JP5490682B2 - シリンジ - Google Patents

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Description

本発明は、プランジャをシリンジバレル側にねじ結合し、プランジャを回転させることにより精密な吐出を可能としたシリンジに関し、特に、プランジャの回転をクリック機構により確認できるようにしたシリンジに関するものである。
例えば、吸引器により吸引した脂肪を遠心分離し、必要な脂肪のみシリンジに吸引し、再度体内に戻す施術がある。
このような施術に使用されるシリンジとして、特許文献１に開示されるように、プランジャをシリンジバレル側にねじ結合し、プランジャを回転させることにより、微量で精密な吐出を可能としたシリンジがある。
このシリンジは、シリンジバレルのフランジに、雌ねじを有するねじ付フランジを装着し、該ねじ付フランジの雌ねじに、プランジャの軸部に形成した雄ねじを螺合するとともに、軸部に形成した軸方向の溝に、ねじ付フランジ側に設けたクリックボールを係合するようにしている。
そして、このシリンジは、プランジャが１回転する毎にクリックボールが軸方向の溝に係合し、これにより、プランジャの回転をクリック音により確認できるようにしている。
しかしながら、この従来のシリンジは、クリックボールをばねと共に保持するスクリューをねじ付フランジに埋設し、クリックボールをねじ付フランジの雌ねじに突出するようにしていることから、ねじ付フランジの構造が複雑でコスト高になるという問題があった。
また、シリンジから吐出される脂肪は高い粘性を有することから、プランジャを回転させるためには比較的大きなトルクが必要であり、プランジャを直接手で回転させるには強い力を加える必要があった。
特表平２００５−５３５４１５号公報
本発明は、上記従来のシリンジが有する問題点に鑑み、回転操作式のシリンジにおいて、簡単かつ低コストにクリック機構を設けるとともに、プランジャを軽く容易に回転させることができ、また、必要に応じて、逆回転するようにすることもできるシリンジを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のシリンジは、シリンジバレルの雌ねじに、プランジャの軸部に形成した雄ねじを螺合するようにしたシリンジにおいて、プランジャを回転操作するための、ノブ軸をアームを介してプランジャの軸部に非回転状態に嵌合する回転軸から偏芯させて設けたクランクハンドルを前記プランジャに付設するとともに、クランクハンドルのノブ軸をアームに回転可能に枢着し、ノブ軸がアームに対して所定角度回転する毎に係合する、ノブ軸の下部に一体に設けられたカムと、アーム側に設けられ、カムに付勢された状態で当接するクリックピンとからなるクリック機構と、回転軸に所定値を越えるトルクが作用したときにトルクの伝達を遮断する、回転軸の上面に形成された鋸刃状のカム歯車と、アームに設けた軸受け室に固定され、回転軸のカム歯車と歯合する鋸刃状のカム歯車と、回転軸のカム歯車をアームのカム歯車側に付勢するばねとからなるトルクリミット機構とを設けたことを特徴とする。
本発明のシリンジによれば、シリンジバレルの雌ねじに、プランジャの軸部に形成した雄ねじを螺合するようにしたシリンジにおいて、回転操作用のノブ軸がアームを介して回転軸から偏芯するクランクハンドルを前記プランジャに付設するとともに、該クランクハンドルのノブ軸をアームに回転可能に枢着し、ノブ軸がアームに対して所定角度回転する毎に係合するクリック機構を設けることから、プランジャの雄ねじに溝を設けたり、シリンジバレルの雌ねじに突出するようにクリックボールを埋設したりする細密な加工が不要となり、簡単かつ低コストにクリック機構を設けるとともに、クランクハンドルによってプランジャを軽く容易に回転させることができる。
また、ノブ軸がアームに対して所定角度回転する毎に係合するクリック機構を設けたことにより、必要に応じて、プランジャの軸部を逆回転するようにすることもできる。
また、回転軸に所定値を越えるトルクが作用したときにトルクの伝達を遮断するトルクリミット機構を設けることにより、過大なトルクが発生した場合に、トルクの伝達を遮断し、プランジャやシリンジバレルの破損を防止することができる。
本発明のシリンジの第１実施例を示す正面図である。 同シリンジのシリンジ本体を示し、（ａ）はプランジャを吸引側に移動させた状態を示す一部断面側面図、（ｂ）はプランジャを吐出側に移動させた状態を示す一部断面側面図、（ｃ）はシリンジの背面図である。 同シリンジのクランクハンドルを示し、（ａ）はその平面図、（ｂ）は同斜視図、（ｃ）は同断面図である。 同クランクハンドルを示し、（ａ）はその分解斜視図、（ｂ）はクリック機構の平面図である。 同クランクハンドルを示し、（ａ）はその断面斜視図、（ｂ）は同断面図、（ｃ）はアームの３面図、（ｄ）はアーム側カム歯車の４面図、（ｅ）は回転軸の３面図、（ｆ）は回転軸のねじ蓋の３面図、（ｇ）はノブ軸の３面図、（ｈ）はノブ軸のねじ蓋の３面図、（ｉ）はクリックピンの３面図、（ｊ）はクリックケースの３面図である。 本発明のシリンジの第２実施例を示し、（ａ）はその斜視図、（ｂ）は同反対側から見た斜視図、（ｃ）は同平面図、（ｄ）は同正面図、（ｅ）同底面図である。
以下、本発明のシリンジの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図１〜図５に、本発明のシリンジの第１実施例を示す。
このシリンジは、シリンジバレル１のフランジ２に、雌ねじ３を有するねじ付フランジ４を装着し、該ねじ付フランジ４の雌ねじ３に、プランジャ５の軸部６に形成した雄ねじ７を螺合し、プランジャ５を回転させることにより微量で精密な吐出ができるようにしている。
そして、このシリンジは、回転操作用のノブ軸８がアーム９を介して回転軸１０から偏芯するクランクハンドル１１を前記プランジャ５に付設するとともに、該クランクハンドル１１のノブ軸８をアーム９に回転可能に枢着し、ノブ軸８がアーム９に対して所定角度回転する毎に係合するクリック機構１２を設けている。
また、本実施例においては、回転軸１０に所定値を越えるトルクが作用したときにトルクの伝達を遮断するトルクリミット機構１３を設けている。
シリンジバレル１は、先端に、吐出部１ａと、この吐出部１ａの周囲に形成され、チューブや注射針等が接続されるねじ筒１ｂとを備えている。
また、シリンジバレル１の基部には、直径方向に１対のフランジ２が設けられており、このフランジ２には、雌ねじ３を有するねじ付フランジ４が装着されている。
なお、シリンジバレル１の周面には、吐出量の目盛１ｃが付されている。
ねじ付フランジ４は、両端にシリンジバレル１のフランジ２が嵌合するスリットを有し、ねじ付フランジ４をフランジ２と重なる位置に回転させることにより該フランジ２と係合一体化し、９０°前後で交差する位置に回転させることによりフランジ２から離脱する。
ねじ付フランジ４の中心には雌ねじ３が形成されており、該雌ねじ３には、プランジャ５の軸部６の雄ねじ７が螺合している。
プランジャ５は、軸部６の先端にガスケット１ｄを装着するとともに、軸部６の雄ねじ７を、ねじ付フランジ４の雌ねじ３に螺合している。
また、プランジャ５の軸部６には、クランクハンドル１１の回転軸１０が、非回転状態に嵌合する形状の穴１ｅが形成されており、回転軸１０を介してプランジャ５を回転させることにより、定量の精密な吐出を行えるようにしている。
一方、クランクハンドル１１は、回転操作用のノブ軸８が、アーム９を介して回転軸１０から偏芯した位置に設けられている。
回転軸１０は下部が断面長円のジョイントバーからなり、アーム９の一端から垂下している。
また、ノブ軸８は、上部が略三角柱のつまみ状のものからなり、アーム９の他端に回転可能に立設されている。
なお、ノブ軸８の中間部には、円柱状の逆回転把持部８１が設けられており、必要に応じて、この逆回転把持部８１を滑らせながら保持することによって、クランクハンドル１１を逆回転することにより、プランジャ５の軸部６を逆回転するようにすることもできる。
クリック機構１２は、ノブ軸８の下部に一体に設けられ、アーム９に埋設されるカム１４と、アーム９側に設けられ、該カム１４に付勢された状態で当接するクリックピン１５とを備えている。
カム１４は円筒状をなし、その外周面に鋸刃状の１つの傾斜凸部１６を備えている。
クランクハンドル１１が１回転し、ノブ軸８が相対的に１回転したときに、クリックピン１５がこの鋸刃状の傾斜凸部１６を緩斜面側から乗り越えて、クリック音を発する。
また、鋸刃状の傾斜凸部１６の急斜面側は、クリックピン１５の乗り越えを阻止し、ノブ軸８の逆回転を防止する。
本実施例では、クランクハンドル１１を１回転させ、ノブ軸８が相対的に１回転すると、プランジャ５が１回転することになるので、クリック音を１回発するようにしている。
また、クリックピン１５は、ばね１７で付勢された状態でクリックケース１８に収納されている。
クリックケース１８は、アーム９の先端部のねじ穴９１にねじ込みによって固定され、これにより、アーム９の内部でクリックピン１５をノブ軸８のカム１４に当接させるようにしている。
また、トルクリミット機構１３は、回転軸１０に所定値を越えるトルクが作用したときにトルクの伝達を遮断するものである。
トルクリミット機構１３は、回転軸１０の上面に形成された鋸刃状のカム歯車１９と、アーム９の軸受け室９２に固定され、回転軸１０のカム歯車１９と歯合する鋸刃状のカム歯車９３と、回転軸１０のカム歯車１９をアーム９のカム歯車９３側に付勢するばね２０とを有している。
これにより、回転軸１０に所定値を越えるトルクが作用したときに、ばね２０の付勢力に抗してカム歯車１９が移動し、これにより、カム歯車１９、９３同士の噛み合いが外れて空転することにより、回転軸１０へのトルクの伝達を遮断することができる。
なお、これらクリック機構１２やトルクリミット機構１３は、ねじ蓋２１を取り外すことにより、ノブ軸８や回転軸１０をアーム９から外して分解することができ、また、クリックピン１５はクリックケース１８のねじ込みを解くことにより分解することができ、これにより、洗浄や滅菌を容易にしている。
図６に、本発明のシリンジの第２実施例を示す。
このシリンジは、アーム９を湾曲して形成し、このアーム９のオフセットを利用してクリック機構１２のクリックケース１８を収容するようにしている。
すなわち、上記第１実施例のシリンジにおいては、クリック機構１２のクリックケース１８を、回転軸１０及びノブ軸８を含む面内でノブ軸８側から外方に突出するように設けるようにしたが、本実施例においては、クリック機構１２のクリックケース１８を、ノブ軸８から回転軸１０側に折り返すようにアーム９に設けるようにすることにより、全体形状がコンパクトになるようにしている。
また、ノブ軸８やアーム９に丸みを帯びた形状を採用し、全体的に優しい感じのデザインとなっている。
なお、クリック機構１２やトルクリミット機構１３をはじめとする機械的な構成は、第１実施例と同様であり、同一部材は同一符号を記すことにより詳しい説明は省略する。
かくして、本実施例のシリンジは、シリンジバレル１に、雌ねじ３を有するねじ付フランジ４を装着し、該ねじ付フランジ４の雌ねじ３に、プランジャ５の軸部６に形成した雄ねじ７を螺合するようにしたシリンジにおいて、回転操作用のノブ軸８がアーム９を介して回転軸１０から偏芯するクランクハンドル１１を前記プランジャ５に付設するとともに、該クランクハンドル１１のノブ軸８をアーム９に回転可能に枢着し、ノブ軸８がアーム９に対して所定角度回転する毎に係合するクリック機構１２を設けることから、プランジャ５の雄ねじ７に溝を設けたり、ねじ付フランジ４の雌ねじ３に突出するようにクリックボールを埋設したりする細密な加工が不要となり、簡単かつ低コストにクリック機構１２を設けるとともに、クランクハンドル１１によってプランジャ５を軽く容易に回転させることができる。
また、回転軸１０に所定値を越えるトルクが作用したときにトルクの伝達を遮断するトルクリミット機構１３を設けることにより、過大なトルクが発生した場合に、このトルクの伝達を遮断し、プランジャ５やシリンジバレル１の破損を防止することができる。
以上、本発明のシリンジについて、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
本発明のシリンジは、回転操作式のシリンジにおいて、簡単かつ低コストにクリック機構を設けるとともに、プランジャを軽く容易に回転させることができることから、プランジャを回転させることにより精密な吐出を行うシリンジの用途に広く好適に用いることができる。
１ シリンジバレル
２ フランジ
３ 雌ねじ
４ ねじ付フランジ
５ プランジャ
６ 軸部
７ 雄ねじ
８ ノブ軸
８１ 逆回転把持部
９ アーム
９１ ねじ穴
９２ 軸受け室
９３ カム歯車
１０ 回転軸
１１ クランクハンドル
１２ クリック機構
１３ トルクリミット機構
１４ カム
１５ クリックピン
１６ 傾斜凸部
１７ ばね
１８ クリックケース
１９ カム歯車
２０ ばね
２１ ねじ蓋

Claims (1)

  1. シリンジバレルの雌ねじに、プランジャの軸部に形成した雄ねじを螺合するようにしたシリンジにおいて、プランジャを回転操作するための、ノブ軸をアームを介してプランジャの軸部に非回転状態に嵌合する回転軸から偏芯させて設けたクランクハンドルを前記プランジャに付設するとともに、クランクハンドルのノブ軸をアームに回転可能に枢着し、ノブ軸がアームに対して所定角度回転する毎に係合する、ノブ軸の下部に一体に設けられたカムと、アーム側に設けられ、カムに付勢された状態で当接するクリックピンとからなるクリック機構と、回転軸に所定値を越えるトルクが作用したときにトルクの伝達を遮断する、回転軸の上面に形成された鋸刃状のカム歯車と、アームに設けた軸受け室に固定され、回転軸のカム歯車と歯合する鋸刃状のカム歯車と、回転軸のカム歯車をアームのカム歯車側に付勢するばねとからなるトルクリミット機構とを設けたことを特徴とするシリンジ。
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