JP5489112B2 - 貯蔵安定性を改善した貼付剤包装品 - Google Patents
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Description
しかしながら、この技術は、実施例として懸濁液組成物を用いた例が挙げられているように、液剤やクリーム剤を意図したものと考えられる。液剤やクリーム剤は、利尿薬のような投与量の正確なコントロールが求められる全身性の薬物を投与し、長時間にわたって有効成分を一定の血漿中濃度に保ちつつ持続的に投与するには実用的ではない。また、リザーバー型経皮投与製剤で使用できることが述べられているが具体的な検討はなされておらず、テープ製剤のようなマトリックス型経皮吸収製剤については記載も示唆もされていない。
しかしながら、この貼付剤は、投与後、経口剤と同様の一過性の急激な血漿中濃度の上昇が見られている。また、この貼付剤はインダパミドの経皮吸収性を高めるためにN−ドデシルアゼパン−2−オン(エイゾン)が使用されているが、エイゾンはそれ自身が生体内に経皮吸収され、抗ウィルス効果を有する可能性があることから、米国食品医薬品局(FDA)において添加剤として承認されなかったという事実があり、安全性の面から実用化には大きな障害があると考えられる(非特許文献3及び4参照)。
さらに、(A)チアジド系利尿薬又はチアジド系類似薬(以下、「成分(A)」とも云う)、及び(B)飽和脂肪酸モノ又はジアルカノールアミド(以下、「成分(B)」とも云う)に、粘着基剤等を配合した貼付剤、特にテープ製剤とした場合に、有効成分である前記(A)の経皮吸収性に優れていることを明らかにした。
一般的にチアジド系利尿薬は水溶液中及び高含水率の溶液中で加水分解反応を起こすことが報告されているが、経口投与製剤の保存において、加水分解反応は特に問題とされていなかった。ところが、非水系である当該貼付剤での加水分解反応は意外な現象であった。これはおそらく、経皮吸収促進効果を高めるラウリン酸ジエタノールアミドが、トリクロルメチアジドの加水分解反応に何らかの形で関与したものと考えられる。
ものであるか不明であるが、トリクロルメチアジド以外の成分(A)についても同様に不純物が生成するものと考えられる。
そこで、本発明者らは、さらに上記の如く、不純物が生成すると云う問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、保存時にある程度の湿度にすること、具体的には60℃における相対湿度が1.5%以上であれば、前記不純物の生成を防ぐことができ、貯蔵安定性に優れることを見出した。
前記成分(A)のうち、下記成分(B)との併用によって、経皮吸収性に優れる点かつ一定の血漿中濃度が長時間持続する点で、チアジド系利尿薬がより好ましく、このなかでも、トリクロルメチアジドが特に好ましい。
前記成分(B)の具体例としては、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸モノイソプロパノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等を挙げることができる。これらを1種で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記成分(B)うち、前記成分(A)の経皮吸収性を向上できる点で、C6−C22飽和脂肪酸ジC1−C4アルカノールアミドがより好ましく、このなかでも、ラウリン酸ジエタノールアミドが特に好ましい。
当該モノマー構成単位中の側鎖にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルを含む共重合体等が挙げられる。
前記共重合体の具体例としては、アクリル酸−2−エチルヘキシル・アクリル酸ヒドロキシルエチル・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・アクリル酸ヒドロキシルエチル・アクリル酸・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン・アクリル酸ヒドロキシルエチル・アクリル酸・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン・アクリル酸ヒドロキシルエチル・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・アクリル酸ヒドロキシルエチル・酢酸ビニル共重合体、アクリル酸−2−エチルヘキシル・アクリル酸ヒドロキシルエチル・アクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
前記粘着基剤として商業的に入手可能な市販製品としては、DURO−TAK(登録商標)87−2510、87−2287,87−4287、87−2516、87−2525(National Starch & Chemical Company)、GMS(登録商標)737、788(Cytec Industries Inc.)等が利用可能である。
具体的には、前記イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物や三官能性イソシアネートが挙げられる。前記有機金属アルコラートとしては、例えばテトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムブチレート等が挙げられる。前記金属キレート化合物としては、例えば、ジ−i−プロポキシビス(アセチルアセトン)チタネート、テトラオクチレングリコールチタネート、アルミニウムイソプロピレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等が挙げられる。
また、前記抗菌剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、塩化ベンサルコニウム、安息香酸、メチルパラヒドロキシベンゾエート等が挙げられ、これらを1種又は2種以上粘着剤層に配合することができる。
また、前記皮膚刺激低減化剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、無水ケイ酸等が挙げられる。
例えば、上記成分(A)及び成分(B)の薬物、更に適宜上記粘着基剤を含む粘着剤組成物をアセトン、酢酸エチル等の適当な有機溶媒に溶解させ、得られた粘着剤溶液を支持体の片面上に塗工し、有機溶媒を乾燥・除去して粘着剤層を形成し、その後、粘着剤層上に剥離ライナーを貼り合せることで、製造することができる。
また、前記粘着剤溶液を剥離ライナー上に塗工し、有機溶媒を乾燥・除去して粘着剤層を形成し、その後、粘着剤層上に支持体の片面を貼り合せることで、製造してもよい。
なお、粘着剤層を形成する際に粘着剤溶液を一度に厚く塗工すると均一に乾燥することが困難な場合があるため、粘着剤層の厚みを充分なものにするために、2度以上に分けて塗工してもよい。
上記包装袋に用いるシート材料の素材としては、周辺湿度環境と隔離することができるもの(場合によっては光透過を遮断するもの)であれば特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、セロハン、紙、アルミニウムが挙げられる。
上記包装袋に用いるシート材料は、上記素材を用いて、単層構造又は多層構造にしたものであってもよいが、外層と内層、場合によっては内層、中間層及び外層から主に構成される多層構造としたものが好ましい。このとき、内層にポリエチレンを用いるのが好ましい。
好ましくはPET、アルミニウム、ポリエチレンを積層したシート材料を有する包装袋が挙げられる。
前記気体としては、空気;窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の不活化ガスが挙げられるが、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
前記乾燥剤としては、本発明の貼付剤包装品の包装袋内の相対湿度が60℃において前記特定の範囲となるよう制御できるものであれば特に限定されず、例えば、シリカゲル、塩化カルシウム、アロフェン、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。好ましくはアロフェン、塩化カルシウム、シリカゲル等が挙げられる。ゼオライトやアルカリ金属の酸化物及びアルカリ土類金属の酸化物等も乾燥剤として使用してもよいが、包装袋内の相対湿度を低下させる作用が強いことから、シリカゲル等の前記例示のものを使用した方が、包装袋内の相対湿度を調整し易い点で好ましい。本発明の効果を損なわない範囲で、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
透湿パッケージや透湿シートの素材としては、水分を透過可能で湿度を制御できるものであれば特に限定されず、例えば、低密度ポリエチレンからなる樹脂フィルム、織布や不織布等の布剤、紙等が挙げられる。
前記乾燥剤は、包装袋内部を本発明の前記特定の相対湿度範囲内に保持するために、適当量を使用する。その量は、包装袋中に存在する水の量、選択された乾燥剤の吸湿能力等に依存して決めればよい。
〔貼付剤の製造〕
トリクロルメチアジド2.0重量部、ラウリン酸ジエタノールアミド3.0重量部、ミリスチン酸イソプロピル40.0重量部、アルミニウムアセチルアセトナート0.4重量部及びアクリル系粘着基剤(National Starch & Chemical Company社製、商品名:DURO−TAK 87−2516)54.6重量部を容器内で均一になるように混合・攪拌し、均一な塗工液を得た。
製造例1に使用されるラウリン酸ジエタノールアミドの代わりにオレイン酸ジエタノールアミドを用い製造例1と同じ条件及び方法で製造例2の貼付剤を得た。
〔貼付剤包装品の製造〕
PET(外層)、アルミニウム、ポリエチレン(内層)を積層した包装用シート(生産日本社製)の外周約0.5cmをヒートシールして10cm×10cmの袋状とし、1袋中に製造例1の貼付剤1枚を、シリカゲル2.3g(ドライヤーン、山仁薬品社製)1個とともに封入し、実施例1の貼付剤包装品とした。
PET(外層)、アルミニウム、ポリエチレン(内層)を積層した包装用シート(生産日本社製)の外周約0.5cmをヒートシールして10cm×10cmの袋状とし、1袋中に製造例1の貼付剤1枚を、アロフェンにパルプ及び適量のバインダーを添加してシート状に成形・加工された乾燥剤(アロフェン:パルプ= 50 : 50)0.84g(アローシート、品川化成社製)1個とともに封入し、実施例2の貼付剤包装品とした。
PET(外層)、アルミニウム、ポリエチレン(内層)を積層した包装用シート(生産日本社製)の外周約0.5cmをヒートシールして10cm×10cmの袋状とし、1袋中に製造例1の貼付剤1枚を封入し、比較例1の貼付剤包装品とした。
PET(外層)、アルミニウム、吸湿層(ゼオライト)、ポリエチレン(内層)を積層した乾燥剤と一体化した包装用シート(モイストキャッチ、共同印刷社製)の外周約0.5cmをヒートシールして10cm×10cmの袋状とし、1袋中に製造例1の貼付剤1枚を封入し、比較例2の貼付剤包装品とした。
(ヘアレスマウス皮膚を用いたin vitro皮膚透過試験)
前記製造例1及び2にて得た各貼付剤を直径13mmの円形に打ち抜いたものを試験に用いた。7週齢の雄性へアレスマウスをジエチルエーテルで麻酔致死させた後、直ちに全身の皮膚を剥離した。その後、皮下脂肪を除去し、外皮側にドーナツ状のポリエチレンテレフタレート製フィルムを貼り付けた。得られた皮膚片を37℃に加温したリン酸塩緩衝液7mLが充填されている拡散セルに装着し、1時間水和した後、前記の直径13mmに打ち抜いた各貼付剤を外皮側に貼付した。試験開始後、レセプター液1mLをオートサンプラーで経時的にサンプリングし、同量の試験液を補充した。採取した試験液中の薬物量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC条件1)により定量し、定常状態透過速度を算出した。結果を表2に示した。
検出器:紫外吸光光度計
検出波長:268nm
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのオクタデシルシリル化シリカゲルカラム(5μm)。
カラム温度:40℃
移動相:pH3.5に調整した80mM酢酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル/2−プロパノール=65/30/5
実施例1、2及び比較例1、2の貼付剤包装品を60℃に設定した恒温槽内で1箇月間保存した。
保存前及び保存後の貼付剤(粘着剤層約20mg)中の成分をメタノール(20mL)で抽出した。抽出液について前記高速液体クロマトグラフィー(HPLC条件1)で測定し、貼付剤中のトリクロルメチアジド(保持時間約4分のピーク)を定量し、保存の前後におけるトリクロルメチアジド含量の変化を含量残存率として表3に示した。
また、抽出液について高速液体クロマトグラフィー(HPLC分析条件2)で測定し、加水分解生成物(保持時間約4分のピーク)及び不純物I(保持時間約37分のピーク)の生成量を、検出され
たピークの総面積に対する割合として表3に示した。
検出器:紫外吸光光度計
検出波長:268nm
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのオクタデシルシリル化シリカゲルカラム(5μm)。
カラム温度:40℃
移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸溶液
移動相B:アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を表1に従って変えて濃度勾配制御する。
更に、表3に示すように、包装袋内の相対湿度が60℃において1.5%〜20%の範囲であった本発明の実施例1及び2の貼付剤包装品では、含量残存率80%以上となり、貯蔵安定性に優れることが示された。また、実施例1、2の貼付剤は保存後も外観及び物性に変化はなかった。
一方、乾燥剤を封入しなかった比較例1の貼付剤包装品では、保存中の包装袋内の相対湿度が約38%であったため、貼付剤中のトリクロルメチアジドが約40%も減少し、貯蔵安定性が不安定であった。また、乾燥剤としてゼオライトを使用した比較例2の貼付剤包装品では、保存中の包装袋内の相対湿度はほぼ0%を示し、過度の乾燥状態にあったため、加水分解反応物の生成は低く抑えられていたにも拘わらず、不純物Iが生成し、トリクロルメチアジドが約30%も減少し、貯蔵安定性が不安定であった。
Claims (4)
- (A)トリクロルメチアジド、及び(B)ラウリン酸ジエタノールアミドを含む粘着剤層を有する貼付剤を、防湿包装材料が使用された包装袋に封入した貼付剤包装品であって、包装袋内部の相対湿度が60℃において2.0〜19%の範囲にあることを特徴とする貼付剤包装品。
- 前記貼付剤が、支持体を有し、支持体の少なくとも片面に粘着剤層が塗工されている請求項1記載の貼付剤包装品。
- 乾燥剤が包装袋内に封入される請求項1又は2記載の貼付剤包装品。
- 前記乾燥剤は、シリカゲル、塩化カルシウム、アロフェン、硫酸カルシウム及び硫酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項3記載の貼付剤包装品。
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