JP5490346B2 - 4−ヒドロキシタモキシフェンによる乳癌の予防および治療 - Google Patents

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Description

本発明は、4−ヒドロキシタモキシフェン(4−OHT)による乳癌の治療および予防に関する。
乳癌は、米国および世界全体の女性にとって重大な健康上の問題となっている。この疾患の発見および治療においては進歩があるものの、乳癌は現在も、女性における2番目に多い癌関連の死亡原因であり、毎年米国のみで18万人を超える女性がそれを患っている。北米の女性の場合、乳癌に罹る生涯確率は8人に1人である。
現在のところ、乳癌の予防方法または治療方法で普遍的に奏功するものは存在しない。この疾患の治療技術は、早期診断(通常の乳房スクリーニング法による)と、手術、放射線療法、化学療法およびホルモン療法などの様々な治療1つ以上を含み得る積極的治療との組合せに依存している。これらの療法は、危険で、毒性があり、高価で、しかも多くの場合、特に転移疾患の治療の場合には効果がない。
乳癌に最も一般的に処方されるホルモン薬はタモキシフェンである。この薬剤は、乳癌細胞の増殖を促進するエストロゲンの作用を遮断することで作用する。乳癌の治療として、タモキシフェンは、身体内に既に存在する癌細胞の増殖を遅延または停止させ、再発および新たな癌の発生を防止するのを助ける。タモキシフェンを5年間服用することで、エストロゲン受容体陽性癌の患者において再発のリスクは約半分に低下する。タモキシフェンはまた、閉経前および閉経後の女性の両方で、反対側の乳房が関与する乳癌(対側性)の発生率も低下させる。さらに、タモキシフェンは最近、この疾患を発症するリスクが高い女性において乳癌の発生率を低下させることが認められている。
その利益にも関わらず、タモキシフェンは重大な欠点を有する。それの作用は、身体内の全てのエストロゲン受容体を有する細胞に影響を与える可能性があり、作働薬と拮抗薬の両方として、タモキシフェンは非常に広範囲の全身効果を誘発する。これらの効果は、子宮体癌、子宮内膜増殖症およびポリープ、深部静脈血栓症および肺動脈塞栓症、肝臓酵素レベルにおける変化、ならびに白内障などの眼球障害のリスクを高めるものである。さらに、経口タモキシフェン治療を受けた患者は、一過性熱感、膣帯下、抑鬱、無月経および吐き気があったと報告している(Ibis, 2002; Fentiman 1986, 1988, 1989)。
タモキシフェンが持つ欠点のために、一部の癌研究者は、乳癌に対してタモキシフェンの代謝物である4−ヒドロキシタモキシフェンを用いることを提案している。in vitro試験で、4−ヒドロキシタモキシフェンは、正常および癌性の両方の乳房細胞の増殖を阻害する(Nomura, 1985; Malet, 1988, 2002; Charlier, 1995)。さらに、経皮的に投与された4−ヒドロキシタモキシフェンは、マウスで皮下増殖させたヒト乳房腫瘍に対して抗腫瘍効果を示す(米国特許第5,904,930号)。
ヒトでの限られた実験から、経皮的に投与された4−ヒドロキシタモキシフェンが局所の乳房腫瘍に集中して、全身への分布が非常に少なくなり得ることが明らかになっている(Mauvais-Jarvis, 1986)。しかしながら、患者を3週間治療した、この種の最も長期にわたる報告された試験から、経皮的に投与された4−ヒドロキシタモキシフェンの乳房組織濃度が経口タモキシフェン治療後に認められた濃度よりも低いままであることが明らかになった(Pujol, 1995)。従って、その研究者らは、代替のタモキシフェン治療法として経皮4−ヒドロキシタモキシフェンを提案することはできないという結論に至っている。
重要なことには、ヒトでの4−ヒドロキシタモキシフェンに関する報告されている試験で、抗腫瘍効果を評価したものがない。それがないために、経皮投与される4−ヒドロキシタモキシフェンが実際にヒトの乳癌に対して効果を発揮するか否かという最も重要な疑問が全くわからない状態である。従って、現在もなお、全身的な副作用をほとんど引き起こさない乳癌の治療および予防法に対する強いニーズが存在する。
本発明は、4−ヒドロキシタモキシフェンを投与することにより乳癌を治療する方法を含む。この治療方法は、好ましくは局所的に実施され、腫瘍組織の増殖を効果的に減少させ、経口タモキシフェンと比べて血漿薬物レベルが低くなる。
本発明はまた、4−ヒドロキシタモキシフェンを投与することにより乳癌を予防する方法を含む。前記治療方法と同様に、予防方法も好ましくは局所的に実施される。
本発明はさらに、4−ヒドロキシタモキシフェンおよび少なくとも1種類の浸透促進剤を含む経皮投与用医薬組成物を含む。
予防または治療の目的のために、4−ヒドロキシタモキシフェンは、in vivoでエストロゲン受容体を有する細胞にその薬剤を送達させるどのような手段によっても投与することができる。前述のように、投与を経皮的に(局所的に)行って、4−ヒドロキシタモキシフェンの一次通過効果および関連する肝臓代謝を回避することが好ましい。経皮投与においては、4−ヒドロキシタモキシフェンはいずれの皮膚表面にも塗布することができる。4−ヒドロキシタモキシフェンは、経皮的に投与すると、エストロゲン受容体を有する局所皮下組織に集中する傾向があることから、乳房に塗布することが有利である。
本発明を実施する上で、広範囲の局所的配合が好適であるが、水性アルコール溶液および水性アルコールゲルが好ましい。それらの製剤における4−ヒドロキシタモキシフェンの濃度は変動し得るものであるが、用量は、エストロゲン誘発効果に有効に対抗する局所4−ヒドロキシタモキシフェン組織濃度を生じるものでなければならない。
本発明の重要な面は、経皮投与した場合に4−ヒドロキシタモキシフェンが乳癌の治療だけでなく、その予防にも有効であるという驚くべき発見である。さらに、経皮投与された4−ヒドロキシタモキシフェンによって、経口タモキシフェンの標準的用量と比較して血漿薬剤レベルが低くなり、それはすなわち有害な副作用が少ないということである。従って、経皮4−ヒドロキシタモキシフェンは、この文脈において治療と予防の両方でタモキシフェンの代替薬となる。
本発明者らは、4−ヒドロキシタモキシフェンがヒトにおいてin vivoでの乳房腫瘍増殖を減少させることを証明するために第1の試験を行った(下記の実施例4を参照)。手短に言えば、本発明者らは、エストロゲン受容体陽性乳癌と診断されたヒト患者に4−ヒドロキシタモキシフェンゲルを経皮投与した。投与からわずか2〜3週間後に、本発明者らは用量に関連した腫瘍組織増殖指数の低下を認め、最も高い用量(2.0mg/日)は標準的な用量の経口タモキシフェンとほぼ同等の効果を示した。評価した腫瘍組織増殖指数はKi67(Gerdes 1984; Schluter 1993)および増殖細胞核抗原(PCNA)(Waseem, 1990)である。経皮4−ヒドロキシタモキシフェンゲルおよび経口タモキシフェンは、腫瘍組織増殖低下において同等であったが、4−ヒドロキシタモキシフェン血漿レベルは4−ヒドロキシタモキシフェンゲルが投与された患者の方が一貫して低かった。
化合物4−ヒドロキシタモキシフェン、すなわち1−[4−(2−N−ジメチルアミノエトキシ)フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルブト−1−エンは、特性がよく分かっている抗エストロゲン化合物であるタモキシフェンの活性代謝物である。2個の炭素原子間に二重結合が存在することから、4−ヒドロキシタモキシフェンは2つの立体異性体の形態で存在する。医学文献および生化学文献によれば、4−ヒドロキシタモキシフェンの異性体は一般に、シスおよびトランス異性体と称される。しかしながら、純粋に化学的な観点からすると、二重結合している炭素原子それぞれは同一の化学基を持たないので、この呼称は厳密に正確なものではない。従って、異性体をE(いわゆるシス型)およびZ(いわゆるトランス型)の配置と称する方がより適切である。本発明によれば、単独または組み合わせでの4−ヒドロキシタモキシフェンのE異性体およびZ異性体の両方が有用である。しかしながら、Z異性体の方がE異性体より活性が高いことから、Z異性体が好ましい。
4−ヒドロキシタモキシフェンは、エストロゲン受容組織に対する組織特異性を示す選択的エストロゲン受容体調節剤(SERM)として作用する。乳房組織ではそれは、エストロゲン拮抗薬として機能する。4−ヒドロキシタモキシフェンが組織特異的活性に寄与する可能性があるエストロゲン関連受容体の転写活性を調節し得ることが、研究から明らかになっている。in vitroにおいて4−ヒドロキシタモキシフェンは、エストロゲン受容体すなわちERに対する結合アフィニティによる測定でタモキシフェンより高い効力と、エストロゲン受容体に関してエストラジオールと同様の結合アフィニティを示す(Robertson et al., 1982; Kuiper et al., 1997)。Z−4−ヒドロキシタモキシフェンは、Z−タモキシフェンと比較して、正常ヒト上皮乳房細胞の培養での増殖を100倍阻害する(Malet et al., 1988)。
4−ヒドロキシタモキシフェンはタモキシフェン代謝物であるが、乳癌に対してのそれの有用性は、タモキシフェン自体での以前の経験では予測されないものである。タモキシフェンは、図1に示すように、ヒトにおいて広範囲にわたって代謝される。従って、それのin vivoでの作用は、標的組織内における受容体の占有に関して競合する親化合物とそれの代謝化合物による個々の作用の正味の結果である。例えば、ジョーダンの報告(Jordan, 1982)を参照のこと。これらの各化合物は、各種細胞で多様かつ予測できない生物活性を示し、その一部は各化合物のエストロゲン受容体配座に対する個々の効果によって測定される。すなわち、各化合物のエストロゲン受容体結合により、特有の受容体−リガンド配座が生じ、それが各種補因子を召集することで、異なる化合物では薬理特性が変動することになる(Wijayaratne et al., 1999; Giambiagi et al., 1988)。
その変動する効果の例がいくつか報告されている。例えば、タモキシフェンは強力なラット肝臓発癌物質であるが、4−ヒドロキシタモキシフェンはそうではない(Carthew et al., 2001; Sauvez et al., 1999)。さらに、伝えられるところによれば、タモキシフェンはp53(−)正常ヒト乳房上皮細胞でのアポプトシスを起こすが、4−ヒドロキシタモキシフェンはそうではない(Dietze et al., 2001)。対照的に、4−ヒドロキシタモキシフェンは乳癌細胞系でエストロンスルファターゼ活性に対するかなりの阻害効果を示すが、一方、それに関してタモキシフェンはほとんど、または全く効果がない(Chetrite et al., 1993)。
4−ヒドロキシタモキシフェンを用いた以前の試験も、乳癌の治療および予防についてのそれの有効性を予見するものではなかった。薬剤がin vitroまたは異種移植片アッセイでの腫瘍細胞増殖を阻害する能力は、その薬剤がヒトでどのように作用すると考えられるかを示す指標としては十分なものではない(Gura, 1997)。人工的な環境である細胞培養は、完全な生体系で薬剤がどのように作用するかについて情報を提供するものではなく、多くの場合、動物による薬物の処理はヒトの場合と同様ではない。さらに、以前の4−ヒドロキシタモキシフェンを用いたヒト試験は薬剤送達のみを評価しており、乳房腫瘍に対するこの薬剤の効果に関する情報は提供されていなかった。これとは対照的に、本発明者らが行った実験では、驚くべきことに、経皮投与された4−ヒドロキシタモキシフェンが、腫瘍組織増殖指数において用量に関連した低下を引き起こすことが示された。
4−ヒドロキシタモキシフェンの製造方法は、よく知られている。例えば、米国特許第4,919,937号には、ロバートソンらの報告(Robertson and Katzenellenbogen, 1982)に由来する合成が記載されている。その合成は、下記の数段階で行われる。
段階1 − 4−(β−ジメチルアミノエトキシ)−α−エチルデオキシベンゾインとp−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニルマグネシウムブロミドとの反応;
段階2 − 段階1とは別に、1,2−ジフェニル−1−ブタノンのヒドロキシル化による1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブタノンの形成;
段階3 − 段階1の生成物と段階2の生成物との反応による1−(4−ジメチルアミノエトキシフェニル)−1−[p−2−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]−2−フェニルブタン−1−オールの形成;
段階4 − メタノール/塩酸による脱水による、E異性体およびZ異性体の混合物である1−[p−(β−ジメチルアミノエトキシ)フェニル]−Z−1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−フェニル−1−ブト−1−エン =4−OH−タモキシフェンの生成;
段階5 − クロマトグラフィーおよび結晶化によるE異性体およびZ異性体の分離による一定の比活性の実現。
本発明によれば、4−ヒドロキシタモキシフェンを乳癌と診断された患者に投与することができる。4−ヒドロキシタモキシフェンが主としてエストロゲン受容体に対して作用することにより、その効果を発揮すると考えられることから、その癌は好ましくはエストロゲン受容体陽性である。さらに、乳癌が乳房に局在していることが好ましい。例えば、乳房のみに局在している原発性乳房腫瘍および/または転移性腫瘍は、局所投与によって治療することができる。しかしながら、局所投与された4−ヒドロキシタモキシフェンが到達可能な他の箇所での乳癌腫瘍も、このようにして治療することができる。
本発明はまた、乳癌になるリスクが高い患者に4−ヒドロキシタモキシフェンを予防的に投与することを意図するものである。乳癌の多くの危険因子について、よく確認されている。例えば、乳癌の家族歴、乳癌の個人歴、非定型過形成などの増殖性乳房疾患の過去の乳房生検による検出、および過去の乳房放射線照射はいずれも、患者を、乳癌発症リスクを高くする状態に置くものである。特定の遺伝的危険因子には、BRCA1、BRCA2、ATM、CHEK−2およびp53突然変異体などがある。女性における、ある種の生活様式に関連した危険因子には、30歳を超えた高齢出産、長期間の経口避妊薬の使用および長期間のホルモン置換療法の使用などがある。熟練の医師であれば、これらの危険因子および他の危険因子を評価して、患者が4−ヒドロキシタモキシフェンの予防的使用によって利益を得られるか否かを決定することができる。そのような評価をするにおいて、医師はゲイルモデル(Gail model)を用いることができる。
4−ヒドロキシタモキシフェンは、閉経前の女性において乳癌を予防するのに特に有用である。この個体群では、抗エストロゲンが多量の循環エストロゲンと競合して、エストロゲン受容体を占有するはずである。4−ヒドロキシタモキシフェンはタモキシフェンと比較してエストロゲン受容体に対して100倍の親和性を有することから、低用量で、より良好に受容体について競合することができる。低用量を用いることができるという点は、薬剤への患者の曝露が長期間であり、副作用の耐容性が比較的低い予防の状況において特に重要である。
本発明によれば、4−ヒドロキシタモキシフェンは、in vivoで活性化合物を乳房および/または腫瘍エストロゲン受容体に送達するどのような剤形でも、およびどのような系を経てでも投与することができる。好ましくは、4−ヒドロキシタモキシフェンは「経皮投与」によって送達される。その表現は、患者の皮膚の表面から、角質層、表皮層および真皮層を通って、微小循環系に至る薬剤の送達方法すべてを意味する。それは典型的には、濃度勾配の下降に沿う拡散によって得られる。その拡散は、細胞内浸透(細胞を通って)、細胞間浸透(細胞間で)、経付属器浸透(毛嚢、汗および皮脂腺を通って)、またはそれらのいずれかの組合せを介して生じ得る。
4−ヒドロキシタモキシフェンの経皮投与には、いくつか利点がある。第1に、それは、経口投与後に起こる肝臓代謝を回避するものである(Mauvais-Jarvis et al., 1986)。第2に、経皮投与は、全身薬剤曝露およびそれに伴う身体全体での非特異的なエストロゲン受容体の活性化によるリスクを大幅に低減させる。これは、局所4−ヒドロキシタモキシフェンが主として局所組織に吸収されるためである。特に、4−ヒドロキシタモキシフェンを乳房に経皮的に塗ると、おそらく多くのエストロゲン受容体が乳房組織内にあるために、高濃度が乳房組織に蓄積して、血漿濃度が高くならない(Mauvais-Jarvis et al., supra)。従って、本発明によれば、4−ヒドロキシタモキシフェンはいずれの皮膚表面にも塗布することができるが、好ましくは片方または両方の乳房に塗布する。
本発明は特定の理論に拘束されるものではないが、抗エストロゲン剤が標的外の組織でエストラジオールに置き換わると、その薬剤の臨床的に重大な副作用が生じる。4−ヒドロキシタモキシフェンおよびエストラジオールはエストロゲン受容体に対して同様の結合アフィニティを有することから、受容体結合についてのそれらの間の競合は、各化合物の濃度が他方のものとほぼ同じである場合には、ほぼ同等であると考えられる。4−ヒドロキシタモキシフェン濃度がエストラジオール濃度より高い場合、前者の方が優先的にエストロゲン受容体に結合し、その逆もまた同様である。
従って、約80pg/mL未満の血漿濃度または正常な閉経前の女性での平均エストラジオール濃度未満になる4−ヒドロキシタモキシフェンの用量が好ましい。より好ましくは、4−ヒドロキシタモキシフェンの用量は、約50pg/mL未満の血漿濃度になるものである。投与される1日用量は、最初に、4−ヒドロキシタモキシフェンの吸収係数、所望の乳房組織濃度および超えてはならない血漿濃度に基づいて推定することができる。当然のことながら、初期用量は、個々の応答に応じて、各患者で最適化してもよい。
上述のように、4−ヒドロキシタモキシフェンを乳房組織に向かわせることで、その組織で高濃度を達成しながら、同時にエストラジオール受容体に関する重大な全身的競合が起こるところまで4−ヒドロキシタモキシフェン血漿レベルが上昇しないようにすることができる。1mg/乳房/日の経皮用量で、乳房組織中の4−ヒドロキシタモキシフェン濃度は、乳房組織中の正常なエストラジオール濃度の4倍となる(Barrat et al., 1990; Pujol et al., supra)。さらに、このように塗布された4−ヒドロキシタモキシフェンは、乳房組織で、血漿中の濃度の一桁高い濃度、すなわち10:1の濃度に達する。それとは対照的に、タモキシフェンの経口投与後における4−ヒドロキシタモキシフェンの乳房組織/血漿の比率は、約5:1である。
経皮製剤では、0.25〜2.0mg/乳房/日のオーダーの4−ヒドロキシタモキシフェンの用量によって所望の結果が得られるはずであり、約0.5〜1.0mg/乳房/日の用量が好ましい。特定の態様においては、4−ヒドロキシタモキシフェンの用量は、約0.5mg/乳房/日、0.75mg/乳房/日または1.0mg/乳房/日である。
経皮投与は、主として(i)治療活性化合物または無毒で薬剤として許容されるそれの塩を好適な医薬担体および任意選択で浸透促進剤と混合して、軟膏、乳濁液、ローション、液剤、クリーム、ゲルなどを形成し、その調剤薬の所定量を皮膚の特定の領域に塗布する、あるいは(ii)公知の技術に従って貼付剤または経皮投与系に治療活性物質を組み込むという2つの異なる方法で行うことができる。
経皮薬剤投与の有効性は、薬剤濃度、塗布した表面積、塗布の時間および期間、皮膚水和、薬剤の物理化学特性ならびに調剤薬と皮膚の間の薬剤の分配などの多くの要素によって決まる。経皮での使用を意図した薬剤の製剤は、これらの要素を利用して、最適な送達を達成すものである。そのような製剤は、多くの場合、角質層の物理化学特性を可逆的に変えることにより角質層の抵抗を低下させることで、角質層の水化を変えることで、共溶媒として働くことで、あるいは細胞間の空間での脂質およびタンパク質の構成を変えることで経皮吸収を改善する浸透促進剤を含む。そのような経皮吸収の促進剤には、界面活性剤、DMSO、アルコール、アセトン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、脂肪酸、脂肪アルコール、およびそれらの誘導体、ヒドロキシ酸、ピロリドン類、尿素、精油、それらの混合物などがある。化学的促進剤以外に、物理的方法によって経皮吸収を増加させることができる。例えば、閉鎖包帯によって皮膚の水分増加が誘発される。他の物理的方法にはイオン導入および超音波導入などがあり、それらはそれぞれ電場および高周波数超音波を用いて、その大きさ及びイオン特性のためにほとんど吸収されない薬剤の吸収を高めるものである。
経皮薬剤送達に関係する多くの要素および方法については、文献に総説がある(REMINGTON: THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY, Alfonso R. Gennaro
(Lippincott Williams & Wilkins, 2000), pp.836-58; PERCUTANEOUS ABSORPTION:
DRUGS COSMETICS MECHANISMS METHODOLOGY, Bronaugh and Maibach (Marcel Dekker,
1999))。これらの刊行物が明らかにしているように、医薬分野での当業者は、各種の要素および方法を駆使して、有効な経皮送達を達成することができる。
4−ヒドロキシタモキシフェンは、巨大で非常に親油性が高い分子である。このため、浸透促進剤の助けがなければ、それは皮膚にほとんど浸透しない。従って、本発明で用いられる4−ヒドロキシタモキシフェンの製剤は、好ましくは、1以上の浸透促進剤を含む。4−ヒドロキシタモキシフェンはアルコールに可溶であることから、アルコールが好ましい促進剤である。ミリスチン酸イソプロピルも好ましい促進剤である。
経皮投与のためには、4−ヒドロキシタモキシフェンは、軟膏、クリーム、ゲル、乳濁液(エマルジョン)、ローション、散剤、オイルまたは同様の製剤で送達することができる。そのために、前記製剤は通常の賦形剤添加物を含むことができ、それには扁桃油、オリーブ油、桃仁油、落花生油、ヒマシ油などの植物性油、動物性油、DMSO、脂肪および脂肪様物質、ラノリンリポイド類、ホスファチド類、パラフィン類などの炭化水素類、ワセリン、ワックス類、洗剤乳化剤、レシチン、アルコール類、カロチン、グリセロール(すなわちグリセリン)などのポリオール類またはポリグリコール類、グリセロールエーテル類、グリコール類、グリコールエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、非揮発性脂肪アルコール類、酸類、エステル類、揮発性アルコール系化合物、尿素、タルク、セルロース誘導体、着色剤、酸化防止剤および防腐剤などがある。
本発明によれば、4−ヒドロキシタモキシフェンはまた、経皮貼付剤を介して送達することもできる。一実施形態において、その貼付剤は、4−ヒドロキシタモキシフェン製剤のための貯留部を有する。その貼付剤は、(a)溶液不透過性の裏材ホイル、(b)空洞部を有する層状様の要素、(c)微孔性膜または半透膜、(d)自己接着性層、および(e)任意選択で、取り外し可能な裏材フィルムを有することができる。空洞部を有する層状様の要素は、裏材ホイルと膜によって形成することができる。あるいは、この貼付剤は、(a)溶液不透過性の裏材ホイル、(b)貯留部としての開放孔発泡体、密閉孔発泡体、組織様層または繊維質のウェブ様層、(c)(b)による層が自己接着性でない場合には自己接着性層、および(d)任意選択で、取り外し可能な裏材フィルムを有することができる。
本発明の好ましい実施形態においては、4−ヒドロキシタモキシフェンは水性アルコールゲル中に配合される。そのようなゲル中の4−ヒドロキシタモキシフェンの量は、ゲル100g当たり4−ヒドロキシタモキシフェンが約0.001g〜約1.0gの範囲とすることができる。好ましくは、ゲル100g当たり4−ヒドロキシタモキシフェンが約0.01g〜約0.1gの範囲である。
4−ヒドロキシタモキシフェン製剤が浸透促進剤として1以上の脂肪酸エステルを含むことも好ましい。脂肪酸エステル浸透促進剤の非常に好ましい一例は、ミリスチン酸イソプロピルである。ミリスチン酸イソプロピルをゲルで使用する場合、その量は、ゲル100g当たり約0.1〜約5.0gの範囲とすることができる。好ましくは、ミリスチン酸イソプロピルの量は、ゲル100g当たり約0.5〜約2.0gの範囲である。
本発明の4−ヒドロキシタモキシフェン製剤は通常、1以上の非水系媒体を含む。これらの媒体は、4−ヒドロキシタモキシフェンと使用される浸透促進剤のいずれも溶解できるものでなければならない。それらはまた、大気圧下で低い沸点、好ましくは100℃未満の沸点を有し、皮膚と接触した時に急速に蒸発できるものでなければならない。好適な非水系媒体の例には、エタノール、イソプロパノールおよび酢酸エチルなどがある。エタノールおよびイソプロパノールが好ましい。特に、エタノールは、皮膚と接触した時に急速に蒸発することにより、4−ヒドロキシタモキシフェンの経皮吸収に効果的に寄与する。ゲル製剤中の非水系媒体の量は、通常、54重量%〜85重量%、好ましくは65重量%〜75重量%の範囲である。
製剤はまた、製剤中の任意の親水性分子の可溶化を可能とし、さらにその製剤から皮膚への親油性分子の拡散を促進する水系媒体を含むこともできる。水系媒体はまた、pHを調節することができる。水系媒体には、アルカリ化および塩基性緩衝液などがあり、例えばリン酸緩衝液(例えば、リン酸二ナトリウムまたはリン酸一ナトリウム)、クエン酸緩衝液(例えば、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウム)および単なる純水がある。水系媒体の量は、好ましくはゲル製剤の15重量%〜45重量%、より好ましくは25重量%〜35重量%の範囲である。
さらに、4−ヒドロキシタモキシフェン製剤は、製剤の粘度を上昇させるため、および/または、可溶化剤として機能するための1以上のゲル化剤を含むことができる。ゲル化剤の性質に応じて、それは製剤の0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.5重量%〜10重量%、さらに好ましくは1重量%〜5重量%を構成する。好ましいゲル化剤には、カルボマー類、セルロース誘導体、ポロキサマー類およびポロキサミン類などがある。より詳細には、好ましいゲル化剤は、キトサン、デキストラン、ペクチン類、天然ゴムならびにエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体である。一つの非常に好ましいゲル化剤は、ヒドロキシプロピルセルロースである。
製剤がゲル化剤、特に非前中和アクリルポリマーを含む場合、有利には、それは中和剤も含む。中和剤/ゲル化剤比は、好ましくは10:1〜0.1:1、より好ましくは7:1〜0.5:1、さらに好ましくは4:1〜1:1である。中和剤は、ポリマーの存在下、媒体に可溶な塩を形成するものでなければならない。中和剤はまた、電荷の中和およびポリマー塩の形成中にポリマー鎖の最適な膨潤を可能とするものでなければならない。有用な中和剤には、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アルギニン、アミノメチルプロパノールおよびトロメタミンなどがある。当業者であれば、製剤で用いられるゲル化剤の種類に応じて中和剤を選択するであろう。しかしながら、セルロース誘導体をゲル化剤として用いる場合、中和剤は必要ない。
表1に、2つの非常に好ましい4−ヒドロキシタモキシフェンゲル製剤の組成を示す。
Figure 0005490346
下記の内容に関して、例示した実施例は本発明についての理解をさらに深める上で役立つものである。
実施例1:経皮4−ヒドロキシタモキシフェン投与の実証
乳癌患者4名に、12時間〜7日間の所定の間隔で乳房に直接塗布することでアルコール溶液での[H]−4−ヒドロキシタモキシフェンを投与してから、患部組織の摘出手術を行った。手術後、摘出組織と腫瘍周囲の正常乳房組織の両方に放射能が含まれていた(Kuttenn et al., 1985)。
追跡調査試験で、ホルモン依存型乳癌の摘出手術の予定があった患者12名中の9名に、Z−[H]−4−ヒドロキシタモキシフェン(80μCi)の60%アルコール溶液の投与を行い、患者3名に比較のためZ−[H]−タモキシフェン(80μCi)の投与を行った。患者には、12時間〜7日間の所定の間隔で患部乳房に直接塗布することで[H]−標識薬剤を投与してから、患部組織の摘出手術を行った。3つの領域からの乳房組織、すなわち腫瘍、その腫瘍を直接囲む組織および正常組織を摘出し、液体窒素で直ちに冷凍した。さらに、血漿および尿のサンプルを予定の間隔で採取し、分析まで冷凍した。
表2に、実施した分析からの結果を示す。4−ヒドロキシタモキシフェンは、エストロゲン受容体が存在する乳房組織のサイトゾル画分および核画分に主に濃縮されていた。これらの細胞内部位では、Z体からE体への限定的な異性化があった以外は、4−ヒドロキシタモキシフェンが代謝されずに残っていた。乳房での保持は、4−ヒドロキシタモキシフェン群ではほぼ4日間続いたが、タモキシフェン群ではそれより短く、かなり弱かった。
Figure 0005490346
経皮投与後に乳房組織で[H]−4−ヒドロキシタモキシフェンとして確認された放射能のパーセントは、7日間かけて徐々に低下した(97%から65%)。その期間中、Z異性体からE異性体への異性化が徐々に進行し、第7日目で同様のパーセントとなった(32%と33%)。
H]−4−ヒドロキシタモキシフェンによる血液中の放射能は徐々に増え、第4日〜第6日では横這い状態であった。それは、血液中に急速に現れ、第2日目で横這い状態となった[H]−タモキシフェンとは対照的である。経皮[H]−4−ヒドロキシタモキシフェン投与から36時間後では、投与した放射能の0.5%のみが血液中で示された。
乳房組織では4−ヒドロキシタモキシフェンの代謝はほとんどなかったのとは対照的に、血液中ではそのような代謝が顕著に起こった。投与から24時間後、血中放射能の68%が4−ヒドロキシタモキシフェンによるものであり、18%がN−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェンによるものであり、11%がビスフェノールによるものであった。
ピークの尿排出は、4−ヒドロキシタモキシフェンの経皮投与では、経皮タモキシフェンと比較して遅かった。4−ヒドロキシタモキシフェン投与後、ほとんどがN−デスメチル−4−ヒドロキシタモキシフェンとビスフェノールである代謝物の漸増が尿中において認められた。
本実施例は、4−ヒドロキシタモキシフェンの乳房への経皮投与により、薬剤の実質的かつ永続的局所組織集中が起こり、代謝はごく少量であり、安定かつ非常に低い血漿濃度であり、尿からの排出が遅いことを示している。
実施例2:20mg経口タモキシフェンと比較した経皮投与4−OH−タモキシフェンの薬物動態および薬力学の実証
この試験では、タモキシフェンの経口投与後の4−ヒドロキシタモキシフェンの組織濃度および血漿濃度と、水性アルコールゲルでの経皮投与後の4−ヒドロキシタモキシフェンの組織濃度および血漿濃度とを比較した(Pujol, 1995)。
乳癌手術の予定がある患者31名を5群中の1群に無作為に割り当てた。その患者に、表3に示したように経口タモキシフェンまたは経皮4−ヒドロキシタモキシフェンのいずれかの投与を行った。投与は1日1回行い、3〜4週間続けてから手術を行った。この試験では、3つの異なる用量の4−ヒドロキシタモキシフェン(0.5、1または2mg/日)および2種類の塗布面積(両方の乳房または両腕、両前腕および両肩などの大面積の皮膚表面のいずれか)を評価した。1群の患者には、20mg/日(10mgを1日2回)の経口タモキシフェン(ノルバルデックス(Nolvaldex);登録商標)の投与を行った。
Figure 0005490346
4−ヒドロキシタモキシフェンゲル(4−ヒドロキシタモキシフェン20mg/水性アルコールゲル100g;Besins-International Laboratories)は、加圧計量式ポンプに充填し、それによってゲル1.25g/計量用量(すなわち4−ヒドロキシタモキシフェン0.25mg/用量)を投薬した。
手術中、乳房組織の検体2種類(それぞれ1cm)を摘出し、一方は腫瘍組織であり、他方は肉眼観察で正常な組織とした。それらは、液体窒素で直ちに冷凍して、分析評価まで保存した。手術当日および手術前日に採血を行った。全ての組織および血漿検体について、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC−MS)によって4−ヒドロキシタモキシフェン濃度を分析した。
投与前および投与後の血液検体について、全血球算定(CBC)、ビリルビン、血清グルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)、血清グルタミン酸−オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)、アルカリホスファターゼ、クレアチニン、エストラジオール、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、性ホルモン結合グロブリン(SHBG)、コレステロール、高密度リポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)、トリグリセリド類、フィブリノゲンおよびアンチトロンビンIIIの分析を行った。
下記の表4に、乳房組織および血漿で認められた4−ヒドロキシタモキシフェンの濃度をまとめて示す。正常乳房組織および腫瘍乳房組織は、5つの投与群のいずれにおいても同様の濃度の4−ヒドロキシタモキシフェンを含んでいた。4−ヒドロキシタモキシフェンは、ゲルを他の広い皮膚表面よりも乳房に直接塗布した場合に、乳房組織で比較的多量に濃縮されていた。
Figure 0005490346
副作用による重大な問題は生じなかった。皮膚投与による局所刺激は起こらなかった。群2(0.5mg/日の4−ヒドロキシタモキシフェンゲル)の女性1名が、一時的な眩暈、膀胱炎および軽度の膣炎が投与第7日に起こったと報告した。群1(経口タモキシフェン)の女性1名が、投与第5日に一過性熱感および軽度の膣炎を報告した。
4−ヒドロキシタモキシフェンゲルの投与を受けた患者では、血液学的評価および血清化学評価のいずれにおいても投与前血液検体と投与後血液検体の間に差はなかった。しかしながら、アンチトロンビンIIIおよびフィブリノゲンにおける統計的に有意な減少ならびに血小板数およびリンパ球数における統計的に有意な増加が経口タモキシフェン群で認められ、それは他の試験で認められたこの薬剤の生理効果と一致していた。
実施例3:健常女性での経皮投与4−OH−タモキシフェンの耐容性および薬物動態の実証
この試験は、年齢18〜45歳の健常閉経前女性における局所投与4−ヒドロキシタモキシフェンゲルの耐容性および薬物動態を示すものである。各参加者には、2月経周期の期間にわたり、1日1回、ゲルの投与を行った。
表5にまとめたように、3種類の用量および2種類のゲル濃度を調べた。群A〜Cでは、4−ヒドロキシタモキシフェン20mg/100gを含むゲルを、4−ヒドロキシタモキシフェン0.25mg/用量を放出する加圧計量式ポンプから投薬した。片方の乳房に投与するにはゲルの量が多すぎたことから、群Cの試験は中断した。群DおよびEには、4−ヒドロキシタモキシフェンをほぼ3倍含む(4−ヒドロキシタモキシフェン57mg/ゲル100gまたは4−ヒドロキシタモキシフェン50mg/ゲル100mL)より濃度の高いゲルを投与した。この濃度のより高いゲルも、4−ヒドロキシタモキシフェン0.25mg/用量を供給する計量式ポンプによって投薬した。
Figure 0005490346
以下の月経の第1日に、2月経周期にわたる1日1回のゲル投与からなる投与を開始した。第1および第2の周期の第7日、第20日および第25日の午前のゲル投与から24時間後に採血を行った。投与最終日、すなわち第2の月経周期の第25日に、投与前ならびにゲル投与から0.5、1、1.5、2、3、4、6、12、18、24、36、48および72時間後に順次採血を行った。検体について、4−ヒドロキシタモキシフェン、エストラジオール、プロゲステロン、FSHおよびLHを分析した。
最後のゲル投与から72時間後でも、4−ヒドロキシタモキシフェンの血漿濃度は検出可能であった。従って、4−ヒドロキシタモキシフェンが血液中で検出できなくなるまでデータポイントを得るようにするため、最後のゲル投与から92日後まで時々、一部の参加者から追加の採血を行った。
表6に、4−ヒドロキシタモキシフェンの平均±標準偏差(SD)血漿濃度を示し、括弧内に範囲を示した。単一0.5mg用量では4−ヒドロキシタモキシフェンの検出可能な血漿濃度は生じなかったが、1mgの単一用量後では患者12名中6名で血漿濃度は検出可能であった(>5pg/mL)。
Figure 0005490346
Figure 0005490346
図2に、第2の月経周期の第25日での最後の投与後における血漿濃度−時間曲線を示す。表7に、第2の月経周期の第25日での最後の投与に関係する平均薬物動態パラメータを示す。
Figure 0005490346
データは、調べた3種類の用量(0.5、1および2mg)を通じて用量応答と一致している。AUCおよびCavに基づいて、より濃度の高いゲルの方が、より濃度の低いゲルよりも良好に吸収されており、ほぼ2倍であった。
生物学的耐容性は、患者36名全員で非常に良好であった。この投与は、月経周期中のFSH、LH、エストラジオールおよびプロゲステロンホルモンのレベルに影響を及ぼさなかった。さらに、投与終了後の卵巣の超音波検査は患者全員において正常であり、正常な大きさの発育卵胞を示した。1名の患者がゲルに対するアレルギー反応を発症し、10名が顔面アクネを報告した(そのうち5名はアクネの既往歴を有していた)。
要約すると、本試験は、局所投与後の4−ヒドロキシタモキシフェンへの曝露が用量に応じて増加し、4−ヒドロキシタモキシフェンの血漿濃度が典型的なエストラジオール濃度(80pg/mL)より低く、全身効果を示す検出可能な臨床検査的および臨床的証拠がないことを示している。
実施例4:経皮投与4−ヒドロキシタモキシフェンが用量に関連した腫瘍組織増殖指数の低下を引き起こすことの実証
本試験は、経皮投与4−ヒドロキシタモキシフェンが用量に関連した乳房腫瘍組織増殖指数の低下を引き起こすことを示すものである。それは、ヒトでの乳癌の生物学的終点に関するタモキシフェンおよび未投与対照と4−ヒドロキシタモキシフェンゲルとの最初の直接比較である。その結果から、乳癌手術を受ける予定になっている閉経後の女性において、2.0mg/日 4−ヒドロキシタモキシフェン用量〜20mg/日 経口タモキシフェンとほぼ等価な量で、2〜3週間にわたり4−ヒドロキシタモキシフェンゲルを経皮投与することで、腫瘍組織増殖指数(Ki−67およびPCNA)が用量に依存して低下することがわかる。エストロゲンおよびプロゲステロン受容体レベルは、4−ヒドロキシタモキシフェン治療によって用量に関連した低下を示さなかった。4−ヒドロキシタモキシフェンの血漿レベルは、4−ヒドロキシタモキシフェンゲル群の場合と比較して、経口タモキシフェン群の方が一貫して高く、4−ヒドロキシタモキシフェンの腫瘍組織濃度は、4−ヒドロキシタモキシフェンゲルの用量を多くするに連れて、高くなった。
本試験はまた、タモキシフェンの効果の基礎をなす生物学的プロセスに関する情報を提供するものでもある。2mg経皮4−ヒドロキシタモキシフェン投与を受けた群は、血漿4−ヒドロキシタモキシフェン濃度が顕著により低かったにも関わらず、経口タモキシフェン群と同等の乳癌細胞増殖に対する細胞増殖抑制効果を示した。この知見は、タモキシフェンの主要な効果に、腫瘍組織におけるエストロゲン受容体が局部的に介在していることを示している。
試験計画
無作為・非盲検・同時平行群のIIb相試験を計画して、腫瘍増殖のマーカー(Ki−67およびPCNA)に対する3種類の用量レベルの4−ヒドロキシタモキシフェン、経口タモキシフェンおよび治療(投与)なしの効果を比較した。Ki−67抗原はMIB1抗体によって検出し、PCNA(増殖性細胞核抗原)はPC−10モノクローナル抗体を用いて検出した。
患者
本試験の参加者は、Tru−cut生検(針生検)によって決定されたエストロゲン受容体陽性侵襲性乳癌と診断された閉経後の女性とした。登録基準は、年齢>50歳、組織検査で確認されたT1またはT2エストロゲン受容体陽性原発性乳癌、および生検の1ヶ月以内の手術適合などとした。以前に放射線療法または化学療法を行ったことがある患者、ならびに現在ホルモン置換療法を行っている患者と同様に、炎症性の癌、既知の転移またはリンパ節関与がある患者は除外した(Tru−cut生検の前に、8日間の最低ウォッシュアウト期間を遵守した)。他の除外基準は、抗凝血剤治療を必要とする血栓性静脈炎の病歴、網膜症、アルコールに対する皮膚アレルギーまたはゲル塗布に禁忌である乳房皮膚炎であった。
患者は、0.5mg/日4−OHT(0.5mLゲル[0.25mg4−OHT]を各乳房に1日1回塗布);1.0mg/日4−OHT(1mLゲル[0.5mg4−OHT]を各乳房に1日1回塗布);2.0mg/日4−OHT(2mLゲル[1.0mg4−OHT]を各乳房に1日1回塗布);経口タモキシフェン(単回投与として20mg/日)または処置なし(未投与対照)という5種類の治療群のいずれかに無作為に割り当てた。患者は、治療開始から15日後〜22日後に治療を目的とした腫瘍切除手術を受ける予定とした。手術前日に、4−OHT濃度を測定するために、採血も行った。手術当日、患者について、併用療法、併発状態、血液検査、生化学検査、血漿4−OHT、エストロン(E1)およびエストラジオール(E2)濃度の再評価を行った。
腫瘍サンプリング
診断を目的とした初回診療所来院時に採取したTru−cut針/コア生検を、無作為化前の腫瘍サンプルとして用いた。治療後の検体は、最終的な切除手術時に得た。切除直後に、全ての組織サンプルは3.7%ホルマリンで固定し、その後、切片切り分けと続く生物学的マーカーの分析用にパラフィンワックスで包埋した。腫瘍摘出物(治療の前および後)も、後に行うエストロゲン受容体およびプロゲステロン受容体のアッセイならびに4−OHTレベルのアッセイのために、液体窒素中で保存した。
腫瘍マーカー発現の分析
増殖関連抗原の発現
Ki67および増殖性細胞核抗原(PCNA)標識指数(LI)を、治療前および治療後の組織検体のパラフィン包埋切片について評価した。Ki67抗原は、病理学において通常の条件で用いられるモノクローナル抗体MIB1(DAKO, デンマーク)を用いて評価した。抗PCNA(DAKO)は、固定化組織における増殖を分析するのに用いられる一連の抗体を完成した。検出は、熱変性させずに行った。サンプリングを標準化するために、症例ごとに6個の連続切片を分析した。解析は、コンピュータ支援システムを用いて行った(Systeme microphotometrique a balayage automatique; Samba-Alcatel, Grenoble,
France)。各組織標本について、基準として分析視野の実際の顕微鏡像を用いて、光学密度(OD)閾値を測定した。免疫染色の測定は、×25で行った。各切片について20の視野を分析した。染色された核表面を測定し(セグメント化および閾値化)、LIの評点を付けた(染色された細胞/対比染色された要素)。OD免疫染色は、任意の単位で表した。免疫染色定量分析およびその手順の再現性の管理を、同じ組織標本について行った反復測定との比較によって、同じ検体の6個の連続切片について集められた測定値との比較によって行った。免疫染色定量分析における組織変動の評価は、各検体からの不連続切片から取った20視野のOD免疫染色測定値と比較することによって行った。リンパ節で活発に増殖する細胞(胚中心細胞)によって示されるPCNA免疫反応性の強度を、乳房組織における閾値陽性染色の基準として用いた。結果はLIとして表した。
エストロゲンおよびプロゲステロン受容体の発現
デキストラン被覆炭末法(Dextran-Coated Charcoal method; Korenman, 1974)を用いるリガンド結合アッセイ(ligand binding assay; LBA)および/またはパラフィン包埋切片についての免疫組織化学的(ICH)方法によって、治療前および治療後の腫瘍組織で、エストロゲン(ER)およびプロゲステロン(PgR)受容体濃度についての評価分析した。ER陽性のカットオフ値は、放射免疫検定を用いた測定で10fmol/mg超または免疫酵素分析(Bevitt, 1997)によって標識付された腫瘍細胞の10%超であった。
4−OHTアッセイ
血漿、腫瘍組織および正常組織中の4−OHT濃度測定は、負イオン化学イオン化モード(NICI)(Girault, 1993)で用いられる質量分析(MS)を組み合わせたガスクロマトグラフィー(GC)を用いて行った。この方法の定量限界は、それぞれ、血漿サンプルで5pg/ml、組織サンプルで50pg/gであった。手術時(治療後)に得られた腫瘍摘出物および正常乳房組織は、後に行う4−OHTのアッセイまで液体窒素中で保存した。
統計的解析
対照群の患者14名および4−OHTゲルに割り当てられた患者42名(3つの群)という計画された標本数に基づき、この試験は良好な検出力(90%)を有しており、5%の第一種過誤を有する両側検定を用いて、未投与群と比較して、4−OHT群でKi−67標識指数において50%を超える仮説相対低下を検出した。一次効力エンドポイントは腫瘍増殖マーカー発現における変化とした。他の試験変量は二次エンドポイントと考えた。この「プロトコルごと」の解析には、少なくとも13日間の治療を受け、一次エンドポイントについての治療評価を終了し、重大なプロトコル逸脱や違反がない患者のみを含めた。
治療群の比較は、分散分析(ANOVA)を用いて行った。データの分布が非対称/非正規である場合には、クラスカル・ワリス検定を用いた。カテゴリ変数は、フィッシャーの直接確率検定を用いて解析した。仮説検定は、多重比較用に調節されたα=0.05有意差レベルで実施した。推論は、5つの治療群間の差についての検定;4−OHTの3つの用量レベル間の差の検査;4−OHTおよび経口タモキシフェンの各用量レベル間の差の検査という、測定された変数についてのカテゴリに分類された。
結果
患者の特徴
この試験には合計55名の患者が登録された。患者6名は解析から除外した。1名(4−OHT 1.0mg/日群)は同意を撤回し、1名(0.5mg/日)は追跡調査に現れず、1名(2.0mg/日)は試験開始時にエストロゲン受容体陰性であり、1名(0.5mg/日)はホルモン置換療法を受けており、2名(0.5mg/日および1.0mg/日)はわずか6日後および12日後に治療を中断した。従って、合計49名の患者が効力に関して評価可能であった。腫瘍の大きさ、無月経期間および手術時点での腫瘍の悪性度に関して、群間のバランスは良好であった。未治療対照群の患者は、積極的治療群の患者よりも高齢であった(表7)。
Figure 0005490346
増殖関連抗原の発現
基準線レベルの調節を行った後、投与後の腫瘍組織Ki−67LIは5つの群間で有意に異なっていた(表8)。投与患者(4−OHT[全ての用量]および経口タモキシフェン)では、未投与群と比較して、平均Ki−67LIスコアが有意に低かった(P=0.0054)。投与後の平均Ki−67LIスコアは、4−OHT投与群については用量に依存していた。さらに、4−OHT 2.0mg/日群と経口タモキシフェン群間でほぼ同等の用量−応答関係が表9Aで示されており、その表は≧1、≧2または≧3の任意の単位でのKi−67LIの低下があった患者のパーセントを示している(%)。タモキシフェンといずれの用量の4−OHとの間でもKi−67標識に有意な差はなかった。PCNA LIによって測定された各種投与に対する腫瘍組織応答は、Ki−67 LIによって評価されたものと同等であった(表8、9B)。投与後、4つの投与群についての腫瘍組織PCNA LIは、未投与対照とは有意に異なっていた(P=0.002)。Ki−67LIで認められたように、≧1、≧2または≧3の単位のPCNA指数の低下があった患者のパーセント(%)は、未投与対照と比較して、特に4−OHT 1mg/日群および2mg/日群の場合に4−OHTの強力な治療効果を示しており、経口タモキシフェンとほぼ同等であることを示した(表9B)。タモキシフェンといずれの用量の4−OHTとの間でもPCNA標識に有意な差はなかった。3つの任意の単位のPCNA LIまたはKi−67LIの低下があった腫瘍と定義される応答は、4−OHT用量に伴って高くなる傾向を示した。しかしながら、サンプル数は、その関係についての有意差を証明するには十分でなかった。
Figure 0005490346
Figure 0005490346
ER発現
RIAを用いると、投与前のER濃度は群間で統計的に同様であり、平均群値は5〜56fmol/mgの範囲であった。個々の値は広い範囲を示した(9〜321fmol/mg)。ER陽性腫瘍のタモキシフェンまたは4−OHTによる治療によって、未投与対照群と比較して、ER濃度の有意な低下(P=0.012)が得られた。ICHを用いると、ER濃度(標識細胞の%)は、群間にわたって基準線において同じ中央値を示し(70〜85%)、全ての群で投与後に統計的に有意な増加の傾向は示されなかった。
PgR発現
PgRのRIA測定値は基準線で広範囲に及んでおり、全ての群で投与後に増加し、統計的有意差または用量に関連したパターンはなかった。ICH測定値を伴うPgR結果では、一貫した治療効果または用量に関連した変化は全く示されなかった。
4−OHT組織濃度および血漿濃度(表10、図3)
4−OHT中央値濃度は、2.0mg/日4−OHT群(1698pg/g)と比較して、経口タモキシフェン群(4237pg/g)ではおおよそ2倍であった。経皮投与量に応じた中央値組織4−OHT濃度(pg/g)(0.5mg/日、1mg/日および2mg/日それぞれについて、687pg/g、1377pg/gおよび1698pg/g)の増加にも関わらず、3群間の差は統計的に有意ではなかった(P=0.13)。非腫瘍組織4−OHT濃度は、0.5mg/日群を除く全てで腫瘍組織中の濃度の約半分であった。4−OHT中央値血漿濃度については、4投与群間で有意差があり(P=0.0015)、経口タモキシフェン群の方が4−OHTゲル群より高レベルであった(1495pg/mLと、それぞれ31pg/mL、35pg/mLおよび164pg/mL)。さらに、4−OHT経皮投与量を上昇させるに連れて、血漿4−OHTの有意な増加がある(P=0.035)。
Figure 0005490346
引用刊行物
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タモキシフェンの代謝を示す図である。 皮膚投与後の健常女性における4−ヒドロキシタモキシフェンの平均血漿濃度を示す図である。 投与形態および用量に応じた、組織中の4−ヒドロキシタモキシフェンの濃度を示す図である。パネルA(図3A)は、腫瘍組織での4−ヒドロキシタモキシフェンの濃度を示している。 投与形態および用量に応じた、組織中の4−ヒドロキシタモキシフェンの濃度を示す図である。パネルB(図3B)は、血漿での4−ヒドロキシタモキシフェンの濃度を示している。

Claims (5)

  1. 乳癌を発症する危険性が高い患者における乳癌の予防および/または乳癌の治療のための医薬であって、
    前記医薬が、4−ヒドロキシタモキシフェン、浸透促進剤としてのミリスチン酸イソプロピル、水系媒体、アルコール系媒体およびゲル化剤を含む、経皮投与用の水性アルコール組成物である医薬。
  2. 4−ヒドロキシタモキシフェンが0.25〜2.0mg/乳房の量で投与される請求項1に記載の医薬。
  3. 前記乳癌がエストロゲン受容体陽性である請求項1または2に記載の医薬。
  4. 乳癌を発症する危険性が高い患者における乳癌の予防および/または乳癌の治療のための医薬であって、
    4−ヒドロキシタモキシフェン、および浸透促進剤としてのミリスチン酸イソプロピルを含み、経皮投与される医薬。
  5. 水性アルコールゲルおよび水性アルコール溶液からなる群から選択される形態のものである経皮投与用医薬組成物であって、
    a)約0.01重量%〜0.1重量%の4−ヒドロキシタモキシフェン、
    b)約0.5重量%〜2重量%のミリスチン酸イソプロピル、
    c)約65重量%〜75重量%のアルコール、
    d)約25重量%〜35重量%の水系媒体、
    e)約0.5重量%〜5重量%のゲル化剤
    を含む医薬(但し、成分の前記パーセントは、組成物の重量に対する重量である)。
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