以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態の室内ユニット(1)は、空気調和装置の一部を構成し、室内空間の天井に設置される。空気調和装置は、室外ユニットに設けられる圧縮機、室外熱交換器および膨張弁と、上記室内ユニット(1)に設けられる室内熱交換器(22)とが配管接続されて成る冷媒回路を備えている。冷媒回路は、冷媒が可逆に循環して、蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う。空気調和装置では、冷媒回路において室内熱交換器(22)が蒸発器として機能する冷房運転と、冷媒回路において室内熱交換器(22)が凝縮器として機能する暖房運転とが行われる。
〈室内ユニットの構成〉
図1および図2に示すように、上記室内ユニット(1)は、ケーシング(10)と化粧パネル(11)とを備えている。ケーシング(10)内には、室内熱交換器(22)、ドレンパン(23)、室内ファン(21)、エアフィルタ(30)、フィルタ駆動手段(40)、塵埃除去手段(50)、塵埃貯留容器(60)、塵埃搬送手段(80)および塵埃捕集箱(90)が設けられている。
上記ケーシング(10)は、下側が開放された略直方体の箱状に形成されている。ケーシング(10)の内面には、断熱材(17)が積層されている。ケーシング(10)は、下部が天井板の開口に挿通する状態で設置される。
上記化粧パネル(11)は、矩形の板状に形成されている。化粧パネル(11)の平面視形状は、ケーシング(10)の平面視形状よりも一回り大きくなっている。化粧パネル(11)は、シール部材(16)を間に挟んだ状態でケーシング(10)の下側を覆うように取り付けられる。化粧パネル(11)がケーシング(10)に取り付けられた状態では、化粧パネル(11)が室内に露出する。
上記化粧パネル(11)には、1つの吸込口(13)と4つの吹出口(14)とが形成されている。吸込口(13)は、矩形状に形成され、化粧パネル(11)の中央部に形成されている。吸込口(13)には、スリット状に形成された吸込グリル(12)が嵌め込まれている。各吹出口(14)は、細長い矩形状に形成されている。各吹出口(14)は、化粧パネル(11)の各辺に沿うように形成されている。そして、各吹出口(14)には、風向調整板(15)が設けられている。この風向調整板(15)は、回動して風向(吹出方向)を調整するものである。
上記室内ファン(21)は、いわゆるターボファンである。室内ファン(21)は、ケーシング(10)の中央付近に配置され、吸込口(13)の上側に位置している。室内ファン(21)は、ファンモータ(21a)と羽根車(21b)とを備えている。ファンモータ(21a)は、ケーシング(10)の天板に固定されている。羽根車(21b)は、ファンモータ(21a)の回転軸に連結されている。室内ファン(21)の下側には、吸込口(13)に連通するベルマウス(24)が設けられている。このベルマウス(24)は、ケーシング(10)内において、室内熱交換器(22)の上流側の空間を室内ファン(21)側と吸込グリル(12)側とに区画している。室内ファン(21)は、ベルマウス(24)を介して下側から吸い込んだ空気を周方向へ吹き出すように構成されている。
上記室内熱交換器(22)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成されている。室内熱交換器(22)は、平面視でロ字状に形成され、室内ファン(21)の周囲を囲むように配置されている。室内熱交換器(22)では、冷媒と室内ファン(21)によって送られる室内空気(吹出空気)との間で熱交換が行われる。
上記ドレンパン(23)は、室内熱交換器(22)の下側に設けられている。ドレンパン(23)は、室内熱交換器(22)において空気中の水分が凝縮して生じるドレン水を受けるためのものである。ドレンパン(23)には、ドレン水を排水するためのドレンポンプが設けられている(図示省略)。ドレンパン(23)は、ドレンポンプを設置した箇所にドレン水が集まるように勾配がつけられている。
上記ベルマウス(24)の下方には、仕切板(25)が設けられている。この仕切板(25)は、ベルマウス(24)と吸込グリル(12)との間の空間を上下に仕切っている。つまり、仕切板(25)は、室内熱交換器(22)の上流側空間をベルマウス(24)を含む室内熱交換器(22)側と吸込グリル(12)側とに区画している。
上記仕切板(25)の中央には、吸込口(13)から吸い込まれた空気がベルマウス(24)へ流入するための通気孔(26)が形成されている。図3に示すように、この通気孔(26)は、円形孔がその径方向に延びる4つの径方向部材(27)によって扇形に仕切られている。各径方向部材(27)は、互いに円中心で繋がっており、その部分に円筒状のフィルタ回転軸(28)が下方に突出している。フィルタ回転軸(28)は、上記エアフィルタ(30)が回転するための回転軸である。また、1つの径方向部材(27)には、フィルタ押さえ(29)が2つ設けられている。
図3に示すように、上記エアフィルタ(30)は、仕切板(25)の下方に配置され、ベルマウス(24)の入口を覆う大きさの円板状に形成されている。具体的に、エアフィルタ(30)は、環状のフィルタ本体(31)とメッシュ部材(37)とを備えている。フィルタ本体(31)の外周面には、ギア部(32)が設けられている。フィルタ本体(31)の環状中心部には、6つの径方向リブ(34)によって支持される円筒状の軸挿通部(33)が設けられている。つまり、各径方向リブ(34)は、軸挿通部(33)から放射状に延びている。また、フィルタ本体(31)の内円部には、該フィルタ本体(31)と同心の環状に形成された内側周方向リブ(35)および外側周方向リブ(36)が設けられている。外側周方向リブ(36)は、内側周方向リブ(35)よりも大径に形成されている。メッシュ部材(37)は、フィルタ本体(31)の内円部全体に張られている。吸込口(13)から吸い込まれた空気は、エアフィルタ(30)のメッシュ部材(37)を通過してベルマウス(24)へ流入する。その際、空気中の塵埃がメッシュ部材(37)に捕捉される。
また、上記エアフィルタ(30)は、上述したフィルタ押さえ(29)が各周方向リブ(35,36)に当接することによって下方へ付勢される。これにより、エアフィルタ(30)が後述する塵埃除去手段(50)の回転ブラシ(51)に押さえ付けられる。したがって、塵埃除去手段(50)による除去効率が向上する。
図4にも示すように、上記エアフィルタ(30)は、軸挿通部(33)が仕切板(25)のフィルタ回転軸(28)に嵌め込まれて取り付けられる。エアフィルタ(30)は、フィルタ回転軸(28)を中心として回転自在になっている。エアフィルタ(30)の下方には、上記塵埃貯留容器(60)が配置されている。そして、エアフィルタ(30)が軸挿通部(33)に嵌め込まれた状態で、上記塵埃貯留容器(60)のフィルタ取付部(68)が仕切板(25)の軸挿通部(33)に止めネジ(28a)によって固定される。これにより、仕切板(25)と塵埃貯留容器(60)との間にエアフィルタ(30)が保持される。
上記エアフィルタ(30)の近傍には、該エアフィルタ(30)を後述する回転ブラシ(51)に接触した状態で回転駆動するためのフィルタ駆動手段(40)が設けられている(図2も参照)。つまり、このフィルタ駆動手段(40)は、回転ブラシ(51)に対してエアフィルタ(30)を移動させる移動手段を構成している。
具体的に、上記フィルタ駆動手段(40)は、図5に示すように、フィルタ駆動モータ(41)とリミットスイッチ(44)を備えている。フィルタ駆動モータ(41)の駆動軸には、駆動ギア(42)が設けられ、該駆動ギア(42)がフィルタ本体(31)のギア部(32)と噛み合っている。駆動ギア(42)の一端面には、突片であるスイッチ作動部(43)が設けられている。このスイッチ作動部(43)は、駆動ギア(42)の回転によりリミットスイッチ(44)のレバー(44a)に作用するようになっている。スイッチ作動部(43)がレバー(44a)に作用すると、リミットスイッチ(44)が検知する。つまり、スイッチ作動部(43)およびリミットスイッチ(44)は、駆動ギア(42)の回転位置を検出するためのものである。
そして、上記フィルタ駆動手段(40)は、エアフィルタ(30)を回転ブラシ(51)に接触した状態で所定角度ずつ間欠的に回転させて該回転ブラシ(51)で塵埃を掻き取る(除去する)動作を行う。この動作の詳細については、後述する。
次に、上記塵埃除去手段(50)、塵埃貯留容器(60)および塵埃搬送手段(80)について、図6〜図11を参照しながら説明する。これら塵埃除去手段(50)等は、仕切板(25)やエアフィルタ(30)の下方に配置されている(図1や図2を参照)。
上記塵埃除去手段(50)は、エアフィルタ(30)に捕捉された塵埃を除去するためのものである。塵埃除去手段(50)は、回転ブラシ(51)および清掃用ブラシ(55)と、ブラシ駆動手段(59)とを備えている。回転ブラシ(51)は上述したようにエアフィルタ(30)の塵埃を掻き取るものであり、清掃用ブラシ(55)は回転ブラシ(51)から塵埃を除去するものである。なお、回転ブラシ(51)は本発明に係るブラシ部材を構成している。この塵埃除去手段(50)の詳細については後述する。
図6〜図8に示すように、上記塵埃貯留容器(60)は、清掃用ブラシ(55)によって回転ブラシ(51)から除去された塵埃が貯留されるもの、即ち塵埃除去手段(50)によって除去された塵埃を貯留するものである。塵埃貯留容器(60)は、側面視形状(図6において右側から視た形状)がやや逆くの字に屈曲している柱状の容器である。塵埃貯留容器(60)は、上側部分がエアフィルタ(30)の塵埃が除去される除去部(61)であり、下側部分がエアフィルタ(30)から除去された塵埃が貯留される貯留部(62)となっている。
上記除去部(61)の上板には、その長手方向に延びるブラシ用開口(63)が形成され、そのブラシ用開口(63)に回転ブラシ(51)および清掃用ブラシ(55)が設けられている。なお、除去部(61)の一側面に上述したフィルタ取付部(68)が設けられている。また、ブラシ用開口(63)の後方側(即ち、清掃用ブラシ(55)側と反対側)の縁部(61a)は、回転ブラシ(51)に向かって漸次細くなる先細形状であり、端面が回転ブラシ(51)のブラシ(53)に沿うように円弧状に形成されている。これにより、縁部(61a)と回転ブラシ(51)との隙間が限りなく小さくなる。したがって、万一回転ブラシ(51)によって除去されずに該回転ブラシ(51)を通過してしまったエアフィルタ(30)の塵埃は、直ぐ縁部(61a)に沿ってエアフィルタ(30)の移動方向へガイドされる。つまり、回転ブラシ(51)を通過した塵埃は、除去部(61)の上板に遮られることなくエアフィルタ(30)に付着した状態でスムーズに移動する。このように縁部(61a)を工夫することにより、回転ブラシ(51)と除去部(61)の上板との隙間において塵埃が停滞するのを防止することができる。停滞するとその塵埃が次第に成長して大きな固まりとなり、最終的にその隙間から弾き出されて室内等へ落下してしまうが、本実施形態ではそれが防止される。さらに、縁部(61a)と回転ブラシ(51)との隙間が小さくなるため、塵埃貯留容器(60)の密閉性(シール性)が高くなる。
上記貯留部(62)は、下端側(底部側)が円弧状に膨出している。そして、その貯留部(62)の円弧部には、清掃用ブラシ(55)によって回転ブラシ(51)から除去された塵埃が落下して貯留される。貯留部(62)は、長手方向における両端部(66,67)が開口している。その貯留部(62)の第1端部(66)には、後述する塵埃搬送手段(80)のダンパボックス(81)が接続され、第2端部(67)には、後述する塵埃搬送手段(80)の搬送用ダクト(88)が接続されている。
また、図8に示すように、上記塵埃貯留容器(60)には貯留部(62)の塵埃量(塵埃貯留量)を検出するための貯留量検出手段(70)が設けられている。
上記貯留量検出手段(70)は、センサボックス(71)を備えている。このセンサボックス(71)は、塵埃貯留容器(60)の貯留部(62)の第2端部(67)寄りに設けられている(図6や図7を参照)。センサボックス(71)は、貯留部(62)の横断方向に延びてその底部を覆うように形成されている。センサボックス(71)内には、発光LED(72)とフォトトランジスタ(73)が収納されている。発光LED(72)とフォトトランジスタ(73)とは、貯留部(62)をその横断方向に挟んで対峙するように配置されている。一方、貯留部(62)の壁面において、発光LED(72)とフォトトランジスタ(73)に対応する部分には第1透明窓(64)および第2透明窓(65)が設けられている。
上記貯留量検出手段(70)では、発光LED(72)から第1透明窓(64)および第2透明窓(65)を順に透過した光の光度がフォトトランジスタ(73)によって検出される。そして、検出された光度に応じて貯留部(62)における塵埃の貯留量(即ち、充填度)が検出される。つまり、塵埃の貯留量が少ないと、貯留部(62)において第1透明窓(64)から第2透明窓(65)への光の透過率(透過量)が高くなり、検出される光度が高くなる。逆に、塵埃の貯留量が多いと、貯留部(62)において第1透明窓(64)から第2透明窓(65)への光の透過率(透過量)が低くなり、検出される光度が低くなる。したがって、この貯留量検出手段(70)によれば、例えば、光度が所定値以下になると、貯留部(62)の貯留量が満杯になったと判断することができる。即ち、本実施形態の貯留量検出手段(70)は、貯留部(62)における光の透過量に基づいて塵埃貯留容器(60)の塵埃貯留量を検出するように構成されている。
上記塵埃搬送手段(80)は、図2、図6および図7に示すように、上述したダンパボックス(81)および搬送用ダクト(88)と、導入用ダクト(86)と、吸引用ダクト(87)とを備えている。
上記ダンパボックス(81)は、塵埃貯留容器(60)の貯留部(62)の長手方向に沿って延びる直方体状に形成されている。ダンパボックス(81)の長手方向における一端には、貯留部(62)の第1端部(66)が接続されている。図9および図10に示すように、ダンパボックス(81)内には、通路開閉手段であるダンパ(82)が1つ設けられている。このダンパ(82)が閉まると、ダンパボックス(81)の内部空間がその長手方向に仕切られる。つまり、ダンパボックス(81)の内部空間が第1室(81a)と第2室(81b)とに仕切られる。第2室(81b)には、上述したように貯留部(62)の第1端部(66)が接続されている。
図7や図10に示すように、上記塵埃搬送手段(80)は、ダンパ(82)を開閉駆動するためのダンパ駆動モータ(83)と駆動ギア(84)と従動ギア(85)とを備えている。駆動ギア(84)はダンパ駆動モータ(83)の駆動軸に設けられ、従動ギア(85)はダンパ(82)の回動軸に設けられている。駆動ギア(84)および従動ギア(85)は、互いに噛み合っている。この構成では、ダンパ駆動モータ(83)の回転が各ギア(84,85)を介してダンパ(82)の回動軸に伝達される。これにより、ダンパ(82)が回動軸を中心に回動し、開閉動作が行われる。
上記導入用ダクト(86)は、ダンパボックス(81)の上面に接続されて第1室(81a)に連通している。図9に示すように、導入用ダクト(86)は、ダンパボックス(81)から鉛直上方に延びており、仕切板(25)を貫通している。導入用ダクト(86)は、横断面が円形の上流側ダクト(86a)および下流側ダクト(86b)を備え、その2つの部材が止めネジ(28a)によって上下方向に連結されている。上流側ダクト(86a)の横断面積(流路面積)は、下流側ダクト(86b)の横断面積(流路面積)よりも大きい。下流側ダクト(86b)の下端(図9における下側)は、ダンパボックス(81)に接続されている。上流側ダクト(86a)の上端(図9における上側)は、ベルマウス(24)の水平に延びる部材にシール部材(86e)を介して当接している。このベルマウス(24)の水平部材には、貫通孔である導入口(86d)が形成されている。そして、この導入口(86d)を通じて、上流側ダクト(86a)が室内ファン(21)側の空間と連通している。つまり、この導入用ダクト(86)は、室内ファン(21)の吹出空気をダンパボックス(81)内へ導入するためのものである。
また、上記導入用ダクト(86)は、上流側ダクト(86a)と下流側ダクト(86b)との連結部分が仕切板(25)の貫通部に位置している。具体的に、上流側ダクト(86a)の底板と下流側ダクト(86b)の上端フランジとで仕切板(25)の貫通孔周縁を挟み込むように、両ダクト(86a,86b)が連結されている。そして、この連結部分およびシール部材(86e)の部分は、導入用ダクト(86)とダンパボックス(81)と塵埃貯留容器(60)とが一体で導入用ダクト(86)の軸心を中心にして回動するように構成されている。
上記吸引用ダクト(87)は、流入側である一端がダンパボックス(81)の下面に接続されて第2室(81b)に連通している。吸引用ダクト(87)の流出側である他端は、化粧パネル(11)に形成された掃除機挿入口(図示せず)に接続されている。この掃除機挿入口は、掃除機のホース等が挿入されて吸引するための開口である。なお、吸引用ダクト(87)はフレキシブルチューブで構成されている。
上記搬送用ダクト(88)は、図1や図2に示すように、一端が塵埃貯留容器(60)における貯留部(62)の第2端部(67)に接続され、他端が後述する塵埃捕集箱(90)に接続されている。この搬送用ダクト(88)はフレキシブルチューブで構成されている。
上記塵埃搬送手段(80)では、冷暖房を行う通常運転の場合、ダンパボックス(81)のダンパ(82)が閉じられる(図10(A)参照)。これにより、室内ファン(21)の吹出空気はダンパボックス(81)へ導入されない。また、塵埃搬送手段(80)では、塵埃貯留容器(60)内の塵埃を塵埃捕集箱(90)に搬送する場合、ダンパボックス(81)のダンパ(82)が開く(図10(B)参照)。これにより、室内ファン(21)の吹出空気が導入用ダクト(86)およびダンパボックス(81)を通じて塵埃貯留容器(60)へ導入される。その結果、塵埃貯留容器(60)内の塵埃は、空気と共に搬送用ダクト(88)を通じて塵埃捕集箱(90)へ搬送される。つまり、塵埃貯留容器(60)の塵埃が排出される。
さらに、上記塵埃搬送手段(80)では、塵埃捕集箱(90)の塵埃をケーシング(10)外へ排出する場合も、ダンパボックス(81)のダンパ(82)が閉じられる(図10(C)参照)。この場合、掃除機によって掃除機吸引口から吸引することで、塵埃捕集箱(90)内の塵埃が搬送用ダクト(88)、ダンパボックス(81)および吸引用ダクト(87)を通じて掃除機に吸引される。つまり、この塵埃搬送手段(80)は、室内ファン(21)の吹出空気を利用して塵埃貯留容器(60)の塵埃を所定位置まで搬送するように構成されている。
上記塵埃捕集箱(90)は、図1および図2に示すように、上述したように塵埃貯留容器(60)内の塵埃が搬送されて貯留されるものである。塵埃捕集箱(90)は、やや細長い略直方体状に形成され、塵埃貯留容器(60)と同様に仕切板(25)の下方に配置されている。そして、塵埃捕集箱(90)は、平面的にエアフィルタ(30)に被らないように、仕切板(25)の一端辺に沿って配置されている。これにより、吸込グリル(12)から吸入された空気の塵埃捕集箱(90)は、搬送用ダクト(88)が接続される側と反対側の端部が排気口(91)となっている。この排気口(91)の部分は、ケーシング(10)を貫通して室内に連通している。なお、この排気口(91)の貫通部分にはシール部材(93)が設けられている。
上記塵埃捕集箱(90)は、平面視的に、排気口(91)の部分が他の部分よりも面積が小さくなっている。また、塵埃捕集箱(90)のエアフィルタ(30)側の側板は、エアフィルタ(30)の外周に対応して円弧状に形成されている。さらに、塵埃捕集箱(90)内には、排気口(91)寄りにフィルタ(92)が設けられている。そして、塵埃捕集箱(90)では、塵埃貯留容器(60)から塵埃が搬送される場合、内部の空気が排気口(91)から排出される。その際、フィルタ(92)が設けられているので、搬送された塵埃が排気口(91)から流出することはない。また、掃除機による吸引によって塵埃捕集箱(90)から塵埃が排出される場合、室内空気が排気口(91)を通じて塵埃捕集箱(90)内に流入する。その際、流入した空気中の塵埃がフィルタ(92)によって捕捉される。このように、排気口(91)による給排気によって塵埃捕集箱(90)内の圧力バランスが適切になるので、塵埃捕集箱(90)に対する塵埃の搬送動作および排出動作が適切に行われる。
次に、図8および図11を参照しながら、塵埃除去手段(50)の詳細について説明する。回転ブラシ(51)および清掃用ブラシ(55)は、上述したように塵埃貯留容器(60)のブラシ用開口(63)に設けられている。
上記回転ブラシ(51)は、細長い円柱状のシャフト(52)と、該シャフト(52)の外周面に設けられたブラシ(53)とを備えている。このブラシ(53)は、多数の植毛で構成されており、本発明に係るものである。そして、ブラシ(53)は、シャフト(52)の周方向における一部分に設けられると共に、シャフト(52)の長さ方向に亘って設けられている。回転ブラシ(51)は、回転するエアフィルタ(30)のメッシュ部材(37)にブラシ(53)が接触することでメッシュ部材(37)から塵埃を除去するように構成されている。
上記清掃用ブラシ(55)は、回転ブラシ(51)の後方側(エアフィルタ(30)の移動方向の後方側)に配置されている。清掃用ブラシ(55)は、本体部(55a)と、ブラシ(55b)と、バネ部(55c)とを備えている。本体部(55a)は、板状部材であり、回転ブラシ(51)のシャフト(52)と同じ長さに形成されている。本体部(55a)は、その板面が回転ブラシ(51)の外周面に対面して設けられている。また、本体部(55a)の上部は、回転ブラシ(51)のシャフト(52)の外周面に対応する円弧部となっている。この本体部(55a)の円弧部には、本体部(55a)の長さ方向に亘ってブラシ(55b)が設けられている。バネ部(55c)は、本体部(55a)の下端に設けられて、塵埃貯留容器(60)の内壁に取り付けられている。つまり、本体部(55a)は、バネ部(55c)によって支持されている。
上記回転ブラシ(51)および清掃用ブラシ(55)は、エアフィルタ(30)の半径と同等以上の長さに形成されている。また、回転ブラシ(51)および清掃用ブラシ(55)は、エアフィルタ(30)の円中心から径方向外方へ延びるように配置されている。
そして、図11に示すように、回転ブラシ(51)のブラシ(53)は、本発明の特徴として、植毛の密度が互いに異なる複数の植毛群(53a,53b,53c,53d)からなっている。それぞれの植毛群(53a,53b,53c,53d)は、多数の植毛からなっている。具体的に、本実施形態のブラシ(53)は、第1植毛群(53a)、第2植毛群(53b)、第3植毛群(53c)および第4植毛群(53d)からなっており、第1植毛群(53a)、第2植毛群(53b)、第3植毛群(53c)、第4植毛群(53d)の順に植毛の密度が高くなっている。即ち、第1植毛群(53a)の植毛密度が最も低く、第4植毛群(53d)の植毛密度が最も高い。ブラシ(53)は、エアフィルタ(30)の移動方向の後方側(図11における左側、即ち、ブラシ(53)の相対的な移動方向の前方側)から順に、第1植毛群(53a)、第2植毛群(53b)、第3植毛群(53c)、第4植毛群(53d)、第1植毛群(53a)が配列されている。この最後の第1植毛群(53a)は補助的に設けられている。
本実施形態では、上記第1植毛群(53a)が本発明に係る低密度植毛群を構成し、上記第2植毛群(53b)、第3植毛群(53c)および第4植毛群(53d)が本発明に係る高密度植毛群を構成している。このように、本実施形態のブラシ(53)は、エアフィルタ(30)の移動方向の後方側から低密度植毛群および高密度植毛群が順に配置されて植毛の密度が段階的に高くなっている。即ち、本実施形態のブラシ(53)は、エアフィルタ(30)が低密度植毛群および高密度植毛群の順に接触するように構成されている。
上記第1植毛群(53a)は、植毛がいわゆるパイル織物で構成されている。このパイル織物は、基布に毛(パイル糸)が織り込まれて成る有毛繊維であり、毛足が比較的短い。さらに、第1植毛群(53a)は、他の各高密度植毛群(53b,53c,53d)よりも形成領域(即ち、シャフト(52)の周方向における幅)が大きい。低密度植毛群の第1植毛群(53a)は、比較的大きい繊維系の埃を対象として掻き取るように構成されている。各高密度植毛群の第2〜第4植毛群(53b,53c,53d)は、小さい粉塵系の埃を対象として掻き取るように構成されている。つまり、本発明のブラシ(53)は、植毛の密度を高めることによって粉塵系などの微少な埃に対応するようにしている。
図6および図7に示すように、ブラシ駆動手段(59)は、ブラシ駆動モータ(59a)と、互いに噛み合う駆動ギア(59b)および従動ギア(59c)とを備え、回転ブラシ(51)をシャフト(52)の軸心回りに回転駆動するものである。駆動ギア(59b)はブラシ駆動モータ(59a)の駆動軸に設けられ、従動ギア(59c)は回転ブラシ(51)のシャフト(52)の端部に設けられている。そして、ブラシ駆動手段(59)は、回転ブラシ(51)のブラシ(53)のうち最初の第1植毛群(53a)(即ち、図11における左側の第1植毛群(53a))のみが清掃用ブラシ(55)のブラシ(55b)に接触するように、回転ブラシ(51)を所定の回転角度だけ回転させる。つまり、清掃用ブラシ(55)のブラシ(55b)は、回転ブラシ(51)がブラシ駆動手段(59)によって回転すると、回転ブラシ(51)の最初の第1植毛群(53a)のみと接触するように構成されている。その接触により、第1植毛群(53a)から塵埃が除去される。
なお、本実施形態では、ブラシ駆動手段(59)による回転ブラシ(51)の回転トルクが一定となるように、回転ブラシ(51)のブラシ(53)における植毛群(53a,53b,53c,53d)が構成されている。つまり、回転ブラシ(51)の回転時において、ブラシ(53)のエアフィルタ(30)に対する摺動抵抗がブラシ(53)全体に亘って一定となるように、ブラシ(53)の植毛の疎密形成がされている。
また、上記清掃用ブラシ(55)のブラシ(55b)は、回転ブラシ(51)の第1植毛群(53a)と同様に、パイル織物の植毛で構成されている。そして、この回転ブラシ(51)および清掃用ブラシ(55)のパイル織物は、毛並みが一定方向に傾斜する傾斜パイルである。
上記回転ブラシ(51)における第1植毛群(53a)の毛並みは、図8においてシャフト(52)から左側に向かって傾斜している。つまり、この第1植毛群(53a)の毛並みは、エアフィルタ(30)の回転方向(移動方向)に対して対向するように傾斜している。このように、エアフィルタ(30)が第1植毛群(53a)の毛並みに対して対向するように回転すると、メッシュ部材(37)の塵埃が効率よく掻き出される。
上記清掃用ブラシ(55)におけるブラシ(55b)の毛並みは、図8において本体部(55a)から下側に向かって傾斜している。つまり、このブラシ(55b)の毛並みは、回転ブラシ(51)が図8において時計回りに回転する際に、その回転方向に対して対向するように傾斜している。
−運転動作−
次に、上記室内ユニット(1)における運転動作について図12および図13を参照しながら説明する。室内ユニット(1)は、冷暖房を行う通常運転と、エアフィルタ(30)の清掃を行うフィルタ清掃運転とが切換可能に構成されている。
〈通常運転〉
通常運転では、図12(A)に示すように、エアフィルタ(30)が回転ブラシ(51)のブラシ(53)に接触した状態で停止される。また、ダンパボックス(81)のダンパ(82)が閉じられる(図10(A)の状態)。
この状態において、室内ファン(21)が駆動される。そうすると、室内ユニット(1)では、吸込口(13)から吸い込まれた室内空気がエアフィルタ(30)を通過してベルマウス(24)へ流入する。空気がエアフィルタ(30)を通過する際、空気中の塵埃がエアフィルタ(30)のメッシュ部材(37)に捕捉される。ベルマウス(24)に流入した空気は室内ファン(21)から吹き出される。この吹出空気は、室内熱交換器(22)の冷媒と熱交換して冷却または加熱された後、各吹出口(14)から室内へ供給される。これにより、室内の冷房または暖房が行われる。
このように、通常運転では、ダンパボックス(81)のダンパ(82)が閉じられているため、室内ファン(21)の吹出空気がダンパボックス(81)を通じて塵埃貯留容器(60)へ導入されることはない。つまり、塵埃貯留容器(60)への空気の導入が禁止される。
〈フィルタ清掃運転〉
フィルタ清掃運転では、冷媒回路において圧縮機が停止されて冷媒が循環しない状態となる。このフィルタ清掃運転では、「塵埃除去動作」と「ブラシ清掃動作」と「塵埃搬送動作」と「塵埃排出動作」とが切換可能に構成されている。
「塵埃除去動作」は、エアフィルタ(30)の塵埃を回転ブラシ(51)で除去する動作である。「ブラシ清掃動作」は、回転ブラシ(51)に捕捉された塵埃を清掃用ブラシ(55)で除去する動作である。「塵埃搬送動作」は、塵埃貯留容器(60)から塵埃捕集箱(90)に塵埃を搬送する動作である。「塵埃排出動作」は、塵埃捕集箱(90)からケーシング(10)外へ塵埃を排出する動作である。
本実施形態では、「塵埃除去動作」と「ブラシ清掃動作」とが交互に行われる。先ず「塵埃除去動作」では、室内ファン(21)が停止状態となる。そして、図12(B)に示すように、フィルタ駆動手段(40)によって、エアフィルタ(30)が回転ブラシ(51)に接触した状態で反時計回りに回転する。なお、このとき回転ブラシ(51)は停止させたままである。
そうすると、図13(A)に示すように、エアフィルタ(30)の塵埃が回転ブラシ(51)のブラシ(53)に捕捉されていく。具体的に、エアフィルタ(30)は、回転するに伴い、まず最初に第1植毛群(53a)に接触し、その後に第2植毛群(53b)、第3植毛群(53c)、第4植毛群(53d)の順に接触する。つまり、エアフィルタ(30)が低密度植毛群および高密度植毛群の順に接触する。これにより、エアフィルタ(30)は、まず第1植毛群(53a)で比較的大きな繊維系の埃が掻き取られ、その後に第2〜第4植毛群(53b,53c,53d)で小さい粉塵系の埃が掻き取られる。このように、本実施形態の回転ブラシ(51)のブラシ(53)では、大きな繊維系の埃から小さい粉塵系の埃まで広範な種類の塵埃が確実に掻き取られる。特に、第1植毛群(53a)では、植毛がパイル織物で構成されているため、植毛密度が低いながらも繊維系の大きな埃が確実に掻き取られる。
また、回転ブラシ(51)の第1植毛群(53a)の毛並みがエアフィルタ(30)の回転方向(移動方向)に対向して傾斜しているため、エアフィルタ(30)から大きい繊維系の塵埃が第1植毛群(53a)によって容易に掻き取られる。よって、回転ブラシ(51)による塵埃の除去効率が向上する。
そして、フィルタ駆動手段(40)のリミットスイッチ(44)のレバー(44a)が作動すると、フィルタ駆動モータ(41)が停止されてエアフィルタ(30)が停止する。つまり、エアフィルタ(30)は所定角度だけ回転して停止する。これにより、エアフィルタ(30)において回転ブラシ(51)のブラシ(53)を通過した領域の塵埃が除去される。エアフィルタ(30)が停止すると、「塵埃除去動作」から「ブラシ清掃動作」へ切り換えられる。
「ブラシ清掃動作」では、室内ファン(21)およびエアフィルタ(30)が停止した状態で、回転ブラシ(51)が図13において左回り(反時計回り)に回転する。その際、回転ブラシ(51)は、ブラシ(53)に塵埃を捕捉したまま回転する。そして、回転ブラシ(51)は所定の回転角度だけ回転すると停止する(図13(B)を参照)。つまり、回転ブラシ(51)は、第1植毛群(53a)のみが清掃用ブラシ(55)のブラシ(55b)に接触した状態で停止する。
続いて、回転ブラシ(51)は、上記とは逆回り(即ち、図13において右回り(時計回り))に回転する。そうすると、回転ブラシ(51)の第1植毛群(53a)に付着していた塵埃が清掃用ブラシ(55)のブラシ(55b)に捕捉される(図13(C)を参照)。これは、清掃用ブラシ(55)のブラシ(55b)の毛並みが下向き、即ち毛並みが回転ブラシ(51)の回転方向に対向する向きに傾斜しているため、回転ブラシ(51)の第1植毛群(53a)から塵埃が容易に掻き取られる。
また、双方のブラシ(53,55b)同士が接触することによって清掃用ブラシ(55)の本体部(55a)が後方へ押されるが、バネ部(55c)によって本体部(55a)が回転ブラシ(51)側へ付勢される。これにより、ブラシ(53,55b)同士が離隔することはなく、清掃用ブラシ(55)が適切に回転ブラシ(51)に押し付けられる。したがって、回転ブラシ(51)のブラシ(53)(第1植毛群(53a))から塵埃がより確実に除去される。以上により、清掃用ブラシ(55)のブラシ(55b)に塵埃が捕捉される。回転ブラシ(51)は、元の状態(図13(A)の状態)まで回転して停止する。
続いて、回転ブラシ(51)は、図13(D)に示すように、再び左回り(反時計回り)に所定の回転角度(即ち、図13(B)の動作時と同じ回転角度)だけ回転する。そうすると、清掃用ブラシ(55)のブラシ(55b)に捕捉されていた塵埃が回転ブラシ(51)のブラシ(53)(第1植毛群(53a))によって掻き取られ、塵埃貯留容器(60)の貯留部(62)に落下する。これは、回転ブラシ(51)の第1植毛群(53a)の毛並みが回転方向に向かって傾斜しているため、清掃用ブラシ(55)のブラシ(55b)から塵埃が確実に掻き取られる。その際も、上記と同様に、バネ部(55c)によって清掃用ブラシ(55)が回転ブラシ(51)に適切に押し付けられるため、清掃用ブラシ(55)から塵埃がより確実に除去される。以上により、回転ブラシ(51)に捕捉された塵埃が除去され、塵埃貯留容器(60)の貯留部(62)に貯留される。その後、回転ブラシ(51)は再び右回り(時計回り)に回転して元の状態(図13(A)の状態)に戻り、「ブラシ清掃動作」が一旦終了する。
「ブラシ清掃動作」が終了すると、再び上述した「塵埃除去動作」が行われる。つまり、再びエアフィルタ(30)が回転され、リミットスイッチ(44)のレバー(44a)が再び作動するとエアフィルタ(30)が停止する。これにより、エアフィルタ(30)において回転ブラシ(51)のブラシ(53)を通過した領域の塵埃が回転ブラシ(51)のブラシ(53)に捕捉される(図13(A)の状態)。このように、「塵埃除去動作」と「ブラシ清掃動作」とが交互に繰り返される。その結果、エアフィルタ(30)において所定の領域毎に塵埃が除去されていく。そして、エアフィルタ(30)の全領域において塵埃が除去されると、「塵埃除去動作」および「ブラシ清掃動作」が完全に終了する。例えば、リミットスイッチ(44)のレバー(44a)が所定回数作動すると、エアフィルタ(30)が1回転したと判断して上記動作が終了する。
ここで、上述した「塵埃除去動作」および「ブラシ清掃動作」時には、貯留量検出手段(70)によって塵埃貯留容器(60)における塵埃貯留量が検出される。つまり、発光LED(72)による光が貯留部(62)の透明窓(64,65)およびその内部の塵埃を透過する。透過した光の光度がフォトトランジスタ(73)によって検出される。そして、フォトトランジスタ(73)の検出光度が設定値(下限値)以下になると、塵埃貯留容器(60)において塵埃が所定量まで貯留されたと判断して、「塵埃搬送動作」に切り換えられる。
「塵埃搬送動作」では、回転ブラシ(51)およびエアフィルタ(30)が停止状態となる。なお、回転ブラシ(51)のブラシ(53)はエアフィルタ(30)に接触した状態である。また、ダンパボックス(81)のダンパ(82)が開状態(図10(B)の状態)となる。この状態において、室内ファン(21)が駆動される。室内ファン(21)の吹出空気は、導入用ダクト(86)およびダンパボックス(81)を順に介して塵埃貯留容器(60)へ導入される。これにより、塵埃貯留容器(60)の塵埃が空気と共に搬送用ダクト(88)を介して塵埃捕集箱(90)へ搬送される。そうすると、塵埃貯留容器(60)において塵埃の貯留量が減少し、それに伴いフォトトランジスタ(73)の検出光度が高くなる。そして、その検出光度が設定値(上限値)以上になると、塵埃貯留容器(60)において塵埃が殆ど搬送(排出)されたと判断して、「塵埃搬送動作」が終了する。その後、「塵埃除去動作」または「ブラシ清掃動作」が再開される。
また、上述した「塵埃搬送動作」中において、フォトトランジスタ(73)の検出光度がなかなか上昇しない場合(例えば、検出光度が一定時間変化しない場合)、導入用ダクト(86)や搬送用ダクト(88)において空気が適切に流れていないと判断される。例えば、導入用ダクト(86)等で詰まりが生じたか、ダンパ(72)が故障して開いていない等の原因により、空気の流れが阻害される。その場合は、室内ファン(21)を停止させて「塵埃搬送動作」を一旦停止する。そして、点検等によって上記の不具合が解消された後、「塵埃搬送動作」が再開される。
また、本実施形態のフィルタ清掃運転では、所定条件によって「塵埃排出動作」が行われる。例えば、「塵埃搬送動作」が所定回数(所定時間)行われると、「塵埃排出動作」が行われる。または、ユーザーによるリモコン操作によって行うようにしてもよい。「塵埃排出動作」では、上述した「塵埃搬送動作」と同様に、回転ブラシ(51)およびエアフィルタ(30)が停止状態となる。また、ダンパボックス(81)のダンパ(82)が閉状態(図10(C)の状態)となる。この状態において、ユーザーが掃除機のホースを化粧パネル(11)の掃除機挿入口に挿入する。この吸引動作により、塵埃捕集箱(90)の塵埃が搬送用ダクト(88)、塵埃貯留容器(60)および吸引用ダクト(87)を順に介して掃除機へ吸い込まれる。その際、塵埃貯留容器(60)内の塵埃も吸引用ダクト(87)を介して掃除機へ吸い込まれる。その結果、塵埃捕集箱(90)および塵埃貯留容器(60)の塵埃がケーシング(10)外へ排出されることとなる。
−実施形態の効果−
本実施形態では、エアフィルタ(30)の塵埃を掻き取るブラシ(53)において植毛密度の異なる低密度植毛群(第1植毛群(53a))と高密度植毛群(第2〜第4植毛群(53b,53c,53d))とを備えるようにしたため、比較的大きな繊維系の埃から小さい粉塵系の埃まで広範な種類の塵埃を掻き取ることができる。つまり、植毛密度が低い低密度植毛群(53a)によって大きな繊維系の埃を掻き取り、植毛密度が高い高密度植毛群(53b,53c,53d)によって小さい粉塵系の埃を掻き取ることができる。これにより、エアフィルタ(30)における塵埃の取りこぼしを防止することができる。その結果、エアフィルタ(30)の清掃機能(塵埃除去機能)の信頼性を向上させることができる。
特に、低密度植毛群(第1植毛群(53a))の植毛をパイル織物で構成しているため、植毛密度が低いながらも繊維系の大きな埃を確実に掻き取ることが可能である。また、パイル織物は毛足が比較的短いため、低密度植毛群(第1植毛群(53a))ひいてはブラシ(53)の設置スペースを削減することができる。
さらに、本実施形態の回転ブラシ(51)のブラシ(53)では、エアフィルタ(30)の移動方向の後方側(即ち、ブラシ(53)の相対的な移動方向の前方側)から順に、低密度植毛群(53a)および高密度植毛群(53b,53c,53d)を配置するようにしたため、最初に大きな繊維系の埃を掻き取った後に、小さい粉塵系の埃を掻き取ることができる。小さい粉塵系の埃と大きな繊維系の埃とが混在している場合、それらの埃を一度に掻き取ろうとすると、小さい粉塵系の埃を掻き取り難くなる。そこで、本実施形態のように、大きな繊維系の埃を掻き取った後に小さい粉塵系を掻き取るようにすることで、小さい粉塵系の埃をより確実に掻き取ることが可能となる。その結果、広範な種類の塵埃を効果的に掻き取ることができ、塵埃の取りこぼしを一層防止することができる。
さらに、本実施形態では、ブラシ(53)の高密度植毛群を密度の異なる複数(3つ)の植毛群(53b,53c,53d)から構成し、それら植毛群(53b,53c,53d)をエアフィルタ(30)の移動方向の後方側から順に植毛密度が段階的に高くなるように配置した。このため、高密度植毛群(53b,53c,53d)において、上述した小さい粉塵系の埃の中でも大きい埃から小さい埃まで段階的に掻き取ることができる。これにより、小さい粉塵系の埃を確実に掻き取ることが可能となる。
また、本実施形態では、低密度植毛群(53a)および高密度植毛群(53b,53c,53d)のうち低密度植毛群(53a)を清掃用ブラシ(55)に接触させて塵埃を除去するようにした。つまり、低密度植毛群(53a)の塵埃のみを除去するようにした。低密度植毛群(53a)では、大きな繊維系の埃を掻き取るため、高密度植毛群(53b,53c,53d)に比して塵埃の捕捉量が比較的短期間で限界に達する。ところが、本実施形態では、低密度植毛群(53a)の塵埃が清掃用ブラシ(55)によって除去されるため、低密度植毛群(53a)の塵埃の掻き取り能力を長く維持することができる。また、清掃用ブラシ(55)は低密度植毛群(53a)の塵埃のみを除去すればよいため、低密度植毛群(53a)および高密度植毛群(53b,53c,53d)の双方の塵埃を除去する場合に比べて、清掃用ブラシ(55)の必要な塵埃除去量(塵埃掻き取り量)を低く抑えることができる。その結果、清掃用ブラシ(55)の小型化および低コスト化を図ることが可能となる。
また、本実施形態の回転ブラシ(51)では、シャフト(52)の周方向の一部分にブラシ(53)を設けるようにしたので、ブラシ(53)の設置スペースを削減しながらも、広範な種類の塵埃を効果的に掻き取ることができる。
また、本実施形態では、円板状に形成したエアフィルタ(30)を回転させることで、エアフィルタ(30)と回転ブラシ(51)とを相対的に移動させるようにした。したがって、例えばエアフィルタ(30)を矩形状に形成しスライド移動させる場合に比べて、エアフィルタ(30)が移動するためのスペースを省略することができる。これにより、室内ユニット(1)のコンパクト化を図ることができる。
さらに、回転ブラシ(51)の低密度植毛群(第1植毛群(53a))について、毛並みがエアフィルタ(30)の移動方向(回転方向)に対向する傾斜パイルを用いているため、エアフィルタ(30)の塵埃を容易に且つ確実に掻き取ることができる。また、清掃用ブラシ(55)のブラシ(55b)についても傾斜パイルを用いているため、回転ブラシ(51)の低密度植毛群(第1植毛群(53a))の塵埃を容易に且つ確実に掻き取ることができる。
また、本実施形態では、室内ファン(21)の吹出空気を塵埃貯留容器(60)に導入して塵埃を搬送するようにした。したがって、吸引ファン等の搬送手段を別途設けることなく、塵埃貯留容器(60)の塵埃を廃棄しやすい所定の場所まで簡易に移動させることができる。これにより、ユニットの大型化およびコスト高を招くことなく、塵埃の処理効率を向上させることができる。
《実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態は、図14に示すように、上記実施形態1における回転ブラシ(51)のブラシ(53)の構成を変更するようにしたものである。
具体的に、本実施形態の回転ブラシ(51)のブラシ(53)は、第1植毛群(53a)、第2植毛群(53b)、第3植毛群(53c)、第4植毛群(53d)の順に、植毛(毛足)の長さが長くなっている。つまり、本実施形態のブラシ(53)では、高密度植毛群(53b,53c,53d)の植毛の長さを低密度植毛群(53a)の植毛の長さよりも長くするようにした。この構成により、高密度植毛群(53b,53c,53d)において小さい粉塵系の埃をより確実に掻き取ることができる。即ち、高密度植毛群(53b,53c,53d)では毛足が長いため小さい埃が捕捉されやすくなる。さらに、第2〜第4植毛群(53b,53c,53d)のように、エアフィルタ(30)の移動方向の後方側から順に植毛の長さを段階的に長くしているため、小さい粉塵系の埃を効果的に掻き取ることが可能となる。その他の構成、作用および効果は、上記実施形態1と同様である。
《その他の実施形態》
上記各実施形態は、以下のように構成してもよい。
例えば、上記各実施形態では、回転ブラシ(51)の高密度植毛群が植毛密度の異なる3つの植毛群(53b,53c,53d)からなるようにしたが、1つ、2つまたは4つ以上の植毛群からなるように構成してもよい。つまり、本発明の回転ブラシ(51)のブラシ(53)は、少なくとも、低密度植毛群(53a)と、それよりも植毛密度が高い高密度植毛群の2つ以上の植毛群から構成されていればよい。
例えば、上記各実施形態では、フィルタ清掃運転の塵埃除去動作時およびブラシ清掃動作時に、エアフィルタ(30)を回転させるようにしたが、エアフィルタ(30)に対して塵埃貯留容器(60)(回転ブラシ(51)および清掃用ブラシ(55)を含む)を移動させるようにしてもよい。即ち、ブラシ(53)をエアフィルタ(30)に対して移動させるようにしてもよい。この場合、塵埃貯留容器(60)がエアフィルタ(30)の軸挿通部(33)を中心にして公転する。つまり、本発明は、エアフィルタ(30)と回転ブラシ(51)とが相対的に移動するように構成されていればよい。
また、上記各実施形態では、エアフィルタ(30)が円形に形成されているものとしたが、これに限らず、エアフィルタ(30)が矩形状に形成されているものであってもよい。この場合、例えば、エアフィルタ(30)は回転ブラシ(51)に対して直線移動する。
また、上記各実施形態では、エアフィルタ(30)を間欠的に回転させ、その間欠的な停止毎にブラシ清掃動作を行うようにしたが、本発明は、エアフィルタ(30)を連続して1回転または数回転させた後にブラシ清掃動作を行うようにしてもよいことは勿論である。
また、上記各実施形態では、清掃用ブラシ(55)のブラシ(55b)について傾斜パイル(パイル織物)を用いるようにしたが、他のブラシ材料であってもよいことは勿論である。
また、上記各実施形態では、室内天井に設置される室内ユニット(1)について説明したが、本発明はこれに限らず、室内の壁に設置されるいわゆる壁掛け式の室内ユニットであっても適用することができる。