JP5501181B2 - 電磁石制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、空間に磁場を生成する複数の電磁石を備え、隔壁で仕切られた空間内に発生したプラズマ分布を、能動的に制御する電磁石制御装置、即ちチャンバー内に封入したプラズマの状態を任意に制御する電磁石制御装置に関する。
従来、この種の電磁石制御装置は複数の電磁石を備え、電流制御部からの指令によりドライバーから所定波形の電流を各電磁石の励磁コイルに通電することにより、隔壁で仕切られた空間に磁場を形成するようになっている。そして電流制御部は波形発生器を具備し、該波形発生器で発生した所定波形の電流信号をドライバーの電流増幅器に送り、該電流増幅器で電流増幅してコイル駆動電圧を生成し、各電磁石の励磁コイルに出力することにより、各励磁コイルに所定波形の励磁電流を通電している。ドライバーの電流増幅器は、アナログ式電流増幅器又は、PWM式電流増幅器で構成されている。
上記波形発生器は、波形メモリに各種波形(正弦波、矩形波、三角波等)の出力データを記憶しておき、出力更新周期毎に本データを読み出してD/A変換部へ指令を行い、また、出力周波数に応じて波形メモリのデータ参照ポインタを移動する処理を行っている。
特開平10−107595号公報
しかしながら、上記従来の波形発生器は、波形の種類と出力分解能に応じて波形メモリのデータ容量を増加する必要がある。また、従来の波形発生器では、出力波形をオフセットさせる場合や、周波数の異なる正弦波の合成のような複雑な波形を出力するためには、合成波形の数に応じて、D/A変換部の入出力チャネル数を多チャネル化する必要があった。
また、例えば励磁コイルに流す電流波形が正弦波などの交流波形である場合に、励磁コイルのインダクタンスの影響で交流波の周波数が高ければ高いほど、励磁コイルのインピーダンスが高くなり、その結果、励磁コイル両端に印加する電圧を大きくする必要があった。即ち、ドライバーの電流増幅器に供給する電源電圧を大きくする必要があった。このため、ドライバーの電流増幅器に供給する電源電圧は、励磁電流の使用周波数範囲における最大値によって決定されてしまい、励磁コイルに周波数が低い交流電流を流す場合には、必要としない電源電圧が電流増幅器に供給されることとなった。その結果、電流増幅器がアナログ式の場合は、必要としない電源電圧分が電流増幅器内での損失となり、またPWM式の場合はPWMスイッチング素子のスイッチング損失或いは電磁石コアの鉄損を増大させる要因となっていた。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、簡素な構成の信号処理部で、複雑な波形の電流信号を発生させ、ドライバーを介して該電流信号に応じた波形の電流を各電磁石の励磁コイルに省エネルギーで通電できる電磁石制御装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、複数の電磁石を備え、各電磁石の励磁コイルに所定波形の励磁電流を通電することにより、隔壁で仕切られた空間内に発生したプラズマ分布を能動的に制御する電磁石制御装置であって、所定波形の励磁電流信号を生成する信号処理部と、該信号処理部からの所定波形の励磁電流信号を増幅して各電磁石の励磁コイルに通電するドライバーと、当該電磁石装置の各部に電力を供給する電源部とを備え、信号処理部は励磁コイルの目標励磁電流波形を保有し、励磁コイルに通電された励磁電流を電流検出器にて電流信号として検出し、該検出した電流信号をA/D変換器でデジタル信号に変換し、信号処理部が保有する励磁コイルの目標励磁電流波形と比較し、励磁コイルの励磁電流が所定の位相角となるように信号処理部から出力される励磁電流信号を補正する補正手段を設けたことを特徴とする。
また、信号処理部と励磁コイルは1:1に対応していることを特徴とする。
また、励磁コイルはそれぞれ対応する信号処理部によって個別に制御されることを特徴とする。
また、本発明は、上記電磁石制御装置において、ドライバーと信号処理部と電源部とを分離し、該ドライバー及び/又は信号処理部及び/又は電源部を交換できる構成としたことを特徴とする。
また、本発明は、上記電磁石制御装置において、信号処理部は、デジタル信号処理回路を備え、励磁電流の所定波形の信号をデジタル信号処理にて生成することを特徴とする。
また、本発明は、上記電磁石制御装置において、ドライバーにアナログ式電流増幅器を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記電磁石制御装置において、ドライバーにPWM式電流増幅器を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記電磁石制御装置において、電磁石の励磁コイルに印加する電圧のプラス/マイナスが切り替わるタイミングでドライバーのPWM駆動を一定期間休止し、ドライバーの電流増幅器の過電流を回避する過電流回避手段を設けたことを特徴とする。
また、本発明は、上記電磁石制御装置において、信号処理部及びドライバーを2つ以上備え、該2つ以上の信号処理部の同期を取るため共通の同期信号を発生する同期信号発生手段を設けたことを特徴とする。
また、本発明は、上記電磁石制御装置において、複数の電磁石、複数のドライバー、複数の信号処理部の同期を取るための通信手段を設けたことを特徴とする。
また、本発明は、上記電磁石制御装置において、励磁コイルに通電する励磁電流信号の情報をドライバーに指令する電流制御部を備え、電流制御部からドライバーへ指令する励磁電流値の伝送、及び/又はドライバーが励磁コイルに供給している電流値の電流制御部への伝送をデジタル通信で行うことを特徴とする。
また、本発明は、上記電磁石制御装置において、信号処理部は、演算機能を有するデジタル演算部と、該デジタル演算部で演算して得たデジタル的な波形出力信号を連続的な波形出力信号に変換するD/A変換部とを備え、デジタル演算部にて与えられた出力式によりD/A変換部へ指示する任意波形の励磁電流信号を計算し、D/A変換部から該励磁電流信号をドライバーに出力することを特徴とする。
また、本発明は、上記電磁石制御装置において、励磁コイルに流れる励磁電流を検出し、目標励磁電流波形と比較しその差がゼロになるようドライバーからの出力を制御するフィードバック系を形成し、該フィードバック系は、検出した励磁電流をデジタルデータに変換するA/D変換部と、該A/D変換部で変換されたデジタルデータを基に、励磁コイルに目標励磁電流値を通電するようにドライバーの出力値を演算するデジタル演算部と、該デジタル演算部で演算された結果をドライバーに入力する信号に変換するD/A変換部を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記電磁石制御装置において、ドライバーに電流増幅器を備え、電磁石の電流に応じた電流増幅器の出力電圧を電源部にフィードバックし、電源部から電流増幅器に供給する電圧を変動させることを特徴とする。
本発明は、所定波形の励磁電流信号を生成する信号処理部と、該信号処理部からの所定波形の励磁電流信号を増幅して各電磁石の励磁コイルに通電するドライバーと、当該電磁石装置の各部に電力を供給する電源部とを備えているので、簡単な構成の信号処理部で、演算処理により種々の波形の電流信号を発生させ、ドライバーを介して該電流信号に応じた波形の電流を各電磁石の励磁コイルに通電できる電磁石制御装置を提供できる。
また、本発明は、信号処理部に励磁コイルの目標励磁電流波形を保有し、励磁コイルに通電された励磁電流を電流検出器にて電流信号として検出し、該検出した電流信号をA/D変換器でデジタル信号に変換し、信号処理部が保有する目標励磁電流波形と比較し、コイルの励磁電流が所定の電流値及び/又は位相角となるように信号処理部から出力される励磁電流信号を補正する補正手段を設けたので、電磁石を直列接続させた時の接続数、電磁石の種類、製造上のばらつき、温度・湿度等の使用環境によらず、目標励磁電流波形に従って精度良く所定の電流値及び/又は位相角で励磁電流を流すことができる。
また、本発明は、ドライバーと信号処理部と電源部とを分離し、該ドライバーを交換できる構成であるので、メンテナンス等によりドライバーのみ、或いは信号処理部のみ或いは電源部のみを代替交換する場合は容易に対応可能である。
また、本発明は、信号処理部にデジタル信号処理回路を備え、励磁電流の所定波形の信号をデジタル信号にて生成するので、部品点数を増大させることなく、例えばCPUやDSPを用いて励磁電流の波形をソフトウエアにて自在且つ容易に生成できる。
また、本発明は、ドライバーにアナログ式電流増幅器を備えているので、歪みが少ない電流を電磁石の励磁コイルに励磁電流として流すことができる。
また、本発明は、ドライバーにPWM式電流増幅器を備えているので、低損失で電磁石の励磁コイルに励磁電流を流すことができる。
また、本発明は、電磁石の励磁コイルに印加する電圧のプラス/マイナスが切り替わるタイミングでドライバーのPWM駆動を一定期間休止させる過電流回避手段を設けているので、ドライバーのPWM式電流増幅器の過電流によるダメージや故障を回避することができる。
また、本発明は、2つ以上の信号処理部の同期を取るため共通の同期信号を発生する同期信号発生手段を設けているので、追加で電磁石を設置する必要となった場合でも、それを駆動するためのドライバーを追加で設置し、電磁石の励磁コイルに流す電流を既存の励磁コイルに流す電流と同期させることができる。
また、本発明は、励磁コイルに通電する励磁電流信号の情報をドライバーに指令する電流制御部を備え、電流制御部からドライバーへ指令する励磁電流値の伝送、及び/又はドライバーが励磁コイルに供給する電流値の電流制御部への伝送をデジタル通信で行うので、励磁電流信号の情報がノイズ等により劣化することなくドライバーは励磁電流信号の情報に基づいて励磁コイルに電流を流すことができる。
また、本発明は、上記電磁石制御装置において、信号処理部は、演算機能を有するデジタル演算部と、該デジタル演算部で演算して得たデジタル的な波形出力信号を連続的な波形出力信号に変換するD/A変換部とを備え、デジタル演算部にて与えられた出力式によりD/A変換部へ指示する任意波形の励磁電流信号を計算し、D/A変換部から該励磁電流信号をドライバーに出力するので、ドライバーの電流増幅器がアナログ増幅器である場合やPWM増幅器の入力がアナログ入力である場合は、該励磁電流信号を直接電流増幅器に入力することができる。
また、本発明は、上記電磁石制御装置において、励磁コイルに流れる励磁電流を検出し、目標励磁電流波形と比較しその差がゼロになるようドライバーからの出力を制御するフィードバック系を形成し、フィードバック系は、検出した励磁電流をデジタルデータに変換するA/D変換部と、該A/D変換部で変換されたデジタルデータを基に、励磁コイルに目標励磁電流値を通電するようにドライバーの出力値を演算するデジタル演算部と、該デジタル演算部で演算された結果をドライバーに入力する信号に変換するD/A変換部を備えたのでデジタル演算部で例えばPID制御を実施でき、励磁コイルに流す電流を目標励磁電流に精度良く追従させることができる。
また、電磁石の電流に応じた電流増幅器の出力電圧を電源部にフィードバックし、電源部から電流増幅器に供給する電圧を変動させることができるので、励磁コイルに流す交流電流周波数が低い場合は電流増幅器に供給する電源電圧を小さくでき、交流電流周波数が高い場合は、電流増幅器に供給する電源電圧を大きくできるので、使用用途に応じて電流増幅器に必要最低限の電源電圧を供給することができ省エネルギー化することができる。
本発明に係る電磁石制御装置の全体のシステム構成例を示すブロック図である。 本発明に係る電磁石制御装置の他の全体のシステム構成例を示すブロック図である。 本発明に係る電磁石制御装置の信号処理部及びドライバーを含むフィードバック系の構成を示すブロック図である。 本発明に係る電磁石制御装置の電磁石の励磁コイルに通電する励磁電流の制御フローを示す図である。 ドライバーのスイッチングノイズを回避方法を説明するための図である。 電磁石の磁界がN極/S極に替わるタイミングに発生するノイズを回避方法を説明するための図である。 本発明に係る電磁石制御装置の他の全体のシステム構成例を示すブロック図である。 本発明に係る電磁石制御装置の他の全体のシステム構成例を示すブロック図である。 従来の電磁石制御装置の一部構成を示すブロック図である。 従来の電磁石制御装置の一部構成を示すブロック図である。 本発明に係る電磁石制御装置の一部構成を示すブロック図である。 本発明に係る電磁石制御装置の一部構成を示すブロック図である。 本発明に係る電磁石制御装置の一部構成を示すブロック図である。 本発明に係る電磁石制御装置の一部構成を示すブロック図である。 本発明に係る電磁石制御装置の一部構成を示すブロック図である。 本発明に係る電磁石制御装置の一部構成を示すブロック図である。 本発明に係る電磁石制御装置の他の全体のシステム構成例を示すブロック図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1は本発明に係る電磁石制御装置の全体のシステム構成例を示すブロック図である。本電磁石制御装置は、複数の電磁石10の励磁コイルに通電する電流を制御することにより、隔壁で仕切られた空間内(例えば、チャンバー内)に磁場を形成し、該空間内に発生したプラズマ分布を能動的に制御する装置である。図示するように、本電磁石制御装置は、複数のドライバー11、複数の信号処理部13、電磁石装置全体管理部14、及び電源部17を備えている。
電磁石装置全体管理部14は、ユーザ及び上位装置インタフェースを含み、各信号処理部13に駆動電流波形伝達/状態ライン15を通して波形形成指令信号(例えば、正弦波、矩形波、三角波等の各種波形を形成させる指令信号)S1を伝送するようになっている。信号処理部13は波形形成指令信号S1を受け、演算処理により該波形形成指令信号S1に応じた波形の励磁電流信号S2を生成し、電流信号ライン16を通してドライバー11に伝送する。ドライバー11はそれぞれ電流増幅器(図示せず)を具備し、該電流増幅器で励磁電流信号S2を増幅し、各電磁石10の励磁コイルに通電する。これにより上記隔壁で仕切られた空間内に磁場を形成し、該空間に発生したプラズマ分布を能動的に制御する。電源部17は電力供給ライン18を通して、電磁石装置全体管理部14、各信号処理部13、各ドライバー11に動作用電力Pwを供給する。
図2は本発明に係る電磁石制御装置の他の全体のシステム構成例を示すブロック図である。図2において図1と同一符号を付した部分は同一又は相当部分を示す。なお、他の図面においても同様とする。本電磁石制御装置においては、ドライバー11は信号処理部13と分離し、ドライバー11を他のドライバー11’と交換できるように構成している。これによりドライバー11に接続される電磁石の個数や電磁石の容量が異なる電磁石装置であっても、或いは電磁石の個数や電磁石の容量を変えた場合でも、ドライバー11を交換するだけで本電磁石制御装置を適用できる。また、電源部17も他の電源部17’に交換できるように構成としている。これにより電磁石制御装置の各部の動作用電力Pw容量が変化した場合でも、電源部17を交換するのみで対処できる。
図3は本発明に係る電磁石制御装置の信号処理部、及びドライバーを含むフィードバック系の構成を示すブロック図である。信号処理部13はCPUを備えたデジタル演算部21とD/A変換器22で構成され、電磁石装置全体管理部14からの波形形成指令信号(デジタル量)S1を受け、デジタル演算処理部21にて演算処理により所定波形の出力指令信号値(デジタル量)を生成し、D/A変換器22に出力する。D/A変換器22では該出力指令信号値を連続した励磁電流信号S2に変換してドライバー11に出力する。ドライバー11は電流増幅器23を備え、該電流増幅器23で励磁電流信号S2を電力増幅によりコイル駆動電圧に変換し、電磁石10の励磁コイルXに供給する。これにより励磁コイルXには、波形形成指令信号S1に応じた波形の励磁電流が流れる。
電磁石10の励磁コイルXに流れる電流は電流検出器24で連続的な電圧信号S3として検出し、該検出した電圧信号S3はA/D変換器25で電流フィードバック値(デジタル量)に変換してデジタル演算部21にフィードバックしている。なお、電流検出器24、A/D変換器25、及びデジタル演算部21で電流検出部20を構成している。
デジタル演算部21は、目標電流波形を保持し、該目標電流波形と、電流検出器24で検出され、A/D変換器25で変換された電流フィードバック値とを比較し、励磁コイルXの励磁電流が所定の電流値及び/又は位相角となるように信号処理部13から出力される励磁電流信号を補正する補正機能を有している。これにより、電磁石10の励磁電流コイルXに流れる励磁電流の電流値と位相を電磁石装置全体管理部14からの波形形成信号S1の指令値と位相にすることが可能となる。なお、ドライバー11の上記電流増幅器には、アナログ式電流増幅器を用いることもできるし、PWM式電流増幅器を用いることもできる。
上記のようにCPUを有するデジタル演算部21で電磁石装置全体管理部14からの波形形成指令信号S1を受け、演算処理にて任意波形の励磁電流信号S2を生成するので、従来の波形発生器のように、波形メモリに各種波形の出力データを記憶しておき、出力更新周期毎にデータを読み出してD/A変換部へ指令を行うという複雑な構成を採用することなく、簡単な構成で任意波形の励磁電流信号S2を生成することが可能となる。
図4は上記電磁石10の励磁コイルXに流れる電流を制御するフローを示す図である。先ず、励磁コイルXのコイル電流制御を開始する。続いてステップST1では電流検出部20のA/D変換器25の出力を読み込んでコイル電流値の読込み(A/D変換器25のA/D変換値を取得)を行い、ステップST2に移行する。ステップST2ではコイル電流(出力レベル)のフィードバック演算を行いステップST3に移行する。ステップST3では実測電流(ST1で取得したA/D変換値)より電流位相を計算し、ステップST4に移行する。ステップST4では出力波形位相のフィードバック演算を行い、ステップST5に移行する。
ステップST5では電流指令信号更新(D/A変換器22の出力更新)を行い、ステップST6に移行する。ステップST6では、励磁コイルXの駆動停止である否かを判断し、ノー(N)の場合は前記ステップST1に戻り制御を継続する。イエス(Y)の場合は停止指令するか異常検出を行い、ステップST7に移行する。ステップST7では、電流指令更新(D/A変換器22の出力更新)を行い励磁コイルXの駆動停止時電流とし、励磁コイルXのコイル電流制御終了とする。上記電流制御はCPUを具備するデジタル演算部21で行う。
ドライバー11の電流増幅器にPWM式電流増幅器を用いる場合、PWM式電流増幅器からのPWM信号の立上がり時間をPWMキャリア周波数1周期の数%の範囲で長くすることにより、励磁電流のスイッチングによるノイズを軽減することができる。このノイズを軽減する方法を図5に基づいて説明する。図5(a)は電磁石10の励磁コイルXを駆動するドライバーのスイッチング素子(トランジスタ)30の概略回路構成を示す図である。なお、図5(a)は、励磁コイルXをフルブリッジ回路で駆動するPWM式電流増幅器であるが、説明の簡略化のためフルブリッジ回路の片側の駆動回路は図示していない。
スイッチング素子30及び30’の入力端子30a、30’aにPWM式電流増幅から図5(b)のAに示すような矩形波のPWM信号が入力すると、励磁コイルXに流れるコイル電流はBに示すようになり、PWM信号の立上り、立下り時にスイッチングノイズNが発生する。このスイッチングノイズNの発生を回避するため、図5(c)のAに示すようにPWM信号の立上り、立下りを滑らかに(立上がり時間を長く)すると、図5(c)のBに示すようにコイル電流の立上り、立下り時にノイズが発生しない。PWM信号の立上り、立下り波形を滑らかにする方法としては、例えばスイッチング素子30及び30'の入力端子30a、30’aとに所定抵抗値の抵抗器42、42'及び同端子とアースの間に所定容量のコンデンサ31、31’を挿入することで実現できる。
上記構成の磁場形成装置において、電磁石10の磁界をN極からS極に切り替える場合、電流方向が切り替わるタイミングでドライバー11のPWM駆動指令(N側磁束発生用コイル駆動電流増幅器の出力、S側磁束発生用コイル駆動電流増幅器の出力)を一定期間休止させることにより、ゼロクロス時の電流増幅器の過電流や、該過電流によるダメージや故障を回避することができる。このゼロクロス時の過電流発生回避方法を図6に基づいて説明する。図6(a)は電磁石10の励磁コイルXと該励磁コイルXを駆動するN側磁束発生用コイル駆動電流増幅器32とS側磁束発生用コイル駆動電流増幅器33の接続状態を示す図である。N側磁束発生用コイル駆動電流増幅器32の(ア)、(エ)端子にON信号を入力すると、図6(a)の矢印Cに示す方向に電流が流れ、S側磁束発生用コイル駆動電流増幅器33の(イ)、(ウ)端子にON信号を入力すると、図6(a)の矢印Dに示す方向に電流が流れる。
従来は、N側/S側電流方向切り替え時に図6(b)に示すようにN側磁束発生用コイル駆動電流増幅器32の(ア)、(エ)へのON信号入力とS側磁束発生用コイル駆動電流増幅器33の(イ)、(ウ)へのON信号入力を瞬時に切り替えるため、電流測定ポイントP1に図6(b)のFに示すような波形の電流が流れ、電流波形がゼロレベルを交差する時(ゼロクロス時Z)に電流増幅器の過電流が発生する。これを回避するため本発明ではN側/S側電流方向切り替え時に図6(c)に示すように、一定の休止時間Δtを設けている。これによりN側磁束発生用コイル駆動電流増幅器32とS側磁束発生用コイル駆動電流増幅器33の同時動作による電流増幅器の過電流を回避できる。
図7は本発明に係る電磁石制御装置の他の全体のシステム構成例を示すブロック図である。本電磁石制御装置では、電磁石装置全体管理部14に同期信号発生源26を設け、該同期信号発生源26から、同期用信号ライン27を通して各信号処理部13に同期信号S5を送信している。このように同期信号発生源26から同期信号S5を送信することにより、複数の信号処理部13、ドライバー11、及び電磁石10の動作を同期をとって行なうことができる。なお、上記例では同期信号発生源26を電磁石装置全体管理部14に設けているが、図8に示すように、複数の信号処理部13の内のいずれか1つに同期信号発生源26を設け、該同期信号発生源26から同期用信号ライン27を通して各信号処理部13に同期信号S5を送信するようにしてもよい。
図3では信号処理部13から連続した励磁電流信号S2をドライバー11に出力しているが、信号処理部13から励磁電流信号S2をドライバー11へデジタル通信手段(第1デジタル通信手段)によりデジタル量で送信してもよい。また、励磁コイルXに流れる電流を電流検出器24で検出し、該検出電流信号をA/D変換器25でデジタル量に変換したデジタル信号をデジタル演算部21に送る手段として、デジタル通信手段(第2デジタル通信手段)によりデジタル通信で行うようにしてもよい。また、第1デジタル通信手段と第2デジタル通信手段の両方を備え、信号処理部13からドライバー11へ指令する励磁電流信号S2の伝送及び励磁コイルXに流れる電流を検出した検出電流値信号のデジタル演算部12への伝送をデジタル通信で行うようにしてもよい。この場合、ドライバー11には信号処理部13から送られてきたデジタルの電流信号を連続した電流信号に変換するD/A変換部を設ける。
図17は上記第1デジタル通信手段、及び第2デジタル通信手段を備えた、本発明に係る電磁石制御装置の全体のシステム構成を示すブロック図である。図示するように、本電磁石制御装置では、各信号処理部13に通信ポート43を備え、各ドライバー11に通信ポート44を備えている。そして各通信ポート43と対応する通信ポート44を伝送ライン45で接続している。各信号処理部13から対応するドライバー11に伝送する励磁電流信号情報を通信ポート43、伝送ライン45、及び通信ポート44を介してデジタル通信で送信し、ドライバ−11から対応する電磁石10の励磁コイルXに供給している励磁電流情報を通信ポート44、伝送ライン45、及び通信ポート43を介してデジタル通信で信号処理部13に送信している。
図9は従来の電磁石制御装置の一部の構成を示す図である。ドライバー11にアナログ電流増幅器を具備するアナログ式ドライバーを用い、該ドライバー11に+電源34から+Eの固定電圧電力が、−電源35から−Eの固定電圧電力が供給され、更に電磁石10の励磁コイルXに流れる電流iは電流検出器36で検出され、検出信号はデジタル量に変換され(この電流検出器36は検出したアナログ検出信号をデジタル量に変換する機能を備えている)、信号処理部にフィードバックするようになっている。ここで、Eは電源電圧を、vはアナログ電流増幅器の出力電圧を、iはアナログ電流増幅器の出力電流を示す。このようにアナログ式ドライバーを用いた場合は、アナログ電流増幅器内で、
(E−v)×i
の電力損失が発生する。
また、図10は従来の電磁石制御装置の一部の構成を示す図である。ドライバー11にPWM電流増幅器を具備するPWM式ドライバーを用い、該ドライバー11に電源37から+Eの固定電圧電力が供給され、更に電磁石10の励磁コイルXに流れる電流iは電流検出器36で検出され、検出信号はデジタル量に変換され、信号処理部13にフィードバックするようになっている。このようなPWM式ドライバーではPWM電流増幅器を構成するトランジスタのスイッチング損失、及び電磁石10のコアでの鉄損が発生する。本発明に係る電磁石制御装置ではアナログ電流増幅器内での上記電力損失を小さくすること、PWM電流増幅器を構成するトランジスタのスイッチング損失、及び電磁石10のコアの鉄損を低減させる手法を採用している。下記にアナログ電流増幅器の電力損失、PWM電流増幅器のスイッチング損失、及び電磁石10のコアの鉄損を低減する手法を説明する。
図11乃至図13はドライバー11にアナログ式ドライバーを用い電流増幅器の電力損失を低減するための電磁石制御装置の一部の構成を示す図である。図11では+電源38と−電源39に電圧可変の電源を用い、ドライバー11のアナログ電流増幅器の出力電圧vを+電源38及び−電源39にフィードバックし、該出力電圧vに応じた+E及び−Eの+電力及び−電力をドライバー11に供給している。また、電磁石10の励磁コイルXに流れる電流iは電流検出器36で検出されデジタル量に変換され、信号処理部13にフィードバックするようになっている。このように+電源38及び−電源39に電圧可変の電源を用い、出力電圧vに基づいてドライバー11に供給する電源電圧を制御することにより、ドライバー11の電流増幅器に増幅動作に必要最小限の電圧電源を供給することができ、アナログ電流増幅器内での(E−v)×iを小さくすることができ、電流増幅器内での損失を低減できる。
また、図12では+電源38と−電源39に電圧可変の電源を用い、電磁石10の励磁コイルXに流れる電流iは電流検出器36で検出し、デジタル量に変換して信号処理部13にフィードバックすると共に、+電源38及び−電源39にフィードバックしている。+電源38及び−電源39からドライバー11に供給される+E及び−Eの電源電圧は励磁コイルXに流れる電流iに基いて制御している。これにより、ドライバー11の電流増幅器に増幅動作に必要最小限の電圧電源を供給することになり、アナログ電流増幅器内での(E−v)×iを小さくすることができ、電流増幅器内での損失を低減することができる。
また、図13では+電源38と−電源39に電圧可変の電源を用い、信号処理部13からの目標電流信号Soを+電源38と−電源39にフィードバックしている。また、電磁石10の励磁コイルXに流れる電流iは電流検出器36で検出し、デジタル量に変換して信号処理部13にフィードバックしている。これにより+電源38及び−電源39からドライバー11に供給される+E及び−Eの電源電圧は信号処理部13からの目標電流信号Soに基いて制御されることになり、ドライバー11の電流増幅器に増幅動作に必要最小限の電圧を供給することになり、アナログ電流増幅器内での(E−v)×iを小さくすることができ、電流増幅器内での損失を低減できる。
図14乃至図16はドライバー11にPWMグ式ドライバーを用いPWM電流増幅器のスイッチング損失低減と電磁石10のコア鉄損を低減するための電磁石制御装置の一部の構成を示す図である。図14では電源40に電圧可変の+電源を用い、電磁石10の励磁コイルXに流れる電流iを電流検出器36で検出し、デジタル量に変換し電源40にフィードバックすると共に、信号処理部13にフィードバックしている。電源40の出力電圧は励磁コイルXに流れる電流iに基いて制御され、ドライバー11のPWM電流増幅器には増幅動作に必要最小限の電圧が供給されることになる。これによりPWM電流増幅器を構成するトランジスタのスイッチング損失の低減及び電磁石10のコア鉄損失の低減を図ることができる。
図15ではPWM増幅回路41で電磁石10の励磁コイルXを駆動するようにし、PWM増幅回路41に目標電流信号Soを入力している。そして電源40には電圧可変の+電源を用い、PWM増幅回路41の出力vを電源40にフィードバックする。また、電磁石10の励磁コイルXに流れる電流iを電流検出器36で検出し、デジタル量に変換し信号処理部13にフィードバックしている。電源40の出力電圧はPWM増幅回路41の出力電圧vに基いて制御され、PWM電流増幅回路41に増幅動作に必要最小限の電圧が供給されることになる。これによりPWM電流増幅回路を構成するトランジスタのスイッチング損失の低減及び電磁石10のコア鉄損失の低減を図ることができる。
図16ではPWM増幅回路41で電磁石10の励磁コイルXを駆動するようにし、PWM増幅回路41に目標電流信号Soを入力している。そして電源40には電圧可変の+電源を用い、該電源40の出力電圧を目標電流信号Soに基いて制御している。これによりPWM増幅回路41には増幅動作に必要最小限の電源電圧が供給され、PWM電流増幅回路41を構成するトランジスタのスイッチング損失の低減及び電磁石10のコア鉄損失の低減を図ることができる。
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
本発明は、所定波形の励磁電流信号を生成する信号処理部と、該信号処理部からの所定波形の励磁電流信号を増幅して各電磁石の励磁コイルに通電するドライバーと、当該電磁石装置の各部に電力を供給する電源部とを備えているので、簡単な構成の信号処理部で、演算処理により種々の波形の電流信号を発生させ、ドライバーを介して該電流信号に応じた波形の電流を各電磁石の励磁コイルに省エネルギー通電できる電磁石制御装置に利用することができる。
10 電磁石
11 ドライバー
13 信号処理部
14 電磁石装置全体管理部
15 駆動電流波形伝達/状態ライン
16 電流信号ライン
17 電源部
18 電力供給ライン
20 電流検出部
21 デジタル演算部
22 D/A変換器
23 電流増幅器
24 電流検出器
25 A/D変換器
26 同期信号発生源
27 同期用信号ライン
30 スイッチング素子
31 コンデンサ
32 N側磁束発生用コイル駆動電流増幅器
33 S側磁束発生用コイル駆動電流増幅器
34 +電源
35 −電源
36 電流検出器
37 電源
38 +電源
39 −電源
40 電源
41 PWM増幅回路
42 抵抗器
43 通信ポート
44 通信ポート
45 伝送ライン
PW 動作用電力

Claims (14)

  1. 複数の電磁石を備え、各前記電磁石の励磁コイルに所定波形の励磁電流を通電することにより、隔壁で仕切られた空間内に発生したプラズマ分布を能動的に制御する電磁石制御装置であって、
    前記所定波形の励磁電流信号を生成する信号処理部と、該信号処理部からの所定波形の励磁電流信号を増幅して前記各電磁石の励磁コイルに通電するドライバーと、当該電磁石装置の各部に電力を供給する電源部とを備え、
    前記信号処理部は励磁コイルの目標励磁電流波形を保有し、
    前記励磁コイルに通電された励磁電流を電流検出器にて電流信号として検出し、該検出した電流信号をA/D変換器でデジタル信号に変換し、前記信号処理部が保有する励磁コイルの目標励磁電流波形と比較し、前記励磁コイルの励磁電流が所定の位相角となるように前記信号処理部から出力される励磁電流信号を補正する補正手段を設けたことを特徴とする電磁石制御装置。
  2. 請求項1に記載の電磁石制御装置において、
    前記信号処理部と励磁コイルは1:1に対応していることを特徴とする電磁石制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の電磁石制御装置において、
    前記励磁コイルはそれぞれ対応する信号処理部によって個別に制御されることを特徴とする電磁石制御装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電磁石制御装置において、
    前記ドライバーと前記信号処理部と電源部とを分離し、該ドライバー及び/又は信号処理部及び/又は電源部を交換できる構成としたことを特徴とする電磁石制御装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電磁石制御装置において、
    前記信号処理部は、デジタル信号処理回路を備え、前記励磁電流の所定波形の信号をデジタル信号処理にて生成することを特徴とする電磁石制御装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電磁石制御装置において、
    前記ドライバーにアナログ式電流増幅器を備えたことを特徴とする電磁石制御装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電磁石制御装置において、
    前記ドライバーにPWM式電流増幅器を備えたことを特徴とする電磁石制御装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電磁石制御装置において、
    前記電磁石の励磁コイルに印加する電圧のプラス/マイナスが切り替わるタイミングで前記ドライバーのPWM駆動を一定期間休止し、前記ドライバーの電流増幅器の過電流を回避する過電流回避手段を設けたことを特徴とする電磁石制御装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電磁石制御装置において、
    前記信号処理部及び前記ドライバーを2つ以上備え、該2つ以上の信号処理部の同期を取るため共通の同期信号を発生する同期信号発生手段を設けたことを特徴とする電磁石制御装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電磁石制御装置において、
    複数の前記電磁石、複数の前記ドライバー、複数の前記信号処理部の同期を取るための通信手段を設けたことを特徴とする電磁石制御装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電磁石制御装置において、
    前記励磁コイルに通電する励磁電流信号の情報を前記ドライバーに指令する電流制御部を備え、
    前記電流制御部から前記ドライバーへ指令する励磁電流値の伝送、及び/又は前記ドライバーが前記励磁コイルに供給している電流値の前記電流制御部への伝送をデジタル通信で行うことを特徴とする電磁石制御装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電磁石制御装置において、
    前記信号処理部は、演算機能を有するデジタル演算部と、該デジタル演算部で演算して得たデジタル的な波形出力信号を連続的な波形出力信号に変換するD/A変換部とを備え、
    前記デジタル演算部にて与えられた出力式により前記D/A変換部へ指示する任意波形の励磁電流信号を計算し、前記D/A変換部から該励磁電流信号を前記ドライバーに出力することを特徴とする電磁石制御装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の電磁石制御装置において、
    前記励磁コイルに流れる励磁電流を検出し、目標励磁電流波形と比較しその差がゼロになるよう前記ドライバーからの出力を制御するフィードバック系を形成し、
    前記フィードバック系は、前記検出した励磁電流をデジタルデータに変換するA/D変換部と、該A/D変換部で変換されたデジタルデータを基に、前記励磁コイルに目標励磁電流値を通電するように前記ドライバーの出力値を演算するデジタル演算部と、該デジタル演算部で演算された結果を前記ドライバーに入力する信号に変換するD/A変換部を備えたことを特徴とする電磁石制御装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の電磁石制御装置において、
    前記ドライバーに電流増幅器を備え、前記電磁石の電流に応じた前記電流増幅器の出力電圧を前記電源部にフィードバックし、前記電源部から前記電流増幅器に供給する電圧を変動させることを特徴とする電磁石制御装置。
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