JP5493569B2 - 電子部品用パッケージおよび固体撮像装置 - Google Patents

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本発明は、電子部品用パッケージおよび固体撮像装置に関する。
従来、パッケージ内に固体撮像素子を収容した固体撮像装置が知られている。このような固体撮像装置では、固体撮像素子とパッケージとの熱膨張係数の差異に起因して、ダイボンディング時や、使用時において固体撮像素子に変形が生じることがある。そこで、下記特許文献1では、シリコンからなるパッケージに固体撮像素子を収容する固体撮像装置が提案されている。
特開2007−287967号公報
従来の固体撮像装置では、パッケージの材質として、シリコンからなる固体撮像素子と熱膨張係数が同一材料のシリコンを使用するため、熱応力等による固体撮像素子の変形を低減することができる。しかしながら、従来の固体撮像装置では、固体撮像素子がダイボンディングされるパッケージの全体をシリコンにより形成しているため、パッケージが比較的脆く、破壊するおそれがあるという問題があった。
本発明は、かかる従来の問題を解決するためになされたもので、パッケージの強度を低下することなく、固体撮像素子等の電子部品とパッケージとの熱膨張係数の相違に起因する電子部品の変形を低減することができる電子部品用パッケージおよび固体撮像装置を提供することを目的とする。
第1の発明の電子部品用パッケージは、電子部品を固定する載置面と、一部に熱膨張率の異なる材質からなる熱膨張係数調整部材とを備えるアタッチ部を有し、前記電子部品と前記熱膨張係数調整部材との間に前記アタッチ部の一部が介在していることを特徴とする。
第2の発明の電子部品用パッケージは、第1の発明の電子部品用パッケージにおいて、前記アタッチ部の熱膨張係数は、前記電子部品の熱膨張係数より大きく、前記熱膨張係数調整部材の熱膨張係数は、前記アタッチ部の熱膨張係数より小さいことを特徴とする。
第3の発明の電子部品用パッケージは、第2の発明の電子部品用パッケージにおいて、前記熱膨張係数調整部材は、前記電子部品の熱膨張係数と略同一の熱膨張係数を有していることを特徴とする。
第4の発明の電子部品用パッケージは、第1ないし第3のいずれか1の発明の電子部品用パッケージにおいて、前記電子部品は、前記アタッチ部または前記熱膨張係数調整部材に熱硬化性樹脂により接合されていることを特徴とする。
第5の発明の電子部品用パッケージは、第1ないし第4のいずれか1の発明の電子部品用パッケージにおいて、前記アタッチ部は、樹脂からなることを特徴とする。
第6の発明の固体撮像素子は、第1ないし第5のいずれか1の発明の電子部品用パッケージを有することを特徴とする。
本発明では、電子部品用パッケージの信頼性を低下することなく、電子部品とパッケージとの熱膨張係数の相違に起因する電子部品の変形を低減することができる。
本発明の固体撮像装置の第1の実施形態を模式的に示す断面図である。 図1の固体撮像装置からガラス基板を取り除いた状態を示す上面図である。 図1の固体撮像装置の製造工程を示す説明図である。 従来の固体撮像装置のダイボンディング時における固体撮像素子の変形を示す説明図である。 図1の固体撮像装置のダイボンディング時における固体撮像素子の変形を示す説明図である。 図1の固体撮像装置の寸法関係を示す説明図である。 本発明の固体撮像装置の第2の実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の固体撮像装置の変形例を示す説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1および図2は、本発明の固体撮像装置の第1の実施形態を示している。
この固体撮像装置は、ガラス基板11、固体撮像素子13、パッケージ15、熱膨張係数調整部材17を有している。
ガラス基板11は、透明ガラスからなる。ガラス基板11に代えて樹脂等からなる透光性部材を用いても良い。固体撮像素子13は、チップとして構成されたCCD、CMOS等の素子からなる。固体撮像素子13は、シリコン(例えば線膨張率3.5×10−6)により形成されている。ガラス基板11と固体撮像素子13とは、所定間隔を置いて対向配置されている。固体撮像素子13のガラス基板11側には、ガラス基板11を通過した光を受光する画素領域13aが形成されている。画素領域13aは、固体撮像素子13の外周を除いた部分に形成されている。画素領域13aには、多数の画素、マイクロレンズ、色フィルタ等が配置されている。固体撮像素子13は、各画素に入射した光を電気信号に変換する。固体撮像素子13の導体パターン19は、パッケージ15(以下、パッケージ本体という)の収容部に形成される導体パターン21にワイヤ23によりワイヤボンディングされている。
パッケージ本体15は、アタッチ部15a、枠部15bを有している。パッケージ本体15は、エポキシ系樹脂(例えば線膨張率12×10−6)により形成されている。固体撮像素子13a等の電子部品が載置されるアタッチ部15a(以下、ダイアタッチ部という)の形状は、特に制限されないが、本実施形態においては固体撮像素子13の外形に合せた矩形形状をしている。ダイアタッチ部15aの外周に沿って枠部15bが一体形成されている。ダイアタッチ部15aには、熱膨張係数調整部材17が埋設されている。熱膨張係数調整部材17はシリコン(例えば線膨張率3.5×10−6)からなる。
上述した固体撮像装置は、例えば図3に示すようにして製造される。
先ず、図3(a)に示すように、パッケージ本体15を用意する。パッケージ本体15には、予め熱膨張係数調整部材17が埋設されている。熱膨張係数調整部材17は、シリコンにより形成されている。熱膨張係数調整部材17は、パッケージ本体15の成形時にインサート成形される。
次に、図3(b)に示すように、パッケージ本体15の載置面15cに固体撮像素子13をダイボンディングして接合する。ダイボンディングは、固体撮像素子13をパッケージ本体15の所定の位置にダイボンド材で接着した後、ダイボンド材を熱硬化することにより行われる。ダイボンディングにより固体撮像素子13とパッケージ本体15との間にダイボンド部25が形成される。ダイボンド材には、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂等の接着剤が用いられる。熱硬化温度は、例えば150℃から200℃である。
次に、図3(c)に示すように、固体撮像素子13の導体パターン19をパッケージ本体15の導体パターン21にワイヤ23でワイヤボンディングする。
次に、図3(d)に示すように、パッケージ本体15の枠部15bの上面にガラス基板11を固着する。固着は、ガラス基板11を例えばガラスシール用樹脂により枠部15bの上面に接着した後、ガラスシール用樹脂を熱硬化することにより行われる。熱硬化温度は、例えば100℃である。ガラスシール用樹脂には、例えばエポキシ樹脂、シリコン樹脂等の接着剤が用いられる。
上述した固体撮像装置では、パッケージ本体15に熱膨張係数調整部材17を埋設したので、固体撮像素子13とダイアタッチ部15aとの熱膨張係数を整合させることができ、例えば図3(b)に示すようにダイボンド材を熱硬化した後の温度降下過程で、固体撮像素子13が変形するのを防止することができる。
すなわち、パッケージ本体15に熱膨張係数調整部材17が配置されていない場合には、図4(a)に示すように、ダイボンド材を熱硬化した後の温度降下過程で、固体撮像素子13とパッケージ本体15との接着面に矢符Aで示す方向の応力が発生する。これは、樹脂からなるパッケージ本体15の熱膨張係数が、シリコンからなる固体撮像素子13の熱膨張係数より大きく、温度降下時におけるパッケージ本体15の熱収縮量が固体撮像素子13の熱収縮量より大きいためである。そして、矢符Aで示す方向の応力により、固体撮像素子13は、図4(b)に示すように画素領域13a側が凸になるように変形する。
一方、上述した固体撮像装置では、図5(a)に示すように、パッケージ本体15に熱膨張係数調整部材17を埋設し、パッケージ本体15と熱膨張係数調整部材17との間に樹脂部15dを形成した。従って、ダイボンド材を熱硬化した後の温度降下過程で、固体撮像素子13とパッケージ本体15との接着面に矢符Bで示す方向の応力が発生する。また、熱膨張係数調整部材17の固体撮像素子13側の面にも矢符Cで示す方向の応力が発生する。熱膨張係数調整部材17を固体撮像素子13と同一の熱膨張係数でかつ同一の形状にすることで、矢符B,Cで示す方向の応力が同一の方向で同一の大きさになる。
この固体撮像素子13および熱膨張係数調整部材17に作用する応力Fは、図5(b)に示すように、固体撮像素子13または熱膨張係数調整部材17に沿う方向の応力a1,a2と、この応力に垂直な方向の応力b1,b2に分解できる。固体撮像素子13を反らせる応力であるY軸方向の応力(b1のY軸方向の成分)は、熱膨張係数調整部材17に作用するY軸方向の応力(b2のY軸方向の成分)と同一の大きさで互いに反対方向の大きさであるため相殺される。これにより、図5(c)に示すように、固体撮像素子13の画素領域13a側が凸になるような変形が低減される。
このパッケージ構造では、固体撮像素子13を反らせようとする応力が、熱膨張係数調整部材17に発生する応力と相殺され、これにより固体撮像素子13の変形を効果的に防止することができる。そして、固体撮像素子13の変形が防止されるため、固体撮像素子13の撮像面がカメラのレンズの光軸に対して傾く所謂あおりを低減することができる。また、固体撮像素子13の撮像面の反りが低減するため、撮像性能を向上することができる。
上述した固体撮像装置では、製造時における固体撮像素子13の変形の防止に加えて、使用時における固体撮像素子13の発熱により固体撮像素子13が変形するのを防止することもできる。すなわち、固体撮像素子13が発熱して固体撮像素子13と熱膨張係数調整部材17との間の樹脂部15dが膨張して変形しようとすると、熱膨張係数調整部材17により変形が抑制される。従って、固体撮像素子13の変形を低減することができる。
上述した固体撮像装置では、パッケージ本体15を樹脂により形成したので、シリコンにより形成する場合に比較して強度を向上し安価なものにすることができる。また、パッケージ本体15をセラミックスで形成する場合に比較して、寸法精度を向上することができる。
上述した固体撮像装置では、熱膨張係数調整部材17の固体撮像素子13側をパッケージ本体15の樹脂部15dにより覆ったので、封止性能を向上することができる。
図6は、上述したパッケージ構造のより具体的な例を示している。
図6(a)に示すように、固体撮像素子13の厚さをd1、熱膨張係数調整部材17の厚さをd2、固体撮像素子13と熱膨張係数調整部材17との間の樹脂部15dの厚さをd3とする。図5の説明より固体撮像素子13を反らせる応力を効果的に相殺するには、d1=d2とするのが最も好ましい。
また、パッケージ本体15に対する固体撮像素子13と熱膨張係数調整部材17との配置の対称性を考慮すると、図6(a)の構造よりも図6(b)の構造が望ましい。図6(b)では、熱膨張係数調整部材17の固体撮像素子13と反対側の面が、樹脂により覆われることなくパッケージ本体15の下面に露出している。このような構造では、d1=d2とすることにより上下方向が対称な構造となるため固体撮像素子13の反りをより確実に防止することができる。なお、d1=d2でなくても固体撮像素子13の応力を緩和し、反りを抑制する効果はある。
(第2の実施形態)
図7は、本発明の固体撮像装置の第2の実施形態を示している。なお、この実施形態において第1の実施形態と同一の要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この実施形態では、熱膨張係数調整部材17が、パッケージ本体15Aの載置面15cに露出して埋設されている。そして、固体撮像素子13が熱膨張係数調整部材17の露出面に直接ダイボンディングされ接合されている。
固体撮像素子13および熱膨張係数調整部材17は、シリコンにより形成されている。パッケージ本体15Aは、エポキシ系の樹脂により形成されている。ダイボンディングは、熱膨張係数調整部材17の所定の位置に固体撮像素子13をダイボンド材で接着した後、ダイボンド材を熱硬化することにより行われる。ダイボンド材には、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂等の接着剤が用いられる。熱硬化温度は、例えば150℃から200℃である。
この実施形態では、熱膨張係数調整部材17と固体撮像素子13の熱膨張係数を同一の熱膨張係数にし、熱膨張係数調整部材17に固体撮像素子13を直接ダイボンディングしたので、熱膨張係数調整部材17と固体撮像素子13との熱膨張量が常に殆ど同一になる。従って、ダイボンド材を熱硬化した後の温度降下過程で、固体撮像素子13が変形するのを防止することができる。また、使用時における固体撮像素子13の発熱により固体撮像素子13が変形するのを防止することができる。
(実施形態の補足事項)
以上、本発明を上述した実施形態によって説明してきたが、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のような形態でも良い。
(1)上述した実施形態では、固体撮像素子13の接着面のサイズと熱膨張係数調整部材17のサイズとを同一の寸法にした例について説明したが、例えば図8(a)、(b)に示すように固体撮像素子13の接着面のサイズS1より熱膨張係数調整部材17のサイズS2を大きくするようにしても良い。これにより固体撮像素子13の反りをより低減することができる。
(2)上述した実施形態では、熱膨張係数調整部材17を切り欠き等のない板状にした例について説明したが、例えば図8(c)に示すように穴部17aを形成しても良い。この場合、熱膨張係数調整部材17の外側のサイズS2が固体撮像素子13の外側のサイズS1より大きいことが望ましい。
(3)上述した実施形態では、熱膨張係数調整部材17を一体にした例について説明したが、例えば図8(d)に示すように複数に分割しても良い。この場合、熱膨張係数調整部材17の外側のサイズS2が固体撮像素子13の外側のサイズS1より大きいことが望ましい。
(4)上述した実施形態では、熱膨張係数調整部材17の少なくとも一側をパッケージ本体15Aの樹脂により覆った例について説明したが、例えば図8(e)に示すように熱膨張係数調整部材17の両面を露出するようにしても良い。このような構造では、熱膨張係数調整部材17に放熱性の良好な金属を用いることで放熱性能を向上することができる。
(5)上述した実施形態では、本発明をパッケージ本体15,15Aに固体撮像素子13を固定した固体撮像装置に適用した例について説明したが、パッケージ本体に電子部品を固着する電子部品用パッケージに広く適用することができる。
(6)上述した実施形態では、固体撮像素子13および熱膨張係数調整部材17をシリコンにより形成した例について説明したが、熱膨張係数調整部材17として、例えばシリコンより熱膨張係数が大きいアルカリ系ガラス、42アロイ合金等を用いても良い。
(7)上述した実施形態では、パッケージ本体15Aを樹脂により形成した例について説明したが、パッケージ本体15Aとして、例えばセラミックス(例えば線膨張率6.7×10−6)等を用いても良い。
11…ガラス基板、13…固体撮像素子、15,15A…パッケージ本体、15c…載置面、17…熱膨張係数調整部材。

Claims (6)

  1. 電子部品を固定する載置面と、一部に熱膨張率の異なる材質からなる熱膨張係数調整部材とを備えるアタッチ部を有し、
    前記電子部品と前記熱膨張係数調整部材との間に前記アタッチ部の一部が介在していることを特徴とする電子部品用パッケージ。
  2. 請求項1記載の電子部品用パッケージにおいて、
    前記アタッチ部の熱膨張係数は、前記電子部品の熱膨張係数より大きく、
    前記熱膨張係数調整部材の熱膨張係数は、前記アタッチ部の熱膨張係数より小さいことを特徴とする電子部品用パッケージ。
  3. 請求項2記載の電子部品用パッケージにおいて、
    前記熱膨張係数調整部材は、前記電子部品の熱膨張係数と略同一の熱膨張係数を有していることを特徴とする電子部品用パッケージ。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の電子部品用パッケージにおいて、
    前記電子部品は、前記アタッチ部または前記熱膨張係数調整部材に熱硬化性樹脂により接合されていることを特徴とする電子部品用パッケージ。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の電子部品用パッケージにおいて、
    前記アタッチ部は、樹脂からなることを特徴とする電子部品用パッケージ。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の電子部品用パッケージを有することを特徴とする固体撮像素子。
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