JP5500873B2 - 液体洗浄剤組成物 - Google Patents
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また、台所用の液体洗浄剤には、洗浄性に加えて泡立ち性といった基本性能が要求される。
また、特許文献2には、アルカンスルホン酸塩と、マグネシウムイオンと、アルキルアリールスルホン酸塩を特定の配合比で含有する液体洗浄剤組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1、2に記載のような泡立ち性に優れる液体洗浄剤組成物は、洗浄過程において泡量が減少する、いわゆる「泡のヘタリ」を感じやすかった。泡量の減少は、洗浄中に水によってスポンジ中の洗剤濃度が薄まると共に、油等の汚垢により破泡されることが原因であり、泡立ち性に優れ洗浄力の強い洗浄剤において特に顕著に起こる傾向にある。泡量が減少すると、洗浄の途中で液体洗浄剤を継ぎ足すことになる場合が多く、液体洗浄剤の使用量が増える傾向にある。
このように、台所用の液体洗浄剤において、使用量を減らしつつ、泡量の持続性と優れた洗浄力を両立することは困難であった。
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記一般式(1)で表される化合物(A)(以下、「(A)成分」という。)と、炭素数10〜18の炭化水素基を有するアニオン界面活性剤(B)(以下、「(B)成分」という。)と、炭素数10〜18の炭化水素基を有するアミンオキシド型半極性界面活性剤(C)(以下、「(C)成分」という。)と、水(D)(以下、「(D)成分」という。)とを含有する。
(A)成分は、上記一般式(1)で表される化合物である。
上記一般式(1)中、R1は2−エチルヘキシル基である。mはエチレンオキシドの平均付加モル数を示し、6〜8である。mが上記範囲内であれば、油等の汚垢による破泡を抑制し、起泡に寄与できる性質を有すると推測されるため、油存在下で本発明の液体洗浄剤組成物を使用する場合であっても、泡量の持続性に優れる。従って、洗浄の途中で液体洗浄剤組成物を継ぎ足さなくても十分な泡量を持続できるので、使用量を低減できる。特に、mが8以下であれば、親水性と疎水性のバランスを適度に保つことができ、優れた洗浄効果が得られる。
2−エチルヘキサノールとエチレンオキサイドを、アルコール/エチレンオキサイドのモル比が1/6〜1/8になるように、アルカリ触媒を用いて公知の方法で付加反応させて、(A)成分を得る。
また、(A)成分としては、市販品を用いることができ、例えば、日本乳化剤株式会社製の「ニューコール1006」、「ニューコール1008」等が挙げられる。
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物100質量%中、1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましく、5〜10質量%が特に好ましい。(A)成分の含有量が1質量%以上であれば、油等の汚垢が存在しても破泡を抑制し、起泡に寄与できるため、泡量を持続できる。一方、(A)成分の含有量が20質量%を越えても泡量の持続性の向上は頭打ちとなる。
(B)成分は、炭素数10〜18の炭化水素基を有するアニオン界面活性剤である。
炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよい。また、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。中でも、炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状または分岐鎖状であることがより好ましく、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であることが特に好ましい。
洗浄力および保存時の安定性の観点から、炭化水素基の炭素数は、10〜16が好ましく、12〜14がより好ましい。
SASはパラフィンスルホン酸塩とも呼ばれ、アニオン性界面活性剤に属する。SASとしては、例えば一分子当り10〜21個の炭素原子、好ましくは少なくとも80質量%、より好ましくは少なくとも90質量%が、一分子当り13〜18個の炭素原子を有する二級アルキルスルホン酸塩と、少量の一級アルキルスルホン酸塩、ジスルホン酸塩、またはポリスルホン酸塩との混合物が挙げられる。
塩としては、例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩、具体的にはナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩などが挙げられる。
上記一般式(2)中、R2は炭素数10〜18のアルキル基、または炭素数10〜18のアルケニル基である。これらアルキル基およびアルケニル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。泡量の持続性と洗浄力の両立や、液体洗浄剤組成物の安定性の観点から、R2としては炭素数10〜16のアルキル基またはアルケニル基が好ましく、炭素数12〜14のアルキル基またはアルケニル基がより好ましい。
Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンまたは水酸化テトラメチルアンモニウムである。これらの中でもナトリウムが好ましい。
nはエチレンオキシドの平均付加モル数を示し、1〜6である。nが上記範囲内であれば、洗浄力を向上できる。特に油汚れに対する洗浄力を向上させる観点から、nは1〜4が好ましく、1〜3がより好ましい。
(B)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物100質量%中、20〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましく、25〜35質量%が特に好ましい。(B)成分の含有量が20質量%以上であれば、十分な界面活性剤量を確保できるため、泡量を持続できる。一方、(B)成分の含有量が50質量%以下であれば、液体洗浄剤組成物中の自由水の量を適度に維持できるので、液体洗浄剤組成物がゲル化するのを抑制できる。
(C)成分は、炭素数10〜18の炭化水素基を有するアミンオキシド型半極性界面活性剤である。
洗浄力が向上する観点から、炭化水素基の炭素数は、10〜16が好ましく、10〜14がより好ましい。
R4、R5はそれぞれ独立して炭素数1〜3のアルキル基、または炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基である。R4、R5としては、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、いずれもメチル基が特に好ましい。
R6は炭素数1〜4のアルキル基である。
Qは−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−または−O−である。Qは−CONH−が好ましい。
mは0または1である。mは0が好ましい。
なお、式(3)中、「N→O」は、アミンオキシドの半極性結合を示す。
また、(C)成分としては、市販品を用いることができ、例えば、ライオン・アクゾ株式会社製の「アロモックスDM10D−W」、「アロモックスDMC−W」、「アロモックスDM12D−W」、「アロモックスDM14D−N」等が挙げられる。
(C)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物100質量%中、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、2〜6質量%が特に好ましい。(C)成分の含有量が1質量%以上であれば、(B)成分との相乗効果によって洗浄力がより向上する。一方、(C)成分の含有量が10質量%以下であれば、液体洗浄剤組成物の高粘度化が抑制され、流動性がより良好となる。
(D)成分は、水である。水としては、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水、上水等が挙げられる。
(D)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物100質量%中、20〜88質量%が好ましく、25〜65質量%がより好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。
本発明の液体洗浄剤組成物には、前記(A)〜(D)成分以外に必要に応じて、(A)〜(C)成分以外のその他の界面活性剤や、その他の成分を適宜、配合することができる。
その他の界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物100質量%中、1〜20質量%が好ましい。
なお、前記短鎖アルキルベンゼンスルホン酸における「短鎖アルキル」は、炭素数1〜5のアルキル基を包含するものとする。
液体洗浄剤組成物は、25℃でのpHが5.5〜7.5であることが好ましく、より好ましくは6.0〜7.0である。
半極性界面活性剤である(C)成分は、pHによって電荷変化を起こしやすく、(B)成分との相互作用が変化する場合がある。pHが5.5未満の場合は、(A)成分と(C)成分の相互作用が強すぎることでゲル化または固化が起こりやすくなり、pHが7.5より大きい場合には、逆に相互作用が弱くなりすぎて、洗浄力が低下する傾向がある。
液体洗浄剤組成物のpHは、上述したpH調整剤により調整できる。
なお、液体洗浄剤組成物(25℃に調温)のpHは、pHメーター等により測定される値を示す。
液体洗浄剤組成物は、常法に準じて製造できる。例えば、上述した(A)〜(C)成分と必要に応じて任意成分とを、各成分の純分換算量で所望の含有量になるように、(D)成分に溶解して混合し、さらに必要に応じてpH調整剤を用いて所定のpHになるように調整することで得られる。
加えて、(B)成分を含有することで、泡量を持続できる。また、(B)成分としてSASまたはその塩を含有することで、適度な泡立ちが得られるので洗浄力を実感できる。
さらに、(C)成分を含有することで、(B)成分との相乗効果によって洗浄力がより向上する。
従って、本発明の液体洗浄剤組成物は、油存在下での使用であっても使用量を低減でき、かつ、泡量の持続性と優れた洗浄力を兼ね備える。
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・A−1:日本乳化剤株式会社製の「ニューコール1006」、上記一般式(1)において、R1=2−エチルヘキシル基、m=6。
・A−2:日本乳化剤株式会社製の「ニューコール1008」、上記一般式(1)において、R1=2−エチルヘキシル基、m=8。
・A−3:日本乳化剤株式会社製の「ニューコール1004」、上記一般式(1)において、R1=2−エチルヘキシル基、m=4。
・A−4:日本乳化剤株式会社製の「ニューコール1020」、上記一般式(1)において、R1=2−エチルヘキシル基、m=20。
・A−5:C12H25−(CH2CH2O)15−H。
・B−1:SAS(第2級アルカンスルホン酸ナトリウム、クラリアントジャパン株式会社製の「HOSTAPUR SAS 30A」)。
・B−2:AES(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)。
・B−3:AOS(C14−C16α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ライオン株式会社製の「リポランLB−440」)。
・B−4:LAS(直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸、ライオン株式会社製の「ライポンLHシリーズ」、平均分子量322)。
原料アルコ−ルとして、アルコール(シェルケミカルズジャパン株式会社製の「Neodol23」、炭素数12のアルコール/炭素数13のアルコール=50質量%/50質量%の混合物、分岐率:20質量%)を用いた。
4Lのオートクレーブ中に、前記原料アルコ−ル400gと、水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながらエチレンオキシド184gを導入し、エチレンオキシドの平均付加モル数2の反応物(アルコールエトキシレート)を得た。また、そのエチレンオキシド付加モル数分布は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により下記測定条件で測定した結果、ナロー率で33質量%を示した。
次に、このようにして得たアルコールエトキシレート280gを、撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換した後、液体無水硫酸(サルファン)78gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルを得た。次いで、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(B−2)を得た。
HPLCを用い、下記測定条件により、得られた合成品におけるエチレンオキシドの付加モル数が異なるエチレンオキシド付加体の分布を測定した。そして、B−2のナロー率(質量%)を下記数式(S)に基づいて算出した。
(HPLCによるエチレンオキシド付加体の分布の測定条件)
装置 :LC−6A(株式会社島津製作所製)。
検出器 :SPD−10A。
測定波長:220nm。
カラム :Zorbax C8 (デュポン社製)。
移動相 :アセトニトリル/水=60/40(体積比)。
流速 :1mL/分。
温度 :20℃。
・C−1:ライオン・アクゾ株式会社製の「アロモックスDM12D−W」。
・D−1:水道水。
・p−トルエンスルホン酸:協和発酵ケミカル株式会社製のPTS酸(パラトルエンスルホン酸)。
・エタノール:純正化学株式会社社製。
・ポリエチレングリコール:ライオン株式会社製の「PEG#1000」、(平均分子量:1000)。
・酸化亜鉛:三井金属鉱業株式会社製。
・香料:特開2003−268398号公報の表7〜14に記載の香料組成物A。
<液体洗浄剤組成物の調製>
表1、2に示す配合組成に従って各成分を混合した後、25℃でのpHが6.7となるようにpH調整剤(水酸化ナトリウムまたは硫酸)を適量添加して、各例の液体洗浄剤組成物をそれぞれ調製した。
なお、表1、2中の配合量の単位は質量%であり、いずれの成分も純分換算量を示す。各例の液体洗浄剤組成物は、表に記載の各成分の合計が100質量%となるようにバランス量の(D)成分で調整した。
また、pHの測定は、液体洗浄剤組成物を25℃に調整し、ガラス電極式pHメーター(製品名:ホリバF−22、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。測定方法は、JIS K3362−1998に準拠して行った。
(泡量の評価)
洗浄剤の継ぎ足しが誘起される低洗浄剤濃度かつ油存在下という条件下において、下記に示す方法により起泡力を評価することで、液体洗浄剤組成物の泡量の持続性を評価した。
まず、液体洗浄剤組成物を濃度が0.2質量%になるように、水道水で希釈して希釈液を調製した。
内径3cm、高さ25cmのガラス製の円筒管に、先に調製した希釈液を20mL投入し、市販のオリーブ油(味の素株式会社製)を2g添加した。
ついで、25℃で恒温した後、振盪機を用いて1分間振盪した。停止直後の泡の高さ(mm)を測定し、泡量を下記評価基準に基づいて評価した。結果を表1、2に示す。
◎:泡の高さが60mm以上。
○:泡の高さが40mm以上、60mm未満。
△:泡の高さが20mm以上、40mm未満。
×:泡の高さが20mm未満。
牛脂(和光純薬工業株式会社製)1gを、縦10cm×横15cm×高さ5cmのプラスチック製の容器の内側の全面に均一になるように塗布し、激しく汚れた疎水性表面汚垢モデルとした。
次いで、縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジに、水道水38gと各例の液体洗浄剤組成物2gをそれぞれとり、数回手で揉んだ後、牛脂が塗布された上記容器を、25℃の水道水を用いて、通常家庭で行われる方法と同様にして洗浄した。洗浄した後、水道水でよくすすぎ、容器内側の牛脂が塗布されていた部位(汚染部)を手で触ったときの触感で、その洗浄力を下記評価基準に基づいて評価した。結果を表1、2に示す。
◎:容器のいずれの部位を触っても、キュッキュと音がするような摩擦感があり、牛脂の残留によるぬるつきが全く感じられない。
○:容器の底面および側面を触ると摩擦感があり、牛脂の残留によるぬるつきは感じられないが、容器の角の部分には僅かにぬるつきが感じられる。
△:容器の底面を触ると摩擦感があり、牛脂の残留によるぬるつきは感じられないが、容器の側面や角の部分にはぬるつきが感じられる。
×:容器全体にぬるつきが感じられ、明らかに牛脂が残留している。
液体洗浄剤組成物90mLを100mLのガラス瓶に充填し、−5℃で1週間保存した。保存後の外観を目視にて観察し、保存安定性を下記評価基準に基づいて評価した。結果を表1、2に示す。
○:均一で透明である。
×:白濁または液体洗浄剤組成物の成分が析出している。
従って、本発明の液体洗浄剤組成物によれば、(A)成分〜(D)成分を含むことで、油存在下での使用であっても使用量を低減でき、かつ、泡量の持続性と優れた洗浄力を両立できる。
上記一般式(1)で表せない化合物を用いた比較例3で得られた液体洗浄剤組成物や、(A)成分を欠く比較例4で得られた液体洗浄剤組成物は、泡量の評価が各実施例に比べて劣っていた。
(C)成分を欠く比較例5で得られた液体洗浄剤組成物は、洗浄力が低かった。
(B)成分としてSASを含有せず、AESを25質量%含有した比較例6で得られた液体洗浄剤組成物は、洗浄力が低かった。
(B)成分としてAESとLASを併用した比較例7で得られた液体洗浄剤組成物は、比較例6に比べて洗浄力は向上したものの、SASを含有していないので、泡量の評価が各実施例に比べて劣っていた。また、低温環境下における保存安定性も劣っていた。
(B)成分としてAESとAOSを併用した比較例8で得られた液体洗浄剤組成物は、洗浄力および保存安定性は各実施例と同程度であったが、SASを含有していないので、泡量の評価が劣っていた。
Claims (1)
- 下記一般式(1)で表される化合物(A)と、炭素数10〜18の炭化水素基を有するアニオン界面活性剤(B)と、炭素数10〜18の炭化水素基を有するアミンオキシド型半極性界面活性剤(C)と、水(D)とを含有し、
前記アニオン界面活性剤(B)として、炭素数10〜18の炭化水素基を有するアルカンスルホン酸またはその塩と、下記一般式(2)で表される化合物とを含むことを特徴とする液体洗浄剤組成物。
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