JP2008018455A - 連続鋳造用鋳型およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】亜鉛を不純物として含む溶鋼を鋳造する鋳型のメニスカス部損傷を防止する。
【解決手段】銅又は銅合金よりなる連続鋳造用鋳型において、鋳型内側表面のメニスカス部を含む、少なくとも鋳型上端から高さ300mmまでの範囲に、コールドスプレー法によって、周期律表VIa族元素(Cr、Mo、W)、周期律表Va族(V、Nb、Ta)および周期律表IVa族(Ti、Zr、Hf)よりなる群から選択される少なくとも一種以上の元素並びに不可避不純物よりなる耐亜鉛性の金属皮膜を形成する。前記皮膜は、気孔率1.5%以下、伸び4.0%以上、基材との密着強度が35MPa以上、且つ厚みが0.02〜0.2mmである。銅又は銅合金の内側表面に、Co、Niの一種または二種の元素および不可避不純物よりなる金属の下地層を設け、その上に、コールドスプレー法による耐亜鉛性の金属皮膜を設けても良い。
【選択図】図2

Description

本発明は、鉄鋼材料製造に用いる連続鋳造用鋳型及びその製造方法に関するものである。
連続鋳造用鋳型は、溶鋼から効率的に抜熱し、凝固させるために熱伝導特性が良好であることが要求され、基材には微量のCr、Zrなどを含有した銅合金が用いられる。しかし、銅合金自体は、耐熱性、耐摩耗性、耐食性などの特性が劣るため、連続鋳造用鋳型の溶鋼と接する内面には、種々のめっき層や溶射皮膜を形成している。これまで、鋳型表面の被覆には、主にNiめっき、Ni合金めっき、Coめっき、Co合金めっき、Crめっきなどが用いられてきた。この中で、Crめっきは、耐摩耗性及び耐溶損性に優れており、更に溶鋼との反応性が小さいことから、鋳型の長寿命化及び溶鋼スプラッシュの付着によるブレークアウト防止の目的で広く用いられてきた。
近年、連続鋳造用の溶鋼の原材料の一部にスクラップを使用する操業が一般的となっているが、スクラップの中には、亜鉛めっき鋼板などが含まれているため、溶鋼中に溶解した亜鉛が鋳型メニスカス部に濃縮し、鋳型表面を損傷させるという問題が発生している。亜鉛による連続鋳造用鋳型の具体的な損傷の形態は、メニスカス部に生じるえぐれであり、えぐれはメニスカス部に付着・濃縮した亜鉛へのめっき層の溶出により発生する。えぐれが深くなると、鋳造中に幅可変した際、短辺との隙間に溶鋼が差し込み、ブレークアウトを引き起こす危険がある。
また、連続鋳造用鋳型のメニスカス部には、湯面変動やチャージ間での鋳型の温度変化、即ち熱サイクルによりクラックが発生することがある。このクラックが成長し、鋳型表面に施しためっき層を貫通して基材の表面に到達すると、亜鉛がクラックに侵入してめっき層の剥離及び銅板割れを引き起こし、メニスカス部の損傷を加速させる。従って、連続鋳造用鋳型メニスカス部の亜鉛によるえぐれ及び熱サイクルによるクラックへの亜鉛の侵入は、操業上及び安全上の両面から非常に重大な問題であり、鋳型寿命を大きく制限してきた。
亜鉛による鋳型表面の損傷、特にメニスカス部の損傷に対し、Crめっきの特性を改善し、鋳型へ適用する技術が種々開示されている。一般的な工業用Crめっきは、硬度が高く、更にめっきままで多数のクラックを内在していることから、早期に剥離が生じるという問題があり、連続鋳造用鋳型の耐亜鉛性向上という目的には使用できなかった。これに対し、例えば、特許文献1には、電解Niめっきを施した上にCr電解めっきを二層以上設けた鋳型が開示されている。特許文献2には、二層以上のCr系めっきを形成し、そのうち少なくとも一層は350MPa以上の圧縮残留応力を有している鋳型が開示されている。特許文献3には、55℃以上の温度でCrめっき層を形成し、その上に、更に55℃未満の温度でCrめっき層を形成した鋳型が開示されている。特許文献4には、ビッカース硬度が600HV0.01以下であり、クラック密度が5本/cm以下であるCrめっきを2層以上付与した鋳型が開示されている。特許文献5には、Crめっきのクラック内部及び/又はめっき層表面を全面的または部分的に金属酸化物で被覆した鋳型が開示されている。しかし、いずれの方法を用いても、Crめっきを用いた場合、使用中のクラック発生が避けられず、十分な耐久性は得られなかった。
Crめっき以外の技術として、特許文献6には、CoまたはCo合金の保護皮膜をもつ鋳型が、また、特許文献7には、C、Ni、Cr、W、Taを含有するCo合金を減圧プラズマ溶射法により被覆した鋳型が開示されているが、Coが亜鉛と反応することから、耐久性は不十分であった。特許文献8には、皮膜表面部にMo及び/又はVを60at%以上含有する皮膜を有する鋳型が開示されている。従来の溶射法では、十分緻密な皮膜が得られず、亜鉛の侵入に対し、十分な障壁とならなかった。また、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などの気相めっき法では、鋳型を格納するための真空チャンバーが巨大であることから設備費が嵩み、ランニングコストが高いという問題があった。
特許文献9には、コールドスプレーによって形成された被膜が、Cr、Ni、Ni合金の何れか、又は10〜90質量%のNi若しくはNi合金及び残部高硬度セラミックスの複合体、並びに、0.01〜2体積%のCr、Ni、Ni合金の何れか酸化物、からなり、前記被膜の空隙率が3%以下である連続鋳造用鋳型が開示されているが、本発明で問題としている耐亜鉛性に関する記述がなく、また皮膜の伸びおよび密着強度についての規定がなされていない。特許文献9に記載の被膜は、コールドスプレー条件のうち、ノズル入り口の稼動ガス圧力が1〜3MPaであることから、皮膜形成初期の粉末の運動エネルギーが十分でないために被膜の密着性に劣り、スクラップが多い溶鋼を鋳造する際の耐久性に問題があった。
特開平7−284881号公報 特開平10−156490号公報 特開平1−271033号公報 特開2004−237315号公報 特開平10−80753号公報 特開昭59−189037号公報 特開平7−171661号公報 特開平9−52152号公報 特開2004−306120号公報
本発明は、亜鉛を不純物として含む溶鋼を鋳造する際に問題となるメニスカス部損傷を軽減し、鋳型寿命を延長させた、耐亜鉛性に優れた鋳型を提供するものである。
本発明者は、耐亜鉛性に優れた銅または銅合金製の連続鋳造用鋳型を得るために鋳型表面の必要な部分に施す金属皮膜として必要となる特性を調査した結果、以下の1)〜5)の項目が適当であるか適当な値であればよいことを見出した。
1)金属皮膜の成分が、周期律表VIa族元素(Cr、Mo、W)、周期律表Va族(V、Nb、Ta)および周期律表IVa族(Ti、Zr、Hf)よりなる群から選択される少なくとも一種以上の元素並びに不可避不純物よりなる金属であること
2)前記皮膜の気孔率が1.5%以下であること
3)前記皮膜の伸びが4.0%以上であること
4)前記皮膜と基材との密着強度が35MPa以上であること
5)前記皮膜の厚みが0.02〜0.2mmであること
また、6)これらの条件を満たす金属皮膜を得るためには、素材表面にブラスト加工を施した後に、所定の条件でのコールドスプレー法によって金属皮膜を形成する方法が適していることを見出した。
さらに、7)コールドスプレーで使用する金属粉末の粒径が1μm以上50μm以下であることによって、安定して供給でき、かつ、十分な粉末の加速ができること、
8)銅又は銅合金よりなる連続鋳造用鋳型とコールドスプレー法によって形成された金属皮膜との間に、Co、Niの一種または二種の元素および不可避不純物よりなる金属の下地層を有することによって、熱サイクル時の熱膨張差によるクラック発生及び剥離の危険性を低減させること、並びに、
9)コールドスプレーにより金属皮膜を形成した後、200℃以上500℃以下の温度で、1時間以上5時間以内の熱処理を行うことにより、皮膜の延性が著しく改善されること、を見出した。
本発明は、このような知見によって得られたもので、その要旨は、次の通りである。
(1) 銅または銅合金よりなる連続鋳造用鋳型において、鋳型内側表面の少なくとも鋳型上端から高さ300mmまでの範囲に、周期律表VIa族元素(Cr、Mo、W)、周期律表Va族(V、Nb、Ta)および周期律表IVa族(Ti、Zr、Hf)よりなる群から選択される少なくとも一種以上の元素並びに不可避不純物よりなる金属の皮膜を有し、前記皮膜が、気孔率1.5%以下、伸び4.0%以上、基材との密着強度が35MPa以上、且つ厚みが0.02〜0.2mmであることを特徴とする鉄鋼材料の連続鋳造用鋳型。
(2) 前記皮膜の下地層として、Co、Niの一種または二種の元素および不可避不純物よりなる金属層を有することを特徴とする前記(1)に記載の鉄鋼材料の連続鋳造用鋳型。
(3) 銅又は銅合金よりなる連続鋳造用鋳型の製造方法において、鋳型内側の少なくとも鋳型上端から高さ300mmまでの範囲をブラスト処理した後、周期律表VIa族元素(Cr、Mo、W)、周期律表Va族(V、Nb、Ta)および周期律表IVa族(Ti、Zr、Hf)よりなる群から選択される少なくとも一種以上の元素並びに不可避不純物よりなる金属粉末を用いて、稼動ガスをヘリウム、アルゴン、窒素またはこれらの混合ガスとし、ノズル入り口の稼動ガス圧力が3MPaより高い圧力、ノズル入り口の稼動ガス温度が200℃以上800℃以下の条件で前記ブラスト処理した面にコールドスプレーを行うことで、気孔率1.5%以下、伸び4.0%以上、基材との密着強度が35MPa以上、且つ厚みが0.02〜0.2mmである金属皮膜を形成することを特徴とする連続鋳造用鋳型の製造方法。
(4) 前記コールドスプレーで使用する金属粉末の粒径が、1μm以上、50μm以下であることを特徴とする前記(3)に記載の連続鋳造用鋳型の製造方法。
(5) 前記ブラスト処理の前に、鋳型の内側全面にCo、Niの一種または二種の元素および不可避不純物よりなる金属の下地層を設けることを特徴とする前記(3)または(4)に記載の連続鋳造用鋳型の製造方法。
(6) 前記コールドスプレーにより金属皮膜を形成した後、200℃以上500℃以下の温度で、1時間以上5時間以内の熱処理を行うことを特徴とする前記(3)〜(5)のいずれかに記載の連続鋳造用鋳型の製造方法。
本発明によれば、亜鉛を不純物として含む溶鋼の製造を行った際に問題となる、亜鉛による銅板の侵食による損傷を防止でき、鋳型の寿命を延長することが可能であり、産業上の貢献が極めて大きい。
耐亜鉛性の金属皮膜は、連続鋳造用鋳型のメニスカス高さに相当する、亜鉛による鋳型損傷が問題となる部位に設けることが必要である。メニスカス高さは、通常、鋳型の上端から80〜150mmの位置に設定されるが、湯面変動などの外乱により、上下に変動することがある。従って、耐亜鉛性の金属皮膜は、鋳型内側表面の少なくとも鋳型上端から高さ300mmまでの範囲に設けることが必要である。
亜鉛に対して耐久性のある材料を探索する目的で、発明者は種々の金属材料と亜鉛との反応を調査した。使用した材料は、表1に示す99.9%以上の純度を持つ種々の金属板であり、長さ15mm、幅15mm、高さ5mmの寸法に加工した板状試験片を用いた。これらの板状試験片の表面に、長さ10mm、幅10mm、高さ2mmの純度99.9%の亜鉛板を載置した。その試験片を雰囲気調整ができる電気炉内に設置し、アルゴン雰囲気に置換した後、450℃に昇温して5時間の熱処理を行った後、室温まで徐冷した。その後、試験片を幅方向の中央で、厚み方向に切断し、埋め込み研磨して断面を観察し、試験片材料と亜鉛との界面での反応層形成の有無の観察およびえぐれ深さの測定を行った。断面観察によるえぐれ深さの測定では、亜鉛板を載置しなかった試験片両端を結ぶ線を基準線として、亜鉛板を載置した中央部の亜鉛層と試験片との界面と、前記基準線との間の最大距離をえぐれ深さとした。亜鉛に対する耐久性がある金属または合金では、図1(a)および図1(b)に示す試験後の断面の模式図の様に、それぞれ載置した亜鉛板が溶融凝固しただけ、および亜鉛による試験片表面のえぐれは僅か、である。一方、亜鉛に対する耐久性がない金属または合金では、図1(c)に示す試験後の断面の模式図の様に、溶融した亜鉛に大きく侵食されることによるえぐれ、および亜鉛と金属との反応層がみられる。
亜鉛に対する耐久性を評価した結果を表1に示す。ケース1−1〜1−3は、周期律表VIa族元素であるCr、Mo、W、ケース1−4〜1−6は、周期律表Va族元素であるV、Nb、Ta、ケース1−7〜1−9は、周期律表IVa族であるTi、Zr、Hfであり、亜鉛との反応は、全く無いか、僅かであり、えぐれ深さも小さかった。ケース1−10およびケース1−11は合金の例で、それぞれ、VIa族−IVa族合金であるTZM(Mo−0.5%Ti−0.07%Zr)およびIVa族合金であるMoly B60(Mo70%−W30%)であり、亜鉛との反応は殆ど無く、えぐれ深さも小さかった。一方、ケース1−12〜1−15は、上記以外の金属であり、金属板と亜鉛とが反応して界面に反応層を形成しており、さらにえぐれ深さも大きかった。これらの結果から、亜鉛に対し、耐久性のある金属は、周期律表VIa族元素、周期律表Va族元素、周期律表IVa族元素およびこれらの合金であることを確認した。ここで、コールドスプレーで使用する合金粉末については、周期律表VIa族元素(Cr、Mo、W)、周期律表Va族(V、Nb、Ta)および周期律表IVa族(Ti、Zr、Hf)よりなる群から選択される少なくとも一種以上の元素を含有し、残りが不可避不純物よりなる金属であれば、その合金での粉末が製造できる範囲で、前記群のいかなる組み合わせおよびいかなる組成のものでも構わない。
Figure 2008018455
耐亜鉛性の金属皮膜の気孔率は、1.5%以下とする必要がある。これは、気孔率が1.5%より大きいと、表面から基材まで気孔が繋がった、いわゆる貫通気孔が発生する危険性があり、気孔を通じて該金属皮膜と基材との間に亜鉛が侵入し、該金属皮膜を剥離させる危険性がある。一方、気孔率が1.5%以下であれば、貫通気孔が発生することはまず無いため、亜鉛が該金属皮膜と基材の間に侵入せず、該金属皮膜の剥離は発生しない。気孔率は、コールドスプレー法により形成した金属皮膜を厚み方向に切断し、埋め込み研摩を行った断面観察用試験片を、走査型電子顕微鏡を用い、倍率1000で、金属皮膜中の10箇所の任意の場所を,例えば、10.2mm×13.1mmの大きさのインスタントフィルムなどに写真撮影し、それぞれの写真から気孔部分の面積率を求め、これらを平均することで算出できる。
耐亜鉛性の金属皮膜の伸びは4.0%以上が必要である。鋳型、特にメニスカス部は、湯面変動やチャージ間での鋳型の温度変化により大きな熱サイクルが作用する。この熱サイクルによってクラックが発生すると、クラックから侵入する亜鉛によって皮膜剥離が発生するため、鋳型の使用中にクラックが発生しないようにする必要がある。一般に、熱サイクルによるクラック発生確率と材料の伸びには相関があり、伸びが4%未満の材料であると、容易にクラックが発生する。コールドスプレーによる金属皮膜の伸びは、以下のように測定することができる。すなわち、厚み5mm、標点距離70mm、平行部の長さ80mmの引っ張り試験片(JIS Z 2201−1980、6号試験片に準拠)をCr;1.2質量%、Zr;0.2質量%、Al;0.3質量%を含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金で作製し、この引っ張り試験片の平行部の片面にコールドスプレーによる金属皮膜を付与し、この試験片を汎用の引っ張り試験機に取り付けて引っ張り試験を行い、金属皮膜に最初のクラックが発生するまでの伸びを計測することで求めることができる。
コールドスプレーによる金属皮膜と基材との密着強度は35MPa以上が必要である。これは、鋳型のメニスカス高さを含む範囲は、湯面変動やチャージ間で熱サイクルが発生するため、密着強度が35MPaより小さいと、剥離の危険性が高まるからである。密着強度の測定は、以下のように行うとよい。すなわち、鋳型と同じ材質で、直径25mmφ、高さ75mmの円柱状試験片の一方の底面に、アルミナグリッドを用いたブラスト処理による粗面化を行い、該ブラスト処理面に、コールドスプレー法により、厚さ0.2mmの金属皮膜を形成する。金属皮膜を形成した試験片の皮膜面と、皮膜を形成していない別の試験片の底面とを相対するように、エポキシ系接着剤で接着した引っ張り試験体を作製し、これを通常の引っ張り試験機に取り付け、軸方向に平行に引っ張り試験を行い、試験体が破断する荷重を測定する。引っ張り強度にはばらつきがあるため、少なくとも5体以上の引っ張り試験を行って、その平均を密着強度とすればよい。
耐亜鉛性の金属皮膜の厚みとしては、0.02mm以上が必要である。これは、コールドスプレー法による皮膜の形成過程は、粉末を基板に衝突・変形させて堆積する方法であるため、0.02mmより小さい厚みでは、堆積した粉末の重なりが少なく、緻密性に劣る危険性がある。金属皮膜の緻密性を確保し、溶鋼からの抜熱を妨げないための、より好ましい厚みの下限は、0.05mmである。一方、厚みの上限については、メニスカス部に付与する皮膜が厚くなりすぎると溶鋼からの抜熱が低下し、溶融金属の凝固が遅れることから、0.2mm以下とする必要がある。
これらの亜鉛に対して耐久性をもつ金属皮膜を鋳型表面に付与する方法として、コールドスプレー法に着目した。コールドスプレー法は、技術文献である「溶射技術」vol.21−No.3,p29−p38(信州大学 榊 和彦)の「コールドスプレーテクノロジー」に記載されている様に、粉末が溶融しない温度、代表的には200℃から600℃に加熱した超音速ガス中に粉末を投入し、超音速ガス中で、粉末を加速および加熱し、主に粉末のもつ運動エネルギーによる衝突・高速変形によって基板に粉末を堆積させて皮膜を形成するものである。同じ様に粉末を原料とした皮膜形成方法であるガス溶射法、プラズマ溶射法、高速フレーム溶射法などの従来の溶射法では、高温の媒体中で、粉末を加熱・溶融させて、被処理物上に皮膜を形成するのに対し、コールドスプレー法は全く異なる原理で皮膜を形成するもので、粉末を溶融させずに被処理物上に皮膜を形成する方法であり、粉末が酸化・変質する機会が減少するため、清浄で緻密な皮膜が形成できるという特徴を有する。
従来の溶射法の中でも、減圧プラズマ溶射法を用いると、清浄で緻密な皮膜が形成できるが、高品質の皮膜を形成するためには、基材を600℃以上の温度に加熱する必要があるため、基材の劣化が問題であり、更に、真空チャンバーを必要とすることから、設備費及びランニングコストが高いという問題がある。また、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などの気相めっき法では、清浄で緻密な金属皮膜が形成できるが、皮膜の形成速度が1時間当たり数μm程度と小さいため、数十μm以上の皮膜を形成する方法として、現実的でないこと、更に、真空チャンバーを必要とすることから、設備費およびランニングコストが高いという問題がある。
次に、前述した耐亜鉛性の金属皮膜を作製するためのコールドスプレー条件について述べる。
まず、コールドスプレー法による金属皮膜の密着機構は、主に基板へのアンカーリングであることから、該金属皮膜を形成する領域は、ブラスト処理による粗面化を行う必要がある。
コールドスプレー法に使用するガスとしては、原料粉末の清浄度を保つために、酸素を含まないガスを使用する必要があり、アルゴン、ヘリウム、窒素、またはこれらの混合ガスが好適である。
使用するガスの温度としては、200℃以上、800℃以下が好ましい。ガス温度が200℃未満であると、粉末の加熱が不十分で、皮膜の緻密性および粉末の付着効率が落ちることがあるからである。一方、800℃以下としたのは、ガス温度が高くなると、粉末加熱には有効であるが、ガスを加熱するための設備が大掛かりなものとなり、経済的でないからである。また、より好ましくは400℃〜600℃である。
稼動ガスのノズル入り口でのガス圧力は、皮膜の密着強度として35MPa以上を確保するために3MPaより高い圧力が必要である。これはガス圧力が3MPa以下であると、コールドスプレーノズル内の圧力が小さく、十分なガス速度が得られず、粉末の加速が不十分となるために、皮膜の密着力、緻密性および粉末の付着効率が低下するためである。一方、ガス圧力の上限は特にないが、あまり大きくなると、配管を含め、設備の耐圧を大きくしなければならず、設備が大掛かりになることから、8MPa程度までが適当である。また、より好ましくは3MPaより高く、6MPa以下である。
本発明で使用する金属粉末の粒径は、1μm以上、50μm以下が望ましい。これは、粒径が1μm未満の粉末は、凝集しやすいため、安定な粉末供給が困難であるための下限であり、一方、50μm以下とするのは、コールドスプレー法は粉末を溶融させないで衝突による変形で成膜するプロセスであり、粒径が50μmより大きいと粉末の加速が不十分で、粉末の付着効率が低下するのみならず、安定した成膜が困難になることによる。より好ましくは、10μm〜30μmである。使用する金属粉末は、アトマイズ法やインゴット粉砕法などで作製し、上記粒径の範囲内に入るように分級したものを使用することができ、また粒径が0.01μm〜1μmの一次粒子を適当な大きさの粒子に凝集させ、これを焼成し、上記粒径の範囲内に入るように分級することで作製される造粒粉を用いることも出来る。
このようにコールドスプレー法によって形成した金属皮膜は、低硬度で延性を有するため、形成ままの状態でも十分使用できる。
本発明の鋳型の表面には、コールドスプレー法による金属皮膜の形成前に、Co、Niの一種または二種の元素および不可避不純物よりなる金属の下地層を形成することが好ましい。この理由は、銅および銅合金の熱膨張係数が約17×10-6/℃であるのに対し、耐亜鉛性の金属の熱膨張係数は5〜9×10-6/℃と小さく、その中間の熱膨張係数(12〜14×10-6/℃)を有する、Co、Niの一種または二種の元素および不可避不純物よりなる金属の下地層を介在させることで、熱サイクル時の熱膨張差によるクラック発生及び剥離の危険性を低減させることが出来、更に耐亜鉛性の金属皮膜が形成されていない部分、即ち鋳型の高さ方向での中間部及び下端部での耐摩耗性及び耐食性を付与することができるためである。ここで、CoとNiおよび不可避不純物からなる合金におけるCoとNiの比率は、いかなる比率のものでも良い。
コールドスプレー法による耐亜鉛性の金属皮膜を形成する部分の、Co、Niの一種または二種の元素および不可避不純物よりなる金属の下地層の厚みは、0.05mm以上0.2mm以下が好ましい。コールドスプレー法による金属皮膜の密着機構は、主に基板へのアンカーリングであることから、下地層についても、該金属皮膜を形成する領域は、ブラスト処理による粗面化を行う必要がある。Co、Niの一種または二種の元素および不可避不純物よりなる金属の下地層の厚みを0.05mm以上としたのは、ブラスト処理を行うと、下地層膜厚が薄くなる部分が出てくるため、ブラスト処理を行っても下地層皮膜が残存するためには、最低0.05mmが必要なためである。また、コールドスプレーによる耐亜鉛性の金属皮膜を形成する領域は、メニスカスを含む範囲であり、溶融金属からの抜熱を大きくしたい部分であることから、この部分に厚い下地層を設けることは、鋳片の凝固上好ましくない。よって、下地層厚みの上限としては、0.2mm以下が望ましい。尚、ブラスト処理については、通常の溶射法で使用する設備およびブラスト条件と同じで良い。
鋳型内面において、コールドスプレー法による耐亜鉛性の金属皮膜が形成されていない領域、即ち鋳型の高さ方向での中間部及び下端部については、耐摩耗性及び耐食性に劣る銅または銅合金の保護のため、0.5mm以上の厚みの、Co、Niの一種または二種の元素および不可避不純物よりなる金属の皮膜を形成することが好ましく、また鋳型中間部から下端部にかけて、徐々に皮膜厚みが増加するテーパ構造は、更に好ましい。Co、Niの一種または二種の元素および不可避不純物よりなる金属の下地層の形成方法には、特に制限はなく、硫酸浴、塩化物浴、スルファミン酸浴などを用いる通常の湿式めっき法を用いても良いし、またコールドスプレー法を用いて形成しても良い。ただし、コールドスプレー法で下地層を形成させる場合もその前にブラスト処理による粗面化を行なうことが望ましい。
コールドスプレー法によって形成した金属皮膜は、低硬度で延性を有するため、形成ままの状態でも十分使用できるが、これを更に200℃以上500℃以下の温度範囲のいずれかで、1時間〜5時間の熱処理を行うと、皮膜の延性が著しく改良され、好適である。熱処理温度が200℃未満では、形成ままの状態と変わらないため、熱処理する意味がなく、一方500℃より高い温度では、鋳型本体の銅合金が変質してしまう。また、熱処理時間が1時間未満であると、熱処理の効果が顕著に得られず、また5時間より長く熱処理を行っても、熱処理効果が飽和する。
1チャージ当たり8トンの溶鋼を鋳造する連続鋳造機により、鋳型メニスカス部の損傷を評価した。Cr;1.2質量%、Zr;0.2質量%、Al;0.3質量%を含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金製の鋳型の寸法は、長辺の幅400mm、短辺の幅100mm、高さ900mmである。ここで使用した溶鋼は通常の溶銑に投入されるスクラップから混入するときより多めに亜鉛を添加し、Zn;0.05質量%とした。
本発明例として、長辺及び短辺の内面全面に、厚さ0.1mmのCo−10%Niめっきを設け、さらにその上に、上端から300mm位置(メニスカス位置は上端より80mm)までの全面に、アルミナグリッドによるブラスト処理を行った後、コールドスプレー法によって、表2のケース2−1〜ケース2−14に示すような種々の金属皮膜を形成した鋳型を作製した。ここで、ケース2−12については、銅合金の上端から300mm位置までの範囲に、Co−10%Niめっきを設けず、そのまま金属皮膜を形成した。コールドスプレー装置は、前記技術文献に記載されたものと同様の装置を用い、稼動ガス:ヘリウム、ノズル入り口のガス圧力:3.5MPaまたは6MPa、ガス温度:600℃または400℃、ヘリウムガス流量:1m3/minの条件で、粉末粒径:10μm〜44μmの金属粉末を、4kg/hの供給量でノズル内に供給し、ノズルと銅板間の距離を20mmの一定に保ったまま、ノズルをトラバースさせることによって、前記長辺および短辺の上端から300mm位置までの全面に、膜厚0.05mmの種々の金属皮膜を設けた鋳型を作製した。使用した金属粉末は、合金皮膜を除き、純金属であり、公称99.0%以上の純度のものを使用した。但し、ZrおよびHfについては、それぞれ、2%程度のHfおよび3%程度のZrを含んでいる。ケース2−14については、コールドスプレーでCr皮膜を形成した後、400℃、2時間の熱処理を行ったものである。
比較例として、表2のケース2−15およびケース2−16に示すように、NiおよびCoの皮膜を、上記本発明例で示す条件と同じ条件で形成した鋳型を作製した。別の比較例として、表2のケース2−17〜2−19に示すように、コールドスプレー条件を変えたCr皮膜を形成した鋳型を作製した。ケース2−17は、ノズル入り口のガス圧力を3MPaとしたこと以外は、上記本発明例で示す条件と同じ条件であり、また、ケース2−18は、ガス温度を150℃としたこと以外は、上記本発明例で示す条件と同じである。ケース2−19は、ノズル入り口のガス圧力を3MPaとし、且つガス温度を150℃とした条件である。
さらに別の比較例として、また従来から用いられている湿式めっき法による皮膜を形成した鋳型を作製した。長辺及び短辺の内面全面に、厚さ0.1mmのCo−10%Niめっきを、更にその上に、上端から300mm位置までの全面に、0.05mm厚みの工業用Crめっきを設けた鋳型(ケース2−20)、長辺及び短辺の内面全面に、厚さ0.1mmのCo−10%Niめっきを設けた鋳型(ケース2−21)、および長辺及び短辺の内面全面に、厚さ0.1mmのNiめっきを設けた鋳型(ケース2−22)である。
表2に示す金属皮膜の気孔率は、50mm角で、厚みが10mmのCr;1.2質量%、Zr;0.2質量%、Al;0.3質量%を含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金の基板に、厚さ0.1mmのCo−10%Niめっきを設けた試験片を作製し、これに鋳型に形成する条件と同じ条件で金属皮膜を形成したサンプルを用いて測定した。このサンプルを幅中央で切断して樹脂に埋め込み、切断面を研摩することによって断面観察試験片を作製し、走査型電子顕微鏡により、倍率1000で金属皮膜の断面の10視野を写真撮影し、写真から金属皮膜の気孔率を求めた。比較例の湿式めっき試験片についても、同様な方法で測定した。
金属皮膜の伸びは、厚み5mm、標点距離70mm、平行部の長さ80mmの引っ張り試験片(JIS Z 2201−1980、6号試験片に準拠)をCr;1.2質量%、Zr;0.2質量%、Al;0.3質量%を含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金で作製し、この引っ張り試験片平行部の片面に鋳型に形成する条件と同じ条件で金属皮膜を付与した。金属皮膜を付与した引っ張り試験片を、汎用の引っ張り試験装置に取り付け、0.1mm/sの引っ張り速度で引っ張り試験を行い、金属皮膜に最初のクラックが発生するまでの伸びを計測した。比較例の湿式めっき試験片についても、同様な方法で測定した。
また、密着強度は、次のように測定した。すなわち、直径25mmφ、高さ75mmのCr;1.2質量%、Zr;0.2質量%、Al;0.3質量%を含有し、残部が銅及び不可避的不純物からなる銅合金製円柱状試験片の一方の底面に、厚さ0.1mmのCo−10%Niめっきを設けた後に、該めっき面をアルミナグリッドを用いたブラスト処理による粗面化を行い、該ブラスト処理面に、コールドスプレー法により、厚さ0.2mmの金属皮膜を形成した。金属皮膜を形成した試験片の皮膜面と、皮膜を形成していない別の銅合金製円柱状試験片の底面とを相対するように、エポキシ系接着剤で接着した引っ張り試験体を5体作製し、これを汎用の引っ張り試験機に取り付け、軸方向に平行に引っ張り試験を行い、それぞれの試験体が破断する荷重を測定し、これを平均することで密着強度を求めた。なお、この測定法では、エポキシ系接着剤の接着強度である90MPa以上の密着強度の測定はできない。比較例の湿式めっき試験片についても、同様な方法で測定した。湿式めっき試験片の場合、密着強度がエポキシ系接着剤の接着強度である90MPa以上であったため、めっき皮膜の密着強度は測定できていない。
表2に示す鋳型を用い、上記鋳造機にて、それぞれ20チャージの鋳造試験を実施した後、鋳型を解体し、メニスカス部の損傷状況調査を実施した。調査項目は、メニスカス部でのクラックの有無とえぐれ深さの測定である。まず、クラックの有無については、解体した鋳型の表面を高圧水で洗浄し、鋳型表面の付着物を取り除いた後、倍率100のマイクロスコープにより観察した。えぐれ深さは、鋳型の鋳造方向に平行にストレッチゲージを置き、ストレッチゲージの基準面と鋳型表面の距離をマイクロデプスゲージにより測定した。
その結果、本発明による鋳型、すなわちケース2−1乃至ケース2−14においては、金属皮膜の気孔率が1.5%以下、伸びが4.0%以上、密着強度が35MPa以上であり、20チャージの鋳造後にも、金属皮膜にクラックや剥離などの損傷は見られず、また、えぐれも無かった。ケース2−13は、コールドスプレーによる成膜後に熱処理を行った例で、皮膜の伸びが大きくなっており、この例でも、20チャージの鋳造後にも、金属皮膜にクラックや剥離などの損傷は見られず、また、えぐれも無かった。本発明の鋳型においては、図2(a)に示す様に、メニスカスを含む範囲に付与した金属皮膜が溶鋼に含まれる亜鉛に対するバリアとして機能したことがわかる。これに対し、比較例であるケース2−15およびケース2−16の鋳型においては、気孔率が1.5%以下、伸びが4.0%以上、密着強度が35MPa以上であり、20チャージの鋳造後にもクラックや剥離は見られなかったが、図2(b)に示す様にメニスカス近傍にえぐれが見られ、その深さはそれぞれ28μmおよび15μmであった。比較例であるケース2−17の鋳型においては、気孔率が1.2%、伸びが4.1%であったが、密着強度が30MPaであり、20チャージの鋳造後には、Cr皮膜の全面剥離が発生した。またケース2−18およびケース2−19の鋳型においては、それぞれ気孔率が1.9%および2.5%、伸びが2.4%および1.8%、密着強度が25MPaおよび18MPaであり、20チャージの鋳造後には、Cr皮膜の全面剥離が発生した。これらの鋳型では、図2(c)に示す様に、気孔や使用中に発生したクラックから侵入した亜鉛により、金属皮膜が剥離したものである。湿式めっき法による皮膜の比較例であるケース2−20の鋳型においては、マクロなえぐれは殆ど見られなかったが、Crめっきに多数のクラックおよび部分的な剥離が見られ、剥離部分に局所的なえぐれがみられた。また、ケース2−21の鋳型においては、Co−10%Niめっきに10μmのえぐれ、および少数のクラックが見られた。また同様に、ケース2−22の鋳型においては、Niめっきにクラックは見られなかったが、30μmのえぐれが見られた。
Figure 2008018455
本発明は、亜鉛を不純物として含む鉄鋼材料の連続鋳造用鋳型に適用できる。
金属または合金の、亜鉛に対する耐久性を試験した結果を示す模式図であり、(a)および(b)は耐亜鉛性の金属または合金の例であり、(c)は耐亜鉛性がない金属または合金の例である。 使用中の鋳型メニスカス部での亜鉛による損傷状況を示す模式図であり、(a)は本発明の金属皮膜を付与した鋳型のメニスカス部の模式図、(b)は比較例の、耐亜鉛性がない金属皮膜を付与した鋳型のメニスカス部の模式図、(c)は比較例の、耐亜鉛性はあるが、気孔率、伸びまたは密着強度が本発明の範囲から外れた金属皮膜を付与した鋳型のメニスカス部の模式図である。
符号の説明
1・・・金属または合金の試験片
2・・・亜鉛板
3・・・金属または合金と亜鉛との反応層
4・・・鋳型の銅板
5・・・Co−Ni合金の下地層
6・・・金属皮膜
7・・・溶鋼
8・・・鋳型メニスカス部に付着した亜鉛

Claims (6)

  1. 銅または銅合金よりなる連続鋳造用鋳型において、鋳型内側表面の少なくとも鋳型上端から高さ300mmまでの範囲に、周期律表VIa族元素(Cr、Mo、W)、周期律表Va族(V、Nb、Ta)および周期律表IVa族(Ti、Zr、Hf)よりなる群から選択される少なくとも一種以上の元素並びに不可避不純物よりなる金属の皮膜を有し、前記皮膜が、気孔率1.5%以下、伸び4.0%以上、基材との密着強度が35MPa以上、且つ厚みが0.02〜0.2mmであることを特徴とする鉄鋼材料の連続鋳造用鋳型。
  2. 前記皮膜の下地層として、Co、Niの一種または二種の元素および不可避不純物よりなる金属層を有することを特徴とする請求項1に記載の鉄鋼材料の連続鋳造用鋳型。
  3. 銅又は銅合金よりなる連続鋳造用鋳型の製造方法において、鋳型内側の少なくとも鋳型上端から高さ300mmまでの範囲をブラスト処理した後、周期律表VIa族元素(Cr、Mo、W)、周期律表Va族(V、Nb、Ta)および周期律表IVa族(Ti、Zr、Hf)よりなる群から選択される少なくとも一種以上の元素並びに不可避不純物よりなる金属粉末を用いて、稼動ガスをヘリウム、アルゴン、窒素またはこれらの混合ガスとし、ノズル入り口の稼動ガス圧力が3MPaより高い圧力、ノズル入り口の稼動ガス温度が200℃以上800℃以下の条件で前記ブラスト処理した面にコールドスプレーを行うことで、気孔率1.5%以下、伸び4.0%以上、基材との密着強度が35MPa以上、且つ厚みが0.02〜0.2mmである金属皮膜を形成することを特徴とする連続鋳造用鋳型の製造方法。
  4. 前記コールドスプレーで使用する金属粉末の粒径が、1μm以上、50μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の連続鋳造用鋳型の製造方法。
  5. 前記ブラスト処理の前に、鋳型の内側にCo、Niの一種または二種の元素および不可避不純物よりなる金属の下地層を設けることを特徴とする請求項3または4に記載の連続鋳造用鋳型の製造方法。
  6. 前記コールドスプレーにより金属皮膜を形成した後、200℃以上500℃以下の温度で、1時間以上5時間以内の熱処理を行うことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の連続鋳造用鋳型の製造方法。
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