発光素子として有機EL(Electroluminescence)素子を用いた平面自発光型の表示装置の開発が近年盛んに行われている。有機EL素子は、有機薄膜に電界をかけると発光するものであり、低電圧駆動で視認性もよいことから、表示装置の軽量薄膜化や低消費電力化などに寄与するものと期待されている。
この有機EL素子を用いた表示装置においては、画素回路を構成する駆動トランジスタによって有機薄膜に印加する電界の制御を行うが、この駆動トランジスタが有する閾値電圧および移動度には個体ごとにばらつきがある。そこで、これらの個体差を補正するための処理が必要となる。例えば、画素回路を構成する駆動トランジスタの閾値電圧および移動度のばらつきに対する補正機能を備える表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。ここで、駆動トランジスタの閾値電圧および移動度のばらつきに対する補正機能を備える表示装置の従来例について次図を参照して説明する。
図14は、従来の表示装置の概念図である。表示装置800は、画素アレイ部820と、ライトスキャナ(WSCN:Write SCaNner)830とを備える。また、この表示装置800は、電源スキャナ(DSCN:Drive SCaNner)840と、水平セレクタ(HSEL:Horizontal SELector)850とを備える。さらに、この表示装置800は、走査線(WSL:Write Scan Line)831と、電源線(DSL:Drive Scan Line)841と、データ線(DTL:DaTa Line)851とを備える。画素アレイ部820は、n×mの二次元マトリックス状に配列された画素回路(PXLC:PiXeL Circuit)810を備える。
走査線(WSL)831および電源線(DSL)841は、画素回路810の各行にそれぞれ配線され、データ線(DTL)851は、画素回路810の各列に配線される。走査線(WSL)831、電源線(DSL)841およびデータ線(DTL)851は、それぞれ各画素回路810に接続される。
ライトスキャナ(WSCN)830は、画素回路810を線順次走査するものである。このライトスキャナ(WSCN)830は、データ線(DTL)851から供給されるデータ信号を画素回路810に書き込むタイミングを行単位で制御するための制御信号を走査線(WSL)831に供給する。
電源スキャナ(DSCN)840は、ライトスキャナ(WSCN)830による線順次走査に合わせてH(High)レベルの電位(Vcc)とL(Low)レベルの電位(Vss)とを切り替えて電源信号として電源線(DSL)841に供給するものである。
水平セレクタ(HSEL)850は、駆動トランジスタの閾値電圧を補正するための基準信号と映像信号とを切り替えてデータ信号としてデータ線(DTL)851に供給するものである。
図15は、従来の表示装置800における画素回路の一構成例を示す模式的な回路図である。画素回路810は、書込みトランジスタ801と、駆動トランジスタ802と、保持容量803と、有機EL素子からなる発光素子804とを備える。書込みトランジスタ801のゲート端子およびドレイン端子には、それぞれ走査線(WSL)831およびデータ線(DTL)851が接続される。また、書込みトランジスタ801のソース端子には、保持容量803の一方の電極および駆動トランジスタ802のゲート端子(g)が接続される。ここでは、この接続部位を第1ノード(ND1)805とする。駆動トランジスタ802のドレイン端子(d)には、電源線(DSL)841が接続され、駆動トランジスタ802のソース端子(s)には、保持容量803の他方の電極および発光素子804のアノード電極が接続される。ここでは、この接続部位を第2ノード(ND2)806とする。
書込みトランジスタ801は、走査線(WSL)831からの制御信号に応じてデータ線(DTL)851からのデータ信号として基準信号の電位(Vofs)または映像信号の電位(Vsig)を保持容量803に書き込むものである。
駆動トランジスタ802は、電源線(DSL)841からHレベルの電位(Vcc)を受けて、保持容量803に与えられた映像信号の電位(Vsig)に応じた駆動電流を発光素子804に供給するものである。
発光素子804は、駆動トランジスタ802により発光素子804の入力端子に供給される駆動電流に応じて発光するものである。この発光素子804は、アノード電極とカソード電極とを備え、これらの間に有機層を備える。なお、発光素子804の入力端子側がアノード電極に、発光素子804の出力端子側がカソード電極に対応する。
図16は、画素回路810の基本動作に関するタイミングチャートである。ここでは、横軸を共通の時間軸として、走査線(WSL)831、電源線(DSL)841、データ線(DTL)851、第1ノード(ND1)805および第2ノード(ND2)806の電位変化を表している。なお、各期間を示す横軸の長さは模式的なものであり、各期間の時間長の割合を示すものではない。
このタイミングチャートは、画素回路810の動作の遷移をTP1からTP8の期間に便宜的に区切っている。発光期間TP8では、発光素子804は発光状態にある。この発光期間TP8の終了直前においては、走査線(WSL)831の制御信号の電位はLレベル、電源線(DSL)841の電源信号の電位はHレベル(Vcc)、データ線(DTL)851は基準信号の電位(Vofs)に設定されている。この後、線順次走査の新しいフィールドに入り、閾値補正準備期間TP1では、電源線(DSL)841の電位がLレベル(Vss)に設定される。これにより、第1ノード(ND1)805および第2ノード(ND2)806の電位が低下する。続いて、閾値補正準備期間TP2では、走査線(WSL)831の電位がHレベルに上げられ、第1ノード(ND1)805が基準信号の電位(Vofs)に初期化される。それに伴い第2ノード(ND2)806も初期化される。このように、第1ノード(ND1)および第2ノード(ND2)806を初期化することで、閾値補正動作の準備が完了する。
次に、閾値補正期間TP3では、閾値電圧補正動作が行われる。電源線(DSL)841の電位がHレベル(Vcc)に設定され、第1ノード(ND1)805と第2ノード(ND2)806との間に閾値電圧(Vth)に相当する電圧が保持される。実際には、閾値電圧(Vth)に相当する電圧(Vofs−Vth)が保持容量803に与えられる。その後、TP4では、一旦、走査線(WSL)831に供給される制御信号がLレベルの電位に落とされ、TP5では、データ線(DTL)851のデータ信号が基準信号の電位(Vofs)から映像信号の電位(Vsig)に切り替えられる。
次に、書込み期間/移動度補正期間TP6では、走査線(WSL)831の制御信号の電位がHレベルに上げられ、第1ノード(ND1)805の電位が映像信号の電位(Vsig)まで上昇する。それに対して、第2ノード(ND2)806の電位は移動度補正のための電圧(ΔV)だけ上昇する。すなわち、走査線(WSL)831の制御信号の電位がHレベルになり、書込みトランジスタ801が導通状態となるため、保持容量803の一方の電極には映像信号の電位(Vsig)が印加される。一方、保持容量803の他方の電極では、TP3において与えられていた電位(Vofs−Vth)に移動度補正のための電位(ΔV)が加えられる。これにより、保持容量803には、「Vsig−((Vofs−Vth)+ΔV)」の電圧が与えられる。
この後、発光期間TP7およびTP8では、走査線(WSL)831の制御信号の電位はLレベルに、その後、データ線(DTL)851が基準信号の電位(Vofs)に設定される。これにより、保持容量803に与えられた電圧(Vsig−Vofs+Vth−ΔV)に応じた輝度により発光素子804が発光する。この場合、保持容量803に与えられた電圧(Vsig−Vofs+Vth−ΔV)は、閾値電圧(Vth)および移動度補正のための電圧(ΔV)によって調整されている。そのため、発光素子804の輝度は、駆動トランジスタ802の閾値電圧(Vth)および移動度のばらつきの影響を受けない。なお、発光期間におけるTP7からTP8の途中までの期間では、第1ノード(ND1)805および第2ノード(ND2)806の電位は上昇する。このとき、ブートストラップ動作によって第1ノード(ND1)805と第2ノード(ND2)806との電位差(Vsig−Vofs+Vth−ΔV)は維持される。
次に、上述の画素回路810の動作の遷移について次図を参照して詳細に説明する。ここでは、図16で示したタイミングチャートのTP1乃至TP8の期間に対応する画素回路810の動作状態を示す。なお、便宜上、発光素子804の寄生容量808を図示している。また、書込みトランジスタ801をスイッチとして図示しており、走査線(WSL)831については省略している。
図17(a)乃至(c)は、TP8、TP1およびTP2の期間にそれぞれ対応する画素回路810の動作状態を示す模式的な回路図である。発光期間TP8では、図17(a)に示すように、電源線(DSL)841の電位がHレベルの電位(Vcc)の状態にあり、駆動トランジスタ802が駆動電流(Ids)を発光素子804に供給している。
次に、閾値補正準備期間TP1では、図17(b)に示すように、電源線(DSL)841の電位がHレベル(Vcc)からLレベル(Vss)に遷移する。これにより、第2ノード(ND2)806の電位が低下して、発光素子804が非発光状態となる。また、第2ノード(ND2)806の電位低下に倣うように、浮遊状態の第1ノード(ND1)805の電位が低下する。
続いて、閾値補正準備期間TP2では、図17(c)に示すように、走査線(WSL)831の電位がHレベルに遷移することにより、書込みトランジスタ801がオン(導通)状態となる。これにより、第1ノード(ND1)805の電位は、データ線(DTL)851の基準信号の電位(Vofs)に初期化される。一方、電源線(DSL)841のLレベルの電位(Vss)が基準信号の電位(Vofs)より十分に低いことから、第2ノード(ND2)806の電位は、電源線(DSL)841のLレベルの電位(Vss)に初期化される。ここでは、第1ノード(ND1)805と第2ノード(ND2)806との電位差(Vofs−Vss)が駆動トランジスタ802の閾値電圧(Vth)より大きくなるように、電源線(DSL)841のLレベルの電位(Vss)を設定する。
図18(a)乃至(c)は、TP3乃至TP5の期間にそれぞれ対応する画素回路810の動作状態を示す模式的な回路図である。
TP2に続いて、閾値補正期間TP3では、図18(a)に示すように、電源線(DSL)841の電位がHレベル(Vcc)に遷移する。これにより、駆動トランジスタ802に電流が流れることにより、第2ノード(ND2)806の電位が上昇する。そして、第1ノード(ND1)805と第2ノード(ND2)806との電位差が閾値電圧(Vth)となったところで電流が止まる(カットオフ状態となる)。このようにして、駆動トランジスタ802の閾値電圧(Vth)に相当する電圧が保持容量803に与えられる。すなわち、これが閾値電圧補正動作である。このとき、駆動トランジスタ802からの電流が発光素子804に流れないようにカソード電極の電位(Vcat)を設定する。これにより、駆動トランジスタ802の電流が保持容量803に流れるようになる。
次に、TP4では、図18(b)に示すように、走査線(WSL)831から供給される制御信号の電位がLレベルに遷移して、書込みトランジスタ801がオフ(非導通)状態となる。続いて、TP5では、図18(c)に示すように、データ線(DTL)851のデータ信号の電位が基準信号の電位(Vofs)から映像信号の電位(Vsig)に遷移する。この場合、データ線(DTL)851においては、データ線(DTL)851に接続された複数の画素回路内の書込みトランジスタが拡散容量となって、映像信号の電位(Vsig)の立ち上がりが緩やかになる。ここでは、このデータ線(DTL)851のトランジェント特性を考慮し、データ信号が映像信号の電位(Vsig)に達するまでの間、書込みトランジスタ801をオフ状態にしている。
図19(a)および(b)は、TP6およびTP7の期間にそれぞれ対応する画素回路810の動作状態を示す模式的な回路図である。
TP5に続いてTP6では、図19(a)に示すように、書込みトランジスタ801がオン状態となり、第1ノード(ND1)805の電位が映像信号の電位(Vsig)となる。これにより、駆動トランジスタ802から発光素子804の寄生容量808に駆動電流(Ids)が流れ、寄生容量808の充電が開始される。そのため、第2ノード(ND2)806の電位が上昇する。そして、第1ノード(ND1)805と第2ノード(ND2)806との電位差が「Vsig−Vofs+Vth−ΔV」となる。このようにして、映像信号の電位(Vsig)の書込み、および、移動度補正量(ΔV)の調整が行われる。ここで、映像信号の電位(Vsig)が大きいほど駆動電流(Ids)が大きくなるため、移動度補正量(ΔV)も大きくなる。したがって、輝度レベル(映像信号の電位)に応じた移動度補正を行うことができる。また、画素回路ごとの映像信号の電位(Vsig)を一定にした場合には、駆動トランジスタの移動度が大きい画素回路ほど移動度補正量ΔVも大きくなる。つまり、駆動トランジスタの移動度が大きい画素回路では、移動度が小さい画素回路に比べて駆動電流が大きくなるため、その分だけ駆動トランジスタのゲート−ソース間電圧が低くなる。したがって、駆動トランジスタの移動度が大きい画素回路では、その駆動電流が移動度の小さい画素回路と同程度の大きさに調整されるようになる。このようにして、画素回路ごとの駆動トランジスタの移動度のばらつきが取り除かれる。
次に、発光期間TP7では、図19(b)に示すように、書込みトランジスタ801がオフ状態となり、TP8では、データ線(DTL)851のデータ信号が基準信号に切り替えられる。これにより、発光素子804のアノード電極の電位が駆動トランジスタ802の駆動電流(Ids)に応じて上昇するとともに、第1ノード(ND1)805の電位も連動して上昇する。この場合、ブートストラップ動作によって、第1ノード(ND1)805と第2ノード(ND2)806との電位差(Vsig−Vofs+Vth−ΔV)は維持される。なお、TP7の期間は、書込みトランジスタ801がオフ状態になる前に、データ線(DTL)851のデータ信号が基準信号に切り替わらないように設けられた期間である。
このように、従来の表示装置における画素回路は、画素回路を構成する駆動トランジスタに対して、電源線からHレベルの電位を加えた状態においてデータ線から基準信号の電位を供給することによって閾値電圧補正を行う。その後、データ線のデータ信号を基準信号から映像信号に切り替えて、その映像信号を駆動トランジスタに供給することよって移動度補正を行う。これにより、画素回路を構成する駆動トランジスタの閾値電圧および移動度の変動に対する補正を行うことができるようになる。ここで、このような画素回路のレイアウトの一例を以下に示す。
図20は、一般的な画素のレイアウトを模式的に示す平面図である。ここでは、画素開口部861と、アノード電極862と、アノードコンタクト863とが示されている。画素開口部861は、有機層が形成されている領域である。この画素開口部861の領域から光が発生する。画素開口部861における積層構造としては、有機層の上部に全ての画素に共通のカソード電極が形成され、有機層の下部に画素ごとに区切られたアノード電極が形成される。
アノード電極862は、発光素子のアノード電極である。このアノード電極が形成される領域は、画素開口部861の領域も含んでいる。アノードコンタクト863は、駆動トランジスタのソース領域とアノード電極との間を接続するためのコンタクトである。
このような画素を形成する際には、空中に浮遊する微細な異物などが発光素子のアノード電極とカソード電極との間に付着することにより、短絡欠陥が生じて発光素子が発光しなくなる。このように、短絡欠陥により発光しなくなった発光素子のことを滅点という。このときの発光素子の等価回路は、図21における滅点である発光素子824に示すように、アノード電極とカソード電極が短絡しているため、発光素子に抵抗が並列接続される構成として表される。この場合、アノード電極の電位がカソード電極の電位とほぼ同一となり、発光素子824に駆動電流が流れなくなるため発光しなくなる。このように、アノード電極とカソード電極との間に異物が付着して発光素子が短絡すると、表示装置における画素の点欠陥として視認されてしまうという問題が生じる。
そこで、1つの画素内に発光素子と発光素子を駆動させる回路とを複数備えることによって画素を分割し、滅点による画素の点欠陥を目立たなくする手法が考えられる。例えば、画素を4つに分割した表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、1つの発光素子が短絡して滅点となっても他の3つの発光素子が発光するため、画素の点欠陥として視認され難くなる。
特開2008−083107号公報(図2)
特開2004−264633号公報(図1)
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態における表示装置100の第1の実施例の概念図である。表示装置100は、画素アレイ部200と、ライトスキャナ(WSCN)500と、電源スキャナ(DSCN)600と、水平セレクタ(HSEL)700とを備える。さらに、表示装置100は、ライトスキャナ(WSCN)500、電源スキャナ(DSCN)600および水平セレクタ(HSEL)700にそれぞれ接続された走査線(WSL)510、電源線(DSL)およびデータ線(DTL)710を備える。画素アレイ部200は、n×mの二次元マトリックス状に配列された画素回路300を備える。
走査線(WSL)510および電源線(DSL)610は、画素回路300の各行にそれぞれ配線され、データ線(DTL)710は、画素回路300の各列に配線される。また、走査線(WSL)510、電源線(DSL)610およびデータ線(DTL)710は、それぞれ各画素回路300に接続される。なお、この走査線(WSL)510、電源線(DSL)610およびデータ線(DTL)710は、それぞれ特許請求の範囲に記載の走査線、電源線およびデータ線の一例である。
ライトスキャナ(WSCN)500は、画素回路300を線順次走査するものである。このライトスキャナ(WSCN)500は、データ線(DTL)710から供給されるデータ信号を画素回路300に書き込むタイミングを行単位で制御するための制御信号を走査線(WSL)510に供給する。なお、このライトスキャナ(WSCN)500は、特許請求の範囲に記載の走査駆動回路の一例である。
電源スキャナ(DSCN)600は、ライトスキャナ(WSCN)500による線順次走査に合わせてHレベルの電位(Vcc)とLレベルの電位(Vss)とを切り替えて電源信号として電源線(DSL)610に供給するものである。なお、この電源スキャナ(DSCN)600は、特許請求の範囲に記載の電源回路の一例である。
水平セレクタ(HSEL)700は、画素回路300を構成する駆動トランジスタの閾値電圧補正を行うための基準信号と映像信号とを切り替えてデータ信号としてデータ線(DTL)710に供給するものである。なお、この水平セレクタ(HSEL)700は、特許請求の範囲に記載のデータ駆動回路の一例である。
画素回路300は、走査線(WSL)510からの制御信号に基づいて、データ線(DTL)710からの映像信号の電位を保持してその保持した映像信号の電位に応じて所定の期間発光するものである。なお、画素回路300は、赤色を発光する赤色発光副画素、緑色を発光する緑色発光副画素および青色を発光する青色発光副画素の3つの副画素から構成される。
図2は、本発明の実施の形態における表示装置100の第1の実施例における画素回路300の一構成例を示す模式的な回路図である。ここでは、画素回路300を構成する各副画素における画素開口部を2つに分割することを想定している。なお、画素回路300は、3つの副画素を備えるが、いずれの副画素に対しても画素回路300の構成を適用することができる。そのため、説明の便宜上、1つの副画素を画素回路300として説明する。また、この画素回路300として説明する副画素は、特許請求の範囲に記載の画素回路および複数の画素回路の一例である。
画素回路300は、書込みトランジスタ301と、駆動トランジスタ312および322と、保持容量313および323と、有機EL素子からなる発光素子314および324と、スイッチングトランジスタ307とを備える。
書込みトランジスタ301のゲート端子およびドレイン端子には、それぞれ走査線(WSL)510およびデータ線(DTL)710が接続される。そして、書込みトランジスタ301のソース端子には、保持容量313および323の一方の電極および駆動トランジスタ312および323のゲート端子(g)が接続される。ここでは、書込みトランジスタ301のソース端子、保持容量313の一方の電極および駆動トランジスタ312のゲート端子(g)の接続部位を第1ノード(ND11)315とする。また、書込みトランジスタ301のソース端子、保持容量323の一方の電極および駆動トランジスタ322のゲート端子(g)の接続部位を第1ノード(ND21)325とする。
駆動トランジスタ312のドレイン端子(d)には、電源線(DSL)610が接続される。そして、駆動トランジスタ312のソース端子(s)には、スイッチングトランジスタ307の一方のソースまたはドレイン端子、保持容量313の他方の電極および発光素子314の入力端子が接続される。ここでは、この接続部位を第2ノード(ND12)316とする。駆動トランジスタ322のドレイン端子(d)には、電源線(DSL)610が接続される。そして、駆動トランジスタ322のソース端子(s)には、スイッチングトランジスタ307の他方のソースまたはドレイン端子、保持容量323の他方の電極および発光素子324の入力端子が接続される。ここでは、この接続部位を第2ノード(ND22)326とする。
スイッチングトランジスタ307のゲート端子には、走査線(WSL)510が接続される。また、発光素子314および324の出力端子には、カソード線309が接続される。
書込みトランジスタ301は、走査線(WSL)510の制御信号に応じてデータ線(DTL)710からの基準信号の電位(Vofs)または映像信号の電位(Vsig)を保持容量313および323に書き込むものである。この書込みトランジスタ301は、走査線(WSL)510の制御信号の電位がHレベルのときに導通状態となり、Lレベルのときに非導通状態となる。なお、この書込みトランジスタ301は、特許請求の範囲に記載の書込みトランジスタの一例である。
駆動トランジスタ312は、電源線(DSL)610からHレベルの電位(Vcc)を受けて、保持容量313に与えられた映像信号の電位(Vsig)に応じた駆動電流を発光素子314に供給するものである。また、駆動トランジスタ322は、電源線(DSL)610からHレベルの電位(Vcc)を受けて、保持容量323に与えられた映像信号の電位(Vsig)に応じた駆動電流を発光素子324に供給するものである。この駆動トランジスタ312および322の閾値電圧および移動度のばらつきは、図16乃至19に示した閾値電圧補正動作および移動度補正動作によって補正される。また、駆動トランジスタ312および322は、Hレベルの電位(Vcc)が加えられている状態では、飽和領域において動作する。なお、この駆動トランジスタ312および322は、特許請求の範囲に記載の複数の駆動トランジスタまたは第1および第2の駆動トランジスタの一例である。
保持容量313および323は、発光素子314および324に駆動電流を供給するための電圧が与えられるものである。この保持容量313および323に与えられた電圧によって、駆動トランジスタ312および322の駆動電流の大きさが定まり、発光素子314および324の輝度が決まる。なお、この保持容量313および323は、特許請求の範囲に記載の複数の保持容量または第1および第2の保持容量の一例である。
発光素子314は、駆動トランジスタ312により発光素子314の入力端子に供給された駆動電流に応じて発光するものである。また、発光素子324は、駆動トランジスタ322により発光素子324の入力端子に供給された駆動電流に応じて発光するものである。この発光素子314および324は、アノード電極およびカソード電極を備え、これらの間に有機層を備える。なお、発光素子314および324の入力端子側がアノード電極に対応し、発光素子314および324の出力端子側がカソード電極に対応する。なお、発光素子314および324は、特許請求の範囲に記載の複数の発光素子または第1および第2の発光素子の一例である。
スイッチングトランジスタ307は、発光素子314および324のうち何れか一方が滅点となった場合には、他方の発光素子324または314の輝度を大きくするためのスイッチである。また、このスイッチングトランジスタ307は、発光素子314および324の両者が正常である場合には、発光素子314および324の輝度が等しくなるように維持する役割を果たす。具体的には、このスイッチングトランジスタ307は、閾値補正期間および移動度補正期間において第2ノード(ND12)316および第2ノード(ND22)326の電位を互いに等しくする。なお、このスイッチングトランジスタ307は、走査線(WSL)510からの制御信号の電位がHレベルのときに導通状態となり、Lレベルのときに非導通状態となる。このスイッチングトランジスタ307は、例えば、電界効果トランジスタによって実現される。また、このスイッチングトランジスタ307は、特許請求の範囲に記載のスイッチの一例である。
ここで、画素回路300における発光素子324が滅点である場合について次図を参照して説明する。
図3は、本発明の実施の形態における表示装置100の第1の実施例において発光素子324が滅点となった場合における画素回路300の模式的な回路図である。ここでは、図2に示した発光素子324に代えて滅点となった発光素子334が表されている。なお、それ以外の他の構成は、図2と同様のものであるため、ここでの詳細な説明は省略する。
発光素子334は、滅点になると、アノード電極とカソード電極が短絡したような状態となる。この滅点となった発光素子334は、アノード電極とカソード電極との電位が同等になるため、駆動トランジスタ322からの駆動電流が流れず発光しない。
この場合、滅点となった発光素子334の入力端子の電位は、その出力端子の電位(Vcat)と同等になる。ここで、例えば、移動度補正期間において、スイッチングトランジスタ307が導通状態になると、発光素子314の入力端子の電位は、滅点となった発光素子334の入力端子の電位(Vcat)と等しくなる。すなわち、保持容量313の他方の電極に対して、駆動トランジスタ312の移動度に応じた移動度補正量(ΔV)が加えられずに、滅点となった発光素子334の出力端子の電位、すなわちカソード電極の電位(Vcat)が設定されることになる。例えば、白表示における映像信号の電位(Vsig)が第1ノード(ND12)315に加えられることを想定すると、第2ノード(ND12)316の電位は、カソード電極の電位と等しくなり、移動度補正量(ΔV)を加えたときに比べて低下する。そのため、保持容量313に与えられた電圧が大きくなり、駆動トランジスタ312による駆動電流が大きくなって発光素子314の輝度が高くなる。
図4は、図3における画素回路300の動作に関するタイミングチャートである。ここでは、データ線(DTL)710から白表示における映像信号の電位(Vsig)が供給されることを想定している。また、横軸を共通の時間軸として、走査線(WSL)510、電源線(DSL)610、データ線(DTL)710、第1ノード(ND11)315および第2ノード(ND12)316の電位変化を表わしている。第1ノード(ND11)315および第2ノード(ND12)316については、図3における電位変化を実線により示し、図2における電位変化を点線により示す。また、ここでは、図16に示したTP1乃至TP8の期間に対応する期間には同様の名称を付している。なお、各期間を示す横軸の長さは模式的なものであり、各期間の時間長の割合を示すものではない。
発光期間TP8では、滅点となった発光素子334は発光せず、発光素子314のみ発光している状態にある。この発光期間TP8の終了直前においては、走査線(WSL)510の制御信号の電位はLレベル、電源線(DSL)610の電源信号の電位はHレベル(Vcc)、データ線(DTL)710は基準信号の電位(Vofs)に設定されている。この後、線順次走査の新しいフィールドに入り、閾値補正準備期間TP1では、電源線(DSL)610の電位がLレベル(Vss)に設定される。これにより、第1ノード(ND11)315および第2ノード(ND12)316の電位が低下する。
続いて、閾値補正準備期間TP2では、走査線(WSL)510の電位がHレベルに上げられ、第1ノード(ND11)315が基準信号の電位(Vofs)に初期化される。ここで、スイッチングトランジスタ307は導通状態となり、第2ノード(ND12)316の電位が発光素子334の出力端子の電位、すなわち、カソード電極の電位(Vcat)に設定される。これにより、第2ノード(ND12)316の電位(Vcat)は、図2における画素回路300に比べて電位が上昇する。
次に、閾値補正期間TP3では、走査線(WSL)510の電位がHレベルの状態にあるため、スイッチングトランジスタ307は導通状態のままである。そのため、閾値電圧補正動作は行われず、第2ノード(ND12)316の電位にはカソード電極の電位(Vcat)が維持される。なお、図2における画素回路300においては、閾値電圧補正動作が行われ、第1ノード(ND11)315および第2ノード(ND12)316の間に閾値電圧(Vth)に相当する電圧が保持される。このときの第2ノード(ND12)316の電位(Vcat)は、図2における画素回路300より高い状態が維持される。その後、TP4では、一旦、走査線(WSL)510の制御信号がLレベルの電位に落とされ、TP5では、データ線(DTL)710のデータ信号が基準信号の電位(Vofs)から映像信号の電位(Vsig)に切り替えられる。このTP4およびTP5では、図3における画素回路300の第2ノード(ND12)316の電位はカソード電極の電位(Vcat)に維持される。
次に、書込み期間/移動度補正期間TP6では、走査線(WSL)510の電位がHレベルに上げられ、第1ノード(ND11)315の電位は、映像信号の電位(Vsig)まで上昇する。また、第2ノード(ND12)316の電位は、スイッチングトランジスタ307が導通状態となるため、カソード電極の電位(Vcat)が維持される。ここで、図2における画素回路300においては、移動度補正動作が行われるため、第2ノード(ND12)316の電位が駆動トランジスタ312の移動度に応じた移動度補正量(ΔV)だけ上昇する。そのため、図3における画素回路300の第2ノード(ND12)316の電位(Vcat)は、TP6の終了時において図2における画素回路300に比べて低くなる。これにより、図2における画素回路300に比べて第1ノード(ND11)315の電位と第2ノード(ND12)316の電位との電位差(Vsig−Vcat)が大きくなり、保持容量313に与えられる電圧が大きくなる。
この後、発光期間TP7およびTP8では、走査線(WSL)510の電位がLレベルに落とされ、駆動トランジスタ312により保持容量313に与えられた電圧(Vsig−Vcat)に応じた駆動電流が発光素子314に供給される。そして、発光素子314は、その駆動電流に応じた輝度により発光する。このとき、図3における画素回路300においては、上述のとおり、保持容量313に与えられた電圧(Vsig−Vcat)が図2における保持容量313に与えられた電圧(Vsig−Vofs+Vth−ΔV)より大きくなる。これにより、図3における発光素子314は、図2における発光素子314に比べて駆動トランジスタ312からの駆動電流が大きくなるため、輝度が高くなる。
また、発光期間におけるTP7からTP8の途中までの期間では、第1ノード(ND11)315および第2ノード(ND12)316の電位が上昇する。このとき、ブートストラップ動作によって第1ノード(ND11)315と第2ノード(ND12)316との電位差(Vsig−Vcat)は維持される。また、駆動トランジスタ312により供給される駆動電流が図2における駆動電流より大きくなるため、図3における第2ノード(ND12)316の電位は、図2における第2ノード(ND12)316の電位より高くなる。なお、TP7からTP8では、スイッチングトランジスタ307は、走査線(WSL)510の電位がLレベルに落とされているため、非導通状態になっている。
このように、スイッチングトランジスタ307を用いることによって、滅点となった発光素子334を含む画素回路300においては、閾値電圧補正および移動度補正の動作が行われないことから、保持容量313に与えられる電圧が大きくなる。これにより、駆動トランジスタ312により供給される駆動電流が大きくなり、発光素子314の輝度が高くなる。そして、滅点となった発光素子334による輝度低下分を補うことができるようになる。
なお、図3および図4においては、図2における発光素子324が滅点となった場合を例にして説明したが、図2における発光素子314が滅点となった場合においても同様に動作する。この場合にも、保持容量323に与えられる電圧が「Vsig−Vcat」となり、図2における保持容量313および323に比べて大きくなる。これにより、発光素子324の輝度が大きくなり、滅点となった発光素子334の輝度分を補うことができるようになる。
なお、本発明の実施の形態における第1の実施例では、画素回路300を構成する各副画素の画素開口部を2つに分割することを想定したが、各副画素の画素開口部を3つ以上に分割するようにしてもよい。例えば、画素開口部を3つに分割することを想定すると、画素回路300は、駆動トランジスタ322、保持容量323、スイッチングトランジスタ307および発光素子324と同様の構成を新たに1つ備えることによって実現することができる。
また、本発明の実施の形態における第1の実施例では、図3における画素回路300において、白表示における映像信号の電位を加えたときの輝度が、図2における画素回路300の白表示における輝度に比べて高くなりすぎる場合がある。そこで、図3における画素回路300に対して、以下のように、白表示における輝度を所定の範囲に収まるように設定してもよい。なお、ここでは、表示装置100の製品検査時などにおいて、図3における画素回路300を検出し、その画素回路300の輝度レベルを調整することを想定している。
図5は、画素回路300の輝度と映像信号の電位との関係例を示すグラフである。上述のように、本発明の実施の形態における第1の実施例によれば、1つの発光素子が滅点となった場合に、他の発光素子の輝度が高くなる。ただし、各発光素子の輝度には個体差があるため、場合によっては輝度が高くなり過ぎることも考えられる。そこで、以下では図3における滅点となった発光素子334を含む画素回路300の輝度が白表示の映像信号の電位(Vsig)において所定のレベルより高くなってしまった場合を想定して、その対処法について説明する。また、図2における画素回路300の輝度特性330が実線により示され、図3における画素回路300の輝度特性340が点線により示されている。ここでは、横軸をデータ線(DTL)710から供給される映像信号の電位(Vsig)とし、縦軸を輝度(L)としている。
図2における画素回路300の輝度特性330は、図2における発光素子314および324の両者が正常に発光する画素回路300の輝度特性である。この輝度特性330においては、閾値電圧補正動作が行われるため、始点が原点から始まる。
一方、図3における画素回路300の輝度特性340は、図3における滅点となった発光素子334を含む画素回路300の輝度特性である。この輝度特性340においては、閾値電圧補正動作が行われないため、輝度特性340の始点がVth+Vcatだけ右側に移動する。また、輝度特性340の傾きは、移動度補正動作が行われないため、図2における輝度特性330に比べて急峻になる。
この場合、図2における画素回路300では、2つの発光素子314および324が正常に発光するため、白表示における映像信号の電位がVsigwである場合には白発光輝度になる。一方、図3における画素回路300では、白表示における映像信号の電位としてVsigwが加えられると、白発光輝度より高くなってしまう。そこで、滅点となった発光素子334を含む画素回路300においては、白表示における映像信号の電位をVsigwからΔVsig1だけ低下させる。すなわち、水平セレクタ(HSEL)700において、その画素回路300に対する映像信号の電位(Vsig)の上限値が「Vsigw−ΔVsig1」に設定される。これにより、白表示における映像信号の電位を白発光輝度に設定することができる。
なお、図5において映像信号の電位(Vsig)を調整することによって、図3における画素回路300の白表示を適正な輝度レベルに設定する例を示したが、黒付近の色の表示を極力適正に表すために、以下のように、調整するようにしてもよい。
図6は、カソード電極に印加される電位を下げた場合における画素回路300の輝度と映像信号の電位との関係例を示すグラフである。図5に示したように、図3における画素回路300の輝度特性340は、閾値電圧補正動作が行われないため、輝度特性の始点がVth+Vcatだけ右側に移動する。そのため、輝度特性340を有する図3における画素回路300においては、黒付近の色が適正に表示されないことが考えられる。そこで、その対処法について説明する。図2における輝度特性330が実線により示され、図3における輝度特性350が点線により示されている。ここでは、横軸をデータ線(DTL)710から供給される映像信号の電位(Vsig)とし、縦軸を輝度(L)としている。
図2における輝度特性330は、図2における発光素子314および324が正常に発光する画素回路300の輝度特性である。この輝度特性330は、図5で述べたとおり、閾値電圧補正動作が行われるため、始点が原点から始まる。一方、図3における輝度特性350は、カソード電極に印加される電位(Vcat)を下げたときの図3における画素回路300の輝度特性である。
このように、カソード電極の電位(Vcat)を下げることによって、図5に示した輝度特性340の始点を原点に移動させることができる。これにより、図3における滅点となった発光素子334を含む画素回路300は、黒付近の色の表示をより適正に表すことができるようになる。なお、この場合、カソード電極の電位(Vcat)を下げることによって、白表示における輝度レベルがさらに高くなる。そこで、図5と同様の手法により、映像信号の電位(Vsig)をVsigwからΔVsig2だけ下げることによって、白表示における映像信号の電位を白発光輝度に設定するようにしてもよい。
また、図5および図6に示した手法の他に、図3における画素回路300を適正な輝度レベルにする手法として、図3における輝度特性340を図2における輝度特性330になるように、映像信号の電位(Vsig)を補正するようにしてもよい。ここで、映像信号の電位(Vsig)の補正について次図を参照して説明する。
図7は、本発明の実施の形態における表示装置100の第1の実施例における水平セレクタ(HSEL)700の変形例を示すブロック図である。水平セレクタ(HSEL)700は、補正前の映像信号(Vorg)が入力される映像信号線701と、データ線(DTL)710と、補正特性保持部720と、信号補正回路730と、信号ドライバ740と、基準信号線741と、切替制御線742とを備える。ここでは、画素回路300を適正な輝度レベルに調整するために、補正前の映像信号(Vorg)と画素回路300の輝度(L)とが比例関係となるように映像信号の電位(Vsig)を補正することを想定している。
補正特性保持部720は、映像信号の原信号である補正前の映像信号(Vorg)と画素回路300の輝度(L)とを比例関係にするための補正特性のデータを保持するものである。この補正特性保持部720は、図2における画素回路300の補正特性および図3における画素回路300の補正特性をそれぞれ保持する。さらに、補正特性保持部720は、滅点となった発光素子334を含む画素回路300の表示画面上における位置(例えば第n行目の第m列目)を滅点位置として保持する。なお、ここでは、図2における画素回路300の補正特性、図3における画素回路300の補正特性および滅点位置は、補正特性保持部720に予め保持しておくことを想定している。
信号補正回路730は、補正特性保持部720に保持されている補正特性を用いて補正前の映像信号(Vorg)を補正することによって映像信号の電位(Vsig)を生成するものである。例えば、信号補正回路730は、補正特性保持部720に保持されている滅点位置に対応する画素回路300に対して、図3における画素回路300の補正特性を用いて補正前の映像信号(Vorg)を補正する。また、信号補正回路730は、滅点位置以外の画素回路300に対して、図2における画素回路300の補正特性を用いて補正前の映像信号(Vorg)を補正する。この信号補正回路730は、生成した映像信号の電位(Vsig)を信号ドライバ740に供給する。
信号ドライバ740は、信号補正回路730により供給された映像信号の電位(Vsig)と基準信号線741からの基準信号の電位(Vofs)とを切替制御線742からの制御信号に基づいて切り替えることによってデータ信号を生成するものである。この信号ドライバ740は、生成したデータ信号をデータ線(DTL)710に供給するものである。
このように、滅点となった発光素子334を含む画素回路300の補正特性を用いることによって、図3における画素回路300は、図5に示した図2における輝度特性330と同様の輝度特性を有するようになる。すなわち、図3における画素回路300は、適正な輝度により表示することができるようになる。ここで、補正特性保持部720に保持される補正特性の一例について次図を参照して簡単に説明する。
図8は、図7における補正特性保持部720に保持される補正特性の一例を示すグラフである。ここでは、図2における画素回路300の補正特性331が実線により示され、図3における画素回路300の補正特性341が点線により示されている。また、縦軸を映像信号の電位(Vsig)とし、横軸を補正前の映像信号(Vorg)としている。
図2における画素回路300の補正特性331は、図2における発光素子314および324の両者が正常に発光する画素回路300の補正特性である。なお、この図2における画素回路300の補正特性331を用いて映像信号の電位(Vsig)を生成すると、図2における画素回路300は、図5に示した輝度特性330を有し、適正な輝度により発光する。一方、図3における画素回路300は、図2における画素回路300の補正特性331を用いて生成された映像信号の電位(Vsig)が供給されると、図5に示した輝度特性340を示す。
図3における画素回路300の補正特性341は、滅点となった発光素子334を含む画素回路300の補正特性である。この図3における画素回路300の補正特性341を用いて映像信号の電位(Vsig)を生成すると、図3における画素回路300は、図5に示した輝度特性330を有し、適正な輝度により発光する。なお、駆動トランジスタの特性により映像信号の電位(Vsig)と画素回路300の輝度(L)との関係は2次関数によって表される。そのため、補正特性331および341は、補正前の映像信号(Vorg)と画素回路300の輝度(L)とを比例関係にするために、その逆関数を用いて輝度特性330および340を変換することによって求められる。
このように、図3における画素回路300においては、補正特性保持部720に保持されている補正特性341により生成された映像信号の電位(Vsig)がデータ線(DTL)710を介して供給される。これにより、図3における画素回路300は、適正な輝度により発光することができるようになる。
以上より、本発明の実施の形態における第1の実施例では、2分割した画素回路300において2つの発光素子の入力端子間の接続の有無を切り替えるスイッチングトランジスタ307を備える。これにより、一方の発光素子が滅点になったとしても、映像信号の電位(Vsig)を高くせずに、他方の発光素子の輝度を高くすることができる。したがって、滅点を含む画素回路300を点欠陥として視認させ難くすることができるようになる。
次に、本発明の実施の形態における表示装置100の第2の実施例について次図を参照して説明する。
図9は、本発明の実施の形態における表示装置100の第2の実施例の概念図である。表示装置100は、図1に示した画素回路(PXLC)300に代えて画素回路(PXLC)400を備える。ここでは、画素回路400以外の他の構成は、図1と同様のものであるため、ここでの説明を省略する。
画素回路400は、走査線(WSL)510からの制御信号に基づいて、データ線(DTL)710からの映像信号の電位(Vsig)を保持してその保持した映像信号の電位(Vsig)に応じて所定の期間発光するものである。なお、画素回路400は、赤色を発光する赤色発光副画素、緑色を発光する緑色発光副画素および青色を発光する青色発光副画素の3つの副画素から構成される。
図10は、本発明の実施の形態における表示装置100の第2の実施例における画素回路400の一構成例を示す模式的な回路図である。画素回路400は、図2に示した画素回路300の構成に加えて書込みトランジスタ401を備える。なお、ここでは、書込みトランジスタ401以外の他の構成は、図2に示したものと同様であるため、ここでの説明を省略する。なお、画素回路400は、3つの副画素を備えるが、この3つの副画素の構成は同じものである。そのため、説明の便宜上、1つの副画素を画素回路400として説明する。また、この画素回路400として説明する副画素は、特許請求の範囲に記載の画素回路および複数の画素回路の一例である。
書込みトランジスタ401のゲート端子およびドレイン端子には、それぞれ走査線(WSL)510およびデータ線(DTL)710が接続される。そして、書込みトランジスタ301のソース端子には、保持容量323の一方の電極および駆動トランジスタ322のゲート端子(g)が接続される。また、書込みトランジスタ301のソース端子には、保持容量313の一方の電極および駆動トランジスタ312のゲート端子(g)が接続される。
書込みトランジスタ401は、走査線(WSL)510の制御信号に応じてデータ線(DTL)710のデータ信号として基準信号の電位(Vofs)または映像信号の電位(Vsig)を保持容量313および323に書き込むものである。この書込みトランジスタ401は、例えば、走査線(WSL)510からの制御信号の電位がHレベルのときに導通状態となり、Lレベルのときに非導通状態となる。なお、書込みトランジスタ401は、特許請求の範囲に記載の複数の書込みトランジスタの一例である。
このように、本発明の実施の形態における第2の実施例では、発光素子314および324にそれぞれ対応する書込みトランジスタ301および401を備える。これにより、例えば、書込みトランジスタ301が短絡欠陥となっても、書込みトランジスタ401は正常に動作する。したがって、書込みトランジスタ401が動作することによって発光素子324は正常に発光するため、画素回路400の点欠陥を目立たなくさせることができる。
以上より、本発明の実施の形態によれば、駆動トランジスタ312および322と、保持容量313および323と、発光素子314および324と、スイッチングトランジスタ307とを備える。これにより、滅点となった発光素子334を含む画素回路においては、水平セレクタ(HSEL)700から供給される映像信号の電位(Vsig)を高くせずに、滅点でない発光素子314または324の輝度を高くすることができる。なお、滅点となった発光素子334を含まない画素回路においては、駆動トランジスタ312および322の閾値電圧および移動度の補正を行うことができる。
また、画素回路の分割数を増やすことなく、滅点による画素回路の輝度の低下分を補うことができるため、高い歩留まりが期待できる。さらに、水平セレクタ(HSEL)700の映像信号の電位を高くせずに、滅点による画素回路の輝度の低下分を補うことができるため、耐圧性能の高い水平セレクタを用いる必要がなく、低コストにより実現することがきる。
なお、本発明の実施の形態における表示装置100の第1の実施例では、画素回路300を備える表示装置100について説明したが、画素回路300以外の構成の画素回路を備える表示装置に対しても適用することができる。ここで、画素回路300以外の他の画素回路の構成例として画素回路440について次図を参照して簡単に説明する。
図11は、本発明の実施の形態における表示装置100の第1の実施例における画素回路440の一構成例を示す模式的な回路図である。表示装置100は、図2に示した電源スキャナ(DSCN)600および電源線(DSL)610に代えて電源スキャナ(DSCN)620、電源制御線(DSL)621および第1トランジスタ622および623を備える。なお、電源スキャナ(DSCN)620、電源制御線(DSL)621および第1トランジスタ622および623以外の他の構成は、図2に示したものと同様であるため、ここでの説明を省略する。
電源スキャナ(DSCN)620は、第1トランジスタ622および623を制御するための制御信号を電源制御線(DSL)621に供給するものである。第1トランジスタ622および623は、電源制御線(DSL)621からの制御信号に応じて駆動トランジスタ312および322に電源電位(Vcc)をそれぞれ供給するものである。
さらに、本発明の実施の形態における表示装置100の第1の実施例における画素回路300以外の構成として上述のように画素回路440を示したが、以下に示す画素回路450を備える表示装置に対しても適用することができる。
図12は、本発明の実施の形態における表示装置100の第1の実施例における画素回路450の一構成例を示す模式的な回路図である。表示装置100は、図11に示した構成に加えて第1補正スキャナ630、第2トランジスタ制御線(AZ1)631および第2トランジスタ632を備える。なお、第1補正スキャナ630、第2トランジスタ制御線(AZ1)631および第2トランジスタ632以外の他の構成は、図11に示したものと同様であるため、ここでの説明を省略する。
第1補正スキャナ630は、第2トランジスタ632を制御するための制御信号を第2トランジスタ制御線(AZ1)631に供給するものである。第2トランジスタ632は、第2トランジスタ制御線(AZ1)631からの制御信号に応じて第2ノード(ND12)316および326に初期化するための電位(Vss)を設定するものである。
さらに、本発明の実施の形態における表示装置100の第1の実施例における画素回路300以外の構成として上述のように画素回路450を示したが、以下に示す画素回路460を備える表示装置に対しても適用することができる。
図13は、本発明の実施の形態における表示装置100の第1の実施例における画素回路460の一構成例を示す模式的な回路図である。表示装置100は、図12に示した水平セレクタ(HSEL)700、データ線(DTL)710に代えて水平セレクタ(HSEL)750およびデータ線(DTL)751を備える。さらに、表示装置100は、第2補正スキャナ760、第3トランジスタ制御線(AZ2)761および第3トランジスタ762を備える。なお、水平セレクタ(HSEL)750、データ線751、第2補正スキャナ760、第3トランジスタ制御線(AZ2)761および第3トランジスタ762以外の他の構成は、図12に示したものと同様であるため、ここでの説明を省略する。
水平セレクタ(HSEL)750は、映像信号の電位(Vsig)をデータ線751に供給するものである。第2補正スキャナ760は、第3トランジスタ762を制御するための制御信号を第3トランジスタ制御線(AZ2)761に供給するものである。第3トランジスタ762は、第3トランジスタ制御線(AZ2)761からの制御信号に応じて第1ノード(ND11)315および325に基準信号の電位(Vofs)を設定するものである。
なお、本発明の実施の形態における表示装置100の第2の実施例では、画素回路400を備える表示装置100について説明したが、画素回路400以外の構成の画素回路を備える表示装置に対しても適用することができる。例えば、図11乃至13に示したように、画素回路440乃至460の構成にそれぞれ書込みトランジスタ401を加えるようにしてもよい。
なお、本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、上述のように特許請求の範囲における発明特定事項とそれぞれ対応関係を有する。ただし、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。