JP2010260079A - 曲げ加工装置及びこの曲げ加工装置により加工されるブレーキシュー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転手段を有する上ロール1と、加工金属を挟んで前記上ロール1と対向する位置に配置される複数の下ロール2と、上ロール1の回転軸と下ロール2の回転軸との離間距離を変化させる位置変更手段とを備え、前記位置変更手段が、加工金属の始端と終端とで、終端時の離間距離を始端時の離間距離よりも小さくする、曲げ加工装置。
【選択図】図7
Description
加工時は、回転軸離間距離Hを所定の値に設定し、上ロール1と下ロール2との間に、加工する部材3を進入させることで、上ロール1の回転駆動力により部材3が送出され、湾曲加工される。
尚、湾曲加工時に、図2に示すように、回転軸離間距離Hを一定に保った場合は、部材の始端部及び終端部において、十分な曲げモーメントが作用せず、直線部が残ることがある。これは、曲げモーメントMが、下記式(1)に示されるように、押付力Fの作用点からの距離Xに比例する為であり、押付力Fの作用点である2本の下ロール2の位置では、曲げモーメントMが発生せず、又、押付力Fの作用点近傍では、発生する曲げモーメントが、湾曲加工に必要な曲げモーメントに足らない為に、発生するものである。
これを防止するためには、部材3の端部を、予めプレス機等により円弧状に曲げておく、「端曲げ」という方法が用いられる。
その為、加工金属が、板状部材の場合には、ロール加工後に矯正加工を施し、略円環状としているのが現状である。
(1)回転手段を有する上ロールと、加工金属を挟んで前記上ロールと対向する位置に配置される複数の下ロールと、上ロールの回転軸と下ロールの回転軸との離間距離を変化させる位置変更手段とを備え、前記位置変更手段が、加工金属の始端と終端とで、終端時の離間距離を始端時の離間距離よりも小さくする、曲げ加工装置。
(2)項(1)において、位置変更手段が、加工金属の始端から終端までの間で、離間距離を一旦徐々に長くし、その後離間距離を一定状態に保った後、徐々に短くする、曲げ加工装置。
(3)項(2)において、位置変更手段が、離間距離を徐々に長くする状態から、一定状態に変化するタイミング及び一定状態から短くするタイミングを、加工金属長さの始端又は終端から3分の1以内とする、曲げ加工装置。
(4)項(1)及至(3)の何れかに記載される曲げ加工装置により加工される、ブレーキシュー。
本発明の曲げ加工装置により加工されたブレーキシューは、真円に近いために、矯正加工をする必要がなく、シューアッセンブリーの部品として使用でき、また、より低コストで、短時間に生産することが、可能となる。
下ロールの設置位置は、上ロールに対し、加工すべき金属を挟んで、対向する部位とする。
下ロールを上下動させる場合は、複数の下ロールの全てを、一様に上下動させることも、個々の下ロールを、独立に上下動させることもできる。
位置変更手段は、より具体的に述べると、シーケンスプログラムで制御されたサーボモーターにより、減速機とボールねじとを介して、下ロールを上下動させるものを、用いることができる。
又、曲げ加工始端付近と終端付近とでは、終端付近の方が、回転軸離間距離Hを小さくする。図3に示すように、部材3が送出されるのに伴い、上ロール1と下ロール2との間に、部材3の終端部5が進入し、上ロール1と下ロール2との間の部材3の曲率分布が急激に変化することに対応している。
より詳細に述べると、予め端曲げを施してある部材3を加工する場合に、定常状態領域を曲げている段階では、左側の下ロール2に接触している部分から、右側の下ロール2に接触している部分迄の、部材3の曲率が、実線にて示すものとなる。しかし、部材3の曲率は、終端部5の端曲げ部が、左側の下ロール2と接触した瞬間から、2点鎖線にて示すものとなり、曲率が急激に変化する。この変化は、部材3の始端付近での変化よりも、部材3の終端付近にてより大きなものであり、この変化量に合わせて、始端付近での回転軸離間距離Hよりも、終端付近での回転軸離間距離Hを縮めている。
回転軸離間距離Hを変化させるタイミングは、予め施してある端曲げの状態により変化するが、加工金属全体の長さを3等分し、始端から3分の1以内と、終端から3分の1以内とで、変化させることが、バランスがとれて好ましい。
回転軸離間距離Hの変化は、加工金属の始端時と終端時とを比較し、終端時にて始端時より縮めてあれば良いが、始端時と終端時との間にて、加工金属全体長さの中間位置近辺にて最も長くするように、一旦徐々に長くしてから、徐々に縮めるようにすることが、加工金属をより真円に近づけられ、好ましい。
形状は、ライニングの張付面を有するものであれば良く、特に限定されるものではないが、より具体的には、図4示すように、ライニング張付面8と、このライニング張付面8と直交するように延設される2本のリブ9とを有し、前記ライニング張付面8が、円弧形状を有しているものと、することができる。
ライニングは、ドラムに押圧させることにより、運動エネルギーを熱エネルギーに変換し、制動力を得るものであり、一般に「摩擦材」と呼ばれている。ライニングの材質は、一般に公知の材料が用いられ、例えば、スチール繊維、黄銅繊維、銅繊維、アラミド繊維、アクリル繊維、フェノール繊維、セラミック繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維、カーボン繊維等の繊維状物質を、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂にて成形したものである。
尚、前記ライニング材料の配合割合は、摩擦特性により決定される。リブの材質は、特に制限されないが、一つの部材から、加工によりリブを形成できることから、ライニング張付面と、同一のものを用いることが好ましい。
本実施例にて用いた加工金属は、以下の通りである。
材質:自動車用加工性熱間圧延高張力鋼帯(SPFH590(JIS G 3134:2006)、新日本製鐵株式会社製)
降伏点:450〜600N/mm2
引張強さ:590N/mm2
伸び:18〜32%
板厚:2.5mm
上記加工金属は、曲げ加工前に、ブレーキ使用時の摺動抵抗を軽減する為、図5に示すように、加工金属の両縁を、加工機(株式会社ヨシダキネン製、商品名:カセットローラーダイスCRD100型60幅タイプ)により、幅:5mm、深さ:0.5mmで潰した後、図6に示すように、加工を行った。
即ち、図6(a)に示すように、プレス加工により、長さ:517mm毎に切断して切り板10とし、図6(b)に示すように、刻印11(図6(a)参照)、断面コ字形状に曲げ加工(コ字曲げ品12)をすると同時に、両端部に半径91mm、長さ40mmの端曲げ13を行った。
この際使用した上下ロールは、以下のものである。
<上ロール>
材質:SKD11(焼き入れ、HRC(ロックウェル硬度)60〜65)
半径:67.5mm
表面処理:硬質クロムめっき
<下ロール>
材質:SKD11(焼き入れ、HRC(ロックウェル硬度)60〜65)
半径:39.0mm
表面処理:硬質クロムめっき
表2に示す曲げ工程は、初期値を曲げ工程1とし、前記第1変化点通過後を曲げ工程2、前記第2変化点通過後を曲げ工程3、前記第3変化点通過後を曲げ工程4、前記第4変化点通過後を曲げ工程5、前記第5変化点通過後を曲げ工程6、としている。
回転軸離間距離Hを、表2に示すものから表1に示すものに代えた以外は、先に述べた実施例と同じように行った。この結果を、表3(比較例)、及び図9に示す。
先ず、F検定を行うと、実施例と比較例とでは、有意水準0.05(5%)で等分散とされ、両群の分散が等しいことが判る。そこでT検定を行うと、有意水準0.01(1%)で有意差ありとなり、本発明による真円度は、比較例に比べ改善していることが分かる。
更に、本発明による真円度の比較例からの改善率は、約30%〜78%とされ、最低でも30%程度の改善が見込まれる。
尚、ここで述べる改善率は、実施例及び比較例にて得られた真円度の実験データから推測される未知母集団の分布を、実施例の推定最小平均値:0.49、推定最大平均値:1.09、比較例の推定最小平均値:1.56、推定最大平均値:2.18とし、実施例と比較例との最大差:0.49−2.18=−1.69(この絶対値)を2.18(比較例の推定最大平均値)で除して、最小差:1.09−1.56=−0.47(この絶対値)を1.56(比較例の推定最小平均値)で除して、それぞれ計算している。
油圧シリンダー接合部の成形は、図6(d)に示すように、始端部4及び終端部5のライニング張付面8を、円弧の外側から内側に圧力をかけて断面をコ字からM字になし、図6(e)に示すように、リブ9を図面にて上下方向から押しつぶすようにして、断面のM字を各々の辺が密着するようにし、更に、図6(f)に示すように、図6(e)にて凹んでいた凹部14を、円弧の内側から外側に向けて加圧し、平坦化させている。
このようにして形成された、油圧シリンダー接合部15には、後に油圧シリンダーの両端部が接続され、油圧シリンダーにてシングルブレーキシューを変形させることで、ライニングをドラムブレーキの内面に当接させ、制動力を発揮させる。
その後、熱硬化性樹脂を用いて、ライニング張付面にライニングを張り付けた。
Claims (4)
- 回転手段を有する上ロールと、加工金属を挟んで前記上ロールと対向する位置に配置される複数の下ロールと、上ロールの回転軸と下ロールの回転軸との離間距離を変化させる位置変更手段とを備え、前記位置変更手段が、加工金属の始端と終端とで、終端時の離間距離を始端時の離間距離よりも小さくする、曲げ加工装置。
- 請求項1において、位置変更手段が、加工金属の始端から終端までの間で、離間距離を一旦徐々に長くし、その後離間距離を一定状態に保った後、徐々に短くする、曲げ加工装置。
- 請求項2において、位置変更手段が、離間距離を徐々に長くする状態から、一定状態に変化するタイミング及び一定状態から短くするタイミングを、加工金属長さの始端又は終端から3分の1以内とする、曲げ加工装置。
- 請求項1及至3の何れかに記載される曲げ加工装置により加工される、ブレーキシュー。
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2009
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