JP5495614B2 - シングルブレーキシューの製造方法 - Google Patents
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Description
シングルブレーキシューは、長尺の帯状鋼板1を、加工機に対して連続的に供給し、加工機が、先ずロール2により、帯状鋼板1の両側面を曲げ加工して2本のリブ3を形成し、次に三本ロール4により、連続的且つ螺旋状に曲げ加工を行う。
螺旋状に曲げられた加工品は、個々に切断された後に、螺旋状になっているため、リブ3が同一平面上にないことから、矯正加工によりリブ3を同一平面上となし、図2に示されるシングルブレーキシュー5となる。
また、シュー端部間距離7は、縮めることで、ライニングをドラム内面から離別させ、ブレーキを解除する。
更には、近年のブレーキに対する要求は高まってきており、三本ロールを用いた連続加工であっても、外径寸法が要求値に入らないことがある。
(1)ブレーキライニング張付面と、このブレーキライニング張付面に直交し同一方向に延設される2本のリブとを有するシングルブレーキシューの製造方法であって、一次加工として単位金属板に、最終成形品の直径未満となるロール加工を行い、二次加工として最終成形品の直径となる外径矯正加工を行う、シングルブレーキシューの製造方法。
(2)項(1)において、外径矯正加工が、その矯正直径を、一次加工直後の直径の100.1〜102%とするシングルブレーキシューの製造方法。
(3)項(1)又は(2)において、一次加工が、単位金属板をプレス加工により、リブの曲げ成形及び金属板体両端部の湾曲部成形を行った後に行われる、シングルブレーキシューの製造方法。
また、矯正直径を、一次加工寸法の100.1〜102%とした場合は、材質の性状(物理特性)を変化させることが少なく、ブレーキに対する影響がない。
更に、プレス加工によりリブを形成するのであれば、溝成形ロール機を用いるよりも、少ないコストで加工を行え、両端を曲げることにより3本ロールにて、より曲げやすくなる。
本発明にて述べるシングルブレーキシューは、ライニング張付面と、2本のリブを有する。
ライニング張付面は、後述するライニングを張り付ける部分であり、2本のリブは、シングルブレーキシューの強度を上げると共に、端部を変形させて油圧シリンダーと接続される。
シングルブレーキシューの材質は、特に限定されるものではないが、軟鋼、アルミニウム、真鍮、及び焼結合金等のような弾性変形可能な材料を用いることができ、特に軟鋼は強度が高いので好ましい。
ライニングは、ドラムに押圧させることにより、運動エネルギーを熱エネルギーに変換し、制動するものであり、一般に「摩擦材」と呼ばれている。
ライニングの材質は、一般に公知の材料が用いられ、例えばスチール繊維、黄銅繊維、銅繊維、アラミド繊維、アクリル繊維、フェノール繊維、セラミック繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、カーボン繊維等の繊維状物質を、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂にて成形したものである。
尚、上記ライニング材料の配合割合は、摩擦特性により異なり、適宜決定される。
リブは、ライニング張付面に直交し、同一方向に2本延設させるものであり、より具体的には、ライニング張付面の側方部位が、このライニング張付面とは逆方向に延設してある。
リブの材質は、特に制限されないが、1つの部材から、加工によりリブを形成できることから、ライニング張付面と、同一のものを用いることが好ましい。
リブの高さは、特に限定されるものではなく、ドラムブレーキ全体の大きさにもよるが、ライニング張付面の直径に対し、7%以上であることが、強度、油圧シリンダー等の部品組付を考えると、好ましい。
シングルブレーキシューの加工は、一次加工と、二次加工との2つに分けられる。
一次加工とは、単位金属板に対し、最終成形品の直径未満となるロール加工することであり、より具体的には、ロール曲げ加工、回転引き曲げ加工、引張曲げ加工等を用いることができ、特に、ロール曲げ加工が、加工費がかからず好ましい。
シングルブレーキシューの製造方法としては、一次加工を最終成形品の直径を超えるものとし、二次加工において、直径を収縮させて、外径寸法を矯正する方法も考えられる。
しかしながら、このような方法では、一次加工(単位金属板を無限直径の円弧と考えると、無限直径円から有限直径円への収縮)と、二次加工(最終成形品の直径を超えるものから最終成形品の直径への収縮)の加工方向が、同じなので高精度の矯正効果が得られない。
二次加工とは、一次加工での外径ばらつきを矯正するもので、機械的にシューを塑性変形領域迄、一次加工と逆方向に拡張した後、元に戻して外径寸法を矯正する。
二次加工では、一次加工直後の直径の100.1〜102%とする矯正加工をすることが好ましく、この範囲で矯正することで、材質の性状(物理特性)を変化させることが少なく、最も重要なブレーキに対する影響が出にくい。
一次加工と逆方向に変形させると、バウシンガー効果により、降伏点(物体に力を加えた際に、物体の変形量が急激に増加し、復元しなくなる臨界点)が下がり変形させ易く、降伏点のばらつきも小さくなり一定寸法になりやすい。
シングルブレーキシューの両端部は、シングルブレーキシューの径を変化させる、油圧シリンダーを接続するため、断面M字状に圧縮折曲成形することが好ましい(図5参照)。
圧縮折曲成形は、先ず図3に示すように、シングルブレーキシュー5のライニング張付面6の両端部を、ライニング張付面6に対して垂直且つ直線状に加重をかけ、更にリブ3の側面を、楔状のプレートで加圧して、断面M字状に成形する。
次に、図4に示すように、断面M字状になった部分を押し型で加圧して、2本のリブ3と、折れ曲がったライニング張付面6とを密着させる。
更に、図5に示すように、ライニング張付面6を折り曲げで形成された窪み8を、逆方向(ブレーキシューの内側から外側に向かう方向)から加圧して、ライニング張付面6を平滑にする。
その後、断面M字状になった部分の一部を切断して、シュー端部間距離7を、一定の寸法に加工する。これらの加工は、通常金型とプレスにより工程別に行う。
ライニング張付面へのライニングの張り付けは、固着による方法又は一体成形による方法があるが、このうち固着による方法については、例えば、リベット、接着剤等を用いることができる。これらの張り付けをする場合は、ライニング材の接着強度を上げるため、ライニング材を張り付ける前に、シングルブレーキシューのライニング張付面を、ローレット(ナーリング)加工や、ショットブラスト加工しておくことが好ましい。
プレス加工は、先に述べた一次加工の前に行われるものであり、リブの曲げ成形及び金属板体両端部の湾曲部成形を行う。シングルブレーキシューは、プレス成形を行うことにより、より安価に、より精度良く、後の加工を行うことができる。
リブの曲げ成形は、曲げ形状に合った溝型に金属平板をセットして、溝寸法から金属の板厚を差し引いた、溝寸法より小さな押し型で加圧して成形する。
金属板体両端部の湾曲部成形は、湾曲に加工した溝型と湾曲状の押し型で加圧して成形する。
シングルブレーキシューの材質は、軟鋼板(新日本製鐵株式会社製、商品名:SPFH590、板厚:2.5mm)を使用した。
一次加工をする前、図6に示すように、46.5mm幅の連続した帯状鋼板を、長さ517mm毎に切断して単位金属板9とし、プレスで断面コ字形状に曲げ加工し、端部に湾曲部10を形成した。
コ字の寸法は、ライニング張付け面が幅25mm、リブの長さが15mm、コ字内面のリブの長さが12.5mm、リブ先端の間の寸法は20mmとした。
端部の湾曲部の寸法は、両端部の端部先端から40mmを、外周R寸法で91Rにした。
外径寸法は、三本ロールに用いる、上ロールと下ロールとの回転軸間隔の調整で変動するが、一次加工の寸法管理範囲内で加工するために、一次加工終了後に外径寸法を測定し、その結果を回転軸間隔にフィードバックした。
より具体的に述べると、一次加工終了後の外径寸法(直径)が、179mm未満であれば、回転軸間隔を広げ、181mmを超える場合には、回転軸間隔を狭めるようにする。
外径寸法の測定は、シューの開口部を手前に置いて中央部横方向の外径寸法をノギス(株式会社ミツトヨ製、商品名:ABSデジマチックキャリパCD−20CX)で計測した。
一次加工の外径寸法ばらつきは、100個のシューを測定した結果、標準偏差σが、0.4であったが、二次加工では0.2になり、標準偏差σが、半分になって外径寸法精度が改善できたことを示した。
その後、熱硬化性樹脂を用いて、ライニング張付面にライニングを張り付けた。
Claims (3)
- ブレーキライニング張付面と、このブレーキライニング張付面に直交し同一方向に延設される2本のリブとを有するシングルブレーキシューの製造方法であって、一次加工として単位金属板に、三本ロールにより最終成形品の直径未満となるロール加工を行い、二次加工として最終成形品の直径となる外径矯正加工を行う、シングルブレーキシューの製造方法。
- 請求項1において、外径矯正加工が、その矯正直径を、一次加工直後の直径の100.1〜102%とするシングルブレーキシューの製造方法。
- 請求項1又は2において、一次加工が、単位金属板をプレス加工により、リブの曲げ成形及び金属板体両端部の湾曲部成形を行った後に行われる、シングルブレーキシューの製造方法。
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