JP5488483B2 - 気体試料導入装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスクロマトグラフ装置等のガス分析装置に試料ガスを導入するための気体試料導入装置に関する。
気体試料を対象とするガスクロマトグラフ分析においては、分析カラムに供給されるキャリアガスの流れの中に試料ガスを導入するための気体試料導入装置が広く用いられる。こうした気体試料導入装置による試料導入には、流路中に設けられた計量管によって所定量の試料ガスを計量して分析カラムに導入する方式と、流路中に設けられた濃縮装置によって試料ガスを濃縮して分析カラムに導入する方式とがあり、両方式を切り替えて実行することのできる装置も広く用いられている。
図4は、上記のような計量管を利用する試料導入(以下、これを計量モードと呼ぶ)と濃縮装置を利用する試料導入(以下、これを濃縮モードと呼ぶ)とを切り替えて実行する機能を備えた従来の気体試料導入装置の流路構成を示したものである。八方バルブ110は、手動力又は機械力により、図4中に実線で示す接続状態と点線で示す接続状態との二状態を切り替え可能である。SVa〜SVeは電磁弁であり、Ta〜Tcは分岐管である。なお、各電磁弁のNOは通常開(Normal Open)ポート、NCは通常閉(Normal Close)ポート、Cは共通(Common)ポートを意味している。なお、ガス入口162及びマスフローコントローラ150は、試料容器200内の加圧用又は濃縮装置130のドライパージ用のガスを所定の流量で供給するためのものであるが、ここでは詳細は省略する。
まず、図4の装置における計量モード時の動作について説明する。八方バルブ110を点線で示す接続状態にすると共に、電磁弁SVd、SVeをNO側にする(すなわちC側とNO側を接続する)と、ニードル140によって試料容器200から採取された試料ガスは、ポートd、eを経由して計量管120を通過した後、ポートh、a、電磁弁SVd、及び分岐管Taを経由してガス出口172から排出される。なお、このとき図示しないガスボンベ等からガス入口161に供給されるキャリアガスは、電磁弁SVe、ポートf、g、分岐管Tc、及びガス出口171を経由して、分析用のカラムに送られる。
このようにして計量管120の内部に試料ガスを流した状態で、八方バルブ110を図4中に実線で示す接続状態に切り替える。これにより、今度はキャリアガスがポートf、eを経由して計量管120を通過するようになり、計量管120内に保持されていた計量管120の内容積で決まる一定量の試料ガスがキャリアガスに押し出され、ポートh、g、及び分岐管Tcを経由して分析カラムへと送出される。なお、分析カラムに送られた試料ガスは該カラムを通過する過程で成分毎に分離され、該カラムから出て検出器により順次検出される。
続いて、濃縮モード時の動作について説明する。八方バルブ110を実線で示す接続状態にすると共に、電磁弁SVeをNO側に、電磁弁SVcをNC側にすると、ニードル140によって採取された試料ガスは、ポートd、cを経由して濃縮装置130内に設けられた捕集管131を通過した後、電磁弁SVc、分岐管Taを介してガス出口172から排出される。このとき、捕集管131は図示しない冷却手段により冷却されており、試料ガスが捕集管131を通過する過程で該試料ガス中の所定の成分(試料成分)が捕集管131内に吸着される。なお、このときガス入口161から供給されるキャリアガスは、電磁弁SVe、ポートf、e、計量管120、ポートh、g、分岐管Tc、及びガス出口171を経由して分析カラムに流れ込む。
このようにして捕集管131の内部に試料成分を吸着させた後、八方バルブ110を点線で示す接続状態に切り替え、電磁弁SVcをNO側に、電磁弁SVeをNC側に切り替える。すると、キャリアガスが電磁弁SVe、分岐管Tb、電磁弁SVcを経由して捕集管131内を先の試料ガスとは逆の方向に通過するようになる。この状態で、図示しない加熱手段によって捕集管131を急速に加熱すると、捕集管131内に吸着されていた試料成分が一気に脱離するため、高濃度の試料成分がキャリアガス流に乗って捕集管131から流出し、ポートc、b及び分岐管Tcを経て分析カラムに導入されることとなる。このように濃縮モードによれば、もともとの試料ガスに含まれる試料成分が微量であっても、これを濃縮して濃度を高めた上で分析カラムに送り込むことができるので、検出感度が向上するという効果が得られる。
以上のように、従来の計量モードと濃縮モードの切り替え機能を備えた気体試料導入装置では、計量管120と捕集管131が並列に接続され、これらのいずれか一方から送り出された試料ガスが、分析カラムに流れ込むようになっている。また、計量管120に採取されたガスは、その全量が分析カラムに導入されることとなる。
特開平7-103956号公報
ところで、ガスクロマトグラフ分析では、試料ガスから特定の成分を分離除去した上で分析カラムに導入するプレカット法と呼ばれる手法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。プレカット法では、試料ガスを計量管内に採取した後、該計量管と分析カラムの間にプレカラムを介挿して計量管内の試料ガスをプレカラムに導入する。そして、プレカラムから先行して溶出する目的成分(一般に低沸点成分)を分析カラムに導入した後、プレカラムに残った不要な成分(一般に高沸点成分)が分析カラムに導入される前にプレカラムを分析カラムから切り離す。これにより、不要な高沸点成分が分析カラムに導入されるのを阻止することができ、分析時間を短縮することができるほか、分析カラムの温度を上げなくて済むことから分析カラムの寿命を延ばすことができるという利点がある。
しかしながら、このようなプレカット法を、上記従来の計量モードと濃縮モードの切り替え機能を備えた気体試料導入装置で実行するためには、計量管と捕集管に加えて、上記のようなプレカラムやプレカット操作専用の流路切替システムを設ける必要があるため、装置構成が複雑となり、装置の大型化や高コスト化を招来するという問題があった。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、計量モードと濃縮モードとを切り替えて実行可能であって、更に、前記プレカラムやプレカット操作のための専用の流路切換えシステムを設けることなしにプレカット法による試料導入を行うことが可能な気体試料導入装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明に係る気体試料導入装置は、ガス分析装置に試料ガスを導入するための気体試料導入装置であって、
a) 所定の容積を有する計量管と、
b) 前記計量管に試料ガスを導入するための試料ガス供給流路と、
c) 前記計量管にキャリアガスを導入するためのキャリアガス供給流路と、
d) 前記計量管を通過したガスを外部に排出するための排気流路と、
e) 吸着剤が収容された捕集管を備え、加熱脱着法により試料ガスを濃縮する濃縮手段と、
f) 前記計量管が前記試料ガス供給流路と前記排気流路との間に介挿されたロード状態と、前記計量管が前記キャリアガス供給流路と前記ガス分析装置との間に介挿されたインジェクション状態とを切り替える第1流路切替バルブと、
g) 前記ロード状態又はインジェクション状態において、前記試料ガス供給流路と計量管との間又は前記計量管とガス分析装置との間に前記捕集管を介挿した捕集管介挿状態と、該捕集管を介挿しない捕集管短絡状態とを切り替える第2流路切替バルブと、
を有することを特徴としている。
上記構成によれば、計量管と捕集管を直列に接続した状態と並列に接続した状態を切り替えることができ、更に、計量管内に採取した試料をガスクロマトグラフ装置等のガス分析装置に導入する際に、該計量管の下流側に捕集管を接続することができる。そのため、計量管に採取した試料ガスを捕集管内の吸着剤との相互作用によって粗分離した上でガス分析装置に導入することが可能となる。このとき、分析対象成分が捕集管から溶出してガス分析装置に導入された時点で該捕集管をキャリアガスの流路から切り離すことにより、前記分析対象成分より遅れて捕集管から溶出する不要成分をガス分析装置に導入せずに排除(即ちプレカット)することができる。すなわち、本発明は、計量管及び試料濃縮用の捕集管を備えた試料導入装置において、捕集管に上述のプレカラムの機能を兼ねさせるものであり、これにより、プレカラムやプレカット操作専用の流路切替システムを設けることなくプレカット法による試料導入(以下、プレカットモードと呼ぶ)を実行することができる。
上記構成から成る本発明に係る気体試料導入装置においてプレカットモードを実行する際には、第2流路切替バルブを捕集管短絡状態とした上で、第1流路切替バルブをロード状態とする。これにより、試料ガス供給流路から計量管を介して排気流路へと至る流路が形成され、該計量管内が試料ガスで満たされる(つまり、計量管内に試料ガスが採取される)。その後、前記第1流路切替バルブをインジェクション状態に、前記第2流路切替バルブを捕集管介挿状態とする。これにより、キャリアガス供給流路から計量管及び捕集管を経てガス分析装置へと至る流路が形成され、前記計量管内の試料ガスがキャリアガスと共に前記捕集管に導入されて成分分離される。そして、試料ガス中の分析対象成分が前記捕集管から溶出してガス分析装置に導入された後に、分離された成分の一部(分析不要成分)が捕集管内に残留している状態で第2流路切替バルブを捕集管短絡状態に切り替える。これにより、捕集管がキャリアガスの流路から切り離され、不要成分がプレカットされる。
なお、計量モードを実行する際には、第2流路切替バルブを前記の捕集管短絡状態とした上で、まず、第1流路切替バルブをロード状態とする。これにより、試料ガス供給流路から計量管を介して排気流路へと至る流路が形成され、該計量管内を試料ガスが通過する。その後、第1流路切替バルブをインジェクション状態とすれば、今度はキャリアガス供給流路から計量管を介してガス分析装置に至る流路が形成されるため、計量管内を満たしていた試料ガスがこのキャリアガスの流れに乗ってガス分析装置に導入される。
また、濃縮モードを実行する際には、第2流路切替バルブを前記の捕集管介挿状態とした上で、まず、第1流路切替バルブをロード状態とする。これにより、試料ガス供給流路から捕集管を通り、更に計量管を通って排気流路に至る流路が形成される。このとき所定の冷却手段によって捕集管を冷却しておくことにより、捕集管を通過する試料ガス中の所定の成分を捕集管内に吸着させる。なお、冷却手段を設けず、常温で所定成分の吸着を行うものとしてもよい。その後、第1流路切替バルブをインジェクション状態とすると、キャリアガス供給手段から計量管及び捕集管を介してガス分析装置に至る流路が形成される。このとき、所定の加熱手段によって捕集管を急速に昇温することにより、該捕集管内に吸着されている試料成分が脱着され、該試料成分がキャリアガスの流れに乗ってガス分析装置に導入される。
なお、第1流路切替バルブ及び/又は第2流路切替バルブによる流路の切り替え操作はユーザが手動で行うものであってもよく、あるいは、モータ等の駆動手段を利用して、所定のプログラムに従って又はユーザの指示に応じて動作するものであってもよい。
上記本発明に係る気体試料導入装置は、
h) 前記捕集管にパージ用ガスを導入するためのパージガス供給流路と、
i) 前記捕集管を通過したパージ用ガスを外部に排出するためのパージガス排出流路と、
を更に有し、前記第2流路切替バルブが、前記捕集管短絡状態において前記パージガス供給流路とパージガス排出流路との間に前記捕集管を介挿するものとすることが望ましい。
このような構成によれば、試料導入後に、捕集管がキャリアガスの流路(即ちキャリアガス供給流路からガス分析装置に至る流路)から短絡されている状態において、該捕集管内に残留した試料成分をパージ用ガスによって外部に排出することができる。
以上で説明したように、本発明に係る気体試料導入装置によれば、計量管及び試料濃縮用の捕集管を備えた試料導入装置において、前記捕集管に上述のプレカラムの機能を兼ねさせることができる。このため、別途プレカラムやプレカット操作専用の流路切替システムを設けることなくプレカット法による試料導入を行うことが可能となる。
本発明の一実施例による気体試料導入装置を用いたガスクロマトグラフの概略構成図。 本発明の別の実施例による気体試料導入装置を用いたガスクロマトグラフの概略構成図。 本発明の更に別の実施例による気体試料導入装置を用いたガスクロマトグラフの概略構成図。 従来の気体試料導入装置の一例を示す概略構成図。
以下、本発明に係る気体試料導入装置の一実施例について図面を参照して説明する。図1は本実施例の気体試料導入装置を用いたガスクロマトグラフの構成図である。
本実施例に係るガスクロマトグラフは、図1に示すように、大別して試料導入部1、分析部2、及び制御部3から成る。試料導入部1は2つ流路切替バルブ20、30、計量管40、及び試料濃縮ユニット50を含み、分析部2はカラムオーブン92、分析用のカラム91、及び検出器93を含む。
試料導入部1において、第1流路切替バルブ20及び第2流路切替バルブ30は、それぞれポートa〜f又はポートg〜lの6つのポートを有する回転式の6ポート2ポジションバルブであり、制御部3の制御の下に、図1中に実線で示す接続状態又は点線で示す接続状態に択一的に切り替わる。なお、第1流路切替バルブ20において、図1中に実線で示した状態が本発明におけるロード状態に相当し、点線で示した状態がインジェクション状態に相当する。また、第2流路切替バルブ30において、図1中に実線で示した状態が本発明における捕集管短絡状態に相当し、点線で示した状態が捕集管介挿状態に相当する。
第1流路切替バルブ20のポートaには、試料ガスを採取するためのニードル10が接続されており、ニードル10は、その先端が試料容器11の上部空間(ヘッドスペース)に位置するよう配置されている。ポートbには、試料容器11内を加圧するためのガス(加圧用ガス)を導入するためのガス入口61と試料ガスを排出するためのガス出口71とが分岐管T1を介して接続されている。分岐管T1からガス入口61に至る流路上には電磁弁SV2が設けられ、分岐管T1からガス出口71に至る流路上には圧力センサ80及び電磁弁SV1が設けられている。ポートcは所定の容積を有する計量管40を介して第2流路切替バルブ30のポートkに接続されている。ポートdはキャリアガスを導入するためのガス入口63に接続されており、ポートeは分岐管T2を介してカラム91の入口端及びスプリット流路F4と接続されている。スプリット流路F4は、試料ガスの一部をカラム91に送出することなく排出するためのものであり、その末端には試料ガスを排出するためのガス出口72が設けられている。ポートfは第2流路切替バルブ30のポートlと接続されている。
一方、第2流路切替バルブ30のポートgとポートjの間には試料濃縮ユニット50の捕集管51が接続されており、ポートhには電磁弁SV3を介して後述のパージガスを導入するためのガス入口62が、ポートiには前記パージガスを排出するためのガス出口73がそれぞれ接続されている。なお、ここでは試料導入部1はスプリット方式を採っているが、スプリットレス方式でもよいことは当然である。
前記捕集管51としては、中空管の内面に所定の吸着剤を塗布したものや、中空管の内部に所定の吸着剤を充填したものなどを用いることができる。なお、前記所定の吸着剤としては、例えば、活性炭や各種樹脂等を用いることができる。試料濃縮ユニット50はこのような捕集管51に加えて、捕集管51を冷却するための冷却部52及び捕集管51を加熱するための加熱部53を備えている。加熱部53は、例えば捕集管51に接触するように設けられたヒータ等によって構成することができ、冷却部52は、例えば捕集管51と接触するように設けられた冷媒管内に所定の冷媒を流通させることで捕集管51を冷却するものや、ペルチェ素子による冷却を行うものなどとすることができる。
上記の試料導入部1において、第1流路切替バルブ20のポートaに接続された流路F1及びポートdに接続された流路F2がそれぞれ本発明における試料ガス供給流路及びキャリアガス供給流路に相当し、ポートbからガス出口71に至る流路F3が本発明における排気流路に相当する。更に、第2流路切替バルブ30のポートhに接続された流路F6が本発明におけるパージガス供給流路に、ポートiに接続された流路F5が本発明におけるパージガス排出流路に相当する。また、分析部2が本発明におけるガス分析装置に相当する。
なお、ガス入口61、62及びガス出口71は図示しない圧力制御部に接続され、該圧力制御部によってガス入口61、62及びガス出口71を介して流れるガスの圧力が制御される。一方、ガス入口63及びガス出口72、73は図示しない流量制御部に制御され、該流量制御部によってガス入口63及びガス出口72、73を介して流れるガスの流量が制御される。なお、前記圧力制御部及び流量制御部は電子制御式のものであっても手動式のものであってもよい。
制御部3は、試料導入部1の電磁弁SV1〜SV3の開閉動作、各流路切替バルブ20、30の切り替え動作、圧力制御部、及び流量制御部等の動作を制御すると共に、分析部2のカラムオーブン92及び検出器93の動作を制御している。制御部3は例えばパーソナルコンピュータにより具現化され、所定の制御プログラムに従って上記各部の動作を制御することにより、試料導入部1による分析部2への試料導入、及び分析部2による試料の分析を実行する。
本実施例に係る試料導入部1は、ヘッドスペース法による試料ガスの導入を行うものである。ヘッドスペース法とは、試料容器11内に収容した液体試料(又は固体試料)を加熱し、揮発した試料成分を容器内の上部空間から採取してカラム91に導入する手法である。また、本実施例に係る試料導入部1は、試料ガス導入時の動作モードとして、計量モード、濃縮モード、及びプレカットモードのいずれかを選択的に実行可能な可能な構成となっている。いずれの動作モードを実行するかはユーザによって予め指定される。以下、前記各モードの実行時における試料導入部1の動作について説明する。なお、電磁弁SV1〜3は、特に断らない限り閉鎖されているものとする。
1.計量モード
計量モードは、計量管40によって試料ガスを計量してからその全量を分析カラム91に導入するモードである。この計量モードの実行時には、常時、第2流路切替バルブ30を実線で示す接続状態とすることにより、捕集管51を試料ガス及びキャリアガスの流路から短絡した状態で下記一連の動作を行う。
(i)加圧工程
はじめに、第1流路切替バルブ20を実線で示す接続状態にした上で、試料容器11を図示しない加熱手段によって所定の温度に加熱して気液平衡状態とする。その後、電磁弁SV2を開放し、ガス入口61から加圧用ガスを導入することによって試料容器11の内部を加圧する。
(ii)計量管への試料ガス導入工程
続いて、電磁弁SV2を閉鎖して電磁弁SV1を開放すると、試料容器11内で気化した試料成分を含むガス(試料ガス)がニードル10から流路F1に流入し、第1流路切替バルブ20及び第2流路切替バルブ30を経て計量管40に流入する。このとき計量管40に流入したガスの一部は、第1流路切替バルブ20、分岐管T1、及び流路F3を経てガス出口71から排出される。なお、上記工程の間、キャリアガスはガス入口63から流路F2→第1流路切替バルブ20→分岐管T2の順に通過してカラム91に流れている。
(iii)カラムへの試料ガス送出工程
その後、第1流路切替バルブ20を点線で示す接続状態とすると、ガス入口63から供給されるキャリアガスが、流路F2→第1流路切替バルブ20→計量管40→第2流路切替バルブ30→第1流路切替バルブ20→分岐管T2の順に通過してカラム91へと流れるようになる。これにより、計量管40に保持されていた所定量の試料ガスがキャリアガスの流れと共にカラム91に導入される。なお、このとき第1流路切替バルブ20のポートeから流れ出して分岐管T2に至ったキャリアガス及び試料ガスの一部は、所定のスプリット比でスプリット流路F4に流入してガス出口72から排出される。
2.濃縮モード
次に、濃縮モード実行時の動作について説明する。濃縮モードは、試料濃縮ユニット50によって試料ガスを濃縮した上でカラム91に導入するモードである。
(i)加圧工程
まず、第1流路切替バルブ20及び第2流路切替バルブ30を実線で示す接続状態にした上で電磁弁SV2を開放し、上記計測モード時と同様にして試料容器11の加熱及び加圧を行う。
(ii)試料成分吸着工程
その後、電磁弁SV2を閉鎖し、第2流路切替バルブ30を点線で示す接続状態に切り替えると共に電磁弁SV1を開放する。これにより、試料容器11内の試料ガスがニードル10→流路F1→第1流路切替バルブ20→第2流路切替バルブ30の順に通過して捕集管51に流入する。このとき、捕集管51は冷却部52によって所定の温度に冷却されており、試料ガスが捕集管51を通過する過程で試料成分が捕集管51の内部に吸着される。なお、試料成分が吸着された後の試料ガスは、第2流路切替バルブ30→計量管40→第1流路切替バルブ20→分岐管T1→流路F3の順に流れてガス出口71から排出される。
(iii)ドライパージ工程
上記の試料成分吸着工程では、分析対象とする試料成分と共に試料ガス中の水分も捕集管51内に吸着してしまうため、その水分が分析時にカラム91へと送り込まれないよう、予め水分除去の処理(ドライパージ)を行う必要がある。このドライパージ工程では、第2流路切替バルブ30を実線で示す接続状態に切り替えると共に電磁弁SV3を開放することで、ガス入口62から捕集管51を通過してガス出口73に至る流路を形成する。これにより、該流路中を乾燥ヘリウムガス等のパージガスが通過し、該パージガスと共に捕集管51内の水分がガス出口73から排出される。
(iv)試料成分の脱着及びカラムへの送出工程
続いて、第1流路切替バルブ20及び第2流路切替バルブ30を点線で示す接続状態に切り替えると共に、加熱部53によって所定のタイミングで捕集管51を急速に加熱して試料成分を捕集管51から脱着させる。これにより、ガス入口63から供給されるキャリアガスが流路F2→第1流路切替バルブ20→計量管40→第2流路切替バルブ30→捕集管51と通過した後、第2流路切替バルブ30→第1流路切替バルブ20→分岐管T2を経てカラム91に流れ込むようになり、前記の加熱部53による加熱により捕集管51から脱着した試料成分が該キャリアガスと共にカラム91に導入される。
3.プレカットモード
続いて、プレカットモード実行時の動作について説明する。本実施例におけるプレカットモードは、計量管40内に採取した試料ガスを捕集管51で粗分離し、その一部をカラム91に導入するモードである。
(i)加圧工程
まず、第1流路切替バルブ20及び第2流路切替バルブ30を実線で示す接続状態にした上で電磁弁SV2を開放し、上記計測モード時と同様にして試料容器11の加熱及び加圧を行う。
(ii)計量管への試料ガス導入工程
続いて、上記計量モード時と同様に、電磁弁SV2を閉鎖して電磁弁SV1を開放することにより、試料容器11内で気化した試料ガスを計量管40に流入させる。
(iii)カラムへの試料ガス送出工程
次に、第1流路切替バルブ20及び第2流路切替バルブ30を点線で示す接続状態に切り替えると、ガス入口63から供給されるキャリアガスが流路F2→第1流路切替バルブ20→計量管40→第2流路切替バルブ30→捕集管51と通過し、更に、第2流路切替バルブ30→第1流路切替バルブ20→分岐管T2を経てカラム91に流れ込むようになる。このキャリアガスの流れにより、計量管40内に満たされていた試料ガスが押し流され、捕集管51に流入する。このとき、捕集管51の温度は室温(すなわち、冷却部52による冷却も加熱部53による加熱も行われていない状態)となっており、該捕集管51に導入された試料ガス中の各種成分は、捕集管51内部の吸着剤との相互作用によって成分毎に分離される。このようにして分離された試料成分は、沸点が低い順に捕集管51から溶出し、キャリアガスと共にカラム91に導入される。
(iv)プレカット工程
その後、予め設定された所定の時間(以下「プレカット時間」と呼ぶ)が経過した時点で、第1流路切替バルブ20及び第2流路切替バルブ30を実線で示す状態に切り替える。これにより、計量管40及び捕集管51がキャリアガスの流路から短絡され、キャリアガスは、ガス入口63から流路F2→第1流路切替バルブ20→分岐管T2を経てカラム91へと流れるようになる。このため、この時点で捕集管51内部に残留している成分は、カラム91に導入されることなくキャリアガスの流路から閉め出されることとなる。従って、試料ガス中の目的成分がカラム91に導入される時刻を予め予備実験等によって求めておき、該時刻以降の適当なタイミングでプレカットが行われるように前記プレカット時間を設定しておくことにより、目的成分を含む低沸点成分のみをカラム91に導入して、不要な高沸点成分はカットすることができる。
こうしたプレカットモードでは、目的成分と不要な高沸点成分が十分に分離し、且つできるだけ短時間で試料導入が完了するように各種条件(プレカット時間やキャリアガスの流量等)を設定することが望ましい。なお、上記の例では捕集管51を室温とした状態で該捕集管51による成分分離を行うものとしたが、冷却部52及び加熱部53によって捕集管51を所定の温度に調節した上で該捕集管51による成分分離を行うものとしてもよい。これにより、一層適切な条件設定を行うことが可能となる。また、冷却部52及び加熱部53は試料濃縮ユニット50に従来設けられているものであるため、新たな部品を追加する必要はない。
(v)パージ工程
上記のプレカット工程を行った後、次の試料を導入するまでの間に捕集管51をパージし、該捕集管51に残留した高沸点成分を系外に排出する。このパージ工程では、第1流路切替バルブ20及び第2流路切替バルブ30を実線で示す接続状態としたままの状態で、電磁弁SV3を開放し、更に、加熱部53によって捕集管51を加熱することにより該捕集管51から高沸点成分を脱着させる。これにより、ガス入口62から供給されるヘリウムガス等のパージガスが電磁弁SV3を経て、第2流路切替バルブ30→捕集管51→第2流路切替バルブ30→ガス出口73の順に流れるようになり、前記加熱部53による加熱によって捕集管51から脱着した高沸点成分が該パージガスと共にガス出口73から系外に排出される。
以上、実施例を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で適宜変更が許容されるものである。例えば、上記の実施例ではヘッドスペース法による試料ガスの導入を行うものとしたが、試料の導入方法はこれに限定されるものではなく種々の方式を採用することができる。図2、3に他の試料導入方式による気体試料導入装置を備えたガスクロマトグラフの構成例を示す。
図2は、試料液体にパージガスを吹き込むことで水中の揮発性有機化合物やカビ臭等を強制的に追い出して採取する方式のものである。この例では、分岐管T1が無く、ガス入口61に接続された流路の他端が試料容器11内に挿入されている。それ以外の構成は上記実施例と同様である。このような構成から成る試料導入装置では、計量モード、濃縮モード、及びプレカットモードのいずれにおいても、上述の「(i)加圧工程」において試料液体のバブリング(通気処理)を行う。具体的には、第1流路切替バルブ20を図2中の実線で示す接続状態にすると共に電磁弁SV2を開放することで、ガス入口61から加圧用ガスを導入して試料液体に通気する。これによって該液体中の揮発性有機化合物等が試料容器11の上部空間へと追い出されると共に、試料容器11内が加圧される。以降の動作については上記実施例と同様である。
また、図3は試料ガスをポンプで吸引して採取する方式のものである。同図の装置は、試料容器を加圧するための流路(図1中のガス入口61から分岐管T1に至る流路)を有しない点、及び電磁弁SV1とガス出口71の間に試料ガスを吸引するためのポンプ82と該吸引時の流量を制御するためのマスフローコントローラ81を有している点以外は上記実施例と同様の構成となっている。このような構成から成る試料導入装置において計量モード又はプレカットモードを実行する際には、上述の「(i)加圧工程」を行うことなく「(ii)計量管への試料ガス導入工程」を行う。その際、第1流路切替バルブ20及び第2流路切替バルブ30を図3中の実線で示す接続状態とした上で、電磁弁SV1を開放し、ポンプ82を駆動する。これにより、第1流路切替バルブ20のポートaに接続された流路F1を介してサンプルバッグ等の試料容器(図示略)に収容された試料ガスが吸引され、計量管40を通過してガス出口71から排出される。また、濃縮モードを実行する際には、上述の「(i)加圧工程」は行わずに「(ii)試料成分吸着工程」を行う。その際、第1流路切替バルブ20を図3中の実線で示す接続状態に、第2流路切替バルブ30を点線で示す接続状態にした上で、電磁弁SV1を開放し、ポンプ82を駆動する。これにより、第1流路切替バルブ20のポートaに接続された流路F1を介してサンプルバッグ等の試料容器に収容された試料ガスが吸引され、捕集管51及び計量管40を通過してガス出口71から排出される。その他の動作については上記実施例と同様である。
1…試料導入部
2…分析部
3…制御部
SV1〜3…電磁弁
T1、T2…分岐管
10…ニードル
11…試料容器
20…第1流路切替バルブ
30…第2流路切替バルブ
40…計量管
50…試料濃縮ユニット
51…捕集管
52…冷却部
53…加熱部
61、62、63…ガス入口
71、72、73…ガス出口
91…カラム
92…カラムオーブン
93…検出器

Claims (2)

  1. ガス分析装置に試料ガスを導入するための気体試料導入装置であって、
    a) 所定の容積を有する計量管と、
    b) 前記計量管に試料ガスを導入するための試料ガス供給流路と、
    c) 前記計量管にキャリアガスを導入するためのキャリアガス供給流路と、
    d) 前記計量管を通過したガスを外部に排出するための排気流路と、
    e) 吸着剤が収容された捕集管を備え、加熱脱着法により試料ガスを濃縮する濃縮手段と、
    f) 前記計量管が前記試料ガス供給流路と前記排気流路との間に介挿されたロード状態と、前記計量管が前記キャリアガス供給流路と前記ガス分析装置との間に介挿されたインジェクション状態とを切り替える第1流路切替バルブと、
    g) 前記ロード状態又はインジェクション状態において、前記試料ガス供給流路と計量管との間又は前記計量管とガス分析装置との間に前記捕集管を介挿した捕集管介挿状態と、該捕集管を介挿しない捕集管短絡状態とを切り替える第2流路切替バルブと、
    を有することを特徴とする気体試料導入装置。
  2. h) 前記捕集管にパージ用ガスを導入するためのパージガス供給流路と、
    i) 前記捕集管を通過したパージ用ガスを外部に排出するためのパージガス排出流路と、
    を更に有し、前記第2流路切替バルブが、前記捕集管短絡状態において前記パージガス供給流路とパージガス排出流路との間に前記捕集管を介挿するものであることを特徴とする請求項1に記載の気体試料導入装置。
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