JP5492588B2 - クランプ装置 - Google Patents

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本発明は、例えば板状の部材を被把持部材として挟み込むために使用されるクランプ装置に関するものである。
従来、被把持部材を挟み込むクランプ装置としては、例えば特許文献1〜3に開示されているように種々のものが提案されている。
特許文献1におけるクランプ装置は、対向する保持部が一体的に設けられたクランプ本体と、各保持部に設けられたネジ部と、ネジ部先端に設けられた押え体とを備えた構成とされており、ネジ部を捩じ込んで各押え体を被把持部材に当接させることで該被把持部材を把持することとしている。
また、特許文献2におけるクランプ装置は、把持凹部が設けられた把持部と、把持部から距離を置いて他端側に開口する開閉部を有する操作部と、操作部と螺合して開閉部を貫通する操作ネジとを備えた構成とされており、操作ネジによって開閉部の間隔を広げて把持凹部の間隔を狭めることで、該把持凹部によって被把持部材をクランプするようになっている。
さらに、特許文献3におけるクランプ装置は、基板の両端に設けられた一対の湾曲板と、これら湾曲板の先端に設けた挟圧板と、基板の中央にネジを介して取り付けられた板バネと、基板の下側に吊り下げられ、下端に当板を有するコイルスプリングとを備えた構成とされている。このクランプ装置においては、板バネの付勢力によって一対の湾曲板の先端が閉じることで被把持部材をその両側から把持し、併せて、被把持部にコイルスプリングの当板が上方から当接するようになっている。
特開平8−206965号公報 特開2009−66705号公報 実開昭53−155560号公報
ところで、上記のような従来のクランプ装置においては、いずれも被把持部材に対して局所的な圧縮力が及ぶ場合があり、例えば、複数の板部材を同時に挟み込んで一体化を図る場合、これら板部材の一体性を保てないおそれがあるため、長期的な支持の信頼性に欠けるという問題があった
さらに、従来のクランプ装置は、その構成上、機構自体のコンパクト化を図ることが容易ではなく、狭いスペースにおいて施工することが困難であるという問題があった。
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、被把持部を強固に把持することができるとともに、施工性の向上を図ることが可能なクランプ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係るクランプ装置は、対向配置され、先端側が互いに離間する方向に屈曲可能とされるとともに屈曲した際に互いに近接する方向に向かって復元力を生じる一対の把持板と、これら一対の把持板の前記先端側における対向面にそれぞれ設けられ、前記把持板の基端側から前記先端側に向かうに従って前記対向面から離間する方向に漸次傾斜する挟圧面を有する挟圧部材と、前記一対の把持板の前記基端側における対向距離を調整する調整部材と、を備え、前記把持板に、前記先端側を前記基端側に対して屈曲させるための折曲溝が形成されていることを特徴とする。
このようなクランプ装置を使用する際には、一対の挟圧部材の間に例えば板状の被把持部材を挿入した状態で、調整部材を操作して把持板の対向距離を狭めていく。すると、一対の把持板の先端側が互いに離間する方向に屈曲しながら、挟圧部材の挟圧面が被把持部材にそれぞれに追従するように当接していく。この際、一対の把持板の先端側においては元の位置に戻ろうとする復元力が作用するため、該復元力によって被把持部材の両側から挟圧部材の挟圧面を面全体にわたって接触させて、被把持部材をクランプすることができる。
一方、対向配置された一対の把持板の間に挟圧部材を設けた構成のため、クランプ装置の占有スペースはこれら一対の把持板の形状に委ねられる。したがって、把持板の寸法を適宜設定することで、容易にクランプ装置自体のコンパクト化を図ることが可能となる。
また、本発明に係るクランプ装置においては、前記把持板に、前記先端側を前記基端側に対して屈曲させるための折曲溝が形成されていることを特徴とする。
これにより、調整部材によって把持板の対向距離を狭めて挟圧部材が被把持部材に接触した際に、把持板の先端側を容易に屈曲させることができるとともに、屈曲した際に互いに近接する方向に向かって復元力が生じる構成を実現することができる。したがって、挟圧部材の挟圧面を速やかかつ確実に被把持部材に対して接触させることが可能となる。
さらに、本発明に係るクランプ装置においては、前記挟圧部材の前記挟圧面に、凹凸形状が形成されていることが好ましい。
これにより、挟圧部材の挟圧面と被把持部材との接触時の摩擦抵抗を増大させ、一対の挟圧面による被把持部の保持力を向上させることができる。なお、凹凸形状としては、挟圧面の全体に多数の円錐状や角錐状をなす凸部を設けた構成の他、多数のドット形状の凸部を設けた構成が挙げられる。
また、本発明に係るクランプ装置は、対向配置され、先端側が互いに離間する方向に屈曲可能とされるとともに屈曲した際に互いに近接する方向に向かって復元力を生じる一対の把持板と、これら一対の把持板の前記先端側における対向面にそれぞれ設けられ、前記把持板の基端側から前記先端側に向かうに従って前記対向面から離間する方向に漸次傾斜する挟圧面を有する挟圧部材と、前記一対の把持板の前記基端側における対向距離を調整する調整部材と、を備え、前記一対の把持板の間に、これら把持板の基端側における前記対向面に接触可能なスペーサーが設けられたことを特徴とする。
ここで、調整部材による一対の把持板の対向距離が狭小となり過ぎてクランプ装置による挟み込み量が過剰となった場合、挟圧部材の挟圧面が被把持部材に面全体で接触されず圧縮力が伝達されにくくなる場合が想定される。
この点、上記スペーサーを設けたことで、一対の把持部の対向距離を所定の値だけ確保することができるため、クランプ装置による挟み込み量が過剰となってしまうのを回避することが可能となる
さらに、本発明に係るクランプ装置においては、前記調整部材が、前記一対の把持板の基端側においてこれら一対の把持板を挿通するボルトと、該ボルトに螺合されたナットとから構成されていることを特徴とする。
これにより、簡易な構成でもって一対の把持部材の対向距離を確実に調整することができる。したがって、クランプ装置の小型化及び量産化を容易に図ることができ、さらに、狭いスペースであっても容易に施工することが可能となる。
本発明のクランプ装置によれば、被把持部材の両側から挟圧部材の挟圧面を面全体にわたって接触させることができるため、被把持部を強固に把持することが可能となる。また、クランプ装置自体のコンパクト化を図ることができるため、施工性を向上させることが可能となる。
実施形態に係るクランプ装置により被把持部材を把持した状態を示す側面図である。 実施形態に係るクランプ装置により被把持部材を把持する前の状態を示す側面図である。 図1のX方向矢視図である。 変形例に係るクランプ装置により被把持部材を把持した状態を示す側面図である。
以下、本発明に係るクランプ装置の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
実施形態に係るクランプ装置10は、図1に示すように、板状をなす一対の被把持部材A,Bを、その板面同士を接触させた状態で保持して、これら被把持部材A,Bを一体化させる際に使用される。
クランプ装置10は、図1から図3に示すように、一対の把持板22,22を有するクランプ本体20と、各把持板22,22に設けられた挟圧部材30,30と、上記把持板22,22の対向距離を調整する調整部材40とを備えた構成とされている。
クランプ本体20は、金属や木材等のある程度剛性の高い材料から構成されており、略矩形板状をなす一対の把持板22,22が、その長手方向全域にわたって、即ち、その基端側(図1〜図3における上側)から先端側(図1〜図3における下側)の全域にわたって、互いに対向した状態で配置されている。また、これら一対の把持板22,22の基端側の端部は、接続部21によって接続されている。即ち、クランプ本体20は、一枚の板材を折り曲げることにより、一方の把持板22,接続部21及び他方の把持板22が順次連続した一体物として構成されている。
把持板22,22は、それぞれ互いに向き合った面が対向面22aとされており、該対向面22a,22aの反対側の面が、外面22bとされている。これら把持板22,22のそれぞれにおける外面22bにおける長手方向中央付近には、該長手方向に直交する幅方向に延在し、該延在方向に直交する断面視においてV字状をなすノッチ(折曲溝)22cが形成されている。
また、各把持板22,22においては、上記ノッチ22cよりも基端側の部分が固定板部23とされ、ノッチ22cよりも先端側の部分が可動板部24とされている。
固定板部23,23は、互いに平行を維持した状態で配置されており、可動板部24,24は、固定板部23,23との境界となるノッチ22c,22cを折れ線として、固定板部23,23に対して各可動板部24,24自体が互いに離間する方向に屈曲可能とされている。また、このように屈曲した把持板22,22の可動板部24,24には、互い近接する方向に向かって復元力が生じるようになっている。
挟圧部材30は、一対の把持板22,22の先端側における対向面22a,22a、即ち、各可動板部24,24の内面に、例えば接着等により固定された部材であって、例えばゴム材等の軟性材料や金属等から構成されている。
この挟圧部材30は、各可動板部24,24に固定された状態において互いに対向する面が、被把持部材A,Bに対して面接触する挟圧面31,31とされている。これら挟圧面31,31は、基端側から先端側に向かうに従って漸次対向面22a,22aから離間する傾斜面とされており、即ち、この挟圧面31,31は、図2に示すように把持板22,22が屈曲されることなく平行に配置された状態において、基端側から先端側に向かうに従って互いに近接していくように傾斜する傾斜面とされているのである。
また、この挟圧部材30,30それぞれの挟圧面31には、その全域にわたって凹凸形状が形成されている。この凹凸形状としては、例えば挟圧面31の全域に多数の円錐状や角錐状をなす凸部を設けた構成であってもよいし、多数のドット形状の凸部を設けた構成であってもよい。
調整部材40は、ボルト41、ナット42、ワッシャー43及びスペーサー44から構成されている。
ボルト41は、ボルト頭部41aと該ボルト頭部41aから延びて外周面に雄ネジを備えたボルトネジ部41bとを備えており、該ボルトネジ部41bは、各把持板22,22の固定板部23,23をその板厚方向に貫通して形成されたボルト挿通孔(図示省略)に、一方の把持板22(図1及び図2における右側の把持板22)の外面22b側から他方の把持板22(図1及び図2における左側の把持板22)の外面22b側に向かって突き出るように挿通されている。
また、この状態において、ボルト頭部41aと一方の把持板22の外面22bとの間には、ワッシャー43が介在させられており、これによって、ボルト頭部41aが一方の把持板22の外面22bにめり込むことを回避するとともに、ボルト頭部41aの座面の摩擦力を保持できるようになっている。
さらに、上記スペーサー44は、例えばゴム材等の弾性材料あるいは硬質ゴムや金属等の硬質材料から形成されたリング状をなしており、一対の把持板22,22の間、即ち固定板部23,23の間においてボルトネジ部41bに外嵌されている。このスペーサー44はその両端面が、一対の把持板22,22の対向面22aにそれぞれ当接可能な当接面44a,44aとされており、この当接面44a,44a間の寸法は、被把持部材A,Bの厚みに応じて設定されている。
ボルトネジ部41bは、ワッシャー43、一方の把持板22のボルト挿通孔、スペーサー44及び他方の把持板22のボルト挿通孔に順次挿通されており、さらに、該ボルトネジ部41bにおける他方の把持板22の外面22b側から突き出た部分にナット42が螺合されることで、調整部材40が構成されているのである。
次に、以上のような構成のクランプ装置10によって被把持部材A,Bを把持する手順について説明する。まず、板状をなす一対の被把持部材A,Bを、その板面同士を接触させた状態とし、これら被把持部材A,Bをクランプ装置10の一対の挟圧面31,31の間に位置させる。この際、一対の把持板22は屈曲されておらず、互いに平行をなした状態とされている。
次に、ボルト41とナット42とを相対回転させて、ボルト頭部41aとナット42と近接させる。これにより、ボルト頭部41aがワッシャー43を介して一方の把持板22の外面22bを押圧するとともに、ナット42が他方の把持板22の外面22bを押圧し、これら一対の把持板22,22における固定板部23,23の対向距離が徐々に狭められていく。
すると、図2に示すように、挟圧部材30,30の先端側の部分が被把持部材A,Bに接触する。そして、さらに一対の固定板部23,23の対向距離を狭めていくと、把持板22,22の挟圧面31,31が傾斜していることから、可動板部24,24が互いに離間する方向に屈曲しながら、挟圧部材30,30の挟圧面31,31が被把持部材A,Bの形状に追従するようにして先端側から基端側に向けて順次当接していく。
そして、挟圧面31,31がその全面にわたって被把持部材A,Bに接触した後に、把持板22,22の対向面22a,22aがスペーサー44,44の当接面44a,44aに当接する。また、この際には、可動板部24,24には互いに近接する方向に向かっての復元力が生じており、この復元力によって挟圧部材30,30は被把持部材A,Bに対して押圧される。
以上の手順によって、クランプ装置10による被把持部材A,Bの把持が完了し、被把持部材A,Bが一体的に保持される。
以上のように、本実施形態に係るクランプ装置10においては、一対の把持板22,22の対向面22a,22aに設けられた挟圧部材30,30の挟圧面31,31が、その全面にわたって被把持部材A,Bに接触する構成のため、被把持部材A,Bを強固に把持することができる。
また、対向配置された一対の把持板22,22の間に挟圧部材30,30を設けた構成のため、クランプ装置10の占有スペースは、一対の把持板22,22の形状に委ねられる。したがって、これら把持板22,22の寸法を適宜設定することで、容易にクランプ装置10自体のコンパクト化を図ることができる。
また、各把持板22,22にノッチ22c,22cが形成されているため、把持板22,22の先端側の部分である可動板部24,24を容易に屈曲させることができるとともに、可動板部24,24に互いに近接する方向に向かっての復元力を発生させることができる。したがって、挟圧部材30の挟圧面31全体を速やかかつ確実に被把持部材A,Bに対して接触させることが可能となる。
さらに、挟圧部材30,30の挟圧面31,31に凹凸形状が形成されているため、挟圧部材30,30の挟圧面31,31と被把持部材A,Bとの接触時の摩擦抵抗を増大させ、一対の挟圧面31,31による被把持部材A,Bの保持力をより向上させることができる。
また、一対の把持板22,22の固定板部23,23の間にスペーサー44が設けられているため、一対の挟圧部材30,30による挟み込み量が過剰となることはなく、したがって、挟圧部材30,30の挟圧面31,31が被把持部材A,Bに面全体で接触されずに圧縮力が伝達されにくくなることを回避することができる。
さらに、調整部材40が、ボルト41とナット42とを用いた簡易な構成でもって一対の把持板22,22の対向距離を調整できるため、大掛かりな機構を設ける必要はない。したがって、クランプ装置10の小型化や量産化を容易に図ることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、実施形態においては、クランプ装置10によって一対の被把持部材A,Bを保持一体化させる例について説明したが、これに限定されることはなく、例えば図4に示すように、把持板22の外面22bに例えば溶接やネジ止め等によって構造物Dを固定したクランプ装置10によって被把持部材Cをクランプすることで、当該被把持部材Cと構造物Dとを連結することを目的としてクランプ装置10用いてもよい。この場合であっても、クランプ装置10により被把持部材Cを強固に把持することができるため、該被把持部材Cと構造物Dとを確実に連結することが可能となる。
また、実施形態においては、把持板22,22に断面V字状のノッチ22c,22cを折曲溝として形成し、この折曲溝を折目線として可動板部24,24を折り曲げる構成としたが、折曲溝の断面形状はV字状に限らず、例えばU字状等の他の形状であってもよい。また、この折曲溝は、把持板22,22の外面22b,22bに限られず対向面22a,22aに形成されたものであってもよい。
また、把持板22,22には、必ずしも折曲溝が形成されていなくともよく、先端側の部分である可動板部24,24が基端側の部分である固定板部23,23に対して屈曲可能とされ、当該可動板部24,24に屈曲した際に元の位置に戻ろうとする復元力が作用する部材ならば他の構成であってもよい。
10 クランプ装置
20 クランプ本体
21 接続部
22 把持板
22a 対向面
22b 外面
22c ノッチ(折曲溝)
23 固定板部
24 可動板部
30 挟圧部材
31 挟圧面
40 調整部材
41 ボルト
41a ボルト頭部
41b ボルトネジ部
42 ナット
43 ワッシャー
44 スペーサー
44a 当接面

Claims (4)

  1. 対向配置され、先端側が互いに離間する方向に屈曲可能とされるとともに屈曲した際に互いに近接する方向に向かって復元力を生じる一対の把持板と、
    これら一対の把持板の前記先端側における対向面にそれぞれ設けられ、前記把持板の基端側から前記先端側に向かうに従って前記対向面から離間する方向に漸次傾斜する挟圧面を有する挟圧部材と、
    前記一対の把持板の前記基端側における対向距離を調整する調整部材と、を備え、
    前記把持板に、前記先端側を前記基端側に対して屈曲させるための折曲溝が形成されていることを特徴とするクランプ装置。
  2. 対向配置され、先端側が互いに離間する方向に屈曲可能とされるとともに屈曲した際に互いに近接する方向に向かって復元力を生じる一対の把持板と、
    これら一対の把持板の前記先端側における対向面にそれぞれ設けられ、前記把持板の基端側から前記先端側に向かうに従って前記対向面から離間する方向に漸次傾斜する挟圧面を有する挟圧部材と、
    前記一対の把持板の前記基端側における対向距離を調整する調整部材と、を備え、
    前記一対の把持板の間に、これら把持板の基端側における前記対向面に接触可能なスペーサーが設けられたことを特徴とするクランプ装置。
  3. 前記挟圧部材の前記挟圧面に、凹凸形状が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のクランプ装置。
  4. 前記調整部材が、前記一対の把持板の基端側においてこれら一対の把持板を挿通するボルトと、該ボルトに螺合されたナットとから構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のクランプ装置。
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