JP5487411B2 - 複合摩擦調整材 - Google Patents
複合摩擦調整材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5487411B2 JP5487411B2 JP2008013083A JP2008013083A JP5487411B2 JP 5487411 B2 JP5487411 B2 JP 5487411B2 JP 2008013083 A JP2008013083 A JP 2008013083A JP 2008013083 A JP2008013083 A JP 2008013083A JP 5487411 B2 JP5487411 B2 JP 5487411B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- clay mineral
- layered clay
- friction
- friction modifier
- composite friction
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Braking Arrangements (AREA)
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
Description
その中で、摩擦材の摩擦特性を調整する材料としては摩擦調整材及び固体潤滑材があるが、これらにも無機系と有機系とがあり、それぞれの特徴があって、1種類ではすべての要求を満足することが難しいので、通常2種類以上のものが組み合わされて使用されている。そして、摩擦調整材としては、例えば、アルミナやシリカ、マグネシア、ジルコニア、銅、アルミニウム、亜鉛等の無機系摩擦調整材、又、有機系摩擦調整材としてゴムダストやカシューダストなどが配合されている。また固体潤滑材としては、黒鉛や二硫化モリブデン等を挙げることができる。
このように、カシューダストやゴムダストなどの有機系摩擦調整材は、摩擦材に柔軟性を与えると共に、摩擦面温度200〜250℃で液化し潤滑作用により摩擦係数を安定化させる役割がある。
また、上記に挙げたカシューダスト又はアラミド樹脂粉末からなる有機系摩擦調整材は、いずれも静摩擦係数が大きいためにスティックスリップ現象が起こりやすく、ブレーキ鳴きの原因となりやすいという問題点を有している。
また、本発明の第二の課題は、上述の特性を備えた複合摩擦調整材を配合することにより、上記の優れた性能を有する摩擦材を提供することである。
すなわち、本発明の課題は、下記(1)〜(4)により達成された。
(2) 前記薄層化された層状粘土鉱物の厚みが1〜50nmであることを特徴とする上記(1)に記載の複合摩擦調整材。
(3) 前記複合摩擦調整材の平均粒径が10μm〜5mmであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の複合摩擦調整材。
(4) 補強繊維、摩擦調整材及び結合材を主成分とする摩擦材において、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の複合摩擦調整材を配合したことを特徴とする摩擦材。
また、材料の複合化にあたり、新たな設備投資や高価な材料を必要とせず、安価で大きな改良効果が得られる。
本発明で使用する有機系基材としては、ゴム、樹脂等の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を使用することができる。本発明の複合摩擦調整材には熱硬化性樹脂を使用することが好ましく、フェノール樹脂(カシュー、ゴム、シリコーン、フェノールアラルキル、リン、ホウ素、ポリビニルブチラール、アクリル、エポキシ、メラミン、オイルなどによる各種変性フェノール樹脂を含む)、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は1種又は2種以上混合して使用することができる。
カシューオイルを本発明の有機系基材として使用する場合、モノマー(オイル)、オリゴマー、変性カシューオイルあるいは高分子量の重縮合体のいずれの形態で使用することも可能である。
撹拌装置としては、撹拌装置付きの槽であればガラス製でもよく、特に限定されず、例えば、高速ミキサー、ニーダー等で撹拌する。
なお、層状粘土鉱物の層間距離は、X線回折(Cu−Kα線を使用、Scanning速度1°/分、2θ=0.8°〜20°の範囲)により測定することができる。
本発明の有機系基材としては、すでに述べたようにカシューオイルを出発原料とする樹脂を使用することが好ましい。具体的には、モノマーであるカシューオイル、オリゴマー、変性カシューオイルあるいは高分子量の重縮合体と有機化した層状粘土鉱物及びフルフラール等のアルデヒドを混合、加熱撹拌して調製する。本発明では、特にカシューオイルと層状粘土鉱物を使用して複合摩擦調整材とする工程は、層状粘土鉱物が微分散されやすくなるので好ましい。
有機系基材として、カシュー樹脂以外に他の樹脂を併用しても差し支えない。併用する樹脂は特に限定されないが、フェノール樹脂が同じ硬化触媒を使用できるので有利である。混合比率は有機系基材全体に対しカシュー樹脂が50〜90質量%であることが好ましい。
反応溶媒は特に制限されないが、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ジオキサン、メチルセロソルブ、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、水あるいはそれらの混合物を使用することができる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどがある。
使用する原料の混合比率は、カシュー樹脂100質量部に対し、アルデヒド10〜30質量部、層状粘土鉱物1〜50質量部の範囲とすることが好ましい。反応溶媒の使用量は適宜決定すればよい。
更に、樹脂をオーブン中で150〜250℃で約1〜10時間硬化熱処理し、反応を終了させる。この段階でカシュー樹脂は層状粘土鉱物に挿入され、薄層化が完結する。このように、本発明の複合摩擦調整材では、層状粘土鉱物が薄層化されているので、フィラー表面積が著しく増大し、補強効果が大きくなる。従って、少量のフィラー含有率(3〜5wt%)でも特性を向上することができる。これに対し、特許文献1のようにマイカを薄層化せずに添加した場合、マイカ層間の碧開によりかえって強度低下を起こす場合がある。
本発明で得られた複合摩擦調整材は、最後に得られたカシュー樹脂と層状粘土鉱物からなる複合体を粉砕して複合摩擦調整材とする。粉砕された複合摩擦調整材の粒径は特に限定されるものではなく、摩擦材に要求される特性などに応じて当業者の裁量で定めることができるが、摩擦材原料混合時の分散性の悪化を避けるため、50〜2000μmであることが望ましく、平均粒径を100〜800μm程度にそろえることが更に望ましい。
各種配合材の混合比率は、補強用の繊維基材が摩擦材全体の15〜40質量%、摩擦調整材が10〜25質量%、充填材が35〜70質量%、結合材が6〜24質量%とするのが好ましい。本発明の複合摩擦調整材は摩擦材全体の1〜15質量%が好ましい。
(実施例1)複合摩擦調整材Aの調製
1リットルのビーカーに蒸留水350gとモンモリロナイト6.5gを加えて1時間撹拌した後、ジメチルジオクタデシルアンモニウム2.6gを加え、30℃で6時間撹拌した。撹拌液をろ過し残渣をデシケータ中で減圧乾燥して層状粘土鉱物の白色粉末を回収した。
次に、カシューオイル100g、フルフラール30gと上記で作製した白色粉末を混合し、30℃で3時間撹拌した。撹拌溶液にジメチル硫酸4gを加え10分間撹拌した後、30℃で24時間静置してゲル化させた。ゲル化終了後オーブン中で200℃、5時間硬化させ、冷却・粉砕分級し平均粒子径500μmの複合摩擦調整材Aを得た。
上記モンモリロナイトの代わりに合成フッ素雲母(コープケミカル製ME−100)を使用した以外は実施例1と同様の製法により平均粒子径500μmの複合摩擦調整材Bを得た。
1リットルのビーカー中で、カシューオイル100gとフルフラール30gを混合し、30℃で3時間撹拌した。撹拌溶液にジメチル硫酸4gを加え10分間撹拌した後、30℃で24時間静置してゲル化させた。ゲル化終了後オーブン中で200℃、5時間硬化させた後、冷却・粉砕し平均粒子径500μmのカシューダストを得た。
1リットルのビーカー中で、カシューオイル100g、フルフラール30g及びモンモリロナイト6.5gを混合し、30℃で3時間撹拌した。その後、撹拌溶液にジメチル硫酸4gを加え10分間撹拌した後、30℃で24時間静置してゲル化させた。ゲル化終了後オーブン中で200℃、5時間硬化させた後、冷却・粉砕し平均粒子径500μmの複合摩擦調整材Cを得た。
1リットルのビーカー中で、カシューオイル100g、フルフラール30g及び合成フッ素雲母(コープケミカル製ME−100)6.5gを混合し、30℃で3時間撹拌した。撹拌溶液にジメチル硫酸4gを加え10分間撹拌した後、30℃で24時間静置してゲル化させた。ゲル化終了後オーブン中で200℃、5時間硬化させた後、冷却・粉砕し平均粒子径500μmの複合摩擦調整材Dを得た。
表1の配合材をミキサーで混合後、混合物を予備成形型に投入し常温、30Mpaで圧縮して予備成形を行った。次いで、予備成形体と、予め接着剤を塗布したプレッシャプレートとを熱成形型にセットし、150℃、40Mpaで5分間加熱圧縮成形を行った。得られた熱成形体を220℃、3時間熱処理を行い摩擦材を得た。
1)フェード試験
実施例1〜2および比較例1〜3の摩擦材からテストピースを切出し、テストピース摩擦試験機を用いてJASO−C406−82に準拠して試験を行い、第1フェードの最小摩擦係数と試験後の摩擦材摩耗量を比較した。
2)ブレーキ鳴き試験
実施例1〜2および比較例1〜3の摩擦材からテストピースを切出し、テストピース摩擦試験機を用いて初速度:5〜60km/h、減速度:0.49〜7.84m/sec2、摩擦温度:20℃〜200℃、絶対湿度:5〜15g/m3の条件を組合せたテストコードで試験を行い、音圧70db以上のブレーキ鳴きの発生した割合を比較した。
(試験結果)
これらの試験結果を第2表に示す。
Claims (4)
- 少なくとも有機系基材と層状粘土鉱物とからなる複合摩擦調整材であって、
前記有機系基材の原料の一部又は全部がカシューオイル又はカシューオイル縮合物からなり、
前記層状粘土鉱物がモンモリロナイト又はフッ素雲母であり、
前記層状粘土鉱物の層間に有機オニウムイオンが挿入され層間距離が拡大した層状粘土鉱物が、薄層化されて該有機系基材中に分散していることを特徴とする複合摩擦調整材。 - 前記薄層化された層状粘土鉱物の厚みが1〜50nmであることを特徴とする請求項1に記載の複合摩擦調整材。
- 前記複合摩擦調整材の平均粒径が10μm〜5mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の複合摩擦調整材。
- 補強繊維、摩擦調整材及び結合材を主成分とする摩擦材であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合摩擦調整材を配合したことを特徴とする摩擦材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008013083A JP5487411B2 (ja) | 2008-01-23 | 2008-01-23 | 複合摩擦調整材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008013083A JP5487411B2 (ja) | 2008-01-23 | 2008-01-23 | 複合摩擦調整材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009173754A JP2009173754A (ja) | 2009-08-06 |
JP5487411B2 true JP5487411B2 (ja) | 2014-05-07 |
Family
ID=41029197
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008013083A Expired - Fee Related JP5487411B2 (ja) | 2008-01-23 | 2008-01-23 | 複合摩擦調整材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5487411B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102101916B (zh) * | 2009-12-21 | 2012-10-17 | 比亚迪股份有限公司 | 摩擦粒子的制法及摩擦粒子和摩擦材料组合物及摩擦材料 |
CN102391834A (zh) * | 2011-09-20 | 2012-03-28 | 盐城工学院 | 一种耐高温汽车制动衬片的制备方法 |
JP2016160299A (ja) * | 2015-02-27 | 2016-09-05 | 株式会社アドヴィックス | 非石綿系摩擦材 |
DE102015223898A1 (de) | 2015-12-01 | 2017-06-01 | Brose Fahrzeugteile GmbH & Co. Kommanditgesellschaft, Würzburg | Staudruckklappenvorrichtung, Verfahren zum Herstellen der Staudruckklappenvorrichtung und Lüfter mit Staudruckklappenvorrichtung |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0959598A (ja) * | 1995-08-30 | 1997-03-04 | Hitachi Chem Co Ltd | 摩擦材組成物 |
JPH0971768A (ja) * | 1995-09-07 | 1997-03-18 | Aisin Chem Co Ltd | 摩擦材 |
JPH09143454A (ja) * | 1995-11-28 | 1997-06-03 | Hitachi Chem Co Ltd | 摩擦材組成物 |
JP3678483B2 (ja) * | 1996-02-27 | 2005-08-03 | 旭化成ケミカルズ株式会社 | 熱可塑性樹脂粘土鉱物複合材料の製造方法 |
JP3014674B2 (ja) * | 1998-03-20 | 2000-02-28 | 株式会社豊田中央研究所 | 複合材料 |
JP3945988B2 (ja) * | 2001-01-23 | 2007-07-18 | 三菱レイヨン株式会社 | 無機質複合体樹脂組成物およびその製造方法 |
JP2005097374A (ja) * | 2003-09-24 | 2005-04-14 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 摩擦材用フェノール樹脂組成物とその製造方法、摩擦材用混合物及び摩擦材 |
JP5024783B2 (ja) * | 2004-08-27 | 2012-09-12 | 独立行政法人物質・材料研究機構 | 有機−無機複合体および高分子複合材料ならびにその製造方法 |
JP4828143B2 (ja) * | 2005-03-29 | 2011-11-30 | 新日本製鐵株式会社 | 樹脂組成物の製造方法 |
-
2008
- 2008-01-23 JP JP2008013083A patent/JP5487411B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009173754A (ja) | 2009-08-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3998879B2 (ja) | 摩擦材 | |
CN108728041B (zh) | 一种汽车刹车片用少金属环保型摩擦材料及其制备方法 | |
JP4040552B2 (ja) | 摩擦材 | |
KR20160146709A (ko) | 마찰재 | |
US11274721B2 (en) | Friction material, in particular for the manufacturing of a brake pad, and associated preparation method | |
JP5487411B2 (ja) | 複合摩擦調整材 | |
JP5540396B2 (ja) | 摩擦材 | |
CN102277133A (zh) | 一种耐高温的复合陶瓷型摩擦材料 | |
KR100808519B1 (ko) | 비석면계 마찰재 | |
JP2017160296A (ja) | 摩擦材 | |
WO2019031557A1 (ja) | 摩擦材 | |
JP2003082331A (ja) | 非石綿系摩擦材 | |
Prakash et al. | Effect of rice husk ash silicon nitride on mechanical, wear, thermal conductivity, and flammability behavior of aluminized glass-kenaf fiber-reinforced polyester composite | |
JP2008274089A (ja) | 有機系摩擦調整材 | |
JP6867783B2 (ja) | 摩擦材組成物及び摩擦材 | |
CN114144494A (zh) | 摩擦材料组合物、摩擦材料以及盘式制动衬块 | |
KR100878945B1 (ko) | 자동차용 브레이크 마찰재 및 그 제조 방법 | |
JP5011557B2 (ja) | 摩擦材用複合摩擦調整材 | |
JP2008024536A (ja) | 有機化層状粘土鉱物系潤滑材及びそれを含む摩擦材 | |
KR20100091750A (ko) | 자동차용 브레이크 마찰재 및 그 제조 방법 | |
CN1027989C (zh) | 一种摩擦材料 | |
JP6254424B2 (ja) | 摩擦材 | |
CN115943192A (zh) | 摩擦副 | |
CN113201202A (zh) | 一种高阻尼树脂基摩擦材料及制备方法 | |
JP2009298847A (ja) | 摩擦材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20100916 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130128 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130205 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130405 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140121 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140128 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20140210 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5487411 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |