JP5489217B2 - 難燃性樹脂組成物の製造方法及び難燃性樹脂成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、難燃性樹脂組成物の製造方法及び難燃性樹脂成形体に係り、特に、溶融粘度が高く他の材料と混ざり難いセルロース系樹脂を主たるベース樹脂とする難燃性樹脂組成物において、難燃性樹脂組成物を成形して得られた成形体の力学物性や、成形体を燃焼した際の燃焼物が落下しないように改良する技術(滴下防止:ドリップ性)に関する。
射出成形原料や押出成形原料等の溶融成形する原料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル、ポリアミド、ポリスチレン樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等の石油系の合成樹脂が広く使用されている。
かかる石油系の合成樹脂で製造された容器やフィルム等の生活必需品や工業製品の廃棄物は、一部はリサイクルされるものの、多くが焼却や埋め立て等によって処分されることで、地球温暖化の原因物質として考えられているCOを多く排出することにつながっている。このような背景から、これ以上COを大気中に増やさないカーボンニュートラルという考え方が重要視され始めており、樹脂材料を石油原料から天然原料に変えて合成された材料への代替が進みつつある。特に、とうもろこしやサトウキビを原料として、発酵・合成されたポリ乳酸樹脂は優れた力学物性を有しており、最も利用が進んでいる。その他にもとうもろこしの発酵によって、得られるエタノールをガソリンの代替として燃料の一部として利用されたりしている。
しかし、原料のとうもろこしは農業用飼料として家畜を育てたり、人が食用として利用したりすることから、今後利用量が増加した場合、食料不足を生じる原因となる可能性がある。但し、厳密には食用のとうもろこしと、樹脂原料用のとうもろこしとは異なるため問題にはならないという意見もある。しかし、米国やオーストラリアなどの穀倉地帯での生産量は温暖化による気候変動の影響と考えられる渇水により大幅に減少したり、今後、投機的な取引の影響を受けたりすることで流通量が不足するという問題が発生する可能性も考えられる。
このような背景から、非可食性原料を使った天然原料由来の樹脂が求められている。その中でも、セルロース系材料は古くから利用されており、安全上の問題はない。その上、上記のような供給に対する問題も発生しない。また、既にディスプレイ用材料としても多量に利用されており、通常の高分子材料としての利用実績も十分である上、ポリ乳酸がもつ耐熱性の不足や、使用環境化における加水分解などの課題を解決できる。したがって、いままでポリ乳酸樹脂が利用できなかった分野へも用途が広げられる可能性がある。
しかし、セルロース系樹脂は溶融粘度が大きく石油系樹脂に比べて単独使用しにくいと共に、衝撃強度についても石油系樹脂に比べて劣る傾向がある。したがって、セルロース系樹脂にはない特性を有する石油系樹脂を加えることでセルロース系樹脂の物性を用途に合わせて変えることも重要になる。例えば、コンピュータ、複写機等のOA機器やテレビ等のケーシング材などの射出成形等の溶融成形による成形体には、難燃性が要求されることが多く、セルロース系樹脂を成形材料として用いる場合にも同様に、難燃性や、燃焼時の滴下防止性が要求される。滴下防止性とは、米国アンダーライターズラボラトリーズ規制による燃焼試験(UL94)において、試験片がUL垂直燃焼試験の過程で滴下しないことを規定したもので、火災時の延焼防止の目安になる。
このような背景から、セルロース系樹脂(天然原料)とポリカーボネート樹脂(石油原料)と難燃剤とフッ素系樹脂を混練機で混練することで、セルロース系樹脂にポリカーボネート樹脂の特性を加えた難燃性樹脂組成物を製造する試みがなされている。
しかし、滴下防止性のために添加するフッ素系樹脂は、溶融混練の加熱で可塑化しないので、溶融混練中に分散混合されることになるが、セルロース系樹脂を含む樹脂材料は溶融粘度が高く、フッ素系樹脂を分散させるためだけに溶融混練条件を決定すると、剪断発熱が起こり、耐熱性の低いセルロース系樹脂が分解してしまい、セルロース系樹脂組成物の力学物性が保持できない。したがって、セルロース系樹脂組成物の力学物性の保持と、フッ素系樹脂の均一分散化との両立が必要である。また、セルロース系樹脂を含むベース樹脂を用いた難燃性樹脂組成物内でのフッ素系樹脂の分散状態によっては、十分な滴下防止性能が発揮され難いという問題がある。
セルロース系樹脂以外の熱可塑性樹脂にフッ素系樹脂を含有させる技術としては、例えば特許文献1及び特許文献2がある。特許文献1は、ポリカーボネート樹脂に対してABS、難燃剤、フッ素系樹脂を配合し、溶融混練後のフッ素系樹脂をある一定の存在状態にすることを提案している。これにより、難燃性樹脂組成物の難燃性特に燃焼時の滴下防止性に優れ、成形体外観を改善できるとされている。特許文献2は、予めベース樹脂と難燃性樹脂組成物とフッ素系樹脂とを溶融混練した後、ベース樹脂と難燃剤を追加して更に溶融混練することが提案されている。これにより、難燃性樹脂組成物の成形体の難燃性、特に燃焼時の滴下防止性に優れ、成形体外観を改善できるとされている。
特開平8−109269号公報 特開2006−307178号公報
しかしながら、特許文献1及び2ともにセルロース系樹脂を含まないベース樹脂を対象としたものであり、これらの技術を、セルロース系樹脂を含むベース樹脂に用いた難燃性樹脂組成物の製造に適用しても、得られた難燃性樹脂組成物を用いた成形体には十分な力学物性と滴下防止性を付与できないという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ベース樹脂としてセルロース系樹脂を含む難燃性樹脂組成物において、その難燃性樹脂組成物を成形した成形体が十分な力学物性や燃焼時の滴下防止性能を発揮することができる難燃性樹脂組成物の製造方法及びその難燃性樹脂成形体を提供することを目的とする。
本願請求項1の難燃性樹脂組成物の製造方法は前記目的を達成するために、ポリカーボネート樹脂に難燃剤とフッ素系樹脂とを、剪断速度58〜262sec−1の範囲で溶融混練して混練物Aを形成するA工程と、セルロース系樹脂に可塑剤を、剪断速度140〜436sec−1の範囲、吐出溶融樹脂温度270℃以下で溶融混練して混練物Bを形成するB工程と、前記混練物Aと前記混練物Bを、剪断速度58〜262sec−1の範囲、吐出溶融樹脂温度270℃以下で溶融混練するC工程と、を備え、前記A工程、前記B工程、及び前記C工程をそれぞれ独立して行うことを特徴とする。
発明者は、鋭意研究した結果、セルロース系樹脂を含むベース樹脂に、難燃剤やフッ素系樹脂を均一分散化させるように溶融混練するに際して重要な点が2つあることを見出した。
1つ目は、可塑剤によりセルロース系樹脂の溶融粘度を下げて、難燃剤やフッ素系樹脂を含有させたポリカーボネート樹脂との溶融粘度差を小さくしてから、セルロース系樹脂組成物とポリカーボネート樹脂組成物とを溶融混練することで、溶融粘度が高いセルロース系樹脂を含むベース樹脂であっても、製造された難燃性樹脂組成物に難燃剤やフッ素系樹脂を均一に分散させることができる。
2つ目は、フッ素系樹脂をベース樹脂中に均一分散化させるためにはある程度の剪断速度が必要であるが、剪断速度が高過ぎると、フッ素系樹脂の分散サイズが小さくなり過ぎて滴下防止性を発揮できない。滴下防止性を発揮するためのフッ素系樹脂の分散サイズとしては、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法)の測定検出が可能な1μm以上の大きさであることが好ましい。分散サイズの上限としては20μm以下が好ましい。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、ポリカーボネート樹脂に難燃剤とフッ素系樹脂とを、剪断速度58〜262sec−1で溶融混練して混練物Aを形成する。このときの剪断速度を58〜262sec−1としたので、ポリカーボネート樹脂中に難燃剤とフッ素系樹脂を十分に混練することができ、しかもフッ素系樹脂の分散サイズが小さくなり過ぎない。
一方、セルロース系樹脂に可塑剤を、剪断速度140〜436sec−1、吐出溶融樹脂温度270℃以下で溶融混練してセルロース系樹脂の溶融粘度を混練物Aと同等まで低下させた混練物Bを形成する。このときの剪断速度を140〜436sec−1の範囲にしたので、セルロース系樹脂の着色がなく、且つ分子量の低下もないので物性が低下しない。
そして、上記形成した混練物Aと混練物Bとを、剪断速度58〜262sec−1、吐出溶融樹脂温度270℃以下で溶融混練するようにしたので、ベース樹脂としてセルロース系樹脂を含む難燃性樹脂組成物の成形体において、十分な力学物性や燃焼時の滴下防止性能を発揮する難燃性樹脂組成物を製造できる。
本発明の製造方法においては、前記B工程で形成した混練物Bに対して、前記ポリカーボネート樹脂、難燃剤、フッ素系樹脂を添加することにより、前記A工程と前記C工程とを同時に行うことが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記難燃性樹脂組成物は、セルロース系樹脂及びポリカーボネート樹脂のベース樹脂100質量部に対して、難燃剤が10〜30質量部、フッ素系樹脂が0.01〜2質量部であることが好ましい。
セルロース系樹脂にポリカーボネート樹脂を配合することで、セルロース系樹脂が含有された難燃性樹脂組成物の成形時の流動性や寸法精度、及び成形体の衝撃強度等を改良することができる。また、ベース樹脂100質量部に対して、難燃剤を10〜30質量部、フッ素系樹脂を0.01〜2質量部を含有させることで、製造される難燃性樹脂組成物の燃焼時の滴下が防止され、難燃性を改良できる。
この場合、単に上記の組成比率を満足すれば良いのではなく、難燃剤やフッ素系樹脂を難燃性樹脂組成物に如何に均一に分散させるか、及び分散混合されるフッ素系樹脂の分散サイズを如何に1μm以上のサイズにするかが重要になる。
本発明の製造方法においては、前記フッ素系樹脂はポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。フッ素系樹脂の中でもポリテトラフルオロエチレンは燃焼時の滴下防止の効果が大きく難燃効果が高いからである。
本発明の製造方法においては、前記難燃剤は、リン酸エステル、縮合リン酸エステルの少なくとも1つであることが好ましい。リン酸エステルは難燃性能の他に可塑化能も有し、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度を調整することができる。また、ハロゲン系難燃剤を用いてもかまわない。
また、本発明の製造方法における可塑剤としては、特に指定することはないが、アジピン酸エステル、グリセリルトリベンゾエートが好ましい。
本願請求項6の難燃性樹脂成形体は前記目的を達成するために、請求項1〜5の何れか1によって製造された難燃性樹脂組成物を成形材料として、射出成形装置によって射出成形した燃焼試験片の破断面端部を、飛行時間型二次イオン質量装置を用いて観察直径1μmで観察したときに、100×100μmの視野範囲内に長径が1〜20μmの島状態に分布しているフッ素系樹脂に相当する明部が50個以上存在することを特徴とする。
飛行時間型二次イオン質量装置の観察直径1μmとしたことにより、1μm未満の分散サイズのフッ素系樹脂は飛行時間型二次イオン質量装置で観察できない。これにより、分散サイズ1μm以上のフッ素系樹脂の分散状態を知ることができる。分散サイズの上限は5μmが好ましい。
また、100×100μmの視野範囲内に長径が1〜20μmのフッ素系樹脂に相当する明が50個以上存在するか否かを観察することで、フッ素系樹脂が均一分散化されているか否かを知ることができる。
したがって、上記の条件を満足する難燃性樹脂組成物は、ベース樹脂としてセルロース系樹脂を含む難燃性樹脂組成物において、十分な難燃性や滴下防止性の性能を発揮することができる。また、請求項6は、発明の切り口を変えると、製造された難燃性樹脂組成物が滴下防止性を満足するか否かの評価方法としても使用することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法及び難燃性樹脂成形体によれば、ベース樹脂としてセルロース系樹脂を含む難燃性樹脂組成物の成形体において、十分な力学物性や燃焼時の滴下防止性能を発揮する難燃性樹脂組成物を得ることができる。
なお、成形体の成形方法は特に指定はないが、射出成形、押出成形が好ましい。
A工程及びC工程を行う二軸混練機の一例を説明する説明図 混練部のスクリューセグメント構造を説明する説明図 B工程を行う二軸混練機の一例を説明する説明図 乾燥部のスクリューセグメント構造を説明する説明図 フッ素系樹脂の存在状態を知るための飛行時間型二次イオン質量装置による白黒写真 混練物Aの組成、混練条件、及び品質を示す表図 混練物Bの組成、混練条件、及び品質を示す表図 製造した難燃性樹脂組成物の組成、混練条件、及び品質を示す表図
以下、添付図面に従って難燃性樹脂組成物及びその製造方法の好ましい実施の形態について詳説する。
本発明の実施の形態の難燃性樹脂組成物の製造方法は、ポリカーボネート樹脂に難燃剤とフッ素系樹脂とを溶融混練して混練物Aを形成するA工程と、セルロース系樹脂に可塑剤を溶融混練してセルロース系樹脂の溶融粘度を低下させた混練物Bを形成するB工程と、混練物Aと混練物Bとを溶融混練するC工程と、をそれぞれ別の混練機で行う場合である。
図1は、A工程を行う二軸混練機の一例であり、図1の(A)は側面図、(B)が二軸スクリューを示す上面図である。
図1に示すように、二軸混練機10のバレル12内部には2本のスクリュー14、14が並列され、各スクリュー14、14は図示しないモータにより回転される。2本のスクリュー14、14は同方向回転でも異方向回転でもよいが、同方向回転がより好ましい。
二軸混練機10のバレル長手方向の一端側上面には、原料供給口16が開口されると共に、原料供給口16に原料投入用のホッパー18が設けられる。バレル12内部は、ホッパー18側から順に、搬送ゾーン20、混練ゾーン26、昇圧・排出ゾーン28に分かれる。なお、図1(B)では、混練ゾーン26を四角で示してある。
上記各ゾーン20、26、28を構成するバレル12外部には、各ゾーン20、26、28の温度調整を行う温度調整手段(図示せず)がそれぞれ設けられ、各ゾーン20、26、28の温度を個別に調整できるようになっている。温度調整手段としては、電気ヒータ、あるいは温水及び冷水が流れるジャケットなどを好適に使用することができる。
搬送ゾーン20及び昇圧・排出ゾーン28には、スクリュー軸に2条ネジ又は1条ネジと呼ばれるスクリューエレメントが設けられる。
混練ゾーン26のスクリュー14には、図2(A)、(B)に示すように、楕円状のニーディングディスク14Bと呼ばれるスクリューエレメントが等間隔で複数設定されている。そして、2本のスクリュー14、14に設けられたニーディングディスク14Bの回転方位位相が連続的に、又は周期的に異なるように設定されている。連続的に位相差がずらされており、且つその位相のずれ方が樹脂の排出方向に対して溶融樹脂が送られる方向になっているものを図2(B)に示すように順ニーディングという。ニーディングディスク14Bは回転方向と同方向に捻じる捩じれ角を有して順次ずらして配設され、捻じれ角は例えば45°程度に設定される。そして、対応するニーディングディスク14B同士が図2(A)に示すように、回転周期を90°ずらした位置関係を保持する状態で回転駆動される。
また、位相差のずれ方が樹脂の排出方向と逆方向になっており、積極的に溶融樹脂を滞留させるものを逆ニーディング(図示せず)といい、周期的にずらされているだけで搬送能力のないものをニュートラルニーディング(図示せず)という。これらにより、ニーディングディスク14Bの面相互間での剪断作用と、不連続なニーディングディスク14Bによる切返し効果による分散作用が発生し、原料の分散・混合を行う。なお、図2(A)の矢印は原料の動きを示す。
そして、A工程では、上記の如く構成された二軸混練機10を用いて、ポリカーボネート樹脂に難燃剤とフッ素系樹脂とを、剪断速度58〜262sec−1の範囲で溶融混練する。剪断速度が58sec−1未満では、十分に混練することができないので、難燃剤やフッ素系樹脂が均一に分散されない。一方、剪断速度が262sec−1を超えると、フッ素系樹脂の分散サイズが小さくなり過ぎるため、製造された難燃性樹脂組成物を使った成形体の燃焼時の滴下が防止できない。ここでの剪断速度は、図2(A)におけるニーディングディスク14BのクリアランスDを元に計算した。
また、バレル温度は、ポリカーボネート樹脂の軟化温度以上、270℃以下が好ましい。なお、通常は二軸混練機10において剪断速度及びバレル温度が最も高くなるは混練ゾーン26であるので、混練ゾーン26の剪断速度及びバレル温度と言い換えることもできる。
次に、セルロース系樹脂と可塑剤とを溶融混練するB工程で使用するのに好適な二軸混練機の一例について説明する。
セルロース系樹脂は、製造方法上の理由から粉状体での供給はしておらず、1mm〜30mm程度の不揃いな粒状体の形態で供給している。このため、セルロース系樹脂に可塑剤を均一に混ぜ合わせるには、混練する前に、セルロース系樹脂を粉状体にするための粉砕が必要になる。また、セルロース系樹脂は石油系樹脂に比べて樹脂中の含水分が多く、混練する際に樹脂中に気泡を噛み込み易いため、混練する前に水分を下げておく必要がある。しかし、セルロース系樹脂は熱に弱いため、別設の粉砕機や乾燥機で予め粉砕や乾燥をしてから混練機で混練すると、二度の熱履歴を受けることになり着色や分子量の低分子化が起き易い。したがって、以下説明する構造の二軸混練機100を使用することが好ましい。
図3の(A)は二軸混練機100の側面図、(B)が二軸スクリューを示す上面図である。また、図3(B)では、2つの混練ゾーン122、126の位置を明確にするために、黒い四角で示してある。なお、混練ゾーンのスクリューエレメント構造、及び搬送ゾーン120、加熱・可塑化ゾーン124、昇圧・排出ゾーン128のスクリューエレメント構造、温度調整手段等は、図1で示した二軸混練機10と同様であるので、説明を省略する。
図3に示すように、二軸混練機100のバレル112内部は、ホッパー118側から順に、搬送ゾーン120、粉砕ゾーン(第1の混練ゾーン)122、乾燥ゾーン(ベント部)123、加熱・可塑化ゾーン124、混合ゾーン(第2の混練ゾーン)126、昇圧・排出ゾーン128に分かれる。このように、スクリュー14に2箇所の混練ゾーン22、26を有する二軸混練機としては、例えば東芝機械社製のTEMシリーズや日本製鋼社製のTEXシリーズ等を改良したものを利用することができる。
また、乾燥ゾーン(ベント部)123には、図4(A)に示すように、ベント口130が設けられると共に、マテリアルシールが設けられる。図4(A)ではマテリアルシールの一例として逆フライト132の例で示したが、シールリング、逆ニーディング、ニュウトラルニーディング等を用いることもできる。なお、図4(B)は乾燥ゾーン123に逆フライト132を設けない場合の図である。
そして、上記の如く構成された二軸混練機100を用いて、セルロース系樹脂と可塑剤とを溶融混練する際に、粉砕ゾーン122では、バレル温度をセルロース系樹脂の軟化温度以下に設定する。このように軟化温度以下で2本のスクリュー114が回転することで、粒状のセルロース系樹脂を粉砕することができる。
この場合、セルロース系樹脂に可塑剤が添加された状態で粉砕することが好ましい。これにより、粉砕による発熱で可塑剤のセルロース系樹脂への浸透速度が大きくなり、セルロース系樹脂に可塑剤を均一混合することができる。更には、可塑剤が浸透したセルロース樹脂は軟化するため、粉砕による発熱も小さくすることができる。
また、乾燥ゾーン123では、バレル温度をセルロース系樹脂中の水分等の揮発成分の揮発温度以上に設定する。このように揮発温度以上で2本のスクリュー114が回転することで、セルロース系樹脂を乾燥することができる。かかるセルロース系樹脂の乾燥において、乾燥ゾーン123に設けられた逆フライト132により、粉砕されたセルロース系樹脂を乾燥ゾーン123に一時的に滞留させて充満率を上げることにより、粉状のセルロース系樹脂がバレル内の隙間に対してシール材として作用する。これにより、粉状のセルロース系樹脂がベント口130から揮発成分に同伴して外部に排出されることが防止される。ベント口130は単に大気に開放されていてもよく、粉状のセルロース系樹脂がベント口130から排出されない程度にベント口130を真空装置等で吸引してもよい。
乾燥ゾーン123における乾燥後のセルロース系樹脂の水分としては1000ppm以下であることが好ましく、300ppmであることがより好ましく、50ppm以下であることが特に好ましい。
また、混合ゾーン126では、剪断速度140〜436sec−1の範囲、吐出溶融樹脂温度270℃以下で、セルロース系樹脂と可塑剤とを溶融混練してセルロース系樹脂の溶融粘度を低下させた混練物Bを形成する。剪断速度が140sec−1未満では、十分に混練することができず、セルロース系樹脂の未溶融物が残り易く、力学物性が低下する。剪断速度が436sec−1を超えると、剪断発熱によりセルロース系樹脂の着色や分子量の低下が顕著になる。これにより、セルロース系樹脂の品質を低下させることなく、A工程で形成した混練物AとB工程で形成した混練物Bとの溶融粘度差を小さくすることができる。
次に、上記の如く形成された混練物Aと混練物BとをC工程で溶融混練する。C工程で使用する混練機としては、A工程で使用したと同様の二軸混練機10(図1参照)を使用することができる。そして、混練物Aと混練物Bとを剪断速度58〜262sec−1の範囲、吐出溶融樹脂温度270℃以下になるように溶融混練する。この場合、剪断速度が58sec−1未満では、十分に混練することができないので、セルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、難燃剤、及びフッ素系樹脂が均一に分散されず、難燃性樹脂組成物から得られた成形体の力学物性や難燃性が低下する。一方、剪断速度が262sec−1を超えると、A工程でも説明したように、フッ素系樹脂の分散サイズが小さくなり過ぎるため、製造された難燃性樹脂組成物を使用した成形体の燃焼時における滴下が防止できない。
このように、本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法では、上記説明したA工程、B工程、及びC工程を行うようにしたので、ベース樹脂としてセルロース系樹脂を含む難燃性樹脂組成物において、セルロース系樹脂の品質を低下させることなく、十分な難燃性や滴下防止性の性能を発揮する難燃性樹脂組成物を製造できる。また、ベース樹脂としてポリカーボネート樹脂を配合したことで、難燃性樹脂組成物の機械強度、寸法精度を向上させることができる。
そして、以上の如く製造された難燃性樹脂組成物は、含有されるフッ素系樹脂の存在状態を次のようにして調べることができる。即ち、本発明の製造方法により製造された難燃性樹脂組成物を成形材料として、射出成形装置によって射出成形した燃焼試験片の破断面端部を、飛行時間型二次イオン質量装置(ION−TOF社製TOF−SIMS Vと、Bi3+一次イオンガンを使用し、高空間分解能(Burstmode)で測定、測定面積100μm×100μm、面分解能128×128ピクセル、積算1024回、帯電補正に20eVの電子銃を使用した。Posi、Negaの双方で測定した。)を用いて観察する。
飛行時間型二次イオン質量装置を用いて測定面積100μm×100μm、面分解能128×128ピクセル(観察直径1μmと同義)で観察した画像内の島状態に分布する明部の直径を測定した。直径が最も大きくなるものを長径とし、最も小さくなるものを短径とした。そのうち長径が1〜20μmのフッ素系樹脂に相当する明部を数えた。
図5の(A)〜(C)は、燃焼試験片の破断面端部を、飛行時間型二次イオン質量装置を用いて測定面積100μm×100μm、面分解能128×128ピクセル(観察直径1μmと同義)で観察した写真である。白い点が分散サイズ1μm以上のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の存在部分であり、図5の一辺の長さが100μmに相当する。
図5(A)は、剪断速度43.6sec−1で溶融混練した場合であり、図5(B)は、剪断速度109sec−1で溶融混練した場合であり、図5(C)は、剪断速度523.2sec−1で溶融混練した場合である。
図5(A)のように、剪断速度が小さいとPTFEの白い点は凝集した状態にあり、長径が1〜20μmのフッ素系樹脂に相当する明部が50個未満となる。剪断速度を大きくしていくと 図5(B)のように、凝集していたPTFEの白い点が分散され、長径が1〜20μmのフッ素系樹脂に相当する明部が50個以上となる。更に剪断速度を大きくしていくと、図5(C)のように、分散されていたPTFEの白い点が見えなくなり、長径が1〜20μmのフッ素系樹脂に相当する明部が50個未満となる。これは、剪断速度が大き過ぎてPTFEが破断されて分散サイズが小さくなり、測定面積100μm×100μm、面分解能128×128ピクセルで観察できなくなるためである。
そして、図5(B)のように、適切な剪断速度で溶融混練することにより、100×100μmの視野範囲内に長径が1〜20μmの島状態に明部(フッ素系樹脂に相当)が50個以上分布するように均一分散させることができ、滴下を改善できる。
本発明の実施の形態で使用されるセルロース系樹脂としては特に限定されないが、ジアセチルセルロース(DAC)やトリアセチルセルロース(TAC)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)を好ましく使用できる。
また、本発明の実施の形態で使用されるポリカーボネート樹脂としては、重量平均分子量が5000から300000の範囲が好ましい。重量平均分子量が5000では機械的強度が低くなり、300000を超えると流動性が悪くなる。
また、難燃剤の種類としては、リン系化合物、ハロゲン系有機化合物、無機微粒子を使用することができるが、リン酸エステル、縮合リン酸エステルが特に好ましい。
また、フッ素系樹脂の種類としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),フッ化エチレンプロピレン(FEP)樹脂等のパーフルオロアルカン樹脂、及びパーフルオロアルコキシ(PFA)樹脂を使用することができるが、滴下防止性改良性に優れたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が特に好ましい。
難燃性樹脂組成物の組成比率としては、セルロース系樹脂及びポリカーボネート樹脂のベース樹脂100質量部に対して、可塑剤が5〜30質量部の範囲、難燃剤が10〜30質量部の範囲、フッ素系樹脂が0.01〜2質量部の範囲であることが好ましい。
次に、本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法について具体的な実施例を説明する。
[混練物Aの製造]
図6の表に示すように、組成材料の組成比率及び混練条件を変えて、ポリカーボネート樹脂に難燃剤とフッ素系樹脂とを溶融混練して混練物A−1〜混練物A−9を製造した。図6の表の組成材料の記号は次の通りであり、以下記号で説明する。
PC(1)…出光石油化学(社)製のポリカーボネート樹脂 A1700
PC(2)…出光石油化学(社)製のポリカーボネート樹脂 A1900
PTFE…三井・デュポンフロロケミカル(社)製のポリテトラフルオロエチレン
PX200…大八化学製(社)製の縮合系リン酸エステル
なお、上記組成のPC(1)及びPC(1)は100〜130℃で4〜10時間乾燥したものを使用した。この場合、真空乾燥、熱風乾燥の何れでもよい。なお、二軸混練機10にオーブンベントを設けることで、乾燥なしで混練することも可能である。また、PTFE及びPX200はもともと低水分で問題ないので、乾燥しなかった。
そして、図1に示した二軸混練機10を用いて以下の製造条件で混練物A−1〜混練物A−9のペレットを製造し、ペレット物性及び二軸混練機内での搬送性能を評価した。なお、混練ゾーン26のバレル温度は220〜270℃である。
〈評価方法〉
・未溶融物の有無…二軸混練機から押し出されるストランドを切断したペレット10cm当たり未溶融物が2個以下であれば「無」と評価し、2個を超えて多ければ「有」と評価した。未溶融物は混練物(冷却後のもの)を手で触った際に表面に突起する突起物として確認することができる。
・ブリードアウトの有無…製造された混練物Aの表面を目視観察することにより評価した。
(混練物A−1)
PC(1)が100質量部、PTFEが0.6質量部、PX200が25質量部の組成比率の組成材料を、図1に示した二軸混練機10を用いて、剪断速度87sec−1で溶融混練した。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、搬送性能も良かった。
(混練物A−2)
PC(2)が100質量部、PTFEが0.6質量部、PX200が25質量部の組成比率の組成材料を、図1に示した二軸混練機10を用いて、剪断速度87sec−1で溶融混練した。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、搬送性能も良かった。
(混練物A−3)
PC(1)が100質量部、PTFEが0.6質量部、PX200が25質量部の組成比率の組成材料を、図1に示した二軸混練機10を用いて、剪断速度58sec−1で溶融混練した。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、搬送性能も良かった。
(混練物A−4)
PC(2)が100質量部、PTFEが0.6質量部、PX200が25質量部の組成比率の組成材料を、図1に示した二軸混練機10を用いて、剪断速度262sec−1で溶融混練した。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、搬送性能も良かった。
(混練物A−5)
混練物A−2と同じ組成比率の組成材料を、剪断速度30sec−1で溶融混練した。その結果、剪断速度が小さ過ぎたために十分な混練が行われず、未溶融物が「有」になった。また、混練物A―5を製造する際の剪断速度が30sec−1と小さ過ぎたことが、難燃性樹脂組成物においてPTFEの分散不良を招き、図8の表の比較例3から分かるように難燃性に悪影響を及ぼしている。
(混練物A−6)
混練物A−2と同じ組成比率の組成材料を、剪断速度436sec−1で溶融混練した。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、搬送性能も良かった。しかし、混練物A―6を製造する際の剪断速度が436sec−1と大き過ぎたことが、難燃性樹脂組成物においてPTFEの分散サイズのサイズ減少を招き、図8の表の比較例4から分かるようにドリップし易くなり、難燃性に悪影響を及ぼしている。
(混練物A−7)
PC(2)が100質量部、PTFEが0.6質量部、PX200が9質量部の組成比率の組成材料を、図1に示した二軸混練機10を用いて、剪断速度87sec−1で溶融混練した。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、搬送性能も良かった。
しかし、混練物A―7を製造する際のPX200(難燃剤)の量が9質量部と少な過ぎたことが、図8の表の比較例5から分かるように、難燃性樹脂組成物の難燃性に悪影響を及ぼしている(難燃性はV-2レベル:難燃性のレベルは、(低い)HB<V-2<V-1<V-0(高い)順に高くなる)。
(混練物A−8)
PC(2)が100質量部、PTFEが0.8質量部、PX200が67質量部の組成比率の組成材料を、図1に示した二軸混練機10を用いて、剪断速度87sec−1で溶融混練した。その結果、未溶融物は「無」の評価であったが、ブリードアウトが「有」の評価であった。また、混練物A−8を製造する際のPX200の量が多過ぎたことが、搬送性能不良を招き、混練物A−8を製造できなかった。
(混練物A−9)
PC(2)が100質量部、PTFEが0質量部、PX200が25質量部の組成比率の組成材料を、図1に示した二軸混練機10を用いて、剪断速度87sec−1で溶融混練した。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、搬送性能も良かった。しかし、混練物A―9を製造する際のPTFEが0質量部であったことが、図8の表の比較例9から分かるように、難燃性樹脂組成物の成形体の燃焼時のドリップを発生させ、難燃性に悪影響を及ぼしている。
[混練物Bの製造]
図7の表に示すように、組成材料の組成比率及び混練条件を変えて、セルロース系樹脂に可塑剤を溶融混練して混練物B−1〜混練物B−10を製造した。図7の表の組成材料の記号は次の通りであり、以下記号で説明する。
DAC…ダイセル化学(社)製のジアセチルセルロース L−70
E(1)…大八化学(社)製のリン酸エステル(TPP)
E(2)…ダイセル化学(社)製のアジピン酸エステルODX−286
E(3)…グリセリントリベンゾエート
なお、DACは、80℃〜120℃で6〜12時間乾燥したものを使用した。この場合、真空乾燥、熱風乾燥の何れでもよい。なお、二軸混練機100のようにオーブンベントを設けることで、乾燥なしで混練することも可能である。また、E(1)〜E(3)は未乾燥で問題ないので、未乾燥で行った。
そして、図3に示した二軸混練機100を用いて以下の製造条件で混練物B−1〜混練物B−10のペレットを製造し、ペレット物性及び二軸混練機内での搬送性能を評価した。なお、混練時、二軸混練機100から吐出された溶融樹脂温度(吐出溶融樹脂温度)が270℃以下であれば図7の表に○で示し、270℃を超えていれば×で示した。また、二軸混練機100におけるその他の条件は全て共通である。
〈評価項目〉
・未溶融物の有無…混練物Aでの評価方法と同様である。
・ペレットカラー…ペレットのイエローインデックス(YI値)が50以下であれば○、50を超えていれば×とした。
・ブリードアウトの有無…混練物Aでの評価方法と同様である。
(混練物B−1)
DACが100質量部、E(1)が43質量部の組成比率の組成材料を、図3に示した二軸混練機100を用いて、剪断速度262sec−1で溶融混練した。その際の吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、ペレットカラーも○の評価であった。また、搬送性能も良かった。
(混練物B−2)
DACが100質量部、E(2)が25質量部の組成比率の組成材料を、図3に示した二軸混練機100を用いて、剪断速度183sec−1で溶融混練した。その際の吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、ペレットカラーも○の評価であった。また、搬送性能も良かった。
(混練物B−3)
DACが100質量部、E(2)が25質量部の組成比率の組成材料を、図3に示した二軸混練機100を用いて、剪断速度140sec−1で溶融混練した。その際の吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、ペレットカラーも○の評価であった。また、搬送性能も良かった。
(混練物B−4)
DACが100質量部、E(2)が25質量部の組成比率の組成材料を、図3に示した二軸混練機100を用いて、剪断速度436sec−1で溶融混練した。その際の吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、ペレットカラーも○の評価であった。また、搬送性能も良かった。
(混練物B−5)
DACが100質量部、E(3)が25質量部の組成比率の組成材料を、図3に示した二軸混練機100を用いて、剪断速度183sec−1で溶融混練した。その際の吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、ペレットカラーも○の評価であった。また、搬送性能も良かった。
(混練物B−6)
DACが100質量部、E(1)が25質量部の組成比率の組成材料を、図3に示した二軸混練機100を用いて、剪断速度183sec−1で溶融混練した。その際の吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、ペレットカラーも○の評価であった。また、搬送性能も良かった。
(混練物B−7)
DACが100質量部、E(3)が3質量部の組成比率の組成材料を、図3に示した二軸混練機100を用いて、剪断速度183sec−1で溶融混練した。その際の吐出溶融樹脂温度は270℃を超えた。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であったが、ペレットカラーが×の評価になった。搬送性能は良かった。また、混練物B―7を製造する際の可塑剤E(3)が少な過ぎたため、DACが着色や分子量の低下などの悪影響を起こしたことによって、図8の表の比較例6から分かるように、難燃性樹脂組成物を成形して得られた成形体のシャルピー衝撃強度を低下させている。
(混練物B−8)
DACが100質量部、E(3)が53.8質量部の組成比率の組成材料を、図3に示した二軸混練機100を用いて、剪断速度183sec−1で溶融混練した。その結果、未溶融物及びブリードアウトともに「無」の評価であり、ペレットカラーも○の評価であった。しかし、混練物B―8を製造する際の可塑剤E(3)が多過ぎたことが搬送不良を招き、混練物B−8を製造できなかった。
(混練物B−9)
DACが100質量部、E(3)が25質量部の組成比率の組成材料を、図3に示した二軸混練機100を用いて、剪断速度83.6sec−1で溶融混練した。その結果、未溶融物が「有」の評価であった。また、ペレットカラー、ブリードアウト、及び搬送性能は問題なかった。また、混練物B−9を製造した際の混練速度が83.6sec−1と小さ過ぎて未溶融物が残ったことが、図8の表の比較例7から分かるように、難燃性樹脂組成物を成形して得られた成形体のシャルピー衝撃強度を低下させている。
(混練物B−10)
DACが100質量部、E(3)が25質量部の組成比率の組成材料を、図3に示した二軸混練機100を用いて、剪断速度650sec−1で溶融混練した。その結果、未溶融物、ブリードアウト、及び搬送性は問題なかったものの、ペレットカラーが×の評価になった。また、混練物B−10を製造した際の混練速度が650sec−1と大き過ぎたことで混練物B−10が着色や分子量の低下などを起こし、図8の表の比較例8から分かるように、難燃性樹脂組成物を成形して得られた成形体のシャルピー衝撃強度を低下させている。
[難燃性樹脂組成物の製造]
図8の表に示すように、上記製造した9種類の混練物Aと、10種類の混練物Bとを組み合わせて、混練条件を変えることにより、実施例1〜12及び比較例1〜10の難燃性樹脂組成物を製造した。そして、製造した難燃性樹脂組成物を射出成形(バレル設定温度:220〜250℃、その他成形条件は成形状況に合わせて任意に変更)して成形体を得て、その品質を評価した。
難燃性樹脂組成物の成形体の評価項目としては、PTFEの分布に相当する「明部の個数」、「難燃性」、「滴下防止性(ドリップ性)」、及び「シャルピー衝撃強度」の4項目で評価した。4項目の評価方法は次の通りである。
(明部の個数)
製造された難燃性樹脂組成物を成形材料として、射出成形装置によって射出成形した長さ125±5mm、幅13±0.5mm、厚さ1.6mmの燃焼試験片(成形体)の破断面端部を、飛行時間型二次イオン質量装置(ION−TOF社製TOF-SIMS V)を用い、Bi3+一次イオンガンを使用し、高空間分解能(Burstmode)で測定、測定面積100μm×100μm、面分解能128×128ピクセル、積算1024回、帯電補正に20eVの電子銃を使用した。Posi、negaの双方で測定した(観察直径が1μm)ときに、フッ素樹脂が存在する部分は明るくなり(画像上は黒く見える以外の部分)、殆ど存在しない、又は存在するが分散サイズが1μm未満になる場合は観察できず暗くなる(画像上は黒くみえる)。100×100μmの視野範囲内に長径が1〜20μmの島状態に分布しているフッ素系樹脂に相当する明部が50個以上存在するものを合格(○)とし、50個未満の場合を不合格(×)とした。なお、射出成形装置としては、電動式、型締め力100トンのFANUC社製の射出成形機を用い、任意の温度にシリンダー温度を設定して成形した。シリンダー温度は樹脂組成により若干異なるが、一例を挙げると220℃〜250℃の範囲であった。
(難燃性〈燃焼試験:UL94−V〉)
難燃性樹脂組成物を射出成形した長さ125±5mm、幅13±0.5mm、厚さ1.6mmの燃焼試験片(成形体)として用いた。UL94はプラスチック部品などの燃焼性試験のうちでも最も基本的なもので、規定された寸法の試験片にガスバーナーの炎を当てて試験片の燃焼の程度を調べる。その等級は、難燃性が高い方から順にV−0,V−1,V−2があり、V−0の難燃性を合格(○)とし、V−1以下の難燃性を不合格(×)とした。
(ドリップ性)
上記の難燃製試験UL94において、成形体が炎の熱で加熱、溶融、燃焼してもドリップ(滴下)しない場合を合格(○)とし、ドリップする場合を不合格(×)とした。
(シャルピー衝撃強度)
難燃性樹脂組成物を射出成形して得たシャルピー衝撃試験片(成形体)(長さ80mm±2mm、幅10mm±0.2mm、厚さ4mm±0.2mmとし、ノッチ加工(ノッチ半径0.25mm±0.05mm、ノッチ部の幅8.0mm±0.2mm))を用いた。成形装置や条件は燃焼試験片の成形と同様のものを利用した。試験装置はTOYOSEIKI社製のIMPACTTESTER(アナログ式)を用いた。そして、上記の実施例及び比較例で得られた試験片をJISK−7111に準じてシャルピー衝撃試験に供し、3(kJ/m)以上を合格(○)とし、3(kJ/m) 未満を不合格(×)とした。
(総合評価)
上記4つの評価項目の全てが○の場合を合格(○)とし、4つの評価項目のうちの1つでも×があれば不合格(×)とした。
[試験結果]
実施例1〜12、及び比較例1〜10の結果を図8の表に示す。混練物Aと混練物Bとの溶融混練は、図1の二軸混練機10を用いて行った。
(実施例1)
混練物(A―1)50質量部と混練部(B―1)50質量部とを、剪断速度130sec−1、吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。即ち、実施例1の難燃性樹脂組成物は、次の(I)、(II)、(III)の全ての製造条件を満足する。
(I)工程A:ポリカーボネート樹脂と難燃剤とフッ素系樹脂を、剪断速度58〜262sec−1の範囲で溶融混練して混練物Aを形成する。
(II)工程B:セルロース系樹脂と可塑剤を、吐出溶融樹脂温度が270℃を超えないように、剪断速度140〜436sec−1の範囲で溶融混練して混練物Bを形成する。
(III)工程C:混練物Aと混練物Bを、吐出溶融樹脂温度が270℃を超えないように、剪断速度58〜262sec−1の範囲で溶融混練する。
その結果、4つの評価項目の全てが合格(○)であり、総合評価も合格(○)になった。
(実施例2)
混練物(A―1)55質量部と混練部(B―2)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。実施例2についても上記(I)〜(III)の製造条件を満足したので、成形体による4つの物性評価項目の全てが合格(○)であり、総合評価も合格(○)になった。
(実施例3)
混練物(A―2)50質量部と混練部(B―1)50質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。実施例3についても上記(I)〜(III)の製造条件を満足したので、成形体による4つの物性評価項目の全てが合格(○)であり、総合評価も合格(○)になった。
(実施例4)
混練物(A―2)55質量部と混練部(B―2)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。実施例4についても上記(I)〜(III)の製造条件を満足したので、成形体による4つの物性評価項目の全てが合格(○)であり、総合評価も合格(○)になった。
(実施例5)
混練物(A―2)55質量部と混練部(B―5)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。実施例5についても上記(I)〜(III)の製造条件を満足したので、成形体による4つの物性評価項目の全てが合格(○)であり、総合評価も合格(○)になった。
(実施例6)
混練物(A―2)55質量部と混練部(B―6)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。実施例6についても上記(I)〜(III)の製造条件を満足したので、成形体による4つの物性評価項目の全てが合格(○)であり、総合評価も合格(○)になった。
(実施例7)
混練物(A―3)55質量部と混練部(B―2)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。実施例7についても上記(I)〜(III)の製造条件を満足したので、成形体による4つの物性評価項目の全てが合格(○)であり、総合評価も合格(○)になった。
(実施例8)
混練物(A―4)55質量部と混練部(B―2)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。実施例8についても上記(I)〜(III)の製造条件を満足したので、成形体による4つの物性評価項目の全てが合格(○)であり、総合評価も合格(○)になった。
(実施例9)
混練物(A―1)55質量部と混練部(B―3)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。実施例9についても上記(I)〜(III)の製造条件を満足したので、成形体による4つの物性評価項目の全てが合格(○)であり、総合評価も合格(○)になった。
(実施例10)
混練物(A―1)55質量部と混練部(B―4)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。実施例10についても上記(I)〜(III)の製造条件を満足したので、成形体による4つの物性評価項目の全てが合格(○)であり、総合評価も合格(○)になった。
(実施例11)
混練物(A―2)55質量部と混練部(B―1)45質量部とを、剪断速度58sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。実施例11についても上記(I)〜(III)の製造条件を満足したので、成形体による4つの物性評価項目の全てが合格(○)であり、総合評価も合格(○)になった。
(実施例12)
混練物(A―2)55質量部と混練部(B―1)45質量部とを、剪断速度262sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。実施例12についても上記(I)〜(III)の製造条件を満足したので、成形体による4つの物性評価項目の全てが合格(○)であり、総合評価も合格(○)になった。
(比較例1)
混練物(A―1)55質量部と混練部(B―2)45質量部とを、剪断速度30sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。比較例1は、混練物(A―1)及び混練部(B―2)を製造する条件は上記(I)及び(II)を満足するが、混練物(A―1)と混練部(B―2)を混練する際の剪断速度と吐出溶融樹脂温度が上記(III)を満足しない。
その結果、成形体物性評価の4項目の全てが×の評価であった。これは剪断速度が遅過ぎたことによって、工程Cにて混練物Aと混練物Bがうまく分散されなかった結果であると考える。
(比較例2)
混練物(A―2)55質量部と混練部(B―5)45質量部とを、剪断速度650sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃を超えていた。比較例2は、混練物(A―2)及び混練部(B―5)を製造する条件は上記(I)及び(II)を満足するが、混練物(A―2)と混練部(B―5)を混練する際の剪断速度と吐出溶融樹脂温度が上記(III)を満足しない。
その結果、成形体物性評価の4項目の全てが×の評価であった。これはせん断速度が速過ぎたことによって、混練物Bが工程Cにて分子量低下や着色を引き起こした結果であると考える。
(比較例3)
混練物(A―5)55質量部と混練物(B―5)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。比較例3は、上記(II)及び(III)の製造条件は満足するが、混練物(A―5)を製造する際の剪断速度が30sec−1であり、上記(I)の製造条件を満足しない。
その結果、シャルピー衝撃強度のみは○になったが、他の3項目は×の評価であった。特に、混練物(A―5)を製造する際の剪断速度が30sec−1と小さ過ぎた為に、PTFEがポリカーボネート樹脂に均一に分散されていなかったために、難燃性が×になった。
(比較例4)
混練物(A−6)55質量部と混練物(B―5)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。比較例4は、上記(II)及び(III)の製造条件は満足するが、混練物(A―6)を製造する際の剪断速度が436sec−1であり、上記(I)の製造条件を満足しない。
その結果、シャルピー衝撃強度は○になったが、他の3項目は×の評価であった。特に、混練物(A―6)を製造する際の剪断速度が436sec−1と大き過ぎた為に、PTFEの分散サイズが小さくなり過ぎたため、ドリップ性が×になった。
(比較例5)
混練物(A―7)55質量部と混練物(B―6)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。比較例5は、上記(II)及び(III)の製造条件は満足するが、混練物(A―7)を製造する際の難燃剤PX200の量が少な過ぎたことが難燃性の評価において×になった。
(比較例6)
混練物(A―2)55質量部と混練物(B―7)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃を超えた。比較例6は、上記(I)の製造条件は満足するが、混練物(B―7)を製造する際の可塑剤E(3)の量が少な過ぎた結果、混練物(B―7)が可塑化不足となり、上記(II)の条件を満足しない。また、混練物(A―2)と混練物(B―7)とを混練した際の吐出溶融樹脂温度も上記(III)の条件を満足しない。
その結果、「明部の個数」と「難燃性」と「ドリップ防止性能」は○であったが、シャルピー衝撃試験は×の評価であった。特に、混練物(B―7)を製造する際のE(3)の量が少な過ぎた為に混練する際の流動性が不足し、剪断発熱により吐出溶融樹脂温度が285℃まで上昇した。この結果、セルロース系樹脂の分子量低下が起き、これによりシャルピー衝撃強度が×になった。
(比較例7)
混練物(A―2)55質量部と混練物(B―9)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。比較例7は、上記(I)及び(III)の製造条件は満足するが、混練物(B―9)を製造する際の剪断速度が上記(II)の条件を満足しない。
その結果、「明部の個数」と「難燃性」と「ドリップ防止性能」は○になったが、シャルピー衝撃試験は×の評価であった。混練物(B―9)を製造する際に剪断速度が小さ過ぎたために、未溶融物が残っており、シャルピー衝撃強度が×になった。
(比較例8)
混練物(A―2)55質量部と混練物(B―10)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。比較例8は、上記(I)及び(III)の製造条件は満足するが、混練物(B―10)を製造する際の剪断速度が上記(II)の条件を満足しない。
その結果、「明部の個数」と「難燃性」と「ドリップ防止性能」は○になったが、シャルピー衝撃試験は×の評価であった。混練物(B―10)を製造する際に剪断速度が大き過ぎたために、セルロース系樹脂の分子量低下が起き、これによりシャルピー衝撃試験が×になった。
(比較例9)
混練物(A―9)55質量部と混練物(B―5)45質量部とを、剪断速度130sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃以下であった。比較例9は、上記(II)及び(III)の製造条件は満足するが、混練物(A―9)を製造する際にPTFEを配合しなかった点で上記(I)の条件を満足しない。
その結果、シャルピー衝撃強度は○になったが、他の3項目は×の評価であった。特に、混練物(A―9)を製造する際にPTFEを配合しなかったために、難燃性、ドリップ性が×になった。
(比較例10)
混練物(A―2)55質量部と混練物(B―5)45質量部とを、剪断速度300sec−1で溶融混練した。吐出溶融樹脂温度は270℃を超えた。比較例10は、上記(I)及び(II)の製造条件は満足するが、上記(III)の剪断速度範囲を満足しない。
その結果、シャルピー衝撃強度は○になったが、他の3項目は×の評価であった。特に、PTFEの分散サイズが小さくなり過ぎ、ドリップ性が×になった。
以上説明したように、本発明の難燃性樹脂組成物を製造する製造条件(I)、(II)、及び(III)を満足することで、ベース樹脂としてセルロース系樹脂を含む難燃性樹脂組成物において、その難燃性樹脂組成物を成形してなる成形体は十分な力学物性や燃焼時の滴下防止性の性能を発揮することができると共に、シャルピー衝撃強度も満足することができる。
10、100、200…混練機(二軸混練機)、12、112、210…バレル、14、114、208…スクリュー、14B…ニーディングディスク、16…原料供給口、18、118、214…ホッパー、20、120、202A…搬送ゾーン、26、126…混練ゾーン、28、128、206E…昇圧・排出ゾーン、202…前段ゾーン、206…後段ゾーン

Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂に難燃剤とフッ素系樹脂とを、剪断速度58〜262sec−1の範囲で溶融混練して混練物Aを形成するA工程と、
    セルロース系樹脂に可塑剤を、剪断速度140〜436sec−1の範囲、吐出溶融樹脂温度270℃以下で溶融混練して混練物Bを形成するB工程と、
    前記混練物Aと前記混練物Bを、剪断速度58〜262sec−1の範囲、吐出溶融樹脂温度270℃以下で溶融混練するC工程と、を備え
    前記A工程、前記B工程、及び前記C工程をそれぞれ独立して行うことを特徴とする難燃性樹脂組成物の製造方法。
  2. 前記B工程で形成した混練物Bに対して、前記ポリカーボネート樹脂、難燃剤、フッ素系樹脂を添加することにより、前記A工程と前記C工程とを同時に行うことを特徴とする請求項1に記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記難燃性樹脂組成物は、セルロース系樹脂及びポリカーボネート樹脂のベース樹脂100質量部に対して、難燃剤が10〜30質量部の範囲、フッ素系樹脂が0.01〜2質量部の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記フッ素系樹脂はポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1に記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記難燃剤は、リン酸エステル、縮合リン酸エステルの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1に記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れか1によって製造された難燃性樹脂組成物を成形材料として、射出成形装置によって射出成形した燃焼試験片の破断面端部を、飛行時間型二次イオン質量装置を用いて観察直径1μmで観察したときに、100×100μmの視野範囲内に長径が1〜20μmの島状態に分布しているフッ素系樹脂に相当する明部が50個以上存在することを特徴とする難燃性樹脂成形体。
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