JP5493695B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池の制御に関するものである。
燃料電池の電流−電圧特性ならびに燃料電池のフラッディングの発生状態に基づいて、燃料電池が発電を開始した際に、発電電力の応答速度を推定し、駆動に必要な電力、二次電池が供給可能な電力を演算し、燃料電池システムがアイドルストップ状態から発電を復帰するタイミングを決定する燃料電池システムが知られている(例えば特許文献1)。
特開2006−223061号公報
しかし、従来の技術では、燃料電池の始動時、間欠運転からの復帰時、あるいは、最大出力発生時において、燃料電池内に水溜まりが発生しているときの、燃料電池内の水を除去あるいは乾燥させる処理を考慮した発電制御については十分に考慮されていなかった。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決し、燃料電池に水が溜まっているときに適正な発電制御を行うことを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
本発明の実施の形態によれば、燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応により電力を生成する燃料電池と、二次電池と、前記燃料電池と前記二次電池から外部負荷への電力供給を制御する制御部と、要求出力を取得する要求出力取得部と、を備える。前記制御部は、前記燃料電池内の水の量を取得し、前記水の量から前記燃料電池の電流制限値を決定し、少なくとも前記電流制限値に従って前記燃料電池システムから前記要求出力に応じた電力を前記外部負荷に供給し、前記燃料電池内にあらかじめ定められた閾値以上の水が溜まっており、前記燃料電池内にあらかじめ定められた閾値以上の水が溜まっている場合であって、前記二次電池に予め定められた第1の電力量以上の電力量が蓄積されている場合には、前記燃料電池からの電流制限値を、前記閾値以上の水が溜まっている場合の電流制限値よりも低下させて前記燃料電池からの出力を低下させるとともに、前記二次電池からの出力を増大させ、前記二次電池に予め定められた第1の電力量未満の電力量しか蓄積されていない場合には、前記燃料電池からの電流制限値を前記水の量から決定された電流制限値とし、前記燃料電池内の水の量が前記閾値よりも下がった場合には、前記二次電池からの電力を減少させ、前記燃料電池の電流制限を行わずに前記燃料電池からの出力を増大させる制御を行う。この形態の燃料電池システムによれば、燃料電池に水が溜まっており、二次電池にあらかじめ定められた電力量以上の電力が蓄積されているときには、燃料電池からの出力を下げて、その分二次電池の出力を増加する。その結果、燃料電池の電気化学反応による水の生成を減少させ、燃料電池中の水の除去、乾燥を促進し、適正な発電制御を行うことが可能となる。
[適用例1]
燃料電池システムであって、燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応により電力を生成する燃料電池と、二次電池と、前記燃料電池と前記二次電池から外部負荷への電力供給を制御する制御部と、要求出力を取得する要求出力取得部と、を備え、前記制御部は、前記燃料電池内の水分布を取得し、前記水分布から前記燃料電池の電流制限値を決定し、少なくとも前記電流制限値に従って前記燃料電池システムから前記要求出力に応じた電力を前記外部負荷に供給し、前記燃料電池内にあらかじめ定められた閾値以上の水が溜まっており、かつ、前記二次電池に予め定められた第1の電力量以上の電力量が蓄積されている場合には、前記燃料電池からの電流制限値を前記水分布から決定された電流制限値よりも低下させて前記燃料電池からの出力を低下させるとともに、前記二次電池からの出力を増大させ、前記燃料電池内の水の量が前記閾値よりも下がった場合には、前記二次電池からの電力を減少させ、前記燃料電池の電流制限を緩和して前記燃料電池からの出力を増大させる制御を行う、燃料電池システム。
この適用例によれば、燃料電池に水が溜まっており、二次電池にあらかじめ定められた電力量以上の電力が蓄積されているときには、燃料電池からの出力を下げて、その分二次電池の出力を増加する。その結果、燃料電池の電気化学反応による水の生成を減少させ、燃料電池中の水の除去、乾燥を促進し、適正な発電制御を行うことが可能となる。
[適用例2]
適用例1に記載の燃料電池システムにおいて、前記制御部は、前記燃料電池内にあらかじめ定められた閾値以上の水が溜まっており、かつ、前記二次電池に、前記第1の電力量以上の、予め定められた第2の電力量が蓄積されている場合には、前記燃料電池からの電流制限値をゼロに決定して前記燃料電池からの出力を停止するとともに、前記二次電池のみから電力を前記外部負荷に供給し、前記燃料電池内の水の量が前記閾値よりも下がった場合には、前記二次電池からの電力を減少させ、前記燃料電池の電流制限を緩和して前記燃料電池からの出力を増大させる制御を行う、燃料電池システム。
この適用例によれば、二次電池のみから出力し、燃料電池から出力しないので、燃料電池における電気化学反応による水の生成を抑制できるので、燃料電池中の水をより除去、乾燥させることが可能となる。
[適用例3]
適用例2に記載の燃料電池システムにおいて、前記制御部は、前記水分布から決定された電流制限値よりも低い電流制限値で前記燃料電池を動作させている期間、前記燃料電池に供給する前記燃料ガスと前記酸化ガスのガス流量について、前記水分布から決定された電流制限値を維持するのに必要な流量と同量以上のガス流量を供給する、燃料電池システム。
この適用例によれば、燃料ガスや酸化ガスの流れにより、燃料電池内の水を除去、乾燥させやすい。
[適用例4]
適用例1から適用例3のいずれかに記載の燃料電池システムにおいて、前記燃料電池は、アノード及びカソードのそれぞれに反応ガスの供給を受けることにより発電を行う膜電極接合体と、前記反応ガスの入口における発電環境を決定する入口環境決定手段と、を有しており、前記制御部は、前記膜電極接合体の発電量と発電環境との関係を定めた発電特性を記憶する発電特性記憶手段と、前記膜電極接合体の反応ガス消費量及び水生成量と前記発電量との関係を定めた消費生成特性を記憶した消費生成特性記憶手段と、前記膜電極接合体を、仮想的に、前記反応ガスの流れに沿って並んだ複数の小領域に区分する小領域定義手段と、前記複数の小領域のそれぞれにおける発電量を、反応ガスの流れの上流側に位置する小領域で生成された発電環境に基づいて、前記発電特性に従って算出する発電量算出手段と、前記複数の小領域のそれぞれにおける反応ガス消費量及び水生成量を、当該小領域で生成された発電量に基づいて、前記消費生成特性に従って算出する消費生成量算出手段と、前記複数の小領域のそれぞれが生成する発電環境を、反応ガスの流れの上流側に位置する小領域で生成された発電環境に、当該小領域における反応ガス消費量及び水生成量を反映させることにより算出する発電環境更新手段と、前記膜電極接合体のカソードからアノードへの水移動量と発電環境との関係を定めた水移動特性を記憶する水移動特性記憶手段と、前記複数の小領域のそれぞれにおける水移動量を、反応ガスの流れの上流側に位置する小領域で生成された発電環境に基づいて、前記水移動特性に従って算出する水移動量算出手段と、を有しており、前記発電環境更新手段は、反応ガスの流れの上流側に位置する小領域のカソードに存在する水量と当該小領域における水生成量との和から、当該小領域における水移動量を減ずることで当該小領域のカソードに存在する水量を算出するカソード水量更新手段と、反応ガスの流れの上流側に位置する小領域のアノードに存在する水量に当該小領域における水移動量を加えることで当該小領域のアノードに存在する水量を算出するアノード水量更新手段と、を含むことを特徴とする燃料電池システム。
この適用例によれば、燃料電池内の水分布を容易に判断することが可能となる。
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池システムの他、燃料電池の運転制御方法等、様々な形態で実現することができる。
燃料電池システムを搭載した車両を示す説明図である。 燃料電池システムの構成を示す説明図である。 燃料電池スタックの構成を示す説明図である。 第1の制御パターンの動作を示すフローチャートである。 第1の制御パターンにおける燃料電池の電流制限値及び燃料電池と二次電池の出力を示す説明図である。 第2の制御パターンの動作を示すフローチャートである。 第2の制御パターンにおける燃料電池の電流制限値及び燃料電池と二次電池の出力を示す説明図である。 本実施例において用いられる電流密度Iのマップを示す。 図8の場合と同様の規則に従って膜電極接合体12の抵抗値Rと発電環境との関係を定義したマップである。 同様の規則に従って膜電極接合体12のカソードからアノードへの水移動量H2O_mと発電環境との関係を定義したマップである。 膜電極接合体小片を用いて特定の発電環境下での発電状態を測定するためのシステムの図である。 膜電極接合体12内の水分布を含む面内状態の予測に用いる仮想的な分割方法を説明するための図である。 n−1領域における発電環境を基礎としてn領域における発電環境を予測する手順を説明するための図である。 制御部530が実行するルーチンのフローチャートである。
[水分布を考慮した燃料電池システムの制御]
図1は、燃料電池システムを搭載した車両を示す説明図である。車両500は、燃料電池510と、制御部530(ECU(Electronic Control Unit)とも呼ぶ。)と、要求出力検知部535と、二次電池540と、分配コントローラ550と、駆動モータ560と、ドライブシャフト570と、分配ギア580と、車輪590と、を備える。
燃料電池510は、燃料ガスと酸化ガスとを電気化学的に反応させて電力を取り出すための発電装置である。燃料電池510の構成については、後述する。制御部530は、要求出力検知部535から取得した要求出力値に基づいて、燃料電池510と二次電池540の動作を制御する。要求出力検知部535は、車両のアクセル(図示せず)の踏み込み量を検知し、その踏み込み量の大きさから、運転手からの要求出力を検知する。二次電池540として、例えば、ニッケル水素電池や、リチウムイオン電池を採用することが可能である。二次電池540への充電は、例えば、燃料電池510から出力される電力を用いて直接充電することや、車両500が減速するときに車両500の運動エネルギーを駆動モータ560により回生して充電すること、により行うことが可能である。分配コントローラ550は、制御部530からの命令を受けて、燃料電池510から駆動モータ560への引き出す電力量と、二次電池540から駆動モータ560へ引き出す電力量を制御する。また、分配コントローラ550は、車両500の減速時には、制御部530からの命令を受けて、駆動モータ560により回生された電力を二次電池540に送る。駆動モータ560は、車両500を動かすための電動機として機能する。また、駆動モータ560は、車両500が減速するときには、車両500の運動エネルギーを電気エネルギーに回生する発電機として機能する。ドライブシャフト570は、駆動モータ560が発する駆動力を分配ギア580に伝達するための回転軸である。分配ギア580は、左右の車輪590へ駆動力を分配する。
図2は、燃料電池システムの構成を示す説明図である。燃料電池510は、燃料電池スタック600と、燃料ガス供給系(アノード系)650と、酸化ガス供給系(カソード系)700と、冷却系750と、を備えている。
燃料電池スタック600は、多数の単セル(図示せず)が積層して構成されている。燃料電池には、燃料電池スタックに流れる電流及び電圧を測定するための電流電圧計605が接続されている。なお、電流電圧計605は、単セル毎の電流、電圧を測定できるように構成されていてもよい。
燃料ガス供給系650は、燃料ガスタンク655と、燃料ガス供給管660と、燃料ガス排気管665と、開閉バルブ670と、レギュレータ675と、燃料ガスポンプ680と、圧力計685、687と、露点計690と、流量計695と、を備える。燃料ガスタンク655は、燃料ガスを貯蔵する。本実施例では、燃料ガスとして、水素を用いている。燃料ガスタンク655と、燃料電池スタック600とは、燃料ガス供給管660で接続されている。燃料ガス供給管660上には、燃料ガスタンク655からの燃料ガスの供給をオンオフするための開閉バルブ670と、燃料電池スタック600に供給される燃料ガスの圧力を調整するためのレギュレータ675が設けられている。
燃料電池スタック600には、燃料排ガスを排出するための燃料ガス排気管665の一端が接続されている。そして、燃料ガス排気管665の他端は、燃料ガス供給管660に接続されている。燃料ガス排気管665には、未反応の燃料ガスが含まれているが、これにより、未反応の燃料ガスを再び燃料電池スタック600に供給することが可能となる。
燃料ガス供給管660上には、燃料電池スタック600に供給される燃料ガスの圧力を測定するための圧力計685、燃料ガスの露点を測定するための露点計690、燃料ガスの流量を測定するための流量計695が設けられている。なお、露点計690の代わりに湿度計を設けてもよい。また、燃料ガス排気管665上には、燃料電池スタック600から排出される燃料排ガスの圧力を測定するための圧力計687が設けられている。
酸化ガス供給系700は、コンプレッサ705と、酸化ガス供給管710と、酸化ガス排気管715と、加湿装置720と、背圧弁725と、圧力計730、732と、露点計735と、流量計740と、を備える。本実施例では、酸化ガスとして空気を用いる。コンプレッサ705は、大気中の空気を取り込んで圧縮する。コンプレッサ705は、酸化ガス供給管710により、燃料電池スタック600に接続されている。燃料電池スタック600には、酸化排ガスを排出するための酸化ガス排気管715が接続されている。ここで、酸化ガス供給管710と酸化ガス排気管715には、加湿装置720が設けられている。燃料電池では、例えば、水素と、空気中の酸素と、を反応させて発電を行う。このとき、水素と酸素とが反応して水が生成する。生成した水は、酸化排ガスとともに燃料電池スタック600から排出される。加湿装置720は、酸化排ガス中に含まれる水分を用いて、燃料電池スタック600に供給される酸化ガスを加湿する。加湿装置720は、例えば、酸化ガス流路と、酸化排ガス流路とを備え、その2つの流路の間に加湿膜を備える構成であってもよい(図示せず)。これにより、加湿膜を介して、酸化配ガス中の水分を、酸化ガスに移動させることが可能である。酸化ガス排気管715には、背圧弁725が設けられている。背圧弁725は、燃料電池スタック600内の空気の圧力を調整するために用いられる。
酸化ガス供給管710上には、燃料電池スタック600に供給される酸化ガスの圧力を測定するための圧力計730、酸化ガスの露点を測定するための露点計735、酸化ガスの流量を測定するための流量計740が設けられている。なお、露点計735の代わりに湿度計を設けてもよい。また、酸化ガス排気管715上には、燃料電池スタック600から排出される酸化排ガスの圧力を測定するための圧力計732が設けられている。
また、本実施例では、燃料ガス排気管665と酸化ガス排気管715とを繋ぐ第2の燃料ガス排気管745と、第2の燃料ガス排気管745に設けられた排気弁747を備える。上述のように本実施例では、燃料ガス排気管665は燃料ガス供給管660に接続されており、燃料ガスを還流して再利用している。ここで、燃料電池スタック600を長時間運転すると、燃料排ガス中に、反応に寄与しない窒素が増えてくる。この窒素は、酸化ガス(空気中)の窒素が、燃料電池の電解質膜(図示せず)を透過してきたものと考えられる。燃料排ガス中に窒素が増えると、燃料ガス中にも窒素が増え、燃料電池スタック600の反応性が落ちる。従って、本実施例では、燃料排ガス中の窒素の量が増えた場合には、排気弁747を開け、窒素を酸化ガス排気管715に流し、燃料ガス中の窒素の量を排気する。なお、このとき水素も一部が酸化ガス排気管715に流れる。しかし、酸化ガス排気管715や加湿装置720には、触媒が存在しないので、水素は酸化ガス排気管715に流れても、空気中の酸素と反応しない。また、水素の自然発火温度は、空気中で570℃、酸素中で560℃であるので、自然発火もしない。
冷却系750は、ポンプ755と、冷却水供給管760と、冷却水排出管765と、冷却水還流管775と、ラジエータ770と、ロータリー弁780と、温度計785、790と、を備える。ポンプ755は、冷却水に圧力をかけて、燃料電池スタックに送る。ポンプ755と、燃料電池スタック600とは、冷却水供給管760により接続されている。燃料電池スタック600には、冷却水を排出するための冷却水排出管765が接続されている。冷却水供給管760と、冷却水排出管765とは、ラジエータ770及び冷却水還流管775により接続されている。ラジエータ770は、冷却水排出管765を流れる温度の高い冷却水を冷却して冷却水供給管760に送る。冷却水還流管775は、冷却水排出管765を流れる冷却水をそのまま冷却水供給管760に送る。冷却水供給管760は、ロータリー弁780により、ラジエータ770と、冷却水還流管775とに接続されている。すなわち、ロータリー弁780の開度を変更することにより、燃料電池スタック600に供給する冷却水の温度を調整することが可能である。また、冷却水供給管760には燃料電池スタック600に供給される冷却水の温度を測定する温度計785が設けられ、冷却水排出管765には燃料電池スタック600から排出される冷却水の温度を測定する温度計790が設けられている。
図3は、燃料電池スタックの構成を示す説明図である。燃料電池スタック600は、複数の単セル610が積層されている。各単セル610は、電解質膜620と、アノード電極630と、カソード電極635と、アノードガス流路640と、カソードガス流路645と、を備えている。本実施例では、電解質膜620として、固体高分子材料、例えばパーフルオロカーボンスルホン酸ポリマなどのフッ素系樹脂から成るプロトン伝導性のイオン交換膜を用いている。アノード電極630、カソード電極635は、電解質膜の両面に配置されている。アノード電極630、カソード電極635は、燃料電池における電気化学反応を促進する触媒、例えば、白金触媒、あるいは白金と他の金属から成る白金合金触媒を含んでいる。なお、電解質膜620と、アノード電極630、カソード電極を合わせて膜電極接合体12とも呼ぶ。アノードガス流路640、カソードガス流路645は、膜電極接合体12の両面にそれぞれ配置されている。アノードガス流路640、カソードガス流路645は、例えば、多孔体や、カーボン不織布を用いたカーボンクロスやカーボンペーパーや、エキスパンドメタルを用いて形成することが可能である。なお、アノードガス流路640は、図示しないマニホールドを介して、図2に示す燃料ガス供給管660、燃料ガス排気管665と接続されている。また、カソードガス流路645は、図示しないマニホールドを介して、図2に示す酸化ガス供給管710、酸化ガス排気管715と接続されている。
燃料電池スタック600内には、燃料電池510の運転状態により、水が溜まる場合がある。燃料電池スタック600内水が溜まると、燃料電池510の反応性が低下し、燃料電池510の出力が低下して、車両500のドライバビリティが悪くなるなどの問題が生じる場合がある。したがって、燃料電池スタック600内の水をすみやかに除去、乾燥させて、燃料電池の反応性を向上させる制御を行うことが好ましい。以下、その制御について説明する。
図4は、第1の制御パターンの動作を示すフローチャートである。第1の制御パターンは、二次電池540(図1)からの出力を増加するとともに、その分燃料電池510からの出力を低減し、その期間、燃料電池スタック600(図2)からの水の除去、乾燥を行う制御パターンである。
まず、ステップS400では、制御部530(図1)は、要求出力検知部535から、運転手が要求する要求出力を取得する。上述したように、要求出力検知部535は、運転手が踏み込んだ、車両500のアクセル(図示せず)の踏み込み量を検知し、その踏み込み量の大きさから、要求出力を検知する。
ステップS410では、制御部530は、燃料電池スタック600(図2)に供給される反応ガス(燃料ガス及び酸化ガス)の圧力、湿度、燃料電池スタック600から排出される排ガス(燃料排ガス、酸化排ガス)の圧力、燃料電池に供給、排出される冷却水の温度、燃料電池スタック600が発生させる電圧、電流を用いて燃料電池スタック600内の水の分布を取得する。なお、具体的な水分布の取得処理の例については後述する。
ステップS420では、制御部530は、燃料電池スタック600内にあらかじめ定められた閾値以上の水が溜まっているか否かを判断する。燃料電池スタック600内にあらかじめ定められた閾値以上の水が溜まっていない場合には、制御部530は、制御をステップS470に移行し、燃料電池510(図1)の電流制限(出力制限)を行わない出力制御を行う。一方、燃料電池スタック600内にあらかじめ定められた閾値以上の水が溜まっている場合には、制御部530は、処理をステップS430に移行し、燃料電池510から出力する電流制限値を決定する。なお、この電流制限値の大きさは、燃料電池スタック600内の水の量に依存する。
ステップS440において、制御部530は、二次電池540(図1)にあらかじめ定められた電力量以上の電力量(充電量)が蓄積されているか否かを判断する。二次電池540にあらかじめ定められた電力量(第1の電力量)以上の電力量が蓄積されている場合には、制御部530は、ステップS450において、分配コントローラ550を制御し、二次電池540から出力する電力を上げ、その分、燃料電池510から出力する電力を下げる。具体的には、制御部530は、燃料電池510から出力する電流制限値を下げる。ステップS460では、制御部530は、ステップS430あるいはステップS450で決定された電流制限値で燃料電池を運転する。なお、制御部530は、燃料電池510から出力する電流制限値を下げた場合でも、燃料電池スタック600(図2)に供給する反応ガスの流量を維持することが好ましい。これにより、反応ガスの流量により、燃料電池スタック内の水の除去、乾燥を促進することが可能となる。
図5は、第1の制御パターンにおける燃料電池の電流制限値及び燃料電池と二次電池の出力を示す説明図である。図5(A)は、従来の制御パターンにおける電流制限値を示し、図5(B)は従来の制御パターンにおける燃料電池と二次電池の出力、図5(C)は、図4に示した第1の制御パターンにおける電流制限値、図5(D)は、第1の制御パターンにおける燃料電池と二次電池の出力を示している。
ここで、図5(A)において、電流If0は、従来の制御パターンにおける燃料電池510(図1)の電流制限値を示し、電流If0の大きさは、水分布から求めた電流制限値Iaと等しい。図5(C)において、電流If1は、第1の制御パターンにおける燃料電池510の電流制限値を示し、時刻T0からT1までの間は、If1<Iaであるが、時刻T1以降は、If1>Iaとなっている。
また、図5(B)(D)において、曲線Paは、燃料電池510(図1)と二次電池540の出力の合計を示している。この曲線Paは、従来の制御パターン、第1の制御パターン、いずれも同じである。曲線Pf0は、従来の制御パターンにおける燃料電池510の出力を示している。曲線Pf1は、第1の制御パターンによる燃料電池510の出力を示している。なお、図5(D)では、比較のため、曲線Pf0、Pf1の両方が示されている。
図5(D)に示すように、要求出力が上がってから(時刻T0から)時刻T1までの間は、燃料電池510からの出力は、従来の制御パターンによる制御による出力の方が、第1の制御パターンによる制御による出力よりも大きい。この理由は、図5(C)に示すように、時刻T0から時刻T1までの期間において、第1の制御パターンは、従来の制御パターンよりも電流制限値を下げて燃料電池510からの出力を制限しているからである。
一方、時刻T1を過ぎた後は、制御部530(図1)は、燃料電池510からの出力について、第1の制御パターンによる制御による出力の方を、従来の制御パターンによる制御による出力よりも大きくすることが可能となる。この理由は、以下に示すとおりである。
時刻T0から時刻T1までの期間、制御部530(図1)は、図5(C)に示すように従来の制御パターンよりも電流制限値を下げて燃料電池510からの出力を制限する。したがって、時刻T0から時刻T1までの期間、燃料電池510の電気化学反応による水の生成量が少ない。一方、時刻T0から時刻T1までの期間、制御部530は、反応ガスの流量を維持する。その結果、電気化学反応による水の生成量に比して反応ガスによる水の持ち出し量を多くすることが出来、燃料電池スタック600(図2)中の水の除去、乾燥を促進することが可能となる。そうすると、段々と燃料電池スタック600内の過剰な水の量が少なくなり、時刻T1になったときには、燃料電池スタック600の中には、過剰な水が存在しなくなる。時刻T1以降は、燃料電池スタック600内に過剰な水が存在しなくなるので、図4に示すステップS420における判断において、閾値以上の水溜まりが無いと判断する。その結果、制御部530は処理をステップS470に移行して電流制限をしなくてもよくなり、図5(C)に示すように従来の制御パターンよりも、電流制限値を大きくすることが可能となる。
すなわち、第1の制御パターンでは、制御部530は、燃料電池スタック600に水が溜まっているときには、燃料電池510からの電流制限値(出力)を小さく制限し、前記小さくした分、前記二次電池540からの出力を大きくする制御を行う。そして、制御部530は、燃料電池510からの電流制限値を小さく制限している期間であっても反応ガスの流量を維持し、燃料電池スタック600内の過剰な水の除去、乾燥を促進する。その結果、制御部530は、従来の制御パターンよりもすみやかに燃料電池510の電流制限運転を解除することができ、燃料電池510の適正な発電制御を行うことが可能となる。
図6は、第2の制御パターンの動作を示すフローチャートである。第2の制御パターンとは、ある条件が成立した場合に、二次電池540(図1)からのみ出力するとともに、その間燃料電池510からの出力を停止し、燃料電池510からの出力を停止している期間、燃料電池スタック600(図2)からの水の除去、乾燥を行う制御パターンである。
第2の制御パターンのステップS600からステップS650まで及びステップS690の動作は、第1の制御パターンのステップS400からステップS450まで及びステップS470の動作と同じため、説明を省略する。ステップS660では、制御部530(図1)は、燃料電池510からの出力をさらに下げても、ドライバビリティを維持できるか、を判断する。具体的には、制御部530は、二次電池540に一定以上の電力量(第2の電力量)が蓄積されているか否かにより判断することが可能である。制御部530は、二次電池540に第2の電力量が蓄積されている場合には、ステップS670において、燃料電池510の電流制限値を更に下げて燃料電池510からの出力をさらに下げるとともに、反応ガスを大容量で流すように制御を設定する。なお、この場合、二次電池540からの出力のみでドライバビリティを維持できる場合には、燃料電池510の電流制限値をゼロとし(燃料電池510を非発電状態とし)、反応ガスの流量を維持して燃料電池スタック600(図2)内の水の除去、乾燥を促進することが好ましい。ステップS680では、制御部530は、ステップS630あるいはステップS650、ステップS670で決定された電流制限値で燃料電池を運転する。
図7は、第2の制御パターンにおける燃料電池の電流制限値及び燃料電池と二次電池の出力を示す説明図である。図7(A)は、従来の制御パターンにおける電流制限値を示し、図7(B)は従来の制御パターンにおける燃料電池と二次電池の出力、図7(C)は、図6に示した第2の制御パターンにおける電流制限値、図7(D)は、第2の制御パターンにおける燃料電池と二次電池の出力を示している。
図7(B)(D)において、曲線Pa、Pf0の意味は第1の制御パターン(図5(B)(D))における意味と同じである、曲線Pf2は、第2の制御パターンによる燃料電池510の出力を示している。なお、図7(D)では、比較のため、従来の制御パターンにおける曲線Pf0と、第2の制御パターンにおける曲線Pf2の両方が示されている。
制御部530は、図7(B)に示すように、要求出力が上がってから(時刻T0から)時刻T2までの間は、図6のステップS670で制限した電流値(=ゼロ)に従い、燃料電池510(図1)から出力を発生させず、二次電池540からのみ出力を発生させる。なお、制御部530は、この期間、燃料電池510からの電力は引き出さないが、燃料電池スタック600(図2)への反応ガスの供給は維持する。この期間は、燃料電池510の電気化学反応による水の生成量がなく、反応ガスの流量が維持されるので、燃料電池スタック600(図2)中の水の除去、乾燥を促進することが可能となる。
燃料電池スタック600内の水は徐々に除去、乾燥されていく。そして、時刻T2に達すると、ステップS620において、燃料電池スタック600内に閾値以上の水溜まりが無いと判断される量まで水が減少する。すなわち、時刻T2以降は、制御部530(図1)は、ステップS620において、燃料電池スタック600内に閾値以上の水溜まりが無いと判断する。そして、制御部530は、処理をステップS690に移行し、図7(C)に示すように、燃料電池510を電流制限なし運転させる。で燃料電池の図5のステップS530における電流制限値を急速に大きくすることが可能となる。
時刻T3は、従来の制御パターンにおける曲線Pf0と第2の制御パターンにおける曲線Pf2が交わる点における時刻である。時刻T2から時刻T3までの間における燃料電池510からの出力は、従来の制御パターンによる制御による出力の方が、第2の制御パターンによる制御による出力よりも大きい。しかし、時刻T3を過ぎると、燃料電池510からの出力は、第2の制御パターンによる制御による出力の方が、従来の制御パターンによる制御による出力よりも大きくなる。このように、第2の制御パターンにおいても、燃料電池スタック600内の水の掃気を促進し、適正な発電制御を行うことが可能となる。
図7(D)では、第1の制御パターンによる燃料電池510の出力を示す曲線Pf1及び、曲線Pf0と曲線pf1の交点の時刻である時刻T1も表示している。時刻T1とT3とを比較すると、時刻T3の方が早い。すなわち、第2の制御パターンの方が、燃料電池スタック600内の過剰な水分を早く除去、乾燥させることが出来、燃料電池510についてより早く適正な発電制御を行うことが可能となる。この理由は、以下の通りである。
第2の制御パターンでは、時刻T2までの期間は、制御部530は、燃料電池510を発電させないので、燃料電池スタック600内に水が生成しない。一方、第1の制御パターンでは、時刻T0から時刻T2(時刻T1より前の時刻)までの間、燃料電池510は、電流制限をされてはいるが出力を出しているので、電気化学反応により、水が生成する。ここで、第2の制御パターンにより時刻T2で燃料電池スタック600内の過剰な水が除去、乾燥されたとすると、第1の制御パターンでは、燃料電池スタック600内には、時刻T2までの期間に生成した水の量だけ過剰に水が残存していることになる。したがって、第1の制御パターンでは、時刻T2において、制御部530が、ステップS420(図4)の判断をする際、閾値以上の水溜まりがあると判断し、ステップS470に処理を以降しない。その結果、第2の制御パターンの方が、燃料電池スタック600内の過剰な水分を早く除去、乾燥させることが出来、燃料電池510についてより早く適正な発電制御を行うことが可能となる。
第2の制御パターンが利用される例として、二次電池540の容量が大きい場合の他、二次電池の容量に比して、要求出力が二次電池540の蓄電量に比して相対的に低い場合が挙げられる。要求出力が低い場合には、二次電池540からの出力のみで運転のドライバビリティを確保することが可能である。したがって、制御部530は、図6のステップS640における判断において、単に二次電池の容量だけでなく、要求出力の大きさとの比較にもとづいて、燃料電池510の電流制限をさらに引き下げるか否かを判断してもよい。
上記説明では、要求出力が上がったときを例にして説明したが、要求出力が変わらず、燃料電池スタック600内の水の量が変化した場合に適用することが可能である。すなわち、燃料電池スタック600内の水の量が増加した場合には、制御部530は、二次電池540からの出力を上げ、燃料電池510からの出力を下げ、燃料電池スタック600からの水の除去、乾燥を促進してもよい。
上記実施例では、燃料電池510の電流制限をする期間、反応ガスの流量を維持しているが、燃料電池510の電気化学反応に必要な反応ガスの流量よりも多ければ、水分布から求めた電流制限値を維持するのに必要な反応ガスの流量よりも少なくしてもよい。この反応ガスの流れにより、燃料電池スタック600内の水を除去、乾燥させることが可能となる。
[燃料電池の発電分布及び水分布の予測]
本実施例では、圧力計685、687、730、732、露点計690、735、及び温度計785、790の出力は、制御部530に供給されている。制御部530は、それらの計測器の出力により、膜電極接合体12の圧力及び温度に関する環境を検知することができる。
本実施形態の燃料電池システムは、燃料電池510が備える個々の膜電極接合体12の発電分布を正確に予測し、この発電分布に基づいて水分布を予測することが可能である。制御部530は、個々の膜電極接合体12の発電分布を予測するために、図8から図10に示す複数のマップを記憶している。
図8は、本実施例において用いられる電流密度Iのマップを示す。膜電極接合体12は、その面内において、発電環境に応じた電流密度Iで発電を行う。図8は、膜電極接合体12を取りまく発電環境と、膜電極接合体12が発生する電流密度Iとの関係を定義したマップを示す。
膜電極接合体12の発電状態は、以下に説明する複数のパラメータにより決定される。ここでは、それらのパラメータを総称して「発電環境」と称することとする。
1.アノードを流れる燃料ガスの相対湿度An_RH
2.カソードを流れる酸化ガスの相対湿度Ca_RH
3.アノードの圧力P_An
4.カソードの圧力P_Ca
5.アノードを流れる燃料ガス中の水素濃度
6.カソードを流れる酸化ガス中の酸素濃度
7.膜電極接合体12の温度
但し、「相対湿度」は、(蒸気圧)/(飽和蒸気圧)×100である。
上記7つのパラメータのうち、3のアノードの圧力P_Anと、4のカソードの圧力P_Caとは、ほぼ同じ圧力と扱うこともできる。加えて、前者が発電状態に与える影響は、後者による影響に比して十分に小さい。このため、本実施形態では、3のアノード圧力P_Anの影響は無視すると扱うこともできる。また、上記のパラメータのうち、5の水素濃度は、位置によらずほぼ100%と扱うこともでき、7の温度は、位置によらずほぼ冷却水温と同じと扱うこともできる。このため、本実施形態では、5の水素濃度と7の温度も一定値として取り扱うこともできる。
図8は、残る4つのパラメータで決まる発電環境と、電流密度Iとの関係を定義している。より具体的には、図8(A)は、カソード圧力P_Caが140kPaである場合に発生する電流密度Iを、アノード相対湿度An_RH、カソード相対湿度Ca_RH、及び酸素濃度との関係で定義したマップである。また、図8(B)は、カソード圧力P_Caが200kPaである場合に発生する電流密度Iを、アノード相対湿度An_RH、カソード相対湿度Ca_RH、及び酸素濃度との関係で定義したマップである。
図9は、図8の場合と同様の規則に従って、膜電極接合体12の抵抗値Rと発電環境との関係を定義したマップである。また、図10は、同様の規則に従って、膜電極接合体12のカソードからアノードへの水移動量H2O_mと発電環境との関係を定義したマップである。制御部530は、膜電極接合体12の発電環境が特定されると、これらのマップを参照することにより、その発電環境下で発生する電流密度I、抵抗値R、及び水移動量H2O_mを予測することができる。本実施例では、電流密度I、抵抗値R、及び水移動量H2O_mをマップから求めているが、発電環境を用いた数式から求めてもよい。
次に、図8から図10に示すマップの作成方法について説明する。図7に示す膜電極接合体12は、酸化ガスが流入してくる箇所と流出する箇所との間に十分に長い距離を有している。燃料ガスの流入経路についても同様である。このため、酸化ガスの圧力、及び燃料ガスの圧力は、膜電極接合体12の面内において一定にはならない。
また、膜電極接合体12は、発電に伴い、カソード側において水を生成する。生成された水は、酸化ガスの流れに伴って下流側に流される。このため、カソード側の水量は、膜電極接合体12の面内において均一にはならない。その結果、カソード側の相対湿度Ca_RHには、ガスの流れに沿った分布が生ずる。
膜電極接合体12のアノード側には、上述した通り、カソード側から水が移動してくる。このようにして移動してきた水は、燃料ガスの流れにより、その下流側に流される。このため、アノード側においても、水の量は面内で均一にはならない。その結果、アノード側の相対湿度An_RHにも、ガスの流れに沿った分布が生ずる。
更に、膜電極接合体12は、カソードに供給される空気中の酸素を消費することで発電を行う。このため、カソードの面内における酸素濃度は、空気の入口に近いほど高くなり、空気の出口に近づくに連れて低くなる。このように、膜電極接合体12においては、カソード側の酸素濃度にも、面内に分布が発生する。
図8から図10に示すマップを作成するにあたっては、発電環境を特定して、その結果生ずる結果を測定することが必要である。これらのマップを作成するにあたって特定するべき発電環境のうち、温度T及び圧力P_Caは、膜電極接合体12の全面において比較的容易に均一化することができる。しかしながら、アノード相対湿度An_RH、カソード相対湿度Ca_RH、及び酸素濃度は、上述したように、膜電極接合体12の全面において均一にすることは難しい。このため、フルサイズの膜電極接合体12を用いた場合、発電環境を特定することが困難となる。そこで、本実施形態では、サイズを除いて膜電極接合体12と同じ構造を有する膜電極接合体小片を作成し、この小片を用いて上記マップを作成することとした。
図11は、膜電極接合体小片を用いて、特定の発電環境下での発電状態を測定するためのシステムの図である。膜電極接合体小片60は、電解質膜の両側に、カソード側のガス流路と、アノード側のガス流路とを、コフロー流路の関係で備えている。膜電極接合体小片60は、それらのガス流路の入口から出口までの発電環境、具体的には、アノード相対湿度An_RH、カソード相対湿度Ca_RH、酸素濃度、及び圧力が均一であるとみなせる程度の大きさを有している。ここでは、上記の観点から、膜電極接合体60のサイズを1cm×1cmとしている。
図11に示すシステムは、膜電極接合体小片60のカソード側に連通する酸化ガス供給通路62及び酸化ガス排出通路64を備えている。酸化ガス供給通路62には、コンプレッサ66が連通している。コンプレッサ66は、エアフィルタ68を介して吸入した空気を膜電極接合体小片60に向けて供給することができる。
酸化ガス供給通路62には、調整バルブ70を介して窒素タンク72が連通している。窒素タンク72は、調整バルブ70の開度に応じた量の窒素を酸化ガス供給通路62に供給することができる。
酸化ガス供給通路62は、バブラー74を備えている。バブラー74は、ヒータ76と温度計78とを内蔵した加湿器である。バブラー74によれば、設定温度における水蒸気の飽和状態を作り出すことができる。例えば、設定温度が40℃であれば、膜電極接合体小片60に流れ込む酸化ガスを40℃における飽和状態になるように加湿することができる。
バブラー74の下流には、圧力計80と、ヒータ82が配置されている。膜電極接合体小片60は、上述した通り、その内部における圧力の分布が無視できる大きさとされている。このため、圧力計80の計測値は、膜電極接合体小片60のカソードにおける圧力P_Ca(均一値)として取り扱うことができる。
ヒータ82は、膜電極接合体小片60の前段での結露を防止するために設けられている。このような構成によれば、バブラー74で加湿された酸化ガスを、そのままの湿度で膜電極接合体小片60に供給することができる。従って、図11に示すシステムによれば、膜電極接合体小片60に供給する酸化ガスの湿度を、極めて精度良く制御することができる。
膜電極接合体小片60のカソードに供給された酸化ガスは、酸化ガス排出通路64から流出する。酸化ガス排出通路64には、露点計84が設けられている。露点計84によれば、膜電極接合体小片60から流出してくる酸化ガスの湿度を正確に測定することができる。
図11に示すシステムは、膜電極接合体小片60のアノード側に連通する燃料ガス供給通路86及び燃料ガス排出通路88を備えている。燃料ガス供給通路86には、調整バルブ90を介して水素タンク92が連通している。この構成によれば、調整バルブ90の開度を制御することで、所望の圧力で水素ガスを膜電極接合体小片60に供給することができる。
燃料ガス供給通路86は、調整バルブ90の下流に、バブラー94を備えている。バブラー94は、カソード側のバブラー74と同様に、ヒータ96及び温度計98を備えており、設定温度下での飽和状態が形成されるように燃料ガスを加湿することができる。
バブラー94の下流には、圧力計100と、ヒータ102が配置されている。圧力計100の計測値は、膜電極接合体小片60のアノードにおける圧力P_An(均一値)として取り扱うことができる。また、ヒータ102によれば、膜電極接合体小片60の前段での結露を防止することができる。このような構成によれば、膜電極接合体小片60のアノードに流入する燃料ガスの湿度を、極めて精度良く制御することができる。
膜電極接合体小片60のアノードに供給された燃料ガスは、燃料ガス排出通路88から流出する。燃料ガス排出通路88には、露点計104が設けられている。露点計104によれば、膜電極接合体小片60から流出してくる燃料ガスの湿度を正確に測定することができる。
膜電極接合体小片60には、冷却水供給通路106及び冷却水排出通路108が連通している。冷却水排出通路108には、温度計110が設けられている。図11に示すシステムは、温度計110の計測値をフィードバックすることにより、膜電極接合体小片60を流れる冷却水の温度を正確に制御することができる。また、このシステムにおいては、その冷却水の温度を、膜電極接合体小片60の温度として取り扱うことができる。
図11に示すシステムは、更に、膜電極接合体小片60のアノード側電極とカソード側電極とを結ぶ測定回路112を備えている。測定回路112には、電流計114と可変抵抗116を備えている。この構成によれば、可変抵抗116を調整することで、アノード電極とカソード電極との間に生ずる電位差を所望の値(例えば0.6V、或いは0.8V)に制御した状態で、膜電極接合体小片60が発する電流量(電流密度I)を計測することができる。
上述した通り、図8から図10に示すマップを作成するためには、膜電極接合体を取りまく発電環境を特定することが必要である。具体的には、アノード相対湿度An_RH、カソード相対湿度Ca_RH、カソード圧力P_Ca、水素濃度、酸素濃度、及び温度Tを特定することが必要である。
アノード相対湿度An_RH、及びカソード相対湿度Ca_RHは、それぞれ下記の演算式により求めることができる。
An_RH=(燃料ガスの蒸気圧)/(温度Tにおける飽和水蒸気圧)×100・・・(1)
Ca_RH=(酸化ガスの蒸気圧)/(温度Tにおける飽和水蒸気圧)×100・・・(2)
図11に示すシステムによれば、冷却水温が「温度T」であるから、その温度を決めることで、右辺第2項における「飽和水蒸気圧」を決めることができる。そして、このシステムによれば、バブラー74,94の温度を変化させることにより、(1)式の「燃料ガスの湿度」、並びに(2)式の「酸化ガスの湿度」を任意に変化させることができる。従って、図11に示すシステムによれば、膜電極接合体60のアノード相対湿度An_RH及びカソード相対湿度Ca_RHを、正確かつ簡単に、任意の値に制御することができる。
また、図11に示すシステムによれば、コンプレッサ66の運転状態を制御することで、カソード圧力P_Caを任意の値に制御することができる。更に、調整バルブ70によって、酸化ガス供給通路62に流れ込む窒素の量を調整することにより、膜電極接合体小片60に流れ込む酸化ガス中の酸素濃度も正確に制御することができる。このように、図11に示すシステムによれば、図8から図10に示すマップを設定するにあたって特定するべき全てのパラメータを、容易かつ正確に設定することが可能である。
図7に示す膜電極接合体12には、それぞれが目標(OCV(開回路電圧)〜最高出力電圧)の起電力を発生することが求められる。このため、図8から図10に示すマップは、膜電極接合体12が目標の起電力を発生している状況下での「電流密度I」、「抵抗値R」、及び「水移動量H2O_m」を定義している必要がある。本実施例では、「電流密度I」、「抵抗値R」、及び「水移動量H2O_m」をマップから求めているが、「発電環境」を用いた数式から求めてもよい。
図11に示すシステムでは、可変抵抗116を調整することにより、膜電極接合体小片60の起電力を調整しながら、電流計114により電流密度Iを計測することができる。また、その際の電流と電圧との関係から、膜電極接合体小片60の抵抗値Rを計算することができる。更に、カソードで生成される水量は、電流密度Iに比例するため、電流密度Iが判れば水生成量が計算できる。そして、カソードに流入する酸化ガスの湿度(つまり水量)と、カソードにおける生成水量と、カソードから流出する酸化ガスの湿度(つまり水量)とが判れば、膜電極接合体小片60の内部でカソードからアノードに移動する水量H2O_mは計算することができる。
つまり、図11に示すシステムによれば、膜電極接合体小片60を取りまく発電環境を適宜変更しながら、電流密度I及び抵抗値Rを計測し、また、水移動量H2O_mを算出することができる。このため、このシステムを用いれば、図8から図10に示すマップを、簡単な処理により、極めて正確に設定することが可能である。
図12は、膜電極接合体12内の水分布を含む面内状態の予測に用いる仮想的な分割方法を説明するための図である。より具体的には、図12(A)は、膜電極接合体12のアノード面を示す斜視図である。膜電極接合体12の内部には、上述した通り、アノード側及びカソード側の双方に、燃料ガス又は酸化ガスを流通させるためのガス流路が形成されている。本実施形態では、それらのガス流路が、コフロー流路を形成するように、つまり、アノード側の燃料ガスと、カソード側の酸化ガスとが、膜電極接合体12の一端から他端へ、同じ方向(図12(A)中に矢印で示す方向)に進むように構成されている。
図12(B)は、膜電極接合体12の一部を帯状に切り出した部分(以下、「帯状部分120」と称す)を示す。膜電極接合体12は、仮想的には、この帯状部分120が縦方向に複数連なって構成されたものとみなすことができる。帯状部分120において、カソード側の酸化ガス、及びアノード側の燃料ガスは、図12(B)中に矢印で示すように、長手方向に向かって互いに平行に流通する。
帯状部分120は、図12(B)に示すように、反応ガスの流れ方向に並んだs個の小領域で構成されているとみなすことができる。本実施形態では、これらの小領域は、図11に示す膜電極接合体小片60と同様に、1cm×1cmの大きさを有しているものとする。
膜電極接合体12を、図12(B)に示す小領域に分解して考えた場合、個々の小領域においては、発電環境が均一であるとみなすことができる。また、この場合、n−1番目の小領域(以下、「n−1領域」と称す)における発電環境が判れば、その領域における発電状態を予測することができる。そして、n−1領域における発電環境と発電状態が判れば、n領域における発電環境が予測できる。このため、膜電極接合体12を図12(B)に示すような小領域に区分して考えると、1番目の小領域における発電環境が判れば、以後、順番に、s領域に至るまで、個々の小領域における発電環境と発電状態とを予測することが可能である。
図13は、n−1領域における発電環境を基礎として、n領域における発電環境を予測する手順を説明するための図である。n−1領域のカソードには、n−2領域のカソードから酸化ガスが流入し、また、n−2領域のカソードに存在する水が流入する。ここでは、n−2領域から流入する酸素量O2(n-1)及び水量H2O_Ca(n-1)が既知であるものとする(符号122参照)。
カソード相対湿度Ca_RHは、カソード圧力P_Ca、カソード水量H2O_Ca、酸化ガス量(窒素量N2+酸素量O2)から次式によって算出することができる。
Ca_RH=[P_Ca×H2O_Ca/{(N2+O2)+H2O_Ca}]/(飽和水蒸気圧)×100
・・・(3)
上記(3)式右辺に含まれる全てのパラメータは、下記の通り、n−1領域において特定することが可能である。従って、n−1領域のカソード相対湿度Ca_RHは、上記(3)式を用いることにより算出することができる(符号124参照)。
・カソード圧力P_Ca(n-1)は、膜電極接合体12のカソード側入口及び出口における圧力計730、732の測定値から比例計算による求めることができる(符号125参照)。
・水量H2O_Ca(n-1)は、上記の通り既知である。
・N2は、流通過程で一定とみなせるため膜電極接合体12に流入する空気流量から算出することができる。
・酸素量O2(n-1)は、上記の通り既知である。
・飽和水蒸気圧は、温度計785、790により検知される温度Tから特定することができる。
酸化ガス中の酸素濃度は、窒素量N2及び酸素量O2から、次式に従って算出することができる。
酸素濃度=O2/(N2+O2) ・・・(4)
従って、n−1領域における酸素濃度(O2濃度(n-1))は、膜電極接合体12に流入する窒素量N2と、n−2領域から流入してくる酸素量O2(n-1)から算出することができる(符号126参照)。
n−1領域のアノードには、n−2領域のアノードから燃料ガスが流入し、また、n−2領域のアノードに存在する水が流入する。ここでは、n−2領域から流入してくる水素量H2(n-1)及び水量H2O_An(n-1)が既知であるものとする(符号128参照)。
アノード相対湿度An_RHは、アノード圧力P_An、アノード水量H2O_An、水素量H2から次式によって算出することができる。
An_RH={P_An×H2O_An/(H2+H2O_An)}/(飽和水蒸気圧)×100・・・(5)
上記(5)式右辺に含まれる全てのパラメータは、下記の通り、n−1領域において特定することが可能である。従って、n−1領域のアノード相対湿度Ca_Anは、上記(5)式を用いることにより算出することができる(符号130参照)。
・アノード圧力P_An(n-1)は、膜電極接合体12のアノード側入口及び出口における圧力計685、687の測定値から比例計算により求めることができる(符号131参照)。
・水量H2O_An(n-1)、及び水素量H2(n-1)は、上記の通り既知である。
・飽和水蒸気圧は、温度計785、792により検知される温度Tから特定することができる。
アノード相対湿度An_RH(n-1)(130)、カソード相対湿度Ca_RH(n-1)(124)、及びO2濃度(n-1)(126)が判ると、図8(A)に示すマップから、カソード圧力P_Ca=140kPaの下での電流密度Iを読み出すことができる。また、図8(B)に示すマップから、カソード圧力P_Ca=200kPaの下での電流密度Iを読み出すことができる。
他方、n−1領域におけるカソード圧力P_Ca(n-1)は、上述した通り、圧力計730、732の計測値を用いた比例計算により求めることができる。電流密度Iは、カソード圧力P_Caに対して比例的な関係を示すため、n−1領域の電流密度I(n-1)は、図8(A)及び図8(B)に示すマップからそれぞれ読み出した電流密度Iに基づいて、比例計算により算出することができる(符号132参照)。
同様に、図9(A)及び図9(B)に示すマップを参照することで、n−1領域における抵抗値Rを算出することができる(符号134参照)。更に、図10(A)及び図10(B)に示すマップを参照することで、n−1領域における水移動量H2O_mを算出することができる(符号136参照)。
膜電極接合体12のカソード側では、電流密度Iに応じた量の酸素が消費される。この酸素消費量O2_offは、次式により算出することができる。但し、次式におけるFはファラデー定数である。
O2_off=I/4/F×22.4×60 ・・・(6)
従って、n−1領域の電流密度I(n-1)が判れば、その領域におけるカソード側の酸素消費量O2_0ff(n-1)を求めることができる(符号138参照)。そして、n−1領域から流出してn領域に流入する酸素量O2(n)は、n−1領域に流入してくる酸素量O2(n-1)から、n−1領域で消費される酸素量O2_off(n-1)を減じた量となるから、次式により求めることができる(符号140参照)。
O2(n)=O2(n-1)−O2_off(n-1) ・・・(7)
また、膜電極接合体12のカソード側では、電流密度Iに応じた量の水が生成される。この生成水量H2Oは、次式により算出することができる。
H2O=I/2/F×22.4×60 ・・・(8)
従って、n−1領域の電流密度I(n-1)が判れば、その領域のカソードで生成される水量H2O (n-1)を求めることができる(符号142参照)。そして、n−1領域から流出してn領域のカソードに流入する水の量H2O_Ca(n)は、n−1領域に流入してくる水量H2O_Ca(n-1)とn−1領域で生成される水量H2O(n-1)との和から、n−1領域においてカソードからアノードに移動する水量H2O_m(n-1)を減じた量であるから、次式により求めることができる(符号144参照)。
H2O_Ca(n)=H2O_Ca(n-1)+H2O(n-1)−H2O_m(n-1) ・・・(9)
次に、アノード側の発電状態の予測について説明する。すなわち、膜電極接合体12のアノード側では、電流密度Iに応じた量の水素が消費される。この水素消費量H2_offは、次式により算出することができる。
H2_off=I/2/F×22.4×60 ・・・(10)
従って、n−1領域の電流密度I(n-1)が判れば、その領域におけるアノード側の水素消費量H2_0ff(n-1)を求めることができる(符号146参照)。そして、n−1領域から流出してn領域に流入する水素量H2(n)は、n−1領域に流入してくる水素量H2(n-1)から、n−1領域で消費される水素量H2_off(n-1)を減じた量となるから、次式により求めることができる(符号148参照)。
H2(n)=H2(n-1)−H2_off(n-1) ・・・(11)
アノードの水量は、カソード側から移動してくる水量だけ増加する。このため、n−1領域から流出してn領域のアノードに流入する水の量H2O_An(n)は、n−1領域に流入してくる水量H2O_An(n-1)に、n−1領域における水移動H2O_m(n-1)を加えた量となる。この水量H2O_An(n)は、次式により求めることができる(符号150参照)。
H2O_An(n)=H2O_An(n-1)+H2O_m(n-1) ・・・(12)
以上説明した通り、上記の処理によれば、n−1領域の発電環境が判れば、この領域における発電状態を予測することができる。より具体的には、以下の値が判ればn−1領域における電流密度I(n-1)、抵抗値R(n-1)、及び水移動量H20_mを算出することができる。
・n-1領域のカソードに流入する酸素量O2(n-1)、水量H20_Ca(n-1)
・n-1領域のアノードに流入する水素量H2(n-1)、水量H2O_An(n-1)
・n-1領域のカソード圧力P_Ca、アノード圧P_An
また、n−1領域の発電環境に、上記の処理により予測される発電状態を反映させると、次段のn領域における発電環境を特定することができる。このため、以上の処理によれば、1番目の小領域における発電環境さえ特定できれば、s領域に至るまで、個々の小領域における発電環境及び発電状態を、順次演算により求めることができる。
図2に示すシステムにおいて、1番目の領域のカソードに流入する酸素量O2(1)は、コンプレッサ705によって圧送される空気の量に、空気中の酸素濃度(既知)を掛け合わせることで求めることができる。1番目の領域のカソードに流れ込む水量H20_Ca(1)は、カソード側の露点計735の出力に基づいて算出することができる。
また、1番目の領域のアノードに流入する水素量H2(1)は、流量計695に基づいて検知することができる。1番目の領域のアノードに流れ込む水量H2O_An(1)は、アノード側の露点計690の出力に基づいて算出することができる。
更に、1番目の領域のカソード圧力P_Caは、カソード入口の圧力計730の出力と、カソード出口の圧力計732の出力とを基礎として比例計算を行うことで算出することができる。同様に、1番目の領域のアノード圧力P_Anは、アノード入口の圧力計685の出力と、アノード出口の圧力計687の出力とを基礎として比例計算を行うことで算出することができる。
このように、図2に示すシステムによれば、1番目の領域における発電状態を予測するために必要な全ての数値を取得することが可能である。従って,本実施形態のシステムでは、膜電極接合体12の1領域からs領域のそれぞれが、どのような発電環境の下で、どのような発電状態にあるのかを、演算により予測することができる。
図14は、制御部530が実行するルーチンのフローチャートである。図14に示すルーチンでは、先ず、領域番号nに1がセットされる(ステップS1410)。
次に、領域nのカソード状態量が算出される(ステップS1420)。具体的には、n=1の領域を対象として、カソードに流入する酸素量O2(n)及び水量H20_Ca(n)が算出される(図13中、符号122参照)。次いで、圧力計730、732の出力を基礎とする比例計算によりカソード圧力P_Ca(n)が算出される(図13中、符号125参照)。更に、上記(3)式に従ってカソード相対湿度Ca_RH(n)が、また、上記(4)式に従ってカソードの酸素濃度O2濃度(n)が、それぞれ算出される(図13中、符号124,126参照)。
図14に示すルーチンでは、次に、領域nのアノード状態量が算出される(ステップS1430)。具体的には、n=1の領域を対象として、アノードに流入する水素H2(n)及び水量H20_An(n)が算出される(図13中、符号128参照)。次いで、圧力計685、687出力を基礎とする比例計算によりアノード圧力P_An(n)が算出される(図13中、符号131参照)。更に、上記(5)式に従ってアノード相対湿度An_RH(n)が算出される(図13中、符号130参照)。
次に、n領域における発電状態が算出される(ステップS1440)。具体的には、先ず、図8(A)に示すマップ、及び図8(B)に示すマップから、それぞれ、電流密度Iが読み出される。次に、図8(A)に示すマップからは、カソード圧力P_Caが140kPaである場合の電流密度Iが読み出される。また、図8(B)に示すマップからは、カソード圧力P_Caが200kPaである場合の電流密度Iが読み出される。本ステップでは、それらのマップ値に比例計算を施すことで、カソード圧P_Ca(n)に対応する電流密度Iが算出される(図13中、符号132参照)。
上記ステップS1440では、また、図9(A)に示すマップ、及び図9(B)に示すマップを参照して、抵抗値R(n)が算出される(図13中、符号134参照)。更に、ここでは、図10(A)に示すマップ、及び図10(B)に示すマップを参照して、水移動量H2O_m(n)が算出される(図13中、符号136参照)。2つのマップ値からカソード圧P_Ca(n)に応じた抵抗値R(n)及び水移動量H2O_m(n)を算出する手法は、電流密度Iの場合と同様であるため、ここではその詳細は省略する。
次に、n領域における生成・消費量が算出される(ステップS1450)。具体的には、カソード側で消費される酸素量O2_off(n)が上記(6)式に従って、また、生成される水の量H2O(n)が上記(8)式に従って、それぞれ算出される(図13中、符号138、142参照)。更に、アノード側で消費される水素量H2_off(n)が、上記(10)式に従って算出される(図13中、符号146参照)。
以上の処理が終わると、領域番号nが、最終値sに達しているかが判別される(ステップS1460)。その結果、nがsに達していないと判断された場合は、nがインクリメントされた後(ステップS1470)、再び、上記ステップS1410以降の処理が実行される。
nが2以上である場合、ステップS1420では、カソードの酸素量O2(n)及び水量H2O_Caが、それぞれ上記(7)式又は(9)式に従って算出される(図13中、符号140,144参照)。また、この場合は、ステップS1430において、アノードの水素量H2(n)及び水量H2O_Anが、それぞれ上記(11)式又は(12)式に従って算出される。
以後、ステップS1460において、n=sの成立が判定されるまで、上記の処理が繰り返し実行される。その結果、1番目の領域からs領域まで、全ての領域において、発電環境と、発電状態とが算出される。つまり、以上の処理によれば、上記の小領域をメッシュの単位として、膜電極接合体12の発電環境及び発電状態の分布を予測することができる。
ところで、上述した実施の形態1においては、膜電極接合体12の温度が、全面において均一であることとしているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、膜電極接合体12の温度が面内で分布を持つ場合には、その分布を考慮して発電状態の分布を予測することとしてもよい。温度分布を考慮した予測は、例えば、以下のような手法により実現することができる。
電流密度I、抵抗値R、水移動量H2O_mに関するマップを、複数の温度についてそれぞれ準備する。それぞれのマップは、膜電極接合体小片60の温度を変えて(図12参照)電流密度I、抵抗値R、水移動量H2O_mを測定することで設定する。膜電極接合体12の個々の小領域における温度は、反応ガスの流れの上流側に位置する小領域の温度に、当該領域の発熱量を反映させることにより予測する。発熱量は、当該領域の電流密度Iに基づいて算出する。当該領域の温度が判ったら、温度別に準備された複数のマップから読み出したマップ値を基礎として、比例計算により、当該領域の温度に対応する電流密度I、抵抗値R、水移動量H2O_mを算出する。
また、上述した実施の形態1では、膜電極接合体12の抵抗値Rの分布をも予測することとしているが、抵抗値Rの予測は、必要がなければ省略してもよい。
また、上述した実施の形態1では、マップ設定の作業を簡単化するために膜電極接合体小片12を用いた測定(図12参照)を行うこととしているが、図8から図10に示すマップを設定する手法は、これに限定されるものではない。例えば、膜電極接合体12を計測の対象としてマップ設定の作業を行うこととしてもよい。
また、上述した実施の形態1では、燃料電池10のアノードに加湿された水素ガスが供給される場合に備えて、アノード側の入口にも露点計690を配置することとしているが、この発明はこれに限定されるものではない。すなわち、アノードに供給する燃料ガスが加湿されない場合には、上記の露点計690は省略することとしてもよい。
また、上述した実施の形態1では、アノード圧P_Anを予測するために、入口と出口の2カ所に圧力計685、687を配置することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、膜電極接合体12内部での圧力分布は、入口及び出口の一方で圧力が判れば推定することが可能である。このため、アノード側の圧力計は、入口側及び出口側の何れか一方にのみ配置することとしてもよい。この点は、カソード側の圧力計についても同様である。
尚、上述した実施の形態においては、制御部530が、図8に示すマップを記憶していることにより「発電特性記憶手段」が実現されている。また、制御部530が、上記(6)式、(8)式、及び(10)式を記憶していることにより「消費生成特性記憶手段」が実現されている。また、コンプレッサ705、加湿器720、レギュレータ675及び燃料ガスタンク655が「入口環境決定手段」に相当している。また、制御部が、膜電極接合体12を上記の小領域に区分して演算処理を進めることにより「小領域定義手段」が実現されている。また、制御部530が、ステップS1440において電流密度I(n)を算出することにより「発電量算出手段」が、ステップS1450の処理を実行することにより「消費生成量算出手段」が、それぞれ実現されている。更に、制御部530が、ステップS1420において、上記(7)式及び(9)式によりO2(n)及びH2O_Ca(n)を算出し、かつ、ステップS1430において、上記(11)式及び(12)式によりH2(n)及びH2O_An(n)を算出することにより「発電環境更新手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態においては、制御部530が、図9に示すマップを記憶していることにより「抵抗特性記憶手段」が実現されている。また、制御部530が、ステップS1440において抵抗値R(n)を算出することにより「抵抗値算出手段」が実現されている。
また、上述した実施の形態においては、制御部530が、図10に示すマップを記憶していることにより「水移動特性記憶手段」が実現されている。また、制御部が、ステップS1440において水移動量H2O_m(n)を算出することにより「水移動量算出手段」が実現されている。更に、制御部530が、ステップS1420において、上記(9)式によりH2O_Ca(n)を算出することにより「カソード水量更新手段」が、ステップS1430において、上記(12)式によりH2O_An(n)を算出することにより「アノード水量更新手段」が、それぞれ実現されている。
また、上述した実施の形態においては、制御部530が、ステップS1440において、上記(6)式に従って酸素消費量O2_off(n)を算出することにより「酸素消費量算出手段」が、上記(10)式に従って水素消費量H2_off(n)を算出することにより「水素消費量算出手段」が、それぞれ実現されている。更に、制御部530が、ステップS1420において、上記(7)式によりO2(n)を算出することにより「酸素量更新手段」が、ステップ164において、上記(11)式によりH2(n)を算出することにより「水素量更新手段」が、それぞれ実現されている。
以上の説明では、燃料ガスと酸化ガスとがコフローの場合を例にとり説明したが、燃料ガスと酸化ガスとがカウンターフローで流される場合についても、同様に水分布を求めることが可能である。また、水分布の取得方法は、上記以外にも様々な方法を採用することが可能である。
以上、いくつかの実施例に基づいて本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
10…燃料電池
12…膜電極接合体
60…膜電極接合体
62…酸化ガス供給通路
64…酸化ガス排出通路
66…コンプレッサ
68…エアフィルタ
70…調整バルブ
72…窒素タンク
74…バブラー
76…ヒータ
78…温度計
80…圧力計
82…ヒータ
84…露点計
86…燃料ガス供給通路
88…燃料ガス排出通路
90…調整バルブ
92…水素タンク
94…バブラー
96…ヒータ
98…温度計
100…圧力計
102…ヒータ
104…露点計
106…冷却水供給通路
108…冷却水排出通路
110…温度計
112…測定回路
114…電流計
116…可変抵抗
120…帯状部分
500…車両
510…燃料電池
530…制御部
535…要求出力検知部
540…二次電池
550…分配コントローラ
560…駆動モータ
570…ドライブシャフト
580…分配ギア
590…車輪
600…燃料電池スタック
605…電流電圧計
610…単セル
620…電解質膜
630…アノード電極
635…カソード電極
640…アノードガス流路
645…カソードガス流路
650…燃料ガス供給系
655…燃料ガスタンク
660…燃料ガス供給管
665…燃料ガス排気管
670…開閉バルブ
675…レギュレータ
680…燃料ガスポンプ
685…圧力計
687…圧力計
690…露点計
695…流量計
700…酸化ガス供給系
705…コンプレッサ
710…酸化ガス供給管
715…酸化ガス排気管
720…加湿装置
725…背圧弁
730…圧力計
732…圧力計
735…露点計
740…流量計
745…第2の燃料ガス排気管
747…排気弁
750…冷却系
755…ポンプ
760…冷却水供給管
765…冷却水排出管
770…ラジエータ
775…冷却水還流管
780…ロータリー弁
785…温度計
790…温度計

Claims (4)

  1. 燃料電池システムであって、
    燃料ガスと酸化ガスとの電気化学反応により電力を生成する燃料電池と、
    二次電池と、
    前記燃料電池と前記二次電池から外部負荷への電力供給を制御する制御部と、
    要求出力を取得する要求出力取得部と、
    を備え、
    前記制御部は、
    前記燃料電池内の水の量を取得し、
    前記水の量から前記燃料電池の電流制限値を決定し、
    少なくとも前記電流制限値に従って前記燃料電池システムから前記要求出力に応じた電力を前記外部負荷に供給し、
    前記燃料電池内にあらかじめ定められた閾値以上の水が溜まっている場合であって、
    記二次電池に予め定められた第1の電力量以上の電力量が蓄積されている場合には、前記燃料電池からの電流制限値を、前記閾値以上の水が溜まっている場合の電流制限値よりも低下させて前記燃料電池からの出力を低下させるとともに、前記二次電池からの出力を増大させ
    前記二次電池に予め定められた第1の電力量未満の電力量しか蓄積されていない場合には、前記燃料電池からの電流制限値を前記水の量から決定された電流制限値とし、
    前記燃料電池内の水の量が前記閾値よりも下がった場合には、前記二次電池からの電力を減少させ、前記燃料電池の電流制限を行わずに前記燃料電池からの出力を増大させる制御を行う、
    燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制御部は、前記燃料電池内にあらかじめ定められた閾値以上の水が溜まっており、かつ、前記二次電池に、前記第1の電力量以上の、予め定められた第2の電力量が蓄積されている場合には、
    前記燃料電池からの電流制限値をゼロに決定して前記燃料電池からの出力を停止するとともに、前記二次電池のみから電力を前記外部負荷に供給し、
    前記燃料電池内の水の量が前記閾値よりも下がった場合には、前記二次電池からの電力を減少させ、前記燃料電池の電流制限を緩和して前記燃料電池からの出力を増大させる制御を行う、燃料電池システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記制御部は、前記閾値以上の水が溜まっている場合の電流制限値よりも低い電流制限値で前記燃料電池を動作させている期間、前記燃料電池に供給する前記燃料ガスと前記酸化ガスのガス流量について、前記閾値以上の水が溜まっている場合の電流制限値を維持するのに必要なガス流量を維持する、燃料電池システム。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載に燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池は、
    アノード及びカソードのそれぞれに反応ガスの供給を受けることにより発電を行う膜電極接合体と、
    前記反応ガスの入口における発電環境を決定する入口環境決定手段と、
    を有しており、
    前記制御部は、
    前記膜電極接合体の発電量と発電環境との関係を定めた発電特性を記憶する発電特性記憶手段と、
    前記膜電極接合体の反応ガス消費量及び水生成量と前記発電量との関係を定めた消費生成特性を記憶した消費生成特性記憶手段と、
    前記膜電極接合体を、仮想的に、前記反応ガスの流れに沿って並んだ複数の小領域に区分する小領域定義手段と、
    前記複数の小領域のそれぞれにおける発電量を、反応ガスの流れの上流側に位置する小領域で生成された発電環境に基づいて、前記発電特性に従って算出する発電量算出手段と、
    前記複数の小領域のそれぞれにおける反応ガス消費量及び水生成量を、当該小領域で生成された発電量に基づいて、前記消費生成特性に従って算出する消費生成量算出手段と、
    前記複数の小領域のそれぞれが生成する発電環境を、反応ガスの流れの上流側に位置する小領域で生成された発電環境に、当該小領域における反応ガス消費量及び水生成量を反映させることにより算出する発電環境更新手段と、
    前記膜電極接合体のカソードからアノードへの水移動量と発電環境との関係を定めた水移動特性を記憶する水移動特性記憶手段と、
    前記複数の小領域のそれぞれにおける水移動量を、反応ガスの流れの上流側に位置する小領域で生成された発電環境に基づいて、前記水移動特性に従って算出する水移動量算出手段と、
    を有しており、
    前記発電環境更新手段は、
    反応ガスの流れの上流側に位置する小領域のカソードに存在する水量と当該小領域における水生成量との和から、当該小領域における水移動量を減ずることで当該小領域のカソードに存在する水量を算出するカソード水量更新手段と、
    反応ガスの流れの上流側に位置する小領域のアノードに存在する水量に当該小領域における水移動量を加えることで当該小領域のアノードに存在する水量を算出するアノード水量更新手段と、
    を含むことを特徴とする燃料電池システム。
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