JP5493583B2 - スピーカ用エッジ - Google Patents

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Description

この発明は、スピーカの振動板の周囲に設けられるスピーカ用エッジに関する。
一般的にスピーカでは、振動板の外周部とスピーカフレームとの間がエッジで接続されている。エッジは、スピーカ振動板を正しい位置に保持し、振動板の動きを妨げずに振動板の横ぶれを防止する。エッジの材料としては、軽量で追随性が良く、振動板の横ぶれに対して剛性を有するものが好ましい。例えば、ウレタン、ゴム、布などが使用される。
エッジは、振動板が振動すると、ある周波数で共振を起こす場合があり、エッジが共振すると、目的の再生音と異なる音が発生したり、目的の再生音を減衰させたりして、スピーカの再生特性が悪化するため、共振を抑制する必要がある。
エッジの共振抑制対策としては、従来、以下のものがあった。例えば、物性の異なる2種類以上の材料を同一面内に並設してエッジを形成することによって、エッジの共振点を分散させて、中高域で発生するピーク・ディップを抑制するもの等があった(特許文献1参照。)。
特開2008−60751号公報
特許文献1に記載の発明のようにエッジを加工すると、共振をある程度抑制できるが、エッジの共振を抑制するために、エッジの厚みを厚くすると、エッジが重くなってスピーカの能率(再生特性)が低下し、エッジを薄くすると、共振が発生しやすくなるという問題があった。
そこで、本発明は、エッジ自体を加工したり厚みを変えたりすることなく、共振を抑制できるスピーカ用のエッジを提供することを目的とする。
この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
本発明のスピーカ用エッジは、振動板の外周部とフレームとの間に取り付けられ、振動板の外周部に沿って形成された凹部の凹み内に、凹部に使用される部材よりも低密度の部材が充填されている。また、前記低密度の部材は、片側が前記凹部の凹み内に固定されている。
スピーカ用エッジの凹部の凹み内に部材が充填されているので、振動板の振動時に、エッジの共振による凹部の変形が充填された部材により抑制される。したがって、エッジの共振成分が抑制され、スピーカの再生特性を改善できる。また、エッジの凹部の凹み内に部材を充填するだけなので、エッジ自体を加工したり厚みを変えたりすることなく、製造が容易である。さらに、凹部の凹み内に充填する部材として、凹部よりも低密度の部材を使用している。これにより、エッジの重量増加を抑制でき、エッジを軽量に保つことができる。
上記発明では、凹部に使用される部材よりも低密度の部材が、凹部の凹み全体に充填されている。このように構成することで、エッジの共振時に凹部が変形するのを、凹部全体において抑制できる。したがって、エッジの共振成分が抑制されて、スピーカの再生特性をより改善できる。
上記発明では、凹部の凹みには低密度の部材として発泡部材が充填されている。発泡部材は複数の気泡を含んでおり、エッジの全体の重量を軽量化できる。また、気泡が緩衝材の役割を果たすので、エッジの変形を抑制できる。したがって、振動板の共振を成分が抑制され、スピーカ装置の再生特性を改善できる。
この発明によれば、エッジ自体を加工したり厚みを変えたりすることなく、振動板が振動した際に、エッジの共振を抑制して、スピーカユニットの再生特性を改善できる。
(A)は、本発明の実施形態に係るロールエッジを備えたドーム型スピーカの断面図、(B)は、一体的に構成された振動板、ロールエッジ及び発泡部材((A)において点線で囲んだ部分)の背面図である。 (A)〜(C)は、本発明の実施形態に係るドーム型スピーカの静止時及び振動時の状態を示す断面拡大図である。 従来のドーム型スピーカと、本発明の実施形態に係るドーム型スピーカと、の再生特性を表したグラフである。 本発明の実施形態に係るロールエッジを備えたコーン型スピーカの断面図である。
以下に、本発明の実施形態に係るスピーカ用エッジの一例であるロールエッジをドーム型スピーカに適用した場合を例に挙げて説明する。
図1(A)に示すように、スピーカユニット1は、ドーム型スピーカであり、ヨーク11A、ヨーク11B、マグネット12、プレート13、ボビン14、ボイスコイル15、振動板16、ロールエッジ17、発泡部材18、フレーム19、及びパッキン20を備えている。
ヨーク11A、ヨーク11B、マグネット12、及びプレート13は、磁気回路10を構成している。磁気回路10において、プレート13の外周部とヨーク11Bの内周部との間に設けられた磁気ギャップSには、ボイスコイル15が挿入されている。ボイスコイル15は、ボビン14に巻き付けられており、ボビン14は、端部が振動板16とロールエッジ17の境界部に接続されている。
振動板16は、ドーム型に形成され、外周部にロールエッジ17が接続されている。振動板16は、外部から入力された音声信号に応じて振動し、音波を発生する。
ロールエッジ17は、振動板16の外周部に沿って形成され断面が弧状の凹部17Aと、断面が平面状の保持部17Bから成る。凹部17Aの内周部が振動板16に接続され、凹部17Aの外周部に保持部17Bが設けられている。ロールエッジ17には、布に樹脂を含浸させ、その上にゴムをコーティングしたものを用いる。なお、ロールエッジ17には、発泡ウレタンなどを使用することも可能である。保持部17Bは、ヨーク11Bの上部に配された環状のパッキン20と、フレーム19と、により挟まれた状態で支持されている。
フレーム19は、振動板16の外周部に対向して設置されている。
図1(A)及び図1(B)に示すとおり、発泡部材18は、ロールエッジ17の凹部17Aに充填されている。発泡部材18には、ロールエッジよりも低密度の弾性体として発泡ウレタンを用いるが、ロールエッジ17よりも低密度の発泡ゴム、発泡ポリエチレン等を使用することも可能である。
ロールエッジ17の凹部17Aには、半円環体に予め成形した発泡部材18を、接着剤等で固定する。なお、発泡部材18は、凹部17Aの全体にわたって充填することが好ましいが、凹部17Aの一部に発泡部材18を充填し、発泡部材18の未充填部にボイスコイル15のケーブル等を通過させることも可能である。上記のようにロールエッジ17の凹部17Aの凹み内に発泡部材18を充填するだけで良いので、エッジ自体を加工したり厚みを変えたりすることなく、容易に製造できる。
次に、図2に基づいて、スピーカユニット1の状態を説明する。なお、図2(A)には、スピーカユニット1の静止時を示し、図2(B)及び図2(C)は、振動板16の共振状態の振動を示している。また、図2(B)及び図2(C)には、図2(A)に示す静止時の振動板及びエッジを点線で示している。
ロールエッジ17の凹部17Aの裏面に発泡部材18を設けると、図2(B)及び図2(C)に示すように、発泡部材18により、凹部17Aが同図における横方向への変形が抑制される。すなわち、振動板16の共振発生時には、図2(B)に示すように、振動板16が同図における下方向に振動(移動)する際に、凹部17Aが上方向に振動(移動)すると、凹部17Aには幅が狭くなる方向に変形しようとする力が加わる。しかし、凹部17Aの全体に満たされた発泡部材18はこの力に抗するので、凹部17A及び発泡部材18は若干たわむが、共振成分が抑制される。
また、図2(C)に示すように、振動板16が同図における上方向に振動(移動)する際に、凹部17Aが下方向に振動(移動)すると、凹部17Aには幅が広がる方向に変形しようとする力が加わる。しかし、凹部17Aの全体に満たされた発泡部材18がこの力に抗するので、凹部17A及び発泡部材18は若干たわむが、共振成分が抑制される。
発泡部材18は上記のように動作するので、振動板16が振動した際に、ロールエッジ17の共振を抑制できる。これにより、振動板16が振動した際に、ロールエッジ17が共振して、目的の再生音と異なる音が発生するのを抑制でき、スピーカユニットの再生特性に悪影響を及ぼさなくなる。
また、発泡部材18としてロールエッジ17と同じ部材や、ロールエッジ17より高密度の部材を使用した場合、ロールエッジ17の重量が重くなり、振動板16の上下方向の動きが悪くなる。そのため、スピーカユニット1の再生特性が悪くなる。そこで、本発明では、発泡部材18自体の重量を軽量化してスピーカユニット1の再生特性の劣化を抑制するために、発泡部材18としてロールエッジ17よりも低密度の弾性体を使用している。
ロールエッジ17に発泡部材18を充填した効果を、図3に基づいて以下に説明する。図3には、ロールエッジ17の凹部17Aの裏面に発泡部材18を取り付けた場合と、凹部17Aの発泡部材18を取り付けない場合と、のスピーカの音圧特性及びインピーダンス特性を示している。図3に示すように、発泡部材18を取り付けない従来のスピーカユニットの場合、5キロヘルツ付近に共振のピークが表れる。これに対して、スピーカユニット1では、約5キロヘルツ付近に表れた共振のピークが約10dB抑制される。また、インピーダンス特性においても、従来のスピーカユニットでは、約5キロヘルツでピークが発生していたが、スピーカユニット1では、約5キロヘルツでピークは発生しない。
このように、ロールエッジ17の凹部17A内に発泡部材18を設けることで、エッジ自体を加工したり厚みを変えたりすることなく、ロールエッジ17の共振を抑制して、スピーカユニットの再生特性を改善できる。
なお、図3では、20Hz〜3kHzにおいて、本発明の実施形態に係るロールエッジを使用した場合のスピーカユニットの音圧特性は、凹部17Aの凹みに充填する部材として、前記のように発泡部材18を採用しているので、音圧特性の低下は最小限に抑制されている。もし、凹部17の凹みに充填する部材として、凹部17に使用する部材と同じ部材や高密度な部材を使用すると、スピーカユニットの音圧特性は大きく低下する。
次に、本発明の実施形態に係るロールエッジは、ドーム型スピーカのみに適用するものではなく、ロールエッジを使用する他のスピーカにも当然適用可能である。
例えば、コーン型スピーカに適用した場合は、図4に示すようになる。図4に示すように、スピーカユニット2は、コーン型スピーカであり、ヨーク31A、ヨーク31B、マグネット32、ボビン34、ボイスコイル35、振動板36、ロールエッジ37、発泡部材38、フレーム39、ダンパ40、ダストキャップ41を備えている。
ヨーク31A、ヨーク31B、及びマグネット32は、磁気回路30を構成している。磁気回路30において、ヨーク31Aのポールの外周部とヨーク31Bの内周部との間に設けられた磁気ギャップSには、ボイスコイル35が挿入されている。ボイスコイル35は、ボビン34に巻き付けられており、ボビン34は、端部が振動板36とロールエッジ37の境界部に接続されている。
振動板36は、コーン型に形成され、外周部にロールエッジ37が接続されている。
ロールエッジ37は、断面が弧状の凹部37Aと、断面が平面状の保持部37Bから成り、凹部37Aの内周部が振動板36に接続され、凹部37Aの外周部に保持部37Bが設けられている。保持部37Bは、フレーム39に貼り付けられている。ダンパ40はボビン34とフレーム39に接続されている。ダストキャップ41は、外周部が振動板36に接続され、ボビン34の上側の開口部を覆っている。
コーン型スピーカの場合も、ドーム型スピーカと同様に、振動板が振動すると共振する。そこで、スピーカユニット2では、スピーカユニット1と同様に、ロールエッジ37の凹部37Aの裏面に発泡部材38を充填している。
これにより、ドーム型スピーカと同様に、ロールエッジ37の共振を抑制して、スピーカユニット2の再生特性を改善できる。
なお、本発明はドーム型スピーカとコーン型スピーカに限るものではなく、ロールエッジを使用するスピーカ全般に適用できる。
また、本発明は、ロールエッジに限るものではなく、凹部を有する他のエッジにも適用できる。例えば、Vエッジ、コルゲーションエッジ、マルチプル・ハーフロール・クロスエッジ、アコーディオン・プリーツ・クロスエッジ、ワンピース・フィックスド・エッジなどである。また、本発明は、振動板とエッジとを同一材料で一体成型したフィックスドエッジにも、振動板の外周部にエッジを貼り合わせたフリーエッジにも適用可能である。
1,2…スピーカユニット 10,30…磁気回路
11A,11B,31A,31B…ヨーク 12,32…マグネット
13…プレート 14,34…ボビン 15,35…ボイスコイル
16,36…振動板 17,37…ロールエッジ
17A,37A…凹部 17B,37B…保持部
18,38…発泡部材 19,39…フレーム
20…パッキン 40…ダンパ 41…ダストキャップ

Claims (3)

  1. 振動板の外周部とフレームとの間に取り付けられ、前記振動板の外周部に沿って形成された凹部を備え、
    前記凹部の凹み内に前記凹部に使用される部材よりも低密度の部材が充填され
    前記低密度の部材は、片側が前記凹部の凹み内に固定されている、
    スピーカ用エッジ。
  2. 前記凹部は、凹み内の全体に前記低密度の部材が充填された請求項1に記載のスピーカ用エッジ。
  3. 前記低密度の部材は、発泡部材である請求項1または2に記載のスピーカ用エッジ。
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