JP5497322B2 - 電子体温計 - Google Patents

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Description

本発明は、被検者の体温を測定する電子体温計に関するものである。
従来より、被検者の体温を測定する電子体温計として、温度変化に伴うサーミスタの抵抗変化を測定することにより温度計測値を取得する電子体温計が知られている。また、サーミスタの抵抗変化を測定するための技術として、サーミスタを含むCR発振器を構成することによりその発振周波数を計測する方法や、単一入力積分型A/D変換回路を用いる方法などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このうち、単一入力積分型A/D変換回路を用いる方法の場合、サーミスタとコンデンサとを直列に接続した積分回路を用いて、サーミスタの抵抗変化に応じて変化する積分回路の過渡期間(コンデンサの充電時間または放電時間)を計測することにより温度計測値を取得することとしている。
特開2007−024596号公報
ここで、上述のような積分回路を用いてコンデンサの放電時間を計測するにあたっては、コンデンサを充電するための時間は、極力、短時間であることが望ましい。特に、温度計測値の計測誤差を抑えるために、充電と放電とを繰り返し、複数回計測された放電時間の平均値を算出するような場合にあっては、1回の放電時間を計測する際のコンデンサの1回あたりの充電時間は、極力、短時間であることが望ましい。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、単一入力積分型A/D変換回路を用いた電子体温計において、過渡期間の計測にかかる時間を短縮することを目的とする。
本発明は、電子体温計に係り、前記電子体温計は、コンデンサに一端が接続されたサーミスタと、前記コンデンサに一端が接続された基準抵抗体と、前記コンデンサに一端が接続され、前記コンデンサに電荷を蓄積する際に、他端に電源から電圧が印加される抵抗体と、前記コンデンサに蓄積された電荷を前記サーミスタまたは前記基準抵抗体のいずれかを介して放電する際に、前記抵抗体の他端に接続され、前記コンデンサが所定電圧以上の電圧を有している間、所定の信号を出力する出力手段と、前記コンデンサに蓄積された電荷を放電する際に、前記サーミスタと前記基準抵抗体のいずれを介して放電するかを切り替える第1切替手段と、前記出力手段により前記所定の信号が出力されている時間を計測することで、前記コンデンサに蓄積された電荷の放電時間を計測する計測手段と、前記コンデンサに蓄積された電荷を前記サーミスタを介して放電した場合の放電時間と、前記コンデンサに蓄積された電荷を前記基準抵抗体を介して放電した場合の放電時間とを用いて、温度を算出する算出手段とを備え、前記コンデンサに電荷を蓄積する際に、前記サーミスタまたは前記基準抵抗体のうちの一方の他端に前記電源から電圧が印加され、前記抵抗体のほか、当該一方を介して前記コンデンサに電荷が蓄積されることを特徴とする。
本発明によれば、単一入力積分型A/D変換回路を用いた電子体温計において、過渡期間の計測にかかる時間を短縮することが可能となる。
本発明の一実施形態にかかる電子体温計100の外観構成を示す図である。 電子体温計100の機能構成を示す内部ブロック図である。 電子体温計100における体温計測処理の流れを示すフローチャートである。 温度計測部210の詳細構成を示す図である。 充電時の温度計測部210の切り替え状態を示す図である。 放電時の温度計測部210の切り替え状態を示す図である。 充電時の温度計測部210の切り替え状態を示す図である。 放電時の温度計測部210の切り替え状態を示す図である。 電子体温計100における温度計測処理の流れを示すフローチャートである。 コンデンサ404の両端の電圧の時間変化及びA/D変換部430より出力されるディジタル信号の時間変化を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
<1.電子体温計の外観構成>
図1は、本発明の一実施形態にかかる電子体温計100の外観構成を示す図であり、図1(a)は平面図を、図1(b)は側面図をそれぞれ示している。101は本体ケースで、後述する演算制御部220等の電子回路、電池(電源部)250等が収納される。
102は、ステンレス製の金属キャップで、内部には温度を計測するためのサーミスタ(詳細は後述)等が収納される。103は電源ON/OFFスイッチであり、1回押圧すると電源部250がONとなり、再度押圧すると電源部250がOFFとなる。なお、病院用として用いる場合には、液密性をもたせるために、電源ON/OFFスイッチ103のような手動操作によるON/OFFスイッチを設けないで、マグネットリードスイッチ(不図示)を設ける構成としてもよい。この場合、電子体温計100が収納ケースから出されるとマグネットリードスイッチがONされ、電源部250から演算制御部220等の電子回路、温度計測部210、表示部230等への電源供給が開始され、電子体温計100が永久磁石を内蔵した収納ケース(不図示)に収納されるまでの間、電源が供給され続けることとなる。
104は表示部であり、被検者の体温を表示する。105は音声出力部であり、演算制御部220における処理に基づいて、音声を出力する。
<2.電子体温計の機能構成>
図2は本実施形態にかかる電子体温計100の機能構成を示す内部ブロック図である。
電子体温計100は、温度に比例した時間分のON信号を出力する温度計測部210と、温度計測部210より出力されたON信号に基づいて各種処理を行い、被検者の体温を演算すると共に電子体温計100全体の動作を制御する演算制御部220と、演算された被検者の体温を表示する表示部230と、音声データを出力する音声出力部240と、電源部250とを備える。
温度計測部210は、互いに並列に接続されたサーミスタ、基準抵抗素子(基準抵抗体)及び常抵抗素子と、単一入力積分型A/D変換回路とを備え、温度に比例した時間分のON信号(温度に比例して、ON時間が変わるディジタル信号)を出力する。なお、温度計測部210の詳細構成及び温度計測処理の流れについては後述する。
演算制御部220は、温度計測部210より出力されるディジタル信号のON時間を計測するタイマー222を備える。
また、タイマー222により計測された時間に基づいて温度データを算出するとともに、算出された温度データの時間変化に基づいて、被検者の体温を予測演算するプログラムを格納したROM224と、算出された温度データを時系列で記憶するためのRAM226と、所定の音声データを格納したEEPROM225と、ROM224に格納されたプログラムに従った演算や音声データの出力を行う演算処理部223とを備える。
更に、演算処理部223における演算結果を表示する表示部230を制御するための表示制御部227を備える。
更に、演算制御部220は、上記タイマー222、表示制御部227、演算処理部223、温度計測部210を制御する制御回路221を備える。
<3.電子体温計における体温計測処理の流れ>
次に、電子体温計における体温計測処理の流れについて説明する。なお、ここでは、平衡温予測式の電子体温計100の体温計測処理の流れについて説明するが、本発明はこれに限定されず、実測式の電子体温計、予測/実測を併用するタイプの電子体温計にも適用可能である。
被検者の計測部位に装着されると、電子体温計100では、所定の周期のサンプリングタイミングで温度計測を開始し、取得された温度データの時間変化に基づいて、被検者の体温を予測演算する。
図3は、電子体温計100における体温計測処理の流れを示すフローチャートである。以下、図3を用いて電子体温計100における体温計測処理の流れを説明する。なお、図3に示す体温計測処理は、例えば、演算処理部223において実行される。
電源ON/OFFスイッチ103またはマグネットリードスイッチ(不図示)がON状態になることで、電子体温計100の電源部250がONされると、ステップS301では、電子体温計100の初期化が行われ、サーミスタによる温度計測が開始される。例えば、演算処理部223では、所定間隔、例えば、0.5秒おきに温度データの演算が行われる。
ステップS302では、体温計測開始条件が成立したか否かを判断する。具体的には、前回の温度計測により演算された温度データの値(つまり、0.5秒前の温度データの値)からの上昇度が、所定の値(例えば、1℃)以上となったか否かを判断する。
上昇度が所定の値以上となったと判断した場合には、体温計測開始条件が成立したと判断し、当該温度データを計測したタイミングを、予測体温演算の基準点(t=0)として設定する。つまり、電子体温計100では、急激な温度上昇が計測されると、被検者が、所定の計測部位(例えば、腋下)に電子体温計100を装着したものとみなす。
ステップS302において、体温計測開始条件が成立したと判断した場合には、ステップS303に進み、温度データの取り込みを開始する。具体的には、出力された温度データと、当該温度データを計測したタイミングとを、時系列データとしてRAM226に記憶する。
ステップS304では、ステップS303において記憶された温度データを用いて、所定の予測式により、予測体温を演算する。
ステップS305では、基準点(t=0)から所定時間(例えば25秒)、経過した後に、ステップS304において算出された一定区間(例えば、t=25〜30秒)における予測値が、予め設定された予測成立条件を満たすか否かを判断する。具体的には、所定の範囲(例えば、0.1℃)以内に収まっているか否かを判断する。
ステップS305において、予測成立条件を満たすと判断された場合には、ステップS306に進み、温度計測を終了するとともに、ステップS307に進み、予測体温の演算が終了した旨の音声を出力し、表示部230に、演算された予測体温を表示する。
一方、ステップS305において、予測成立条件を満たさないと判断された場合には、ステップS309に進む。ステップS309では、基準点(t=0)から所定時間(例えば45秒)経過したか否かを判断し、経過したと判断された場合には、温度計測を強制終了する。なお、強制終了した場合には、その際に演算されていた予測体温を、表示部230に表示する(ステップS307)。
ステップS308では、体温計測終了指示を受け付けたか否かを判断する。ステップS308において、体温計測終了指示を受け付けていないと判断された場合には、ステップS302に戻る。
一方、ステップS308において、体温計測終了指示を受け付けたと判断された場合には、電源部250をOFFにする。あるいは、電子体温計100が永久磁石を内蔵した収納ケース(不図示)に収納されることで、マグネットリードスイッチがOFFとなった場合には、電源部250をOFFにする。
<4.温度計測部の詳細構成及び温度計測処理時の温度計測部210の動作ならびに温度計測処理の流れ>
次に、温度計測部210の詳細構成及び、ステップS301において開始される温度計測処理時の温度計測部210の動作並びに温度計測処理の流れについて説明する。
<4.1 温度計測部の詳細構成>
図4は、温度計測部210の詳細構成を示す図である。図4に示すように、温度計測部210では、互いに並列に接続され得るサーミスタ401、基準抵抗素子402、及び常抵抗素子403が、それぞれ、コンデンサ404に直列に接続されている。すなわち、サーミスタ401及び常抵抗素子403とコンデンサ404とは積分回路を構成する。また、同様に、基準抵抗素子402及び常抵抗素子403とコンデンサ404とは積分回路を構成する。
そして、サーミスタ401及び常抵抗素子403とコンデンサ404とを含む系(第1の系)の両端には、電圧切替部440を介して電圧の印加と放電とが行われる。同様に、基準抵抗素子402及び常抵抗素子403とコンデンサ404とを含む系(第2の系)の両端には、電圧切替部440を介して電圧の印加と放電とが行われる。
なお、第1の系と第2の系との切り替えは、第1切替部410によって行われる。
ここで、基準抵抗素子402は、周辺温度の変動に関わらず、抵抗値が一定の抵抗素子である。このため、電源部250の出力電圧(以後電圧Vと記す)が一定で、コンデンサ404に蓄積される電荷量が一定の場合、基準抵抗素子402を介して(つまり、第2の系により)放電する場合の放電時間は一定となる。
一方、サーミスタ401は、周辺温度の変動に応じて、抵抗値が変動する抵抗素子である。このため、電圧Vが一定でコンデンサ404に蓄積される電荷量が一定であっても、サーミスタ401を介して(つまり、第1の系により)放電する場合の放電時間は周辺温度に応じて変動することとなる。
したがって、電圧Vが一定の場合、コンデンサ404に蓄積された電荷を、基準抵抗素子402を介して放電した場合にあっては、放電時間は常に一定となり、サーミスタ401を介して放電した場合にあっては、放電時間は周辺温度に依存することとなる。
ここで、常抵抗素子403は、基準抵抗素子402と同様に周辺温度に関わらず抵抗値が一定の抵抗素子であり、その抵抗値は、サーミスタ401や基準抵抗素子402の抵抗値よりも小さくなるように設計されている。このため、電圧Vを印加しコンデンサ404に電荷を蓄積する際の充電時間は、常抵抗素子403がない場合の充電時間よりも短縮されることとなる。なお、充電の際には、常抵抗素子403を介してコンデンサ404に電圧が印加されるよう、常抵抗素子403の接続先が第2切替部420によって切り替えられる。
コンデンサ404に蓄積された電荷は、サーミスタ401又は基準抵抗素子402を介して放電される。放電の際には、常抵抗素子403は第2切替部420によって接続先がA/D変換部430のコンパレータ431側に切り替えられる。
A/D変換部430を構成するコンパレータ431は、放電の際、印加された電圧Vの所定割合の電圧(ここでは、0.25V)以上の電圧をコンデンサ404が有している間、所定の信号を出力する。これにより、A/D変換部430からは、ディジタル信号として、ON信号が出力される。
このように、コンデンサ404とA/D変換部430とは、放電の際に単一入力積分型A/D変換回路を形成する。
放電により、コンデンサ404両端の電圧は、徐々に低下していき、所定の電圧(0.25V)以下になると、A/D変換部430より出力されるディジタル信号はOFF信号となる。
タイマー222では、A/D変換部430より出力されるディジタル信号のON時間(放電開始後のON時間。つまり放電時間)を計測する。
ここで、上述のように、基準抵抗素子402を介して放電する場合には、放電時間は一定となる。一方、サーミスタ401を介して放電する場合にあっては、サーミスタ401の抵抗値は周辺温度に応じて変動するため、放電時間も変動する。
そこで、電子体温計100では、予め、周辺温度が既知の状態(基準温度)で、コンデンサ404に蓄積された電荷をサーミスタ401を介して放電した場合の放電時間と、コンデンサ404に蓄積された電荷を基準抵抗素子402を介して放電した場合の放電時間とを、それぞれ計測しておく。
この結果、コンデンサ404に蓄積された電荷を基準抵抗素子402を介して放電した際の放電時間と、コンデンサ404に蓄積された電荷をサーミスタ401を介して放電した際の放電時間とを比較するだけで、基準温度に対する変動比を算出することが可能となり、周辺温度の温度データを算出することが可能となる。
具体的には、下式に基づいて、温度データTを算出することとなる。
T=37℃×(Tth/Tref)×(Tref37/Tth37)
なお、上式において、基準温度は37℃としている。
なお、Tref37は、当該基準温度において、基準抵抗素子402を介して放電した場合に計測された放電時間を示している。また、Tth37は、当該基準温度において、サーミスタ401を介して放電した場合に計測された放電時間を示している。
さらに、Trefは、温度計測処理において、基準抵抗素子402を介して放電した場合に計測した放電時間を示している。また、Tthは、温度計測処理において、サーミスタ401を介して放電した場合に計測した放電時間を示している。
<4.2 温度計測処理時の温度計測部210の動作>
図5A〜図5Dは、電子体温計100における温度計測処理時の温度計測部210の切り替え状態を示す図である。
図5Aは、基準抵抗素子402及び常抵抗素子403からなる並列回路を介してコンデンサ404の充電を行う際の切り替え状態を示す図である。図5Bは、基準抵抗素子402を介してコンデンサ404に蓄積された電荷を、基準抵抗素子402を介して放電する際の切り替え状態を示す図である。
図5Cは、サーミスタ401及び常抵抗素子403からなる並列回路を介してコンデンサ404の充電を行う際の切り替え状態を示す図である。図5Dは、サーミスタ401を介してコンデンサ404に蓄積された電荷を、サーミスタ401を介して放電する際の切り替え状態を示す図である。
図5Aに示すように、基準抵抗素子402及び常抵抗素子403からなる並列回路を介してコンデンサ404の充電を行う際、第1切替部410と電圧切替部440は基準抵抗素子402に電源部250の出力が接続されるように夫々の接続先を切り替え、第2切替部420は常抵抗素子403の接続先を電源部250側に切り替える。これにより、基準抵抗素子402及び常抵抗素子403からなる並列回路が形成される。
このように、基準抵抗素子402の抵抗値よりも低い抵抗値を持つ常抵抗素子403を設け、コンデンサ404の充電の際に用いる構成とすることにより、コンデンサ404の充電時間を短縮させることができる。
例えば、基準抵抗素子402の抵抗値の10分の1程度の抵抗値を持つ常抵抗素子403が使用された場合、その2つの抵抗素子によって形成される並列回路から得られる抵抗値は、基準抵抗素子402単独の抵抗値の11分の1程度となる。つまり、充電の際、約11倍の電流を流すことが可能となるため、充電時間を短縮することができる。
図5Bに示すように、基準抵抗素子402及び常抵抗素子403からなる並列回路を介して充電された電荷を、基準抵抗素子402を介して放電する際、第2切替部420は常抵抗素子403の接続先をコンパレータ431側に切り替える。このように常抵抗素子403の接続先を、電源部250とコンパレータ431との間で切り替える構成とすることで、新たなポートを追加することなく(つまり低コストで)、充電時間の短縮を実現する回路を形成することが可能となる。
基準抵抗素子402を介して放電される際に、コンデンサ404の両端の電圧が所定値以上であるか否かはコンパレータ431によって検知される。具体的には、電圧が所定値以上(例えば0.25V)であれば信号を出力し続け、所定値より小さくなると出力を停止する。基準抵抗素子402は周辺温度に関わらず抵抗値が常に一定であるため、基準抵抗素子402を介して放電する際の放電時間は常に一定となる。
図5Cに示すように、サーミスタ401及び常抵抗素子403からなる並列回路を介してコンデンサ404の充電を行う際、第1切替部410と電圧切替部440は、サーミスタ401に電源部250の出力が接続されるように夫々の接続先を切り替え、第2切替部420は常抵抗素子403の接続先を電源部250側に切り替える。これにより、サーミスタ401及び常抵抗素子403からなる並列回路が形成される。
このように、サーミスタ401の抵抗値よりも低い抵抗値を持つ常抵抗素子403を設け、コンデンサ404の充電の際に用いる構成とすることにより、コンデンサ404の充電時間を短縮させることができる。
図5Dに示すように、サーミスタ401及び常抵抗素子403からなる並列回路を介して充電された電荷を、サーミスタ401を介して放電する際、第2切替部420は常抵抗素子403の接続先をコンパレータ431側に切り替える。このように常抵抗素子403の接続先を、電源部250とコンパレータ431との間で切り替えるように構成することで、新たなポートを追加することなく(つまり低コストで)、充電時間の短縮を実現する回路を形成することが可能となる。
サーミスタ401を介して放電される際に、コンデンサ404の両端の電圧が所定値以上であるか否かはコンパレータ431によって検知される。具体的には、電圧が所定値以上(例えば、0.25V)であれば信号を出力し続け、所定値より小さくなると出力を停止する。サーミスタ401は周辺温度によって抵抗値が変化するため、サーミスタ401を介して放電する際の放電時間は、周辺温度に依存することとなる。
<4.3 温度計測処理の流れ>
次に、図6及び図7を用いて、電子体温計100における温度計測処理の流れについて説明する。図6は、電子体温計100における温度計測処理の流れを示すフローチャートであり、図7は、コンデンサ404の両端の電圧の時間変化及びA/D変換部430より出力されるディジタル信号の時間変化を示す図である。
ステップS601では、基準抵抗素子402及び常抵抗素子403からなる並列回路と、コンデンサ404とを含む系(第2の系)の両端に電圧Vを印加する。図7の701は、これにより、コンデンサ404に徐々に電荷が蓄積されていく期間(充電期間)を示している。このとき、第1切替部410と電圧切替部440は、電源部250の出力が基準抵抗素子402に接続されるように切り替えられ、第2切替部420は、常抵抗素子403の接続先が電源部250側になるように切り替えられている(図5A参照)。
コンデンサ404の充電が完了すると、ステップS602では、基準抵抗素子402を介してコンデンサ404の放電を行う。このとき、タイマー222では、放電を開始してからコンデンサ404の電圧が所定の電圧(0.25V)以下になるまでの時間(放電時間702)Tref0を計測する。なお、放電の際には、第1切替部410と電圧切替部440はコンデンサ404が基準抵抗素子402を介して接地されるように夫々の接続先を切り替え、第2切替部420は常抵抗素子403の接続先をコンパレータ431側に切り替えている(図5Bを参照)。
コンデンサ404の放電が完了すると、ステップS603では、再度、基準抵抗素子402及び常抵抗素子403からなる並列回路と、コンデンサ404とを含む系(第2の系)の両端に電圧Vを印加する。図7の703は、これにより、コンデンサ404に徐々に電荷が蓄積されていく期間(充電期間)を示している。なお、このときの第1切替部410、電圧切替部440及び第2切替部420による切り替えはステップS601と同様である(図5A参照)。
コンデンサ404の充電が完了すると、ステップS604では、基準抵抗素子402を介してコンデンサ404の放電を行う。このとき、タイマー222では、放電を開始してからコンデンサ404の電圧が所定の電圧(0.25V)以下になるまでの時間(放電時間704)Tref1を計測する。なお、このときの第1切替部410、電圧切替部440及び第2切替部420による切り替えはステップS602と同様である(図5B参照)。
コンデンサ404の放電が完了すると、ステップS605では、サーミスタ401及び常抵抗素子403からなる並列回路と、コンデンサ404とを含む系(第1の系)の両端に電圧Vを印加する。図7の705は、これにより、コンデンサ404に徐々に電荷が蓄積されていく期間(充電期間)を示している。このとき、第1切替部410と電圧切替部440は、電源部250の出力がサーミスタ401に接続されるように切り替えられ、第2切替部420により、常抵抗素子403の接続先は電源部250側に切り替えられている(図5C参照)。
コンデンサ404の充電が完了すると、ステップS606では、サーミスタ401を介してコンデンサ404の放電を行う。このとき、放電を開始してからコンデンサ404の電圧が所定の電圧(0.25V)以下になるまでの時間(放電時間706)Tthを計測する。なお、放電の際には、第1切替部410と電圧切替部440はコンデンサ404がサーミスタ401を介して接地されるように夫々の接続先を切り替え、第2切替部420は常抵抗素子403の接続先をコンパレータ431側に切り替えている(図5Dを参照)。
コンデンサ404の放電が完了すると、ステップS607では、再度、基準抵抗素子402及び常抵抗素子403からなる並列回路と、コンデンサ404とを含む系(第1の系)の両端に電圧Vを印加する。図7の707は、これにより、コンデンサ404に徐々に電荷が蓄積されていく期間(充電期間)を示している。なお、このときの第1切替部410、電圧切替部440及び第2切替部420による切り替えはステップS605及びS603と同様である。
コンデンサ404の充電が完了すると、ステップS608では、基準抵抗素子402を介してコンデンサ404の放電を行う。このとき、タイマー222では、放電を開始してからコンデンサ404の電圧が所定の電圧(0.25V)以下になるまでの時間(放電時間708)Tref2を計測する。なお、このときの第1切替部410、電圧切替部440及び第2切替部420による切り替えはステップS602及びS604と同様である(図5B参照)。
コンデンサ404の放電が完了すると、ステップS609では、Tref=(Tref1+Tref2)/2を計算する。
更にステップS610では、T=a×Tth/Tref(ただし、aは係数)を計算することで、基準温度に対する変動比を求め、温度データを算出する。更に、ステップS611では、計算結果Tを温度計測結果として設定する。
これにより、1回の温度計測が完了する。当該温度計測処理は、温度計測の終了が指示されるまで繰り返し行われる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る電子体温計では、常抵抗素子と切替部を設け、充電の際にはサーミスタまたは基準抵抗素子のいずれかと並列回路を形成し、放電の際にはコンパレータに接続するよう構成した。
この結果、単一入力積分型A/D変換回路を用いた電子体温計において、充電時間の短縮を低コストで実現することが可能となった。
なお、上記説明では、サーミスタ401を介して放電する場合には、サーミスタ401及び常抵抗素子403を介してコンデンサ404を充電し、基準抵抗素子402を介して放電する場合には、基準抵抗素子402及び常抵抗素子403を介してコンデンサ404を充電することとしたが、コンデンサ404の充電においては、サーミスタ401と基準抵抗素子402のいずれを用いてもよい。
また、上記説明では、第2切替部420を設け、常抵抗素子の接続先を切り替えることとしたが、本発明はこれに限定されず、第2切替部420を設けずに、別のポートを介して、常抵抗素子403をコンデンサ404に接続するように構成してもよい。

Claims (2)

  1. コンデンサに一端が接続されたサーミスタと、
    前記コンデンサに一端が接続された基準抵抗体と、
    前記コンデンサに一端が接続され、前記コンデンサに電荷を蓄積する際に、他端に電源から電圧が印加される抵抗体と、
    前記コンデンサに蓄積された電荷を前記サーミスタまたは前記基準抵抗体のいずれかを介して放電する際に、前記抵抗体の他端に接続され、前記コンデンサが所定電圧以上の電圧を有している間、所定の信号を出力する出力手段と、
    前記コンデンサに蓄積された電荷を放電する際に、前記サーミスタと前記基準抵抗体のいずれを介して放電するかを切り替える第1切替手段と、
    前記出力手段により前記所定の信号が出力されている時間を計測することで、前記コンデンサに蓄積された電荷放電時間を計測する計測手段と、
    前記コンデンサに蓄積された電荷を前記サーミスタを介して放電した場合の放電時間と、前記コンデンサに蓄積された電荷を前記基準抵抗体を介して放電した場合の放電時間とを用いて、温度を算出する算出手段とを備え
    前記コンデンサに電荷を蓄積する際に、前記サーミスタまたは前記基準抵抗体のうちの一方の他端に前記電源から電圧が印加され、前記抵抗体のほか、当該一方を介して前記コンデンサに電荷が蓄積されることを特徴とする電子体温計。
  2. 前記抵抗体の抵抗値は、前記サーミスタの抵抗値および前記基準抵抗体の抵抗値よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の電子体温計。
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