JP5493334B2 - 高炭素鋼部材の補修における高効率付着方法及び材料 - Google Patents
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Description
化学プラントや発電プラント等においては、経年的な劣化が否めず、構成材料にはき裂の発生やエロージョン・コロージョン等の損傷の発生が認められる。特に、化学反応が生じる部位に関しては腐食が顕著となり、減肉による劣化の発生が懸念されている。
以上のような劣化・損傷部位には、溶接による補修やオーバーレイ(溶接肉盛)が施されている場合も見受けられる〔能勢士郎、山田雅人、深田利昭、酒井忠迪、高野正義、後藤明伸: "リアクタ世界一への挑戦とリアクタにかかわる最近の動向", 神戸製鋼技報,50(2000), pp. 95-98: 非特許文献1〕。しかし、溶接による補修やオーバーレイは、施工時
間が長いことや特殊技能を必要とすることから、より簡便で施工速度の速い補修技術の確立が重要となっている。また炭素鋼からなる構造部材に損傷が発生した場合、一部においてはこれら損傷に対して、上記したように、溶接による補修が行われているが、溶接による補修は、特殊技能を必要とすること、熱影響や内部欠陥部が発生すること、さらには補修に時間がかかる等の問題を有する。
現在これらの問題を解決する補修技術、特には高炭素鋼材の補修技術の確立が望まれている。
非特許文献2、A.P. Alkimov, V.F. Kosarev, N.I. Nesterovich, A.N.Papyrin: "Method of Applying Coatings," ソ連特許第1618778号(SU 1618778 A1, 8 Sept 1990): 特許文献1、A.P. Alkhimov, A.N. Papyrin, V.F. Kosarev, N.I. Nesterovich, M.M. Shushpanov: Gas-dynamic spray method for applying a coating, 米国特許第5,302,414号明細書(US No. 5,302,414; April 12, 1994): 特許文献2、A.P. Alkhimov, A.N. Papyrin, V.F. Kosarev, N.I. Nesterovich, M.M. Shushpanov: Method and device for coating, 欧
州特許第0 484 533号明細書(EP No. 0 484 533 B1; January 25, 1995): 特許文献3、A.P. Alkimov, A.N. Papyrin, V.F. Kosarev, N.I. Nesterovich, et al.: "Gas Dynamic Spraying Method for Applying a Coating," U.S. Patent No. 5,302,414, Re-examination Certificate (US No. 5,302,414 B1, Feb. 25, 1997): 特許文献4〕は、装置自体がシンプルで(図1参照)、熱影響部や初期金属粒子の相変態を生じさせることなく、ち密で高品質な皮膜をmm オーダーで形成することが可能な技術である〔榊 和彦: "コールドスプレーの概要と研究・開発の動向", 溶接学会誌 Vol.75 No.8 (2006): 非特許文献3〕。
しかし、コールドスプレーは衝突時の大きな塑性変形に伴い粒子を付着させるため、高炭素鋼を含めた炭素鋼等の硬い鉄系材料は塑性変形し難く、コールドスプレー法による付着が困難であり、それ故に、従来、コールドスプレーによる成膜は困難であると考えられている。そして、原料微粉末材を効率よく基材の対象箇所に付着せしめる技術の開発も重要である。また、コールドスプレー法は、これまでに耐酸化あるいは耐摩耗コーティングの施工方法として応用されてきたために、鉄系の材料を用いた補修に関しては、過去、補修技術としての検討例が少ない。そして、補修箇所がその鋼材と一緒になって使用される相手材が存在する場合、当該相手材に対して攻撃することとなり、磨耗や損耗といった障害を発生せしめる可能性があり、そうした問題を解決することも求められている。
〔1〕金属材料からなる基材表面の一部の補修を行う金属材料の補修方法であって、補修用原料粉末材料の融点又は軟化温度よりも低い温度の作動ガスの超音速流と共に、前記補修用原料粉末材料を流して、固相状態のまま基材に高速で衝突させて皮膜を形成せしめて、コールドスプレー法で基材の一部を補修する方法で、補修用原料粉末材料が、少なくとも高炭素鋼粉末に軟鋼粉末が配合してある混合物粉末からなるものであることを特徴とするコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
〔2〕金属材料が、高炭素鋼又はそれに基いた合金鋼からなる群から選択されたもので、該基材表面の一部が基材表面の欠陥部であることを特徴とする上記〔1〕に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
〔3〕補修用原料粉末材料の高炭素鋼粉末が、平均粒径5〜100μmの粒子サイズのものであることを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
〔4〕補修用原料粉末材料の軟鋼粉末が、平均粒径15〜200μmの粒子サイズのものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
〔5〕補修用原料粉末材料の高炭素鋼粉末と軟鋼粉末との配合比(重量比)が、1.0:9.0(高炭素鋼粉末:軟鋼粉末)〜9.0:1.0(高炭素鋼粉末:軟鋼粉末)であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
〔6〕作動ガスが、ヘリウムあるいは窒素であることを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
〔7〕コールドスプレーの超音速ノズルのノズル出口のガス流速が、1050〜4000m/sの速度範囲であることを特徴とする上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
〔8〕作動ガスの温度が、300〜1300℃である温度条件でコールドスプレーを実施することを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
〔9〕作動ガスの圧力が、0.5〜15.0 MPa である圧力条件でコールドスプレーを実施することを特徴とする上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
〔10〕10〜100mm3/sの成膜速度を得ることができるものであることを特徴とする上記〔1〕〜〔9〕のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
〔11〕コールドスプレーで基材上に形成された皮膜の気孔率が、8.4以下であることを特徴とする上記〔1〕〜〔10〕のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
〔12〕前記基材の補修対象部の表面の不純物層を除去し、前記基材の補修対象部の表面にコールドスプレー法により皮膜を形成することを特徴とする上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
〔13〕前記基材の補修対象部の表面の不純物層を、旋盤、フライス盤、研磨盤、リューター、研磨紙及びブラストからなる群から選択された、少なくとも一の機械的除去法により除去するか、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸及び水酸化ナトリウムからなる群から選択された、少なくとも一つの水溶液を用いた化学的除去法により除去するか、あるいは、CO2レーザー、YAGレーザー及びエキシマレーザーからなる群から選択された、少なくとも一種類のレーザーを用いたレーザー除去法により除去することを特徴とする上記〔1〕〜〔12〕のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
〔14〕炭素鋼又はそれに基いた合金鋼からなる群から選択された金属材料からなる基材の表面に、少なくとも高炭素鋼粉末と軟鋼粉末を含有する混合物を原料粉末材料として使用しコールドスプレーにより形成された皮膜であることを特徴とするコールドスプレー皮膜。
〔15〕皮膜の気孔率が、8.4以下であることを特徴とする上記〔14〕に記載のコールドスプレー皮膜。
〔16〕高炭素鋼又はそれに基いた合金鋼からなる群から選択された金属材料からなる基材表面の一部の補修用の原料粉末材料であり、補修用原料粉末材料の融点又は軟化温度よりも低い温度の作動ガスの超音速流と共に、前記補修用原料粉末材料を流して、固相状態のまま基材に高速で衝突させて皮膜を形成せしめて、コールドスプレー法で基材の一部を補修するための原料粉末材料で、少なくとも高炭素鋼粉末に軟鋼粉末が配合してある混合物粉末からなるものであることを特徴とする補修用原料粉末材料。
〔17〕原料粉末材料の高炭素鋼粉末が、平均粒径5〜100μmの粒子サイズのものであることを特徴とする上記〔16〕に記載の補修用原料粉末材料。
〔18〕原料粉末材料の軟鋼粉末が、平均粒径15〜200μmの粒子サイズのものであることを特徴とする上記〔16〕又は〔17〕に記載の補修用原料粉末材料。
〔19〕原料粉末材料の高炭素鋼粉末と軟鋼粉末との配合比(重量比)が、1.0:9.0(高炭素鋼粉末:軟鋼粉末)〜9.0:1.0(高炭素鋼粉末:軟鋼粉末)であることを特徴とする上記〔16〕〜〔18〕のいずれか一に記載の補修用原料粉末材料。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
呼ばれる技術で、例えば、図1に示した構成により、材料粉末の融点又は軟化温度よりも低い温度のガスを超音速流にして、前記超音速流のガス中に前記材料の粒子を投入し、固相状態のまま基材に衝突させて皮膜を形成する技術である。本発明では、当該材料粉末として、炭素鋼、特には高炭素鋼、又は少なくともそれを含有する粉末材を使用し、また、該作動ガスの温度の上限をその粉末材の融点以下又は軟化温度以下とするものである。なお、材料粉末の軟化温度とは、材料粉末の強度又は硬さが室温での強度又は硬さの半分となる温度と定義されてよい。
図1に示したコールドスプレー装置において、ガス源から供給される高圧の作動ガスは2つの経路に分岐され、一方の作動ガスはガス加熱器(ガスヒーター)を経て室温以上、材料粉末の融点又は軟化温度よりも低い温度に加熱された後、コールドスプレー装置の作動ガス供給孔に供給される。また、他方の作動ガスは粉末供給装置(粉末材ホッパー)へ送給され、キャリアガスとして材料粉末と共に、コールドスプレー装置のガンの粉末供給孔に供給される。この作動ガス供給孔からコールドスプレー用ノズルの入口部に供給された作動ガスは、ノズル出口より最終的に超音速流(ガスジェット)となり、該ノズル出口から噴出され、衝突する基材の上に皮膜を堆積物として形成することになる。本発明のコールドスプレーは、市販のコールドスプレー装置、例えば、プラズマ技研工業(株)製PCS-103-3などの高圧型コールドスプレー装置などを使用して実施できる。
このコールドスプレーでは、従来のプラズマ溶射法、フレーム溶射法、高速フレーム溶射法などに比べ、材料粉末の粒子を加熱・加速する作動ガスの温度が著しく低く、材料粉末をあまり加熱せずに固相状態のまま基材へ高速で衝突させ、そのエネルギーにより基材と粒子に塑性変形を生じさせたり及び/又は機械的結合を生ぜしめて成膜させている。これによって得られた皮膜は、緻密で密度、熱・電気伝導性が高く、酸化や熱変質も少なく、密着性も良好であるという優れた性質を有する。
。炭素鋼は、一般的によく使用される鉄鋼材料であり、『鉄鋼材料』というときは、普通は炭素鋼を指しており、「普通鋼」、あるいは、単に「鋼」ともわれる。
炭素鋼は含有されている炭素量が多くなると、引っ張り強さ・硬さが増す半面、伸び・絞りが減少し、切削性が悪くなる。また、熱処理を施すことにより、大きく性質を変えることが出来る。鉄以外の含有成分としては、炭素のほか、珪素、マンガン、りん、硫黄が含まれるが、これらは製造時に残った物である。炭素鋼のうち、C含有量が約0.3 mass%以下を低炭素鋼(又は軟鋼)、約0.3〜0.7 mass%を中炭素鋼、約0.7 mass%以上を高炭素鋼
と呼ぶ。
また、C含有量が0.6 mass%以下で構造用に使われるものは構造用炭素鋼、0.6 mass%以
上で工具用に使われるものは工具用炭素鋼と呼ばれる。日本工業規格(JIS)では、構造
用炭素鋼は、最低引っ張り強度が指定され、建築などに使われる一般構造用炭素鋼材(SS材)と、C含有量を規定し、一般的な機械や装置に使われる機械構造用炭素鋼材(SC材)が
存在する他、その他の炭素鋼が定められている。機械構造用炭素鋼(SC)では、例えば、炭素の添加量が0.45質量%(mass%)の場合は、「S45C」と表記される。
硫黄(S)に対して成分範囲が規定されているが、機械構造用炭素鋼(SC)では、一層広い範
囲で各成分範囲を規定してある。成分範囲が規定された元素としては、炭素、Si(ケイ素)、Mn(マンガン)、P、Sである。例えば、S30Cは、0.27〜0.33質量%C、0.15〜0.35質
量%Si、0.60〜0.90質量%Mn、0.030質量%以下P、0.035以下質量%Sである。成分範囲を規定することによって,焼き入れ熱処理の効果を高める。SCの中には,炭素を表面から浸透させることで表面を硬くして耐疲労性を高める浸炭処理(肌焼き処理)向けのSCKも含
まれる。SCKではCu(銅)、Ni、Crなどの成分の上限量を規定する。
また、炭素含有量の比較的大きな炭素鋼や高炭素鋼にニッケル、クロムを添加して焼入れ性をよくした合金鋼は、ニッケルクロム鋼であり、炭素含有量の比較的大きな炭素鋼や高炭素鋼にニッケル、クロム、モリブデンを添加して焼入れ性をよくした合金鋼は、ニッケルクロムモリブデン鋼であり、炭素含有量の比較的大きな炭素鋼や高炭素鋼にクロム、モリブデンを添加して焼入れ性をよくした合金鋼は、クロムモリブデン鋼であり、炭素含有量の比較的大きな炭素鋼や高炭素鋼にクロム、マンガン、ニッケルなどを添加して焼入れ性をよくした合金鋼は、それぞれクロム鋼、マンガン鋼、ニッケル鋼などと言われている。合金鋼には、ステンレス鋼なども包含される。
原料粉末材料用高炭素鋼及び軟鋼としては、当該分野で知られたものを使用でき、所望の目的を達成できる限り特に限定されない。該原料粉末材料用高炭素鋼は、当業者であれば、目的に合わせて適宜選択できるが、例えば、化学成分:炭素(C)0.60〜0.70質量%、
ケイ素(Si)0.35質量%以下、マンガン(Mn)0.50質量%以下、リン(P)0.030質量%以下、硫黄(S)0.030質量%以下であるもの、化学成分:炭素(C)0.70〜0.80質量%、ケイ素(Si)0.35質量%以下、マンガン(Mn)0.50質量%以下、リン(P)0.030質量%以下、硫黄(S)0.030質
量%以下であるものなどが挙げられる。該原料粉末材料用軟鋼は、当業者であれば、目的に合わせて適宜選択できるが、例えば、化学成分:炭素(C)0.10質量%以下、ケイ素(Si)0.08質量%以下、マンガン(Mn)0.45質量%以下、リン(P)0.014質量%以下、硫黄(S)0.008
質量%以下であるものなどが挙げられる。原料粉末は、当該分野で知られた方法で調製できるし、また、市販品を使用することもできる。代表的な場合、原料粉末はアトマイズ法で得られるものを好適に使用できる。
下、P: 0.030質量%以下、S: 0.030質量%以下であるもの、(2) C: 0.65〜0.75質量%、Si: 0.15〜0.30質量%、Mn: 0.60〜0.90質量%、P: 0.030質量%以下、S: 0.035質量%以
下、銅(Cu): 0.030質量%以下、ニッケル(Ni): 0.020質量%以下であるもの、あるいはC:
0.80〜0.90質量%又はC: 0.90〜1.00質量%で、Si: 0.35質量%以下、Mn: 0.50質量%以下、P: 0.030質量%以下、S: 0.030質量%以下、Cu: 0.030質量%以下、Ni: 0.025質量%以下であるもの、(3) C: 0.73〜0.83質量%、Si: 0.40質量%以下、Mn: 0.40質量%以下
、P: 0.030質量%以下、S: 0.030質量%以下、タングステン(W): 17.00〜19.00質量%、
バナジウム(V): 0.80〜1.20質量%であるものなどが挙げられる。
粒径は、高炭素鋼の種類に応じて、それぞれできるだけ均一な粒子サイズとすることができ、ある場合には、そうすることが好ましい。例えば、高炭素鋼粉末の粒子サイズとしては、例えば、平均粒径5〜100μm、ある場合には、平均粒径10〜80μm、別の場合では、平均粒径12〜50μm、より具体的な場合では、平均粒径15〜40μm、好ましくは平均粒径17〜30μm、より好ましくは平均粒径19〜27μm、もっと好ましくは平均粒径おおよそ21〜25μmが挙げられる。
本発明の好ましい態様では、軟鋼粉末は、基材上に高炭素鋼粉末が十分な付着効率で付着することが達成できるに十分な粒径のものであれば特に制限されることなく使用可能であるが、所望の皮膜の厚さを得ることができるもの、及び/又は、所望の強度の皮膜の形成のできるものが好ましく、例えば、平均粒径がおおよそ1〜500μmの粉末を用いること
ができる。典型的な態様では、当該原料粉末の粒径は、軟鋼の種類に応じて、それぞれできるだけ均一な粒子サイズとすることができ、ある場合には、そうすることが好ましい。例えば、軟鋼粉末の粒子サイズとしては、例えば、平均粒径15〜200μm、ある場合には、平均粒径20〜150μm、別の場合では、平均粒径25〜120μm、より具体的な場合では、平均粒径30〜100μm、好ましくは平均粒径40〜80μm、より好ましくは平均粒径50〜70μm、もっと好ましくは平均粒径おおよそ55〜65μmが挙げられる。
本発明のコールドスプレーの原料粉末材料における、高炭素鋼粉末に軟鋼粉末を配合してある粉末混合物において、高炭素鋼粉末と軟鋼粉末との配合比は、基材上に高炭素鋼粉末が十分な付着効率で付着することが達成できるに十分なものであれば特に制限されることはないが、所望の皮膜の厚さを得ることができるもの、及び/又は、所望の強度の皮膜の形成ができるものが好ましく、例えば、重量比で、約0.1:9.9(高炭素鋼粉末:軟鋼粉
末)〜約9.9:0.1(高炭素鋼粉末:軟鋼粉末)、ある場合には、約0.5:9.5〜約9.5:0.5(
高炭素鋼粉末:軟鋼粉末、以下同様)、別の場合では、約1.0:9.0〜約9.0:1.05、より限
定された配合比では、約2.0:8.0〜約8.0:2.0、ある場合には、約3.0:7.0〜約7.0:3.0、別の場合では、約3.5:6.5〜約6.5:3.5、好ましくは、約4.0:6.0〜約6.0:4.0、もっと好ましくは約4.5:5.5〜約5.5:4.5であり、典型的には、約4.75:5.25〜約5.25:4.75である。
成され、当該ホッパー(あるいはフィーダー)を備えている。該コールドスプレー装置は、超音速ノズルのノズル入口温度、ノズル入口圧力、ノズル入口ガス速度などを制御可能にされており、適宜、所定の値を選択できる。超音速ノズルのノズル出口のガス流速は式(1)から算出できる。超音速ノズルのノズル出口の圧力は、大気圧下でコーティングを行
っている場合には、大気圧である。
合には1.6〜10.0 MPa、別の場合では1.8〜8.0 MPa、好ましくは1.9〜7.0 MPa、別の好ま
しい場合では2.0〜6.5 MPa、また別の場合では、2.1〜5.5 MPa、より好ましくは2.3〜5.0
MPa、もっと好ましくは2.5〜4.0 MPaである。
、1000〜3000m/sの速度範囲、又は、1100〜2900m/sの速度範囲、さらには、1200〜2800m/sの速度範囲、あるいは、1300〜2700m/sの速度範囲、より好ましくは1400〜2600m/sの速
度範囲である。
場合には450〜1200℃、別の場合には550〜1100℃、好ましくは575〜1000℃、別の好まし
い場合では600〜800℃、ある種の好ましい場合では625〜775℃、さらには、650〜775℃、より好適には650〜750℃、さらに好適には675〜750℃、もっと好ましくは675〜725℃である。
構造部材が挙げられ、典型的には、炭素鋼が包含されるが、とりわけ高炭素鋼及びそれを基礎とした合金鋼が挙げられる。炭素鋼としては、上記した様に、低炭素鋼、中炭素鋼、高炭素鋼、さらには合金鋼が包含されてよいが、特に、本発明では、高炭素鋼やそれに基づいた合金鋼を好適に基材とすることができる。合金鋼としては、上記したようなものが挙げられ、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、クロムモリブデン鋼、クロム鋼、マンガン鋼、ニッケル鋼、ステンレス鋼なども包含される。
該基材の表面は、任意の形状のものであってもかまわないが、好ましい場合では、平面が挙げられ、幾分か凹部、凸部となっているか、あるいは、いくらか凹凸があるものであってよい。
〜5回であり、ある場合には、2〜3回であり、典型的な場合、2回である。
コールドスプレー用超音速ノズルの基材表面へのパスは、所定の制御された速度で対象面を横断するように動かすことにより実施可能で、ノズルの制御は手動で行うこともできるが、好適にはロボットなどを用いたり、コンピューターなどで制御されて行うことができる。ノズルの速度、方向、位置、パス数などは、制御され、均一な皮膜となるようにすることもできる。さらに、補修対象箇所の形状に応じて、制御しながら皮膜を形成することもできる。当該制御にあたっては、プログラム可能な論理制御装置、分散制御システムなどの制御手段により、それを行うことができる。
、例えば、重量比で、約3.0:7.0〜約7.0:3.0、好ましくは約4.75:5.25〜約5.25:4.75(高炭素鋼粉末:軟鋼粉末)の比率で配合してある混合物で、作動ガスの圧力が、2.0〜6.5 MPa、あるいは、2.0〜4.0 MPa、好ましくは2.5〜4.0 MPaであり、且つ、作動ガスの温度が、550〜1100℃、好ましくは600〜800℃、そして超音速ノズルの出口のガス流速が、1050
〜4000m/sの速度範囲、好ましくは1100〜2700m/sの速度範囲であるものである。本法では、作動ガスとしてヘリウムが好適に使用される。
本法では、優れた成膜速度で高炭素鋼堆積層の皮膜を形成でき、少なくとも30〜50mm3/sで皮膜を作製できるが、製膜条件や粉末性状を最適化すれば、100mm3/sの成膜速度を達
成できると考えられ、例えば、可能な成膜速度としては、約10〜100mm3/sであり、一つの態様では、30〜100mm3/sの成膜速度、好ましくは35〜100mm3/sの成膜速度、さらには、40〜100mm3/sの成膜速度で行う技術であり、別の態様では、30〜70mm3/sの成膜速度、好ま
しくは35〜80mm3/sの成膜速度、さらには、40〜90mm3/sの成膜速度で行う技術となることも可能である。本発明は、作業効率に優れたコーティング法を提供している。
下、好ましくはおおよそ2.0以下、より好ましくはおおよそ1.8以下であるものである。皮膜の厚さは、適宜、目的に応じて選択できるが、例えば、0.1〜20mmを得ることができる
。本発明で得られる皮膜付き基材としては、実施例で説明し且つ記載されている利点と実質的に同様なものあるいは等価なものを有しているものは包含されると考えてよい。
本発明では、コールドスプレー法を用いた補修の前工程として、基材の補修対象部の表面の不純物層を除去する工程を設けることができる。そして、ある場合には、これが好ましい。不純物層除去工程は、例えば、旋盤、フライス盤、研磨盤、リューター、研磨紙、ブラスト等を使用した機械的除去法であってよい。機械的除去法によれば、確実に不純物などを除去することが可能であり、さらに、短時間で除去ができる。該除去工程は、薬品を利用した化学的な方法であってよく、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウムなどの酸又はアルカリなどの水溶液を用いた方法が挙げられる。本化学的な除去法には、エッチング、電解腐食法なども包含されてよい。例えば、基材と溶液との間に電圧を印加して不純物層を溶解せしめることも可能である。該除去工程は、レーザー除去法であってもよい。レーザー除去法では、例えば、CO2レーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなどを使用することができる。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。
全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
本実施例1では、供試粉末材としてガスアトマイズ法により作製した平均粒径25 μmの炭素量 0.70%の高炭素鋼を用いた。化学組成および機械的特性を表1及び表2にそれぞれ示す。
本実施例1では、粒子衝突速度に大きな影響を及ぼすノズル出口のガス流速を作動ガス種により変化させ、施工を行った。作動ガスには、窒素およびヘリウムガスを用いた。ノズル出口のガス流速は式(1)から算出した。
ル出口圧力(大気圧)、Ugi はノズル入口ガス速度である。
成膜条件およびガス流速を表3にまとめて示す。
コールドスプレー法による皮膜と基材の付着状態を評価するため、走査型電子顕微鏡(SEM)((株)日立ハイテクノロジー製S-4700)を用いて皮膜断面の微細組織を観察した。ま
た、画像処理ソフトImage-J を用いて皮膜断面の気孔率を測定した。
〔3.Vickers 硬さ計測〕
基材および皮膜の硬さの差異を評価するため、N700S、He600S、およびHe600HC(表3参照)および基材のVickers 硬さを微小硬さ試験機(Fischer Instruments 社製 H100)を
用い計測を行った。
皮膜の付着強度を評価するため、四点曲げ試験を行った。
試験片寸法は、長さ35 mm、幅5 mm、基材厚さを2 mm、皮膜厚さを0.2 mm とした。試験は、材料試験機(MTS 製 810 Material Test System)を用い、外側および内側支点間距
離をそれぞれ30 mm および15 mm、変位速度を0.01 mm/s とした。図2に示すように、皮
膜に圧縮荷重及び引張荷重が作用するように配置し、試験時の荷重および変位を計測した
。
また、アコースティックエミッション(Acoustic Emission, AE)法により、累積AE 信号が急速に増加する点を皮膜のはく離と仮定し、そのときの応力および変位を計測した。なお、He600HC 材に関しては、基材の強度が他の試料と異なるため、本試験の対象から外した。荷重から応力への換算は下記の式(2)から求めた。
(1) 断面組織観察結果
どの施工条件においても付着は成功し、2パスの施工によって、N700S は約400 μm、He600S は約1100μm、およびHe600HC は約320μm の付着層を得ることができた。成膜速度は、30〜50mm3/sと評価できるものであった。
これら付着層の断面SEM 観察像を図3に示す。
また、このときの気孔率および付着効率を表4にまとめて示す。
また、コールドスプレー条件が同様で基材の鋼種のみが異なるHe600S とHe600HC にお
いても、付着厚さ、気孔率が大きく変化することが明らかとなった。これは、後述するように高炭素鋼の硬さがSUS鋼に比べて硬く、基材の塑性変形が十分に生じていないことが
原因と考えられるが、その詳細に関しては十分な解明が待たれるものと判断された。
界面からの距離と皮膜断面硬さの分布を図4に示す。
コールドスプレー皮膜の硬さはいずれの試験片においてもバルク材の硬さと比べ、同程
度か、もしくはそれ以上の値を示した。各試料は付着層の厚さが異なるため、単純な比較はできないが、コールドスプレー皮膜の硬さはいずれの試験片においても基材の硬さに比べ、硬化する傾向を示した。付着層硬化の要因は、粒子が高速で基材と衝突したことによる加工硬化の可能性が考えられる。またN700S やHe600HC の硬さがHe600S と比べ低い値
を示している要因としては、前述の高い気孔率の影響が考えられる。さらにN700SやHe600HC においては、付着層内部でばらつきが大きくなる傾向を示した。この原因に関しても
気孔率が影響しているものと考えられる。N700S において、皮膜中央部の断面硬さは、表面および界面近くの断面硬さと比較して、高い値を示す傾向がある。これは皮膜中央部の粒子が、粒子付着後に再度、他の粒子により繰り返し衝突し加工硬化が生じたのに対し、表面の粒子は繰り返し衝突の影響が少なかったためと考えられる。
四点曲げ試験による荷重−変位曲線及びはく離時の荷重と変位の値を、図5に示す。
引張荷重負荷時においては、二つの試験片ともに皮膜のはく離が生じた。He600S はN700S と比べ、高い荷重ではく離していることから、接合強度は高いものと判断できる。ま
た、He600S における強度の急激な低下位置は付着層に縦割れが入ったことによるもので
あり、この位置はほぼ塑性変形が開始する点と一致する。一般の構造物は、塑性変形を生じる応力下で使用されることはないことから、弾性変形領域で強度の高いコールドスプレー付着層は十分に使用可能なレベルであると考える。ただし、応力の急激な低下は、信頼性の観点から思わしくない。この点に関しては、スプレー条件の最適化や付着層あるいは粒子の前処理・後処理等により改善することが可能と考えられる。
一方、圧縮荷重負荷時においては、N700S およびHe600S 共にはく離や破断は生じず、
曲線はほぼ同様の傾向を示した。圧縮応力が負荷される部位に関しては、極めて有効であることが明らかとなった。圧縮荷重(応力)が作用する部材においては、窒素ガスを用いた付着層であっても十分な強度を得ることが可能である。
(1) 皮膜断面微細組織観察の結果から、作動ガスにHe を使用することで気孔率1.8%と
、極めて緻密な皮膜を得ることができる。
(2) 硬さ試験の結果から、コールドスプレーにより施工した付着層の硬さは、バルク材のそれよりも高くなる傾向を示し、高速衝突による加工硬化の影響が示唆される。
(3) 四点曲げ試験の結果から、引張強度においてHe600の優位性が認められた。引張荷
重負荷下においては、付着層にき裂が生じ、急激な荷重低下を示すことがわかった。しかし、He600S ではき裂が生じるまでの応力は高く、一般の構造物が塑性変形を生じる応力
下では使用されないことを考慮すれば、コールドスプレー付着層の強度は十分であると考えられる。また圧縮荷重に関しては、N700S およびHe600S 共に、はく離や破断は生じず
、圧縮応力が負荷される部位に関しては、極めて有効であることが明らかとなった。
(4) 以上の結果から、コールドスプレー法による炭素鋼補修の可能性が示唆された。
本実施例2では、供試材として、施工粉末に炭素量0.70%の高炭素鋼および純度99%以上の軟鋼(Hoganas製, ASC300, 粒径60μm以下)を、基材には施工粉末と同じ高炭素鋼を用
いた。表5に高炭素鋼および軟鋼の化学組成を示す。また、炭素鋼粉末はガスアトマイズ法により作製し、平均粒径は21μmである。
本実施例2では、高圧型コールドスプレー装置(プラズマ技研工業(株)製PCS-103-3)を用いた。施工粉末は、高炭素鋼、および付着率向上を目的とし高炭素鋼と軟鋼を質量比1:1で混合した混合粉末の2種類とした。また、作動ガスにはヘリウムガスを用い、作動温度、作動圧力の影響を評価するため、これらを変化させ成膜した。表6に施工条件を示す。
コールドスプレー法により成膜した皮膜の付着状態を評価するため、皮膜の断面微細組織を観察した。試料を鏡面仕上げし、走査型電子顕微鏡(SEM)((株)日立ハイテクノロジー製 S-4700)を用いて観察した。また、画像処理ソフト Image-J 1.38xを用いて皮膜断面気孔率を計測した。
〔Vickers硬さ計測〕
バルク材および施工した皮膜の硬さの差異を評価するため、各試料の皮膜断面Vickers
硬さを計測した。試料断面を鏡面仕上げし、微小硬さ試験機(Fischer Instruments製 H100)を用いて計測した。
(1) 施工結果
本実施例2で施工したものは、いずれの条件においても成膜に成功した。これにより成膜が困難であると考えられていた炭素鋼においても成膜が可能であることが確認された。また、軟鋼粉末と混合することで、より膜厚の厚い皮膜を得ることができた。成膜速度は、30〜50mm3/sと評価できるものであった。表7に各試料の膜厚および断面気孔率を示す
。
各試料の皮膜断面SEM像を図6に示す。粉末に高炭素鋼のみを用いた試料は混合粉末を
用いた試料と比べ、皮膜と基材の界面が明確に現れている。さらに気孔率においても高い値を示していた。このため、混合粉末と比べ付着が不十分であることが示唆される。さらに同じ炭素鋼を用いた場合でもS2-600とS3-600の比較およびS3-600とS3-700の比較から、より高温高圧下で施工することで、よりち密な皮膜を得ることができた。また、混合粉末を施工した皮膜は、M2-500およびM2-600でそれぞれ気孔率2.8%および2.0%のち密な皮膜を得ることに成功した。界面も明確ではなく、付着状態は高炭素鋼粉末の場合と比べ良好であった。
(3) Vickers硬さ計測
各試料の皮膜断面Vickers硬さ分布を図7に示す。高炭素鋼粉末を施工した皮膜はバル
ク材と比べ高硬度であることが確認された。これは粒子が基材に衝突した時、粒子が塑性変形し、加工硬化が発生した可能性が考えられる。また、硬さの値のばらつきが大きくなっており、これは高い気孔率のためであると考えられる。また、界面からの距離の変化に対し硬さの変化は確認されなかった。混合粉末を施工した皮膜に関しては、高炭素鋼および軟鋼バルク材硬さの間に分布している。このことから質量比1:1の混合粉末の施工にお
いても、付着比には差異が生じ、軟鋼粉末は炭素鋼粉末と比べ高い可能性が示唆される。
(1)高炭素鋼へのコールドスプレー法の適用は可能であり、軟鋼粉末と混合することで、
より気孔率の小さいち密な皮膜を得ることができる。
(2)より高温高圧条件下での施工によりち密な皮膜を得ることに成功した。
(3)高炭素鋼の皮膜硬さはバルク材と比べ高い値を示し、加工硬化の発生が示唆された。
(4)混合粉末の皮膜硬さは軟鋼と高炭素鋼のバルク材の間に分布しており、付着比は混合
比と異なる可能性が示唆された。
(5)以上の結果からコールドスプレー法の炭素鋼材料補修の可能性が示された。
また、以上より、対象となる基材は、初期部材(未使用の部材、あるいは、工場出荷段階の部材であって表面がきれいなもの)であってよいことはあきらかである。
結できる方法で、実用価値が高いものである。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
Claims (19)
- 金属材料からなる基材表面の一部の補修を行う金属材料の補修方法であって、補修用原料粉末材料の融点又は軟化温度よりも低い温度の作動ガスの超音速流と共に、前記補修用原料粉末材料を流して、固相状態のまま基材に高速で衝突させて皮膜を形成せしめて、コールドスプレー法で基材の一部を補修する方法で、補修用原料粉末材料が、少なくとも高炭素鋼粉末に軟鋼粉末が配合してある混合物粉末からなるものであることを特徴とするコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
- 金属材料が、高炭素鋼又はそれに基いた合金鋼からなる群から選択されたもので、該基材表面の一部が基材表面の欠陥部であることを特徴とする請求項1に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
- 補修用原料粉末材料の高炭素鋼粉末が、平均粒径5〜100μmの粒子サイズのものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
- 補修用原料粉末材料の軟鋼粉末が、平均粒径15〜200μmの粒子サイズのものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
- 補修用原料粉末材料の高炭素鋼粉末と軟鋼粉末との配合比(重量比)が、1.0:9.0(高炭素鋼粉末:軟鋼粉末)〜9.0:1.0(高炭素鋼粉末:軟鋼粉末)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
- 作動ガスが、ヘリウムあるいは窒素であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
- コールドスプレーの超音速ノズルのノズル出口のガス流速が、1050〜4000m/sの速度範囲であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
- 作動ガスの温度が、300〜1300℃である温度条件でコールドスプレーを実施することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
- 作動ガスの圧力が、0.5〜15.0 MPa である圧力条件でコールドスプレーを実施することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
- 10〜100mm3/sの成膜速度を得ることができるものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
- コールドスプレーで基材上に形成された皮膜の気孔率が、8.4以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
- 前記基材の補修対象部の表面の不純物層を除去し、前記基材の補修対象部の表面にコールドスプレー法により皮膜を形成することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
- 前記基材の補修対象部の表面の不純物層を、旋盤、フライス盤、研磨盤、リューター、研磨紙及びブラストからなる群から選択された、少なくとも一の機械的除去法により除去するか、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、クエン酸及び水酸化ナトリウムからなる群から選択された、少なくとも一つの水溶液を用いた化学的除去法により除去するか、あるいは、CO2レーザー、YAGレーザー及びエキシマレーザーからなる群から選択された、少なくとも一種類のレーザーを用いたレーザー除去法により除去することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一に記載のコールドスプレーによる金属材料の補修方法。
- 炭素鋼又はそれに基いた合金鋼からなる群から選択された金属材料からなる基材の表面に、少なくとも高炭素鋼粉末と軟鋼粉末を含有する混合物を原料粉末材料として使用しコールドスプレーにより形成された皮膜であることを特徴とするコールドスプレー皮膜。
- 皮膜の気孔率が、8.4以下であることを特徴とする請求項14に記載のコールドスプレー皮膜。
- 高炭素鋼又はそれに基いた合金鋼からなる群から選択された金属材料からなる基材表面の一部の補修用の原料粉末材料であり、補修用原料粉末材料の融点又は軟化温度よりも低い温度の作動ガスの超音速流と共に、前記補修用原料粉末材料を流して、固相状態のまま基材に高速で衝突させて皮膜を形成せしめて、コールドスプレー法で基材の一部を補修するための原料粉末材料で、少なくとも高炭素鋼粉末に軟鋼粉末が配合してある混合物粉末からなるものであることを特徴とする補修用原料粉末材料。
- 原料粉末材料の高炭素鋼粉末が、平均粒径5〜100μmの粒子サイズのものであることを特徴とする請求項16に記載の補修用原料粉末材料。
- 原料粉末材料の軟鋼粉末が、平均粒径15〜200μmの粒子サイズのものであることを特徴とする請求項16又は17に記載の補修用原料粉末材料。
- 原料粉末材料の高炭素鋼粉末と軟鋼粉末との配合比(重量比)が、1.0:9.0(高炭素鋼粉末:軟鋼粉末)〜9.0:1.0(高炭素鋼粉末:軟鋼粉末)であることを特徴とする請求項16〜18のいずれか一に記載の補修用原料粉末材料。
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