JP5491931B2 - ナノインプリント方法およびモールド製造方法 - Google Patents
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Description
モールドは、表面に所望の凹凸パターン形状を有する構造体である。基板が石英以外の材料からなるものである場合には、石英からなるモールド(石英モールド)を用いるが、基板が石英からなるものである場合には、石英モールドを用いてもよいし、石英以外の材料からなるモールド(たとえばSiモールド)を用いてもよい。
モールドが石英以外の材料からなるものである場合には、石英からなる基板(石英基板)を用いる。この場合、石英基板は、光透過性を有し、厚みが0.3mm以上10mm以下であれば、特に制限されることなく、目的に応じて適宜選択される。例えば、石英基板表面をシランカップリング剤で被覆したものや、石英基板上にCr、W、Ti、Ni、Ag、Pt、Auなどからなる金属層を積層したものや、石英基板上にCrO2、WO2、TiO2などからなる金属酸化膜層を積層したものや、前期積層体の表面をシランカップリング剤で被覆したもの、などが挙げられる。金属層または金属酸化膜層の厚みは、通常30nm以下、好ましくは20nm以下、にする。30nmを超えると光透過性が低下し、光硬化性組成物の硬化不良が起こりやすい。
本発明の光硬化性組成物は、少なくとも、重合性化合物(A)と、光重合開始剤(B)と、を含む。通常、光ナノインプリント法に用いられる光硬化性組成物は、重合性官能基を有する重合性化合物と、光照射によって前記重合性化合物の重合反応を開始させる光重合開始剤と、を含み、さらに必要に応じて、溶剤、界面活性剤または酸化防止剤等を含んで構成される。
本発明における重合性化合物(A)は、重合性官能基を含む化合物である。前記重合性官能基としては、カチオン重合性官能基、ラジカル重合性官能基が挙げられ、ラジカル重合性官能基が好ましい。前記カチオン重合性官能基としては、エポキシ基、オキセタン基が好ましい。また、前記ラジカル重合性官能基としては、エチレン性不飽和結合を有する官能基が挙げられ、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基が好ましい。本発明における重合性化合物(A)中に含まれる重合性官能基の数は、硬化性、粘度の観点から1〜4が好ましく、1〜2がさらに好ましい。
まず、エチレン性不飽和結合含有基を1個有する重合性不飽和化合物(1官能の重合性不飽和化合物)としては具体的に、2−アクリロイロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシ2−ヒドロキシエチルフタレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−アクリロイロキシプロピルフタレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、ベンジル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性(以下「EO」という。)クレゾール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン(以下「ECH」という)変性フェノキシアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート、p−イソプロペニルフェノール、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、が例示される。
ビニルエーテル化合物は公知のものを適宜選択することができ、例えば、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、エチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、エチレングリコールジプロピレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパンジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラエチレンビニルエーテル、1,1,1−トリス〔4−(2−ビニロキシエトキシ)フェニル〕エタン、ビスフェノールAジビニロキシエチルエーテル等が挙げられる。
本発明のナノインプリント硬化性組成物には、光重合開始剤が含まれる。本発明に用いられる光重合開始剤は、光照射により上述の重合性化合物を重合する活性種を発生する化合物であればいずれのものでも用いることができる。光重合開始剤としては、光照射によりラジカルを発生するラジカル重合開始剤、光照射により酸を発生するカチオン重合開始剤が好ましく、より好ましくはラジカル重合開始剤であるが、前記重合性化合物の重合性基の種類に応じて適宜決定される。即ち、本発明における光重合開始剤は、使用する光源の波長に対して活性を有するものが配合され、反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合など)に応じて適切な活性種を発生させるものを用いる必要がある。また、本発明において、光重合開始剤は複数種を併用してもよい。
本発明の光硬化性組成物は、上述の重合性化合物(A)および光重合開始剤(B)の他に種々の目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、酸化防止剤、溶剤、ポリマー成分等その他の成分を含んでいてもよい。本発明の光硬化性組成物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素・シリコーン系界面活性剤、並びに、酸化防止剤から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
本発明の光硬化性組成物には、界面活性剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる界面活性剤の含有量は、全組成物中、例えば、0.001〜5質量%であり、好ましくは0.002〜4質量%であり、さらに好ましくは、0.005〜3質量%である。2種類以上の界面活性剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。界面活性剤が組成物中0.001〜5質量%の範囲にあると、塗布の均一性の効果が良好であり、界面活性剤の過多によるモールド転写特性の悪化を招きにくい。
さらに、本発明のナノインプリント硬化性組成物には、公知の酸化防止剤を含有することが好ましい。本発明に用いられる酸化防止剤の含有量は、重合性化合物の総量に対し、例えば、0.01〜10質量%であり、好ましくは0.2〜5質量%である。2種類以上の酸化防止剤を用いる場合は、その合計量が前記範囲となる。
本発明のナノインプリント用硬化性組成物には、種々の必要に応じて、溶剤を用いることができる。特に膜厚500nm以下のパターンを形成する際には溶剤を含有していることが好ましい。好ましい溶剤としては常圧における沸点が80〜200℃の溶剤である。溶剤の種類としては組成物を溶解可能な溶剤であればいずれも用いることができるが、好ましくはエステル構造、ケトン構造、水酸基、エーテル構造のいずれか1つ以上を有する溶剤である。具体的に、好ましい溶剤としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、ガンマブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチルから選ばれる単独あるいは混合溶剤であり、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する溶剤が塗布均一性の観点で最も好ましい。
本発明の組成物では、架橋密度をさらに高める目的で、前記多官能の他の重合性単量体よりもさらに分子量の大きい多官能オリゴマーを、本発明の目的を達成する範囲で配合することもできる。光ラジカル重合性を有する多官能オリゴマーとしてはポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート等の各種アクリレートオリゴマーが挙げられる。オリゴマー成分の添加量としては、組成物の溶剤を除く成分に対し、0〜30質量%が好ましく、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは0〜5質量%である。
次に、図1を参照して、本発明のナノインプリント方法について説明する。なお、ここでは、基板が石英からなるものであるとして説明する。図1はナノインプリント装置10の概略構成を示す図である。ナノインプリント装置10は、上部に開口を有するチャンバー本体11と、チャンバー本体11に管路を介して接続された圧力調整機構12と、プレス部材13などを備えている。チャンバーの内部は、チャンバー本体11の上部に設置された石英基板20でシールされることで、外部と隔離される。チャンバーの外部は、He濃度が0.1体積%以下である大気である。圧力調整機構12は、配管12aを介して気体供給源(Heなど)に、配管12bを介して真空ポンプに連結され、チャンバー内部を、他のガスに置換、減圧、加圧することにより、チャンバー内部のガス雰囲気を調整するものである。
〔実験例1〕
<モールド>
モールドとして、0.525mm厚の4インチSiウエハの中心部に、1mm2の領域Rを4分割した凹凸パターン領域が形成されたものを用いる(図2のR1〜R4)。モールド表面はディップコート法によりオプツールDSXで離型処理をする。領域Rの凹凸パターンは、長さ400um、幅100nm、ピッチ200nm、深さ100nmの溝形状からなる2000本のラインパターンが形成された領域と、直径100nm、ピッチ200nm、深さ100nmのホール形状からなる2000×2000個のドットパターンが形成された領域で構成される。
基板には0.7mm厚の6インチ石英ウエハを用いる。石英ウエハ表面は光硬化性組成物との密着性を向上させるため、事前にシランカップリング剤KBM−5103(信越化学工業(株)製)による表面処理を行う。
重合性化合物Aに、重合開始剤B(2質量%)、下記界面活性剤W−1(0.1質量%)、下記界面活性剤W−2(0.04質量%)、下記酸化防止剤A−1およびA−2(各1質量%)を加えて光硬化性組成物を調製する。本実験例では、光硬化性組成物の揮発によって発生する欠陥の抑制効果を確認するため、低粘度かつ比較的揮発性の高い物質であるベンジルアクリレートを重合性化合物として選択する。溶解性の悪いものについては少量のアセトンまたは酢酸エチルを加えて溶解させた後、溶媒を留去する。また、基板に塗布する際は、光硬化性組成物の膜厚が60nmになるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートにより適宜希釈して使用する。
A:ベンジルアクリレート(ビスコート#160:大阪有機化学(株)製)
・光重合開始剤(B)
B:2,4,6−トリメチルベンゾイル−エトキシフェニル−ホスフィンオキシド(Lucirin TPO-L:BASF社製)
・界面活性剤
W−1:フッ素系界面活性剤(トーケムプロダクツ(株)製:フッ素系界面活性剤)
W−2:シリコーン系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製:メガファックペインタッド31)
・酸化防止剤
A−1:スミライザーGA80(住友化学工業(株)製)
A−2:アデカスタブAO503((株)ADEKA製)
・置換工程
0.7mm厚の6インチ石英ウエハでチャンバーをシールし、チャンバー内部のHe濃度が95体積%になるように、チャンバー内部の気体を圧力調整機構により置換する。
・減圧工程
チャンバー内部の気体圧力を圧力調整機構により所望の値に制御する。チャンバー内部の気体圧力を実施例では10kPa、20kPa、・・・、90kPaとし、比較例では5kPa、100kPaとする。
・加圧工程
モールドと基板を密着させた後、大気圧(約101kPa)により5秒間加圧する。
・露光工程
加圧後に、高圧水銀灯(露光ピーク波長365nm)を用いて露光照度25mW/cm2の紫外線を10秒間照射することにより光硬化性組成物を硬化し、硬化した光硬化性組成物からモールドを離型する。
モールドとして、0.7mm厚の6インチ石英ウエハの中心部に、1mm2の領域Rを4分割した凹凸パターン領域が形成されたものを用い、基板として0.525mm厚の4インチSiウエハを用いる。上記以外は実験例1と同条件とする。
モールドとして、0.7mm厚の6インチ石英ウエハの中心部に、1mm2の領域Rを4分割した凹凸パターン領域が形成されたものを用い、基板として0.525mm厚の4インチ石英ウエハを用いる。上記以外は実験例1と同条件とする。
基板には7mm厚の6インチ石英ウエハを用いる。7mm厚の6インチ石英ウエハでチャンバーをシールし、チャンバー内部のHe濃度が70体積%になるように、チャンバー内部の気体を圧力調整機構により置換する。上記以外は実験例1と同条件とする。
置換工程において、チャンバー内部を置換する気体としてN2を使用し、N2濃度が95体積%となるようにチャンバー内部の気体を圧力調整機構により置換する。また、減圧工程におけるチャンバー内部の気体圧力を5kPa、10kPa、20kPa、・・・、90kPa、100kPaとする。上記以外は実験例1と同条件とする。
パターン部を光学顕微鏡(倍率50倍〜1,500倍)の暗視野測定で検査した。まず倍率50倍で1mm角の視野を規定する。次に測定視野を走査し、パターン欠陥の有無を粗く測定する。疑わしい箇所があった場合は、徐々に高倍率に上げて観察し、パターン欠陥の数をカウントする。パターン欠陥は、残留気体、異物、剥がれ、倒れ等により、正常なパターンで見られない散乱光を検出した場合を対象とした。残留気体による欠陥以外も含めて欠陥総数をカウントした。なお、暗視野で測定するとパターン欠陥がラインパターン1本、ドットパターン1個のレベルまで散乱光により検出できる。
以下、本発明のモールド製造方法の一実施形態について説明する。本発明のモールド製造方法は、本発明のナノインプリント方法を用いて、凹凸を有する原盤モールドからその原盤モールドとは反対の凹凸を有する新たなモールドである反転モールドを製造するものである。以下の説明において基板は、最終的に反転モールドとなるものである。
11 チャンバー本体
12 圧力調整機構
13 プレス部材
20 基板
30 モールド
50 光硬化性組成物
Claims (6)
- 凹凸を有するモールドと、基板上に形成した光硬化性組成物層とを密着させて前記凹凸の形状を前記光硬化性組成物層に転写するナノインプリント方法において、
前記モールドおよび前記基板のいずれか一方または両方が石英からなり、
前記モールドと前記光硬化性組成物とを、それらの間に、10kPa以上90kPa以下の気圧を有し、かつ、少なくとも70体積%がHeからなる気体を介在させた状態で密着させる方法であって、
そのとき、前記石英からなるモールドまたは基板の、前記光硬化性組成物側のHe分圧が前記光硬化性組成物側とは反対側のHe分圧よりも高いことにより、前記基板とモールドの間に残留する気体中の少なくともHeが前記石英からなるモールドまたは基板を透過して前記反対側に排出されることを特徴とするナノインプリント方法。 - 前記石英からなるモールドまたは基板の、前記光硬化性組成物側とは反対側が、He濃度が0.1体積%以下である大気であることを特徴とする請求項1記載のナノインプリント方法。
- 前記モールドと前記光硬化性組成物とを、それらの間に、30kPa以上70kPa以下の気圧を有する気体を介在させた状態で密着させることを特徴とする請求項1または2記載のナノインプリント方法。
- 前記モールドと前記光硬化性組成物とを、それらの間に、40kPa以上60kPa以下の気圧を有する気体を介在させた状態で密着させることを特徴とする請求項1または2記載のナノインプリント方法。
- 前記光硬化性組成物が、分子量150〜400の重合性化合物を含有することを特徴とする請求項1または2記載のナノインプリント方法。
- 前記請求項1から5のいずれか1項記載のナノインプリント方法を用いて前記モールドとは反対の凹凸を有する新たなモールドを製造することを特徴とするモールド製造方法。
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