JP5487978B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関の制御装置に関するものであり、詳しくは、燃料噴射弁から気筒内に直接噴射される燃料と空気との混合気に対して点火を行う内燃機関の制御装置に関するものである。
従来、気筒内に燃料を直接噴射する筒内噴射式の内燃機関が知られている。この筒内噴射式の内燃機関では、主に吸気行程で燃料噴射することにより燃料と空気との均一な混合気を形成して燃焼を行わせる均質燃焼と、圧縮行程で燃料噴射することにより燃料の濃い層と薄い層とを形成して燃焼を行わせる成層燃焼とが内燃機関の運転状態等に応じて実施される。また、燃焼形態に応じて、点火装置による点火のエネルギを変更することが行われている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1には、種々の成層燃焼方式ごとに異なる点火エネルギを与えることが開示されている。具体的には、燃料噴射時期から点火時期までの間隔が所定値よりも短い成層燃焼と、該間隔が所定値よりも長い成層燃焼とを行う内燃機関において、その間隔が所定値よりも小さい場合に、所定値よりも大きい場合に比べて点火エネルギを増大させる。つまり、燃料噴射時期から点火時期までの間隔が短く、点火プラグ周辺の混合気がリッチになりやすい状況下では点火エネルギを増大させることにより、点火のくすぶりや失火が抑制されるようにしている。
特開2006−46276号公報
ところで、筒内噴射式の内燃機関における燃料噴射方式としては種々のものがあり、例えば、上記特許文献1のように1燃焼サイクルごとに燃料噴射を1回行うもののほか、1燃焼サイクルごとに燃料噴射を複数回(例えば2回)行うものがある。ところが、上記特許文献1では、燃料噴射を複数回行う場合の点火エネルギの増大については検討されていない。
ここで、1燃焼サイクルごとに燃料噴射を1回行う構成では、その1回の噴射燃料によって内燃機関の燃焼が行われる。したがって、その1回の噴射燃料における気筒内での状態、すなわち均質状態か成層状態かを考慮して点火エネルギを考慮すればよい。一方、1燃焼サイクルで燃料噴射を複数回行う構成では、各噴射回のタイミング及びそのタイミングごとの燃料噴射量が内燃機関の運転状態等に応じて都度異なる。そのため、各噴射回の噴射の実施状況に応じて、点火タイミングでの気筒内の燃料の状態が相違すると考えられる。したがって、1燃焼サイクルごとに燃料噴射を複数回行う場合に、燃料噴射を1回行う場合と同じ態様で点火エネルギを制御すると、燃料噴射を複数回行う場合において点火エネルギの過不足が生じることがあると考えられる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、筒内噴射式の内燃機関において1燃焼サイクルごとに燃料噴射を複数回実施する場合の点火制御を適正に実施することができる内燃機関の制御装置を提供することを主たる目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
本発明は、燃料を直接気筒内に噴射する燃料噴射弁を備え、1燃焼サイクルごとに前記燃料噴射弁により各々異なるタイミングで複数回噴射された燃料と空気との混合気に対し点火装置による点火が行われることにより燃焼が行われる筒内噴射式の内燃機関に適用される制御装置に関するものである。第1の構成は、前記複数回の燃料噴射について各噴射回の燃料噴射量をそれぞれ算出する燃料量算出手段と、前記燃料量算出手段により算出した各噴射回の燃料噴射量に基づいて前記点火装置による点火のエネルギを制御する点火制御手段と、を備えることを特徴とする。
1燃焼サイクルごとに各々異なるタイミングで複数回の燃料噴射が行われる場合、各回の燃料噴射がいずれのタイミングで実施されるかに応じて、点火タイミングにおける気筒内の燃料均質度が相違する。すなわち、先に噴射された燃料と後に噴射された燃料とを比べると、気筒内において燃料の均質化の程度に差異が生じ、先に噴射された燃料の方が均質状態になりやすいと考えられる。また、このとき、先行する燃料噴射の燃料が多いほど、点火タイミングにおける気筒内の燃料均質度が大きくなる。かかる場合、点火タイミングにおける気筒内の燃料均質度によっては点火エネルギの過不足が生じることとなる。その点、本発明では、各噴射回の燃料噴射量に基づいて都度の点火エネルギを設定するため、点火タイミングにおける気筒内の燃料均質度が相違することを考慮しつつ適正な点火制御を実現することができる。
点火タイミングにおける気筒内の燃料均質度は、前段噴射と後段噴射との燃料量の大小関係(差や比率など)に大きく依存する。この点、第2の構成によれば、前記前段噴射と前記後段噴射との燃料噴射量の大小関係に基づいて前記点火のエネルギを制御するため、前段噴射と後段噴射との燃料噴射量の大小関係を考慮しつつ点火エネルギを制御することができる。
前段噴射と後段噴射との燃料噴射量の大小関係に基づいて点火制御を行う場合、好ましくは第3の構成のように、前記前段噴射として吸気行程で燃料噴射を行う第1燃料噴射と、前記後段噴射として圧縮行程で燃料噴射を行う第2燃料噴射とを実施する装置において、前記第1燃料噴射の燃料噴射量と前記第2燃料噴射の燃料噴射量とを算出し、前記第1燃料噴射の燃料噴射量と前記第2燃料噴射の燃料噴射量との大小関係に基づいて前記点火のエネルギを制御するものとする。気筒内に噴射された燃料のうち、吸気行程噴射による均質分と圧縮行程噴射による成層分との大小関係に応じて、点火タイミングにおける燃料均質度の相違の程度が吸気行程噴射を複数回行う場合に比べて大きくなるからである。
前段噴射及び後段噴射の燃料噴射量の比率は都度の運転状態に応じて変化する。したがって、第4の構成のように、前記前段噴射と前記後段噴射とにおける燃料噴射量の比率を前記内燃機関の運転状態に基づいて算出する手段を備え、都度算出した比率に基づいて点火のエネルギを制御するとよい。また、前記後段噴射に対する前記前段噴射の燃料噴射量の比率が大きいほど前記点火のエネルギを大きくするとよい。こうすることにより、気筒内の燃料均質度が大きい場合において点火エネルギが不足するのを好適に抑制することができる。
前段噴射と後段噴射との燃料噴射量の大小関係から気筒内の燃料均質度が大きいと判断される場合であっても、後段噴射の燃料噴射量が十分に確保されている場合には、後段噴射による噴射燃料が気筒内において成層状態になりやすいと考えられる。この場合、前段噴射と後段噴射との燃料噴射量の大小関係に基づき点火エネルギを設定しなくても、その成層状態の燃料により混合気の着火を確実に実施できると考えられる。したがって、第5の構成のように、前記後段噴射の燃料噴射量が所定値よりも大きい場合に、前記前段噴射の燃料噴射量と前記後段噴射の燃料噴射量との大小関係に基づく前記点火のエネルギ制御を実施しないものとするとよい。
気筒内における燃料の均質化の程度は、各噴射回における燃料噴射量だけでなく、各噴射回の噴射時期から点火時期までの間隔に応じて差異が生じると考えられる。例えば、各噴射回の燃料噴射量に基づき気筒内の燃料均質度が比較的小さいと判断される場合であっても、実際には燃料均質度が比較的大きいことがあると考えられる。その点に鑑み、第6の構成では、前記複数回の燃料噴射について各噴射回の噴射時期をそれぞれ設定する噴射時期設定手段を備え、該噴射時期設定手段により設定した各噴射回の噴射時期に基づいて前記点火のエネルギを制御する。こうすることにより、点火タイミングにおける気筒内の燃料均質度が相違することを考慮しつつ適正な点火制御を実現するといった効果を好適に実現することができる。
噴射時期に基づいて点火エネルギを設定する構成において、具体的には第7の構成のように、前記複数回の燃料噴射のうち先に実施される燃料噴射における噴射時期から前記点火装置による点火時期までの間隔が大きいほど前記点火のエネルギを大きくする。噴射時期と点火時期との間隔が大きいほど、気筒内の燃料の拡散時間が長くなることにより気筒内における燃料の均質度合いが大きくなりやすいと考えられるからである。
エンジン制御システムの全体概略を示す構成図。 吸気行程噴射及び圧縮行程噴射の燃焼噴射時期を示すタイムチャート。 エンジン運転状態と噴射モードとの関係の一例を示す図。 燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャート。 点火制御の処理手順を示すフローチャート。 分割噴射における分割比SRを算出するためのサブルーチン。 エンジン回転速度と点火エネルギとの関係を示す図。 分割噴射での点火エネルギを説明するためのタイムチャート。 第2の実施形態における点火制御の処理手順を示すフローチャート。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施の形態は、内燃機関である筒内噴射式の車載多気筒4サイクルガソリンエンジンを対象にエンジン制御システムを構築するものとしている。当該制御システムにおいては、電子制御ユニット(以下、ECUという)を中枢として燃料噴射量の制御や点火時期の制御等を実施する。このエンジン制御システムの全体概略構成図を図1に示す。
図1に示すエンジン10において、吸気管11の最上流部にはエアクリーナ12が設けられ、エアクリーナ12の下流側には吸入空気量を検出するためのエアフロメータ13が設けられている。エアフロメータ13の下流側には、DCモータ等のスロットルアクチュエータ15によって開度調節されるスロットルバルブ14が設けられている。スロットルバルブ14の開度(スロットル開度)は、スロットルアクチュエータ15に内蔵されたスロットル開度センサにより検出される。スロットルバルブ14の下流側にはサージタンク16が設けられ、このサージタンク16には、吸気管内圧力を検出するための吸気管内圧力センサ17が設けられている。また、サージタンク16には、エンジン10の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド18が接続されており、吸気マニホールド18において各気筒の吸気ポートに接続されている。
エンジン10の吸気ポート及び排気ポートには、それぞれ吸気バルブ21及び排気バルブ22が設けられている。この吸気バルブ21の開動作によりサージタンク16内の空気が燃焼室23内に導入され、排気バルブ22の開動作により燃焼後の排ガスが排気管24に排出される。
エンジンの各気筒の上部には、燃焼室23内に燃料を直接供給する燃料噴射弁19が取り付けられている。燃料噴射弁19は、燃料配管25を介して燃料タンク(図示略)に接続されている。燃料タンク内の燃料は、図示しない電磁駆動式の低圧用ポンプにより汲み上げられた後、機械駆動式の高圧用ポンプ26により加圧される。この高圧燃料は、高圧用ポンプ26からデリバリパイプ27に圧送され、デリバリパイプ27から各気筒の燃料噴射弁19に供給される。その後、燃料噴射弁19により燃焼室23内に噴射される。
また、エンジン10のシリンダヘッドには点火プラグ28が取り付けられている。点火プラグ28には、一次コイル及び二次コイルからなる点火コイル29と、点火装置としてのイグナイタ31とが接続されている。点火プラグ28では、イグナイタ31におけるパワートランジスタ32のスイッチング制御により、所望とする点火タイミングにて火花放電が発生される。より具体的には、イグナイタ31におけるパワートランジスタ32のスイッチがオンからオフに切り替えられることにより、点火コイル29で増幅された高電圧がその切替タイミングにおいて点火プラグ28に印加される。これにより、各点火プラグ28の対向電極間に火花放電が発生し、燃焼室23内に導入された混合気が着火され燃焼に供される。
排気管24には、排ガス中のCO,HC,NOx等を浄化するための三元触媒等の触媒33が設けられている。また、触媒33の上流側には、排ガスを検出対象として混合気の空燃比(酸素濃度)を検出するためのO2センサ34が設けられている。
その他、エンジン10には、冷却水温を検出する冷却水温センサ35や、エンジンの所定クランク角毎に(例えば10°CA周期で)矩形状のクランク角信号を出力するクランク角度センサ36などが取り付けられている。
ECU40は、周知の通りCPU、ROM、RAM等よりなるマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)41を主体として構成され、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、都度のエンジン運転状態に応じてエンジン10の各種制御を実施する。すなわち、ECU40のマイコン41は、前述した各種センサなどから各々検出信号を入力し、それらの各種検出信号に基づいて燃料噴射量や点火時期等を演算して燃料噴射弁19やイグナイタ31の駆動を制御する。
点火制御についてマイコン41は、都度のエンジン回転速度やエンジン負荷等に基づいて最適な点火時期を算出し、その点火時期に基づいて点火コイル29の一次コイルへ流す電流(一次電流)の流し始めと流し終わりとを決定して点火信号(IGT信号)としてイグナイタ31に出力する。なお、一次電流の流し終わりのタイミングが点火時期(点火タイミング)に相当する。イグナイタ31に点火信号が入力されると、その点火信号に同期してパワートランジスタ32がON/OFFされ、そのオフタイミングにて点火コイル29に高電圧が発生する。この高電圧により点火プラグ28にて火花が発生し、混合気が着火される。
点火時期について具体的には、都度のエンジン回転速度やエンジン負荷に応じて設定される基本進角度に対し、暖機進角特性やノック補正進角等の各種の補正進角度を加えることにより算出する。例えば、エンジン10の冷間始動時では、触媒33の暖機を促進すべく点火時期を遅角側(例えば圧縮上死点後30°CA)に設定する。また、ノッキングが発生した場合には、ノッキングが発生しなくなるまで点火時期を遅角側に変更する。このように、点火時期は、都度のエンジン運転状態に応じて可変に設定される。
また、燃料噴射制御についてマイコン41は、エンジン10の運転状態に応じて燃料の噴射時期(噴射タイミング)及びその噴射タイミングでの燃料噴射量を算出している。燃料噴射量について具体的には、例えば吸入空気量とエンジン回転速度とから燃焼ごとの筒内充填空気量を算出し、その算出した筒内充填空気量に見合う燃料噴射量を算出する。そして、その燃料噴射量に対応する噴射時間だけ燃料噴射弁19を開弁する。
エンジン10の燃焼形態として本実施形態では、吸気行程で燃料噴射を行う吸気行程噴射により燃焼室23内で燃料と空気とを均一に混合し空燃比が均一な(例えば理論空燃比の)混合気に対して点火を行う均質燃焼と、圧縮行程で燃料噴射を行う圧縮行程噴射により燃焼室23内の全体としては空燃比リーンでありながら点火プラグ28近傍を部分的に空燃比リッチにして点火を行う成層燃焼とをエンジン運転状態に応じて使い分けている。すなわち、都度のエンジン運転状態に応じて燃料の噴射モードを切り替えている。
ここで、吸気行程噴射及び圧縮行程噴射の燃料噴射時期について図2のタイムチャートを用いて説明する。図2において、吸気バルブ21は、吸気行程直前の排気行程で開弁され、吸気行程直後の圧縮行程で閉弁される。吸気行程噴射は、吸気バルブ21が開弁している期間、具体的には吸気行程及び圧縮行程前半の期間内においてエンジン運転状態等に応じて決定される最適期間で実施される。一方、圧縮行程噴射は、吸気行程後半及び圧縮行程の期間内においてエンジン運転状態等に応じて決定される最適期間、例えば吸気バルブ21の閉弁後に実施される。
また特に、本実施形態では、都度のエンジン運転状態に応じて、1燃焼サイクル(吸気行程→圧縮行程→膨張行程→排気行程)ごとに燃料噴射を1回行う1回噴射モードと、1燃焼サイクルごとに各々異なるタイミングで燃料噴射を複数回(本実施形態では2回)行う分割噴射モードとを切り替えている。分割噴射として本実施形態では、吸気行程で燃料噴射を2回行う吸気−吸気噴射モードと、吸気行程と圧縮行程とにそれぞれ1回ずつ燃料噴射を行う吸気−圧縮噴射モードとを有している。分割噴射によれば、1回目の噴射燃料の気化潜熱による吸気冷却効果により吸気の充填効率が向上され、これにより高出力を得ることが可能になる。
図3は、各エンジン運転状態における噴射モードの一例を示す図である。図3中、(a)はエンジン水温と噴射モードとの関係を示す図であり、(b)はエンジン回転速度Neとエンジン負荷と噴射モードとの関係を示す図である。
図3(a)に示すように、エンジン水温が所定温度TW1(例えば80℃)以下では、触媒暖機性能を向上させるべく、1燃焼サイクルにおいて圧縮行程噴射が1回実施されるか又は吸気−圧縮噴射モードにより2回の燃料噴射が実施される。一方、エンジン水温が所定温度TW1よりも高い場合には、図3(b)に示すNe−負荷マップに基づき噴射モードが決定される。
また、図3(b)に示すように、エンジン水温が所定温度TW1よりも高い場合、低回転又は低負荷領域では1燃焼サイクルにおいて吸気行程噴射が1回実施され、高回転かつ高負荷領域では1燃焼サイクルにおいて吸気−吸気噴射モードにより2回の燃料噴射が実施される。
分割噴射における各噴射回の噴射タイミング及び燃料噴射量は、都度のエンジン運転状態に応じて設定される。換言すれば、同じモードであっても、吸気行程又は圧縮行程で実施される各噴射回の噴射タイミング及びその噴射タイミングでの燃料噴射量はエンジン運転状態に応じて都度異なる。
分割噴射における各噴射回の燃料噴射量について詳しくは、マイコン41は、まず、1燃焼サイクルごとの筒内充填空気量Qtlを算出し、その算出した筒内充填空気量Qtlに見合う燃料噴射量を算出する。そして、1回目の燃料噴射(先噴射)による燃料量と、2回目の燃料噴射(後噴射)による燃料量との合計である総噴射量が、筒内充填空気量Qtlに基づき算出した燃料噴射量となるよう1回目及び2回目の燃料噴射量を設定する。1回目の燃料噴射量(先噴射量F1)と2回目の燃料噴射量(後噴射量F2)との振り分けについて本実施形態では、都度のエンジン運転状態に基づいて先噴射量F1と後噴射量F2との比率を分割比SRとして算出し、その算出した分割比SRに基づいて、1燃焼サイクルごとの筒内充填空気量Qtlに基づき算出した燃料噴射量である総噴射量を1回目の燃料噴射と2回目の燃料噴射とに振り分ける。分割比SRとして本実施形態では、総噴射量(F1+F2=Fal)を1とした場合の先噴射量F1の割合を分割比SRとする。つまり、先噴射量F1及び後噴射量F2は、それぞれ下記の式(1)及び(2)で表される。
F1=SR・Fal …(1)
F2=(1−SR)・Fal …(2)
ところで、分割噴射では、複数回の燃料噴射がいずれのタイミングで実施されるかに応じて点火タイミングにおける燃焼室23内の燃料の均質化の程度が相違すると考えられる。すなわち、分割噴射の場合、複数回の燃料噴射が1燃焼サイクル内のそれぞれ異なるタイミングで実施され、1燃焼サイクルにおいて先の噴射の方が後の噴射よりも点火タイミングまでの時間が長い。よって、先の噴射による燃料は、後の噴射による燃料よりも燃料の拡散時間が長く、燃焼室23内で均質状態になりやすいと言える。また、この傾向は先に噴射された燃料量に応じて異なり、先に噴射された燃料が多いほど点火タイミングにおいて燃焼室23内の燃料均質度が大きくなると考えられる。このとき、燃焼室23内の燃料均質度が大きければ、それに合わせて点火プラグ28周りの燃料が希薄になり、その結果、混合気の着火性が低下することが考えられる。
そこで、本実施形態では、吸気−圧縮噴射モード又は吸気−吸気噴射モードにより分割噴射を行う場合、各噴射回の燃料噴射量に基づいて点火装置による点火のエネルギを制御することとしている。具体的には、複数回の燃料噴射のうち前段の前段噴射の燃料量と後段の後段噴射の燃料量との大小を比較し、その大小関係に基づいて点火エネルギを設定する。より詳細には、本実施形態では分割噴射として2回の燃料噴射を実施することとしており、そのうち1回目の燃料噴射である先の噴射(前段噴射)と2回目の燃料噴射である後の噴射(後段噴射)との燃料噴射量の大小を比較する。その比較の結果、1燃焼サイクルにおいて、先の噴射の燃料量(先噴射量F1)の比率が後の噴射の燃料量(後噴射量F2)の比率よりも大きい場合に、後噴射量F2の比率の方が大きい場合に比べて点火エネルギが大きくなるようにしている。
また特に、本実施形態では、後噴射量F2が所定値よりも大きい場合には、先噴射量F1の比率の方が大きいときであっても点火エネルギの増大を実施しないこととしている。後の噴射において比較的十分な量の燃料量が確保されている場合には、点火プラグ28周りにおいて燃料が比較的濃い状態で存在していると考えられる。したがって、燃焼室23内の混合気の着火を確実に実施することができ、また混合気の着火ができれば、その後の火炎伝播により混合気の燃焼を適正に実施できるからである。これにより、点火エネルギが過大になるのを回避するとともに、点火によるバッテリの電力消費が抑制されるようにする。
以下に、本実施形態における燃料噴射制御及び点火制御についてフローチャートを用いて説明する。図4は、燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャートであり、図5は、点火制御の処理手順を示すフローチャートである。これらの処理は、ECU40のマイコン41により所定周期毎に実行される。
まず、燃料噴射制御について説明する。図4において、ステップS101では、噴射時期算出フラグfaに値0がセットされているか否かを判定する。噴射時期算出フラグfaは、燃料の噴射タイミングを設定済みであって燃料の噴射前であることを示すフラグであり、噴射タイミングを設定済みかつ燃料噴射前の場合に値1がセットされる。噴射時期算出フラグfaに値0がセットされている場合には、ステップS102へ進み、各種センサに基づき検出されるエンジン運転状態に関するパラメータを取得する。ここでは、エンジン運転状態に関するパラメータとして、クランク角度センサ36に基づき検出されるエンジン回転速度や、エアフロメータ13により検出されるエンジン負荷としての吸入空気量、冷却水温センサ35に基づき検出されるエンジン冷却水温等を取得する。
続くステップS103では、取得したエンジン運転状態に関するパラメータに基づいて、図3に示すマップを用いて燃料噴射弁19の噴射モードを設定する。また、ステップS104では、例えば吸入空気量とエンジン回転速度とに基づいて1燃焼サイクルでの筒内充填空気量を算出し、その算出した筒内充填空気量に相応する燃料噴射量として総噴射量Falを算出する。なお、総噴射量Falは、設定される噴射モードに応じて異なる。
ステップS105では、燃料の噴射モードが分割噴射モードか否かを判定し、分割噴射モードの場合には、ステップS106のサブルーチンにおいて、総噴射量Falを先噴射量F1と後噴射量F2とに振り分けるための分割比SRを算出する。
図6は、分割噴射における分割比SRを算出するためのサブルーチンである。図6において、ステップS301では、基本分割比Srbaseを算出する。基本分割比Srbaseはエンジン運転状態(本実施形態ではエンジン回転速度及びエンジン負荷)に基づいて算出されるものである。本実施形態では、エンジン回転速度とエンジン負荷と基本分割比Srbaseとの関係が例えばテーブルに予め規定されており、そのテーブルを基に都度のエンジン回転速度及びエンジン負荷に対応する基本分割比Srbaseを読み出す。ステップS302では、エンジン冷却水温に基づいて分割比補正係数KSRWを算出する。そして、ステップS303において、基本分割比Srbaseと分割比補正係数KSRWとを積算することにより分割比SRを算出する。
図4の説明に戻り、ステップS107では、算出した総噴射量Fal及び分割比SRを用いて、上記式(1)及び(2)により先噴射量F1及び後噴射量F2を算出する。
一方、燃料の噴射モードが1回噴射モードの場合には、ステップS105で否定判定がされ、ステップS108へ進み、分割比SRとして値1を設定する。この場合、燃料の噴射モードが吸気行程噴射であれば、吸気行程で噴射する燃料量として総噴射量Falが設定され、圧縮行程噴射であれば、圧縮行程で噴射する燃料量として総噴射量Falが設定される。
さて、ステップS109では、エンジン回転速度やエンジン負荷等のエンジン運転状態に基づいて、燃料の噴射開始タイミングを算出する。このとき、噴射モードとして分割噴射モードが設定されている場合には先噴射の噴射開始タイミングと後噴射の噴射開始タイミングとを算出し、1回噴射モードが設定されている場合には1つの噴射開始タイミングを算出する。また、燃料の噴射開始タイミングの算出後、噴射時期算出フラグfaに値1をセットする。
ステップS110では、今現在、噴射開始タイミングであるか否かを判定し、噴射開始タイミングでなければ一旦本ルーチンを終了する。そして、噴射開始タイミングが到来すると、ステップS101で否定判定された後ステップS110で肯定判定され、ステップS111へ進む。ステップS111では、今回の噴射期間で噴射すべき燃料量に相応する噴射時間、燃料噴射弁19を開弁することにより燃料噴射を実施する。その後、噴射時期算出フラグfaを値0にリセットし、本ルーチンを終了する。
次に、本実施形態の特徴部分である点火制御について図5のフローチャートを用いて説明する。図5において、まずステップS201では、エンジン回転速度やエンジン冷却水温、図示しないバッテリの状態(バッテリ電圧)等のエンジン運転状態に関するパラメータを取得し、ステップS202において、その取得したパラメータに基づいて点火タイミングを算出する。このとき、例えばエンジン冷間始動時であれば、暖機完了後に比べて点火タイミングを遅角側に設定する。
ステップS203では、上記図4の燃料噴射制御において燃料の噴射モードとして分割噴射モードが設定されているか否かを判定し、分割噴射モードが設定されていない、すなわち1回噴射モードが設定されている場合には、ステップS204において基本エネルギ設定用テーブルTBL1を用いて点火エネルギを算出する。基本エネルギ設定用テーブルTBL1について詳しくは、エンジン運転状態に関するパラメータ(本実施形態ではエンジン回転速度及びバッテリ電圧)と点火エネルギとの関係を予め規定してROM等に記憶したものである。本実施形態では、基本エネルギ設定用テーブルTBL1を用いて今現在のエンジン回転速度及びバッテリ電圧に対応する点火エネルギを読み出すことにより、1回噴射モード時における点火エネルギを算出する。
なお、基本エネルギ設定用テーブルTBL1では、エンジン回転速度が大きいほど又はバッテリ電圧が低いほど、点火エネルギが小さくなっている。また、基本エネルギ設定用テーブルTBL1として噴射モードごとに異なるテーブルが記憶してある場合、ここでは1回噴射用(吸気行程噴射用又は圧縮行程噴射用)のテーブルを用いて点火エネルギを設定する。
一方、燃料の噴射モードとして分割噴射モードが設定されている場合にはステップS203で肯定判定され、ステップS205へ進む。ステップS205では、後噴射量F2が判定値FTHよりも大きいか否かを判定する。ここで、判定値FTHは、後噴射による噴射燃料によって燃焼室23内の混合気の着火を確実に実施可能な量として予め設定した値である。なお、判定値FTHは、吸気−吸気噴射モードと吸気−圧縮噴射モードとで同じにしてもよいが、両者で異なる値にしてもよい。この場合、吸気−吸気噴射モードの方が後噴射から点火タイミングまでの時間が長いことに鑑み、吸気−吸気噴射モードの場合において吸気−圧縮噴射モードの場合よりも判定値FTHを大きくするのが好ましい。
後噴射量F2が判定値FTH以下の場合にはステップS206へ進み、先噴射量F1と後噴射量F2との大小を比較する。そして、先噴射量F1が後噴射量F2以下の場合、すなわち分割比SRが0.5以下の場合にはステップS204へ進み、基本エネルギ設定用テーブルTBL1を用いることにより、今現在のエンジン回転速度とバッテリ電圧とに対応する点火エネルギを算出する。なお、基本エネルギ設定用テーブルTBL1として噴射モードごとに異なるテーブルが記憶してある場合、ここでは分割噴射用のテーブルを用いて点火エネルギを設定する。
一方、先噴射量F1の方が後噴射量F2よりも大きい場合、すなわち分割比SRが0.5よりも大きい場合には、ステップS207へ進み、高エネルギ設定用テーブルTBL2を用いて点火エネルギを算出する。
ここで、高エネルギ設定用テーブルTBL2は、エンジン回転速度とバッテリ電圧と点火エネルギとの関係が規定されている点では基本エネルギ設定用テーブルTBL1と同じであるが、同じエンジン回転速度及びバッテリ電圧での点火エネルギが基本エネルギ設定用テーブルTBL1と異なっている。より具体的には、基本エネルギ設定用テーブルTBL1と高エネルギ設定用テーブルTBL2とにおいて、同じエンジン回転速度及びバッテリ電圧での点火エネルギを比較した場合に、基本エネルギ設定用のテーブルTBL1よりも高エネルギ設定用のテーブルTBL2の方が、点火エネルギが大きくなっている。
図7に、エンジン回転速度と点火エネルギとの関係の一例を示す。図7に示すように、基本エネルギ設定時及び高エネルギ設定時共に、エンジン回転速度が小さくなるにつれて点火エネルギが小さくなるように規定してある。また、同じエンジン回転速度での点火エネルギを比較すると、基本エネルギ設定時よりも高エネルギ設定時の方が点火エネルギが大きくなっている。
なお、バッテリ電圧と点火エネルギとの関係については、エンジン回転速度の場合と同様に、同じバッテリ電圧での点火エネルギを比較した場合に基本エネルギ設定用よりも高エネルギ設定用の方が点火エネルギが大きくなるようにしてもよい。あるいは、バッテリ電圧と点火エネルギとの関係については、エンジン回転速度の場合とは異なり、基本エネルギ設定用と高エネルギ設定用とで同じにしてもよい。
また、後噴射量F2が判定値FTHよりも大きい場合には、ステップS205で肯定判定されてステップS204へ進み、基本エネルギ設定用テーブルTBL1を用いて点火エネルギを設定する。
さて、ステップS208では、算出した点火エネルギに基づいてIGT信号を生成する。このとき、本実施形態では、点火エネルギが大きいほど点火コイル29の一次コイルの通電時間が長くなるようにIGT信号を生成する。その後、ステップS209でIGT信号をイグナイタ31に出力する。これにより、点火プラグ28において、IGT信号に対応する点火エネルギが発生される。
図8は、分割噴射の点火エネルギを説明するためのタイムチャートである。なお、図8では、吸気−圧縮噴射モードで分割噴射を行う場合を示している。また、図中、(a)は後噴射量F2の方が多い場合を示し、(b)は先噴射量F1の方が場合を示している。
図8の(a)と(b)とを比較すると分かるように、先の噴射Aの方が後の噴射Bよりも燃料噴射量が多い場合((b)の場合)には、IGT信号のONからOFFまでの時間、すなわち点火コイル29の一次コイルの通電時間が、後噴射量F2の方が多い場合((a)の場合)の通電時間IGT1よりも長い時間IGT2に設定される。
以上詳述した第1の実施形態によれば以下の優れた効果が得られる。
分割噴射を行う場合、各噴射回の燃料噴射量に基づいて点火装置による点火のエネルギを制御する構成としたため、点火タイミングにおける燃焼室23内の燃料均質度が相違することを考慮しつつ適正な点火制御を実現することができる。
具体的には、複数回の燃料噴射のうち前段の前段噴射の燃料量(先噴射量F1)と後段の後段噴射の燃料量(後噴射量F2)との大小関係を比較し、先噴射量F1の比率が後噴射量F2の比率よりも多い場合に、後噴射量F2の比率の方が多い場合に比べて点火エネルギを大きくする構成としたため、点火エネルギ不足が生じるのを抑制することができ、ひいては燃焼の安定化を図ることができる。
特に、分割噴射のうち吸気−圧縮噴射モードにおいて各噴射回の燃料噴射量に基づく点火エネルギ制御を実施することにより、吸気行程噴射による均質分と圧縮行程噴射による成層分との大小関係に応じて、点火タイミングにおける燃焼室23内の燃焼均質度に応じた適正な点火制御を実現できる。
後噴射量F2が所定値よりも大きい場合には、先噴射量F1の比率の方が大きいときであっても点火エネルギの増大を実施しないこととしたため、点火エネルギが過大になるのを回避できるとともに、点火によるバッテリの電力消費を抑制することができる。
都度の分割比SRに応じて点火エネルギを設定する構成としたため、分割比SRがエンジン運転状態に応じて都度変化する場合において、その変化に伴う前段噴射及び後段噴射の燃料噴射量の比率の変化に合わせて点火エネルギを適正に設定することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1の実施形態では、1燃焼サイクルで燃料噴射を複数回実施する場合、各噴射回の燃料噴射量に基づいて点火エネルギを設定することについて説明したが、本実施形態では、各噴射回の燃料噴射量に加え、噴射時期と点火時期との間隔、特に先の噴射の噴射時期と点火時期との間隔に基づいて点火エネルギを設定する。点火プラグ28周りの燃料の均質度合いは燃料の噴射時期に応じて異なり、1燃焼サイクルにおける点火タイミングとの間隔が長いほど、つまり先の噴射の噴射時期が早いほど燃料の拡散時間が長くなり、その結果、気筒内における燃料の均質度合いが大きくなりやすい。そこで、本実施形態では、各噴射回の燃料噴射量及び噴射時期と点火時期との間隔に基づいて点火エネルギを設定する。
図9は、本実施形態の点火制御の処理手順を示すフローチャートである。本処理は、ECU40のマイコン41により所定周期毎に実行される。なお、上記図5と同じ処理については、図5と同じステップ番号を付してその説明を省略する。
図9において、ステップS401〜S405では図5のステップS201〜S205と同様の処理を実施する。本処理では、後噴射量F2が判定値FTH以下の場合、つまりステップS405で否定判定された場合には、ステップS406において、先の噴射(1回目の噴射)の噴射終了タイミングと点火タイミングとの間隔INT1が判定値INTHよりも大きいか否かを判定する。なお、点火タイミングとの間隔INT1の始点を、噴射終了タイミングとするのに代えて噴射開始タイミングとしてもよい。
間隔INT1が判定値INTH以下の場合には、ステップS404へ進み、基本エネルギ設定用テーブルTBL1を用いて点火エネルギを設定する。一方、間隔INT1が判定値INTHよりも大きい場合には、ステップS407及びS408へ進み、先噴射量F1が後噴射量F2よりも大きいことを条件に高エネルギ設定用テーブルTBL2により点火エネルギを設定する。
以上詳述した第2の実施形態によれば以下の優れた効果が得られる。
分割噴射における各噴射回の噴射時期に基づいて点火エネルギを制御する構成としたため、具体的には、複数回の燃料噴射のうち先に実施される燃料噴射における噴射時期から点火時期までの間隔が大きいほど点火エネルギを大きくする構成としたため、点火タイミングにおける気筒内の燃料均質度をより適正に反映させて点火エネルギを設定することができる。
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、(A)後噴射量F2が判定値FTH以下であること、及び(B)後噴射量F2よりも先噴射量F1の方が多いこと(分割比SRが0.5よりも大きいこと)、の両条件を満たしている場合に高エネルギ設定用テーブルTBL2により点火エネルギを設定したが、これを変更し、(A)及び(B)のいずれかの条件を満たしている場合にテーブルTBL2により点火エネルギを設定する構成とする。
・上記実施形態では、分割比SRが0.5よりも大きい場合に高エネルギ設定用テーブルTBL2により点火エネルギを設定したが、分割比SRの値はこれに限定しない。すなわち、燃料の分割比SR(総噴射量Falに対する先噴射量F1)が、予め設定した判定値以上の場合に高エネルギ設定用テーブルTBL2により点火エネルギを設定する。気筒内の燃料均質度は分割比SRに応じて定まり、分割比SRが大きいほど先噴射量F1の比率が大きくなることにより気筒内の燃料均質度が大きくなる。したがって、分割比SRを基に高エネルギ設定用テーブルTBL2への切り替えを実施することにより、適正な点火制御を実現できる。この場合、分割比SRに代えて、後噴射量F2に対する先噴射量F1の比、あるいは先噴射量F1に対する後噴射量F2の比に基づいて点火エネルギを設定してもよい。
・上記(B)の条件に代えて、先噴射量F1と後噴射量F2の差(F1−F2)が所定値以上であることを条件に、高エネルギ設定用テーブルTBL2により点火エネルギを設定する構成とする。
・分割噴射として吸気−吸気噴射と吸気−圧縮噴射とを実施する場合に各噴射回の燃料噴射量に基づいて点火エネルギを制御したが、これを変更し、吸気−吸気噴射及び吸気−圧縮噴射のいずれかを実施する場合に各噴射回の燃料噴射量に基づいて点火エネルギを制御する。このとき特に、吸気−圧縮噴射を実施する場合に適用するのが望ましい。先の噴射を吸気行程で実施し、後の噴射を圧縮行程で実施する場合、気筒内に噴射された燃料のうち吸気行程噴射による均質分と圧縮行程噴射による成層分との大小関係(比率や差分等)に応じて気筒内の燃料均質度が大きく相違する。すなわち、後の噴射が圧縮行程噴射の場合、後の噴射が吸気行程噴射の場合に比べて噴射タイミングと点火タイミングとの間隔が小さく、点火プラグ28周りの燃料が成層状態になりやすい。また、後の噴射が圧縮行程噴射の場合に前の噴射としての吸気行程噴射の燃料量が多いと、点火プラグ28周りの燃料が均質状態になりやすく、その結果、混合気の着火性が低下することが考えられる。したがって、吸気−圧縮噴射の方が気筒内の燃料均質度について各噴射回の燃料噴射量の影響を受けやすいことから、吸気−圧縮噴射のみに各噴射回に基づく点火エネルギ制御を実施した場合であっても、適正な点火制御を実現できる。
・上記(A)及び(B)の条件を満たす場合、高エネルギ設定用テーブルTBL2を用いて点火エネルギを設定したが、これを変更し、基本エネルギ設定用テーブルTBL1により今現在のエンジン運転状態に対応する点火エネルギを算出し、その算出した点火エネルギを補正係数により補正する構成としてもよい。例えば、基本エネルギ設定用テーブルTBL1により算出した点火エネルギに対し、補正係数(>1)を乗算することにより点火エネルギを増大側に補正する。
・上記第2の実施形態では、先の噴射の噴射開始タイミングと点火タイミングとの間隔INT1に基づいて点火のエネルギ設定用テーブルを切り替える構成としたが、これに代えて又はこれに加えて、後の噴射の噴射時期(噴射開始タイミング又は噴射終了タイミング)と点火タイミングとの間隔INT2に基づいてエネルギ設定用テーブルを切り替える構成とする。先の噴射の噴射時期と点火時期との間隔INT1の場合と同様に、後の噴射の噴射時期(例えば噴射終了タイミング)と点火タイミングとの間隔INT2が長いほど、点火プラグ28周りの燃料の均質化が促進されやすいと考えられる。したがって、例えば、後の噴射の噴射終了タイミングと点火タイミングとの間隔INT2が判定値よりも大きい場合に高エネルギ設定用テーブルTBL2により点火エネルギを設定する。
・点火コイル29の一次コイルの通電時間を長くすることにより点火エネルギを増大したが、点火エネルギを増大する方法はこれに限定しない。例えば、1燃焼サイクルにおいて一次コイルの通電を複数回実施することにより点火エネルギを増大してもよい。あるいは、エンジン10に点火プラグ28を複数設け、その複数の点火プラグ28で火花放電を行うことにより点火エネルギを増大してもよい。
・分割比SRが大きいほど点火エネルギを大きくする構成とする。あるいは、先の噴射の噴射タイミングと点火タイミングとの間隔INT1が大きいほど点火エネルギを大きくする。分割比SR又は間隔INT1が大きいほど、気筒内の燃料均質度が大きくなり、点火プラグ28周りの燃料が希薄になりやすいからである。
・上記実施形態では、分割噴射として1燃焼サイクルで2回の燃料噴射を実施する場合について説明したが、1燃焼サイクルで3回以上の燃料噴射を実施する構成を本発明に適用してもよい。例えば、1燃焼サイクルでn回の燃料噴射を実施する場合、n回目(nは1以上の整数)とn回目以降の噴射回との燃料噴射量を比較し、n回目の燃料噴射量がn回目以降の噴射回の燃料噴射量よりも多い場合に、高エネルギ設定用テーブルTBL2により点火エネルギを設定する。
・1燃焼サイクルで3回以上の燃料噴射を実施する場合、前段噴射及び後段噴射を各々1回の燃料噴射により構成するのに代えて、前段噴射及び後段噴射のいずれかを2回以上の燃料噴射により構成し、前段噴射における各噴射回の燃料噴射量の合計量と、後段噴射における各噴射回の燃料噴射量の合計量との大小関係に基づいて点火エネルギを制御する。具体的には、1燃焼サイクルで3回の燃料噴射を実施する場合、例えば先の2回の噴射を前段噴射とし、残りの1回の噴射を後段噴射とする。そして、先の2回の噴射量の合計量と残り1回の噴射量との大小を比較し、先の2回の合計量の方が多い場合に高エネルギ設定用テーブルTBL2により点火エネルギを設定する。
・上記(A)及び(B)の条件に加えて又はこれに代えて、先噴射量F1と判定値との大小関係に基づいて点火エネルギを設定する。具体的には、例えば、先噴射量F1が判定値以下の場合に基本エネルギ設定用テーブルTBL1により点火エネルギを設定し、先噴射量F1が判定値よりも大きい場合に高エネルギ設定用テーブルTBL2により点火エネルギを設定する。先噴射量F1が少なければその分後噴射量F2が多くなり、点火プラグ28周りの燃料が濃くなるとも考えられるからである。
10…エンジン、19…燃料噴射弁、23…燃焼室、28…点火プラグ、29…点火コイル、31…イグナイタ、40…ECU、41…マイコン。

Claims (8)

  1. 燃料を直接気筒内に噴射する燃料噴射弁を備え、1燃焼サイクルごとに前記燃料噴射弁により各々異なるタイミングで複数回噴射された燃料と空気との混合気に対し点火装置による点火が行われることにより燃焼が行われる筒内噴射式の内燃機関に適用され、
    前記複数回の燃料噴射における各噴射回の燃料噴射量を、前記内燃機関の運転状態に基づいてそれぞれ算出する燃料量算出手段と、
    前記燃料量算出手段により算出した各噴射回の燃料噴射量の大小関係に基づいて前記点火装置による点火のエネルギを可変に設定する点火制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記点火制御手段は、前記複数回の燃料噴射のうち先に実施される燃料噴射の燃料噴射量の比率が大きいほど前記点火のエネルギを大きくする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記複数回の燃料噴射として前段の前段噴射と後段の後段噴射とを行うものであり、
    前記燃料量算出手段は、前記前段噴射の燃料噴射量と前記後段噴射の燃料噴射量とを算出し、
    前記点火制御手段は、前記前段噴射の燃料噴射量と前記後段噴射の燃料噴射量との大小関係に基づいて前記点火のエネルギを可変に設定する請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記前段噴射として吸気行程で燃料噴射を行う第1燃料噴射と、前記後段噴射として圧縮行程で燃料噴射を行う第2燃料噴射とを実施する内燃機関の制御装置において、
    前記燃料量算出手段は、前記第1燃料噴射の燃料噴射量と前記第2燃料噴射の燃料噴射量とを算出し、
    前記点火制御手段は、前記第1燃料噴射の燃料噴射量と前記第2燃料噴射の燃料噴射量との大小関係に基づいて前記点火のエネルギを可変に設定する請求項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記前段噴射と前記後段噴射とにおける燃料噴射量の比率を前記内燃機関の運転状態に基づいて算出する手段を備え、
    前記点火制御手段は、前記後段噴射に対する前記前段噴射の燃料噴射量の比率が大きいほど前記点火のエネルギを大きくする請求項3又は4に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記点火制御手段は、前記後段噴射の燃料噴射量が所定値よりも大きい場合に、前記前段噴射の燃料噴射量と前記後段噴射の燃料噴射量との大小関係に基づく前記点火のエネルギ制御を実施しない請求項3乃至5のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記複数回の燃料噴射について各噴射回の噴射時期をそれぞれ設定する噴射時期設定手段を備え、
    前記点火制御手段は、前記噴射時期設定手段により設定した各噴射回の噴射時期に基づいて前記点火のエネルギを可変に設定する請求項1乃至のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 前記点火制御手段は、前記複数回の燃料噴射のうち先に実施される燃料噴射における噴射時期から前記点火装置による点火時期までの間隔が大きいほど前記点火のエネルギを大きくする請求項に記載の内燃機関の制御装置。
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