42は、例えばステッピングモータにより構成され、上部駆動ケース45に着脱自在に装着されており、その駆動軸の先端部には駆動ギヤ46が固定されている。クランクギヤ43は、上部駆動ケース45内で前後方向の回転軸43a廻りに回転自在に支持され、その外周に駆動ギヤ46が噛合している。クランクギヤ43の例えば前面側には、外周部近傍に1つのスライド係合部47が突設されており、このスライド係合部47が上部可動体37側のガイド孔41aに摺動自在に嵌合している。これにより、上部駆動手段42が正/逆何れかの方向に作動すると、クランクギヤ43が回転し、それによってスライド係合部47がガイド孔41a内を摺動しつつ回転軸43a廻りに回転するため、上部可動体37が回転軸38廻りに揺動する。なお以下の説明では、上部駆動手段42の作動方向について、クランクギヤ43を正面視時計方向に回転させる方向を正転方向、その逆を逆転方向とする。
上部可動体37は、クランクギヤ43が1回転する間に所定の揺動範囲を1往復するが、本実施形態では、その揺動範囲の一端側を原点位置、他端側を最大動作位置としている。上部可動体37は、原点位置では回転軸38に対して略横向きとなって画像表示手段22の外側(上側)に外れ(図2に実線で示す)、最大動作位置では回転軸38に対して略下向きとなってその少なくとも一部が画像表示手段22の前側に位置する(図2に二点鎖線で示す)ようになっている。なお、原点位置及び最大動作位置は、図3に示すように正面視においてスライド係合部47と回転軸38、スライド係合部47と回転軸43aを夫々結ぶ2つの直線が互いに直交するメカロック位置であるため、これらの位置では上部可動体37の自重等による揺動が規制される。
位置検出手段44(図5)は、例えば透過型フォトセンサにより構成されており、例えばクランクギヤ43上の被検出部を検出することによりONとなり、そのクランクギヤ43の回転に同期して揺動する上部可動体37が、原点位置を含む一定のセンサ検出範囲内にあることを検出するようになっている。本実施形態では、上部可動体37の原点位置に対し、上部駆動手段42のステップ数で前後夫々8ステップの範囲がセンサ検出範囲、即ち位置検出手段44がONとなる範囲に設定されている。
また、上部駆動手段42を正転方向に作動させる場合、図3に示すように原点位置から最大動作位置まで174ステップ、更にその最大動作位置から原点位置まで406ステップを要するようになっている。本実施形態では、上部駆動手段42は1ステップ当たり16msを要する速度で作動する。従って、上部駆動手段42が正転方向の作動により上部可動体37を原点位置から最大動作位置まで移動させるのに要する時間は約2.8秒、同じく正転方向の作動により上部可動体37を最大動作位置から原点位置まで移動させるのに要する時間は約6.5秒である(図8参照)。
下部可動ユニット34は、後ケース32に着脱自在に固定される下部駆動ユニット51と、この下部駆動ユニット51により揺動自在に支持される下部可動体52とを備えている。下部可動体52は、戦艦の主砲を模したもので、図4に示すように先端部を左側に向けた原点位置と先端部を上側に向けた最大動作位置との間の90度の範囲で前後方向の回転軸53廻りに揺動可能となっている。下部可動体52の背面側には、回転軸53を中心とする被駆動ギヤ54が固定されている。下部可動体52は、原点位置ではその全体が画像表示手段22の外側(下側)に外れ(図2に実線で示す)、最大動作位置ではその先端部が画像表示手段22の前側に位置する(図2に二点鎖線で示す)ようになっている。
下部駆動ユニット51は、下部可動体52を駆動する下部駆動手段55(図4)と、下部可動体52が所定位置にあることを検出する位置検出手段56(図5)と、下部可動体52を回転軸53廻りに揺動自在に支持する下部駆動ケース57(図2)等を備え、下部駆動ケース57が後ケース32に着脱自在に固定されている。
下部駆動手段55は、例えばステッピングモータにより構成され、下部駆動ケース57に着脱自在に装着されており、その駆動軸の先端部には被駆動ギヤ54に噛合する駆動ギヤ58が固定されている。これにより、下部駆動手段55が作動すると、駆動ギヤ58,被駆動ギヤ54を介して下部可動体52が回転軸53廻りに揺動する。なお以下の説明では、下部駆動手段55の作動方向について、下部可動体52を原点位置から最大動作位置に向けて揺動させる方向を正転方向、その逆を逆転方向とする。
位置検出手段56(図5)は、例えば透過型フォトセンサにより構成されており、例えば下部可動体52に設けられた被検出部を検出することによりONとなり、下部可動体52が原点位置を含む一定のセンサ検出範囲内にあることを検出するようになっている。本実施形態では、下部可動体52の原点位置に対し、下部駆動手段55のステップ数で前後夫々16ステップの範囲がセンサ検出範囲、即ち位置検出手段56がONとなる範囲に設定されている。
また下部駆動手段55は、図4に示すように、下部可動体52を原点位置から最大動作位置まで、又は最大動作位置から原点位置まで揺動させるのに92ステップを要するように設定されているものとする。本実施形態では、下部駆動手段55は1ステップ当たり16msを要する速度で作動する。従って、下部可動体52を原点位置から最大動作位置まで、又は最大動作位置から原点位置まで移動させるのに要する時間は約1.5秒である(図8参照)。
普通図柄始動手段15は、普通図柄表示手段27による図柄変動を開始させるためのもので、遊技球が通過可能な通過ゲートにより構成され、例えば中央表示ユニット14の左側に配置されており、遊技球の通過を検出可能な遊技球検出手段(図示省略)を備えている。
普通図柄表示手段27は、普通図柄を変動表示するためのもので、例えば「○」「×」の2種類の普通図柄に対応する2個の発光体(例えばLED)によって構成されており、普通図柄始動手段15が遊技球を検出することに基づいてそれら2つの発光体が所定時間交互に点滅して、普通図柄始動手段15による遊技球検出時に取得された普通乱数情報に含まれる当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致する場合には当たり態様に対応する「○」側の発光体が発光した状態で、それ以外の場合には外れ態様に対応する「×」側の発光体が発光した状態で、点滅が終了するようになっている。
なお、普通図柄始動手段15による遊技球検出時に取得された当たり判定乱数値等の普通乱数情報は、予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として記憶され、普通図柄表示手段27による図柄変動が開始される毎に順次消化される。普通乱数情報の記憶個数(以下、普通保留個数)は普通保留個数表示手段29によって遊技者に報知される。
特別図柄始動手段16は、特別図柄表示手段28による図柄変動を開始させるためのもので、上下2つの特別始動口16a,16bと、下特別始動口16bを開閉する開閉手段61と、特別始動口16a,16bに入賞した遊技球を夫々検出する遊技球検出手段(図示省略)とを備え、例えば中央表示ユニット14の下側に配置されている。上特別始動口16aは、開閉手段等を有しない非開閉式入賞口である。下特別始動口16bは、開閉手段61により遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能(又は開状態よりも入賞困難)な閉状態とに切り換え可能な開閉式入賞口で、普通図柄表示手段27の変動後の停止図柄が当たり態様となった場合に発生する普通利益状態において、開閉手段61が所定時間閉状態から開状態に変化するように構成されている。
特別図柄表示手段28は、1個又は複数個、例えば1個の特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、特別図柄始動手段16が遊技球を検出すること、即ち上下2つの特別始動口16a,16bの何れかに遊技球が入賞すること(図柄始動条件成立の一例)に基づいて特別図柄を所定時間変動表示して、特別始動口16a,16bへの入賞時に取得された特別乱数情報に含まれる大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には所定の大当たり態様(特定態様)で、それ以外の場合には外れ態様で停止するようになっている。
特別図柄には、例えば大当たり態様及び外れ態様が夫々1又は複数種類ずつ設けられている。それら各態様には夫々数字図柄等を割り当ててもよいし、遊技者がその特別図柄の種類を容易に区別できないように、任意の線や点の組み合わせのような特別な意味を持たない図柄を割り当ててもよい。
なお、特別図柄始動手段16への入賞時に取得された特別乱数情報は、予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として記憶され、特別図柄表示手段28による図柄変動が開始される毎に順次消化される。特別乱数情報の記憶個数(以下、特別保留個数)は、後述する特別保留個数表示手段64によって遊技者に報知される。
大入賞手段17は、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な開閉板62を備えた開閉式入賞手段で、特別図柄表示手段28の変動後の停止図柄が大当たり態様(特定態様)となった場合に発生する特別利益状態(利益状態)において、開閉板62が所定の開放パターンに従って前側に開放して、その上に落下してきた遊技球を内部へと入賞させるようになっている。
また画像表示手段22は、演出図柄表示手段63、特別保留個数表示手段64等を構成しており、演出図柄表示手段63により、例えば特別図柄表示手段28による特別図柄の変動表示と並行して演出図柄を含む各種演出画像が表示される他、特別保留個数表示手段64により、特別保留個数分の保留表示画像64aが表示されるようになっている。
ここで、演出図柄は、1個又は複数個、例えば左右方向に3個の数字図柄等で構成されており、特別図柄始動手段16が遊技球を検出すること、即ち上下2つの特別始動口16a,16bの何れかに遊技球が入賞することを条件に特別図柄の変動開始と同時に所定の変動パターンに従って変動を開始すると共に、特別図柄の変動停止と同時に最終停止するように、左、右、中等の所定の順序で停止するようになっている。
演出図柄には、例えば「0」〜「9」の10種類の数字を含む図柄が用いられ、「6・6・6」、「7・7・7」等、3つの図柄が全て同じ図柄で揃ったものが大当たり態様、少なくとも1つの図柄が異なるものが外れ態様となっている。本実施形態では、特別図柄が大当たり態様となる場合には演出図柄も大当たり態様となり、特別図柄が外れ態様となる場合には演出図柄も外れ態様となる。
図5は本パチンコ機の制御系のブロック図である。図5において、65は主制御基板、66は演出制御基板で、これら各制御基板65,66は、遊技盤5に装着された中央表示ユニット14、その他の複数個の遊技部品を裏側から一括して覆う裏カバーの裏側等、前枠4及び遊技盤5を含む遊技機本体1の裏側の適宜箇所に着脱自在に装着された基板ケースに夫々収納されている。
主制御基板65は、遊技動作を統括的に制御するもので、CPU,ROM,RAM等により構成される普通乱数作成処理手段71、普通始動口チェック処理手段72、普通乱数記憶手段73、普通図柄処理手段74、普通図柄表示制御手段75、普通保留個数表示制御手段76、普通利益状態発生手段77、特別乱数作成処理手段81、特別始動口チェック処理手段82、特別乱数記憶手段83、特別図柄処理手段84、特別図柄表示制御手段85、特別利益状態発生手段86、特別遊技状態発生手段87、制御コマンド送信手段88等を備えている。
普通乱数作成処理手段71は、変動後の普通図柄を当たり態様とするか否かの判定に用いる当たり判定乱数等を所定時間毎に繰り返し発生するように構成されている。普通始動口チェック処理手段72は、普通図柄始動手段15による遊技球の検出に基づく処理を行うもので、普通図柄始動手段15が遊技球を検出することに基づいて、普通乱数作成処理手段71で作成された当たり判定乱数値等の普通乱数情報を1個取得し、その普通乱数情報を予め定められた上限保留個数(例えば4個)を限度として先入れ先出し式の普通乱数記憶手段73に記憶させるように構成されている。
普通図柄処理手段74は、普通図柄の変動表示に関する処理を行うもので、当たり判定手段74a、普通停止図柄選択手段74b、変動時間選択手段74c等を備えている。当たり判定手段74aは、普通図柄の変動後の停止図柄を当たり態様とするか否かの判定を行うもので、普通図柄表示手段27が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段73に1個以上の普通乱数情報が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に、普通乱数記憶手段73に記憶されている普通乱数情報の待ち行列からその先頭の当たり判定乱数値を取り出し、その当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致するか否かに応じて当たり/外れの判定を行うように構成されている。
普通停止図柄選択手段74bは、普通図柄の変動後の停止図柄の種類を選択するものである。本実施形態では、当たり態様と外れ態様に対応するのは各1種類の図柄のみであるため、当たり判定機能による当たり/外れの判定結果に基づいて、当たり判定の場合には「○」が、外れ判定の場合には「×」が画一的に選択される。また、変動時間選択手段74cは普通図柄の変動時間を選択するものである。
普通図柄表示制御手段75は、普通図柄処理手段74による普通図柄処理に基づいて普通図柄表示手段27の表示制御を行うもので、普通図柄表示手段27が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段73に1個以上の普通乱数情報が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に普通図柄表示手段27による普通図柄の変動を開始させ、変動時間選択手段74cで選択された変動時間が経過することに基づいて、普通停止図柄選択手段74bで選択された停止図柄で普通図柄の変動を停止させるようになっている。
普通保留個数表示制御手段76は、普通保留個数表示手段29の表示制御を行うもので、普通図柄始動手段15による遊技球の検出、及び普通図柄表示手段27による普通図柄の変動に基づいて、例えば普通保留個数表示手段29によるLEDの発光数により普通保留個数情報を表示するようになっている。
普通利益状態発生手段77は、当たり判定手段74aによる判定結果が当たり判定となることに基づいて普通図柄表示手段27の変動後の停止図柄が当たり態様となった場合に、特別図柄始動手段16を構成する下特別始動口16bの開閉手段61を例えば複数種類の開閉パターンの何れかに従って開状態に変化させるようになっている。
特別乱数作成処理手段81は、大当たり/外れの判定に用いる大当たり判定乱数、特別図柄の変動後の停止図柄等の選択に用いる図柄判定乱数、変動パターンの選択に用いる変動パターン乱数、その他の所定の乱数を繰り返し発生する特別乱数作成処理を行うように構成されている。
特別始動口チェック処理手段82は、特別図柄始動手段16への遊技球の入賞に基づく処理を行うもので、特別始動口16a,16bの何れかに遊技球が入賞すること(図柄始動条件が成立すること)に基づいて、特別乱数作成処理手段81で作成された大当たり判定乱数値、大当たり図柄乱数値等の特別乱数情報を取得して、その特別乱数情報を予め定められた上限保留個数(例えば4個)を限度として先入れ先出し式の特別乱数記憶手段(保留記憶手段)83に記憶させるように構成されている。
特別図柄処理手段84は、特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、大当たり判定手段84a、特別停止図柄選択手段84b、変動パターン選択手段84c等を備えている。大当たり判定手段84aは、乱数抽選により大当たり/外れの判定、即ち特別利益状態(利益状態)を発生させるか否かの判定を行うもので、特別図柄表示手段28が変動表示可能な状態となり且つ特別乱数記憶手段83に1以上の特別乱数情報が記憶されていること(特別保留個数が1以上であること)を条件に、特別乱数記憶手段83に記憶されている特別乱数情報の待ち行列からその先頭の大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行うように構成されている。
特別停止図柄選択手段84bは、特別図柄の変動後の停止図柄態様を選択するもので、例えば大当たり判定手段84aによる判定結果が大当たりであった場合には、特別乱数記憶手段83に記憶されている特別乱数情報に含まれる大当たり図柄乱数値に基づいて例えば複数種類の大当たり態様の何れかを選択し、大当たり判定手段84aによる判定結果が外れであった場合には例えば新たに取得された外れ図柄乱数値に基づいて複数種類の外れ態様の何れかを選択するように構成されている。
変動パターン選択手段84cは、演出図柄表示手段63による演出図柄の変動パターンを選択するもので、大当たり判定手段84aによる大当たり/外れの判定結果と、新たに取得された変動パターン乱数値とに基づいて演出図柄の変動パターンを選択するように構成されている。
演出図柄の変動パターンには、リーチ状態を経ることなく外れ態様となる通常変動パターンと、リーチ状態を経て外れ態様又は大当たり態様となるリーチ変動パターンとがあり、それらの変動パターンが夫々1又は複数種類設けられている。各変動パターンにはそれを実行するための変動パターンシナリオが夫々設定されている。変動パターンシナリオには、そのシナリオの実行開始時(即ち図柄変動開始時)からの経過時間(ms)毎の各行に、音声、電飾、可動体、画像等による各演出内容とオプションの内容とが夫々設定されている。
例えば図6に示すリーチe外れ変動パターンの変動パターンシナリオは、その実行開始と同時に演出図柄表示手段63により画像表示手段22において演出図柄の変動を開始し、0.2秒経過後に高速変動となり、10秒経過時点でリーチeに対応するリーチ演出を開始し、12秒経過時点で上部可動体37が降下を開始し、35秒経過時点で上部可動体37が上昇を開始し、50秒経過時点で演出図柄の変動を停止させるように設定されている。
また、演出図柄の変動パターンには、可動体37,52の動作を伴うものとそうでないものとが存在する。本実施形態では、図7に示すように、リーチa〜eの5種類の変動パターンにおいて可動体37,52の何れかが動作し、それ以外の変動パターンでは可動体37,52は動作しないようになっている。リーチa,bの2種類の変動パターンでは下部可動体52が動作し、図柄変動の開始から下部可動体52の動作開始までの時間(第1時間)は夫々5秒,7秒となっている。また、リーチc〜eの3種類の変動パターンでは上部可動体37が動作し、図柄変動の開始から上部可動体37の動作開始までの時間(第1時間)は夫々8秒,10秒,12秒となっている。
特別図柄表示制御手段(図柄表示制御手段)85は、特別図柄表示手段(図柄表示手段)28の表示制御を行うもので、特別図柄表示手段28が変動表示可能な状態となり且つ特別乱数記憶手段83に1以上の特別乱数情報が記憶されていること(特別保留個数が1以上であること)を条件に、特別図柄表示手段28による特別図柄の変動を開始させ、変動パターン選択手段84cにより選択された演出図柄の変動パターンに対応する変動時間が経過することに基づいて、特別停止図柄選択手段84bによって選択された停止図柄態様で特別図柄の変動を停止させるようになっている。
特別利益状態発生手段(利益状態発生手段)86は、大入賞手段17が所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態(利益状態)を発生させるもので、大当たり判定手段84aによる判定結果が大当たりとなり、特別図柄表示手段28による特別図柄の変動後の停止図柄が大当たり態様(特定態様)となった場合に特別利益状態を発生させるようになっている。本実施形態の開放パターンは、大入賞手段17の開放から所定時間(例えば28秒)経過するか、それまでに所定個数(例えば9個)の遊技球が入賞することを条件に大入賞手段17を閉鎖する動作を、所定ラウンド数(例えば15ラウンド)行うように設定されているものとするが、複数種類の開放パターンを設け、例えば大当たり図柄乱数値に基づいてそれらの何れかを選択するように構成してもよい。
特別遊技状態発生手段87は、特別利益状態発生後に遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるもので、例えば特別乱数記憶手段83に記憶された大当たり判定乱数値が大当たり判定値と一致した場合の大当たり図柄乱数値に基づいて、その大当たり図柄乱数値が所定の確変判定値と一致しない場合には時短状態を、一致する場合には確変状態を夫々発生させるように構成されている。
時短状態中は、特別図柄に関して特別図柄表示手段28の変動時間が通常変動時間よりも短い短縮変動時間に切り換えられる他、普通図柄に関して、当たり確率が通常確率(例えば1/10)から高確率(例えば1/1.3)へ、変動時間が通常変動時間(例えば27秒)から短縮変動時間(例えば2.7秒)へ、下特別始動口16bの開閉手段61の開閉パターンが通常開閉パターン(例えば0.2秒×1回開放)から特別開閉パターン(例えば2秒×3回開放)へ、夫々切り換えられるようになっている。なお、時短状態は例えばその開始後における特別図柄表示手段28の変動回数が所定回数(例えば50回)に達するか、それまでに次の特別利益状態が発生した時点で終了する。
確変状態中は、例えば時短状態と同様の各切り換えに加えて、大当たり判定値の数が例えば1個から10個へ増加されることにより、特別図柄が大当たり態様となる確率が通常確率(例えば1/350)よりも高い高確率(例えば1/35)に切り換えられるようになっている。なお、確変状態は特別利益状態が終了した時点で開始し、例えば次の特別利益状態が発生した時点で終了する。
制御コマンド送信手段88は、所定の制御コマンドを一方向通信により演出制御基板66等のサブ制御基板に送信して制御指令を与えるためのもので、例えば演出制御基板66に対しては、特別保留個数の増加時に、増加後の特別保留個数等を指定する保留増加コマンドを送信し、また特別図柄の変動時には、まず変動開始時に、減少後の特別保留個数等を指定する保留減算コマンド、演出図柄の変動パターンを指定する変動パターンコマンド、特別図柄の停止図柄を指定する図柄指定コマンドを例えばこの順序で送信し、変動終了時に、演出図柄の変動停止を指示する変動停止コマンドを送信し、また特別図柄の変動が終了し且つその時点で特別保留個数が0である場合に客待ちコマンドを送信する等、所定のタイミングで各種制御コマンドを送信するようになっている。
演出制御基板66は、画像表示手段22、スピーカ等の音声出力手段91、LED等の電飾手段92、上部可動体37、下部可動体52等の各種演出手段を制御するためのもので、演出制御手段93、特別保留個数表示制御手段94、図柄変動演出制御手段95、客待ち演出制御手段96等を備えている。
演出制御手段93は、各演出手段を制御するもので、画像表示手段22による画像表示を制御する画像表示制御手段93a、音声出力手段91による音声出力を制御する音声制御手段93b、電飾手段92の発光を制御する発光制御手段93c、上部可動体37を駆動する上部駆動手段42及び下部可動体52を駆動する下部駆動手段55を制御する可動体制御手段93d等を備えている。
特別保留個数表示制御手段94は、演出制御手段93を介して特別保留個数表示手段64による特別保留個数の表示制御を行うもので、特別図柄始動手段16に遊技球が入賞し、主制御基板65から保留増加コマンドを受信したときに、その保留増加コマンドが第何番目の保留記憶に対応するものであるかに基づいて、画像表示手段22上に保留表示画像64aを1個追加的に表示し、また特別図柄の変動開始時に主制御基板65から保留減算コマンドを受信したときに、第1番目の保留に対応する保留表示画像64aを消去すると共に第2番目以降の保留に対応する保留表示画像64aを前側にシフトさせるようになっている。
図柄変動演出制御手段95は、演出制御手段93を介して図柄変動演出を制御するもので、主制御基板65から変動パターンコマンドを受信し、その後所定時間内に図柄指定コマンドを受信した場合に、演出図柄の変動後の停止図柄を抽選により決定すると共に、変動パターンコマンドで指定された変動パターンに対応する変動パターンシナリオに基づいて、画像表示手段22による演出図柄の変動及びそれに伴う音声出力手段91による音声演出、電飾手段92による発光演出、可動体37,52による可動演出を実行し、変動停止コマンドを受信したときに、抽選により決定された停止図柄で演出図柄の変動を停止させるようになっている。
なお、リーチa〜eの5種類の変動パターンの何れかが選択された場合には、図7に示すように、その変動開始から所定時間(第1時間)経過後に上部可動体37又は下部可動体52が始動するようになっている。
客待ち演出制御手段96は、演出制御手段93を介して客待ち演出を制御するもので、所定の客待ち状態(第2状態)中に客待ち演出を実行するようになっている。本実施形態では、主制御基板65から客待ちコマンドが送信された場合、即ち特別図柄の変動が終了し且つその時点で特別保留個数が0である場合(第1条件が成立した場合)に変動遊技状態(第1状態)から客待ち状態(第2状態)に移行し、その客待ち状態中に特別図柄始動手段16に遊技球が入賞した場合(第2条件が成立した場合)に、客待ち状態(第2状態)から変動遊技状態(第1状態)に移行して特別図柄の変動が開始されるようになっている。
客待ち状態中は、予め定められた客待ち演出シナリオに基づく客待ち演出が例えば繰り返し実行される。本実施形態の客待ち演出では、例えば画像表示手段22に客待ち演出画像を表示すると共に、所定のタイミングで上部可動体37及び下部可動体52を作動させるようになっている。
図8は、本実施形態の客待ち演出における上部可動体37及び下部可動体52の動作パターンを示したものである。同図に示すように、客待ち状態が開始されると、その2秒後に上部駆動手段42と下部駆動手段55とが同時に正転方向に作動を開始し、それによって上部可動体37と下部可動体52とは共に原点位置を離れ、上部可動体37は約2.8秒後に、下部可動体52は約1.5秒後に夫々の最大動作位置に到達して停止する。そして、客待ち演出の開始から5.8秒経過時点で、上部駆動手段42は正転方向に、下部駆動手段55は逆転方向に夫々作動を開始し、それによって上部可動体37と下部可動体52とは共に最大動作位置を離れ、上部可動体37は約6.5秒後に、下部可動体52は約1.5秒後に夫々の原点位置に復帰する。
ここで、上部可動体37が原点位置を離れてから原点位置に復帰するまでの動作(停止状態を含む)が、上部可動体37に関する特定動作の一例であり、その特定動作に要する約10.3秒が第2時間の一例である。また、下部可動体52が原点位置を離れてから原点位置に復帰するまでの動作(停止状態を含む)が、下部可動体52に関する特定動作の一例であり、その特定動作に要する約5.3秒が第2時間の一例である。
客待ち状態から変動遊技状態に移行する際には、実行中の客待ち演出が停止されて演出図柄の変動演出が開始されるが、その時点で上部可動体37又は下部可動体52が動作中(特定動作中)であった場合には、その動作は中断されて直ちに原点復帰動作が開始される。
即ち、上部可動体37に関しては、例えば動作を中断した時点の動作状態に応じて、原点位置から最大動作位置への移動中又は最大動作位置に停止中であれば上部駆動手段42を逆転方向に作動させ、最大動作位置から原点位置への移動中であれば上部駆動手段42をそのまま正転方向に作動させることにより原点位置に復帰させる。これにより、上部可動体37については動作中断後の原点復帰動作に要する最大時間は約6.5秒となる。
一方の下部可動体52に関しては、例えば動作を中断した時点の動作状態に拘わらず、下部駆動手段55を逆転方向に作動させることにより原点位置に復帰させる。これにより、下部可動体52については動作中断後の原点復帰動作に要する最大時間は約1.5秒となる。
なお、実際の制御では可動体の動作が中断してから原点復帰動作が開始されるまでにタイムラグが発生する場合がある。このタイムラグを考慮すれば、可動体による動作中断後の原点復帰動作に要する最大時間はそのタイムラグの分だけ長くなるが、以下の説明ではそのタイムラグは考慮しないものとする。
図9は、客待ち演出の開始から6秒経過時点で客待ち状態から変動遊技状態に移行し、演出図柄表示手段63によるリーチc変動パターン(図7)による演出図柄変動が開始された場合の上部可動体37、下部可動体52及び演出図柄表示手段63の状態変化を示したものである。この場合、客待ち状態から変動遊技状態に移行した時点で上部可動体37と下部可動体52とは共に最大動作位置から原点位置への移動中であるため、上部可動体37と下部可動体52とは共にそのままの動作を継続することにより、上部可動体37は変動遊技状態への移行から約6.3秒で、下部可動体52は変動遊技状態への移行から約1.3秒で夫々の原点位置に復帰する。
一方、変動遊技状態へ移行した時点で開始されるリーチc変動パターン(図7)による演出図柄変動では、その開始から8秒経過時点で上部可動体37が始動する。従って、客待ち演出の中断による上部可動体37の原点復帰動作と、変動遊技状態移行後の演出図柄変動における上部可動体37の動作とが重複することはなく、上部可動体37の動作制御は混乱することなく正常に行われる。
なお、上部可動体37における客待ち演出中断後の原点復帰動作に要する最大時間は約6.5秒であるのに対し、上部可動体37の作動を伴うリーチc〜e変動パターンにおける変動開始から上部可動体37が始動するまでの時間(第1時間)は8秒が最小であるため(図7)、客待ち演出中断がどのようなタイミングであっても、また変動遊技状態移行後の最初の演出図柄変動についてどのような変動パターンが選択されても、客待ち演出の中断による上部可動体37の原点復帰動作と、変動遊技状態移行後の演出図柄変動における上部可動体37の動作とが重複することはない。
また図10は、客待ち演出の開始から3秒経過時点で客待ち状態から変動遊技状態に移行し、演出図柄表示手段63によるリーチa変動パターン(図7)による演出図柄変動が開始された場合の上部可動体37、下部可動体52及び演出図柄表示手段63の状態変化を示したものである。この場合、客待ち状態から変動遊技状態に移行した時点で上部可動体37と下部可動体52とは共に原点位置から最大動作位置への移動中であるため、上部可動体37と下部可動体52とは共に動作方向を反転させることにより、上部可動体37と下部可動体52とは共に変動遊技状態への移行から約1秒で夫々の原点位置に復帰する。
一方、変動遊技状態へ移行した時点で開始されるリーチa変動パターン(図7)による演出図柄変動では、その開始から5秒経過時点で下部可動体52が始動する。従って、客待ち演出の中断による下部可動体52の原点復帰動作と、変動遊技状態移行後の演出図柄変動における下部可動体52の動作とが重複することはなく、下部可動体52の動作制御は混乱することなく正常に行われる。
なお、下部可動体52における客待ち演出中断後の原点復帰動作に要する最大時間は約1.5秒であるのに対し、下部可動体52の作動を伴うリーチa,b変動パターンにおける変動開始から下部可動体52が始動するまでの時間(第1時間)は5秒が最小であるため(図7)、客待ち演出中断がどのようなタイミングであっても、また変動遊技状態移行後の最初の演出図柄変動についてどのような変動パターンが選択されても、客待ち演出の中断による下部可動体52の原点復帰動作と、変動遊技状態移行後の演出図柄変動における下部可動体52の動作とが重複することはない。
図11〜図13は本発明の第2の実施形態を例示し、第1の実施形態を一部変更して、客待ち状態中で且つ可動体37,52の特定動作中(原点位置を離れてから原点位置に復帰するまでの動作中)に変動遊技状態に移行した場合にはその特定動作をそのまま継続することによって可動体37,52を原点位置に復帰させるように構成した例を示している。
本実施形態の客待ち演出における上部可動体37及び下部可動体52の動作パターンは第1の実施形態と同じ(図8)である。但し、本実施形態では、客待ち状態中で且つ可動体37,52の特定動作中に変動遊技状態に移行した場合にはその特定動作をそのまま継続することによって可動体37,52を原点位置に復帰させるため、変動遊技状態への移行後の原点復帰動作に要する最大時間は、上部可動体37が約10.3秒、下部可動体52が約5.3秒となる。
また本実施形態では、図11に示すように、下部可動体52の動作を伴うリーチa,b変動パターンにおける図柄変動開始から可動体始動までの時間(第1時間)が夫々6秒,8秒に設定されており、何れも下部可動体52の特定動作に要する約5.3秒(第2時間)の方が短くなっている。同様に、上部可動体37の動作を伴うリーチc〜e変動パターンにおける図柄変動開始から可動体始動までの時間(第1時間)は夫々11秒,13秒,15秒に設定されており、何れも上部可動体37の特定動作に要する約10.3秒(第2時間)の方が短くなっている。
図12は、客待ち演出の開始から3秒経過時点で客待ち状態から変動遊技状態に移行し、演出図柄表示手段63によるリーチc変動パターン(図11)による演出図柄変動が開始された場合の上部可動体37、下部可動体52及び演出図柄表示手段63の状態変化を示したものである。この場合、客待ち状態から変動遊技状態に移行した時点で上部可動体37と下部可動体52とは共に原点位置から最大動作位置への移動中であるが、上部可動体37と下部可動体52とは共にその動作パターンを継続することにより、上部可動体37は変動遊技状態への移行から約9.3秒で、下部可動体52は変動遊技状態への移行から約4.3秒で夫々の原点位置に復帰する。
一方、変動遊技状態へ移行した時点で開始されるリーチc変動パターン(図11)による演出図柄変動では、その開始から11秒経過時点で上部可動体37が始動する。従って、客待ち演出の中断による上部可動体37の原点復帰動作と、変動遊技状態移行後の演出図柄変動における上部可動体37の動作とが重複することはなく、上部可動体37の動作制御は混乱することなく正常に行われる。
なお、本実施形態では上部可動体37における客待ち演出中断後の原点復帰動作に要する最大時間は約10.3秒であるのに対し、上部可動体37の作動を伴うリーチc〜e変動パターンにおける変動開始から上部可動体37が始動するまでの時間(第1時間)は11秒が最小であるため(図11)、客待ち演出中断がどのようなタイミングであっても、また変動遊技状態移行後の最初の演出図柄変動についてどのような変動パターンが選択されても、客待ち演出の中断による上部可動体37の原点復帰動作と、変動遊技状態移行後の演出図柄変動における上部可動体37の動作とが重複することはない。
また図13は、客待ち演出の開始から3秒経過時点で客待ち状態から変動遊技状態に移行し、演出図柄表示手段63によるリーチa変動パターン(図11)による演出図柄変動が開始された場合の上部可動体37、下部可動体52及び演出図柄表示手段63の状態変化を示したものである。この場合、客待ち状態から変動遊技状態に移行した時点で上部可動体37と下部可動体52とは共に原点位置から最大動作位置への移動中であるが、上部可動体37と下部可動体52とは共にその動作パターンを継続することにより、上部可動体37は変動遊技状態への移行から約9.3秒で、下部可動体52は変動遊技状態への移行から約4.3秒で夫々の原点位置に復帰する。
一方、変動遊技状態へ移行した時点で開始されるリーチa変動パターン(図11)による演出図柄変動では、その開始から6秒経過時点で下部可動体52が始動する。従って、客待ち演出の中断による下部可動体52の原点復帰動作と、変動遊技状態移行後の演出図柄変動における下部可動体52の動作とが重複することはなく、下部可動体52の動作制御は混乱することなく正常に行われる。
なお、本実施形態では下部可動体52における客待ち演出中断後の原点復帰動作に要する最大時間は約5.3秒であるのに対し、下部可動体52の作動を伴うリーチa,b変動パターンにおける変動開始から下部可動体52が始動するまでの時間(第1時間)は6秒が最小であるため(図11)、客待ち演出中断がどのようなタイミングであっても、また変動遊技状態移行後の最初の演出図柄変動についてどのような変動パターンが選択されても、客待ち演出の中断による下部可動体52の原点復帰動作と、変動遊技状態移行後の演出図柄変動における下部可動体52の動作とが重複することはない。
以上のように、客待ち状態中で且つ可動体37,52の特定動作中に変動遊技状態に移行した場合にはその特定動作をそのまま継続することによって可動体37,52を原点位置に復帰させるように構成することにより、客待ち演出終了時に可動体37,52の動作が不自然となることを防止できる。
図14〜図16は本発明の第3の実施形態を例示し、第2の実施形態を一部変更して、客待ち状態が開始してから可動体37,52による最初の特定動作が終了するまでに変動遊技状態に移行した場合には、その最初の特定動作を最後まで実行することによって可動体37,52を原点位置に復帰させるように構成した例を示している。
本実施形態の客待ち演出における上部可動体37及び下部可動体52の動作パターンは第1,第2の実施形態と同じ(図8)である。但し、本実施形態では、変動遊技状態が開始してから可動体37,52による最初の特定動作が終了するまでに変動遊技状態に移行した場合には、その最初の特定動作を最後まで実行することによって可動体37,52を原点位置に復帰させるため、変動遊技状態への移行後の原点復帰動作に要する最大時間は、上部可動体37が約12.3秒、下部可動体52が約7.3秒となる。
また本実施形態では、図14に示すように、下部可動体52の動作を伴うリーチa,b変動パターンにおける図柄変動開始から可動体始動までの時間(第1時間)が夫々8秒,10秒に設定されており、何れも客待ち状態が開始してから下部可動体52の特定動作が終了するまでの約7.3秒(第3時間)の方が短くなっている。同様に、上部可動体37の動作を伴うリーチc〜e変動パターンにおける図柄変動開始から可動体始動までの時間(第1時間)は夫々13秒,15秒,17秒に設定されており、何れも客待ち状態が開始してから上部可動体37の特定動作が終了するまでの約12.3秒(第3時間)の方が短くなっている。
図15は、客待ち演出の開始から1秒経過時点で客待ち状態から変動遊技状態に移行し、演出図柄表示手段63によるリーチc変動パターン(図14)による演出図柄変動が開始された場合の上部可動体37、下部可動体52及び演出図柄表示手段63の状態変化を示したものである。この場合、客待ち状態から変動遊技状態に移行した時点で上部可動体37と下部可動体52とは共に最初の動作開始前であるが、その最初の動作が終了するまで予定通り動作パターンを実行することにより、上部可動体37及び下部可動体52は変動遊技状態への移行から1秒後に夫々原点位置を離れ、上部可動体37は変動遊技状態への移行から約11.3秒後に、下部可動体52は変動遊技状態への移行から約6.3秒後に夫々原点位置に復帰する。
一方、変動遊技状態へ移行した時点で開始されるリーチc変動パターン(図14)による演出図柄変動では、その開始から13秒経過時点で上部可動体37が始動する。従って、客待ち演出の中断による上部可動体37の原点復帰動作と、変動遊技状態移行後の演出図柄変動における上部可動体37の動作とが重複することはなく、上部可動体37の動作制御は混乱することなく正常に行われる。
なお、本実施形態では上部可動体37における客待ち演出中断後の原点復帰動作に要する最大時間は約12.3秒であるのに対し、上部可動体37の作動を伴うリーチc〜e変動パターンにおける変動開始から上部可動体37が始動するまでの時間(第1時間)は13秒が最小であるため(図14)、客待ち演出中断がどのようなタイミングであっても、また変動遊技状態移行後の最初の演出図柄変動についてどのような変動パターンが選択されても、客待ち演出の中断による上部可動体37の原点復帰動作と、変動遊技状態移行後の演出図柄変動における上部可動体37の動作とが重複することはない。
また図16は、客待ち演出の開始から1秒経過時点で客待ち状態から変動遊技状態に移行し、演出図柄表示手段63によるリーチa変動パターン(図14)による演出図柄変動が開始された場合の上部可動体37、下部可動体52及び演出図柄表示手段63の状態変化を示したものである。この場合、客待ち状態から変動遊技状態に移行した時点で上部可動体37と下部可動体52とは共に最初の動作開始前であるが、その最初の動作が終了するまで予定通り動作パターンを実行することにより、上部可動体37及び下部可動体52は変動遊技状態への移行から1秒後に夫々原点位置を離れ、上部可動体37は変動遊技状態への移行から約11.3秒後に、下部可動体52は変動遊技状態への移行から約6.3秒後に夫々原点位置に復帰する。
一方、変動遊技状態へ移行した時点で開始されるリーチa変動パターン(図14)による演出図柄変動では、その開始から8秒経過時点で下部可動体52が始動する。従って、客待ち演出の中断による下部可動体52の原点復帰動作と、変動遊技状態移行後の演出図柄変動における下部可動体52の動作とが重複することはなく、下部可動体52の動作制御は混乱することなく正常に行われる。
なお、本実施形態では下部可動体52における客待ち演出中断後の原点復帰動作に要する最大時間は約7.3秒であるのに対し、下部可動体52の作動を伴うリーチa,b変動パターンにおける変動開始から下部可動体52が始動するまでの時間(第1時間)は8秒が最小であるため(図14)、客待ち演出中断がどのようなタイミングであっても、また変動遊技状態移行後の最初の演出図柄変動についてどのような変動パターンが選択されても、客待ち演出の中断による下部可動体52の原点復帰動作と、変動遊技状態移行後の演出図柄変動における下部可動体52の動作とが重複することはない。
以上のように、変動遊技状態が開始してから可動体37,52による最初の特定動作が終了するまでに変動遊技状態に移行した場合には、その最初の特定動作を最後まで実行することによって可動体37,52を原点位置に復帰させるように構成することにより、客待ち状態が開始された場合には少なくとも1回は可動体37,52を動作させることが可能である。
図17及び図18は本発明の第4の実施形態を例示し、第1の実施形態を一部変更して、客待ち状態から変動遊技状態への移行後に最初に作動する可能性のある可動体は客待ち状態中には作動させないように構成した例を示している。
図17は、本実施形態の客待ち演出における上部可動体37及び下部可動体52の動作パターンを示したものである。同図に示すように、本実施形態の客待ち演出では上部可動体37のみが第1の実施形態と同じ動作パターン(図8)で動作し、下部可動体52については動作しないように設定されている。
また、本実施形態の変動パターン選択手段84cは、変動開始時の特別保留個数に対応する変動パターン選択テーブルを用いて変動パターンを選択するようになっており、図18は、減算後の特別保留個数が0の場合の変動パターン選択テーブルを示している。同図に示すように、本実施形態では、減算後の特別保留個数が0の場合には、下部可動体52の動作を伴うリーチa,b変動パターン(図7等参照)が選択される可能性はあるが、上部可動体37の動作を伴うリーチc〜e変動パターン(図7等参照)が選択されることはない。
以上のように、本実施形態では客待ち状態から変動遊技状態への移行後に最初に作動する可能性のある下部可動体52は客待ち状態中には作動させないように構成されているため、客待ち演出の中断による可動体の原点復帰動作と、変動遊技状態移行後の演出図柄変動における可動体の動作とが重複することはない。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、客待ち状態中で且つ可動体の動作中に特別図柄始動手段16が遊技球を検出して変動遊技状態に移行した場合、その最初の図柄変動では、その動作中の可動体の動作を伴う変動パターン、或いはその動作中の可動体を動作させる演出を選択しないように構成してもよい。
また、客待ち状態から変動遊技状態に移行した場合、客待ち状態中に動作していた可動体が原点位置に復帰するまでに、変動遊技状態の最初の図柄変動においてその可動体の作動開始タイミングが到来した場合には、可動体の原点復帰動作を優先させる(図柄変動演出としての可動体の動作を行わない)ようにしてもよい。
実施形態では、客待ち演出において上部可動体37と下部可動体52とを並行して動作させるように構成したが、客待ち演出において複数の可動体を順次動作させるようにしてもよい。
可動体の構成や数は任意である。また可動体の原点復帰動作も任意であり、例えば第1の実施形態の場合、上部可動体37の原点復帰動作は、動作中断時の位置に応じて、最短時間で原点位置に復帰できる方向に上部駆動手段42を作動させるようにしてもよい。
また本発明は、パチンコ機に限らず、アレンジボール機、雀球遊技機、スロットマシン等の各種遊技機において同様に実施することが可能である。