次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。ここでは、本発明を半導体ウェハ(以下、単に「ウェハ」と記す。)の表裏面洗浄を行う基板処理装置に適用した場合について示す。
(実施の形態)
始めに、図1から図3を参照し、本発明の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成について説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図、図2は図1のA−A線に沿った正面側の断面図、図3は図1のB−B線に沿った側面側の断面図である。
この基板処理装置100は、複数のウェハWを収容するウェハキャリアCを載置し、ウェハWの搬入・搬出を行う搬入出ステーション(基板搬入出部)1と、ウェハWに洗浄処理を施すための処理ステーション(液処理部)2とを備えている。搬入出ステーション(基板搬入出部)1及び処理ステーション(液処理部)2は、隣接して設けられている。
搬入出ステーション1は、キャリア載置部11、搬送部12、受け渡し部13及び筐体14を有している。キャリア載置部11は、複数のウェハWを水平状態で収容するウェハキャリアCを載置する。搬送部12は、ウェハWの搬送を行う。受け渡し部13は、ウェハWの受け渡しを行う。筐体14は、搬送部12および受け渡し部13を収容する。
キャリア載置部11は4個のウェハキャリアCが載置可能である。載置されたウェハキャリアCは筐体14の垂直壁部12aに密着された状態とされ、大気に触れることなくその中のウェハWが搬送部12に搬入可能となっている。
筐体14は、搬送部12と受け渡し部13とを垂直に仕切る仕切り部材14aを有している。搬送部12は、搬送機構15と、その上方に設けられた清浄空気のダウンフローを供給するファン・フィルター・ユニット(FFU)16とを有している。搬送機構15は、ウェハWを保持するウェハ保持アーム15a、及びウェハ保持アーム15aを前後に移動させる機構を有している。また搬送機構15は、ウェハキャリアCの配列方向であるX方向に延在する水平ガイド17(図1参照)に沿って移動させる機構、垂直方向に設けられた垂直ガイド18(図2参照)に沿って移動させる機構、水平面内で回転させる機構を有している。この搬送機構15により、ウェハキャリアCと受け渡し部13との間でウェハWが搬送される。
受け渡し部13は、受け渡しステージ19と、その上に設けられたウェハWを載置可能な載置部を複数備えた受け渡し棚20とを有している。受け渡し部13は、この受け渡し棚20を介して処理ステーション2との間でウェハWの受け渡しが行われるようになっている。
図3に示すように、処理ステーション2は、直方体状をなす筐体21を有している。処理ステーション2は、筐体21内には、その中央上部にウェハキャリアCの配列方向であるX方向に直交するY方向に沿って延びる搬送路を構成する搬送室21aと、搬送室21aの両側に設けられた2つのユニット室21b、21cとを有している。ユニット室21b、21cにはそれぞれ搬送室21aに沿って6個ずつ合計12個の液処理ユニット22が水平に配列されている。
筐体21内のユニット室21b、21cの下には、それぞれ各液処理ユニット22の駆動系を収容した駆動エリア21d、21eが設けられている。また、駆動エリア21d、21eの下には、それぞれ配管を収容した配管ボックス21f、21gが設けられている。また、配管ボックス21f、21gの下には、それぞれ処理液貯留部としての薬液供給ユニット21h、21iが設けられている。一方、搬送室21aの下方には、排気のための排気空間21jが設けられている。
搬送室21aの上方には、ファン・フィルター・ユニット(FFU)23が設けられ、搬送室21aに清浄空気のダウンフローを供給するようになっている。搬送室21aの内部には搬送機構24が設けられている。搬送機構24は、ウェハWを保持するウェハ保持アーム24a、及びウェハ保持アーム24aを前後に移動させる機構を有している。また、搬送機構24は、搬送室21aに設けられた水平ガイド25(図1参照)に沿ってY方向に移動させる機構、垂直方向に設けられた垂直ガイド26(図3参照)に沿って移動させる機構、水平面内で回転させる機構を有している。この搬送機構24により、各液処理ユニット22に対するウェハWの搬入出を行うようになっている。
配管ボックス21f、21gには、処理液配管群70、排液配管群71および排気配管群72が水平に配置されている。処理液配管群70は、例えば、アンモニア水と過酸化水素を混合して形成されたアンモニア過水(SC1)を供給するSC1配管70a、希フッ酸(DHF)を供給するDHF配管70b、純水を供給する純水配管70cを有している。また、排液配管群71は、例えば、酸を排液するための酸排液配管71a、アルカリを排液するためのアルカリ排液配管71b、酸を回収する酸回収配管71c、アルカリを回収するアルカリ回収配管71dを有している。さらに排気配管群72は、例えば、酸を排気するための酸排気配管72a、アルカリを排気するためのアルカリ排気配管72bを有している。
薬液供給ユニット21h、21iの搬入出ステーション1側の端部には、図2に示すように、第1垂直配管エリア27aが設けられており、反対側の端部には第2垂直配管エリア27bが設けられている。
次に、図3及び図4を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置に搭載された液処理ユニットについて説明する。図4は、図1の基板処理装置に搭載された液処理ユニットの概略構成を示す断面図である。
液処理ユニット22は、図4に拡大して示すように、ベースプレート41、ウェハ保持部42、回転モータ43、回転カップ44、表面処理液供給ノズル45、裏面処理液供給ノズル46及び排気・排液部(カップ)47を有する。ウェハ保持部42は、ウェハWを回転可能に保持する。回転モータ43は、ウェハ保持部42を回転させる。回転カップ44は、ウェハ保持部42に保持されたウェハWを囲繞するように設けられ、ウェハ保持部42とともに回転する。表面処理液供給ノズル45は、ウェハWの表面に処理液を供給する。表面処理液供給ノズル45は、第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cを含む。なお、図4においては、第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cを代表し、第1の供給ノズル45aのみを図示する。裏面処理液供給ノズル46は、ウェハWの裏面に処理液を供給する。排気・排液部(カップ)47は、回転カップ44の周縁部に設けられている。
なお、表面処理液供給ノズル45、第1の供給ノズル45a及び第2の供給ノズル45bは、本発明におけるノズル部に相当する。
排気・排液部(カップ)47の周囲およびウェハWの上方を覆うように、ケーシング48が設けられている。ケーシング48の上部にはファン・フィルター・ユニット(FFU)23からの気流を導入する気流導入部49が設けられており、ウェハ保持部42に保持されたウェハWに清浄空気のダウンフローが供給されるようになっている。気流導入部49には、図3に示すように、搬送室21aに繋がる開口49aが形成されており、この開口49aから気流が導入される。
ウェハ保持部42は、水平に設けられ中央に円形の孔51aを有する円板状をなす回転プレート51と、その裏面の孔51aの周囲部分に接続され、下方鉛直に延びる円筒状の回転軸52とを有している。そして、裏面処理液供給ノズル46を備えた昇降部材53が孔52aおよび孔51a内を昇降可能に設けられている。回転プレート51には、ウェハWの外縁を保持する3つ(1つのみ図示)の保持部材54が設けられている。
回転軸52は、2つのベアリング55aを有する軸受け部材55を介してベースプレート41に回転可能に支持されている。回転軸52と回転モータ43の軸に嵌め込まれたプーリー58にはベルト57が巻き掛けられており、回転モータ43の回転駆動が回転軸52に伝達される。
昇降部材53の上端部にはウェハ支持ピン65を有するウェハ支持台64が設けられている。また、昇降部材53の下端には接続部材66を介してシリンダ機構67が接続されており、このシリンダ機構67によって昇降部材53を昇降させることにより、ウェハWを昇降させてウェハWのローディングおよびアンローディングが行われる。
表面処理液供給ノズル45の第1の供給ノズル45aは、ノズルアーム62aに保持されている。第1の供給ノズル45aは、図示しない駆動機構によりノズルアーム62aを移動させることにより、ウェハWの上方の処理液供給位置と退避位置との間で移動可能となっている。このようにして、第1の供給ノズル45aからウェハWの表面に処理液が供給されるようになっている。
図示しない第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cも、同様に図示しないノズルアーム62b、62cに保持されている。第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cも、図示しない駆動機構によりノズルアーム62b、62cを移動させることにより、ウェハWの上方の処理液供給位置と退避位置との間で移動可能となっている。このようにして、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cからウェハWの表面に処理液が供給されるようになっている。
また、裏面処理液供給ノズル46は昇降部材53の内部の中心に垂直に設けられており、この裏面処理液供給ノズル46からウェハWの裏面に処理液が供給されるようになっている。
表面処理液供給ノズル45(第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45c)並びに裏面処理液供給ノズル46には、垂直配管68a、68bを介して処理液が供給されるようになっている。垂直配管68a、68bは、上記配管ボックス21fまたは21g内に水平に設けられた上記処理液配管群70を構成する3本の配管70a〜70cにそれぞれバルブ80a〜80cが連結されてなる一体の切替バルブ80dを介して接続されている。また、垂直配管68a、68bは、それぞれ表面処理液供給ノズル45及び裏面処理液供給ノズル46へ処理液を供給する供給流路である。また、垂直配管68a、68bの途中、すなわち図6を用いて後述する供給流路68a、68b上に、液体フローコントローラ(LFC)131、141が設けられている。
なお、液体フローコントローラ(LFC)131、141は、本発明における流量制御機構に相当する。
回転カップ44は、回転プレート51とともに回転され、ウェハWから飛散した処理液がウェハWに戻ることが抑制され、処理液は下方に導かれる。
排気・排液部(カップ)47は、主に回転プレート51と回転カップ44に囲繞された空間から排出される気体および液体を回収するためのものである。排気・排液部(カップ)47は、回転カップ44から排出された処理液を受ける環状をなす排液カップ91と、排液カップ91の外側に、排液カップ91を囲繞するように設けられた環状をなす排気カップ92とを備えている。排液カップ91は、回転カップ44から導かれた処理液を受ける主部91aと保持部材54から滴下する処理液を受ける副部91bとを有している。また、主部91aと副部91bとの間は、気流の乱れを防ぐための垂直壁93で仕切られている。
排液カップ91の底部の最外側部分には排液管94が接続されている。排液管94には排液切替部83が接続されており、処理液の種類に応じて分別可能となっている。排液切替部83からは、酸排液を排出するための酸排出管84a、アルカリを排出するためのアルカリ排出管84b、酸を回収するための酸回収管84c、アルカリを回収するためのアルカリ回収管84dが垂直下方に延びている。酸排出管84a、アルカリ排出管84b、酸回収管84c、アルカリ回収管84dは、それぞれ排液配管群71の酸排液配管71a、アルカリ排液配管71b、酸回収配管71c、アルカリ回収配管71dに接続されている。酸排出管84a、アルカリ排出管84b、酸回収管84c、アルカリ回収管84dには、それぞれバルブ85a、85b、85c、85dが設けられている。
排気カップ92は、回転カップ44との間の環状をなす隙間から回転カップ44内およびその周囲の主にガス成分を取り込んで排気するようになっている。また、排気カップ92の下部には、酸を排気する酸排気管95a、アルカリを排気するアルカリ排気管95bが接続されている。酸排気管95a、アルカリ排気管95bは、それぞれ排気配管群72の酸排気配管72a、アルカリ排気配管72bに接続されている。酸排気管95a、アルカリ排気管95bには、それぞれバルブ86a、86bが設けられている。
このように、処理液が回転カップ44を介して排液カップ91に導かれ、気体成分は排気カップ92に導かれ、かつ排液カップ91からの排液と排気カップ92からの排気が独立して行われるようになっている。これにより、排液と排気を分離した状態で導くことが可能となる。また、排液カップ91からミストが漏出しても排気カップ92がその周囲を囲繞しているので速やかに排出され、ミストが外部に漏出することが確実に防止される。
次に、図2を参照し、薬液供給ユニット21hについて説明する。
薬液供給ユニット21hは、搬入出ステーション1側に設けられた、例えばアンモニア水と過酸化水素を混合したアンモニア過水(SC1)を貯留する第1薬液タンク101とそれに隣接する第1回収タンク102とを有している。
図2に示すように、第1薬液タンク101の側壁下部にはその中から薬液を送出するための送出管103が接続されており、その側壁上部には薬液を返戻するための返戻管104が接続されている。送出管103には、ポンプ103aが設けられているとともに、薬液供給ユニット21h内の第1垂直配管エリア27aから延びる接続管105が接続されている。接続管105は、配管ボックス21f内に水平に配置された処理液配管群70のSC1配管70aの一端側に接続されている。また、返戻管104には第1垂直配管エリア27aから延びる渡り配管106が接続されている。一方、SC1配管70aの他端側には渡り配管107が接続されており、この渡り配管107は第2垂直配管エリア27b内を下方に延びている。
次に、図2、図3および図5を参照し、これら渡り配管106および107を含む薬液供給経路について説明する。図5は、図1の基板処理装置の処理ステーションの模式的斜視図である。
渡り配管107は、薬液供給ユニット21hの第2垂直配管エリア27bを下方に延びる。第2垂直配管エリア27bを下方に延びた渡り配管107は、第2垂直配管エリア27bの下部から水平に排気空間21jを通って薬液供給ユニット21iの第2垂直配管エリア27bに延びる。第2垂直配管エリア27bに延びた渡り配管107は、さらに薬液供給ユニット21iの第2垂直配管エリア27bを上昇して配管ボックス21g内のSC1配管70aに接続される。一方、渡り配管106は、薬液供給ユニット21iの第1垂直配管エリア27aを下方に延びる。第1垂直配管エリア27aを下方に延びた渡り配管106は、第1垂直配管エリア27aの下部から水平に排気空間21jを通って薬液供給ユニット21hの第1垂直配管エリア27aに延びる。第1垂直配管エリア27aに延びた渡り配管106は、さらに薬液供給ユニット21hの第1垂直配管エリア27aを上昇して返戻管104に接続される。
すなわち、第1薬液タンク101のSC1は、送出管103および接続管105を経て配管ボックス21f内のSC1配管70aに至り、この配管ボックス21f内のSC1配管70aを流れつつユニット室21b内の各液処理ユニット22に供給される。SC1配管70aを流れるSC1は、さらに渡り配管107を通って配管ボックス21g内のSC1配管70aに至り、この配管ボックス21g内のSC1配管70aを流れつつユニット室21c内の各液処理ユニット22に供給される。SC1配管70aを流れるSC1は、渡り配管106及び返戻管104を経て第1薬液タンク101に戻る。従って、第1薬液タンク101のSC1には、上記したような循環経路が構成されている。
一方、第1回収タンク102には、図2に示すように、処理済みの薬液を回収するための配管108が接続されている。配管108は、第2垂直配管エリア27bを垂直に延び、排液配管群71のアルカリ回収配管71dに接続されており、液処理ユニット22から排出されたアルカリ排液を回収するようになっている。
第1回収タンク102と第1薬液タンク101は、接続配管109で接続されている。接続配管109にはポンプ110が設けられており、第1回収タンク102に回収された薬液を浄化処理した後、第1薬液タンク101に戻すことが可能となっている。
第1薬液タンク101の上部には薬液供給配管111が接続されており、この薬液供給配管111には混合器112が接続されている。混合器112には、純水配管113、アンモニア配管114および過酸化水素配管115が接続されており、混合器112にて純水とアンモニアと過酸化水素が混合されてアンモニア過水SC1が第1薬液タンク101に供給されるようになっている。純水配管113には液体フローコントローラ(LFC)116aおよびバルブ116bが設けられている。アンモニア配管114には液体フローコントローラ(LFC)117aおよびバルブ117bが設けられている。過酸化水素配管115には液体フローコントローラ(LFC)118aおよびバルブ118bが設けられている。
一方、薬液供給ユニット21iは、搬入出ステーション1側に設けられた、例えば希フッ酸(DHF)を貯留する第2薬液タンク121(図3参照)とそれに隣接する第2回収タンク(図示せず)とを有している。そして、この第2薬液タンク121のDHFも、第1薬液タンク101からのSC1と同様にして、配管ボックス21f、21g内のDHF配管70bと渡り配管等とにより循環供給可能となっている。また、第2回収タンクへのDHFの回収は、酸回収配管71cおよび配管122(図2参照)を通って第1回収タンク102へのSC1の回収と同様に行われる。
なお、これら薬液洗浄以外に、純水によるリンスおよび乾燥が行われるが、その際には、純水は図示しない純水供給源から純水配管70cを通って供給される。また、図示してはいないが、N2ガス等の乾燥ガスもノズル45、46から供給可能となっている。
配管ボックス21f、21gに設けられた排液配管群71のうち、酸排液配管71a、アルカリ排液配管71bにはそれぞれドレイン配管123(図2では1本のみ図示)が接続されている。ドレイン配管123は、第2垂直配管エリア27bを通って下方に延びている。そして、これら酸排液配管71a、アルカリ排液配管71bからの排液は、ドレイン配管123を通ってドレインとして床下の工場配管に廃棄される。
また、基板処理装置100は、図4に示すように、制御部200を有する。制御部200は、マイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるプロセスコントローラ201を有しており、基板処理装置100の各構成部がこのプロセスコントローラ201に接続されて制御される構成となっている。また、プロセスコントローラ201には、工程管理者が基板処理装置100の各構成部を管理するためにコマンドの入力操作などを行うキーボードや、基板処理装置100の各構成部の可動状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザーインターフェース202が接続されている。さらに、プロセスコントローラ201には、基板処理装置100で実行される各種処理をプロセスコントローラ201の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて基板処理装置100の各構成部に所定の処理を実行させるための制御プログラムすなわちレシピが格納された記憶部203が接続されている。レシピは記憶部203の中の記憶媒体(記録媒体)に記憶されている。記憶媒体(記録媒体)は、ハードディスクや半導体メモリであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース202からの指示等にて任意のレシピを記憶部203から呼び出してプロセスコントローラ201に実行させることで、プロセスコントローラ201の制御下で、基板処理装置100での所望の処理が行われる。
このように構成される基板処理装置100においては、まず、搬入出ステーション1のキャリア載置部11に載置されたキャリアCから搬送機構15により1枚のウェハWを取り出して受け渡しステージ19上の受け渡し棚20の載置部に載置し、この動作を連続的に行う。受け渡し棚20の載置部に載置されたウェハWは、処理ステーション2の搬送機構24により順次搬送されて、いずれかの液処理ユニット22に搬入される。
液処理ユニット22においては、まず、保持部材54によりウェハWをチャッキングし、回転モータ43によりウェハ保持部42を回転カップ44およびウェハWとともに回転させる。ウェハ保持部42を回転させながら、表面処理液供給ノズル45及び裏面処理液供給ノズル46から処理液を供給し、ウェハWの表裏面洗浄を行う。表面処理液供給ノズル45については、第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cのいずれかから処理液を供給する。このときの処理液としては、洗浄薬液、例えば、SC1、DHFのいずれかまたは両方を用いる。SC1で洗浄する際には、第1薬液タンク101から送出管103、接続管105、配管ボックス21f内のSC1配管70a、渡り配管107、配管ボックス21g内のSC1配管70a、渡り配管106、返戻管104を経て第1薬液タンク101に戻るようにSC1を循環させる。このようにSC1を循環させつつ、SC1配管70aから各液処理ユニット22にSC1を供給する。また、DHFで洗浄する際には、第2薬液タンク121から配管ボックス21f、21g内のDHF配管70bを含む配管群により、同様にDHFを循環させる。このようにDHFを循環させつつ、DHF配管70bから各液処理ユニット22にDHFを供給する。そして、このような洗浄処理の後、純水配管70cから各処理ユニット22に純水を供給して純水リンスを行い、その後、必要に応じてN2乾燥を行って洗浄処理を終了する。
このような洗浄処理の際には、使用済みの処理液が排液カップ91から排液配管群71に至り、酸およびアルカリは一部回収され、他は廃棄される。また、処理にともなって発生した気体成分が排気カップ92から排気配管群72に至り、排気される。
このようにして液処理を行った後、搬送機構24により液処理ユニット22からウェハWを搬出し、受け渡しステージ19の受け渡し棚20に載置し、受け渡し棚20から搬送機構15によりカセットCに戻される。
次に、図6から図10を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置の液処理ユニットにおける処理液供給機構について説明する。
図6は、図4に示す液処理ユニットの処理液供給機構の構成を示す図である。なお、図6では、図4を用いて先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
処理液供給機構は、第1の処理液供給機構130及び第2の処理液供給機構140を有する。第1の処理液供給機構130は、基板の上面(表面)に処理液を供給し、第2の処理液供給機構140は、基板の下面(裏面)に処理液を供給する。
第1の処理液供給機構130は、第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45c、切替バルブ80d、第1のLFC131を有する。第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cは、排気・排液部(カップ)47内の回転保持部42に回転可能に保持した基板(ウェハW)の上面(表面)に処理液を供給するものである。切替バルブ80dは、第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cに処理液を供給する複数の配管70a、70b、70cと第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cを切替え可能に接続するものである。
一方、第2の処理液供給機構140は、裏面処理液供給ノズル46、切替バルブ80d、第2のLFC141を有する。裏面処理液供給ノズル46は、バルブ142を介して第2のLFC141に接続されている。裏面処理液供給ノズル46は、排気・排液部(カップ)47内の回転保持部42に回転可能に保持した基板(ウェハW)の下面(裏面)に処理液を供給するものであり、前述した第1の供給ノズル45a等と同様にすることができる。また、切替バルブ80dは、裏面処理液供給ノズル46に処理液を供給する複数の配管70a、70b、70cと裏面処理液供給ノズル46を切替可能に接続するものであり、前述した第1の処理液供給機構130と共通である。更に、第2のLFC141は、前述した第1のLFC131と同様にすることができる。従って、ここでは、第1の処理液供給機構130及び第2の処理液供給機構140を代表し、以下、第1の処理液供給機構130における供給ノズル及び流量制御機構を説明するものとする。
また、前述したように、第1のLFC131及び第2のLFC141は、本発明における流量制御機構に相当する。また、配管(SC1配管)70a、配管(DHF配管)70b及び配管(純水配管)70cは、処理液等を供給する供給系であり、本発明における処理液供給部に相当する。また、配管(SC1配管)70a、配管(DHF配管)70b及び配管(純水配管)70cを含む処理液配管群70は、処理液等を供給する複数の供給系であり、本発明における処理液供給部に相当する。
第1のLFC131は、切替バルブ80dと第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cとを接続する供給流路68a上に設けられ、供給流路68aを流れる処理液の流量を制御する。第1のLFC131は、図7を用いて後述するように、超音波式流量計132、流量制御弁133及び流量制御部134を有する。
第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cは、三方弁135により、切換可能に、第1のLFC131に接続されている。第1の供給ノズル45aは、三方弁135で供給流路68aから分岐した供給流路68cが接続されるとともに、第1の流量F1で基板に処理液を供給する。第2の供給ノズル45bは、三方弁135で供給流路68aから分岐した供給流路68dが接続されるとともに、供給流路68d上に設けられたニードルバルブ136を介して第1のLFC131に接続されている。第2の供給ノズル45bは、第1の流量F1よりも少ない第2の流量F2で基板に処理液を供給する。ニードルバルブ136は、第2の供給ノズル45bから供給する処理液の流量を第2の流量F2に絞る。第3の供給ノズル45cは、三方弁135で供給流路68aから分岐した供給流路68eが接続されるとともに、第3の流量F3で基板に処理液を供給する。
すなわち、供給流路68cは、三方弁135と第1の供給ノズル45aとを接続するものであり、第1のLFC131の下流側に接続されるものである。また、供給流路68dは、三方弁135と第2の供給ノズル45bとを接続するものである。また、三方弁135は、第1のLFC131と第1の供給ノズル45a及び第2の供給ノズル45bとの間の供給流路を供給流路68c又は供給流路68dに切り替えるものである。また、供給流路68dは、供給流路68cと平行になるように三方弁135、すなわち第1のLFC131の下流側に接続される。
なお、超音波式流量計132は、本発明における流量計測部に相当する。また、超音波式流量計132に代え、流量の小さい側の領域まで精度良く計測できる各種の流量計を用いることができる。また、三方弁135は、本発明における切替機構に相当する。また、供給流路68aは、本発明における供給流路に相当し、供給流路68cは、本発明における第1の経路に相当し、供給流路68dは、本発明における第2の経路に相当する。また、ニードルバルブ136は、本発明における絞り部に相当する。また、ニードルバルブ136に代え、オリフィス、自動調整可能なバルブ、また配管サイズを小さくする等の各種の絞り機構を用いることができる。
本実施の形態では、第2の供給ノズル45bは、二流体ノズル(Atomized Spray;AS)であってもよい。第2の供給ノズル45bが二流体ノズルである場合、図6に示すように、第2の供給ノズル45bには、供給流路68dが接続されるとともに、例えばN2ガス等の不活性ガスであるキャリアガスを供給するキャリアガス供給源137に接続されたガス供給配管138が接続される。
ここでは、複数の供給系である処理液配管群70は、互いに異なる複数の種類の処理液を供給するように構成してもよい。本実施の形態では、前述したように、例えばアンモニア過水SC1を供給するSC1配管70a、希フッ酸DHFを供給するDHF配管70b、及び純水DIWを供給する純水配管70cを含むようにすることができる。
一例として、第1の供給ノズル45aは、切替バルブ80d及び三方弁135を切替えることにより、アンモニア過水SC1及び純水DIWのいずれかを第1の流量F1で基板に供給することができる。アンモニア過水SC1を供給するときは、第1の流量F1を例えば1200cc/minとし、純水DIWを供給するときは、第1の流量F1を例えば1800cc/minとすることができる。また、第2の供給ノズル45bは、切替バルブ80d及び三方弁135を切替えることにより、純水DIWを第2の流量F2で基板に供給することができる。純水DIWを供給するときは、第2の流量F2を例えば100cc/minとすることができる。また、第3の供給ノズル45cは、切替バルブ80d及び三方弁135を切替えることにより、希フッ酸DHF及び純水DIWのいずれかを第3の流量F3で基板に供給することができる。希フッ酸DHFを供給するときは、第3の流量F3を例えば1200cc/minとし、純水DIWを供給するときは、第3の流量F3を例えば1800cc/minとすることができる。
図7は、図6に示す液処理ユニットの第1の処理液供給機構のうち、第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。また、図7では、第3の供給ノズル45c及び三方弁135のうち第3の供給ノズル45cに接続する供給流路68e上に設けられたバルブ135cを図示していない。従って、図7では、第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b、三方弁135のうち第1の供給ノズル45a及び第2の供給ノズル45bに接続されるバルブ135a、135b、ニードルバルブ136を示している。また、図7では、図4、図6を用いて先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
第1の処理液供給機構130の第1のLFC131は、超音波式流量計132、流量制御弁133及び流量制御部134を有する。超音波式流量計132は、供給流路68a上に設けられており、後述するように、供給流路68aの流量を計測する。
流量制御弁133として、内部に開閉可能な弁を備えたモータバルブ、パイロット式制御弁その他の各種の流量制御弁を用いることができる。また、流量制御弁133は、供給流路の流量を制御するために、流量制御弁の開度(以下「弁開度」という。)を制御するものでもよく、あるいは、複数の流量制御弁を供給流路上に並列に設け、開いている流量制御弁の個数を制御する、等の各種の方法により制御するものであってもよい。
以下では、一例として、流量制御弁133としてモータバルブ133を用いた例について説明する。すなわち、第1の処理液供給機構130の第1のLFC131は、超音波式流量計132、モータバルブ133及び流量制御部134を有する。モータバルブ133は、供給流路68a上に設けられており、後述するように、モータ169によりバルブ160の弁開度を制御可能である。
流量制御部134は、超音波式流量計132が計測した流量計測値FMを含む計測信号SMが超音波式流量計132から入力されるとともに、モータバルブ133の弁開度を制御する制御信号SCをモータバルブ133へ出力する。流量制御部134は、予め設定された流量設定値FSと、超音波式流量計132が計測した流量計測値FMとに基づいて、モータバルブ133の弁開度を制御する。
本実施の形態では、モータバルブ133が調整する流量の調整可能レンジの下限は、超音波式流量計132が測定する流量の測定可能レンジの下限よりも大きい。従って、流量設定値FSが調整可能レンジにあるとき(第1の流量F1であるとき)は、三方弁135のバルブ135bを閉じ、バルブ135aを開くことにより、第1のLFC131がニードルバルブ136を介さずに、すなわち、供給流路68cを介して、第1の供給ノズル45aに接続される。また、流量設定値FSが調整可能レンジの下限よりも小さいとき(第2の流量F2であるとき)は、三方弁135のバルブ135aを閉じ、バルブ135bを開くことにより、第1のLFC131がニードルバルブ136を介して、すなわち、供給流路68dを介して、第2の供給ノズル45bに接続される。
すなわち、流量設定値FSが第1の流量F1であるときは、処理液が供給流路68cを流れるように三方弁135を制御し、流量設定値FSが第1の流量F1よりも少ない第2の流量F2であるときは、処理液が供給流路68dを流れるように三方弁を制御する。
なお、流量制御部134で予め設定される流量設定値FSは、基板処理装置100を制御する制御部200のプロセスコントローラ201が受け付けて第1のLFC131に出力するようにしてもよい。プロセスコントローラ201が流量設定値FSを受け付ける場合、流量制御部134は、プロセスコントローラ201が受け付けた流量設定値FSと、流量計測値FMとを比較し、流量計測値FMが流量設定値FSと等しくなるように、モータバルブ133の弁開度を制御する。
また、流量制御部134からプロセスコントローラ201へ、流量計測値FMを含む計測信号SMを送ることにより、図4を用いて説明したユーザーインターフェース202に流量計測値FMを表示するようにしてもよい。また、供給流路68aの流量を超音波式流量計132により計測する計測工程と、流量設定値FSと流量計測値FMとに基づいてモータバルブ133の弁開度を制御する制御工程とを含む基板処理方法をプロセスコントローラ201に実行させるための制御プログラムすなわちレシピを、記憶媒体(記録媒体)である記憶部203に記憶してもよい。また、上記制御プログラムには、流量設定値FSが制御可能範囲にあるか否かにより三方弁135を切り替え、第1のLFC131を第1の供給ノズル45a又は第2の供給ノズル45bに切り替えて接続する接続工程が含まれていてもよい。
また、流量設定値FSは、流量設定値FSと、超音波式流量計132が計測した流量計測値FMとに基づいて、モータバルブ133の弁開度を制御する時までに設定されればよく、流量制御部134で予め設定されなくてもよい。
あるいは、制御部200は、受け付けた第1の流量F1の流量設定値FSが、第1の流量範囲(a〜b)の範囲内であるときは、処理液が供給流路68cを流れるように三方弁135を制御するようにしてもよい。そして、制御部200は、受け付けた第2の流量F2の流量設定値FSが、第2の流量範囲(c〜d)の範囲内であるときは、処理液が供給流路68dを流れるように三方弁135を制御するようにしてもよい。ただし、a、b、c、dの関係は、c<d<a<bである。そして、制御部200が制御するとき、第1のLFC131において、第1の流量範囲(a〜b)と第2の流量範囲(c〜d)の範囲で同じ弁開度が存在することが好ましい。これにより、小流量である第2の流量F2を精度よく制御することができ、処理液を供給するときに、流量の精度を落とすことなく流量制御機構をまとめることができる。
aとして例えば200cc/minとすることができ、bとして例えば2000cc/minとすることができ、cとして例えば15cc/minとすることができ、dとして例えば150cc/minとすることができる。
また、図7では、本発明におけるノズル部が第1の供給ノズル45a及び第2の供給ノズル45bである例について説明する。しかしながら、第2の供給ノズル45bを省略し、第1の供給ノズル45aのみを設けてもよい。このような例を図8に示す。図8は、第2の供給ノズルを省略し、第1の供給ノズルのみを設けた場合において、第1のLFCを含む供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。なお、図8は、第2の供給ノズル45bを省略し、第1の供給ノズル45aのみを設けた以外は、それぞれ図7と同様である。従って、図7と同様である点については、説明を省略する。
図8に示す例では、供給流路68dは、ニードルバルブ136の供給ノズル45側において供給流路68cと合流し、第1の供給ノズル45aに接続される。また、モータバルブ133が調整する流量の調整可能レンジの下限は、超音波式流量計132が測定する流量の測定可能レンジの下限よりも大きい。従って、流量設定値FSが調整可能レンジにあるとき(第1の流量F1であるとき)は、三方弁135のバルブ135bが閉じ、バルブ135aが開くことにより、第1のLFC131がニードルバルブ136を介さずに、すなわち、供給流路68cを介して、第1の供給ノズル45aに接続される。また、流量設定値FSが調整可能レンジの下限よりも小さいとき(第2の流量F2であるとき)は、三方弁135のバルブ135aが閉じ、バルブ135bが開くことにより、第1のLFC131がニードルバルブ136を介して、すなわち、供給流路68dを介して、第1の供給ノズル45aに接続される。
図9は、超音波式流量計の構成を示す模式図である。超音波式流量計132には、時間差式、ドップラー式等いくつかの方式のものがあり、それらの種々の方式のものを用いることができる。本実施の形態では、一例として、時間差式の超音波式流量計を用いる。時間差式の超音波式流量計は、液体が流れる流路の上流側と下流側から超音波を交互に打ち込み、超音波の伝播時間の差を測ることによって、液体の流量を計測するものである。
図9に示すように、U字型の形状の管路151を用いる。管路151のうちU字の底部152の両側(上流側及び下流側)に、超音波を送受波する圧電素子等よりなる送受波器153、154を取り付け、上流側の送受波器153が下流側の送受波器154の下側に配置されるように、U字が横向きになった状態で用いる。この状態で、上流側の送受波器153から送波した超音波を下流側の送受波器154で受波し、下流側の送受波器154から送波した超音波を上流側の送受波器153で受波し、それぞれの伝播時間の差に基づいて、液体の流量である流量計測値FMを計測する。上流側の送受波器153が下流側の送受波器154の下側に配置されるように、U字が横向きになった状態で用いるのは、U字の底部152の上流側に流入する液体中に気泡が混入した場合でも、その気泡がU字の底部152の下流側に確実に流れ抜けるようにするためである。
図10は、モータバルブの構成の一例を模式的に示す断面図である。図10に示すように、モータバルブ133は、バルブ160とバルブ160の上方に設けられたモータ169とを有する。
バルブ160は、下向きに設けられて切替バルブ80dを介して複数の供給系である処理液配管群70に接続する供給ポート161と、横向きに設けられて供給ノズル45側に接続する吐出ポート162とを有する。またバルブ160は、供給ポート161と吐出ポート162とを連通する連通路163と、連通路163の上方側に開放する開口164とを有する。また、バルブ160は、開口164内に摺動自在に嵌挿され、下面に設けられた弁部165が、連通路163に設けられた弁座166に就座可能な弁体167とを有する。また、バルブ160は、弁体167に設けられた雌ねじ孔167aに螺合する雄ねじ軸168を有する。
モータ169は、モータ169の回転軸が、雄ねじ軸168に接続されている。従って、雄ねじ軸168は、正逆回転可能に設けられている。
このように構成されるモータバルブ133において、流量制御部134からの制御信号SCによってモータ169が正逆回転されることによって、連通路163の開度が調整され、供給ノズル45に供給される処理液の流量が調整されるようになっている。
本実施の形態では、流量制御部134は、予め設定された流量設定値FSと、超音波式流量計132が計測した流量計測値FMとに基づいて、モータバルブ133の弁開度を制御する。あるいは、後述するように、流量制御部134は、制御部200が受け付けた流量設定値FSと、流量計測値FMとを比較し、流量計測値FMが流量設定値FSと等しくなるように、モータバルブ133の弁開度を制御してもよい。
次に、図11を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置が、各液処理ユニットに複数の供給系から処理液を供給することができ、装置のコストを削減することができることを、比較例1と比較しながら説明する。
図11は、比較例1における基板処理装置に搭載された処理液供給機構の構成を示す図である。なお、図11においては、図6で説明した本実施の形態に係る基板処理装置における第2の処理液供給機構については図示及び説明を省略し、第1の処理液供給機構について、比較を行う。また、図11では、図6を用いて先に説明した本実施の形態に係る基板処理装置と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
比較例1における基板処理装置では、第1の処理液供給機構130aにおける各供給ノズル45a、45b、45cは、本実施の形態に係る基板処理装置と同様であるものの、切替バルブ、LFCの配置及び数は、本実施の形態に係る基板処理装置と相違する。比較例1では、切替バルブが設けられておらず、複数の供給系である処理液配管群70から各供給ノズル45a、45b、45cへは別々の供給流路268a、268b、268c、268d、268eにより接続される。供給流路268a、268b、268c、268d上には、それぞれLFC231a、231b、231c、231dが設けられている。また、供給流路268e上には、ニードルバルブ236aが設けられている。
供給流路268a、268bは、LFC231a、231bの下流側でバルブ235a、235bを介して合流して供給流路268gとなり、第1の供給ノズル45aに接続されている。従って、第1の供給ノズル45aは、バルブ235a及びLFC231aを介してアンモニア過水SC1のSC1配管70aに接続されており、バルブ235b及びLFC231bを介して純水DIWの純水配管70cに接続されている。
また、供給流路268eは、ニードルバルブ236aの下流側でバルブ235eを介して供給流路268hとなり、第2の供給ノズル45bに接続されている。従って、第2の供給ノズル45bは、バルブ235e及びニードルバルブ236aを介して純水DIWの純水配管70cに接続されている。
また、供給流路268c、268dは、LFC231c、231dの下流側でバルブ235c、235dを介して合流して供給流路268iとなり、第3の供給ノズル45cに接続されている。従って、第3の供給ノズル45cは、バルブ235c及びLFC231cを介して希フッ酸DHFのDHF配管70bに接続されており、バルブ235d及びLFC231dを介して純水DIWの純水配管70cに接続されている。
以上の構成により、本実施の形態に係る基板処理装置と同様な種類の処理液を表面処理液供給ノズルから供給するためには、比較例1では、4つの流量制御機構と、1つのニードルバルブとを設けることが必要である。
一方、本実施の形態では、図6を用いて説明したように、第1の供給ノズル45a、第2の供給ノズル45b及び第3の供給ノズル45cの流量を制御するために、1つのLFC131と、1つのニードルバルブ136とを設ければよい。切替バルブ80dを有することにより、複数の供給系である処理液配管群70から供給ノズル45a、45b、45cに処理液を供給する場合でも、LFC及びニードルバルブである流量制御機構の数を少なくすることができる。また、三方弁135を有することにより、複数の供給ノズルに処理液を供給する場合でも、流量制御機構の数を少なくすることができる。従って、複数の供給系に対応して流量制御機構を別々に設ける場合、又は複数の供給ノズルに対応して流量制御機構を別々に設ける場合に比べ、装置のコストを低減することができる。
次に、図12及び図13を参照し、本実施の形態に係る基板処理装置が、大流量を制御しつつ小流量をも制御可能、すなわち、モータバルブにより少ない流量を精度よく制御することができること、及び流量制御機構をまとめることができることを、比較例2と比較しながら説明する。
図12は、本実施の形態に係る基板処理装置における各バルブでの圧力損失の関係を示す図である。図12(a)は、供給流路68a(68d)上に上流側から下流側にかけてモータバルブ133及びニードルバルブ136が設けられていることを示す図である。図12(b)は、モータバルブ133が全開のとき及びモータバルブ133の弁開度を調節するときのそれぞれの場合における、ニードルバルブ136及びモータバルブ133のそれぞれによる圧力損失分を示す模式図である。図13は、比較例2の基板処理装置におけるバルブでの圧力損失の関係を示す図である。図13(a)は、供給流路68a(68d)上にニードルバルブが設けられておらずモータバルブ133のみが設けられていることを示す図である。図13(b)は、モータバルブ133が全開のとき及びモータバルブ133の弁開度を調節するときのそれぞれの場合における、モータバルブ133による圧力損失分を示す模式図である。
本実施の形態では、図6を用いて説明したように、第1の供給ノズル45aにおける流量(第1の流量F1)を制御するときに、超音波式流量計132を含む第1のLFC131を用いる。また、第2の供給ノズル45bにおける流量(第1の流量F1よりも小流量である第2の流量F2)を制御するときも、超音波式流量計132を含む第1のLFC131を用いる。
ここで、超音波式流量計132が測定する流量の測定可能レンジと、モータバルブ133が調整する流量の調整可能レンジとには差がある。本実施の形態に係る基板処理装置は、この両者の差がある部分においても精度良く流量を制御できるようにするものである。
本実施の形態では、図12(a)に示すように、供給流路68a(68d)上にモータバルブ133と直列にニードルバルブ136を設けることにより、第2の流量F2の範囲で流量制御する場合でも、モータバルブ133の弁開度が比較的大きい状態で用いることができる。すなわち、流量設定値FSが第1の流量F1より少ない第2の流量F2であるときのモータバルブ133の弁開度が、流量設定値FSが第1の流量F1であるときのモータバルブ133の弁開度よりも大きい状態で用いることができる。これにより、第2の流量F2の範囲で流量制御するときも、流量の制御を精度良く行うことができる。
また、本実施の形態では、第1のLFC131のモータバルブ133において、第1の流量F1の流量設定値FSが第1の流量範囲(a〜b)の範囲内であるとき、第2の流量F2の流量設定値FSが第2の流量範囲(c〜d)の範囲内であるときのいずれにおいても、同じ弁開度が存在することがある。すなわち、流量設定値FSが第1の流量F1より少ない第2の流量F2であるときのモータバルブ133の弁開度が、流量設定値FSが第1の流量F1であるときのモータバルブ133の弁開度と等しいことがある。これにより、第2の流量F2の範囲で流量制御するときも、流量の制御を精度良く行うことができる。
モータバルブ133が全開のときは、図12(b)の左側に示すように、ニードルバルブ136による圧力損失分(例えば160kPa)が供給流路68a(68d)の全体の圧力損失のほとんどに寄与する。また、モータバルブ133の弁開度を調節して流量を制御するときは、図12(b)の右側に示すように、更にモータバルブ133による圧力損失分(例えば20kPa)が重畳されることによって、供給流路68a(68d)の全体の圧力損失(例えば180kPa)を調整することができ、流量を制御することができる。モータバルブ133による圧力損失分の精度は高い(例えば±2kPa)ので、全体の圧力損失(例えば180kPa)を高精度(例えば±2kPa)で制御することができる。
ここで、比較例2における基板処理装置では、図13(a)に示すように、供給流路68a(68d)上にニードルバルブを設けず、モータバルブ133のみによって小流量を制御する。モータバルブ133が全開のときは、図13(b)の左側に示すように、モータバルブ133による圧力損失分は発生していない。またモータバルブ133の弁開度を調節して流量を制御するときは、図13(b)の右側に示すように、モータバルブ133による圧力損失分(例えば180kPa)により供給流路68a(68d)の圧力損失を調整する。しかし、前述したように、モータバルブ133を第2の流量F2(例えば100cc/min)の範囲で流量制御する場合、精度良く制御することができず、大きな圧力損失分の誤差(例えば±20kPa)が生じる。従って、全体の圧力損失(例えば180kPa)を低精度(例えば±20kPa)でしか制御することができない。
また、本実施の形態では、第1の供給ノズル45aへの供給流路68a(68c)上にはモータバルブ133のみを設け、第2の供給ノズル45bへの供給流路68a(68d)上にはモータバルブ133とニードルバルブ136とを設けることになる。大流量である第1の流量F1で供給するとき、すなわち、流量設定値FSが調整可能レンジにあるときは、三方弁135のバルブ135bを閉じ、バルブ135aを開くことにより、第1のLFC131がニードルバルブ136を介さずに第1の供給ノズル45aに接続される。その結果、第1の供給ノズル45aから供給するときは、モータバルブ133により、前述した第1の流量範囲の範囲内である大流量の第1の流量F1(例えば200cc/min〜2000cc/minの流量範囲)を精度良く制御できる。また、小流量である第2の流量F2で供給するとき、すなわち、流量設定値FSが調整可能レンジの下限よりも小さいときは、三方弁135のバルブ135aを閉じ、バルブ135bを開くことにより、第1のLFC131がニードルバルブ136を介して第2の供給ノズル45bに接続される。その結果、第2の供給ノズル45bから供給するときは、モータバルブ133とニードルバルブ136とにより、前述した第2の流量範囲の範囲内である小流量の第2の流量F2(例えば15cc/min〜150cc/minの流量範囲、また、より好ましくは100cc/min)を精度よく制御することができる。
更に、図11を用いて説明した比較例1に係る基板処理装置では、第2の供給ノズル45bへの供給流路268e(268h)上に設けられるニードルバルブ236aの上流側には、純水配管70cの供給圧力が直接印加される。純水配管70cを含む処理液配管群70の各配管の供給圧力は、工場内の他の装置の使用状況により、変動することがある。供給圧力が変動した場合、第2の供給ノズル45bから小流量である第2の流量F2で供給される処理液の流量が変動するおそれがある。
一方、本実施の形態では、ニードルバルブ136は、モータバルブ133を介してSC1配管70a、純水配管70cに接続されている。従って、ニードルバルブ136の上流側には、SC1配管70a、純水配管70cの供給圧力が直接印加することがない。従って、処理液配管群70の各配管の供給圧力の変動に影響されることなく、第2の供給ノズル45bにおける小流量である第2の流量(例えば100cc/min)を精度良く制御することができる。
このように、本実施の形態では、一つの流量制御機構により、大流量も小流量も精度よく制御することができる。よって、流量制御機構が制御可能な流量の範囲に制限があり、それぞれの流量次第ではまとめることができない複数の供給系から処理液を供給するときにも、流量制御機構をまとめることができる。
(実施の形態の変形例)
次に、図14を参照し、実施の形態の変形例に係る基板処理装置の概略構成について説明する。
本変形例に係る基板処理装置は、第1のLFC131に代え、定圧弁131aを用いる点で、実施の形態に係る基板処理装置と相違する。また、定圧弁131aは、流量制御弁として、モータバルブ133に代え、パイロット式制御弁133aを用いる点で、LFCと相違する。それ以外の部分については、実施の形態に係る基板処理装置と同様であり、説明を省略する。
図14は、第1のLFC131に代えて定圧弁131aを用いた場合における、供給系から供給ノズルまでの供給流路を示す図である。
定圧弁131aは、超音波式流量計132、パイロット式制御弁133a、電空レギュレータ133b及び流量制御部134を有する。パイロット式制御弁133aは、供給流路68a上に設けられており、電空レギュレータ133bにより弁開度を制御可能である。
パイロット式制御弁133aは、電空レギュレータ133bから与えられた空気圧(パイロット圧)に応じて、パイロット式制御弁133aの二次側における供給流路68aの圧力を調節し、圧力を調節することによって供給流路68aの流量を制御する制御弁である。
パイロット式制御弁133aは、その内部にダイアフラムに連動する弁体を備えている。このダイアフラムに、一の側からパイロット圧が、他の側から二次側の供給流路68a内の圧力がそれぞれ作用する。両側の圧力に差圧があるとダイアフラムが変形して弁体の開度(弁開度)が変わり、両側の圧力が平衡したところで弁体が静止する。すなわち、パイロット式制御弁133aの二次側の供給流路68a内の圧力がパイロット圧に平衡するように弁体が変位する。従って、一方のパイロット圧を与えることにより、パイロット式制御弁133aの二次側の供給流路68a内の圧力を一定にすることができる。その結果、パイロット式制御弁133aの二次側の供給流路68aの流路抵抗が変化しない限り、二次側の供給流路68aに流れる処理液の流量を一定にすることができる。
電空レギュレータ133bは、供給された加圧空気(圧空)を、流量制御部134から与えられる操作電圧に応じた空気圧(パイロット圧)に変換して出力する。本変形例では、供給流路68aに流れる処理液の流量を、予め設定された所定の流量設定値に維持するために、流量制御部134は、一定の操作電圧(Vp)を電空レギュレータ133bに出力するように構成されている。
流量制御部134は、超音波式流量計132が計測した流量計測値FMを含む計測信号SMが超音波式流量計132から入力されるとともに、パイロット式制御弁133aの弁開度を制御する、操作電圧Vp(制御信号SC)を電空レギュレータ133bへ出力する。
すなわち、流量制御部134は、予め設定された流量設定値FSと、超音波式流量計132が計測した流量計測値FMとに基づいて、電空レギュレータ133bによりパイロット式制御弁133aの弁開度を制御する。
従って、流量設定値FSが調整可能レンジにあるとき(第1の流量F1であるとき)は、三方弁135のバルブ135bを閉じ、バルブ135aを開くことにより、定圧弁131aがニードルバルブ136を介さずに、すなわち、供給流路68cを介して、第1の供給ノズル45aに接続される。また、流量設定値FSが調整可能レンジの下限よりも小さいとき(第2の流量F2であるとき)は、三方弁135のバルブ135aを閉じ、バルブ135bを開くことにより、定圧弁131aがニードルバルブ136を介して、すなわち、供給流路68dを介して、第2の供給ノズル45bに接続される。
すなわち、流量設定値FSが第1の流量F1であるときは、処理液が供給流路68cを流れるように三方弁135を制御し、流量設定値FSが第1の流量F1よりも少ない第2の流量F2であるときは、処理液が供給流路68dを流れるように三方弁を制御する。
なお、流量制御部134で予め設定される流量設定値FSは、基板処理装置100を制御する制御部200のプロセスコントローラ201が受け付けて定圧弁131aに出力するようにしてもよい。プロセスコントローラ201が流量設定値FSを受け付ける場合、流量制御部134は、プロセスコントローラ201が受け付けた流量設定値FSと、流量計測値FMとを比較し、流量計測値FMが流量設定値FSと等しくなるように、パイロット式制御弁133aの弁開度を制御する。
あるいは、制御部200は、受け付けた第1の流量F1の流量設定値FSが、第1の流量範囲(a〜b)の範囲内であるときは、処理液が供給流路68cを流れるように三方弁135を制御するようにしてもよい。そして、制御部200は、受け付けた第2の流量F2の流量設定値FSが、第2の流量範囲(c〜d)の範囲内であるときは、処理液が供給流路68dを流れるように三方弁135を制御するようにしてもよい。ただし、a、b、c、dの関係は、c<d<a<bである。そして、制御部200が制御するとき、定圧弁131aにおいて、第1の流量範囲(a〜b)と第2の流量範囲(c〜d)の範囲で同じ弁開度が存在することが好ましい。これにより、小流量である第2の流量F2を精度よく制御することができ、処理液を供給するときに、流量の精度を落とすことなく流量制御機構をまとめることができる。
aとして例えば200cc/minとすることができ、bとして例えば2000cc/minとすることができ、cとして例えば15cc/minとすることができ、dとして例えば150cc/minとすることができる。
本変形例でも、実施の形態と同様に、第2の供給ノズル45bを省略し、第1の供給ノズル45aのみを設け、図8を用いて前述したように、供給流路68dがニードルバルブ136の供給ノズル45側において供給流路68cと合流するように構成してもよい。
本変形例でも、流量設定値FSが第1の流量F1より少ない第2の流量F2であるときのパイロット式制御弁133aの弁開度が、流量設定値が第1の流量F1であるときのパイロット式制御弁133aの弁開度よりも大きい状態で用いることができる。これにより、第2の流量F2の範囲で流量制御するときも、流量の制御を精度良く行うことができる。
また、本変形例でも、流量設定値FSが第1の流量F1より少ない第2の流量F2であるときのパイロット式制御弁133aの弁開度が、流量設定値FSが第1の流量F1であるときのパイロット式制御弁133aの弁開度と等しいことがある。これにより、第2の流量F2の範囲で流量制御するときも、流量の制御を精度良く行うことができる。
すなわち、本変形例でも、実施の形態と同様に、一つの流量制御機構により、大流量も小流量も精度よく制御することができる。よって、複数の供給系から処理液を供給するときに流量制御機構をまとめることができる。
更に、本変形例では、定圧弁131aを用いるため、LFCを用いる場合よりも基板処理装置を安価に構成することができる。また、LFCを用いる場合よりも圧力安定性に優れ、応答性に優れ、流量安定性に優れ、信頼性に優れた基板処理装置を構成することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
なお、本発明の実施の形態では、第1の供給ノズルが基板に処理液を供給する第1の流量よりも少ない第2の流量で第2の供給ノズルが基板に処理液を供給する例について説明した。しかしながら、第2の供給ノズルは、第1の供給ノズルと同じ流量で基板に処理液を供給するものであってもよい。
また、本発明の実施の形態では、複数の供給系が供給する処理液の種類は互いに異なる例について説明した。しかしながら、各供給系が供給する処理液の全ての種類が互いに異ならなくてもよく、そのいずれか2つが同一である場合も含む。