JP5493548B2 - 支承用ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム支承用ゴム組成物およびそれを用いるゴム支承に関する。
ゴム支承用のゴム組成物としては、例えば、特許文献1に記載の、天然ゴム100質量部と、カーボンブラック40〜80質量部と、シリカ30〜50質量部とを含有する支承用ゴム組成物が従来知られている。
ゴム支承には、水平方向へ十分に変形するための高破断伸びと、高いモジュラスを有するゴムが求められる。高いモジュラスを得るためには、ゴム組成物にカーボンブラック等の補強材を添加する、加硫反応速度を速めて架橋密度を上昇させる、等の手段が通常用いられる。しかし、そうすると、今度は、破断伸びが低下してしまい、問題となる。
また、シリカを含有するゴム組成物からなるゴムは、同じ組成物であっても季節によってモジュラスが変動すること、つまり湿度が高い夏期はモジュラスが高く、湿度が低い冬期はモジュラスが低くなることが知られている。このようなモジュラスの低下は水平剛性の低下を招くため、モジュラスの季節変動について改善の余地があった。
年間を通して安定したモジュラスを有するゴムとなりうるゴム支承用ゴム組成物としては、例えば、特許文献2に記載の、天然ゴムを50質量%以上含むジエン系ゴム100質量部と、シリカ5〜50質量部と、前記シリカの5〜17質量%の量のポリオール化合物と、加硫剤と、加硫促進剤とを含有する支承用ゴム組成物が挙げられる。
なお、季節によるモジュラスの変動について、正確なメカニズムは不明であるが、夏期はゴム支承用ゴム組成物中に水分が多く含有され組成物中のシリカは比較的多くの水分と水素結合している状態にあり、これに対して、冬期は、ゴム支承用ゴム組成物中に水分が少なくシリカが水の代わりに加硫促進剤と結合してしまい、これによってゴム組成物の加硫速度の低下、架橋密度の低下を引き起こし、その結果モジュラスが低下していると推察されている(特許文献2)。
また、特許文献3には、ジエン系ゴム100質量部、カーボンブラック2〜80重量部、シリカ5〜80重量部、シランカップリング剤および特定の繰返し単位を有する数平均分子量が200〜100,000のポリシロキサン化合物を含有するタイヤトレッド用ゴム組成物が記載されている。このゴム組成物は、シランカップリング剤および特定のポリシロキサン化合物を含有することによって、カーボンブラック/シリカの分散状態が改善され、特に耐摩耗性が向上している。実施例においては、シランカップリング剤および特定のポリシロキサン化合物を併用した場合と、シランカップリング剤のみを使用した場合が評価されているが、特定のポリシロキサン化合物のみを使用した場合の評価がされておらず、特定のポリシロキサン化合物を含有し、かつ、シランカップリング剤を含有しない場合については、全く考慮されていない。また、加硫後物性(300%モジュラス等)の季節変動について、何ら記載も示唆もない。
特開平10−310664号公報 特開2007−145986号公報 特開平9−111044号公報
そこで、本発明は、破断伸びを低下させることなく、モジュラス(M200およびM300)を向上させることができ、しかも、モジュラスの季節変動が小さい、高弾性率のゴム支承用ゴム組成物およびそれを用いたゴム支承を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定量の天然ゴムまたは天然ゴムとイソプレンゴムとの混合物と、特定量のシリカとを含有するゴム支承用ゴム組成物に、特定の繰返し構造を有するポリシロキサン化合物を特定割合で添加すると、破断伸びが維持されるうえに、モジュラスを向上できることを知得した。
このような効果を奏するメカニズムの詳細は不明であるが、本発明者は、本発明に用いるポリシロキサン化合物がシリカ表面と反応し、その結果、シリカがゴム組成物中に分散しやすくなり、シリカの分散性が向上したことによって、モジュラスが向上した可能性があると推察している。ただし、本発明の技術的範囲は、このメカニズムに限定して定められてはならないことはいうまでもない。
すなわち、本発明は、後記[1]〜[5]のゴム支承用ゴム組成物および後記[6]のゴム支承を提供する。
[1] 天然ゴム100質量部または天然ゴムとイソプレンゴムとの混合物100質量部、シリカ5〜30質量部、後記式(1)の繰返し単位を有する数平均分子量200〜100000のポリシロキサン化合物0.5〜5質量部を含有するゴム支承用ゴム組成物。
(式中、Rは独立にメチル基、エチル基またはフェニル基を示し、Rは独立に水素または有機基を示し、Rは独立にアルキル基またはアシル基を示し、mは0または1以上の整数であり、nは1以上の整数である。)
[2] カーボンブラック30〜70質量部をさらに含有する、前記[1]に記載のゴム支承用ゴム組成物。
[3] 加硫剤0.1〜3質量部と加硫促進剤0.1〜5質量部とをさらに含有する、前記[1]または[2]に記載のゴム支承用ゴム組成物。
[4] 前記加硫剤が、硫黄、有機含硫黄化合物および有機過酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、前記[3]に記載のゴム支承用ゴム組成物。
[5] 前記加硫促進剤が、後記式(2)で表される化合物である、前記[3]または[4]に記載のゴム支承用ゴム組成物。
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜6の分岐していてもよい鎖状脂肪族炭化水素基または炭素原子数3〜6の分岐していてもよい環状脂肪族炭化水素基を表す。)
[6] 前記[1]〜[5]のいずれかに記載のゴム支承用ゴム組成物からなるゴム層と、硬質層とを交互に積層した積層構造を有するゴム支承。
本発明によれば、破断伸びを低下させることなく、200%モジュラスおよび300%モジュラスを向上させることができ、しかも、モジュラスの季節変動が小さい、高弾性率のゴム支承用ゴム組成物およびそれを用いたゴム支承を提供することができる。
図1は、本発明のゴム支承の一例を表す模式的な断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、天然ゴム100質量部または天然ゴムとイソプレンゴムとの混合物100質量部、シリカ5〜30質量部、特定の繰返し単位を有する数平均分子量200〜100000のポリシロキサン化合物0.5〜5質量部を含有するゴム支承用ゴム組成物である。
なお、以下の本発明のゴム組成物の説明において、「ジエン系ゴム」とは「天然ゴム、または天然ゴムとイソプレンゴムとの混合物」をいうものとする。
〈天然ゴム/イソプレンゴム〉
天然ゴムは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
イソプレンゴムも特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
天然ゴムとイソプレンゴムとの混合物(本発明のゴム組成物の説明においては「ジエン系ゴム」という。)中の天然ゴムの割合は、特に制限されないが、支承用ゴム組成物の加工性、グリーン強度および加硫物性の観点から、ジエン系ゴム中の50質量%以上であるのが好ましく、70質量%以上であるのがより好ましい。
〈シリカ〉
シリカについて説明する。
本発明の支承用ゴム組成物に用いられるシリカは、特に制限されない。例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、けいそう土が挙げられる。
シリカは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
シリカの含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、5〜30質量部である。このような範囲の場合、得られるゴムの破断物性(破断伸び、モジュラス等)が優れたものとなる。ゴムの破断物性がより高くなるという観点から、シリカの含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、5〜25質量部であるのが好ましく、5質量部以上20質量部未満であるのがより好ましい。
〈ポリシロキサン化合物〉
ポリシロキサン化合物について説明する。
本発明の支承用ゴム組成物に用いられるポリシロキサン化合物は、式(1)の繰返し単位を有する。
前記式(1)において、Rはメチル基、エチル基またはフェニル基を示し、Rとしては水素または有機基を示し、有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、スチレン残基、ジビニルベンゼン残基、リモネン残基、ブタジエン残基、イソプレン残基等をあげることができる。Rとしてはメチル基、エチル基等の炭素数1〜36のアルキル基、炭素数1〜36のアシル基等をあげることができる。
前記式(1)の繰返し単位を有するポリシロキサン化合物は、シラノール基と反応するアルコキシシリル基またはアシロキシシリル基を有し、シリカ粒子の表面を覆って潤滑効果を示す大きさ、例えば数平均分子量が200〜100,000、好ましくは500〜50,000のポリマー(またはオリゴマー)である。したがって、前記式(1)の繰り返し単位には、≡Si−O−R基が存在する。このため、nは1以上、好ましくは5〜1000であり、mは0(ゼロ)であってもよいが、水素基や他の有機基があってもよい。
また、前記ポリシロキサン化合物は、その末端基には特に限定はなく、例えば、トリメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基の他、有機基であってもよい。末端基の種類は、製造時に使用した原料の種類によって定まる。
前記ポリシロキサン化合物は公知物質であり、例えば、一般に、相当するポリアルキルハイドロジェンシロキサンとアルコールまたはカルボン酸とを触媒存在下反応させることより合成することができる。
前記ポリアルキルハイドロジェンシロキサンとしては、以下に示したものが例示できる。
前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、オクタデカノール、フェノール、ベンジルアルコール、の他に、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等の酸素原子を有するアルコールを例示することができる。
前記カルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸等を例示することができる。
前記触媒としては、塩化白金酸、白金−エーテル錯体、白金−オレフィン錯体、PdCl(PPh、RhCl(PPh、オクチル酸錫、オクチル酸亜鉛、または酸、塩基触媒が使用できる。
本発明のゴム支承用ゴム組成物は、所望により、カーボンブラック、加硫剤、および加硫促進剤からなる群から選ばれる1以上の成分をさらに含有してもよい。以下に、これらの成分について詳細に説明する。
〈カーボンブラック〉
本発明の組成物に用いられるカーボンブラックは、特に限定されない。
前記カーボンブラックの含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して30〜70質量部である。含有量がこの範囲であると、前記カーボンブラックの効果を十分発揮でき、分散性も良好である結果、得られる組成物が本発明の効果を発揮できる。これらの特性により優れる点から、前記カーボンブラックの含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して35〜60質量部が好ましく、40〜55質量部がより好ましい。
〈加硫剤〉
加硫剤について以下に説明する。
本発明のゴム支承用ゴム組成物に用いられる加硫剤は、特に制限されない。例えば、硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド(DPTT)等の有機含硫黄化合物;ジクミルペルオキシド等の有機過酸化物;キノンジオキシム等が挙げられる。
加硫剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
加硫剤の含有量は、加硫を十分に進行させうるという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1〜3質量部であることが好ましく、1〜3質量部であることがより好ましく、2〜3質量部であることがさらに好ましい。
〈加硫促進剤〉
加硫促進剤について以下に説明する。
本発明のゴム支承用ゴム組成物に用いられる加硫促進剤は、特に制限されない。例えば、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤が挙げられる。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS、ノクセラーCZ;大内新興化学工業社製)、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等が挙げられる。
チアゾール系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、2−(4′−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、ベンゾチアジルジスルフィド等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛塩、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛塩、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛塩等が挙げられる。
チウラム系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TS)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TET)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド(TRA)等が挙げられる。
なかでも、得られるゴムのモジュラスが年間を通してより安定するという観点から、後記式(2)で表されるチアゾール系化合物が好ましい。
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜6の分岐していてもよい鎖状脂肪族炭化水素基または炭素原子数3〜6の分岐していてもよい環状脂肪族炭化水素基を表す。)
ここで、炭素原子数1〜6の分岐していてもよい鎖状脂肪族炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。鎖状脂肪族炭化水素基は、二重結合または三重結合を含んでいてもよい。これらのうち、メチル基、エチル基が好ましい。
また、炭素原子数3〜6の分岐していてもよい環状脂肪族炭化水素基としては、具体的には、例えば、シクロプロパン−1−イル、シクロブタン−1−イル、シクロペンタン−1−イル、シクロヘキサン−1−イル等が挙げられる。
このような置換基をRおよびRに有する式(2)で表される化合物としては、具体的には、例えば、2−(N,N−ジメチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジシクロヘキシルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられる。
加硫促進剤の量は、得られるゴムのモジュラスが年間を通してより安定するという観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.3〜3.0質量部であることがより好ましく、0.5〜2.0質量部であることがさらに好ましい。また、加硫促進剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
〈その他含有してよいもの〉
本発明のゴム支承用ゴム組成物は、所望により、または必要に応じて、天然ゴム、イソプレンゴム、シリカ、ポリシロキサン化合物、カーボンブラック、加硫剤および加硫促進剤以外に、本発明の効果を妨げない範囲で、添加剤を含有することができる。
そのような添加剤としては、例えば、加硫促進助剤、加硫遅延剤、着色剤(顔料)、老化防止剤、充填剤(補強剤)、軟化剤、可塑剤、活性剤、粘着付与剤、滑剤が挙げられる。
加硫促進助剤としては、具体的には、例えば、亜鉛華、マグネシア等の金属酸化物;リサージ、鉛丹、水酸化カルシウム、脂肪酸等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
含有してもよい加硫促進助剤の含有量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。加硫促進助剤の含有量がこの範囲であれば、加硫が十分に進行し、高物性(例えば、モジュラス、破断伸びに優れた)材料が得られる理由から好ましい。
加硫遅延剤としては、具体的には、例えば、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸等の有機酸;N−ニトロソ−ジフェニルアミン、N−ニトロソ−フェニル−β−ナフチルアミン、N−ニトロソ−トリメチル−ジヒドロキノリンの重合体等のニトロソ化合物;トリクロルメラニン等のハロゲン化物;2−メルカプトベンズイミダゾール、N−シクロヘキシルチオフタルイミド等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
含有してもよい加硫遅延剤の含有量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、0.1〜3質量部であることが好ましい。加硫遅延剤の含有量がこの範囲であれば、加硫を阻害することなく、スコーチを安定させることができる理由から好ましい。
着色剤としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料等の有機顔料等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用して
もよい。
含有してもよい着色剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましい。着色剤の含有量がこの範囲であれば、物性(例えば、モジュラス、破断伸び等)を損なうことなく着色できる理由から好ましい。
老化防止剤としては、具体的には、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N,N′−ジナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、N−イソプロピル−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、スチレン化フェノール(SP)等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
含有してもよい老化防止剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。老化防止剤の含有量がこの範囲であれば、老化防止効果を十分に得られる理由から好ましい。
充填剤としては、具体的には、例えば、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー、タルク、マイカ等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
含有してもよい充填剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、20〜100質量部であることが好ましい。充填剤の含有量がこの範囲であれば、十分な物性(例えば、モジュラス、破断伸び等)が得られる理由から好ましい。
軟化剤としては、具体的には、例えば、リノール酸、オレイン酸、アビエチン酸を主とするトール油、パインタール、菜種油、綿実油、落花生油、ひまし油、パーム油、フアクチス等の植物系軟化剤;パラフィン系油、ナフテン系油、芳香族系油等の鉱物油系軟化剤等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
含有してもよい軟化剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜150質量部であることが好ましい。軟化剤の含有量がこの範囲であれば、混合、圧延等の加工性が優れる理由から好ましい。
可塑剤としては、具体的には、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、トリメリット酸エステル、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
含有してもよい可塑剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜150質量部であることが好ましい。可塑剤の含有量がこの範囲であれば、混合、圧延等の加工性が優れる理由から好ましい。
活性剤としては、具体的には、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
含有してもよい活性剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。活性剤の含有量がこの範囲であれば、加硫が十分に進行する理由から好ましい。
粘着付与剤としては、具体的には、例えば、アルキルフェノールホルムアルデヒド系樹脂、アルキルフェノールアセチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂、ポリブテン、ロジン誘導体等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
含有してもよい粘着付与剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましい。粘着付与剤の含有量がこの範囲であれば、加工性を損なうことなく、十分な粘着性が得られる理由から好ましい。
滑剤としては、具体的には、例えば、ステアリン酸の金属石鹸、高融点ワックス、低分子量ポリエチレン、オクタデシルアミン等が挙げられる。これらを1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
含有してもよい滑剤の含有量は、ジエン系ゴム100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましい。滑剤の含有量がこの範囲であれば、十分な流動性が得られる理由から好ましい。
本発明のゴム支承用ゴム組成物は、しかしながら、シランカップリング剤を含有しないことが好ましい。シランカップリング剤を添加することで、シリカとポリマーの相互作用が大きくなり過ぎ、破断伸びの低下が生じるからである。また、前記ポリシロキサン化合物によって、カーボン/シリカの分散状態が十分に改善されるからである。
本発明の支承用ゴム組成物は、その製造について特に限定されない。例えば、ジエン系ゴム中に、シリカ、ポリオール化合物、加硫剤および加硫促進剤と、必要に応じて添加剤とを混合することにより製造することができる。具体的には、例えば、ジエン系ゴム、シリカ、ポリオール化合物、加硫剤および加硫促進剤と、必要に応じて使用することができる添加剤とを、ロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機、二軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて混練することにより製造する方法が挙げられる。
次に、本発明のゴム支承について以下に説明する。
本発明のゴム支承は、本発明のゴム支承用ゴム組成物からなるゴム層と、硬質層とを交互に積層した積層構造を有するものである。
本発明のゴム支承について、添付の図面を用いて詳述する。なお、本発明のゴム支承は図面に限定されない。
図1は、本発明のゴム支承の一例を表す模式的な断面図である。
図1において、10はゴム支承である。ゴム支承10は、フランジ11、12、軟質層13および硬質層14の積層体である。ゴム支承10の上下面には金属製のフランジ11、12が配設される。フランジ11、12の間には、軟質層13と硬質層14とが交互に複数積層されている。軟質層13は、本発明の支承用ゴム組成物を加硫成形することにより構成することができる。また、積層体の外周は軟質層13と同様のゴム組成物からなる被覆層15により被覆されている。
また、ゴム支承10に用いられる硬質層14は、軟質層13より硬度の高い層であれば特に限定されない。その材料としては、例えば、金属、セラミック、プラスチックが挙げられる。鋼板を用いることが好ましい態様の1つとして挙げられる。
軟質層13は、本発明の支承用ゴム組成物を加硫成形することにより得られるものであるため、ゴムのモジュラスが年間を通して安定したものとなる。これにより、ゴムの水平剛性が年間を通して変動せず一定となりやすいため非常に有用である。
本発明のゴム支承は、その用途について特に限定されない。例えば、各種の免震、除震、防震等の振動エネルギーの吸収装置(例えば、道路橋の支承や、橋梁、ビルの基礎免震、戸建免震用途等)に用いることができる。
本発明のゴム支承は、その製造について特に制限されない。例えば、本発明の支承用ゴム組成物をロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機、二軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて混練物とし、得られた混練物を、120〜190℃、好ましくは135〜150℃の温度で、加熱して加硫することにより製造する方法が挙げられる。
ゴム支承の製造は、本発明の支承用ゴム組成物をシート状に圧延する圧延工程と、圧延工程により得られたゴムシートと硬質層とを積層して積層体を形成する積層体形成工程と、積層体形成工程により形成された積層体を加硫することにより接着させる加硫接着工程と、を具備するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
以下、(1)圧延工程、(2)積層体形成工程、および(3)加硫接着工程について詳細に説明する。
(1)圧延工程
圧延工程とは、本発明の支承用ゴム組成物を未加硫の状態でシート状に圧延する工程であり、これによりゴムシートが得られる。
圧延により得られるシートは、圧延ロールを使用した場合には、一般的に、長さ50〜70m×幅60〜100cm×厚さ0.2〜0.5cm程度のものとなるため、ゴム支承に用いるゴムシートとするには、得られたシートを所定の厚み(例えば、2.5cm)となるようにシートを重ねることができる。なお、圧延により得られるシートが、ゴム支承に用いるゴムシートの厚みを有するものであれば、シートを重ねる必要はない。
また、圧延工程後に、必要に応じて、後述する積層体形成工程に用いるのに適したゴムシートの形状とするために、ゴムシートの長さまたは幅を適宜細断する工程があってもよい。
(2)積層体形成工程
積層体形成工程とは、圧延工程により得られたゴムシートと硬質層とを積層する工程であり、これにより積層体が形成される。ここで、硬質層は、上述したものと同様である。
(3)加硫接着工程
加硫接着工程とは、積層体形成工程により形成された積層体を加硫することにより接着させる工程である。120〜190℃で加硫させることが好ましく、135〜150℃で加硫させることがより好ましい。これにより積層体を形成するゴムシートと硬質層とが加硫接着したゴム支承が製造される。
具体的には、例えば縦×横×高さが100cm×100cm×35cmのゴム支承は、135℃の温度で10時間加硫することにより製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.支承用ゴム組成物の調製
第1表に示す組成成分(質量部)で、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、シリカ、ポリシロキサン化合物、カーボンブラック(CB)、クレー、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、アロマオイル、硫黄および加硫促進剤を配合して未加硫のゴム組成物を調製した。
第1表中の各成分は、次のものである。
・NR:天然ゴム RSS3号
・IR:イソプレンゴム NIPOL IR2200(日本ゼオン社製)
・シリカ:トクシールGU(トクヤマ社製)[10℃、20%RHの条件下で5日間乾燥したものを使用]
・ポリシロキサン:ポリシロキサン化合物 KI−90E(東レ・ダウコーニング社製)
・CB:カーボンブラック シヨウブラック S118(キャボットジャパン社製)
・クレー:Tクレー(日本タルク社製)
・酸化亜鉛:酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ステアリン酸(日本油脂社製)
・老化防止剤:サントフレックス6PPD(フレキシス社製)
・ワックス:サンタイトR(精工化学社製)
・アロマオイル:エキストラクト4号(昭和シェル石油社製)
・硫黄:油処理硫黄(軽井沢精錬所製)
・加硫促進剤:2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール(ノクセラー64、大内新興化学工業社製)
2.評価
(1)ムーニースコーチ
第1表の各ゴム組成物について、JIS K 6300−1:2001に記載の方法に準拠して、L型ローターを用い、測定温度125℃の測定条件で、ローターのシャフトにかかるトルクを測定し、ムーニー単位で記録した(この値がムーニー粘度である)。
この条件で、各組成物について、最低ムーニー粘度(Vm)およびムーニースコーチタイム(ML5up)を得た。結果を第1表に示す。
i)最低ムーニー粘度(Vm)
ムーニー粘度−時間曲線を作り、この曲線における最低値を、最低ムーニー粘度(Vm)とした。
最低ムーニー粘度は、90ムーニー単位以下が好ましい。
ii)ムーニースコーチタイム(ML5up)
最低ムーニー粘度よりムーニー粘度が5ムーニー単位だけ上昇するまでに経過した時間(分)を測定した。
ムーニースコーチタイム(ML5up)は15分以上が好ましい。
(2)ブランク引張試験
第1表の各ゴム組成物について、JIS K 6251:2004に記載の方法に準拠して、破断伸び(EB、単位:%)、200%モジュラス(M200)、および300%モジュラス(M300)を測定した。加硫条件は、加硫温度150℃、加硫時間15分とした。
M200およびM300(単位:MPa)の測定は、より詳細には、JIS K 6251:2004に記載の方法に準拠して、各実施例の乾燥シリカ含有組成物と加湿シリカ含有組成物とを加硫温度150℃、加硫時間15分の条件で加硫し、得られた加硫ゴムを厚さ2mmのダンベル状試験片(ダンベル状3号形)に切り出し、得られたダンベル状試験片のM200またはM300を測定することにより行われた。
3.季節による湿度の変動を想定したモジュラス試験
(1)支承用ゴム組成物の調製
第1表の各ゴム組成物に含有されるシリカ(乾燥シリカ)を加湿シリカに代え、実施例1〜3および比較例1の組成物を調製した。
各組成物中の乾燥シリカおよび加湿シリカの配合量を第2表に示す。
本発明においては、同じ組成物中に含有されるシリカとして乾燥したものまたは加湿したものを使用することにより、同一のゴム支承用ゴム組成物の夏期および冬期の環境下におけるモジュラスの変動を模擬的に試験している。乾燥シリカを含有する場合は冬期の環境の湿度(湿度が低い)を想定し、加湿シリカを含有する場合は夏期の環境の湿度(湿度が高い)を想定している。
乾燥シリカは、前記のとおり、10℃、20%RHの条件下で5日間乾燥したものを使用した。
加湿シリカは、トクシールGU(トクヤマ社製)を30℃、80%RHの条件下に2日間置くことにより加湿したものを使用した。
なお、本明細書においては、乾燥シリカを使用した実施例/比較例をその実施例/比較例の「冬モデル」、加湿シリカを使用した実施例/比較例をその実施例/比較例の「夏モデル」という場合がある。
(2)モジュラス変化率
実施例1〜3および比較例1の冬モデルおよび夏モデルのそれぞれについて、M200およびM300を、JIS K 6251:2004に記載の方法に準拠して測定した。
次に、各実施例/比較例について、
(M200−M200)/M200×100
または
(M300−M300)/M300×100
の式によって200%モジュラスまたは300%モジュラスの冬モデルを基準とする変化率(%)を算出し、その絶対値によって、季節による物性変動の評価を行った。すなわち、モジュラス変化率の絶対値が、5%以下である場合には「◎」、10%以下である場合には「○」、10%を超える場合には「×」と評価した。ただし、前記の式において、M200、M200、M300、M300は、それぞれ、各実施例/比較例の夏モデルの200%モジュラス、冬モデルの200%モジュラス、夏モデルの300%モジュラス、冬モデルの300%モジュラスである。
第1表に示す結果から明らかなように、実施例1〜3は、比較例1と比較すると、破断伸び(EB)が同程度でありながら、200%モジュラス(M200)および300%モジュラス(M300)が高く、優れている。
第2表に示す結果から明らかなように、実施例1〜3は、モジュラス変化率が小さく、しかも、組成物中に含まれる水分の量にかかわらず高い値を示している。このことから、本発明の支承用ゴム組成物から得られるゴムはモジュラスが年間を通して高い値で安定しているといえる。
10 ゴム支承
11、12 フランジ
13 軟質層
14 硬質層
15 被覆層

Claims (6)

  1. 天然ゴム100質量部または天然ゴムとイソプレンゴムとの混合物100質量部、シリカ5〜30質量部、式(1)の繰返し単位を有する数平均分子量200〜100000のポリシロキサン化合物0.5〜5質量部を含有し、シランカップリング剤を含有しない、ゴム支承用ゴム組成物。

    (式中、Rは独立にメチル基、エチル基またはフェニル基を示し、Rは独立に水素、メチル基、エチル基、スチレン残基、ジビニルベンゼン残基、リモネン残基、ブタジエン残基又はイソプレン残基を示し、Rは独立にアルキル基を示し、mは0または1以上の整数であり、nは1以上の整数である。)
  2. カーボンブラック30〜70質量部をさらに含有する、請求項1に記載のゴム支承用ゴム組成物。
  3. 加硫剤0.1〜3質量部と加硫促進剤0.1〜5質量部とをさらに含有する、請求項1または2に記載のゴム支承用ゴム組成物。
  4. 前記加硫剤が、硫黄、有機含硫黄化合物および有機過酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項3に記載のゴム支承用ゴム組成物。
  5. 前記加硫促進剤が、式(2)で表される化合物である、請求項3または4に記載のゴム支承用ゴム組成物。

    (式中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜6の分岐していてもよい鎖状脂肪族炭化水素基または炭素原子数3〜6の分岐していてもよい環状脂肪族炭化水素基を表す。)
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のゴム支承用ゴム組成物からなるゴム層と、硬質層とを交互に積層した積層構造を有するゴム支承。
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