JP5499231B2 - ラクトバチルス・プランタラムを含有する動物用飼料組成物、該組成物を含有する動物用配合飼料及び前記ラクトバチルス・プランタラムを動物腸管内で維持又は増殖させる方法 - Google Patents

ラクトバチルス・プランタラムを含有する動物用飼料組成物、該組成物を含有する動物用配合飼料及び前記ラクトバチルス・プランタラムを動物腸管内で維持又は増殖させる方法 Download PDF

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Description

本発明は、ラクトバチルス・プランタラムを含有する動物用飼料組成物、詳しくは牛、豚等の動物に給与する生乳、代用乳、乾牧草等とともに、単独或いは混合して給与するラクトバチルス・プランタラムを含有する飼料組成物に関する。また、その飼料組成物を含有する動物用配合飼料、及び前記ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)の生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させる方法に関する。
近年、畜産農家の経費の増加を抑えるため、動物の飼育に余剰の生乳や安価な代用乳、農産加工副産物等を使用する場合が増えている。しかしながら、生乳や安価な代用乳等だけでは、移動、疾病及び飼養環境等に起因するストレスなどの要因により下痢を生じたり、体重増加が伸びずに生産性が低下するリスクを回避することができず、しばしば、畜産農家は経済的に損失を被っている。そこで、これらの生乳や代用乳に、様々な機能性素材を添加することによって、これらのリスクを低下させる技術が求められている。
一方、飼育頭数の多頭化や人手不足等の背景から、作業性改善の目的で、自動哺乳機等の自動飼料給与装置の普及が進んでいる。このため、添加される飼料組成物については、添加量が少量で済むように高濃度で機能性素材を含み、溶解性・分散性・流動性に優れた飼料組成物が求められている。機能性素材によっては、高濃度に含有させた飼料組成物の場合には溶解性等が悪化し、取扱い難くなる場合がある。
その中で、従来から開発・利用されている乳酸菌等の微生物製剤は比較的少量で効果を発揮する点で、一般的に動物全体に利用されており、特に、腸内細菌叢(腸内フローラ)の形成が未熟な仔牛・子豚等の幼動物に給与する代用乳等への利用が期待されている。
乳酸菌の内、植物性乳酸菌であるラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)(以後、L.plantarum)は、古くからプロバイオティクスとして用いられている微生物であり、最近、抗酸化剤(特許文献1)や免疫賦活剤(特許文献2)としての効果が認められている。さらに、特定の菌株(L.plantarum HOKKAIDO株)を利用した、体重増加量向上や下痢・軟便の治療・予防のための飼料(特許文献3)も開発されている。
特開2006−291146号公報 特開2008−99632号公報 特許2008−48683号公報 Bergy’s Manual(P.H.A Sneath et al.,Bergy’s Manual of syst.Bacteriol.vol.2,Williams & Wilkins,1986) 中川良二、PCR法を用いた植物性乳酸菌Lactobacillus plantarum HOKKAIDOの識別、北海道立食品加工研究センター報告、7、47−49頁(2007年)
しかしながら、L.plantarum等の植物性乳酸菌は動物の消化管においては、胃酸、胆汁酸等の影響により、必ずしも良好に生残したり、増殖できるとは限らず、給与したL.plantarumの生菌が動物の腸管内で維持又は増殖しないために、特許文献1〜3等において期待される効果を十分に発揮できない場合がある。特に、乳成分主体の食餌を摂取している幼動物の腸管環境は植物性乳酸菌の生育にとって特に快適な環境とは言えず、問題となる可能性が高い。一方、L.plantaramの効果を十分に発揮させるために、L.plantarumの給与量を増大させるとコストの増加により動物の生産性が低下することになる。
そこで、本発明者らはL.plantarumを動物の腸管内で良好に生残・増殖させるために、他の機能性素材と組み合せることを検討した。上述のように、その機能性素材を高濃度に含有させた飼料組成物であっても取扱いに悪影響を及ぼさないように、一般に溶解性・分散性が良好で、高濃度の飼料組成物としても取り扱い易い点でオリゴ糖類について検討した。しかしながら、単純に併用しても良好な結果は得られなかった。
一般に、L.plantarumはラムノース、キシロース以外の炭水化物を発酵分解する性質を有しているので(非特許文献1)、一般的なオリゴ糖を資化することはできる。しかしながら、L.plantarumとオリゴ糖を組み合せて、動物に給与した場合に給与したL.plantarumにどのような影響が生じるか明らかではない。
従って、本発明の目的は、植物性乳酸菌L.plantarumを動物に給与した際に、L.plantarumの生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させることができる動物用飼料組成物、その動物用飼料組成物を含有する動物用配合飼料、及びL.plantarumの生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させる方法を提供することにある。
上記目的は、L.plantarum、マンガン及びオリゴ糖を含有し、前記L.plantarumの生菌数が10 5 〜10 12 CFU/gであり、前記マンガンの含有量が0.001〜50重量%であり、前記オリゴ糖の含有量が0.1〜99重量%であり、前記オリゴ糖がセロオリゴ糖であることを特徴とする動物用飼料組成物によって達成される。
この動物用飼料組成物を動物に給与することで、動物の消化管における胃酸や胆汁酸等によるL.plantarumの死滅を低減することができ、動物に給与するL.plantarumの生菌を適正に確保することができるので、L.plantarumの生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させることができる。
本発明に係る動物用飼料組成物の好ましい態様は以下の通りである。
(1)対象とする動物が幼動物であることを特徴とする。子牛・子豚等の幼動物は乳成分主体の食餌を摂取しており、その腸管環境は植物性乳酸菌にとって快適な環境とは言えないので、本発明の動物用飼料組成物によって、L.plantarumの生菌を維持又は増殖させる対象として効果的である。
)対象とする動物が哺乳期の牛であることを特徴とする。哺乳期の牛は、ルーメンが発達していないので、ルーメンの影響によるL.plantarumの死滅がなく、本発明の動物用飼料組成物によってL.plantarumの生菌を維持又は増殖させる対象として特に適している。
)前記L.plantarumL.plantarum HOKKAIDO株(FERM P−19645)であることを特徴とする。L.plantarum HOKKAIDO株(FERM P−19645)は、動物の消化管における胃酸や胆汁酸に対する抵抗性が高いので、本発明の動物用飼料組成物によって動物の腸管内において維持又は増殖させるL.plantarumとして特に適している。
また、上記目的は、本発明の動物用飼料組成物を含有することを特徴とする動物用配合飼料によっても達成される。この動物用配合飼料は本発明の動物用飼料組成物を含有しているので、この動物用配合飼料を動物に給与することにより、L.plantarumの生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させることができる。
また、上記目的は、本発明に係る動物用飼料組成物又は本発明に係る動物用配合飼料を動物に給与することを特徴とするL.plantarumの生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させる方法によっても達成される。これにより、動物の消化管における胃酸や胆汁酸等によるL.plantarumの死滅を低減することができるので、畜産農家において容易にL.plantarumの生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させることができる。
本発明によれば、L.plantarumの生菌を動物の腸管内において良好に維持又は増殖させることができるので、L.plantarumの抗酸化、免疫賦活作用、体重増加量向上や下痢・軟便の治療・予防の効果等の機能を十分に発揮させることができ、動物を健康的に飼育したり、安全且つ効率的に畜産物を生産することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明において使用されるL.plantarumは、生菌剤として利用可能な菌株であれば特に限定はない。また、抗酸化、免疫賦活作用、体重増加量向上や下痢・軟便の治療、自己免疫疾患予防等の菌株が備えた機能や性質には限定されないが、耐酸性や胆汁耐性等に優れたL.plantarumの菌株が好ましい。例えばL.plantarum HOKKAIDO株(FERM P−19645)、L.plantarum 基準株(JCM1149T)、L.plantarum IFO3070株等が挙げられる。特に本発明において、生菌が動物の腸管内で維持又は増殖する効果が高い点で、L.plantarum HOKKAIDO株(FERM P−19645)が好ましい。
本発明において使用されるL.plantarumの調製は、L.plantarumの生育、保存安定性、耐酸性、胆汁耐性等に悪影響がなければ特に限定されない。例えば、特許文献3に開示された方法を使用することができる。
L.plantarumの培養には、一般的なMRS培地、GYP培地、BLB培地等の乳酸菌用培地の他、果汁、野菜等の搾り汁、乳製品、牧草や穀物等の熱水抽出液、加水して加熱殺菌した糟糠類分散物等、乳酸菌の増殖を抑制せず、安全な素材であれば基本的に使用することができる。家畜用には、BSE対策上、動物由来材料を含有していない培地の使用が望ましい。また、培地は、接種前に滅菌することが望ましいが、物理的、化学的、生物学的な要因により、目的の菌株以外の微生物の生育を抑制できる場合には、必ずしも滅菌する必要はない。
培養条件は、L.plantarumの生残性が良好であれば特に限定されないが、一般に、温度は25℃〜42℃の範囲が好ましく、30℃〜37℃の範囲がより好ましい。培地のpHは、6〜8の範囲に制御されるのが好ましく、6〜7の範囲に制御されるのがより好ましい。菌株の接種量は、培地の重量又は体積に対して接種源が0.01%〜10%の濃度が好ましく、0.1〜5%の濃度がより好ましい。初発菌数は、104〜1010CFU/gの範囲が好ましく、106〜108CFU/gの範囲がより好ましい。培養時間は、10時間〜10日の範囲が好ましく、1〜4日の範囲がより好ましい。これ以外の条件でも、培地等他の条件を組み合わせて実施することができる。
本発明では、上述の培養液そのものを懸濁液状の生菌剤とすることができる。また、培養液を濃縮することにより生菌剤とすることもできる。濃縮は、ろ過法や遠心分離法等の公知の方法で行うことができる。また、培養液を希釈することにより生菌剤とすることができる。希釈には、水、果汁、野菜等の搾り汁、乳製品、牧草や穀物等の熱水抽出液、加水して加熱殺菌した糟糠類分散物等を使用することができる。
また、培養液を遠心分離して菌体を採集し、滅菌した生理食塩水等で洗浄した後、通風乾燥、熱風乾燥、噴霧乾燥、流動層乾燥、真空凍結乾燥等の公知の方法により乾燥し、乾燥粉末の形態の生菌剤とすることもできる。乾燥に先立って、菌株を基材に固定することもできる。基材は、L.plantarumの生存に影響を与えない限り、有機物でも無機物でも良く、多糖類、澱粉、炭酸カルシウム、スキムミルク等の乳製品の他、市販の豆乳等も使用することができる。基材への固定は、培養液やその濃縮物又は希釈物を基材に混合、塗布、被覆、浸透、又は噴霧すること等により行うことができる。
乾燥粉末は、公知の方法により、造粒しても良く、押出成形、打錠成形等によりペレット化しても良く、またマイクロカプセル化した生菌剤としても良い。カプセル化のためには、ゼラチン、レシチン、ステアレート類、アルギナート類、トラガカンス、アラビアゴム、変性澱粉、セルロース、パルミチン等を使用することができる。
また、生菌剤の製造と同様に、培養後、加熱等により殺菌した死菌体を生菌剤に混合して使用することもできる。
本発明において使用されるマンガンの供給源は、動物の嗜好性、飼料組成物の溶解性、流動性、保存安定性等に悪影響を与えないものであれば、特に限定されない。例えば、金属マンガン、マンガン塩、マンガン含有食品素材、マンガン含有微生物菌体、キレート化されたマンガンなどが使用できる。マンガン塩としては、炭酸マンガン、酢酸マンガン、塩化マンガン、硫酸マンガン、シュウ酸マンガン、硝酸マンガン等が使用できる。マンガン含有食品素材としては、食塩、穀類、野菜類、果実類、魚介類、海藻類等が使用できる。マンガン含有微生物菌体としては、乳酸菌類、酵母類、納豆菌等が使用できる。キレート化されたマンガンとしては、アミノ酸キレートマンガン等が使用できる。または、これらのマンガン供給源を含有する飼料が使用できる。これらのマンガン供給源は、飼料添加物グレードのマンガン、例えば炭酸マンガンが好ましい。
参考として、本発明においてオリゴ糖は、グルコース、フラクトース、ガラクトース等の単糖類が2〜10個つながったものを意味し、動物の嗜好性、飼料組成物の溶解性、流動性、保存安定性等に悪影響を与えない限り、特に限定されない。例えば、セロオリゴ糖(セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオース等)、ゲンチオオリゴ糖、ラミナリオリゴ糖、フラクトオリゴ糖(1−ケストース、ニストース、フラクトシルニストース等)、トレハルロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖、グルコシルスクロース、ラクトスクロース、テアンデロース、ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、コージオリゴ糖、トレハロース、サイクロデキストリン、分岐サイクロデキスリン、キシロオリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、スタキオース、ラフィノース、レバンオリゴ糖、マンノオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、アガロオリゴ糖、ネオアガロオリゴ糖等のオリゴ糖を単独又はこれらを組み合わせて使用することができる。これらのオリゴ糖は公知の方法で製造して使用しても良いが、市販のものを使用することができる。また、公知の方法により、デンプン、セルロース、ヘミセルロース、グルカン、キチン、キトサン、マンナン、キシラン、ペクチン、寒天、グアガム、キサンタンガムなどを加水分解して得られるオリゴ糖、さらに、市販のオリゴ糖を酵素等により転移及び/又は重合させて得られる、未精製又は粗精製のオリゴ糖を使用しても良い。また、これらのオリゴ糖を含有する飼料も使用できる。これらのオリゴ糖は、病原性細菌の利用性が低いオリゴ糖が好ましい。
本発明において使用されるオリゴ糖は、よりL.plantarumの生菌を動物の腸管内で良好に生残又は増殖させる点で、セロオリゴ糖である。
本発明の動物用飼料組成物は、L.plantarum、マンガン及びオリゴ糖を動物の嗜好性、飼料組成物の溶解性、流動性、保存安定性等に悪影響を与えず、動物に給与するL.plantarumの生菌を適正に確保し、よりL.plantarumの生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させるため、動物用飼料組成物の重量を基準として、L.plantarum10 5 〜10 12 CFU/g、マンガンが0.001〜50重量%、オリゴ糖が0.1〜99重量%含有している。なお、マンガン、オリゴ糖の供給源として、各成分を含有する原料を使用する場合は、各成分の含有量を計算して、動物用飼料組成物を調製する。
マンガンの含有量は、さらに有効にL.plantarumの死滅を低減し、よりL.plantarumの生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させるために、さらに0.01〜10重量%が好ましい。
オリゴ糖の含有量は、さらに有効にL.plantarumの死滅を低減し、よりL.plantarumの生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させるために、さらに1〜75重量%が好ましい。
本発明の動物用飼料組成物は、他の有用な微生物が含まれていても良い。例えば、いわゆるプロバイオティクスとして有用な乳酸菌等の細菌や酵母、例えば、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ロイテリ、ラクトバチルス・ミリナス、ラクトバチルス・ペントサス、ラクトバチルス・ガッセリ、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・ガリナラム、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトバチルス・カゼイ、エンテロコッカス・フェカリス、エンテロコッカス・ファシウム、バチルス・コアギュランス、バチルス・バディウス、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・セレウス、バチルス・サブチリス、クロストリジウム・ブチリカム、ビフィドバクテリウム・サーモフィルス、ビフィドバクテリウム・シュウドロンガム、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ペディオコッカス・アシディラクティシ、ストレプトコッカス・ボビス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・インファンタリアス、サッカロミセス・セレビシエ、及びこれらの混合物等が含まれていても良い。この場合には、これらの微生物を別々に培養した後、L.plantarumと混合するか、又は、微生物同士の相性が良い場合には最初から混合培養することもできる。
また、本発明の動物用飼料組成物は、含有するオリゴ糖を分解等することで本発明の効果を阻害することが無い範囲において、酵素を混合することもできる。使用可能な酵素としては、例えば、セルラーゼ、フィターゼ、β−グルコシダーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、β−グルカナーゼ、ペントサナーゼ、トリプシン、キモトリプシン、プロテアーゼ、ペプチダーゼ及びこれらの混合物が挙げられる。
更に、本発明の動物用飼料組成物は、動物の嗜好性に悪影響を与えたり、飼料組成物の保存安定性や作業性の悪化や、乳成分と混合した際に、凝集、沈殿等の悪影響を与えない範囲で、酸化防止剤(クエン酸、アスコルビン酸、ビタミンE等)、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等)、増粘剤(寒天、グルコマンナン、ゼラチン等)、ビタミン類(ビタミンA、B1、B2等)、フレーバー(ハーブ、ベリー、オレンジ等)等の各種成分を混合することもできる。
本発明において、動物はヒト以外の脊椎動物を意味し、牛、馬、豚、羊、鶏等の家畜、サル、犬、猫、ハムスター、小鳥等の愛玩動物の他、魚等も含まれる。
本発明の動物用飼料組成物を給与する対象動物は、動物であれば、特に、種類や給与時期に制限はない。好ましい対象動物は、消化管の発達が十分に成熟していない幼動物であり、牛、豚、馬、羊等の哺乳類の幼動物が特に好ましい。更に、給与時期としては、乳成分主体の食餌を給与されている哺乳期が好ましい。子牛・子豚等の哺乳期の幼動物は乳成分主体の食餌を摂取しており、その腸管環境は植物性乳酸菌にとって快適な環境とは言えないので、本発明の動物用飼料組成物によって、L.plantarumの生菌を維持又は増殖させる対象として効果的だからである。特に対象動物として、ルーメンが発達しておらず、ルーメンの影響によるL.plantarumの死滅がない点で、哺乳期の牛が好ましい。
本発明の動物用配合飼料は、本発明の動物用飼料組成物を含有していれば良く、形態や他の組成物には特に制限はない。例えば、生乳、代用乳、人工乳、ほ液等の飼料に、本発明の動物用飼料組成物を必要量添加した液状で給与する配合飼料の形態や、乾牧草、穀類、食品加工副産物、農産加工副産物、全粉乳、脱脂粉乳等の基礎飼料に本発明の動物用飼料組成物を必要量添加した、粉状、ペレット状、練り状等の配合飼料の形態でも良い。
本発明の動物用配合飼料に対する、本発明の動物用飼料組成物の添加量は、本発明のL.plantarumの生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させる効果が得られる量であれば、特に制限はない。動物飼料組成物の組成や給与する動物の種類によっても異なるが、効果とコスト面を考慮すると、動物配合飼料の重量を基準として、0.001〜10重量%、又は1日に、対象動物の体重1kgあたり、本発明の動物用飼料組成物を0.001〜100g、好ましくは0.01〜10g摂取するように、動物用飼料組成物の添加量を調節する。
本発明のL.plantarumの生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させる方法は、L.plantarum、マンガン及びオリゴ糖を対象とする動物に給与すれば良く、その給与量は特に制限はない。L.plantarumの生菌を確保し、よりL.plantarumの生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させるため、好ましくは1日に、対象動物の体重1kgあたり、L.plantarumを102CFU以上、マンガンを0.001〜500mg、及びオリゴ糖を0.1〜1000mg給与する。より高い効果とコスト面を考慮すると、1日、対象動物の体重1kgあたり、L.plantarumを105〜109CFU、マンガンを0.005〜100mg、オリゴ糖を5〜750mg給与するのが好ましい。さらには1日、対象動物の体重1kgあたり、L.plantarumを107〜109CFU、マンガンを0.01〜50mg、オリゴ糖を10〜500mg給与するのが好ましい。
これらの成分を同時に又は連続して給与することができれば、どのような方法で給与しても良く、全ての成分を飼料に混合して給与しても、それぞれの成分を別々の組成物として給与しても良い。例えば、上記成分の所要量を混合して又は別々に水道水、ミネラル含有水、生乳、全粉乳、脱脂粉乳、乳清、代用乳、人工乳、ほ液、リキッドフィード等の飲水又は液状飼料に溶解又は分散させて、動物に飲用液として給与しても良い。また、上記成分の所要量を混合して又は別々に粉末、錠剤、ペレット、練り餌等の形態のサプリメントを調製して、給与しても良い。また、給与中の乾牧草や動物用配合飼料、ペットフードなどに振りかけたり、混合して給与しても良い。
畜産農家において、容易に本発明の方法を実施するために、本発明の動物用飼料組成物を使用して、上述の飲用液やサプリメントを調製したり、給与中の飼料等に混合等して上記成分の所要量を動物に給与することが好ましい。
また、本発明の動物用配合飼料を使用して上記成分の所要量を動物に給与することが好ましい。
次に本発明を実施例にて具体的に説明する。
(実施例1)L.plantarum HOKKAIDO株の人工消化液中での生残性評価
L.plantarumの代表株としてL.plantarum HOKKAIDO株(FERM P19645)(以後、HOKKAIDO株)を用いて、幼動物に代用乳とともに給与したと想定した場合の人工消化液中での生残性について試験した。なお、以下の試験において、%は重量%を表す。
1.HOKKAIDO株菌体懸濁液の調製
MRS液体培地(Difco社製)で継代培養したHOKKAIDO株を同培地で37℃、16時間培養した。培養物を遠心分離し、菌体を生理食塩水で2回洗浄後、元の培養液の1/10の容量の生理食塩水に再懸濁し、菌体懸濁液を調製した。
2.人工胃液処理試験
11%還元脱脂乳水溶液100mlを115℃、20分高圧滅菌処理したものに、4%ペプシン溶液(和光純薬社製)1ml、及び上記菌体懸濁液1mlを添加し、塩酸でpH3.0に調整した。これを37℃、3時間処理することで人工胃液処理を行った。その結果を図1に示す。人工胃液処理によりHOKKAIDO株の生菌は減少せず、わずかに増殖を示した。得られた処理液を人工胃液処理液として、以下の試験に用いた。
3.人工腸液処理試験
1%胆汁粉末(SIGMA社製)を含む11%還元脱脂乳485mlを115℃、20分高圧滅菌処理したものに、1%トリプシン溶液(和光純薬社製)5ml、1%パンクレアチン溶液(和光純薬社製)5mlを添加し、さらに、上記人工胃液処理液5mlを添加して混合し、水酸化ナトリウム溶液でpH7.0に調整した。
この混合物を4つの処理区に分け、
処理区1:無添加
処理区2:セロオリゴ糖(日本製紙ケミカル社製)0.075%
処理区3:炭酸マンガン(和光純薬社製)0.001%
処理区4:セロオリゴ糖0.075%、炭酸マンガン0.001%
の各濃度になるように、各試薬を添加した。なお、処理区のセロオリゴ糖及びマンガンの含有量については、セロオリゴ糖15%、炭酸マンガン0.2%を含有する動物用飼料組成物を代用乳に0.5%添加すると想定した濃度で添加した。
その後、処理区毎に10本の8ml容量のねじ口試験管に5mlずつ分注し、気相部分を炭酸ガスで置換して密封し、37℃、24時間処理することで、人工腸液処理とした。
処理中のpHを経時的に測定するとともに、処理前後の生菌数をMRS寒天培地を用いたプレートカウント法により測定した。プレートはアネロパック及び嫌気ジャー(三菱化学社製)を用いて、嫌気状態として37℃、2日間培養し、コロニーをカウントした。これらの結果を図2、図3に示す。
人工腸液処理液のpHの変化については、図1に示したように、全ての処理区で経時的に低下しているが、16時間処理、24時間処理においては処理区4が最も低下していた。従って、処理区4では特にHOKKAIDO株により乳酸が良好に産生されていると考えられた。
生菌数については、図2に示したように、初発菌数に比べて、24時間処理後において全ての処理区で増加が認められたが、処理区4が最も増加していた。
以上により、人工腸液処理におけるHOKKAIDO株の増殖は、セロオリゴ糖単独では無添加区と同様であったが、セロオリゴ糖とマンガンを添加した場合に、促進されることが判った。なお、セロオリゴ糖の代わりにセロビオース(SIGMA社製)を用いても、同様な結果であった(示していない)。
(実施例2)HOKKAIDO株以外のL.plantarumの人工消化液中での生残性評価
HOKKAIDO株以外のラクトバチルス属の菌に対して、実施例1の効果が認められるかについて、同様に試験した。
1.供試菌株
HOKKAIDO株
L.plantarum 基準株(JCM−1149T)
ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)基準株(JCM−1132T)
2.菌体懸濁液の調製及び人工胃液処理試験
供試菌を上記の菌株に変更した他は実施例1と同様に行った。その結果を図4に示す。人工胃液処理によって、HOKKAIDO株の生菌はわずかに増殖し、他の2株はわずかに減少した。しかし、いずれの菌株も、人工胃液処理に対する耐性が認められた。
3.人工腸液処理試験
各菌株から調製した人工胃液処理液を用いて、実施例1と同様に人工腸液処理を行った。但し、処理区については各菌株について、
処理区1:無添加
処理区2:セロオリゴ糖0.075%、炭酸マンガン0.001%
の各濃度になるように各試薬を添加して行い、処理時間は20時間で行った。なお、処理区のセロオリゴ糖及びマンガンの含有量については、セロオリゴ糖15%、炭酸マンガン0.2%を含有する動物用飼料組成物を代用乳に0.5%添加すると想定した濃度で添加した。これらの結果を図5、図6に示す。
人工腸液処理液のpHについては図5に示したように、全ての菌株の処理区において、初発pHに比べて低下していたが、HOKKAIDO株とL.plantarum 基準株(JCM−1149T)では処理区2の方が、pHの低下が認められ、各菌株により乳酸が良好に産生されていると考えられた。ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)基準株(JCM−1132T)では、処理区1と処理区2はほとんど変化がなかった。
生菌数については、図6に示したように、初発菌数に比べて、処理区1では全ての菌株で処理後に増加していたが、HOKKAIDO株とL.plantarum 基準株(JCM−1149T)では処理区2の方がさらに増加していた。ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)基準株(JCM−1132T)では、処理区2に、そのような効果は認められなかった。
以上により、セロオリゴ糖とマンガンの添加による、増殖促進効果はL.plantarumにおいて共通するものであると考えられた。
(実施例3)マンガン添加量を変化させた場合のHOKKAIDO株の人工消化液中での生残性評価
実施例1の試験において、マンガンの添加量を変化させた場合に同様な効果が認められるかについて、HOKKAIDO株を用いて試験した。
1.菌体懸濁液の調製及び人工胃液処理試験
実施例1と同様に、HOKKAIDO株を調製し、人工胃液処理試験を行った。胃液処理によるHOKKAIDO株の生菌数の低下は認められなかった(示していない)。
2.人工腸液処理試験
上記人工胃液処理液を用いて、実施例1と同様に人工腸液処理試験を行った。但し、処理区については、炭酸マンガンを0%(対照区)、0.00001%、0.00005%、0.0002%、0.001%、0.005%、0.025%、0.1%、0.5%となるように添加して行い、セロオリゴ糖は全処理区に0.075%添加して、処理時間は20時間で行った。これらの結果を図7、図8に示す。
人工腸液処理液のpHについては図7に示したように、炭酸マンガン0.00001%添加区でも、対照区に比較してpHが低下しており、0.005%添加区までは添加量の増加と共に、更にpHが低下した。0.005〜0.5%までは同程度のpHであった。
また、生菌数については、図8に示したように、炭酸マンガン0.00001%添加区でも、対照区と比較して生菌数が増加しており、0.0002%添加区までは添加量の増加と共に、更に生菌数が増加した。0.0002〜0.5%までは同程度の生菌数であった。
以上により、試験した炭酸マンガン添加量の範囲においては、セロオリゴ糖に加えて、炭酸マンガンが添加されていれば、L.plantarumの消化液中での生残性を高める効果が期待できると考えられた。少なくとも、炭酸マンガンが動物の腸管内に0.00001〜0.5%(マンガンとして0.000005〜0.25%)になるように動物に給与することができれば上記効果が期待できると考えられた。例えば、炭酸マンガンを0.002〜99%(マンガンとして0.001〜50%)含む動物用飼料組成物を動物用飼料に0.5%添加した場合に上記効果が期待できると考えられた。
(実施例4)セロオリゴ糖添加量を変化させた場合のHOKKAIDO株の人工消化液中での生残性評価
実施例1の試験において、セロオリゴ糖の添加量を変化させた場合に同様な効果が認められるかについて、HOKKAIDO株を用いて試験した。
1.菌体懸濁液の調製及び人工胃液処理試験
実施例1と同様に、HOKKAIDO株を調製し、人工胃液処理試験を行った。胃液処理によるHOKKAIDO株の生菌数の低下は認められなかった(示していない)。
2.人工腸液処理試験
上記人工胃液処理液を用いて、実施例1と同様に人工腸液処理試験を行った。但し、処理区については、セロオリゴ糖を0%(対照区)、0.0002%、0.001%、0.025%、0.075%、0.5%となるように添加して行い、炭酸マンガンは全処理区に0.001%添加して、処理時間は20時間で行った。これらの結果を図9、図10に示す。
人工腸液処理液のpHについては図9に示したように、セロオリゴ糖0.0002%添加区でも、対照区に比較してpHが低下しており、0.5%添加区まで添加量の増加と共に、更にpHが低下した。
また、生菌数については、図10に示したように、セロオリゴ糖0.0002%添加区でも、対照区と比較して生菌数が増加しており、0.001%添加区までは添加量の増加と共に、更に生菌数が増加した。0.001〜0.5%までは同程度の生菌数であった。
以上により、試験したセロオリゴ糖添加量の範囲においては、炭酸マンガンに加えて、セロオリゴ糖が添加されていれば、L.plantarumの消化液中での生残性を高める効果が期待できると考えられた。少なくとも、セロオリゴ糖が動物の腸管内に0.0002〜0.5%になるように動物に給与することができれば上記効果が期待できると考えられた。例えば、セロオリゴ糖を0.04〜99%含む動物用飼料組成物を動物用飼料に0.5%添加した場合に上記効果が期待できると考えられた。
(実施例5)HOKKAIDO株添加量を変化させた場合のHOKKAIDO株の人工消化液中での生残性評価
実施例1の試験において、L.plantarumの接種量を変化させた場合に同様な効果が認められるかについて、HOKKAIDO株を用いて試験した。
1.菌体懸濁液の調製及び人工腸液処理試験
実施例1と同様に、HOKKAIDO株を調製した。HOKKAIDO株の生菌数は人工胃液処理によってほとんど影響を受けないことがわかったので、ここでは、菌体を直接人工腸液処理試験に供した。
人工腸液処理試験は実施例1と同様におこなった。但し、人工胃液処理液を添加する代わりに菌体懸濁液を添加して行った。菌体接種量については、処理液中の菌数が102.6CFU/g、104.6CFU/g、106.6CFU/g、108.6CFU/g、1010.6CFU/gとなるように菌体懸濁液を添加した。全処理区に炭酸マンガン0.001%、セロオリゴ糖0.075%添加して、処理時間は20時間で行った。これらの結果を図11に示す。
人工腸液処理前後の生菌数については、図11に示したように、HOKKAIDO株を102.6CFU/g接種区でも処理後の生菌数が108CFU/gにまで増加していた。添加量を増加した場合でも、処理後の生菌数は107.5〜109.7CFU/gとなり、HOKKAIDO株が増殖し、適切な範囲で維持されることが認められた。
以上により、試験したL.plantarumの接種量の範囲においては、L.plantarumが接種され、炭酸マンガンとセロオリゴ糖が添加されていれば、L.plantarumの消化液中の生残性を高める効果が期待できると考えられた。少なくとも、L.plantarumが腸管内に102.6〜1010.6になるように動物に給与することができれば上記効果が期待できると考えられた。例えば、L.plantarumを105〜1012CFU/g含む動物用飼料組成物を動物用飼料に0.5%添加した場合に上記効果が期待できると考えられた。
参考例1)各種オリゴ糖によるHOKKAIDO株の人工消化液中での生残性評価。
実施例1の試験において、オリゴ糖の種類を変えた場合に同様な効果が認められるかについて、HOKKAIDO株を用いて試験した。
1.菌体懸濁液の調製及び人工腸液処理試験
実施例1と同様に、HOKKAIDO株を調製した。HOKKAIDO株の生菌数は人工胃液処理によってほとんど影響を受けないことがわかったので、ここでは、菌体を直接人工腸液処理試験に供した。
人工腸液処理試験は実施例1と同様におこなった。但し、人工胃液処理液を添加する代わりに菌体懸濁液を処理液中の菌数が106.4CFU/gになるように添加して行った。処理区については、フラクトオリゴ糖(和光純薬)、ゲンチオオリゴ糖(和光純薬)、イソマルトオリゴ糖(和光純薬)、キシロオリゴ糖(サントリー)、フラクトシルラクトース(和光純薬)を用い、各オリゴ糖を0.5%になるように添加した。オリゴ糖を添加しないものを対照区とした。全処理区に炭酸マンガン0.001%添加して、処理時間は20時間で行った。これらの結果を図12、図13に示す。
人工腸液処理液のpHについては図12に示したように、試験した全てのオリゴ糖添加区で対照区に比較してpHの低下が認められた。
また、生菌数についても、図13に示したように、試験した全てのオリゴ糖添加区で対照区と比較して生菌数が増加していた。
以上により、少なくとも試験した範囲においては、炭酸マンガンに加えて、オリゴ糖が添加されていれば、L.plantarumの消化液中での生残性を高める効果が期待できると考えられた。
(実施例7)動物用飼料組成物及び動物用配合飼料の調製
1.HOKKAIDO株の調製
容量30Lのジャーファーメンター×2台中で調整したMRSブロース培地から肉エキスを除いた組成の培地に、HOKKAIDO株のフルグロースの培養液を種菌として1%接種し、37℃、pH6.5の条件下で24時間中和培養し、計40Lの培養液を得た。この培養液を高速冷却遠心機で遠心(3000G、5℃、10分)し、得られた菌体を生理食塩水で洗浄し、水に10%のスキムミルクと1%のグルタミン酸ナトリウムを溶解させた溶液4Lに懸濁させ、アルミトレイに分注した。これを真空凍結乾燥機(協和真空技術製RLEII−103)により、−50℃に予備凍結後、最終棚温度25℃で計48時間乾燥し、約400gのHOKKAIDO株の凍結乾燥品を得た。
2.動物用飼料組成物の調製
HOKKAIDO株の凍結乾燥品300g(組成物中5%)、炭酸マンガン12g(組成物中0.2%)(マンガンとして5.8g(組成物中0.1%)、セロオリゴ糖(日本製紙ケミカル社製)900g(組成物中15%)、ケイ酸(商品名「ウルトラジル」(流動性改善剤))120g(組成物中2%)、トレハロース(林原社製、(増量材、保存安定剤))4668g(組成物中77.8%)を均一に混合して動物用飼料組成物を調製した(製造例1)。
HOKKAID株の生菌数を平板希釈法(MRS寒天培地)により生菌数を測定したところ、109CFU/gであった。本動物用飼料組成物は溶解性、流動性とも良好であり、5℃、25℃において28日間保存したところ、HOKKAIDO株の生残率はそれぞれ、100%、84%であり、優れた保存安定性が確認された。
3.動物用配合飼料の調製
上記動物用飼料組成物を用いて、各種動物用配合飼料の調製を行った。上記動物用飼料組成物を乾燥でんぷん(松谷化学工業社製)により、重量100倍に希釈、混合し、粉末タイプの配合飼料を調製した(製造例2)。本配合飼料は各種飼料に振りかけたり、飼料原料として使用できる。
また、上記動物用飼料組成物を子牛用代用乳(組成:脱脂粉乳42重量%、濃縮ホエー蛋白30重量%、混合油脂25重量%、ビタミン・ミネラル類のプレミックス3重量%)で重量25倍に希釈し、子牛用代用乳を調製した(製造例3)。HOKKAIDO株の生菌数を平板希釈法(MRS寒天培地)により生菌数を測定したところ、製造例2では1.2×107CFU/g、製造例3では3.9×107CFU/gであった。
(実施例8)哺乳期の子牛への給与試験
実際に、L.plantarumとセロオリゴ糖及びマンガンを幼動物に給与した際の効果について調べるため、哺乳期のホルスタイン種の子牛への給与試験を行った。
2.子牛への給与試験
市場より導入直後の子牛10個体を外観、体重、体調等の条件が統計学的に偏りないように、各5頭ずつ2群(投与群、対照群)に分け、代用乳(雪印種苗社製、「カーフミルクうしっこ」)、人工乳(雪印種苗社製「ハイパスフード40」)を基礎飼料として、投与群には上記動物用飼料組成物を1日に20gを2回に分けて、代用乳と混合して給与した。対照群には動物用飼料組成物を給与しない以外は投与群と同様にした。導入後21日目までの基礎飼料給与プログラムを表1に示す。
Figure 0005499231
初発、9日目、21日目の各個体から直糞便を採取し、以下のようにHOKKAIDO株の生菌数を計測した。
3.糞便中のHOKKAIDO株の生菌数の測定
(1)便懸濁液の調製
採取した直腸便5gを希釈用バッファー(リン酸二水素カリウム:4.5g、リン酸水素二ナトリウム:6g、L−システイン塩酸塩0.5g、Tween80:0.5g、寒天:1gを1Lの蒸留水に溶解し、121℃、15分高圧滅菌したもの)45gに入れ、ストマッカーを用いて均一に懸濁した。この便懸濁液を希釈用バッファーにて、段階希釈して生菌数の測定に用いた。
(2)HOKKAIDO株の生菌数の測定
便懸濁液の各希釈液をラクトバチルス(Lactobacillus)用選択培地であるLBS寒天プレート(Difco社製)に塗抹し、アネロパック及び嫌気ジャー(三菱化学社製)を用いて、嫌気状態で37℃、2日間培養した。生じたコロニーをプレートカウント法により測定した。プレート上に数種類のコロニーが生育したが、コロニーの形態とRAPD法による菌株識別法(非特許文献2参照)により、HOKKAIDO株であることを確認して計測した。これらの結果を図14に示す。なお、対照群は試験期間を通してHOKKAIDO株は検出されなかった(示していない)。
投与群の初発菌数は、図14に示したように、HOKKAIDO株は検出されなかったが、投与9日目では、105〜109CFU/g−直腸便(群平均で107.2CFU/g−直腸便)が検出された。21日目でも105〜109CFU/g−直腸便(群平均で106.7CFU/g−直腸便)を維持していた。
従って、L.plantarum、マンガン及びセロオリゴ糖を組合せた飼料組成物を給与することにより、幼動物の腸管内にL.plantarumを高いレベルで到達させることができ、継続的に給与することで、L.plantarumの生菌を高いレベルで維持又は増殖させることができることが示された。
なお、本発明は上記の実施の形態及び実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
L.plantarum HOKKAIDO株の人工胃液処理前後の生菌数を示す図である(実施例1)。 L.plantarum HOKKAIDO株の人工腸液処理中のpH変化に対するマンガン及び/又はセロオリゴ糖の添加の影響を示す図である(実施例1)。 L.plantarum HOKKAIDO株の人工腸液処理後の生菌数に対するマンガン及び/又はセロオリゴ糖の添加の影響を示す図である(実施例1)。 L.plantarum HOKKAIDO株、L.plantarum 基準株(JCM−1149T)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)基準株(JCM−1132T)の人工胃液処理前後の生菌数を示す図である(実施例2)。 L.plantarum HOKKAIDO株、L.plantarum 基準株(JCM−1149T)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)基準株(JCM−1132T)の人工腸液処理後のpH変化に対するマンガン及び/又はセロオリゴ糖の添加の影響を示す図である(実施例2)。 L.plantarum HOKKAIDO株、L.plantarum 基準株(JCM−1149T)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)基準株(JCM−1132T)の人工腸液処理後の生菌数に対するマンガン、セロオリゴ糖の添加の影響を示す図である(実施例2)。 L.plantarum HOKKAIDO株の人工腸液処理中のpH変化に対するマンガン濃度の影響を示す図である(実施例3)。 L.plantarum HOKKAIDO株の人工腸液処理後の生菌数に対するマンガン濃度の影響を示す図である(実施例3)。 L.plantarum HOKKAIDO株の人工腸液処理中のpH変化に対するセロオリゴ糖濃度の影響を示す図である(実施例4)。 L.plantarum HOKKAIDO株の人工腸液処理後の生菌数に対するセロオリゴ糖濃度の影響を示す図である(実施例4)。 L.plantarum HOKKAIDO株の人工腸液処理後の生菌数に対する接種したL.plantarumHOKKAIDO株の菌数の影響を示す図である(実施例5)。 L.plantarum HOKKAIDO株の人工腸液処理中のpH変化に対する各種オリゴ糖の影響を示す図である(実施例6)。 L.plantarum HOKKAIDO株の人工腸液処理後の生菌数に対する各種オリゴ糖の添加の影響を示す図である(実施例6)。 L.plantarum HOKKAIDO株、マンガン及びセロオリゴ糖を含有する動物用飼料組成物の哺乳期の子牛への長期給与が、子牛の直腸便中のL.plantarum HOKKAIDO株の生菌数に与える影響を示す図である(実施例8)。

Claims (6)

  1. ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、マンガン及びオリゴ糖を含有し、
    前記ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)の生菌数が10 5 〜10 12 CFU/gであり、
    前記マンガンの含有量が0.001〜50重量%であり、
    前記オリゴ糖の含有量が0.1〜99重量%であり、
    前記オリゴ糖がセロオリゴ糖であることを特徴とする動物用飼料組成物。
  2. 対象とする動物が幼動物であることを特徴とする請求項1に記載の動物用飼料組成物。
  3. 対象とする動物が哺乳期の牛であることを特徴とする請求項1又は2に記載の動物用飼料組成物。
  4. 前記ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)がラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)HOKKAIDO株(FERM P−19645)であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の動物用飼料組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の動物用飼料組成物を含有することを特徴とする動物用配合飼料。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の動物用飼料組成物又は請求項5に記載の動物用配合飼料を動物に給与することを特徴とするラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)の生菌を動物の腸管内において維持又は増殖させる方法。
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