JP5492339B1 - 女性用下着 - Google Patents

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Abstract

【課題】骨盤臓器脱の治療用下着として好適に使用することができる女性用下着の提供。
【解決手段】内側被覆部20は、非伸長性シート素材又は低伸長性シート素材からなる前側部21と中央部23と後側部22とを、ウエストバンド部30の前側から後側まで一連の連続シート状として延設すると共に、それらの両側の縁21c,23a,22cを、線状接合部31〜34により、外側被覆部10の前身頃部11及び股部13及び後身頃部12に一体的に接合する。前側部21と中央部23と後側部22とを、ウエストバンド部30による引き上げ力によって上方に引き上げることで、中央部23を着用者の股間部の所定の圧接範囲に圧接させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、女性の下腹部に着用される女性用下着に関し、特に、骨盤臓器脱の治療用下着として好適な女性用下着に関する。
従来、骨盤臓器脱なる疾病が知られている。この骨盤臓器脱は、骨盤の内部にある子宮、膀胱、直腸等の臓器が膣の中に落ち込み、膣壁と一緒に体外に脱出してしまう疾病であり、その症状によって、子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤等と呼ばれている。その原因は、更年期、老化、出産(特に多産、難産、巨大児出産等)、肥満、喘息等の慢性的な咳、便秘で排便の際に力む行為等があり、これらの原因により、骨盤内の臓器を支える筋肉、筋膜、靭帯等が緩んで、臓器を支持できなくなることにより、骨盤臓器脱が発症する。その主な症状は、尿失禁、排尿難、下腹部の違和感、歩行難・歩行不能等がある。また、その治療法は、ペッサリー療法があるが、このペッサリー療法は対症的なものであるため、根本的な治療法としては、外科手術により、臓器を本来の位置に戻すことが行われている。更に、その予防法として、骨盤底筋等を鍛える事である程度の予防は可能と考えられている。
ここで、かかる骨盤臓器脱の治療又は予防用の器具として、特許文献1に記載の発明が提案されている。この発明の器具は、少なくとも女性器に接触する表面が柔軟性を有する受容部材と、受容部材を支持する、受容部材に比べて相対的に剛性を有する支持部材とを備えている。受容部材は、支持部材に対して揺動又は伸縮可能である。また、受容部材は、熱硬化性エラストマーまたは熱可塑性エラストマーからなる柔軟性を有するカバーと、カバーの裏面に接するように設けられた弾性体とを有してなる。カバーの基端部は、弾性体の底面の周辺部まで当該弾性体を被覆するように、支持部材に固定されている。そして、支持部材に、カバーとにより画成される空間の空気抜き用の貫通孔が形成されている。(以上、特許文献1の特許請求の範囲の請求項1参照)
特許第5138044号公報
上記のように、特許文献1の発明の器具は、患者の女性器に接触する受容部材が柔軟性を有する材料から構成され、しかも受容部材が支持部材に対して揺動又は伸縮可能に構成されているので、痛みや違和感を解消することができる一方、受容部材を支持する支持部材は相対的に剛性を有する材料から構成されているので、女性器から外に出てこようとする骨盤内臓器を受け止めることができるとされている(0009段落)。一方、特許文献1の発明の器具は、患者の女性器に装着するにあたり、これを保持するための固定シートを使用している。即ち、固定シートを、(その図6に示すように)女性用の下着のパンツの所定位置、すなわち受容部材のカバーが骨盤内臓器の脱出部位である女性器に対向する位置に、面ファスナーまたは滑り止め機能を有する第5層で固定することで、患者の身体に対して器具を固定するようになっている(0021〜0023段落)。また、特許文献1の器具は、受容部材を骨盤内臓器の脱出部位である女性器にさらに強く密着させたいときは、(その図6及び図7に示す)保持ベルトを用いることもできるようになっている(0024段落)。
しかし、特許文献1の器具は、固定シートにより下着に装着する作業が面倒である。また、特許文献1の器具は、下着に装着した後の使用中に下着の定位置から位置ずれしないよう、面ファスナーや滑り止め機能を有する第5層を含む5層構造の固定シートが別個に必要となり、その装着作業が更に面倒となり、全体の部品点数も増加して、構成が複雑化してしまうことから、製造コストが増大する可能性がある。更に、特許文献1の器具は、固定シートで下着の定位置に固定したとしても、下着自体(特に女性器に対向する股部)が、生地の伸縮性や弾性により比較的容易に位置ずれする可能性があり、この場合、器具による本来の機能が損なわれることになる。このため、特許文献1の器具は、保持ベルトを使用して女性器に更に強く密着させるようにしていると考えられるが、この場合、固定シートを使用した器具の下着への装着作業に加え、保持ベルトの装着作業が必要となり、全体の装着作業が更に一層面倒となり、また、全体の部品点数も一層増加して、構成が一層複雑化してしまうことから、製造コストが一層増大する可能性がある。
ここで、本発明者は、子宮脱等の骨盤臓器脱により骨盤内臓器(例えば子宮)が女性器から外部に脱出するのを抑制又は防止する(或いは、骨盤内に押し戻してその状態を維持する)ために、通常の女性用下着(一般に、パンティーやショーツと呼ばれている女性用下着)自体に、子宮等の骨盤内臓器を外部から支持して骨盤内に押し戻す構成を一体化することの着想を得て、数々の試行錯誤を経て、鋭意の研究開発を重ねた結果、本発明の女性用下着に想到したものである。
即ち、本発明は、特に、骨盤臓器脱の治療用下着として好適に使用することができ、この場合において、骨盤内臓器を外部から支持して骨盤内に押し戻すための構成を女性用下着に一体化することで、特別な別個の器具を不要として下着への特別な装着作業を不要とし、使用者が通常の下着を着衣するのと同様の簡単な動作で装着作業を迅速かつ簡単に完了することができるようにすると共に、全体の部品点数を削減して全体の構成をコンパクト化することにより、通常の下着と同様の外観及び印象を使用者に与えることができ、更に、製造コストも低減することができる女性用下着の提供を課題とする。
本発明に係る女性用下着は、外側被覆部と、内側被覆部とウエストバンド部とを備える。外側被覆部は、所定の伸び率の伸縮性及び弾性を有するシート素材により、女性の下腹部の全面(即ち、ウエスト部から脚の付け根の部分までの部分の全面)を覆う前身頃部と、女性の臀部の全面を覆う後身頃部と、前記前身頃部及び前記後身頃部間に設けられて女性の股間部の全面を覆う股部とを備える所定形状に形成される。内側被覆部は、前記外側被覆部のシート素材よりも低い伸び率を有する非伸長性シート素材又は低伸長性シート素材により、女性の下腹部の左右方向中央部を覆う前側部と、女性の臀部の左右方向中央部を覆う後側部と、前記前側部及び前記後側部間に設けられて女性の股間部のうち少なくとも膣前庭を包含する範囲である圧接範囲を覆う中央部とを備える所定形状に形成される。また、内側被覆部は、前記外側被覆部の前身頃部の内面の左右方向中央部に前記前側部を配置し、前記外側被覆部の後身頃部の内面の左右方向中央部に前記後側部を配置し、前記外側被覆部の股部の内面に前記中央部を配置した積層状態で、前記外側被覆部の内面に接合される。ウエストバンド部は、前記積層状態の外側被覆部及び内側被覆部の上縁に接合される周回状をなし、着用者の腰部の所定高さ位置を弾性的に締め付けて、当該所定高さ位置に保持されることにより、前記内側被覆部の前側部及び後側部を介して前記中央部を着用者の股間部の前記圧接範囲に向かって引き上げて圧接させる。そして、前記内側被覆部は、前記非伸長性シート素材又は低伸長性シート素材からなる前記前側部と中央部と後側部とを、前記ウエストバンド部の前側の少なくとも中央部の下縁位置から後側の少なくとも中央部の下縁位置まで一連の連続シート状として延設すると共に、前記前側部及び中央部及び後側部の延設方向に沿った両側の縁を、それぞれ、それらの縁に対応する線形状の線状接合部により、前記外側被覆部の前身頃部及び股部及び後身頃部に一体的に接合することで、前記伸縮性及び弾性を有するシート素材からなる外側被覆部により、前記内側被覆部の前側部及び中央部及び後側部を左右方向両側から引っ張り状態で保持して、前記外側被覆部の前身頃部及び股部及び後身頃部の左右方向中央部に保持し、かつ、前記非伸長性シート素材又は低伸長性シート素材からなる前記一連の連続シート状の前側部と中央部と後側部とを、前記ウエストバンド部による引き上げ力によって上方に引き上げることで、前記中央部を着用者の股間部の前記圧接範囲に圧接させる。
本発明に係る女性用下着は、上記のように構成したため、骨盤臓器脱の治療用下着として好適に使用することができ、この場合において、骨盤内臓器を外部から支持して骨盤内に押し戻すための構成を女性用下着に一体化することで、子宮脱等の骨盤臓器脱により骨盤内臓器(例えば子宮)が女性器から外部に脱出するのを抑制又は防止する(或いは、骨盤内に押し戻してその状態を維持する)ことができ、また、そのための特別な別個の器具を不要として下着への特別な装着作業を不要とし、使用者が通常の下着を着衣するのと同様の簡単な動作で装着作業を迅速かつ簡単に完了することができるようにすると共に、全体の部品点数を削減して全体の構成をコンパクト化することにより、通常の下着と同様の外観及び印象を使用者に与えることができ、更に、製造コストも低減することができるという特有の効果を発揮する。
図1は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の全体構成を示す斜視図である。 図2は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の外側被覆部、内側被覆部及びウエストベルト部を分解して示す斜視図である。 図3は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の外側被覆部及び内側被覆部の展開状態を示し、(a)は外側被覆部の展開図、(b)は内側被覆部の展開図である。 図4は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の外側被覆部の内面に内側被覆部を接合した状態の展開図である。 図5は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の全体構成を示す正面図である。 図6は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の全体構成を示す背面図である。 図7は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の全体構成を示す右側面図である。 図8は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の全体構成を示す左側面図である。 図9は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の全体構成を示す平面図である。 図10は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の全体構成を示す底面図である。 図11は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の裏面側(内面側)の全体構成を示す斜視図である。 図12は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の裏面側(内面側)の全体構成を示す正面図である。 図13は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の裏面側(内面側)の全体構成を示す背面図である。 図14は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の裏面側(内面側)の全体構成を示す右側面図である。 図15は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の裏面側(内面側)の全体構成を示す左側面図である。 図16は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の裏面側(内面側)の全体構成を示す平面図である。 図17は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の裏面側(内面側)の全体構成を示す底面図である。 図18は本発明の実施の形態1に係る女性用下着を着用者が着用した状態を正面側から見て示す使用状態図である。 図19は本発明の実施の形態1に係る女性用下着を着用者が着用した状態を背面側から見て示す使用状態図である。 図20は図5のA−A線断面図である。 図21は本発明の実施の形態1に係る女性用下着を着用する着用者の下腹部を模式的に示す構造図であり、(a)は着用前の状態を示し、(b)は着用後の状態を示す。 図22は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の正面側の展張制御について前身頃部の傾斜縁の勾配を第1〜3の勾配に設定して説明する正面図であり、(a)は第1の勾配、(b)は第2の勾配、(c)は第3の勾配を示す。 図23は本発明の実施の形態1に係る女性用下着の背面側の展張制御について後身頃部の傾斜縁の勾配を第1〜3の勾配に設定して説明する背面図であり、(a)は第1の勾配、(b)は第2の勾配、(c)は第三の勾配を示す。 図24は本発明の実施の形態2に係る女性用下着の外側被覆部、内側被覆部及びウエストベルト部を分解して示す斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)を説明する。なお、各実施の形態を通じ、同一の部材、要素または部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
[実施の形態1]
図1に示すように、本発明の実施の形態1に係る女性用下着1は、一般にパンティー又はショーツと呼ばれるタイプの女性用下着(以下、単に、「女性用下着」という。)に具体化されている。本実施の形態の女性用下着1は、図2(分解図)に示すように、その構成要素として、外側被覆部10、内側被覆部20及びウエストバンド部30を備えている。詳細には、女性用下着1は、外側被覆部10の内面に内側被覆部20が重ね合わせて一体化され、内側被覆部20と外側被覆部10とを内外で一体化した複数層構造の被覆部が形成されている。また、ウエストバンド部30は、被覆部10、20の上端縁の全周にわたって一体的に接合されている。これにより、女性用下着1は、通常の女性用下着と同様の外観を呈している。以下、外側被覆部10、内側被覆部20及びウエストバンド部30の詳細について説明する。
[外側被覆部]
図3(a)(外側被覆部10の展開図)に示すように、外側被覆部10は、所定の伸び率の伸縮性及び弾性を有するシート素材により、女性の下腹部の全面(ウエスト部から脚の付け根の部分まで)を覆う前身頃部11と、女性の臀部の全面を覆う後身頃部12と、前身頃部11及び後身頃部12間に設けられて女性の股間部の全面を覆う股部13とを備える所定形状に形成される。外側被覆部10は、本実施の形態の女性用下着1の外観及び意匠を決定する構成部材であり、通常の女性用下着と同様の外観構成とすることができる。例えば、図示の例では、外側被覆部10は、いわゆるボクサータイプのパンティーと同様の外観を有している。即ち、外側被覆部10のうち、前見頃部11及び後見頃部12は、股上の丈が長く(即ち、股上が深く)、それぞれ、股部13の前端及び後端から着用者の骨盤の腸骨陵(いわゆる腰骨)の上端の高さ位置まで延びる丈を有しており、着用者の脚を挿入する左右一対の開口部15(即ち、前見頃部11及び後身頃12の下端縁となる左右一対の若干の傾斜状又は略水平状の側縁と股部13の左右両側縁との間に形成される左右一対の開口部)は、いわゆるボーイレッグのライン構成(即ち、脚ぐりがほぼ水平なライン)を有しており、着用者の臀部を覆う後見頃部12は、いわゆるフルバックのバックスタイル(即ち、臀部全体を覆うバックスタイル)を有している。なお、本実施の形態では、外側被覆部10は、前見頃部11、後身頃部12及び股部13を、それぞれ、別個のシート素材(所定の布生地)から所定形状及び所定寸法に形成し、それらを接合端縁で縫製等により接合して所定の一体構造となるようにしているが、後述するように、それらを1枚のシート素材で形成する等、他のシート構成とすることも可能である。
<前見頃部>
前見頃部11は、通常の女性用下着の前見頃に相当する部材又は部分である一方で、女性用下着1の使用者である着用者(典型的には、骨盤臓器脱の治療対象者)の腹部のうち、下腹部の前側部分(典型的には、股間部を除く下腹部の前側部から側部まで下腹部の周方向に延びる部分)の全体を覆う所定形状並びに所定寸法及び所定面積を有している。前見頃部11の前記所定形状は、着用者の下腹部の前側部の全体に対応する外形及び輪郭のシート形状であって、左右方向(ウエスト方向)に直線状に延びる上縁11a、上縁11aの左右両端から下方(股間に向かう方向)に直線状に延びる左右一対の側縁11b、左右一対の側縁11bの下端からそれぞれ内方に向かって傾斜して延びる左右一対の所定曲率の湾曲状の傾斜縁11c、及び、傾斜縁11cの内端を連結するよう左右方向に延びる所定曲率の湾曲状の下縁11dとからなる平面略六角形状である。なお、前身頃部11の上縁11aは、着用者の腹部の前側部の周方向に沿って左右方向に延びる直線状の輪郭形状を有しており、左右一対の側縁11bは、(外方に若干傾斜して)下方へと延びる直線状の輪郭形状を有している。
また、前身頃部11の左右一対の傾斜縁11cは、着用者の脚の付け根の前側部の輪郭に沿って延びる湾曲傾斜状の輪郭形状を有しており、前身頃部11が着用者の下腹部の前側部を、着用者の脚の付け根部分まで(即ち、鼠蹊部まで)覆うようになっている。より詳細には、前身頃部11の左右一対の傾斜縁11cは、それぞれ、着用者の左右一対の大腿骨の大転子(大腿骨頚の上外側に突出する部分)の下端付近の位置から股間位置まで、着用者の大腿部の付け根の前側半部の湾曲面に沿って延びるよう設けられている。更に、前身頃部11の下縁11dは、着用者の股間の前端縁(即ち、女性器の露出部分の前端縁付近)に沿って左右方向に延びる所定曲率の湾曲線状(若干の湾曲線状)の輪郭形状を有している。また、前見頃部11の前記寸法のうち高さ寸法は、(着用者の下腹部に沿った曲線方向の寸法として)着用者の骨盤の腸骨陵上端の高さ位置から股間部の前端位置(即ち、股間部の前側の上端位置)まで延びる上下寸法となっている。更に、前見頃部11の前記面積は、前記所定形状及び前記所定寸法により規定される所定面積となっている。このように、前見頃部11は、その上縁11aを直線状とすると共に左右両側の傾斜縁11cを曲線状とし、前記所定形状で最上位置の所定最大幅となる位置から最下位置の所定最小幅となる位置まで前記所定の上下寸法だけ延びる、前記所定面積を有する布状(シート状)をなす前側外布部を構成している。
<後見頃部>
後見頃部12は、通常の女性用下着の後見頃に相当する部材又は部分である一方で、着用者の臀部(典型的には、股間部を除く臀部の後側部から側部まで臀部の周方向に延びる部分)の全体を覆う所定形状並びに所定寸法及び所定面積を有している。後見頃部12の前記所定形状は、着用者の臀部に対応する外形及び輪郭のシート形状であって、左右方向(ウエスト方向)に直線状に延びる上縁12a、上縁12aの左右両端から下方に直線状に延びる左右一対の側縁12b、左右一対の側縁12bの下端からそれぞれ内方に向かって傾斜して延びる左右一対の所定曲率の湾曲状の傾斜縁12c、及び、傾斜縁12cの内端を連結するよう左右方向に延びる所定曲率の湾曲状の下縁12dとからなる平面略六角形状である。なお、後身頃部12の上縁12aは、着用者の臀部又は腰部の周方向に沿って左右方向に延びる直線状の輪郭形状を有しており、左右一対の側縁12bは、(外方に若干傾斜して)下方に延びる直線状の輪郭形状を有しているまた、後身頃部12の左右一対の側縁12bは、それぞれ、前身頃部11の左右一対の側縁11bに(縫合等によって)接合される端縁であって、前身頃部11の側縁11bに整合する寸法及び輪郭形状を有している。
また、後身頃部12の左右一対の傾斜縁12cは、着用者の脚の付け根の後側部の輪郭に沿って延びる直線状又は若干の湾曲傾斜状の輪郭形状を有しており、後身頃部12が着用者の臀部を、着用者の脚の付け根部分まで覆うようになっている。より詳細には、後身頃部12の傾斜縁12cは、着用者の大腿骨の大転子(大腿骨頚の上外側に突出する部分)の下端付近の位置から股間位置まで、着用者の大腿部の後側半部の湾曲面に沿って(典型的には、大腿部と臀部との間の境界線に沿って)延びるよう設けられている。更に、後身頃部12の下縁12dは、股間の後端縁(即ち、女性器の露出部分の後端縁付近)に沿って左右方向に延びる所定曲率の湾曲線状(前身頃部11の下縁11dよりも大きな曲率の湾曲線状)の輪郭形状を有している。また、後見頃部12の前記寸法のうち高さ寸法は、(着用者の臀部に沿った曲線方向の寸法として)着用者の骨盤の腸骨陵上端の高さ位置から股間部の後端位置(即ち、股間部の後側の上端位置)まで延びる上下寸法となっている。更に、後見頃部12の前記面積は、前記所定形状及び前記所定寸法により規定される所定面積となっている。このように、後見頃部12は、その上縁12aを直線状とすると共に左右両側の傾斜縁12cを直線状又は若干の湾曲線状とし、前記所定形状で最上位置の所定最大幅となる位置から最下位置の所定最小幅となる位置まで前記所定の上下寸法だけ延びる、前記所定面積を有する布状(シート状)をなす後側外布部を構成している。
<股部>
股部13は、通常の女性用下着の股布又はクロッチに相当する部材又は部分である一方で、着用者の股間部(典型的には、恥骨の上端付近の位置から尾骨の位置付近まで股間部の前後方向に延びる部分であって、少なくとも、女性器の露出部全体を包含する部分)の全体を覆う所定形状並びに所定の寸法(長さ方向寸法及び幅方向寸法)並びに所定面積を有している。また、股部13の前記所定形状は、着用者の股間部に対応する外形及び輪郭のシート形状であって、左右方向に延びる所定曲率の湾曲状の前縁13a、前縁13aの左右両端から後方に直線状に延びる左右一対の側縁13b、左右一対の側縁13bの後端を連結するよう左右方向に延びる所定曲率の湾曲状の後縁13cとからなる平面形状である。即ち、股部13は、左右一対の側縁13bが、前記前縁13a及び後縁13c間でその長さ方向(股間部の前後方向)の中央部に向かって曲線的に縮径するシート状である。なお、股部13の前縁13aは、前身頃部11の下縁11dに(縫合等によって)接合される端縁であって、前身頃部11の下縁11dに整合する寸法及び輪郭形状を有しており、左右方向に延びる直線状の輪郭形状を有している。
また、股部13の左右一対の側縁13bは、着用者の脚の付け根の内側部(大腿部の付け根と女性器の外性器若しくは陰部との間の境界線部分)の湾曲形状に対応して湾曲状に延びるよう設けられている。更に、股部13の後縁13cは、後身頃部12の下縁12dに(縫合等によって)接合される端縁であって、後身頃部12の下縁12dに整合する寸法及び輪郭形状を有しており、左右方向に延びる直線状の輪郭形状を有している。また、股部13の前記長さ方向寸法は、(着用者の股間部に沿った前後方向の曲線方向の寸法として)着用者の股間の前側にある恥骨の上端付近の位置から股間の後側にある尾骨の位置付近まで延びる前後寸法となっている。更に、股部13の前記面積は、前記所定形状及び前記所定寸法により規定される所定面積となっている。このように、股部13は、その前後両縁を曲線状とすると共に左右両側縁を曲線状とし、前記所定形状で最前側位置の所定幅となる位置から前後中央位置の所定最小幅となる位置まで延びた後に最後側位置の所定幅となる位置まで前記所定の前後寸法だけ延びる、前記所定面積を有する布状(シート状)をなす外側股布部を構成している。なお、股部13の最前側位置の所定幅と最後側位置の所定幅とは、前身頃部11の下縁11dの寸法及び後身頃部12の下縁12dの寸法に対応して、最前側位置を所定最大幅とし、最後側位置を(前記最前側位置の幅よりも若干小さい)所定中間幅としたり、逆に、最後側位置を所定最大幅とし、最前側位置を(前記最後側位置の幅よりも若干小さい)所定中間幅としたりすることができる。
外側被覆部10は、上記構造の前身頃部11の左右一対の側縁11bと後見頃部12の左右一対の側縁12bとを(縫製等により)互いに接合すると共に、前身頃部11の下縁11d及び後見頃部12の下縁12dにそれぞれ股部13の前縁13a及び後縁13cを(縫製等により)接合することにより図2に示す一体構造に形成される。
[内側被覆部]
図3(b)(内側被覆部20の展開図)に示すように、内側被覆部20は、前記外側被覆部10のシート素材よりも低い伸び率を有する非伸長性シート素材又は低伸長性シート素材により、女性の下腹部の左右方向中央部を覆う前側部21と、女性の臀部の左右方向中央部を覆う後側部22と、前側部21及び後側部22間に設けられて女性の股間部のうち少なくとも膣前庭を包含する範囲である圧接範囲を覆う中央部23とを備える所定形状に形成され、外側被覆部10の前身頃部11の内面の左右方向中央部に前側部21を配置し、外側被覆部10の後身頃部12の内面の左右方向中央部に後側部22を配置し、外側被覆部10の股部13の内面に中央部23を配置した積層状態で、外側被覆部10の内面に接合される。内側被覆部20は、本実施の形態の女性用下着1の支持芯材部を構成するものであり、骨盤臓器脱用の女性用下着としての特有の機能を発揮する構成部材又は構成要素である。内側被覆部20のうち、前側部21及び後側部22は、それぞれ、股上の丈が長い前記外側被覆部10の前見頃部11及び後見頃部12と同一の丈、即ち、中央部23から着用者の骨盤の腸骨陵上端の高さ位置まで延びる丈を有している。また、外側被覆部10の開口部15に対応する部分である左右一対の開口部25(即ち、前側部21及び後側部22の左右両側縁と中央部23の左右両側縁との間に形成される左右一対の開口部)は、前側部分がいわゆるハイレグのライン構成を有しており、後側部分がいわゆるTバック状のバックスタイルを有している。なお、外側被覆部10の開口部15の後側部分は、(Tバックよりもカットが緩い)ブラジリアンカット状若しくはリオカット状とすることも可能である。また、本実施の形態では、内側被覆部20は、1枚のシート素材から所定形状及び所定寸法に形成した所定の一体構造構成となっているが(即ち、前側部21、後側部22及び中央部23を同一のシート素材で一連のシート状となるよう連続的に形成しているが)、後述するように、前記前側部21、後側部22及び中央部23をそれぞれ別個のシート素材から形成した別体構成とし、それらを接合端縁で縫製等により接合して所定の一体構造となるようにすることも可能である。
<前側部>
前側部21は、外側被覆部10の前見頃部11の内面側の左右方向中央部に配置されて上下方向に延びる構成部分又は構成要素である。図3(b)中の左側の二点鎖線(仮想線)は、図3(a)中の外側被覆部10の前身頃部11と股部13との間の境界線に対応する位置の境界線21dを示す一方、図3(b)中の右側の二点鎖線(仮想線)は、図3(a)中の外側被覆部10の後身頃部12と股部13との間の境界線に対応する位置の境界線22dを示している。即ち、内側被覆部20は、図示の例では前側部21、後側部22及び中央部23を同一のシート素材で一連のシート状となるよう連続的に形成しているため、前側部21と股部22との間、及び、後側部22と中央部23との間には、外側被覆部10の境界線(即ち、下縁11d及び下縁12d)に相当する境界線は視認されないが、以下では、説明の便宜上、内側被覆部20の境界線21d及び境界線22dを、それぞれ、外側被覆部10の境界線(即ち、下縁11d及び下縁12d)に相当する境界線として説明する。
まず、内側被覆部20の前側部21は、図3(b)では、左側の境界線21dよりも左側の部分であって、女性用下着1の着用者の腹部のうち、下腹部の前記前側部分の左右方向中央部を覆う所定形状並びに所定寸法及び所定面積を有している。また、前側部21の前記所定形状は、着用者の下腹部の前側部分の左右方向中央部の一定領域に対応する外形及び輪郭のシート形状であって、左右方向(ウエスト方向)に直線状に延びる上縁21a、上縁21aの左右両端から下方(股間に向かう方向)に直線状に延びる左右一対の側縁21b、左右一対の側縁21bの下端からそれぞれ内方に向かって傾斜して延びる左右一対の所定曲率の湾曲状の傾斜縁21c、及び、傾斜縁21cの内端を連結するよう左右方向に延びる所定曲率の湾曲状の下縁を構成する境界線21d(以下、「下縁21d」という。)とからなる平面略六角形状である。ここで、前側部21の上縁21aは、左右方向に延びる直線状の輪郭形状を有している。具体的には、前側部21の上縁21aは、外側被覆部10の前身頃部11の上縁11aと対応する端縁(及び、前身頃部11aの上縁11aと同一ラインを構成するように前記ウエストバンド部30の下縁に縫合等により接合される端縁)を構成しており、前身頃部11の上縁11aに対応する寸法及び輪郭形状を有している。また、前側部21の左右一対の側縁21bは、上下方向に延びる短い直線状の輪郭形状を有している。更に、前側部21の左右一対の傾斜縁21cは、着用者の脚の付け根よりも上方にある下腹部の前側部の所定の中間位置の輪郭に沿って延びる湾曲傾斜状の輪郭形状を有しており、前側部21が着用者の下腹部の前側部を、前記所定の中間位置まで覆うようになっている。
より詳細には、前側部21の左右一対の傾斜縁21cは、それぞれ、着用者の骨盤の左右一対の腸骨の前側の突出部である上前腸骨棘(骨盤の左右の腸骨の前側乃至表側において前方に突出している部分であって、腹部の外側から手で触ることのできる部分)の所定高さ位置(例えば、上前腸骨棘の上端位置又は中間位置又は下端位置)から股間位置まで、着用者の大腿部の付け根より上方にある下腹部の前側部分の前記所定の中間位置の湾曲面に沿って延びるよう設けられている。更に、前側部21の下縁21dは、外側被覆部10の前身頃部11の下縁11dに相当し、着用者の股間の前端縁に沿って左右方向に延びる若干の湾曲線状(即ち、下縁11dと同一曲率)の端縁乃至境界線を構成している。また、前側部21の前記寸法のうち高さ寸法は、外側被覆部10の前身頃部11と同一高さ寸法であり、(着用者の下腹部に沿った曲線方向の寸法として)着用者の骨盤の腸骨陵上端の高さ位置から股間部の前端位置(即ち、股間部の前側の上端位置)まで延びる上下寸法となっている。更に、前側部21の前記面積は、前記所定形状及び前記所定寸法により規定される所定面積となっている。このように、前側部21は、その上縁21aを直線状とすると共に左右両側の傾斜縁21cを曲線状とし、前記所定形状で最上位置の所定最大幅となる位置から最下位置の所定最小幅となる位置まで前記所定の上下寸法だけ延びる、前記所定面積を有する布状(シート状)をなす前側内布部を構成している。
一方、前側部21の面積は、外側被覆部10の前身頃部11の面積よりも、その傾斜縁21cと前身頃部11の傾斜縁11cとの間の面積分だけ小さくなっており、外側被覆部10の前身頃部11が、内側被覆部20の前側部21の傾斜縁21cの左右両側に拡大して延設されるようになっている。換言すれば、内側被覆部20の前側部21は、左右一対の傾斜縁21cが、着用者の脚の付け根の前側部の輪郭から内側に所定距離だけ離れた位置に沿って延びる湾曲傾斜状の輪郭形状を有しており、外側被覆部10の前身頃部11が、着用者の下腹部の前側部の左右方向中央部を、着用者の脚の付け根部分より前記所定距離だけ離れた位置まで(即ち、内側被覆部20の前側部21の傾斜縁21cが存在する鼠蹊部の手前の位置まで)覆うようになっている。また、前側部21は、下側部分の湾曲傾斜状をなす左右一対の傾斜縁21cの傾斜率が、外側被覆部10の前身頃部11の傾斜縁11cの傾斜率と比較して、より大きな傾斜率となっており、傾斜縁21cが傾斜縁11cよりも所定の角度だけ鋭角の傾斜状となっている。即ち、前側部21の下側部分の湾曲傾斜状をなす左右一対の傾斜縁21cは、着用者の脚の付け根より上方の位置で延びるような輪郭形状、具体的には、着用者の前側部分である下腹部において脚の付け根とウエストラインとの間の部分を曲線的に延びるような輪郭形状を有しており、この輪郭形状を持って前側部21が着用者の下腹部の前側部の左右方向中央部分を覆うようになっており、前側部21の左右一対の傾斜縁21cが、それぞれ、着用者の骨盤の左右一対の腸骨陵の上端付近の位置(上記のような上前腸骨棘の所定高さ位置)から股間位置まで、着用者の下腹部の前側半部の(脚の付け根とウエストラインとの間の)前記中間部分の湾曲面に沿って延びるよう設けられている。
<後側部>
後側部22は、外側被覆部10の後見頃部12の内面側の左右中央部に配置されて上下方向に延びる構成部分又は構成要素である。まず、内側被覆部20の後側部22は、図3(b)では、右側の境界線22dよりも右側の部分であって、女性用下着1の着用者の臀部の左右方向中央部を覆う所定形状並びに所定寸法及び所定面積を有している。また、後側部22の前記所定形状は、着用者の下腹部の後側部分の左右方向中央部の一定領域に対応する外形及び輪郭のシート形状であって、左右方向(ウエスト方向)に直線状に延びる上縁22a、上縁22aの左右両端から下方(股間に向かう方向)に直線状に延びる左右一対の側縁22b、左右一対の側縁22bの下端からそれぞれ内方に向かって傾斜して延びる左右一対の所定曲率の湾曲状の傾斜縁22c、及び、傾斜縁22cの内端を連結するよう左右方向に延びる所定曲率の湾曲状の下縁を構成する境界線22d(以下、「下縁22d」という。)とからなる平面略六角形状である。ここで、後側部22の上縁22aは、左右方向に延びる直線状の輪郭形状を有している。具体的には、後側部22の上縁22aは、外側被覆部10の後身頃部12の上縁12aと対応する端縁(及び、後身頃部12aの上縁21aと同一ラインを構成するように前記ウエストバンド部30の下縁に縫合等により接合される端縁)を構成しており、後身頃部12の上縁12bに対応する寸法及び輪郭形状を有している。また、後側部22の左右一対の側縁22bは、上下方向に延びる短い直線状の輪郭形状を有している。更に、後側部22の左右一対の傾斜縁22cは、着用者の大腿骨の大転子の上端付近の位置又は大転子の上端より更に上方の位置から股間位置まで、着用者の臀部の湾曲面に沿って(典型的には、臀部の左右の大臀筋の対向縁である内縁にほぼ対応する位置に沿って)延びるよう設けられている。即ち、後側部22の左右一対の傾斜縁22cは、着用者の臀部の所定の中間位置(典型的には、臀部の左右の大臀筋の対向縁である内縁にほぼ対応する位置)の輪郭に沿って延びる湾曲傾斜状の輪郭形状を有しており、後側部22が着用者の臀部を、前記所定の中間位置まで覆うようになっている。
より詳細には、後側部22の左右一対の傾斜縁22cは、それぞれ、着用者の骨盤の左右一対の腸骨の後側の突出部である上後腸骨棘(骨盤の左右の腸骨の後側乃至裏側において後方に突出している部分であって、臀部の上端側又は腰部付近の外側から手で触ることのできる部分)の所定高さ位置(例えば、上後腸骨棘の上端位置又は中間位置又は下端位置)から股間位置まで、着用者の臀部の前記所定の中間位置の湾曲面に沿って延びるよう設けられている。更に、後側部22の下縁22dは、外側被覆部10の後身頃部12の下縁12dに相当し、着用者の股間の後端縁に沿って左右方向に延びる若干の湾曲線状(即ち、下縁12dと同一曲率)の端縁乃至境界線を構成している。また、後側部22の前記寸法のうち高さ寸法は、外側被覆部10の後側部22と同一高さ寸法であり、(着用者の臀部に沿った曲線方向の寸法として)着用者の骨盤の腸骨陵上端の高さ位置から股間部の後端位置(即ち、股間部の後側の上端位置)まで延びる上下寸法となっている。更に、後側部22の前記面積は、前記所定形状及び前記所定寸法により規定される所定面積となっている。このように、後側部22は、その上縁22aを直線状とすると共に左右両側の傾斜縁22cを曲線状とし、前記所定形状で最上位置の所定最大幅となる位置から最下位置の所定最小幅となる位置まで前記所定の上下寸法だけ延びる、前記所定面積を有する布状(シート状)をなす後側内布部を構成している。
一方、後側部22の面積は、外側被覆部10の後身頃部12の面積よりも、その傾斜縁22cと後身頃部12の傾斜縁12cとの間の面積分だけ小さくなっており、外側被覆部10の後身頃部12が、内側被覆部20の後側部22の傾斜縁22cの左右両側に拡大して延設されるようになっている。換言すれば、内側被覆部20の後側部22は、左右一対の傾斜縁22cが、着用者の臀部の大臀筋の外側縁位置付近から内側に所定距離だけ離れた位置に沿って延びる湾曲傾斜状の輪郭形状を有しており、外側被覆部10の後身頃部12が、着用者の臀部の左右方向中央部を、着用者の臀部の両側縁位置付近より前記所定距離だけ離れた位置まで(即ち、内側被覆部20の前側部21の傾斜縁21cが存在する臀部の左右方向中央部の直近位置まで)覆うようになっている。また、後側部22は、下側部分の湾曲傾斜状をなす左右一対の傾斜縁22cの傾斜率が、外側被覆部10の後身頃部12の傾斜縁12cの傾斜率と比較して、より大きな傾斜率となっており、傾斜縁22cが傾斜縁12cよりも所定の角度だけ鋭角の傾斜状となっている。即ち、後側部22の下側部分の湾曲傾斜状をなす左右一対の傾斜縁22cは、着用者の臀部の左右方向中央部の位置で延びるような輪郭形状、具体的には、着用者の後側部分である臀部において脚の付け根とウエストラインとの間の部分を曲線的に延びるような輪郭形状を有しており、この輪郭形状を持って後側部22が着用者の臀部の左右方向中央部分を覆うようになっており、後側部22の左右一対の傾斜縁22cが、それぞれ、着用者の骨盤の左右一対の腸骨陵の上端付近の位置(上記のような上後腸骨棘の所定高さ位置)から股間位置まで、着用者の臀部の(脚の付け根とウエストラインとの間の)前記中間部分の湾曲面に沿って延びるよう設けられている。
<中央部>
中央部23は、外側被覆部10の股部13の内面側の左右方向中央部に配置されて上下方向に延びる構成部分又は構成要素である。まず、内側被覆部20の中央部23は、図3(b)では、左右の境界線21d及び境界線22d間の部分であって、女性用下着1の着用者の股間部の左右方向中央部を覆う所定形状並びに所定寸法(長さ方向寸法及び幅方向寸法)及び所定面積を有している。また、中央部23の前記所定形状は、着用者の股間部の左右方向中央部(典型的には、股間部における女性器の外性器部分を完全に包含する部分)に対応する外形及び輪郭のシート形状であって、左右方向に延びる所定曲率の湾曲状の前縁(図3(b)において前側部21の下縁21dと一致する端縁であって、以下、説明の便宜上「前縁21d」という。)、前縁21dの左右両端から後方に直線状に延びる左右一対の側縁23a、左右一対の側縁23aの後端を連結するよう左右方向に延びる所定曲率の湾曲状の後縁(図3(b)において後側部22の下縁22dと一致する端縁であって、以下、説明の便宜上「後縁22d」という。)とからなる平面形状である。即ち、中央部23は、左右一対の側縁23bが、前記前縁21d及び後縁22d間でその長さ方向(股間部の前後方向)にほぼ直線的に互いに平行に延びるシート状である。詳細には、中央部23の左右一対の側縁23aは、前縁21dから後方へ若干縮径して所定長だけ延びる左右一対の前側部分と、後縁22dから前方へ若干縮径して所定長だけ延びる左右一対の後側部分と、前記前側部分と後側部分との間をほぼ平行に延びる左右一対の中央部分とからなる。
具体的には、中央部23の側縁23aの前側部分では、一対の前側部分が、前縁21dから後方へと互いに接近するよう傾斜して延びている。なお、中央部23の側縁23aの前側部分は、前縁21dから後方へと、例えば、中央部23の全長の5〜20%の範囲内、好ましくは、5〜15%の範囲内、より好ましくは、5〜10%の範囲内、更に好ましくは約10%の所定長だけ設けられる。また、中央部23の側縁23aの後側部分では、一対の後側部分が、後縁22dから前方へと互いに接近するよう傾斜して延びている。なお、中央部23の側縁23aの後側部分は、後縁22dから前方へと、例えば、中央部23の全長の10〜40%の範囲内、好ましくは、15〜35%の範囲内、より好ましくは、20〜30%の範囲内、更に好ましくは約30%の所定長だけ設けられる。そして、中央部23の側縁23aの中央部分では、一対の中央部分が、前側部分と後側部分との間を互いに平行となるよう直線状に延びている。なお、中央部23の側縁23aの中央部分は、中央部23の全長から前記前側部分及び後側部分の合計長を除いた所定長だけ設けられるが、好ましくは、着用者の股間部の外性器の前後寸法(外性器の前端から後端までの長さ)と一致する寸法、又は、当該一致する寸法よりも所定長だけ大きな寸法だけ設けられる。例えば、中央部23の側縁23aの中央部分は、着用者の股間部の外性器の前後寸法の100〜160%の範囲内、好ましくは、110〜150%の範囲内、より好ましくは120〜140%の範囲内の所定長として設けられる。
更に、中央部23の側縁23aは、その中央部分の前端位置が、着用者の外性器の前端と一致する位置又は当該一致する位置よりも所定長だけ前方の位置にくるよう、かつ、その中央部分の後端位置が、着用者の外性器の後端と一致する位置又は当該一致する位置よりも所定長だけ後方の位置にくるよう、前記前側部、中央部及び後側部のそれぞれの長さの比率を設定している。なお、中央部23の前記長さ方向寸法は、前記外側被覆部10の中央部23の長さ方向寸法に対応して設定されている。(通常は、同一に設定されている。)また、中央部23の前記面積は、前記所定形状及び前記所定寸法により規定される所定面積となっている。このように、中央部23は、その前後両縁及び左右両側縁を上記形状とし、前記所定形状で最前側位置の所定幅となる位置から前後中央部分の所定最小幅となる位置まで延びた後に最後側位置の所定幅となる位置まで前記所定の前後寸法だけ延びる、前記所定面積を有する布状(シート状)をなす内側股布部を構成している。
内側被覆部20は、上記構造の前側部21の左右一対の側縁21bと後側部22の左右一対の側縁22bとを(縫製等により)互いに接合すると共に、前側部21の下縁21d及び後側部22の下縁22dにそれぞれ中央部23の前縁及び後縁を(縫製等により)接合することにより図2に示す一体構造に形成される。
[外側被覆部の材質]
一般に、女性用下着としてのパンティーの生地は、(比較的大きな形状変化を伴わない下腹部の前面を覆う)前身頃に比較して、(比較的大きな形状変化を伴う臀部を覆う)後身頃に相対的に大きな伸張性を必要とするため(即ち、前身頃よりも後身頃を相対的に大きな伸縮性を有する生地で形成する必要があるため)、前身頃には、天竺、ベア天竺、フライス、トリコット等の比較的伸縮性が小さい生地を使用すると共に、後身頃には、綿とポリウレタンとを混紡してなるストレッチ天竺、フライス、ツーウェイトリコット、パワーネット等の比較的伸縮性の大きな生地を使用する。一方、股部(クロッチ)は、通常、二重構造(二層構造)の生地により構成され、例えば、前身頃の生地と同様の生地により形成することができる。そして、本実施の形態では、外側被覆部10は、前見頃部11、後見頃部12及び股部13を、それぞれ、従来の生地と同様の生地で構成することができる。なお、前見頃部11、後見頃部12及び股部13は、それぞれ、別個の生地又は布片又はシート片により前記所定形状並びに前記所定寸法及び前記所定面積となるように形成し、それらの相互の接合端縁部を縫製等の接合手段により接合してもよいが、前見頃部11、後見頃部12及び股部13を、シームレス処理(即ち、立体編みにより、継ぎ目や縫い目がないものとして処理)することで一体的な外側被覆部10を構成するよう形成したり、ヘム処理(即ち、レースや縫い目なしに端を処理)したりすることで一体的な外側被覆部10を構成するよう形成することも可能である。或いは、前身頃部11及び後身頃部12を一体構成のシート片に形成すると共に、そのシート片を後身頃部12の左右中央位置で二分割した形状に形成し、その位置で縫製等により接合してもよい。
[内側被覆部の材質]
これに対し、本実施の形態では、内側被覆部20は、前側部21、後側部22及び中央部23を、上記のように、全て同一の生地で形成したり、それぞれ別個の生地で形成したりすることができるが、外側被覆部10のシート素材(特に、前見頃部11及び後見頃部12のシート素材)よりも低い伸長性を有するシート素材により形成される。詳細には、内側被覆部20は、全体として(特に、女性用下着の上下方向において)容易に伸長しない非伸長性又は低伸長性の1枚のシート状となるよう、所定の生地を使用して1枚のシート状となるように形成することが好ましい。詳細には、シート状の生地の物性として、所定の引張力を加えたときの生地の伸び率(即ち、引張伸度)、及び、前記引張力を解放したときの生地の戻り率(即ち、収縮率、又は、伸長回復率乃至伸長弾性率)とがある。そして、本実施の形態では、内側被覆部20は、その物性として、特に、伸び率が所定の外力に対して1.5〜30%の範囲内、好ましくは、3〜25%の範囲内、より好ましくは5〜15%の範囲内、更に好ましくは、5〜10%の範囲内となるよう、所定の生地又はシート素材を使用して上記所定形状に一体形成される。なお、かかる非伸長性又は低伸長性のシート素材としては、伸び率の低い順に、麻(糸の状態での伸び率が例えば1.5〜2.3%)、綿(糸の状態での伸び率が例えば3〜7%)、ポリノジック(糸の状態での伸び率が例えば7〜14%)、キュプラ(糸の状態での伸び率が例えば10〜17%)、一般的な天竺(生地の状態での伸び率が例えば約60%)よりも低伸び率の低伸天竺(生地の状態での伸び率が例えば約30%)、トリコット乃至スリップ生地(生地の状態での伸び率が例えば約30%)等がある。
また、かかる非伸長性又は低伸長性のシート素材としては、芯地を使用して伸び率を上記のような伸び率とすることもできるが、この場合、芯地の表面及び裏面の双方、又は、(特に、着用者の肌と接触する)裏面(内面)側に通常の(肌触りの良い)生地を接着等により貼付したシート素材を使用することが好ましい。即ち、本発明では、「1枚のシート素材」とは、複数層構造のシート素材をも含む概念であり、外観上1枚のシート状として把握されるものを含む概念である。なお、伸び率は、(ヤング率とも呼ばれる)弾性率とは異なる物性であり、上記の非伸縮性又は低伸縮性とは、非弾性又は低弾性とは異なる概念である。したがって、内側被覆部20の非伸縮性又は低伸縮性のシート素材としては、高い弾性率を有する素材であっても、伸び率が上記の範囲内にあるものであれば、任意のシート素材を使用することができる。例えば、弾性シート素材であっても、上記のように低い伸び率を有するものであれば任意のシート素材を使用することができる。この場合、かかる弾性シート素材は、戻り率について、5%以内の伸長回復率、好ましくは、3%以内の伸長回復率、より好ましくは、2%以内の伸長回復率、更に好ましくは、1%以内の伸長回復率となるよう、所定の生地又はシート素材を使用して上記所定形状に一体形成することが望ましい。
上記のとおり、内側被覆部20は、非伸長性又は低伸長性のシート素材により上記形状となるよう形成されて、その前側部21及び後側部22による上方への引っ張り力によって中央部23の内面を着用者の女性器の外性器の所定範囲(特に、膣口周辺部位又は膣前庭の範囲)に所定の押圧力で圧接させることにより、骨盤臓器脱の場合における骨盤内臓器が着用者の外性器から外部に脱するのを阻止する圧接支持部を構成するが、外側被覆部10は、内側被覆部20より高い伸長性(及び、部位に応じて通常の女性用下着と同様の高い伸縮性)を有するシート素材により上記形状となるよう形成されて、内側被覆部20の外側で、前身頃部11により(内側被覆部20の前側部21の外側の)着用者の下腹部を柔軟性及び弾性をもって支持し、かつ、後身頃部12により(内側被覆部20の後側部22の外側の)着用者の臀部を柔軟性及び弾性をもって支持して、着用者の装着感を向上する装着感向上部を構成している。なお、外側被覆部10の股部13も、内側被覆部20の中央部23より高い伸長性(及び、部位に応じて通常の女性用下着と同様の高い伸縮性)を有するシート素材により上記形状となるよう形成されて、内側被覆部20の外側で、股部13により(内側被覆部20の中央部23の外側の)着用者の股間部に柔軟性をもって当接又は近接して、着用者の装着感を向上する装着感向上部を構成している。
[内側被覆部の傾斜縁]
ここで、前記内側被覆部20の前側部21の左右一対の傾斜縁21cは、その下端位置(下縁21dの位置)から上端位置(上縁21aの位置)まで、ほぼ同一の曲率で湾曲して延びる一つの連続的な湾曲縁となるよう構成されている。一方、後側部22の左右一対の傾斜縁22cは、その下端位置(下縁22dの位置)から上端位置(上縁22aの位置)までが、ほぼ同一の曲率で湾曲して延びる1つの連続的な湾曲縁となるようには構成されておらず、異なる曲率の2つの湾曲縁からなる傾斜縁(第1の傾斜縁22c1及び第2の傾斜縁22c2)からなるように構成されている。詳細には、本実施の形態では、後側部22の傾斜縁22cのうち、第1の傾斜縁22c1は、下縁22dから第1の距離だけ、第1の勾配で上方(上縁22aに向かう方向)に延びる曲線状をなしている。また、後側部22の第2の傾斜縁22c2は、第1の傾斜縁22c1の上端位置から上縁22aに至る第2の距離だけ(即ち、第1の傾斜縁22c1の上端から上縁22aまで)、第2の勾配で上方に延びる曲線状をなしている。具体的には、後側部22の傾斜縁22cのうち、第1の傾斜縁22c1の延設寸法である第1の距離は、下縁22dの位置から、垂直方向(即ち、上縁22aと直行する方向)において、傾斜縁22cの全体の高さ寸法の20〜40%の範囲内、好ましくは、25〜35%の範囲内、より好ましくは、27〜33%の範囲内、更に好ましくは約30%の距離に設定される。よって、後側部22の第2の傾斜縁22c2の第2の距離は、残りの距離(即ち、垂直方向において、傾斜縁22cの全体の高さ寸法の80〜60%の範囲内、好ましくは、75〜65%の範囲内、より好ましくは、73〜67%の範囲内、更に好ましくは70%の距離)に設定される。(即ち、後側部22の傾斜縁22cにおいて、第1の傾斜縁22c1と第2の傾斜縁22c2との高さ寸法の比率は、1:5〜2:5の範囲内、好ましくは、1:4〜7:13の範囲内、等々、上記の第1の傾斜縁22c1及び第2の傾斜縁22c2の高さ寸法範囲の好適範囲にしたがって決定される。)
また、後側部22の傾斜縁22cの傾斜角度や曲率(以下、これらを総称して「勾配」という。)において、第1の傾斜縁22c1の第1の勾配(即ち、曲線状の第1の傾斜縁22c1の曲率)は、中央部23の側縁23aのうち前記後縁22d近傍の湾曲部分の曲率とほぼ同一の曲率又は若干大きな勾配(即ち、曲率)に設定されており、第1の傾斜縁22c1が、中央部23の側縁23aからほぼ同一の曲率又は若干大きな曲率で連続的に延びる一連の曲線を形成するよう構成されている。一方、後側部22の第2の傾斜縁22c2の第2の勾配(即ち、曲線状の第2の傾斜縁22c2の曲率)は、第1の傾斜縁22c1の第1の勾配よりも大きな勾配(即ち、より大きな曲率)に設定されている。具体的には、後側部22の傾斜縁22cの全体を第1の傾斜縁22c1の第1の勾配に設定した場合、傾斜縁22cの上端は、上縁22aの左右方向の中央位置と左右方向両端との間の位置(例えば、左右方向中央位置から左右方向右端又は左端に向かって約1/4や約1/3等の位置)に配置されることになるが、本実施の形態では、第2の傾斜縁22c2は、その上端が(即ち、所定高さ方向寸法で所定勾配の第1の傾斜縁22c1に連続して延びる上端が)、左右の側縁22bの下端(即ち、上縁22aの左右方向の両端に対応する位置)に配置されるよう、(第1の傾斜縁22c1の高さ寸法及び勾配を前提条件として)その第2の勾配を設定している。なお、後側部22の第2の傾斜縁22c2の勾配は、前側部21の傾斜縁21cの勾配と比較しても、より大きな勾配となっている。
なお、後側部22の傾斜縁22cは、勾配の異なる2以上の傾斜縁により構成する限りにおいて、上記のように曲線状の第1及び第2の傾斜縁22c1及び22c2とする以外に、任意の傾斜縁により構成することができる。例えば、なお、後側部22の左右一対の傾斜縁22cの各々の2つの傾斜縁22c1及び22c2は、(前縁21d側の)1つの直線縁に(後縁22d側の)1つの湾曲縁を連続させた2つの傾斜縁、又は、(前縁21d側の)1つの直線縁に(後縁22d側の)別の1つの直線縁を連続させた2つの傾斜縁、又は、(前縁21d側の)1つの湾曲縁に(後縁22d側の)1つの直線縁を連続させた2つの傾斜縁から構成することもできる。或いは、3つ以上の勾配の異なる曲線及び/又は直線の組み合わせにより、後側部22の傾斜縁22cを構成することもできる。いずれの場合も、後側部22の上縁22aに近い側の傾斜縁の勾配は、後側部22の上縁22aから遠い側の傾斜縁の勾配よりも大きな勾配に設定する。
[外側被覆部への内側被覆部の接合]
図2のように一体構造とされた外側被覆部10の内面の所定部位に、図2のように一体構造とされた内側被覆部20が一体的に接合され、外側被覆部10の内面の所定領域に重ね合わされる。詳細には、図4に示すように、内側被覆部20は、外側被覆部10と同一の高さ寸法(上下方向寸法)を有しており、内側被覆部20の前側部21の上縁21aを外側被覆部10の前身頃部11の上縁11aに整合して一致させると共に、内側被覆部20の後側部22の上縁22aを外側被覆部10の後身頃部12の上縁12aに整合して一致させる。すると、このとき、内側被覆部20の前側部21の左右一対の側縁21bが、外側被覆部10の前身頃部11の左右一対の側縁11bと整合して一致すると共に、内側被覆部20の後側部22の左右一対の側縁22bが、外側被覆部10の後身頃部12の左右一対の側縁12bと整合して一致する。また、このとき、内側被覆部20の前側部21の左右一対の傾斜縁21cが、外側被覆部10の前身頃部11の左右一対の側縁11b及び左右一対の傾斜縁11cの内側に所定距離だけ離間して配置されると共に、内側被覆部20の後側部22の左右一対の傾斜縁22cが、外側被覆部10の後身頃部12の左右一対の側縁12b及び左右一対の傾斜縁12cの内側に所定距離だけ離間して配置される。更に、このとき、内側被覆部20の中央部23の左右一対の側縁23aが、外側被覆部10の股部13の左右一対の側縁13bの内側に所定距離だけ離間して配置される。この状態で、内側被覆部20の接合代(縫製の場合は、縫い代)部分である前側部21の傾斜縁21c及び中央部23の側縁23a及び後側部22の傾斜縁22cのそれぞれから一定幅をおいた位置を、当該位置の線に沿って、縫製等により外側被覆部10の前身頃部11及び股部13及び後見頃部12に縫製等により接合して固定することにより、連続線状の接合部(以下、「線状接合部」という。)31,32,33,34が形成され、この線状接合部31,32,33,34により、内側被覆部20が外側被覆部10の内面における所定部位に一体的に固定される。
ここで、この線状接合部は、図4に示すように、内側被覆部20の前側部21の傾斜縁21cの全長に沿って傾斜縁21cと(接合代の間隔を置いて)平行に設けられる第1の線状接合部31と、中央部23の側縁23aの全長に沿って側縁23aと(接合代の間隔を置いて)平行に設けられる第2の線状接合部32と、後側部22の傾斜縁22cのうち第1の傾斜縁22c1の全長に沿って第1の傾斜縁22c1と(接合代の間隔を置いて)平行に設けられる第1の線状接合部33と、第2の傾斜縁22c2の全長に沿って第2の傾斜縁22c2と(接合代の間隔を置いて)平行に設けられる第4の線状接合部34とからなり、これら第1〜第4の線状接合部31〜34を一連の接合線となるよう、縫製等により形成したものである。
[ウエストバンド部]
ウエストバンド部30は、前記積層状態の外側被覆部10及び内側被覆部20の上縁11a,12a,21a,22aに接合される周回状をなし、着用者の腰部の所定高さ位置を弾性的に締め付けて、当該所定高さ位置に保持されることにより、内側被覆部20の前側部21及び後側部23を介して中央部23を着用者の股間部の前記圧接範囲に向かって引き上げて圧接させる。即ち、ウエストバンド部30は、図1及び図2に示すように、一体構造とされた外側被覆部10及び内側被覆部20の前身頃部11及び21の上縁11a及び21aから後身頃部12及び22の上縁12a及び22aの全長にわたる長さで一定幅を有する周回帯状をなし、所定の高弾性率の弾性素材により形成されている。ウエストバンド部30は、その原状態(外部から周方向の引っ張り力を加えない状態)で、着用者の腸骨陵の上端位置付近(例えば、前記上前腸骨棘及び上後腸骨棘の上端の直上位置)のウエストサイズと同等又は所定寸法だけ小さい周回長さを有している。そして、ウエストバンド部30は、その下縁を、上記一体構造とした外側被覆部10及び内側被覆部20の上縁11a,12a,21a,22aに(縫い代等の所定の接合代を介して)一体的に接合され、これにより、図1に示す一体構造の女性用下着1が完成する。なお、図5〜図10は、それぞれ、完成状態の女性用下着1の表面側を示す六面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)であり、図11〜図17は、それぞれ、完成状態の女性用下着1の裏面側(内面側)を示す斜視図及び六面図(正面図、背面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図)である。
[面的圧接支持手段]
ここで、本発明者は、骨盤臓器脱の骨盤内臓器が着用者の外性器から外部に脱するのを防止するためには、外側被覆部10の内面に内側被覆部20を積層して配設すると共に、内側被覆部20の中央部23により着用者の外性器部分を密接して押圧する一方で、骨盤内臓器の外性器からの脱出時の付勢力により内側被覆部20の中央部23の部分が下方に伸びること(これにより、骨盤内臓器が着用者の外性器から外部に脱するのを防止できなくなること)を効果的に抑制するためには、内側被覆部20を上記のような(外側被覆部10よりも低い伸長性を有する)非伸長性又は低伸長性のシート素材により一体形成することが有効であるとの知見を得た。そして、本発明者は、まず、この知見に基づき、女性用下着1において、非伸長性又は低伸長性のシート素材により一体形成されて、ウエストバンド部30の前側部分の全体の下縁位置から後側部分の全体の下縁位置まで延びる内側被覆部20の股間部23により、(骨盤臓器脱等を防止するために)着用者の股間部の所定範囲を面的に圧接して支持するための面的圧接支持手段を構成している。
一方、本発明者は、図5に示すように、前記非伸長性又は低伸長性の内側被覆部20を、(内側被覆部20よりも高い伸長性の)外側被覆部10の内面の前記所定部位に縫製等により接合する場合、内側被覆部20が前記非伸長性又は低伸長性であることから、単に内側被覆部20を外側被覆部10に接合しただけでは、(伸長性が低い)内側被覆部20が、着用者の体形(特に、下腹部から股間部を経て臀部に至る着用者の正中線に沿った部位の凹凸形状)に柔軟に追従せず、中央部23が着用者の股間部の露出面(典型的には、圧接して押圧する必要のある部位である外性器表面、特には、膣口周辺部位)に圧接しないことがあるとの知見も合わせて得た。
そして、本発明者は、これらの知見に基づき、鋭意研究を続けた結果、上記のように、前記面的圧接支持手段を備えた内側被覆部20において、外側被覆部10の内面に、内側被覆部20の端縁部(即ち、前側部21の傾斜縁21c、中央部23の側縁23a及び後側部22の傾斜縁22cのそれぞれの端縁部)を、線状接合部31〜34を介して一体的に接合することにより、内側被覆部20を外側被覆部10の内面の所定部位に移動不能に安定して固定できることができ、かつ、女性用下着1を着用したときに、(着用者の腰部の定位置に固定された)ウエストバンド部30からの引き上げ力を、内側被覆部20の前側部21及び後側部22に効率良く(及び、引き上げ力を実質的に損失することなく)伝達し、前側部21及び後側部22を介して、中央部23を前後の端縁(即ち、前縁21d及び後縁22d)から上方に引き上げて、着用者の外性器の露出面に押し当てることができるとの知見を得た。即ち、本発明者は、内側被覆部20についえ、前記非伸長性シート素材又は低伸長性シート素材からなる前側部21と中央部23と後側部23とを、ウエストバンド部30の前側の少なくとも中央部の下縁位置から後側の少なくとも中央部の下縁位置まで一連の連続シート状として延設すると共に、前側部21及び中央部23及び後側部22の延設方向に沿った両側の縁(傾斜縁21c、側縁23a、傾斜縁22c)を、それぞれ、それらの縁に対応する線形状の線状接合部31〜34により、外側被覆部10の前身頃部11及び股部13及び後身頃部12に一体的に接合することで、前記伸縮性及び弾性を有するシート素材からなる外側被覆部10により、前記内側被覆部の前側部及び中央部及び後側部を左右方向両側から引っ張り状態で保持して、前記外側被覆部の前身頃部及び股部及び後身頃部の左右方向中央部に保持し、かつ、前記非伸長性シート素材又は低伸長性シート素材からなる前記一連の連続シート状の前側部と中央部と後側部とを、前記ウエストバンド部による引き上げ力によって(伸長することなく)上方に引き上げることで、前記中央部を着用者の股間部の前記圧接範囲に圧接させることができるとの知見を得た。
この場合において、更に、本発明者は、前記面的圧接支持手段を備えた内側被覆部20において、後側部22の傾斜縁22cを(上記第1の傾斜縁22c1及び第2の傾斜縁22c2のような)勾配の異なる複数の部分により構成すると共に、後側部22の上縁22aに近い側の傾斜縁の勾配は、後側部22の上縁22aから遠い側の傾斜縁の勾配よりも大きな勾配に設定し、当該傾斜縁22cの異なる勾配に対応して(後側部22における鉛直線に対する)第1〜第4の線状接合部31〜34の勾配を異ならせて、これら第1〜第4の線状接合部31〜34を介して、内側被覆部20の後側部22を外側被覆部10の後身頃部12に一体的に接合すると、内側被覆部20が前記非伸長性又は低伸長性であっても、内側被覆部20が、着用者の体形(特に、下腹部から股間部を経て臀部に至る着用者の正中線に沿った部位の凹凸形状)に追従して、中央部23が着用者の股間部の露出面(典型的には、圧接して押圧する必要のある部位である外性器表面、特には、膣口周辺部位)に圧接するとの知見を得た。
典型的には、この場合、本実施の形態のように、後側部22における鉛直線(後側部22の上縁22aの左右方向中央位置と下縁22dの左右方向中央位置とを結ぶ仮想線)に対する傾斜縁22cの勾配については、傾斜縁22cを勾配の異なる2つの部分に分けて、その勾配を途中で(即ち、所定の高さ位置で)変更すると共に、上縁22a側の勾配を相対的に大きくすることによって、後側部22に対して上縁22aから鉛直方向で上方への引っ張り力又は引き上げ力を加えたときに、当該勾配の異なる第1の傾斜縁22c1及び第2の傾斜縁22c2で異なる力又はベクトル(引き上げ方向が異なる力)を得ることができる。そして、本発明者は、後側部22の傾斜縁22c全体における力又はベクトルは、これら勾配の異なる第1の傾斜縁22c1及び第2の傾斜縁22c2での異なる力又はベクトルからなる合成力又は合成ベクトルとなり、第1の傾斜縁22c1及び第2の傾斜縁22c2の相対的な勾配を変更することで、特に、傾斜縁22c全体での合成力又は合成ベクトルの方向を変更し、これによって、特に、後側部22の中央部23近傍(即ち、下縁22d近傍)の生地部分、及び、当該生地部分に隣接する中央部23の生地部分における、生地の展張状態を制御できることを見出した。即ち、特に、内側被覆部20が非伸長性又は低伸長性のシート素材製であることから、通常の下着の生地のようには上下左右方向に伸長又は伸縮せずに着用者の体形の凹凸等の柔軟に対応しないため(即ち、伸長又は伸縮によるフィット性は低いため)、本発明の女性用下着は、シート素材自体の伸長性又は伸縮性ではなく、シート素材の展張状態を制御して所望範囲部分を当該所望範囲部分に対向する着用者の体の部位(即ち、外性器の所望表面範囲、特に、膣前庭範囲)にできるだけ密接するようにしている。換言すれば、本発明の女性用下着は、かかる展張状態(即ち、当該所望範囲の外形乃至輪郭に内包される範囲のシート素材部分が、前後左右に展張した状態)を維持するような前記合成力又は合成ベクトルが得られるよう、前側部21の傾斜縁21c及び後側部22の傾斜縁22cの傾斜角度を設定して調整制御している。
そして、本発明者は、このように所定部位の生地の展張状態を制御することで、女性用下着1の着用時に、着用者の股間部の露出面の所望範囲(特に、女性器を包含する範囲で、少なくとも、膣口及びその周辺の膣前庭を含む範囲)に対する中央部23の圧接面積や押圧力や押圧方向を制御可能であるとの知見を得て、この知見に基づき、後側部22の傾斜縁22cの勾配を(前記第1の傾斜縁22c1及び第2の傾斜縁22c2を組み合わせることで)所定勾配となるようにしており、本実施の形態においても、この観点から、第1の傾斜縁22c1及び第2の傾斜縁22c2のそれぞれの高さ寸法と勾配とを設定している。即ち、後側部22の傾斜縁22cの勾配は、典型的には、本発明の女性用下着1の着用時に、中央部23の内面が、着用者の股間部の外性器露出面の全範囲(特に、膣口周辺部位の全範囲)に対して実質的に隙間なく圧接され、かつ、中央部23が、当該範囲を所定以上の押圧力(例えば、骨盤臓器脱において膣口から外部に脱しようとする骨盤内臓器を内部に押し留めるのに必要な圧力)で継続的に押圧できる勾配となるよう設定されている。即ち、内側被覆部20の後側部22は、ウエストバンド部30の後側半部の下縁に一致する上縁22aと、上縁22aの左右両端から下方に伸びる一対の側縁22bと、側縁22bの下端から中央部23まで所定の勾配で延びる左右一対の傾斜縁22cとを有すると共に、左右一対の傾斜縁22cを、それぞれ、中央部23に近い側の第1の傾斜縁22c1と、ウエストバンド部30に近い側の第2の傾斜縁22c2とに所定高さ位置で分割し、かつ、後側部22の鉛直線に対する第1の傾斜縁22c1の勾配より第2の傾斜縁22c2の勾配を相対的に大きく設定して、傾斜縁22cの勾配を前記所定高さ位置で変更し、前側部21の左右一対の傾斜縁21c、中央部23の左右一対の側縁23a、及び、後側部22の左右一対の傾斜縁22cを、それぞれ、前側部21の傾斜縁21cに対応する線形状の第1の線状接合部31、中央部23の側縁23aに対応する線形状の第2の線状接合部32、及び、後側部22の第1の傾斜縁22c1に対応する線形状の第3の線状接合部33、及び、後側部22の第2の傾斜縁22c2に対応する線形状の第4の線状接合部34により、外側被覆部10の前身頃部11及び股部13及び後身頃部12に一体的に接合し、着用者の体形に応じて、前側部21の傾斜縁21cの勾配と、後側部22の第1の傾斜縁22c1の勾配と第2の傾斜縁22c2の勾配とをそれぞれ変更することで(即ち、これらの勾配を変更した各種の女性用下着を用意して着用者の体形に応じて使用することで)、ウエストバンド部30による引き上げ力に基づく前側部21及び後側部22からの引っ張り力による中央部23の展張状態を制御して、中央部23が着用者の所定圧接範囲に面的に密接して当該圧接範囲を継続的に押圧するようにしている。
[内側被覆部20の中央部23の展張制御]
上述した内側被覆部20の中央部23の展張制御について、図18及び図19、並びに、図22及び図23を参照して説明する。
まず、図18及び図19に示すように、着用者USが女性用下着1を着用すると、外側被覆部10の前身頃部11が着用者USの下腹部の全範囲を覆うと共に、後身頃部11が着用者USの臀部の全範囲を覆い、更に、股部13が着用者USの股間部の全範囲を覆う一方、外側被覆部10の内面で、内側被覆部20の前側部21が着用者USの下腹部の左右方向中央部を覆うと共に、後側部22が着用者USの臀部の左右方向中央部を覆い、更に、中央部23が着用者USの股間部の少なくとも外性器部分を覆う。このとき、女性用下着1は、ウエストバンド部30が、着用者USの腰部の所定高さ位置の部位を弾性的に締め付けることにより当該所定高さ位置に固定的に配置定される。よって、着用者USの体形に応じて、女性用下着の特に内側被覆部20において、ウエストバンド部30の前側の下縁位置から後側の下縁位置までの前後周回方向の寸法を、着用者の前記所定高さ位置(即ち、ウエストバンド部30の固定高さ位置)における前後周回方向の寸法より所定寸法だけ(例えば、着用者に窮屈感を与えない範囲の所定寸法だけ)小さく設定することにより、ウエストバンド部30から前側部21及び後身頃22に対して、それぞれ、上方への引っ張り力及び引き上げ力が加わることになり、これにより、前側部21及び後身頃22を介して、中央部23の前縁21d及び後縁22dに前側上方及び後側上方への引っ張り力及び引き上げ力が加わることになる。
<前身頃部側>
したがって、図22に示すように、女性用下着1の着用時に、内側被覆部20の前側部21には、まず、前記引き上げ力によって、図22中の垂直方向の一点鎖線で示す方向(鉛直方向の上方)の第1の力又はベクトルが、(左右一対の第1の線状接合部31間にある)前側部21の特に左右方向中央部の帯状の領域(典型的には、中央部23の位置及び幅に対応する位置及び幅の帯状部分)に発生する。一方、内側被覆部20の前側部21は、その傾斜縁21cが単一の勾配の第1の線状接合部31により外側被覆部10の前身頃部11に接合されている。したがって、前側部21には、前記第1の力又はベクトルに加えて、前記引き上げ力が第1の線状接合部31に伝達され、傾斜縁21c部分において、前記単一の曲線である傾斜縁21cの勾配に応じて、図22中の傾斜方向の一点鎖線で示す方向(傾斜方向の上方)の第2の力又はベクトルが発生する。その結果、前側部21には、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルからなる2つの異なる方向の(所定の交差角度で交差する)力又はベクトルが作用することになり、特に、前側部21の下縁21dの下方に配設される中央部23の前側部分では、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルのそれぞれの始点(図22中に小さい黒丸乃至黒点で示す位置の点)が重複することとなり、かかる重複した始点が、重複した作用点となって、当該第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複した作用点(以下、「重複作用点」という。)からの力が、中央部23の前側部分に合成して加えられる。なお、図22の説明では、説明の便宜上、前側部21の傾斜縁21cの円弧方向の中間点における接線方向を、前側部21の傾斜縁21cの第2の力又はベクトルの方向として説明する。結果的に、前側部21の傾斜縁21cの勾配を適宜変更することで、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複作用点の位置を変更し、当該重複作用点の位置の変更に応じて、中央部23の展張状態を調節して制御することができる。
<前身頃部側の具体例>
具体的には、図22(a)に示すように、前側部21の傾斜縁21cの勾配(即ち、この場合は曲率)を相対的に小さな値である第1の勾配α1に設定すると、傾斜縁21cの円弧方向中間点において第2の力又はベクトルが水平線(即ち、前側部21の第1の力又はベクトルの方向と一致する鉛直線と直交する線)に対して形成する傾斜角α1が相対的に大きな角度となる。したがって、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複作用点の位置は、前側部21の下縁21dを超えて中央部23側に変位し、中央部23の前縁21dよりも後方の第1の位置(典型的には、着用者の恥骨の下端を下方又は後方に超えた位置であって、外性器の膣前庭部分の前端付近の位置)に来る。また、図22(b)に示すように、前側部21の傾斜縁21cの勾配を相対的に中間的な値(即ち、前記第1の勾配α1よりも大きな値)である第2の勾配α2に設定すると、傾斜縁21cの円弧方向中間点において第2の力又はベクトルが水平線に対して形成する傾斜角α2が相対的に中間的な角度(即ち、前記傾斜角α1よりも大きな角度)となる。したがって、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複作用点の位置は、図22(a)の第1の勾配α1の場合よりも前身頃21側に変位し、前側部21と中央部23との境界位置である第2の位置(典型的には、着用者の恥骨の下端付近の位置又は外性器全体の前端付近の位置であって、前側部21の下縁21d又は中央部23の前縁21dの位置)に来る。また、図22(c)に示すように、前側部21の傾斜縁21cの勾配を相対的に大きな値(即ち、前記第2の勾配α2よりも更に大きな値)である第3の勾配α3に設定すると、傾斜縁21cの円弧方向中間点において第2の力又はベクトルが水平線に対して形成する傾斜角α3が相対的に大きな角度(即ち、前記傾斜角α2よりも更に大きな角度)となる。したがって、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複作用点の位置は、図22(b)の第2の勾配α2の場合よりも更に前側部21側に変位し、前側部21の下縁21dよりも上方の第3の位置(典型的には、着用者の恥骨の下端よりも所定距離だけ上方の位置であって、前側部21の下縁21d又は中央部23の前縁21dよりも所定距離だけ上方の位置)に来る。
<後身頃部側>
前側部21の場合と同様に、図23に示すように、女性用下着1の着用時に、内側被覆部20の後側部22には、まず、図23中の垂直方向の一点鎖線で示す方向(鉛直方向の上方)の第1の力又はベクトルが、(左右一対の第3及び第4の線状接合部33,34間にある)後側部22の特に左右方向中央部の帯状の領域(典型的には、中央部23の位置及び幅に対応する位置及び幅の帯状部分)に発生する。一方、内側被覆部20の後側部22は、その傾斜縁22cが、異なる勾配の第1の傾斜縁22c1及び第2の傾斜縁22c2からなり、第1の傾斜縁22c1が第3の線状接合部33により外側被覆部10の後身頃部12に接合されると共に、第2の傾斜縁22c2が第4の線状接合部34により外側被覆部10の後身頃部12に接合されている。したがって、後側部22には、前記第1の力又はベクトルに加えて、前記引き上げ力が第4の線状接合部34から第3の線状接合部33に伝達され、傾斜縁22c部分において、(異なる勾配の第1及び第2の傾斜縁22c1,22c2からなる)傾斜縁22cの勾配に応じて、図23中の傾斜方向の一点鎖線で示す方向(傾斜方向の上方)の第2の力又はベクトルが発生する。
ここで、後側部22の傾斜縁22c全体における力又はベクトルは、上記のとおり、勾配の異なる第1の傾斜縁22c1及び第2の傾斜縁22c2で(第3の線状接合部33及び第4の線状接合部34を介して)発生する異なる2つの力又はベクトルの合成力又はベクトルとなるが、本説明では、説明の便宜上、かかる合成力又はベクトルを1本の力又はベクトルに変換して図23に示し、本説明中の第2の力又はベクトルとして説明する。前側部21の(単一の勾配乃至曲率の曲線である)傾斜縁21cの第2の力又はベクトルの方向は、上記のように、傾斜縁21cの円弧方向中央位置の接線方向として近似して説明することができるが、後側部22の傾斜縁22cは、勾配乃至曲率の異なる2つの曲線(即ち、下側にある相対的に大きな勾配乃至曲率の第1の傾斜縁22c1と、上側にある相対的に小さな勾配乃至曲率の第2の傾斜縁22c2)からなるため、傾斜縁22cにおける2つの力又はベクトルの合成力又は合成ベクトルである第2の力又はベクトルの方向は、傾斜縁22cの円弧方向中央位置よりも下方(第1の傾斜縁22c1に近接する方向)に偏った位置の接線の方向に近似して説明することができる。
このように、前側部21の場合と同様、後側部22には、前記第1の力又はベクトルに加えて、傾斜縁22c部分において、(異なる複数の勾配を有する)曲線である傾斜縁21cの勾配に応じて、図23中の傾斜方向の一点鎖線で示す方向(傾斜方向の上方)の第2の力又はベクトルが発生する。その結果、後側部22には、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルからなる2つの異なる方向の(所定の交差角度で交差する)力又はベクトルが作用することになり、特に、後側部22の下縁22dの下方に配設される中央部23の後側部分では、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルのそれぞれの始点(図23中に小さい黒丸乃至黒点で示す位置の点)が重複することとなり、かかる重複した始点が、重複した作用点となって、当該第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複作用点からの力が、中央部23の後側部分に合成して加えられる。結果的に、後側部22の傾斜縁22cの勾配を適宜変更することで(即ち、第1の傾斜縁22c1の勾配及びだ2の傾斜縁22c2の勾配のいずれか一つ、または、双方を変更して、傾斜縁22c全体の勾配を変更することで)、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複作用点の位置を変更し、当該重複作用点の位置の変更に応じて、中央部23の展張状態を調節して制御することができる。
特に、後側部22では、上記のように、傾斜縁22cを2つの勾配部分(即ち、第1の傾斜縁22c1及び第2の傾斜縁22c2)から構成すると共に、後側部22の縁直線に対する傾斜縁22cの勾配を、中央部23に近い下縁22d側では小さくし、かつ、中央部23から遠い(即ち、ウエストバンド部30に近い)上縁22a側では大きくすることで、当該勾配の異なる第1の傾斜縁22c1部分及び第2の傾斜縁22c2部分で異なる力又はベクトルを得ることができ、特に、中央部23に近い第1の傾斜縁22c1の勾配を、鉛直線に対してより小さな勾配の(即ち、より直立するような勾配、例えば、80〜90度の範囲内、好ましくは、85〜90度の範囲内の勾配)とすることで、後側部22の中央部23近傍の生地部分、及び、当該生地部分に隣接する中央部23の生地部分における生地の展張状態を一層容易に制御することができる。
<後身頃部側の具体例>
具体的には、図23(a)に示すように、後側部22の傾斜縁22cの勾配(即ち、この場合は曲率)を相対的に小さな値である第1の勾配β1に設定すると、傾斜縁22cの円弧方向所定地点において第2の力又はベクトルが水平線に対して形成する傾斜角β1が相対的に大きな角度となる。したがって、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複作用点の位置は、後側部22の下縁22dを超えて中央部23側に変位し、中央部23の後縁22dよりも前方の所定位置(典型的には、着用者の尾骨の下端を下方又は前方に超えた位置であって、外性器の膣前庭部分の後端付近の位置)に来る。また、図23(b)に示すように、後側部22の傾斜縁22cの勾配を相対的に中間的な値(即ち、前記第1の勾配β1よりも大きな値)である第2の勾配β2に設定すると、傾斜縁22cの円弧方向所定地点において第2の力又はベクトルが水平線に対して形成する傾斜角β2が相対的に中間的な角度(即ち、前記傾斜角β1よりも大きな角度)となる。したがって、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複作用点の位置は、図23(a)の第1の勾配β1の場合よりも後身頃22側に変位し、後側部22と中央部23との境界位置(典型的には、着用者の尾骨の下端付近の位置であって、後側部22の下縁22d又は中央部23の後縁22dの位置)に来る。また、図23(c)に示すように、後側部22の傾斜縁22cの勾配を相対的に大きな値(即ち、前記第2の勾配β2よりも更に大きな値)である第3の勾配β3に設定すると、傾斜縁22cの円弧方向所定地点において第2の力又はベクトルが水平線に対して形成する傾斜角β3が相対的に大きな角度(即ち、前記傾斜角β2よりも更に大きな角度)となる。したがって、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複作用点の位置は、図23(b)の第2の勾配β2の場合よりも更に後側部22側に変位し、後側部22の下縁22dよりも上方の所定位置(典型的には、着用者の尾骨の下端よりも所定距離だけ上方の位置であって、後側部22の下縁22d又は中央部23の後縁22dよりも所定距離だけ上方の位置)に来る。
[作用効果]
上記のように、前側部21の傾斜縁21cの勾配を第1の勾配α1、第2の勾配α2及び第3の勾配α3の間で変更することで、中央部23の前側から加わる第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複作用点の位置を第1の位置、第2の位置及び第3の位置の間で変更することができる一方、後側部22の傾斜縁22cの勾配を第1の勾配β1、第2の勾配β2及び第3の勾配β3の間で変更することで、中央部23の後側から加わる第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複作用点の位置を第1の位置、第2の位置及び第3の位置の間で変更することができる。したがって、上記のように、非伸長性又は低伸長性の内側被覆部20において、前側部21の傾斜縁21cの勾配及び後側部22の傾斜縁22cの勾配をそれぞれ適宜変更して、中央部23の前側からの力又はベクトルの重複作用点の位置と中央部23の後側からの力又はベクトルの重複作用点の位置とを、(例えば、上記第1〜第3の位置の間で)適宜変更することで、中央部23の前後における当該重複作用点の位置の組み合わせに応じて、中央部23に対して前後から加わる引張力の位置を変更することができ、この引張力の位置の変更に応じて布部23の展張状態を制御することができ、この展張状態の制御により着用者の股間部に対する股間部23の圧接状態が、着用者の体形(特に、股間部の形状)に応じて最適なものとなるように調節して制御することができる。
具体的には、例えば、中央部23の前側の力又はベクトルの重複作用点を図22(c)の位置とし、中央部23の後側の力又はベクトルの重複作用点を図23(c)の位置とすると、中央部23の前縁21d及び後縁22dよりも前後に離れた位置から中央部23を前方及び後方に引っ張り上げることができ、着用者の股間部周辺に対する股間部23及びその周辺部分の圧接範囲がより広範囲となるように中央部23を展張することができる。また、例えば、中央部23の前側の力又はベクトルの重複作用点を図22(b)の位置とし、中央部23の後側の力又はベクトルの重複作用点を図23(b)の位置とすると、中央部23の前縁21d及び後縁22dとほぼ一致する位置で中央部23を前方及び後方に引っ張り上げることができ、着用者の股間部の外性器の前端及び後端間の範囲にほぼ一致する範囲が集中的な圧接範囲となるように中央部23を展張することができる。また、例えば、中央部23の前側の力又はベクトルの重複作用点を図22(a)の位置とし、中央部23の後側の力又はベクトルの重複作用点を図23(a)の位置とすると、中央部23の前縁21d及び後縁22dよりも内側の位置(即ち、膣前庭により近接した位置)で中央部23を前方及び後方に引っ張り上げることができ、着用者の股間部の外性器のうち(特に骨盤臓器脱において膣口から外部に脱しようとする骨盤内臓器を集中的かつ効率的に下側から押圧支持できる)膣前庭の範囲にほぼ一致する範囲が集中的な圧接範囲となるように中央部23を展張することができる。
或いは、中央部23の前側からの引き上げ力について、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複作用点が前記第1の位置(図22(a)の位置)にくるよう、前側部21の傾斜縁21cの勾配を第1の勾配α1に設定すると、股間部23には、その前縁21dよりも下方又は後方に所定距離だけ離れた位置で、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの始点から引き上げ力が加わる。このとき、第1の力又はベクトルは、当該第1の位置で中央部23を上方に垂直に引き上げようとし、第2の力又はベクトルは、当該第1の位置で中央部23を左右上斜め方向に所定角度α1で引き上げようとする。一方、このとき、中央部23の前縁21dの位置付近には着用者の恥骨の下端が位置しており、一般に恥骨部分では恥骨の下端縁がコーナー部状(後方に屈曲する隅角状)となっていることから、左右からの第2の力又はベクトルによる引張力は、当該コーナー部において左右方向に離間した位置で、それぞれ、中央部23を前方に引っ張る力となり、当該離間した位置の幅をもって、中央部23に対して前方への展張力を付与する。したがって、中央部23の前側の力又はベクトルの重複作用点を図22(a)の位置とした場合、中央部23の左右方向の展張状態を(特に前側で)良好なものとして、中央部23を着用者の股間部に圧接させることができる。
一方、中央部23の後側からの引き上げ力についても、同様に、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの重複作用点が前記第1の位置(図23(a)の位置)にくるよう、後側部22の傾斜縁22cの勾配を第1の勾配β1に設定すると、股間部23には、その後縁22dよりも下方又は前方に所定距離だけ離れた位置で、第1の力又はベクトル及び第2の力又はベクトルの始点から引き上げ力が加わる。このとき、第1の力又はベクトルは、当該第1の位置で中央部23を上方に垂直に引き上げようとし、第2の力又はベクトルは、当該第1の位置で中央部23を左右上斜め方向に所定角度β1で引き上げようとする。一方、このとき、中央部23の後縁22dの位置付近には着用者の尾骨の下端が位置しており、一般に尾骨部分では尾骨の下端縁がコーナー部状(前方に屈曲する隅角状)となっていることから、左右からの第2の力又はベクトルによる引張力は、当該コーナー部において左右方向に離間した位置で、それぞれ、中央部23を後方に引っ張る力となり、当該離間した位置の幅をもって、中央部23に対して後方への展張力を付与する。したがって、中央部23の後側の力又はベクトルの重複作用点を図23(a)の位置とした場合、中央部23の左右方向の展張状態を(特に後側で)良好なものとして、中央部23を着用者の股間部に圧接させることができる。よって、中央部23の前側の力又はベクトルの重複作用点を図22(a)の位置とし中央部23の後側の力又はベクトルの重複作用点を図23(a)の位置とした場合、中央部23の左右方向の展張状態を前側及び後側の双方で良好なものとして、中央部23を着用者の股間部に(確実に外性器の全範囲を包含するよう)面的に圧接させることができる。
また、このとき、中央部23の側縁23a部分が、第2の線状接合部32により外側被覆部10の股部13に接合されると共に、当該第2の線状接合部32の前端が前側部21の傾斜縁21c部分の第1の線状接合部31の下端に連続し、かつ、当該第2の線状接合部32の後端が後側部22の傾斜縁22c部分の第3の線状接合部33及び第4の線状接合部34の下端に連続している。したがって、前側部21及び後側部22からの引き上げ力が、効率よく伝達される。
上記のとおり、前側部21のように、傾斜縁21cが単一の曲線から構成される場合は、傾斜縁21cの勾配は、当該単一の曲線の曲率により決定され、傾斜縁22cが単一の直線から構成される場合は、傾斜縁21cの勾配は、当該単一の直線の傾斜角により決定される。一方、後側部22のように、傾斜縁22cが異なる曲率の第1の傾斜縁22c1及び第2の傾斜縁22c2から構成される場合は、当該2つの曲線の高さ寸法(即ち、曲線の長さ(円弧長))の比と、当該2つの曲線の曲率の比の組み合わせにより、傾斜縁22c全体の勾配が決定される。また、後側部22の傾斜縁22cが、前側部21の傾斜縁21cよりも所定の角度だけ鋭角の傾斜状となっている。即ち、後側部22の下側部分の湾曲傾斜状をなす左右一対の傾斜縁22cは、着用者の臀部の左右方向中央部の位置で延びるような輪郭形状、具体的には、着用者の後側部分である臀部において脚の付け根とウエストラインとの間の部分を曲線的に延びるような輪郭形状を有しており、この輪郭形状を持って後側部22が着用者の臀部の左右方向中央部分を覆うようになっており、後側部22の左右一対の傾斜縁22cが、それぞれ、着用者の骨盤の左右一対の腸骨陵の上端付近の位置(上記のような上後腸骨棘の所定高さ位置)から股間位置まで、着用者の臀部の(脚の付け根とウエストラインとの間の)前記中間部分の湾曲面に沿って延びるよう設けられている。
[使用例]
実施の形態1の女性用下着は、図20及び図21に示すように、着用時に、ウエストバンド部30が着用者USの腰部の所定高さ位置で腰部を弾性的に締め付けた状態で固定され、この状態で、外側被覆部10の前身頃部11が着用者の下腹部の全面を覆い、後身頃部12が臀部の全面を覆い、股部13が股間部の全面を覆う。一方、この状態で、内側被覆部20は、前側部21が着用者USの下腹部の左右方向中央部の所定範囲を覆い、後側部22が臀部の左右方向中央部の所定範囲を覆い、股部13が股間部の少なくとも外性器を包含する範囲を覆う。このとき、内側被覆部20は、上記のとおり、中央部23が着用者の股間部の少なくとも外性器を包含する範囲の露出面に面的に圧接した状態を維持するため、図21(a)に示すように本実施の形態の女性用下着1を着用していない場合においては、骨盤臓器脱の場合に骨盤内臓器VGが外性器の膣口PRから外部に脱しようとするが、図21(b)に示すように本実施の形態の女性用下着1を着用すると、内側被覆部20の中央部23が、膣口PRから外部に脱しようとする骨盤内臓器VGを外部及び下方から支持して、骨盤内臓器VGが膣口PRから外部に脱することを効果的に防止する。
[実施の形態2]
図24に示すように、本発明の実施の形態2に係る女性用下着は、実施の形態1の女性用下着1の内側被覆部20の上縁(即ち、前側部21の上縁21a及び後側部22の上縁22a)に、ウエストバンド部30と同様の周回帯状の補助ベルト部40を一体形成し、補助ベルト部40をウエストバンド部30に積層して(即ち、その外側又は内側に重ね合わせて)一体化するようにしたものである。この構成以外の構成は、実施の形態1の女性用下着1と同様である。実施の形態2に女性用下着では、ウエストベルト30の弾性締め付け力に加えて補助ベルト部40の弾性締め付け力を合体させることで、着用者のウエスト部の所定高さ位置(上記のような骨盤の腸骨上端付近の位置)にウエストバンド部30(並びに外側被覆部10及び内側被覆部20の上縁)を固定的に安定して保持することができ、中央部23に対して引き上げ力をより効果的に伝達することができる。
[別例]
ところで、上記実施の形態の説明では、外側被覆部10は、前身頃部11、後身頃部12及び股部13の3つのシート素材からなる構成とし、それらの接合端縁を互いに接合して最終的な外側被覆部10の一体構造(通常の女性用下着に対応する構造)としているが、これは、あくまで説明の便宜上の要請に基づくものであり、例えば、前身頃部11、後身頃部12及び股部13の全てを1枚のシート状素材から形成して、当該シート素材を接合端縁で接合して最終的な外側被覆部10の一体構造としたり、或いは、前身頃部11、後身頃部12及び股部13のいずれかの2つを1枚のシート状素材から形成すると共に、他の1つを別個のシート素材から形成し、当該2枚のシート素材を接合端縁で接合して最終的な外側被覆部10の一体構造としたりすることもできる。例えば、前身頃部と股部、又は、後身頃部と股部とを1枚のシート素材から形成することもできる。更には、前身頃部と後身頃部とを1枚のシート素材から形成し、かつ、後身頃部の左右中央位置で2分割したシート形状とすると共に、その1枚のシート素材を分割位置の端縁で接合する一方、別のシート素材から形成した股部をかかる1枚のシート素材に接合することもできる。更にまた、前身頃部11、後身頃部12又は股部13を(特に、前身頃部11及び後身頃部12のいずれか、または、双方を)、それぞれ、複数の領域に区画して各領域を別個のシート素材から形成し、各領域のシート素材を接合して前身頃部11、後身頃部12又は股部13を構成することもできる。
一方、上記実施の形態の説明では、内側被覆部20は、前側部21、後側部22及び中央部23の3つの部分からなる一体構造としているが、上記のとおり、1枚のシート素材から所定形状及び所定寸法に形成した所定の一体構造構成とする以外に、前側部21、後側部22及び中央部23をそれぞれ別個のシート素材から形成した別体構成とし、それらを接合端縁で縫製等により接合して所定の一体構造となるようにすることも可能である。
また、本発明の女性用下着1では、外側被覆部10は、前見頃部11及び後見頃部12が着用者の腰骨の高さ位置まで延びる深い丈を有しており、かつ、前見頃部11及び後見頃部12並びに股部13が、内側被覆部20の前側部21及び後側部22並びに中央部23を完全に外側から覆って、少なくとも前見頃部11及び後見頃部12が内側被覆部20の前側部21及び後側部22の左右両側に延設される(或いは張り出す)構成とされる限りにおいて、実施の形態に例示する外観構成以外にも、いわゆるローレグのライン構成としたり、いわゆるブラジリアンカットのバックスタイルとしたりするなど、種々の外観構成を採用することができる。更に、五分長(膝上丈)のものとしたり、三分長(膝より半分の短さのもの)としたり、壱分長(ボーイレッグとほぼ同じ丈のもの)としたりすることもできる。
また、本発明の女性用下着1では、着用者の股間部に対向する部分である外側被覆部10の股部13と内側被覆部20の中央部23の積層構造については、外側被覆部10の股部13自体を通常の女性用下着のように2枚重ねの構造とし、その上に内側被覆部20の中央部23を重ね合わせること(即ち、合計で3枚重ねの構造とすること)も可能であるが、それぞれを1枚のシート素材から構成し、合計で2枚のシート素材を重ね合わせた二枚重ねの構造とすることが、着用者の股間部における蒸れ等を防止する点からは好ましい。一方、内側被覆部20のシート素材の材質によっては(特に肌触りのよくない材質の場合)、中央部23の内面に肌触りのよい材質の生地を重ね合わせて接合することも可能である。或いは、内側被覆部20の中央部23の内面に、着用者の外性器部分の凹凸形状(特に、膣前庭の凹部形状)に対応する柔軟素材又は弾性素材の立体形状の部分を設け、女性用下着1の着用時に当該立体形状の部分が着用者の股間部の外性器部分の凹凸形状に追従し、特に膣前庭部分に密接して膣前庭部分(特に、膣口部分)を密接状態で柔軟に押圧するよう構成することもできる。また、本発明の女性用下着1は、外側被覆部10を光透過性のある(例えば、半透明、有色透明等の)シート素材から形成することにより、外部から外側被覆部10を介して内側被覆部20の輪郭(及び、内側被覆部20に模様や色付き模様を付した場合の当該模様や色付き模様)を視認することができ、独特の意匠的効果を発揮することもできる。
本発明の女性用下着は、好適には、骨盤臓器脱の治療用下着に具体化することができるが、これ以外にも、女性である着用者の股間部の所定範囲(特に、外性器の全体や、少なくとも膣前庭の全体)を圧接状態で押し上げる必要がある女性用下着に具体化することができる。
10:外側被覆部、11:前身頃部、11c:傾斜縁、12:後身頃部、12c:傾斜縁、13:股部、15:開口部
20:内側被覆部、21:前側部21c:傾斜縁、22:後側部22c1:第1の傾斜縁、22c2:第2の傾斜縁、23:股部、25:開口部
30:ウエストバンド部
31:第1の線状接合部、32:第2の線状接合部、33:第3の線状接合部、34:第4の線状接合部

Claims (4)

  1. 所定の伸び率の伸縮性及び弾性を有するシート素材により、女性の下腹部の全面を覆う前身頃部と、女性の臀部の全面を覆う後身頃部と、前記前身頃部及び前記後身頃部間に設けられて女性の股間部の全面を覆う股部とを備える所定形状に形成される外側被覆部と、
    前記外側被覆部のシート素材よりも低い伸び率を有する非伸長性シート素材又は低伸長性シート素材により、女性の下腹部の左右方向中央部を覆う前側部と、女性の臀部の左右方向中央部を覆う後側部と、前記前側部及び前記後側部間に設けられて女性の股間部のうち少なくとも膣前庭を包含する範囲である圧接範囲を覆う中央部とを備える所定形状に形成され、前記外側被覆部の前身頃部の内面の左右方向中央部に前記前側部を配置し、前記外側被覆部の後身頃部の内面の左右方向中央部に前記後側部を配置し、前記外側被覆部の股部の内面に前記中央部を配置した積層状態で、前記外側被覆部の内面に接合される内側被覆部と、
    前記積層状態の外側被覆部及び内側被覆部の上縁に接合される周回状をなし、着用者の腰部の所定高さ位置を弾性的に締め付けて、当該所定高さ位置に保持されることにより、前記内側被覆部の前側部及び後側部を介して前記中央部を着用者の股間部の前記圧接範囲に向かって引き上げて圧接させるウエストバンド部とを備え、
    前記内側被覆部は、前記非伸長性シート素材又は低伸長性シート素材からなる前記前側部と中央部と後側部とを、前記ウエストバンド部の前側の少なくとも中央部の下縁位置から後側の少なくとも中央部の下縁位置まで一連の連続シート状として延設すると共に、前記前側部及び中央部及び後側部の延設方向に沿った両側の縁を、それぞれ、それらの縁に対応する線形状の線状接合部により、前記外側被覆部の前身頃部及び股部及び後身頃部に一体的に接合することで、前記伸縮性及び弾性を有するシート素材からなる外側被覆部により、前記内側被覆部の前側部及び中央部及び後側部を左右方向両側から引っ張り状態で保持して、前記外側被覆部の前身頃部及び股部及び後身頃部の左右方向中央部に保持し、かつ、前記非伸長性シート素材又は低伸長性シート素材からなる前記一連の連続シート状の前側部と中央部と後側部とを、前記ウエストバンド部による引き上げ力によって上方に引き上げることで、前記中央部を着用者の股間部の前記圧接範囲に圧接させることを特徴とする女性用下着。
  2. 前記内側被覆部の非伸長性シート素材又は低伸長性シート素材は、前記伸び率が1.5〜30%の範囲内の非伸長性シート素材又は低伸長性シート素材である請求項1記載の女性用下着。
  3. 前記内側被覆部の前側部は、前記ウエストバンド部の前側半部の下縁に一致する上縁と、前記上縁の左右両端から下方に伸びる一対の側縁と、前記側縁の下端から前記中央部まで所定の勾配で延びる左右一対の傾斜縁とを有し、
    前記内側被覆部の後側部は、前記ウエストバンド部の後側半部の下縁に一致する上縁と、前記上縁の左右両端から下方に伸びる一対の側縁と、前記側縁の下端から前記中央部まで所定の勾配で延びる左右一対の傾斜縁とを有し、
    前記内側被覆部の中央部は、前記前側部の一対の傾斜縁の下端と前記後側部の一対の傾斜縁の下端とに連続する左右一対の側縁を有し、
    前記後側部の左右一対の傾斜縁を、それぞれ、前記中央部に近い側の第1の傾斜縁と、前記ウエストバンド部に近い側の第2の傾斜縁とに所定高さ位置で分割し、かつ、前記後側部の鉛直線に対する前記第1の傾斜縁の勾配より前記第2の傾斜縁の勾配を相対的に大きく設定して、前記傾斜縁の勾配を前記所定高さ位置で変更し、
    前記前側部の左右一対の傾斜縁、前記中央部の左右一対の側縁、及び、前記後側部の左右一対の傾斜縁を、前記延設方向に沿った両側の縁として、それぞれ、前記前側部の傾斜縁に対応する線形状の第1の線状接合部、前記中央部の側縁に対応する線形状の第2の線状接合部、及び、前記後側部の第1の傾斜縁に対応する線形状の第3の線状接合部、及び、前記後側部の第2の傾斜縁に対応する線形状の第4の線状接合部により、前記外側被覆部の前身頃部及び股部及び後身頃部に一体的に接合し、
    着用者の体形に応じて、前記前側部の傾斜縁の勾配と、前記後側部の第1の傾斜縁の勾配と前記第2の傾斜縁の勾配とをそれぞれ変更することで、前記ウエストバンド部による引き上げ力に基づく前記前側部及び後側部からの引っ張り力による前記中央部の展張状態を制御して、前記中央部が着用者の前記圧接範囲に面的に密接して当該圧接範囲を継続的に押圧するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の女性用下着。
  4. 着用時の前記ウエストバンド部による引き上げ力によって、前記内側被覆部の前側部のうち、前記左右一対の第1の線状接合部間にある前記前側部の左右方向中央部の帯状の領域に、鉛直方向の上方に向かう第1の力を発生させると共に、前記引き上げ力を前記第1の線状接合部に伝達して、前記前側部の傾斜縁部分において、当該前側部の傾斜縁の勾配に応じた傾斜方向の上方に向かう第2の力を発生させ、前記前側部に、前記第1の力及び第2の力からなる2つの異なる方向の力を作用させて、前記第1の力及び第2の力のそれぞれの始点が重複する重複作用点からの力を、前記中央部の前側部分に合成して加えることで、前記中央部の展張状態を制御するようにしたことを特徴とする請求項3記載の女性用下着。



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