JP5489290B2 - 建築物の採光システム - Google Patents

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Description

本発明は、建築物の採光システムに関する。
昨今のオフィス建築物などでは、スペースの効率化が要望され、平面的に一体的な空間が作られる傾向がある。このために部屋の奥行きが拡大し、窓から離れた場所では、自然から隔絶された感じを受け易い。人間の身体は太陽光の強度や向きにより一定のリズムを保つことが近年認識されており、長時間自然光から隔絶されていることは好ましくない。
こうした不都合を軽減するために、建築物の窓を大きくすることが行われている。ところが建築物は窓を大きくすると無用な日射熱を取得する。多くのオフィスでは年間を通じて冷房しており、日射熱の取得は冷房負荷の増大につながり易い。また大きい窓の付近では強いグレアを生ずるために、窓際に居る居住者がブラインドを閉じてしまうことが多い。
窓以外で建築物の側壁から離れた場所へ自然光を導入する手段として、建築物の内側に天井から下方へ採光機能を兼ねた吹抜けを設けたり(特許文献1)、建築物の天井から下層階へ床材を貫通して光ダクトを縦設することが行われている(特許文献2)。
さらに建築物用の外壁パネルとして、2枚の垂直な平行板の間に、これら平行板に対して直角な多数の細管の集合物を充填し、それら管軸の方向の光を直進させ、管軸に対して斜めの光は管壁内面で反射させながら透過するものが提案されている(非特許文献1)。
特開2002−081217 特開2007−011033 特表2002−506536
OKALUX GmbH社ホームページ 製品カタログhttp://www.okalux.de/en/products/brands/okapane.html
特許文献1の吹抜けや光ダクトは、常に変化する太陽の位置とは無関係に垂直に設けられており、太陽光を建築物の奥部へ導く手段として不効率である。すなわち、吹抜けの形成に広い空間を必要とする割に、太陽が南中から離れたときの採光量が低い。
特許文献2の光ダクトは、光を反射して伝播させるために多量の反射材を必要とし、また反射面に付着する汚れを清掃する作業が面倒であり、清掃を怠ると反射効率が低下する。また反射板などにより方向などを制御された反射光では自然との一体感を感じにくい。
非特許文献1の外壁パネルは、2つの平行板に対して直角に細管を配置しており、低い位置からの冬季の太陽の光は少ない反射回数で積極的に室内に取り入れ、また高い位置からの夏季の太陽の光は室内に指し込みにくいようにしている。しかしながら、建築物の奥部に太陽光の入射方向に沿って光を導くことは開示していない。
そこで本出願人は、一方向に透過性の高い透光手段を、建築物の開口部に水平方向に対して斜めに太陽光線の方向に沿って採光するシステム及び開口面に対して斜めに光を透過する透光手段に想到した。
出願人の調査では、こうした透光手段を採光のために用いた事例は見当たらない。光を遮るために、開口部に対して斜めに窓のブラインドのルーバーを設けたり、或いは内部に光源を有する装置の通気口に光吸収率の高いハニカム構造の光トラップを設ける(特許文献3)ことが知られているが、本願発明とは相反する性質を有するものである。
本発明の第1の目的は、建築物の表面に太陽の位置の変化に応じた複数の採光口を設けて、これら採光口から一つの照射ポイントへ至る採光路を経由して、当該照射ポイントに太陽光を直進光として照射できるようにした採光システムを提案することである。
本発明の第2の目的は、上記各採光口に採光路の方向に太陽光の直射を許容し、それ以外の方向から太陽光が建築物内に直射光として入射しないようにした透光手段を設けた採光システムを提案することである。
本発明の第3の目的は、採光路の方向以外の向きから採光口に太陽光が入射したときに入射光を散乱させる機能を有する透光手段を備えた採光システムを提案することである。
本発明の第4の目的は、方向の異なる複数の採光路を介して一つの照射ポイントに対して一日の異なる時刻に光を照射可能な採光システムを提案することである。
第1の手段は、建築物の採光システムであって、
建築物が有する非透光性の天井構造又は床構造によって上方を覆われた建築物の奥部に配置された照射ポイントへ太陽光を導くための複数の採光路を有するシステムであって、
上記採光路は、建築物の表面に開口する採光口から上記天井構造ないし床構造を通過して上記照射ポイントへ直線的に延びており、
通年の同一時間帯の太陽から照射ポイントへ至る仮想直線が建築物の表面と交わる点を連ねた太陽位置表示ラインの全部又は一部に沿って、その各交点に上記採光口を配置することで、各採光路が異なる傾斜角度及び方位を有するように設け、
さらに各採光路が年間の或る時期の上記時間帯に限って採光路の傾斜角度及び方位に合致した太陽光を直射光として照射ポイントに導くように設け、
上記採光口には、採光路の方向に直射光の透過率が高い透光手段を設けている。
本手段では、図1の如く建築物の表面に設けた採光口6から一つの照射ポイントpへ至る直線的な複数の採光路4を形成することを提案する。それら採光口は、一定期間の定刻の太陽の位置Sと照射ポイントとを結ぶ太陽光線の軌跡と建築物の表面との交差点を連ねた点列である。この点列を本明細書において太陽光位置表示ラインAという。これについては後述する。図5に示す如く、採光口には、採光路の方向以外の向きへの日射の過剰入射を避けるため、当該方向に直射光の透過率が高い透光手段10を設ける。本手段の好適な実施例として、例えばオフィスや工場の食堂・休憩場所など人が多く集まる場所を照射ポイントに選ぶとよく、太陽光の傾きの変化から季節感を感じ易い。
「採光口」は、建築物の表面のうち非透光性の天井又は壁の一部に開口させている。故に全面ガラス張りの天井や壁などは対象外である。照射ポイントへの照射時間に応じて建築物の天井のみ或いは壁のみに採光口を設けても構わない。“太陽位置表示ラインの…一部に沿って”採光口を配置するとは、例えば夏季を除いて休憩場所に光を導くように採光口を設けることができるという意味である。「採光路」は、太陽光を、ほぼその入射方向のままで照射ポイントに導くための光路である。採光路の傾斜角度というときには、とくに断らない限り、水平面に対する傾斜角度をいうものとする。
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ
上記透光手段は、その採光路の傾斜角度に沿った方向に入射した光を直進させるとともに、その傾斜角度と異なる方向に入った光を拡散させる機能を有する。
本手段では、図5に示す入射光Iのように採光路の方向に対して傾斜して太陽光が入射したときに、上記透光手段が光を散乱させる機能を有することを提案する。照射ポイントへの照射時間以外の時間帯の日射を有効利用するためである。そうした機能は、例えば光の散乱機能を有する多数の導光管の集合物により実現できる。好適な一実施例として、例えばオフィスや工場の執務エリアを透光手段からの散乱光で照らし、オフィスの昼休み時間又は工場の休憩時間の開始時刻に合わせて照射ポイントへの照射時間が開始されるように設定することができる。これにより、執務エリアが暗くなることで休憩時間の始まりを知らせる日時計効果が期待できる。
なお、本手段の一の実施形態として、図12に示すように建築物の同じ階に採光口及び照射ポイントを設けることもできる。広く光が散乱する状態から照射ポイントに光が集中しかつ周囲が暗くなる状態へ至ることで照射ポイントでの明るさが際立つ。
第3の手段は、第2の手段を有し、かつ
上記建築物は、複数の階層からなり、その最上階の天井構造に少なくとも一つの採光路の採光口を形成するととともに、最上階以外の階に照射ポイントを配置しており、
上記採光路は、建築物の床材や壁材のうち採光路と交差する部分を光の直進が可能な透光口とするとともに、これら透光口を除く光路部分を自由空間で形成する開放通路としている。
本手段では、図2の如く採光路のうち床・側壁と交差する部分を透光口14とし、残りを自由空間とする開放通路としている。水平方向に対して斜めの採光路を閉鎖通路とすると、建築物の設計上で大きな制約となるからである。透光口は、建築物の一つの自由空間から他の自由空間へ光を直線的に透過させる箇所であり、透明材料で形成することができる。採光口及び透光口は太陽の移動する方向に幅広に形成することができる。
第4の手段は、第3の手段を有し、かつ
採光路の少なくとも一部は、上記床構造に代えて建築物の側壁に上記採光口を配置している。
本手段では、図4に示す如く一部の採光口6を建築物の側壁側に設けることを提案している。これにより太陽の高さが低い季節でも採光できるようにするためである。
第5の手段は、第2の手段から第4の手段のいずれかを有し、かつ
建築物の表面に、異なる時刻に相応する2つ以上の太陽位置表示ラインを設定して、
上記複数の採光路の採光口を、一つの太陽位置表示ラインに沿って配置する代わりに、2つ以上の太陽位置表示ラインの同一の日に相当する箇所にそれぞれ配置して、その一日の異なる時刻に太陽光が複数回照射ポイントに導かれるように構成している。
本手段では、図11の如く2つ以上の太陽位置表示ラインの同一の日に採光口を設置することを提案している。これにより同じ日の異なる時刻に照射ポイントに日射が照射されるようにしている。例えば執務室の午前の休憩時間、昼休み時間、午後の休憩時間の開始時間に休憩場所などの照射ポイントに光が集まり、執務エリアが暗くなるように構成できる。
第1の手段に係る発明によれば、採光路を介して太陽光を直進光として取り入れることができ、太陽の高さの変化から季節感を感じることができる。
第2の手段に係る発明によれば、直進ルートに乗らない光は拡散させるから、最上階の床に直射日光が指さない。
第3の手段に係る発明によれば、採光路を、複数の階層からなる建築物の奥部へ太陽光の直進が可能な開放通路としたから、導光ダクトを使用する場合に比べて構造が簡単であり、反射によるエネルギー損失が少ないからエネルギー効率がよく、視界を遮るダクトを設ける必要がないから広い空間を確保できる。
第4の手段に係る発明によれば、冬季の低高度の太陽からの日射光も建築物の側面からの取り込み易い。
第5の手段に係る発明によれば、その一日の異なる時刻に太陽光が複数回照射ポイントに導かれるように構成したから、日時計としての機能が高まる。
本発明の第1実施形態に係る採光システムを用いた建築物の斜視図である。 図1の採光システムを適用した建築物の縦断面図である。 図1の採光システムを適用した建築物の平面図である。 図1の採光システムを適用した建築物の正面図である。 図1の採光システムに採用した透光手段の説明図である。 図1の採光システムの設計手順を説明するための説明図である。 図1の採光システムの設計思想を説明するための概念図である。 図1の採光システムの一の変形例の平面図である。 図1の採光システムの他の変形例の要部説明図である。 本発明の第2実施形態に係る採光システムを用いた建築物の斜視図である。 図10のシステムの平面図である。 本発明の一の実施例に係る採光システムの縦断面図である。 本発明の実施例に係る採光装置の斜視図である。 図13の採光装置の平面図である。 従来公知の日時計の影の軌跡を示す図である。
図1から図7は、本発明の第1の実施形態に係る建築物の採光システム2を示している。
この採光システム2は、図1に示すように建築物100の奥部に存する照射ポイントpに光を導くための複数の採光路4で構成されている。
なお、照射ポイントpは、本明細書において建築物の奥部は、非透光性の天井構造乃至床構造によって上方を覆われているものとし、図示例では複数階層の建築物の下層に存するものとする。なお、照射ポイントは単純な点に限らない。居住者をリラックスさせるなどの採光の目的からある程度の広さ(例えば建築物に通常使用される窓の面積)を有するものとし、なおかつ、建築物全体のサイズに比べれば点と見なすことができる程度の大きさであることが望ましい。
各採光路4は、建築物の表面に開口する一つの採光口6と、建築物の床構造に形成した適数(図示例では複数)の透光口14とを、照射ポイントpを通る一つの直線の上に配置させてなる。図示の採光路は、採光口及び透光口を除いては、建築物内の自由空間を通過する開放通路である。
上記採光路4は、一年間の全部又は一部に亘る同一時刻の太陽光線の方向に配向するものとする。従って各採光路は相互に方位及び傾斜角度が異なるものとなる。具体的には、次の段落で説明する。ここで、太陽の南中高度は、[90°−観測地点の緯度+地軸の傾き(φ)]であるから、緯度がφ以上の地方では図示のように全ての採光路が水平面に対して傾斜することになる。
上記採光口6は、図1に示す太陽位置表示ラインAの全部又は一部に沿って設ける。太陽位置表示ラインは、年間を通じて同じ時間帯の太陽から照射ポイントへ至る仮想直線が建築物の表面と交わる点を連ねてなるものである。但し、図面では作図上の都合から交差点の数を大幅に省略して描いている。日時計の針の影の先端を年間を通じて同時刻で記録すると、図10に示すような八の字の図形を描くことが知られている。この図形を180°回転させると太陽位置表示ラインとなる。
この太陽位置表示ラインは、建築物の建設場所における太陽の高度β及び太陽方位αから求めることができる。照射ポイント内の任意の点pと太陽を結ぶ直線は、次式で表されることが知られている。
[数式1] X=p+L×(-sinαcosβ,-cosαcosβ,sinβ)
以下に、一例として東京都の夏至及び冬至における太陽高度及び方位のデータを示す。こうしたデータを年間を通じて用意して、これに方位α及び高度βを代入すれば太陽位置表示ラインが求まる。これを利用して、採光口6の位置を決定すればよい。




上記採光口6内には、採光路の方向に直射光の透過率が高い透光手段10とこの透光手段を収納するケース体9とからなる採光装置8を設ける。
上記ケース体9は、コンクリートの外壁に埋め込むための剛性を有する矩形リング状のフレーム9aと、このフレームの上下両面を水密に閉塞する透明な閉塞板9bとで構成している。上側の閉塞板の上面は採光面を形成している。
透光手段10は、多数の導光管12の集合物を水平面に対して斜めに傾斜させている。また水平な天井構造及び垂直な側壁構造に対して採光装置8を設置するときには、その採光面に対して導光管12を傾斜させることが好適である。本明細書において、導光管の集合物とは、別個に形成された導光管を集合させたものでもよく、また最初からハニカム状の一体物として形成してもよいものとする。
上記導光管12は、少なくとも管壁の内面を乱反射面とする細長い管体であり、図示例では円管状に形成されている。導光管の管長(l)及び管の半径(r)は、照射ポイントに至るための光路長(L)と照射ポイントの半径(R)に応じて設定するとよい。太陽光が導光管を通過するための条件は、管軸に対する入射方向の角度Δθがr/l=tan(Δθ)であることである。故にL×tan(Δθ)が照射ポイントの半径Rよりも小であればよい。
上記導光管12の基本的な機能は、管軸Oに対する入射光の向きにより太陽光を直進光ないし散乱光として透過することである。
すなわち、図5に示すように、入射方向が管軸Oと一致する入射光Iaは、そのまま直進光として透過する。入射方向が管軸に対してΔθよりも小さい角度で傾斜している入射光Ibの一部はそのまま透過し、残りは管壁の内面に当たって乱反射する。入射光に対する管壁内面の入射角度は僅かであるので、乱反射光のうちのかなりの部分が管軸に近い向きに反射する。
窓のブラインドに使用されるルーバーなどと比較すると、導光管の内周面全体が反射面になっていることが相違する。このため、入射光Ibの例から判るように、導光管の管軸付近へ入射した光が導光管を通過できても、管壁付近へ入射した光は乱反射する。このために光の指向性が強く、建築物の奥部に光を導くことに適している。
さらに入射方向が管軸Oに対してΔθよりも大きく傾斜した入射光Icは、さまざまな方向に乱反射する。これにより照射ポイントへの照射時間以外には採光口を設けた階に広く拡散される。また管壁を半透明の材料で形成することで図示のように光の一部を透過するようにすると光の拡散作用が一層強まる。
光の遮断を目的とする先行技術と異なり、本発明の透光手段は、照射時間以外でも太陽光を散乱光として利用するものである。このため、透光手段は、反射率の高い材料(白などの明色材料など)、あるいは光の吸収率に比べて光を反射し或いは透過する割合が高い材料で形成することが望ましい。
上記透光口14は、採光口6と照射ポイントPとの間に存する床や内壁に設ける。採光口14は透明材料で閉塞することができる。
図6は、本採光システムの設計手法を示している。基本的には、図15の日時計の針の影が年間の同時刻に描く図形に対応するものを、建築物の上面に照射ポイントに対して針の影に対応する位置に描けばよい。その図形のうち頂壁の上面に描ききれない部分は、照射ポイントの方向に投影して、建築物の側壁のうちで対応箇所に描けばよい。
さらに具体的には、図6(B)に示すように照射ポイントを中心とする仮想の半球を想定して、これに表1などに示す建築場所の太陽の高度及び方位から、その半球体上に太陽位置表示ラインを描く。この半球体の太陽位置表示ラインの各点と照射ポイントとを結ぶ直線の式を計算し、また建築物の上面ないし各側面を表わす平面の式を計算し、これら直線及び平面の交点を求めればよい。
図7及び図8を用いて、採光システムの設計思想及び具体的手順を説明する。図7において照らしたい照射領域をPとし、そこに含まれる照射ポイント(照射点)をpとする。この照射ポイントpと太陽Sを結ぶ直線と建築部材nとの交点に開口(採光口又は透光口をいう。以下同じ)を形成する必要がある。この部分は次の(1)のように表わされる。なお、∩は集合論において2つの集合の共通部分を表現している。
(1){pとSとを結ぶ直線}∩{建築部材}
照らしたい領域Pに対して必要な開口は照射ポイントpを照射領域Pの中で動かしたときの和集合であり、次の(2)のように表わされる。なお、Ua∈A[B(a)]は、集合A=(a、a…)であるときに、その要素で定義される集合B(a)、B(a)…の和集合を表わす記号である。
(2)∪p∈P[{pとSとを結ぶ直線}∩{建築部材}]
上記(2)はある瞬間に照射領域Pを照らすための開口であり、対象とする時間T(たとえば春分の9〜15時)に対しては、次の(3)のように表わされる。
(3)∪t∈Tp∈P[{pとS(t)とを結ぶ直線}∩{建築物の部材}]
複数の建築部材を貫通する場合にも同様に開口を求めることになり、結局必要な開口の場所は、次の(4)のようになる。
(4)∪t∈Tp∈P[{pとS(t)とを結ぶ直線}∩{建築物の部材(n)}]
具体的には、表1及び表2に表わすような太陽高度β及び方位αのデータを用いて求める領域を表わせばよい。照射領域P内の照射ポイントp(x,y,z)と太陽S(t)とを結ぶ直線は前述の数式1で表わされる。また、建築部材は、空間上の領域で、例えば{x,y,z:x<x<x,y<y<y,z<z<z}のように表わされる。
図8は、上記の設計の結果として、採光口6を太陽の通り道(横道)の方向に幅広としたタイプの構成例である。採光口は太陽の位置の移動方向に沿って長くなる。ある時刻tでの太陽位置表示ラインA(t)とその後のある時刻t+Δtでの太陽位置表示ラインA(t+Δt)とを想定して、両ラインの同じ日の交点をつなぐ採光口6を形成する。具体的にはその採光口に対応する日の時刻t及びt+Δtの間の太陽高度及び方位を計算し、数式1に代入して、採光口の両端の座標を計算すればよい。
図9は、採光口6を太陽の移動方向に幅広のタイプにしたものの構成の実施例を示している。採光口6の開口面積を広くすると、その開口内を太陽が移動する間に太陽の高度及び方位が変化するから、同方向に導光管12を配向した単一の透光手段を用いると照射ポイントへの照射条件を満たさないおそれがある。そこでこの採光口6を幅方向に複数の部分に分割して、各部分毎に、当該部分から照射ポイントへの方向に導光管を配向した透光手段10を設けている。
以下、本発明の他の実施形態について説明する。この説明において第1の実施形態と同じ構成については、同一の符号を付することで、説明を省略する。
図10及び図11は、本発明の第2の実施形態に係る採光システムを示している。本実施形態では、建築物の表面に相互に離間させた複数の採光口6を開口し、これらの採光口6にそれぞれ当該採光口から照射ポイントへ導光管を配向した透光手段を設けている。これにより一日の異なる時刻に照射ポイントp光を照射することができる。
[実施例1]
図12は、本発明の採光システムの一つの実施例である。先の実施形態では、複数介装の建築物の最上階に採光口6を設け、下層階に照射ポイントpを設けていたが、本実施例のように、採光口を設けた階に照射ポイントを設けることもできる。この構成によれば、所定の照射時間の開始時刻になると、それまで採光口6から広い範囲に拡散していた光が照射ポイントpに集中する。照射ポイントが明るくなり、逆に照射ポイント以外の場所が暗くなるので、例えば照射ポイントに展示品などを載置しておけば、効果的な照明効果が得られる。
[実施例2]
図13及び図14は、本発明の実施形態である採光装置を示している。この採光装置は、矩形のケース9の内部に、フレーム9aの任意の2つの対向辺(図示例では左右両辺)に平行な斜めの仕切り板13を設け、仕切り板の間に別々に形成した多数の導光管12を挿入している。
すなわち、隣接する2つの仕切り板とフレーム9aの他の2つの対向辺とで形成される空間内にぴったりと多数の導光管を充填することで導光管の傾斜角度を所要角度に設定することができる。
2…採光システム 4…採光路 6…採光口 8…採光装置 9…ケース体
9a…フレーム 9b…閉塞板
10…透光手段 12…導光管 13…仕切り板 14…透光口
A…太陽位置表示ライン P…照射ポイント S…太陽
100…建築物 102…天井構造 104…床構造 106…外壁

Claims (5)

  1. 建築物が有する非透光性の天井構造又は床構造によって上方を覆われた建築物の奥部に配置された照射ポイントへ太陽光を導くための複数の採光路を有するシステムであって、
    上記採光路は、建築物の表面に開口する採光口から上記天井構造ないし床構造を通過して上記照射ポイントへ直線的に延びており、
    通年の同一時間帯の太陽から照射ポイントへ至る仮想直線が建築物の表面と交わる点を連ねた太陽位置表示ラインの全部又は一部に沿って、その各交点に上記採光口を配置することで、各採光路が異なる傾斜角度及び方位を有するように設け、
    さらに各採光路が年間の或る時期の上記時間帯に限って採光路の傾斜角度及び方位に合致した太陽光を直射光として照射ポイントに導くように設け、
    上記採光口には、採光路の方向に直射光の透過率が高い透光手段を設けたことを特徴とする、建築物の採光システム。
  2. 上記透光手段は、その採光路の傾斜角度に沿った方向に入射した光を直進させるとともに、その傾斜角度と異なる方向に入った光を拡散させる機能を有することを特徴とする、請求項1記載の建築物の採光システム。
  3. 上記建築物は、複数の階層からなり、その最上階の天井構造に少なくとも一つの採光路の採光口を形成するととともに、最上階以外の階に照射ポイントを配置しており、
    上記採光路は、建築物の床材や壁材のうち採光路と交差する部分を光の直進が可能な透光口とするとともに、これら透光口を除く光路部分を自由空間で形成する開放通路としたことを特徴とする、請求項2記載の建築物の採光システム。
  4. 採光路の少なくとも一部は、上記床構造に代えて建築物の側壁に上記採光口を配置したことを特徴とする、請求項3記載の建築物の採光システム。
  5. 建築物の表面に、異なる時刻に相応する2つ以上の太陽位置表示ラインを設定して、
    上記複数の採光路の採光口を、一つの太陽位置表示ラインに沿って配置する代わりに、2つ以上の太陽位置表示ラインの同一の日に相当する箇所にそれぞれ配置して、その一日の異なる時刻に太陽光が複数回照射ポイントに導かれるように構成したことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれかに記載の建築物の採光システム。
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