JP5499511B2 - 固定子、モータ及び圧縮機 - Google Patents

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Description

本発明は、固定子と、この固定子を適用したモータ及び圧縮機に関する。
従来、固定子の歯に巻線を直接巻きつけた集中巻方式のモータでは、その巻線方法によっては、隣り合う各異相コイル(導線)がスロット内部で占める占積率が高くなるため、スロット内部で異相コイル間の距離を十分に確保できない場合がある。このような場合、各異相コイルが相互に接近することによって相間絶縁が破壊され、この絶縁破壊に起因したモータ焼損が生じうる。そこで、このようなモータ焼損を未然に防止する技術として、スロット内部の異相コイル間に形成されるスロット内空間にV字形状の相間絶縁紙を介挿し、介挿された相間絶縁紙によって異相コイル間の絶縁破壊を防止する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
特開2002−112488号公報
しかしながら、上述した従来の技術では、介挿された相間絶縁紙がスロット内空間を上下方向に移動することを規制できない。つまり、相間絶縁紙がスロット内空間の上下方向に抜けてしまい、異相コイル間の絶縁破壊を防止できないという問題があった。
本発明の目的は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、スロット内空間に介挿された相間絶縁紙がスロット内空間の上下方向に抜けてしまうことを確実に防止可能な固定子、モータ及び圧縮機を提供することである。
第1の発明に係る固定子は、集中巻方式の固定子であって、環状に配列されかつ電線を巻回するための複数の歯部を有するコアと、隣り合う2つの前記歯部間にそれぞれ配置された複数の仕切部材と、前記仕切部材に形成された連結穴を介して当該複数の仕切部材の全てを連結する連結部材とを備え、前記連結部材は、前記仕切部材と別体である第1連結紐および第2連結紐であって、前記複数の仕切部材の一端が前記第1連結紐によって連結されると共に、前記複数の仕切部材の他端が前記第2連結紐によって連結される。
この固定子では、連結部材による結束によって、少なくとも2つの仕切部材をコアの歯部間で固定できる。このような固定によって、少なくとも2つの仕切部材が歯部間を上下方向に移動することを規制できるので、上下方向に抜けてしまうことを防止できる。したがって、各歯部に巻回された電線が相互に接近することによる相間絶縁の破壊を確実に防止できる。また、歯部間に形成されたスロットから電線がコアの径方向内側に向けてはみ出すことを防止できる。さらに、この固定子では、仕切部材と連結部材とからなる簡易な構成で、仕切部材を歯部間に固定することができる。
なお、「仕切部材」には、互いに隣り合う歯部に巻回された電線間に介挿される相間絶縁紙や、歯部間に形成されたスロットから電線がコアの径方向内側に向けてはみ出すことを規制するウェッジ等が含まれる。
この固定子では、少なくとも2つの仕切部材を連結穴を介して容易に連結することができる。
この固定子では、仕切部材の全てを連結する構造を簡易に構成できる。
の発明に係るモータは、第の発明のいずれかに係る固定子と、コアの内側に配置された回転子とを備える。
このモータでは、第の発明に係る固定子と同様の効果を得ることができる。
の発明に係る圧縮機は、第の発明に係るモータを備える。
この圧縮機では、第の発明に係るモータと同様の効果を得ることができる。
の発明に係る圧縮機は、第の発明に係る圧縮機において、CO冷媒を圧縮する。
この圧縮機では、冷媒にCO冷媒を用いた場合、冷媒R410やR22等のCO冷媒以外の冷媒を用いた場合と比較して、単位容積当たりの冷凍能力が大きいため、そのモータ出力もより大きいものが要求される。よって、従来よりも固定子の占積率を高める必要が生じ、電線間の距離が短くなるため、電線間の相間絶縁が特に重要になる。
また、占積率が高まると、歯部間に形成されたスロットから、電線がコアの径方向内側に向けてはみ出しやすくなるため、このようなはみ出しを規制するウェッジ等の仕切部材が特に重要になる。
また、冷媒にCO冷媒を用いた圧縮機は、圧縮機内部の差圧が大きく、差圧による押し上げ荷重が仕切部材に作用し、仕切部材が抜けやすいため、仕切部材を強固に保持できることが特に重要となる。さらに、冷媒にCO冷媒を用いた圧縮機は、使用する油の粘度が高く、冷媒と共に流れる油が仕切部材に作用する衝撃力が大きく、仕切部材が抜けやすいため、仕切部材を強固に保持できることが特に重要となる。したがって、本発明は、冷媒にCO冷媒を用いた圧縮機で特に有効である。
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
第1の発明では、連結部材による結束によって、少なくとも2つの仕切部材をコアの歯部間で固定できる。このような固定によって、少なくとも2つの仕切部材が歯部間を上下方向に移動することを規制できるので、上下方向に抜けてしまうことを防止できる。したがって、各歯部に巻回された電線が相互に接近することによる相間絶縁の破壊を確実に防止できる。また、歯部間に形成されたスロットから電線がコアの径方向内側に向けてはみ出すことを防止できる。さらに、この固定子では、仕切部材と連結部材とからなる簡易な構成で、仕切部材を歯部間に固定することができる。
また、第の発明では、少なくとも2つの仕切部材を連結穴を介して容易に連結することができる。
また、第の発明では、仕切部材の全てを連結する構造を簡易に構成できる。
また、第の発明では、第1〜第3の発明と同様の効果を得ることができる。
また、第の発明では、第4の発明と同様の効果を得ることができる。
また、第の発明では、冷媒にCO冷媒を用いた場合、冷媒R410やR22等のCO冷媒以外の冷媒を用いた場合と比較して、単位容積当たりの冷凍能力が大きいため、そのモータ出力もより大きいものが要求される。よって、従来よりも固定子の占積率を高める必要が生じ、電線間の距離が短くなるため、電線間の相間絶縁が特に重要になる。
また、占積率が高まると、歯部間に形成されたスロットから、電線がコアの径方向内側に向けてはみ出しやすくなるため、このようなはみ出しを規制するウェッジ等の仕切部材が特に重要になる。
また、冷媒にCO冷媒を用いた圧縮機は、圧縮機内部の差圧が大きく、差圧による押し上げ荷重が仕切部材に作用し、仕切部材が抜けやすいため、仕切部材を強固に保持できることが特に重要となる。さらに、冷媒にCO冷媒を用いた圧縮機は、使用する油の粘度が高く、冷媒と共に流れる油が仕切部材に作用する衝撃力が大きく、仕切部材が抜けやすいため、仕切部材を強固に保持できることが特に重要となる。したがって、本発明は、冷媒にCO冷媒を用いた圧縮機で特に有効である。
本発明の第1実施形態に係る圧縮機の概略構成図である。 図1に示すステータの上面視図である。 図1に示すインシュレータの上面視図である。 相間絶縁紙の正面視図である。 図2に示す一点鎖線で囲まれた部分を拡大した図である。 図1に示すステータの側面視図である。 図2に示す各ティースを内径側から見た展開図である。 ステータの上面視図である。 ウェッジの正面視図である。 図8に示す一点鎖線で囲まれた部分を拡大した図である。
(第1実施形態)
以下、図面に基づいて、本発明に係る固定子、モータ及び圧縮機の第1実施形態について説明する。
<ロータリ圧縮機の全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る圧縮機の概略構成図である。2シリンダ型のCO冷媒用ロータリ圧縮機1(圧縮機)は、アキュムレータ2から導入されるCO冷媒を圧縮して、その上端部に配置された排出流路11から圧縮した圧縮冷媒を排出するものである。ロータリ圧縮機1は、図1に示すように、密閉ケーシング10と、密閉ケーシング10内に配置される駆動機構としてのモータ20と、このモータ20によって駆動される圧縮機構30とを備えている。このロータリ圧縮機1は、いわゆる高圧ドーム型の圧縮機であって、密閉ケーシング10内において、圧縮機構30がモータ20の下側に配置される。また、密閉ケーシング10の下部には、圧縮機構30の各摺動部に供給される潤滑油40が貯留されている。
<モータの構成>
モータ20は、シャフト50と、このシャフト50が回転可能に取り付けられたロータ51(回転子)と、このロータ51の径方向外側にエアギャップを介して配置されるステータ52(固定子)とを有している。ロータ51は、積層された電磁鋼板からなるロータ本体と、このロータ本体に埋設された磁石とを有している。ステータ52は、コア53と、このコア53の両端部のそれぞれに対向して配置されたインシュレータ54、55と、後述するコイル68〜73(電線)とを有している。
コア53は、例えば積層された複数の鋼板からなり、密閉ケーシング10に焼き嵌め等によって嵌め込まれている。インシュレータ54、55は、例えば、液晶ポリマー(LCP)やポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリイミドやポリエステル等の耐熱性の良い樹脂材料で構成される。なお、インシュレータ54、55は、その強度を向上させるために、例えばガラス繊維入りの材料で構成しても良い。
モータ20は、ステータ52で発生する電磁力により、ロータ51をシャフト50と共に回転させる。シャフト50は、上述したロータ51と共に回転することによって、圧縮機構30のローラ34及びローラ37を回転させる。このシャフト50には、後述するフロントシリンダ33のシリンダ室B1内に位置するように偏心部50aが設けられると共に、リアシリンダ36のシリンダ室B2内に位置するように偏心部50bが設けられている。これらの偏心部50a、50bには、ローラ34、37がそれぞれ装着されている。これにより、シャフト50の回転に伴って、偏心部50aに装着されるローラ34がシリンダ室B1で回転すると共に、偏心部50bに装着されるローラ37がシリンダ室B2で回転する。なお、偏心部50aと偏心部50bとは、シャフト50の回転方向に180°ずれた位置に配置されている。
<圧縮機構の構成>
圧縮機構30は、駆動機構20のシャフト50の回転軸に沿って上から下に向かって、2重構造となっているフロントマフラ31と、フロントヘッド32と、フロントシリンダ33及びローラ34と、ミドルプレート35と、リアシリンダ36及びローラ37と、リアヘッド38と、リアマフラ39とを有している。
フロントマフラ31は、フロントヘッド32に設けられる吐出ポート(図示せず)から吐出された冷媒を消音して1次空間に吐出する。このフロントマフラ31は、フロントヘッド32に取り付けられる。フロントヘッド32は、フロントシリンダ33の上面に接合されており、シリンダ室B1の上端の開口を塞いでいる。このフロントヘッド32には、シリンダ室B1において圧縮された冷媒を、上記したフロントマフラ31によって形成されるマフラ空間A1に吐出するための吐出ポート(図示せず)が設けられている。
フロントシリンダ33には、その中央部分にシリンダ室B1が設けられる。シリンダ室B1には、シャフト50の回転に伴って偏心回転運動するローラ34が配置されている。このシリンダ室B1は、上記した吐出ポートを介してマフラ空間A1に連通している。したがって、シャフト50の偏心部50aに装着されるローラ34の偏心回転運動によって圧縮された冷媒は、シリンダ室B1からマフラ空間A1に導かれる。
ローラ34は、シリンダ室B1の内周面に沿って偏心回転運動を行い、アキュムレータ2から吸入された冷媒を圧縮する。ローラ34の外周面には、図示しないブレードが配置されており、これらのローラ34及びブレードは、それぞれ、別体として構成されている。ミドルプレート35は、フロントシリンダ33とリアシリンダ36との間に配置される。このミドルプレート35は、フロントシリンダ33のシリンダ室B1の下方の開口を閉塞し、且つ、リアシリンダ36のシリンダ室B2の上方の開口を閉塞している。
リアシリンダ36、ローラ37、リアヘッド38及びリアマフラ39は、各機能からみて、上記したフロントシリンダ33、ローラ34、フロントヘッド32及びフロントマフラ31と同様であるので、その説明を省略する。なお、リアシリンダ36のシリンダ室B2において圧縮された冷媒は、リアヘッド38とリアマフラ39とにより形成されるマフラ空間(図示せず)を通過した後、リアヘッド38とリアシリンダ36とミドルプレート35とフロントシリンダ33とに連通する連通孔(図示せず)、及び、フロントヘッド32に形成される導入ポート(図示せず)を介して、マフラ空間A1に導かれる。
<ステータ>
図2は、図1に示すステータ52の上面視図である。図3は、図1に示すインシュレータ54の上面視図である。図4は、相間絶縁紙82(仕切部材)の正面視図である。図2に示すように、ステータ52は、コア53の径方向内側に向けて突出すると共に、シャフト50の軸中心の周りに等間隔で環状に設けられた6つのティース56〜61(歯部)を有している。また、このようにして設けられたティース56〜61は、それぞれが略同一の形状に形成されている。
<インシュレータ>
また、図3に示すように、インシュレータ54は、軸方向に各ティース56〜61と略同一の形状に形成された突出部62〜67を有している。そして、このように形成された各突出部62〜67には、図2に示すように、その先端部62a〜67aを除いて、各ティース56〜61と共に、コイル68〜73(電線)がそれぞれ巻回されている。なお、図3では図示を省略したが、図1に示すインシュレータ55についても、インシュレータ54と同様に、軸方向に各ティース56〜61と略同一の形状に形成された各突出部を有しており、各ティース56〜61と共に、コイル68〜73がそれぞれ巻回されている。
また、このように巻回されたコイル68〜73からは、図2に示すように、外部から電源の供給を受けるための3本のリード線74が引き出されている。このようにして引き出された各リード線74は、その先端がコネクタ75に接続されると共に、その後端が密閉ケーシング10に形成されたターミナルピン10a(図1参照)に接続されている。そして、各リード線74は、それぞれ、U相、V相及びW相の3相に制御される。
また、コイル68、69間、コイル69、70間、コイル70、71間、コイル71、72間、コイル72、73間、コイル73、68間には、この順番で、スロット内空間76〜81が順次に形成されている。なお、この「スロット内空間」は、スロット内部の異相コイル間に形成される空間を意味しており、「スロット」は、コイルが入る部分も含めたティース間の全空間を意味する。また、形成された各スロット内空間76〜81には、相間絶縁紙82がそれぞれ介挿されている。相間絶縁紙82は、図4に示すように、短冊形状に形成されている。そして、この相間絶縁紙82の上端及び下端には、連結穴82a、82bがそれぞれ形成されている。
図5は、図2に示す一点鎖線で囲まれた部分(コイル73、68間に形成されたスロット内空間81の周辺部分)を拡大した図である。図5に示すように、スロット内空間81に介挿された相間絶縁紙82によって、互いに隣り合うコイル73、68の相間絶縁が実現されている。つまり、コイル73、68が相互に接近することによるモータ20の焼損が防止されている。
図6は、図1に示すステータ52の側面視図である。図7は、図2に示す各ティース56〜61を内径側から見た展開図である。なお、図7では説明を簡単にするために、インシュレータ54、55については図示を省略する。図6や図7に示すように、各スロット内空間76〜81に介挿された相間絶縁紙82は、その上端が各連結穴82aを通して連結紐83(連結部材)によって連結されると共に、その下端が各連結穴82bを通して連結紐84(連結部材)によって連結されている。
[第1実施形態の圧縮機の特徴]
第1実施形態のロータリ圧縮機1には、以下のような特徴がある。
第1実施形態のロータリ圧縮機1では、連結紐83、84による連結によって、各相間絶縁紙82を各スロット内空間76〜81内に固定できる。このような固定によって、各相間絶縁紙82が、互いに隣り合うコイル68、69間、コイル69、70間、コイル70、71間、コイル71、72間、コイル72、73間、コイル73、68間を上下方向に移動することを規制できるので、各相間絶縁紙82が上下方向に抜けてしまうことを防止できる。したがって、各コイルが相互に接近することによる相間絶縁の破壊を確実に防止でき、モータ20の焼損を確実に防止できる。
また、第1実施形態のロータリ圧縮機1では、各相間絶縁紙82に連結穴82a、82bを設けることで、各相間絶縁紙82と連結紐83、84とからなる簡易な構成で、各相間絶縁紙82を各スロット内空間76〜81内に固定できる。
また、第1実施形態のロータリ圧縮機1のように冷媒にCO冷媒を用いた場合では、冷媒R410やR22等のCO冷媒以外の冷媒を用いた場合と比較して、単位容積当たりの冷凍能力が大きいため、そのモータ20の出力もより大きいものが要求される。よって、従来よりもステータ52の占積率を高める必要が生じ、電線間の距離が短くなるため、電線間の相間絶縁が特に重要になる。
また、第1実施形態のロータリ圧縮機1のように冷媒にCO冷媒を用いた場合では、圧縮機内部の差圧が大きく、差圧による押し上げ荷重が相間絶縁紙82に作用し、相間絶縁紙82が抜けやすいため、相間絶縁紙82を強固に保持できることが特に重要となる。さらに、第1実施形態のロータリ圧縮機1のように冷媒にCO冷媒を用いた場合では、冷媒にCO冷媒を用いた場合、使用する油の粘度が高く、冷媒と共に流れる油が相間絶縁紙82に作用する衝撃力が大きく、相間絶縁紙82が抜けやすいため、相間絶縁紙82を強固に保持できることが特に重要となる。したがって、本発明は、冷媒にCO冷媒を用いた圧縮機で特に有効である。
(第2実施形態)
以下、本発明に係る固定子、モータ及び圧縮機の第2実施形態について説明する。この実施形態では、第1実施形態で説明した要素と同一の要素について同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。図8は、ステータ152の上面視図である。図9は、ウェッジ85(仕切部材)の正面視図である。
<ステータ>
図8に示すように、この実施形態のステータ152は、インシュレータ54の各突出部62〜67の各先端部62a〜67aに、ウェッジ85を保持するための保持溝が形成される点で、先に述べた第1実施形態のステータ52と相違する。また、図9に示すように、ウェッジ85は短冊形状に形成され、左端85a及び右端85bを有している。また、ウェッジ85の上端及び下端には、連結穴85c、85dがそれぞれ形成されている。
図10は、図8に示す一点鎖線で囲まれた部分(コイル73、68間に形成されたスロット内空間81の周辺部分)を拡大した図である。図10に示すように、インシュレータ54の各突出部67、62の先端部67a、62aのスロット内空間81を介して対向する外周面には、コア53の軸方向に沿って延在する一対の略矩形状の保持溝67b、62bが形成されている。
また、これらの保持溝67b、62bには、コイル73、68がスロット内空間81からコア53の径方向内側に向けてはみ出すことを規制するために、ウェッジ85の左端85a及び右端85bがそれぞれ介挿されている。なお、図10では図示を省略したが、各突出部63〜66についても、その先端部63a〜66aにおいて、それぞれ、突出部67、62と同様の保持溝が形成されると共に、ウェッジ85の左端85a及び右端85bが介挿されている。
図10に示すように、ウェッジ85上端に形成した連結穴85c(図9参照)には、連結紐86(連結部材)が通されている。この連結紐86を介して、突出部67、62間に介挿されたウェッジ85は、その他のウェッジ85、つまり、突出部62、63間、突出部63、64間、突出部64、65間、突出部65、66間、突出部66、67間にそれぞれ介挿された各ウェッジ85の上端と連結される。
なお、ここでは図示を省略したが、突出部67、62間に介挿されたウェッジ85は、その下端に形成した連結穴85d(図9参照)に、連結紐86と同様の連結紐(連結部材)が通されており、この連結紐を介して、その他の各ウェッジ85の下端に連結されている。
[第2実施形態の圧縮機の特徴]
第2実施形態のロータリ圧縮機には、以下のような特徴がある。
第2実施形態のロータリ圧縮機では、連結紐86による連結によって、各ウェッジ85を各突出部62〜67間で固定でき、各ウェッジ85が各突出部62〜67間を上下方向に抜けてしまうことを防止できる。したがって、各スロット内空間76〜81からコイル68〜73がコア53の径方向内側に向けてはみ出すことを確実に規制できる。
また、第2実施形態のロータリ圧縮機では、各ウェッジ85に連結穴85c、85dを設けることで、各ウェッジ85と連結紐86とからなる簡易な構成で、各ウェッジ85を各突出部62〜67間に固定できる。
また、第2実施形態のロータリ圧縮機のように冷媒にCO冷媒を用いた場合では、冷媒R410やR22等のCO冷媒以外の冷媒を用いた場合と比較して、単位容積当たりの冷凍能力が大きいため、そのモータの出力もより大きいものが要求される。よって、従来よりもステータ152の占積率を高める必要が生じ、電線間の距離が短くなるため、電線間の相間絶縁が特に重要になる。
また、占積率が高まると、各スロット内空間76〜81からコイル68〜73がコア53の径方向内側に向けてはみ出しやすくなるため、このようなはみ出しを規制するウェッジ85が特に重要になる。
また、第2実施形態のロータリ圧縮機のように冷媒にCO冷媒を用いた場合では、圧縮機内部の差圧が大きく、差圧による押し上げ荷重が相間絶縁紙82やウェッジ85に作用し、相間絶縁紙82やウェッジ85が抜けやすいため、相間絶縁紙82やウェッジ85を強固に保持できることが特に重要となる。さらに、第2実施形態のロータリ圧縮機のように冷媒にCO冷媒を用いた場合では、冷媒にCO冷媒を用いた場合、使用する油の粘度が高く、冷媒と共に流れる油が相間絶縁紙82やウェッジ85に作用する衝撃力が大きく、相間絶縁紙82やウェッジ85が抜けやすいため、相間絶縁紙82やウェッジ85を強固に保持できることが特に重要となる。したがって、本発明は、冷媒にCO冷媒を用いた圧縮機で特に有効である。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
なお、上述した第1実施形態では、6枚の相間絶縁紙82の全てを連結する例について述べた。本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。相間絶縁紙82は2〜6枚の範囲内にある任意の枚数を連結可能である。
なお、上述した第1実施形態では、各相間絶縁紙82を連結するための連結部材として連結紐83、84を用いる例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。例えば、連結部材は細長く加工したフィルム等で代用可能である。
なお、上述した第1実施形態では、各相間絶縁紙82の上端及び下端を連結紐83、84を用いて連結し、各相間絶縁紙82を各スロット内空間76〜81内に固定する例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。各相間絶縁紙82の上端のみを連結紐83を用いて連結し、各相間絶縁紙82を各スロット内空間76〜81内に固定してもよい。
なお、上述した第2実施形態では、6枚のウェッジ85の全てを連結する例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。ウェッジ85は2〜6枚の範囲内にある任意の枚数を連結可能である。
なお、上述した第2実施形態では、各ウェッジ85の上端及び下端を連結し、各ウェッジ85を各突出部62〜67間に固定する例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。各ウェッジ85の上端のみを連結紐86を用いて連結し、各ウェッジ85を各突出部62〜67間に固定してもよい。
なお、上述した第1及び第2実施形態では、本発明を2シリンダ型のCO冷媒用ロータリ圧縮機に適用する例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。本発明は、1シリンダ型ロータリ圧縮機にも、3シリンダ以上の圧縮機にも適用可能であり、さらに、ロータリ圧縮機以外のスクロール圧縮機等にも適用可能である。
なお、上述した第1及び第2実施形態では、CO冷媒を利用する圧縮機について説明したが、本発明はこれに限らず、CO冷媒以外の冷媒を利用する圧縮機にも本発明を適用することができる。
なお、上述した第1及び第2実施形態では、本発明を、インシュレータを用いた集中巻方式の固定子に適用する例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。本発明は、インシュレータを用いない集中巻方式の固定子にも適用可能である。
なお、上述した第1及び第2実施形態では、相間絶縁紙82やウェッジ85を、連結紐を用いて連結する例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。相間絶縁紙82やウェッジ85を、溶着で連結してもよく、あるいは、接着剤を用いて連結してもよい。
なお、上述した第1及び第2実施形態では、ローラ34及びブレードを、それぞれ、別体として構成する例について述べたが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。ローラ34及びブレードを一体として構成してもよい。
1 ロータリ圧縮機(圧縮機)
20 モータ
51 ロータ(回転子)
52、152 ステータ(固定子)
53 コア
56〜61 ティース(歯部)
68〜73 コイル(電線)
82 相間絶縁紙(仕切部材)
82a、82b、85c、85d 連結穴
83、84、86 連結紐(連結部材)
85 ウェッジ(仕切部材)

Claims (4)

  1. 集中巻方式の固定子であって、
    環状に配列されかつ電線を巻回するための複数の歯部を有するコアと、
    隣り合う2つの前記歯部間にそれぞれ配置された複数の仕切部材と、
    前記仕切部材に形成された連結穴を介して当該複数の仕切部材の全てを連結する連結部材とを備え、
    前記連結部材は、前記仕切部材と別体である第1連結紐および第2連結紐であって、
    前記複数の仕切部材の一端が前記第1連結紐によって連結されると共に、前記複数の仕切部材の他端が前記第2連結紐によって連結されることを特徴とする固定子。
  2. 請求項に記載の固定子と、
    前記コアの内側に配置された回転子とを備えることを特徴とするモータ。
  3. 請求項2記載のモータを備えたことを特徴とする圧縮機。
  4. CO冷媒を圧縮することを特徴とする請求項3記載の圧縮機。
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