JP5496705B2 - 排水トラップ及びユニットバスの排水構造 - Google Patents

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Description

本発明は、排水トラップ及びユニットバスの排水構造に関する。
従来から、ユニットバスや洗面器等の水廻りの排水構造には、封水を貯留して排水管からの臭気などを遮断するため、水封式の排水トラップが設けられている(特許文献1参照)。この排水トラップは、排水管内が過度に負圧となったときに、破封や、それに伴う騒音等が発生し、また排水管内が過度に正圧となったときに、水廻りの排水口から水が拭き出す現象が発生する場合がある。
このため、水封式の排水トラップには、ある程度の封水強度を持たせる必要がある。なお、封水強度とは排水管内に正圧又は負圧が生じた時の、排水トラップの封水保持能力のことをいう。また、正圧とは、大気圧よりも高圧であることをいい、負圧とは、大気圧よりも低圧であることをいう。
現在、日本国内において、排水トラップの封水強度は、封水深(封水の深さ)という構造規定によって定められている。具体的には、SHASE−S218の基準や、建築基準法の告示(建設省告示第1674)において、封水深を50mm〜100mmとする構造規定がある。
しかしながら、単純に封水深を深くすると封水強度は増すが、排水トラップ内に汚れが溜まって性能が低下したり、メンテナンス性が悪化する。また、ユニットバスなどの低位排水の排水器具では、床下空間の縮小化のために器具自体の低床化が求められているが、封水深を深くすることは、低床化のネックとなっている。
さらに、排水トラップの封水強度は、封水深だけでなく、様々な要素によって定まる。
例えば、流入側管の断面積と流出側管の断面積の比率(脚断面積比)を大きくする、すなわち、トラップの流入側管の断面積を流出側管の断面積より大きくすることによって、封水強度を高めることができる。
しかしながら、脚断面積比に関しては、法律や規格などで規定されている数値ではないため、現在販売されている排水トラップの中には、脚断面積比が0.8以下の排水トラップも散見される。また、脚断面積比を極端に大きくすると、メンテナンス性が悪化する。
さらに、脚断面積比が同じでも、排水トラップの構造(Pトラップ、Sトラップ、逆碗トラップ等)によっても封水強度は変化する。具体的には、封水部を形成する形状が同じ、PトラップとSトラップを比較した場合、Pトラップは、一度Pトラップ外に引っ張られた水も幾分かはPトラップに戻る様な仕組みになっているが、Sトラップの場合は、一度Sトラップ外に引っ張られた水はSトラップに戻ってくることは無い等、封水強度は一定ではない。
以上のように、封水深や脚断面積比の調整によって、排水トラップの封水強度を高めるには限界があるため、上記以外の方法で、排水トラップの封水強度を高めることが望まれる。
そこで、特許文献2には、排水設備が正圧になったときに、排水設備内の空気を可撓性空気溜めに流入して、当該可撓性空気溜めを膨らませることによって、正圧を減衰する圧力減衰装置が開示されている。
実開平6−20568号公報 特許第4295616号公報
しかしながら、特許文献2には、圧力減衰装置を排水トラップに設けることは記載されていない。排水構造、例えば立て管に圧力減衰装置を設けても、排水トラップ付近の正圧を十分に減衰させることはできないため、排水トラップの封水強度を高めることができない。このように、排水トラップ付近の正圧を減衰できなければ、排水トラップの部分で排水の拭き出しが起こってしまう。
本発明は、上記事実を考慮し、封水強度を高めることが可能な排水トラップ及びユニットバスの排水構造を提供することを目的とする。
本発明の第1態様に係る排水トラップは、排水が流入する流入部と、前記排水が流出する流出部と、前記流入部と前記流出部の間に設けられる水封式の封水部と、前記流出部と連通し、空気圧により拡縮する拡縮室と、を備える。
この構成によれば、流出部が正圧状態となった場合でも、流出部内の空気が拡縮室内に流入し、空気圧によって拡縮室が拡大する。これにより、流出部内の空気は、拡縮室内へ流れるので、正圧を吸収することができ、もって封水部に正圧が作用することを抑制することができる。
封水部への正圧の作用を抑制すれば、封水が流入部から拭き出す現象も生じなくなり、もって排水トラップの封水強度を高めることが可能となる。
また、流出部が正圧状態から負圧状態に変化したときには、拡縮室内の空気が流出部内に流入して、拡張した拡縮室が縮小し元の状態に戻る。これにより、負圧となった後に再び正圧となった場合でも、流出部内の空気を拡縮室内に流すことができる。
本発明の第2態様に係る排水トラップは、一端部が前記流出部と連通し他端部が前記拡縮室と連通する空気抜き管を有する。
このように、空気抜き管を介して、流出部と拡縮室とを連通させることができる。
本発明の第3態様に係る排水トラップは、前記空気抜き管の前記他端部は上方に延出されている。
このように、空気抜き管の他端部を上方に延出させることにより、流出部内の排水が空気抜き管に流入することを抑制することができる。
本発明の第4態様に係る排水トラップは、前記空気抜き管の前記他端部側は、鉛直方向に配置されている。
この構成によれば、空気抜き管の他端部側、すなわち、空気抜き管の拡縮室との接続側を、鉛直方向に配置することにより、流出部の正圧を効果的に吸収することができる。
本発明の第5態様に係る排水トラップは、前記空気抜き管は、前記一端部が前記流出部の上部と連通している。
このように、空気抜き管の一端部を流出部の上部と連通させることにより、空気抜き管への排水の流入を抑制することができる。
本発明の第6態様に係る排水トラップは、前記流出部に設けられ、外部からの空気を前記流出部へ流入させる通気弁を備える。
この構成によれば、流出部が負圧となることに起因する、破封や、それに伴う排水騒音等を防止することができる。
本発明の第7態様に係る排水トラップは、前記拡縮室が袋体で構成される。
このように、拡縮室を袋体で構成することにより、拡縮室を小さいスペースで簡易な構成によって形成できる。
本発明の第8態様に係るユニットバスの排水構造は、ユニットバスに設けられる排水口と、前記排水口に連通し、前記ユニットバスの床面と床スラブとの間に設けられる上述の排水トラップと、を有する。
この構成によれば、排水トラップの封水強度は、拡縮室を設けることによって高めることができるため、封水深を浅くしても支障がない。したがって、ユニットバスの床面と床スラブとの間にある排水トラップの封水深を浅くして、床スラブ面からユニットバスの床面までの高さ方向の寸法(以下、床下の寸法という)を小さくすることができる。
本発明の第9態様に係るユニットバスの排水構造は、前記排水トラップの流出部と連通して横方向へ延び、前記排水トラップからの排水を横方向へ流す横引き管と、前記横引き管と連通して下方へ延び、前記横引き管からの排水を流下させることによりサイフォン力を発生させる竪管と、を備える。
従来排水では封水深を浅くしても、排水トラップ以降の配管が長いと、あえてユニットバスを嵩上げしなければいけないのに対して、第9態様のようなサイフォン排水構造であれば嵩上げの必要がないので、封水深を浅くする意義が出てくる。
以上説明したように本発明によれば、封水強度を高めることが可能な排水トラップ及びユニットバスの排水構造を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係るユニットバスの排水構造の一部構成を概略的に示す部分断面図である。 ユニットバスの要部の斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る排水トラップの本体部を概略的に示す断面図である。 本発明の第1実施形態に係る拡縮室の動作を説明する概略図である。 本発明の第2実施形態に係る排水トラップの本体部を示す概略図である。 本発明の第3実施形態に係る排水トラップの本体部を示す概略図である。 本発明の第4実施形態に係る排水トラップの本体部を示す概略図である。 本発明の第1実施形態〜第4実施形態に係る排水トラップの変形例である。 本発明の第1実施形態に係る拡縮室の形成部材の変形例の概略図である。 本発明の第1実施形態に係る拡縮室の形成部材の他の変形例の概略図である。 本発明の第1実施形態に係る通気弁の変形例の概略図である。 サイフォン排水構造を示す概略図である。
[第1実施形態]
−ユニットバスの排水構造−
以下に、本発明のユニットバスの排水構造の第1実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るユニットバス10の排水構造12の一部構成を概略的に示す部分断面図であり、図2はユニットバス10の要部の斜視図である。
ユニットバス10は、床スラブ14の上部に図示しない支持部材を介してユニットバス10の床面としての浴室用防水パン30が配置されている。
浴室用防水パン30の上部には、一方の側に入浴用の湯水を溜める容器としての浴槽32が配置され、浴室用防水パン30の浴槽32以外の部位は、体を洗うための洗い場34となっている。なお、浴室用防水パン30の上部に浴槽32を配置した構造のユニットバスを、フルパン構造のユニットバスと呼ぶことがある。
浴槽32には、浴槽32内に溜めた湯水を排出するための排水口36が設けられており、栓38で塞ぐことが可能となっている。
浴室用防水パン30には、排水口36の下側に、排水口36からの湯水等を排出するための排水口40が設けられている。この排水口40には、目皿42が取り付けられている。
目皿42の下方には、本発明の第1実施形態に係る水封式の排水トラップ46が設けられている。
排水トラップ46は、排水口40に接続された浴槽用排水配管44を備えている。この浴槽用排水配管44の下流側の端部には、排水トラップ本体50が接続されている。
排水トラップ本体50は、ユニットバス10の浴室用防水パン30と床スラブ14との間に設けられている。
−排水トラップの構成−
図3は、本発明の第1実施形態に係る排水トラップの本体部を概略的に示す断面図である。
排水トラップ本体50は、浴室用防水パン30の下に配置された外筒54を備えている。外筒54の外周壁54Aには、流入部として浴槽用排水配管44が接続される流入側接続管56が形成されている。流入側接続管56の排水口58の上方は外周壁54Aで仕切られており、浴槽側の封水深を確保している。
また、外筒54の外周部には、外筒54から排水が流れ出る流出部64が形成され、この流出部64につながる流出側接続管66が、排水管52に接続される構成である。
流出側接続管66には、通気弁68が形成されている。通気弁68は、外部から流出部64内への空気の流入が可能とされていると共に、流出部64内から外部へは空気及び排水を通過させない、逆止弁機能をもって構成されている。通気弁68としては、メンブレンバルブなどのように弾性体を用いたものや、ボール式逆止弁など、種々の機械要素により構成された逆止弁を用いることが可能である。本実施形態では、通常時には、閉鎖され、流出部64が負圧になることにより開放される不図示の逆止弁を備えた通気弁68として説明する。
また、流出部64には、浴室用防水パン30の下を横方向へ延びる空気抜き管70が接続されている。この空気抜き管70の排気口70Aには、袋体72が固定され、排気口70Aから空気が出入りするようになっている。
袋体72は、伸縮自在に弾性材料で形成されたもの等を用いることができ、材質としては、例えば、ゴム、ビニル又はゴム以外のエラストマー等を用いることができる。また、袋体72の内部には、拡縮室74が構成されている。
拡縮室74は、空気抜き管70を通じて流出部64と連通し、空気圧により室内が拡縮可能な密閉空間とされ、押圧された流出部64内の空気が流入可能とされている。このような拡縮室74は、内部に空気が流入することにより拡大し、内部から空気が流出することにより縮小する。
さらに、外筒54には、外筒54の内側に環状の貯留空間75を形成するように、浴室用防水パン30側から内筒76が挿入されている。内筒76の下端部と外筒54の底部54Bとの間には、外筒54と内筒76との間を排水が流れる連通部78が形成されている。すなわち、外筒54の外周壁54Aの上部から流れ出るまで外筒54や浴槽用排水配管44に排水を溜めることで、浴槽用排水配管44と排水管52が封水され、排水管52を伝わって、臭いが排水口40まで上がってこない構成となっている。なお、内筒76の下端から外筒54の上端までの高さhが、封水深となる。
また、内筒76の上部は、浴室用防水パン30に形成された凹部80に嵌る目皿蓋82で覆われており、異物の混入を防ぐとともに、体を洗う際に使用した湯水、浴槽32から溢れた湯水等を、目皿蓋82から内筒76へ排水できる構成である。
−作用−
次に、本発明の第1実施形態に係るユニットバス10の排水構造12及び排水トラップ46の作用を説明する。
第1実施形態に係るユニットバス10の排水構造12では、浴槽32からの排水は、浴槽32の排水口36から排出され、排水口40を介して、排水トラップ46に流入する。すなわち、排水は、排水口40から流入部としての浴槽用排水配管44を介して排水トラップ本体50の流入側接続管56へ流入し、連通部78へ流れる。そして、連通部78を介して外筒54の上端から溢れた排水は、流出部64及び流出側接続管66を介して排水管52へ流入し、ユニットバス10から排出される。
一方、洗い場34からの排水は、洗い場34の凹部80から、排水トラップ本体50の流入部としての内筒76の開口部へ流入し、連通部78へ流れる。そして、連通部78を介して外筒54の上端から溢れた排水は、流出部64及び流出側接続管66を介して排水管52へ流入し、ユニットバス10から排出される。
ここで、流出部64内が大気圧又は負圧の時は、排水トラップ本体50の袋体72は、図4(A)に示すように、扁平となった扁平状態となっている。ところが、流出部64内が正圧になったとき、流出部64内の空気が拡縮室74内に流入し、図4(B)に示すように、空気圧によって袋体72が膨出状態となり、拡縮室74が拡大する。これにより、流出部64内の正圧を吸収することができ、もって貯留空間75内の封水に正圧が作用することを抑制することができる。
貯留空間75内の封水への正圧の作用を抑制すれば、外筒54の排水面が下がり、封水が浴槽用排水配管44等の流入部から拭き出す現象も生じなくなり、もって排水トラップ本体50の封水強度を高めることが可能となる。
また、流出部64内が正圧から負圧に変化したときには、拡縮室74内の空気が流出部64に流入して、図4(A)に示すように、拡張した拡縮室74が縮小し元の状態に戻る。これにより、負圧となった後に再び正圧となった場合でも、流出部64内の空気を拡縮室74内に流すことができる。
さらに、袋体72が縮小し元の状態に戻った後、負圧が続いた場合でも、通気弁68から空気が流入し、流出部64内がより負圧となりにくい。流出部64内が大気圧状態から負圧になった時も同様である。したがって、流出部64が負圧となることに起因する、破封や、それに伴う排水騒音などを防止することができ、もって排水トラップ本体50の封水強度を高めることができる。
さらにまた、第1実施形態に係るユニットバス10の排水構造12では、排水トラップ本体50の封水強度は、拡縮室74を設けることによって高めることができるため、封水深を浅くしても支障がない。
ここで、排水トラップ本体50の封水深は、内筒76の下端から外筒54の上端までの高さhであるが(図3参照)、拡縮室74を設けることで、従来の排水トラップと同じ封水強度を保ちながら当該排水トラップの封水深よりも浅く、例えば従来の封水深が50mmであったところを、50mm未満に設定できる。
したがって、ユニットバス10の浴室用防水パン30と床スラブ14との間にある排水トラップ本体50の封水深を浅くして、ユニットバス10の床下の寸法を小さくすることができる。
また、袋体72と流出部64を接続する空気抜き管70が、水平方向に延出されているため、排水トラップ本体50に袋体72を設けた場合に床下の寸法が大きくなることを抑制することができる。
さらにまた、空気抜き管70の一端部が、流出部64の上部と連通しているため、空気抜き管70への排水の流入を抑制することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る排水トラップについて、図5を用いて説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る排水トラップの本体部を示す概略図である。
第2実施形態に係る排水トラップ100の本体部は、第1実施形態の排水トラップ本体50と比較して、空気抜き管の構成が異なる。
即ち、第2実施形態に係る排水トラップ100の空気抜き管102は、中間部が屈曲してL字状に形成されており、流出部から横方向に延びる横管102Aと、横管102Aから上方に延びる縦管102Bとで構成されている。空気抜き管102は、一端部が流出部64と連通し他端部が拡縮室74と連通しており、第2実施形態の構成では、他端部側が鉛直方向に配置されている。
本発明の第2実施形態に係る排水トラップ100の構成によれば、空気抜き管102の他端部側、すなわち、空気抜き管102の拡縮室74との接続側を、鉛直方向に配置することにより、流出部64の正圧を効果的に吸収することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る排水トラップについて、図6を用いて説明する。
図6は、本発明の第3実施形態に係る排水トラップの本体部を示す概略図である。
第3実施形態に係る排水トラップ110の本体部は、第1実施形態の排水トラップ本体50と比較して、袋体と流出部との接続方法が異なる。
即ち、第3実施形態に係る排水トラップ110の袋体112は、空気抜き管を介さず直接流出部64に接続されている。
本発明の第3実施形態に係る排水トラップ110の構成によれば、袋体112が流出部64に直接接続されているので、第1実施形態の構成に比べ、空気抜き管70が不要となり、部品点数を少なくしつつ、排水トラップ110の封水強度を高めることが可能となる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る排水トラップについて、図7を用いて説明する。
図7は、本発明の第4実施形態に係る排水トラップの本体部を示す概略図である。
第4実施形態に係る排水トラップ120の本体部は、第1実施形態の排水トラップ本体50と比較して、袋体の構成が異なる。
即ち、第4実施形態に係る排水トラップ120の袋体122は、流出部64と直接連通し、排水トラップ120のトラップ本体を覆うようにトラップ本体に取り付けられている。この袋体122は、排水トラップ120のハウジングとみなすこともできる。
本発明の第4実施形態に係る排水トラップ120の構成によれば、袋体122が排水トラップ120のトラップ本体を覆うようにトラップ本体に取り付けられているため、膨出するスペースを確保し易く、正圧をより吸収することが可能となる。また、袋体122は、流出部64と直接連通しているので、第1実施形態の構成に比べ、空気抜き管70が不要となり、部品点数を少なくしつつ、排水トラップ120の封水強度を高めることが可能となる。
[その他の変形例]
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
例えば、本発明の第1実施形態に係る排水トラップ46が適用される水廻り器具としては、ユニットバス10で構成されている場合を説明したが、洗面台、洗濯機、台所流し及びトイレ等のいずれかで構成されていてもよい。
また、第1実施形態では、排水トラップ46が逆碗トラップである場合を説明したが、本発明の排水トラップとしては、図8に示すようなトラップ構造を採用してもよい。このような場合でも、排水トラップの下流側にある流出部64に袋体72が接続される。
図8(A)は、Pトラップの部分断面図であり、図8(B)は、Sトラップの部分断面図である。また、図8(C)は、Uトラップの部分断面図であり、図8(D)は、碗トラップの部分断面図である。さらに、図8(E)は、ボトルトラップの部分断面図であり、図8(F)は、ドラムトラップの部分断面図である。
第2〜第4実施形態も同様に、他のトラップを用いることができる。
また、第2実施形態の空気抜き管102の横管102Bは、縦方向に伸びている必要は無く、若干斜めに傾いていてもよい。
また、袋体72は、トラップ本体とは別体である場合を説明したが、トラップ本体のハウジング自体が袋体72で構成されていてもよい。特に、流出部64のハウジングが袋体で構成されていればよい。
また、拡縮室74を形成する形成部材としては、袋体72に限られず、種々の部材を用いることが可能である。例えば、図9に示すように、ピストン130Aがシリンダ130B内で往復移動可能に設けられたシリンダ状部材130で構成してもよい。この構成では、ピストン130Aが往復移動することにより、シリンダ130Bの内部に形成される拡縮室74が拡縮する。すなわち、シリンダ130B内に空気が流入することにより、図9(B)に示すように、ピストン130Aが押し上げられて拡縮室74が拡張され、シリンダ130B内から流出部64内へ空気が流出することにより、図9(A)に示すように、ピストン130Aが下がって拡縮室74が縮小する。
また、図10に示すように、蛇腹状にされた側壁140Aを有する筒状の蛇腹状部材140であってもよい。蛇腹状部材140は、一端部(図10における右端部)が閉鎖され、他端部(図10における左端部)が開放され、この開放端部が空気抜き管70と連通している。蛇腹状部材140は、蛇腹状の側壁140Aが伸縮可能とされており、図10(B)に示すように側壁140Aが伸長することにより、拡縮室74が拡大され、図10(A)に示すように側壁140Aが縮むことにより、拡縮室74が縮小される。
拡縮室74を形成する形成部材は、拡張後に流出部64内が負圧となったり、大気圧へ戻ったりした際に、拡縮室74内の空気が流出部64内へ戻るように構成されていることが好ましい。例えば、拡縮室74から流出部64側へ流入する空気の流入抵抗を、通気弁68から流出部64側へ流入する空気の流入抵抗よりも小さくすることにより、拡縮室74内の空気を流出部64内へ流入しやくすることができる。すなわち、流出部64へは、通気弁68からよりも拡縮室74からの方が、空気を流入しやすくすることができる。この空気の流入しやすさは、例えば、拡縮室74を形成する形成部材の柔軟性を高くして、拡縮室74が拡縮しやすくすることにより調整できる。
また、形成部材に、内容積を縮小させる方向へ力を作用させることで、流出部64内が大気圧、負圧になった際に、拡縮室74から流出部64へ空気を流入しやすくすることができる。例えば、形成部材として、ゴムなどの弾性変形可能なものを用いて、拡大した拡縮室74を縮小させる復元力を発揮させたり、弾性を有さない材料を用いた場合でも、拡縮室74を縮小させる形状に復元するように「くせ付け」を行っておいたりすることにより、拡縮室74から流出部64へ空気を戻すことができる。また、図9に示すシリンダ状部材130や、図10に示す蛇腹状部材140を用いる場合には、ピストン130A、蛇腹状部材140の上部に質量体を取り付けて、いわゆる重石とすることにより、拡縮室74の縮小を行うことができる。
また、空気抜き管70の上流端部は、流出部64の下部に接続されていてもよい。また、空気抜き管70は、流出部64から斜め上方に延びる構成であってもよい。
また、通気弁68としては、メンブレンバルブなどのように弾性体を用いたものや、ボール式逆止弁など、種々の機械要素により構成された逆止弁を用いることが可能である。通気弁68は、流出部64に設ける場合を説明したが、図11に示すように、空気抜き管70に設ける構成であってもよい。さらに、本発明の排水トラップとしては、通気弁68を有さない構成であってもよい。
また、図3に示す排水トラップ本体50には内筒76が設けられているが、内筒76は省略することもできる。
また、流出部64と流出側接続管66は、別々に存在するように説明したが、流出部64には、流出側接続管66が含まれるようにしてもよい。
また、本発明のユニットバスの排水構造は、従来からある、勾配のある排水管52を備えた勾配排水構造を想定しているが、サイフォン力を利用して水回り器具からの排水を効率よく排出するサイフォン排水構造に適用することもできる。
図12は、サイフォン排水構造を示す概略図である。サイフォン排水構造200は、複数階で構成された主に集合住宅に用いられ、排水を下方へ流す排水立て管202を備えている。集合住宅の各階には、水廻り器具204が設けられており、この水廻り器具204には、水廻り器具204から排出される排水を流すサイフォン排水管206が接続されている。
このサイフォン排水管206は、水廻り器具204に接続される横引き管208と、この横引き管208と連通する竪管210とを備えて構成されている。
横引き管208は、床スラブ14上で横方向に延設されている。この横引き管208は、無勾配で配置され、ユニットバス10から横引き管208へ流入した排水を横方向へ流す。
この横引き管208と連通する竪管210は、排水立て管202に沿って、上下方向(縦方向)に延設されている。この竪管210は、横引き管208から竪管210へ流入した排水を下方へ流下させることによりサイフォン力を発生させる。
この竪管210と排水立て管202とを連結する排水継手212が設けられている。この排水継手212は、竪管210からの排水を排水立て管202へ合流させる。
ここで、従来排水では封水深hを浅くしても、排水トラップ本体50以降の排水管52が長いと、あえてユニットバス10を嵩上げしなければいけないのに対して、上述のようなサイフォン排水構造200であれば嵩上げの必要がないので、封水深hを浅くする意義が出てくる。
また、上述のサイフォン排水構造以外でも、真空排水や圧送排水構造などの小口径で流せる排水構造においても、本発明の排水トラップを適用することができる。
10 ユニットバス
12 排水構造
14 床スラブ
30 浴室用防水パン(ユニットバスの床面)
40 排水口
44 浴槽用排水配管(流入部)
46、100、110、120 排水トラップ
64 流出部
68 通気弁
75 貯留空間(封水部)
76、102 空気抜き管
74 拡縮室
72、112、122 袋体
208 横引き管(排水管)
210 竪管

Claims (9)

  1. 排水が流入する流入部と、
    前記排水が流出する流出部と、
    前記流入部と前記流出部の間に設けられる水封式の封水部と、
    前記流出部と連通し、空気圧により拡縮する拡縮室と、
    を備える排水トラップ。
  2. 一端部が前記流出部と連通し他端部が前記拡縮室と連通する空気抜き管を有する、請求項1に記載の排水トラップ。
  3. 前記空気抜き管の前記他端部は上方に延出されている、請求項2に記載の排水トラップ。
  4. 前記空気抜き管の前記他端部側は、鉛直方向に配置されている、請求項2又は請求項3に記載の排水トラップ。
  5. 前記空気抜き管は、前記一端部が前記流出部の上部と連通していること、を特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の排水トラップ。
  6. 前記流出部に設けられ、外部からの空気を前記流出部へ流入させる通気弁を備える、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の排水トラップ。
  7. 前記拡縮室が袋体で構成される、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の排水トラップ。
  8. ユニットバスに設けられる排水口と、
    前記排水口に連通し、前記ユニットバスの床面と床スラブとの間に設けられる請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の排水トラップと、
    を有するユニットバスの排水構造。
  9. 前記排水トラップの流出部と連通して横方向へ延び、前記排水トラップからの排水を横方向へ流す横引き管と、
    前記横引き管と連通して下方へ延び、前記横引き管からの排水を流下させることによりサイフォン力を発生させる竪管と、
    を備える請求項8に記載のユニットバスの排水構造。
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