JP5487411B2 - 複合摩擦調整材 - Google Patents

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Description

本発明は、産業機械、鉄道車両、荷物車両、乗用車などに用いられる摩擦材に関するものであり、特に摩擦材に配合される複合摩擦調整材に関するものである。
ディスクブレーキやドラムブレーキなどのブレーキ、あるいはクラッチなどに使用される摩擦材は、摩擦作用を与え、かつその摩擦性能を調整する摩擦調整材、補強作用をする繊維基材、これらを一体化し強度を与える結合材などの材料からなっている。
その中で、摩擦材の摩擦特性を調整する材料としては摩擦調整材及び固体潤滑材があるが、これらにも無機系と有機系とがあり、それぞれの特徴があって、1種類ではすべての要求を満足することが難しいので、通常2種類以上のものが組み合わされて使用されている。そして、摩擦調整材としては、例えば、アルミナやシリカ、マグネシア、ジルコニア、銅、アルミニウム、亜鉛等の無機系摩擦調整材、又、有機系摩擦調整材としてゴムダストやカシューダストなどが配合されている。また固体潤滑材としては、黒鉛や二硫化モリブデン等を挙げることができる。
特許文献1では、カシューダストとマイカあるいはチタン酸カリウム短繊維からなる複合化されたフリクションダストが摩擦材に配合されている。また、特許文献2では、平均粒子径が250μm以下のカシューダストとチタン酸カリウムを他の配合材と共に熱成形した摩擦材が記載されている。
このように、カシューダストやゴムダストなどの有機系摩擦調整材は、摩擦材に柔軟性を与えると共に、摩擦面温度200〜250℃で液化し潤滑作用により摩擦係数を安定化させる役割がある。
また、特許文献3では、有機系摩擦調整材としてアラミド樹脂粉末を用いて高温での摩耗特性を改良する技術が開示されている。
特開平5−255657号公報 特開平6−9946号公報 特開2002−294218号公報
しかしながら、カシューダストは熱分解開始温度が低いため、300℃以上の高温時においてフェード現象による摩擦係数の低下や摩耗の増大が起こる一因となっている。特許文献3のようにアラミド樹脂粉末を用いれば高温での摩耗特性を改良できるが、材料コストが高くなる問題がある。
また、上記に挙げたカシューダスト又はアラミド樹脂粉末からなる有機系摩擦調整材は、いずれも静摩擦係数が大きいためにスティックスリップ現象が起こりやすく、ブレーキ鳴きの原因となりやすいという問題点を有している。
従って、本発明の第一の課題は、フェード抑制、高温摩擦に優れ、低温域まで摩擦係数が安定化し、ブレーキ鳴きを抑制し、高強度、高熱伝導率、高減衰率を摩擦材に付与できる複合摩擦調整材を提供することである。
また、本発明の第二の課題は、上述の特性を備えた複合摩擦調整材を配合することにより、上記の優れた性能を有する摩擦材を提供することである。
本発明者は、上記した従来の技術の問題点を解決すべく鋭意研究を行い、層状粘土鉱物に化学的処理を施して、層状粘土鉱物の層間に有機化合物分子が挿入された有機化層状粘土鉱物を合成し、この有機化層状粘土鉱物を熱硬化性樹脂と混合し加熱撹拌すると、層状粘土鉱物が薄層化して熱硬化性樹脂中に均一に分散され、有機系基材と層状粘土鉱物からなる複合材料の機械的強度及び高温での耐摩耗性が向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の課題は、下記(1)〜()により達成された。
(1) 少なくとも有機系基材と層状粘土鉱物とからなる複合摩擦調整材であって、前記有機系基材の原料の一部又は全部がカシューオイル又はカシューオイル縮合物からなり、前記層状粘土鉱物がモンモリロナイト又はフッ素雲母であり、前記層状粘土鉱物の層間に有機オニウムイオンが挿入され層間距離が拡大した層状粘土鉱物が、薄層化されて該有機系基材中に分散していることを特徴とする複合摩擦調整材。
(2) 前記薄層化された層状粘土鉱物の厚みが1〜50nmであることを特徴とする上記(1)に記載の複合摩擦調整材。
) 前記複合摩擦調整材の平均粒径が10μm〜5mmであることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の複合摩擦調整材。
) 補強繊維、摩擦調整材及び結合材を主成分とする摩擦材において、上記(1)〜()のいずれか1項に記載の複合摩擦調整材を配合したことを特徴とする摩擦材。
本発明の複合摩擦調製材を配合した摩擦材は、層状粘土鉱物が有機基材を補強し、耐熱性・機械的強度を向上させ、高温時のフェード現象や摩耗の増大を抑制することができる。また、層状粘土鉱物との複合化により表面の平滑性が付与され、静摩擦係数を低下させるためスティックスリップ現象を抑制する効果がある。
また、材料の複合化にあたり、新たな設備投資や高価な材料を必要とせず、安価で大きな改良効果が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する有機系基材としては、ゴム、樹脂等の熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を使用することができる。本発明の複合摩擦調整材には熱硬化性樹脂を使用することが好ましく、フェノール樹脂(カシュー、ゴム、シリコーン、フェノールアラルキル、リン、ホウ素、ポリビニルブチラール、アクリル、エポキシ、メラミン、オイルなどによる各種変性フェノール樹脂を含む)、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は1種又は2種以上混合して使用することができる。
上記の熱硬化性樹脂中、更に好ましいのはカシューダストの製造原料として用いられるカシュー樹脂であり、天然のカシューオイル(カシューナッツシェルリキッドとも言う)とアルデヒドによる重縮合物である。カシューオイルは、カルダノール、カルドール、メチルカルドールあるいはアナカルド酸を成分とするカシューナッツシェルから抽出したオイル(リキッド)であり、主成分はカルダノールである。カルダノールはm−位に炭素数10〜30の直鎖又は分岐状の脂肪族炭化水素基を有するフェノール誘導体で、炭化水素基にはアルケニル、ジエンあるいはトリエンからなる不飽和結合を含む。
カシューオイルを本発明の有機系基材として使用する場合、モノマー(オイル)、オリゴマー、変性カシューオイルあるいは高分子量の重縮合体のいずれの形態で使用することも可能である。
本発明で使用可能な層状粘土鉱物としては、特に制限されず、例えば、カオリナイト、バイロフィライト−タルク、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、脆雲母、緑泥石およびセピオライト−パリゴスカイト等の結晶質型粘土鉱物が使用できる。層電荷のない前記カオリナイト群に属する粘土鉱物としては、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト、ナクライト、クリソタイル、同じく層電荷のないバイロフィライト−タルク群に属する粘土鉱物としては、例えば、バイロフィライト、タルクがあげられる。また、層電荷を有するスメクタイト群としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロライト、サポナイト、ヘクトライト、スチブンサイトが、バーミキュライト群としては、例えば、ジ−バーミキュライト、トリ−バーミキュライトが、雲母群としては、例えば、白雲母、パラゴライト、フロゴパイト、黒雲母、レピドライトが、脆雲母群としては、例えば、マーガライト、クリントナイトが、緑泥石群としては、ドンパサイト、スドウ石、クッカイト、クリノクロア、シャモサイトが、それぞれあげられる。また、層電荷のないセピオライト−パリゴスカイト群としては、セピヲライト、パリゴルスカイトがあげられる。これらの中でも、層電荷を有する結晶質粘土鉱物が好ましく、より好ましくは、スメクタイト群、バーミキュライト群、雲母群である。具体的には、モンモリロナイト、バーミキュライト、イライトが好ましく、特にモンモリロナイトが好ましい。また、合成雲母、特にフッ素雲母も好適に使用することが出来る。
上記層状粘土鉱物に対しては、例えば、有機オニウムイオンをイオン結合させることによって層状粘土鉱物を有機化し、層状粘土鉱物の層間距離を広げ、樹脂が挿入され得るようにする。本発明では層厚が50〜200nmの層状粘土鉱物を原料として使用することが好ましい。これらの層状粘土鉱物のカチオン交換量は、10〜300ミリ当量/100gのものが好ましい。
有機オニウムイオンにより層状粘土鉱物を有機化するには、層状粘土鉱物の結晶層間に存在する金属陽イオンを、陽イオンたる有機オニウムイオンでイオン交換すればよい。そして、イオン交換されることにより、有機オニウムイオンが層状粘土鉱物にイオン結合されることとなり、その結果、層状粘土鉱物の層間距離が拡大し、結晶層間に樹脂が侵入し易くなると共に、層状粘土鉱物が疎水化されて、樹脂材料との混合状態が均一になる。
層状粘土鉱物を有機オニウムイオンで有機化するための有機化条件には特に限定はないが、水系媒体中に、有機オニウムイオンを層状粘土鉱物の陽イオン交換量に対し、0.8〜1.2当量、更に好ましくは0.9〜1.1当量を室温〜100℃の温度で加熱撹拌し、反応させることによって有機化することができる。
撹拌装置としては、撹拌装置付きの槽であればガラス製でもよく、特に限定されず、例えば、高速ミキサー、ニーダー等で撹拌する。
有機オニウムイオンとしては、特に限定されるものではなく、市販品を適宜使用できるが、炭素数6以上の有機オニウムイオンが望ましく、例えば、その具体例として、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオン、ドデシル(ラウリル)アンモニウムイオン、オクタデシル(ステアリル)アンモニウムイオン、ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、トリオクチルアンモニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイオン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオン等のアンモニウムイオンや、ホスフォニウムイオン、オキソニウムイオン、スルホニウムイオン等を挙げることが出来、これらの中の少なくとも1種以上を当業者の裁量で用いることが出来る。
有機化された層状粘土鉱物は、層状粘土化合物の層間に有機オニウムイオンが挿入され、層間が開いた状態の層状粘土鉱物である。有機化層状粘土鉱物は、層間が、好ましくは13〜150Å、より好ましくは30〜150Åの範囲にあることである。層間が13Å未満では樹脂と混合して、混合しても、充分に層状粘土鉱物が剥離、分散しないため、得られる複合摩擦調整材の特性が劣るものとなる。従って、層間距離を広げておくことは重要である。
なお、層状粘土鉱物の層間距離は、X線回折(Cu−Kα線を使用、Scanning速度1°/分、2θ=0.8°〜20°の範囲)により測定することができる。
次に、層間距離が拡大した有機化された層状粘土鉱物に有機系基材を挿入して、薄層化された層状粘土鉱物が均一に分散されている複合摩擦調整材の調製方法について説明する。
本発明の有機系基材としては、すでに述べたようにカシューオイルを出発原料とする樹脂を使用することが好ましい。具体的には、モノマーであるカシューオイル、オリゴマー、変性カシューオイルあるいは高分子量の重縮合体と有機化した層状粘土鉱物及びフルフラール等のアルデヒドを混合、加熱撹拌して調製する。本発明では、特にカシューオイルと層状粘土鉱物を使用して複合摩擦調整材とする工程は、層状粘土鉱物が微分散されやすくなるので好ましい。
複合摩擦調整材中の、前記カシュー樹脂に対する層状粘土鉱物粒子の配合比率は、1〜50質量%、好ましくは、1〜20質量%であることが好ましい。層状粘土鉱物粒子の配合比率が1質量%未満では耐熱性が向上せず、フェード現象が抑制されない。一方、50質量%を超えると、柔軟性がなくなり、摩擦材のノイズ抑制効果が小さくなる。
有機系基材として、カシュー樹脂以外に他の樹脂を併用しても差し支えない。併用する樹脂は特に限定されないが、フェノール樹脂が同じ硬化触媒を使用できるので有利である。混合比率は有機系基材全体に対しカシュー樹脂が50〜90質量%であることが好ましい。
複合摩擦調整材の製造は、撹拌機を備えた反応槽に原料のカシュー樹脂(カシューオイル又はそのオリゴマーも含む)、反応溶媒、有機化した層状粘土鉱物及びアルデヒドを投入し、10〜30℃で1〜6時間撹拌する。
反応溶媒は特に制限されないが、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、ジオキサン、メチルセロソルブ、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン、水あるいはそれらの混合物を使用することができる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどがある。
使用する原料の混合比率は、カシュー樹脂100質量部に対し、アルデヒド10〜30質量部、層状粘土鉱物1〜50質量部の範囲とすることが好ましい。反応溶媒の使用量は適宜決定すればよい。
触媒としてアミン系あるいは酸性の硬化触媒を添加し、1〜24時間撹拌すると層状粘土鉱物が均一に分散した架橋性樹脂が生成する。
更に、樹脂をオーブン中で150〜250℃で約1〜10時間硬化熱処理し、反応を終了させる。この段階でカシュー樹脂は層状粘土鉱物に挿入され、薄層化が完結する。このように、本発明の複合摩擦調整材では、層状粘土鉱物が薄層化されているので、フィラー表面積が著しく増大し、補強効果が大きくなる。従って、少量のフィラー含有率(3〜5wt%)でも特性を向上することができる。これに対し、特許文献1のようにマイカを薄層化せずに添加した場合、マイカ層間の碧開によりかえって強度低下を起こす場合がある。
本発明の複合摩擦調製材では、有機オニウムイオンによる層状粘土鉱物の有機化と複合樹脂の形成段階での撹拌により層状粘土鉱物の薄層化が促進され、薄層化前50〜200nmの層状粘土鉱物の厚みは、薄層化された後1〜50nmの範囲になり、層間距離(結晶間距離)は、大体3〜9nm以上となる。また、薄層化後の層状粘土鉱物のアスペクト比は20〜100の範囲にあることが好ましい。
本発明の最も好ましい実施態様としては、有機系基材の原料であるカシューオイルのオイル(単量体)又はオリゴマーを有機オニウムイオンにより層間が膨潤した層状粘土鉱物に挿入し、アルデヒドと縮合したカシュー樹脂が層状粘土鉱物に挿入され加熱硬化された複合摩擦調製材である。
本発明で得られた複合摩擦調整材は、最後に得られたカシュー樹脂と層状粘土鉱物からなる複合体を粉砕して複合摩擦調整材とする。粉砕された複合摩擦調整材の粒径は特に限定されるものではなく、摩擦材に要求される特性などに応じて当業者の裁量で定めることができるが、摩擦材原料混合時の分散性の悪化を避けるため、50〜2000μmであることが望ましく、平均粒径を100〜800μm程度にそろえることが更に望ましい。
本発明で得られた複合摩擦調整材は摩擦材の配合材として使用できる。摩擦材の配合に際しては、通常用いられる配合材が使用される。補強用の繊維基材としては、耐熱性有機繊維、無機繊維、金属繊維が使用される。前記した耐熱性有機繊維としては、例えば芳香族ポリアミド繊維、耐炎性アクリル繊維が使用され、無機繊維としては例えばチタン酸カリウム繊維やアルミナ繊維等のセラミック繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、ロックウール等が使用され、また金属繊維としては例えば銅繊維やスチール繊維が使用される。無機充填材としては、硫酸バリウムや炭酸カルシウム等の粒子が使用される。
結合材としては、例えばフェノール樹脂(ストレートフェノール樹脂、ゴム等による各種変性フェノール樹脂を含む)、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等が使用される。また、摩擦調整材としては、例えば、アルミナやシリカ、マグネシア、ジルコニア、銅、アルミニウム、亜鉛等の無機系摩擦調整材や、ゴム粉、樹脂粉等の有機系摩擦調整材が使用される。これらの摩擦調整材と本発明の複合摩擦調整材を併用して配合することは何ら問題なく、その配合比率は当業者の裁量により決定することが出来る。固体潤滑材としては、例えば、グラファイトや二硫化モリブデン等が使用される。
各種配合材の混合比率は、補強用の繊維基材が摩擦材全体の15〜40質量%、摩擦調整材が10〜25質量%、充填材が35〜70質量%、結合材が6〜24質量%とするのが好ましい。本発明の複合摩擦調整材は摩擦材全体の1〜15質量%が好ましい。
摩擦材の製造においては、周知の製造工程により行うことができ、例えば、予備成形、熱成形、加熱、研磨等の工程を経て摩擦材を作製することができる。ディスクブレーキ用摩擦パッドの製造工程の場合においては、板金プレスにより所定の形状に成形され、脱脂処理及びプライマー処理が施され、そして接着剤が塗布されたプレッシャプレートと、耐熱性有機繊維や無機繊維、金属繊維等の繊維基材と、無機・有機充填材、摩擦調整材及び結合材等の粉末原料とを配合し、撹拌により十分に均質化した原材料を常温にて所定の圧力で成形(予備成形)して作製した予備成形体とを、熱成形工程において所定の温度及び圧力を加えて両部材を一体に固着し、アフタキュァを行い、最終的に仕上げ処理を施す工程が行われており、このような工程により製造することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)複合摩擦調整材Aの調製
1リットルのビーカーに蒸留水350gとモンモリロナイト6.5gを加えて1時間撹拌した後、ジメチルジオクタデシルアンモニウム2.6gを加え、30℃で6時間撹拌した。撹拌液をろ過し残渣をデシケータ中で減圧乾燥して層状粘土鉱物の白色粉末を回収した。
次に、カシューオイル100g、フルフラール30gと上記で作製した白色粉末を混合し、30℃で3時間撹拌した。撹拌溶液にジメチル硫酸4gを加え10分間撹拌した後、30℃で24時間静置してゲル化させた。ゲル化終了後オーブン中で200℃、5時間硬化させ、冷却・粉砕分級し平均粒子径500μmの複合摩擦調整材Aを得た。
(実施例2)複合摩擦調整材Bの調製
上記モンモリロナイトの代わりに合成フッ素雲母(コープケミカル製ME−100)を使用した以外は実施例1と同様の製法により平均粒子径500μmの複合摩擦調整材Bを得た。
(比較例1)カシューダストの調製
1リットルのビーカー中で、カシューオイル100gとフルフラール30gを混合し、30℃で3時間撹拌した。撹拌溶液にジメチル硫酸4gを加え10分間撹拌した後、30℃で24時間静置してゲル化させた。ゲル化終了後オーブン中で200℃、5時間硬化させた後、冷却・粉砕し平均粒子径500μmのカシューダストを得た。
(比較例2)複合摩擦調整材Cの調製
1リットルのビーカー中で、カシューオイル100g、フルフラール30g及びモンモリロナイト6.5gを混合し、30℃で3時間撹拌した。その後、撹拌溶液にジメチル硫酸4gを加え10分間撹拌した後、30℃で24時間静置してゲル化させた。ゲル化終了後オーブン中で200℃、5時間硬化させた後、冷却・粉砕し平均粒子径500μmの複合摩擦調整材Cを得た。
(比較例3)複合摩擦調整材Dの調製
1リットルのビーカー中で、カシューオイル100g、フルフラール30g及び合成フッ素雲母(コープケミカル製ME−100)6.5gを混合し、30℃で3時間撹拌した。撹拌溶液にジメチル硫酸4gを加え10分間撹拌した後、30℃で24時間静置してゲル化させた。ゲル化終了後オーブン中で200℃、5時間硬化させた後、冷却・粉砕し平均粒子径500μmの複合摩擦調整材Dを得た。
(摩擦材の作製)
表1の配合材をミキサーで混合後、混合物を予備成形型に投入し常温、30Mpaで圧縮して予備成形を行った。次いで、予備成形体と、予め接着剤を塗布したプレッシャプレートとを熱成形型にセットし、150℃、40Mpaで5分間加熱圧縮成形を行った。得られた熱成形体を220℃、3時間熱処理を行い摩擦材を得た。
Figure 0005487411
(摩擦材の評価)
1)フェード試験
実施例1〜2および比較例1〜3の摩擦材からテストピースを切出し、テストピース摩擦試験機を用いてJASO−C406−82に準拠して試験を行い、第1フェードの最小摩擦係数と試験後の摩擦材摩耗量を比較した。
2)ブレーキ鳴き試験
実施例1〜2および比較例1〜3の摩擦材からテストピースを切出し、テストピース摩擦試験機を用いて初速度:5〜60km/h、減速度:0.49〜7.84m/sec、摩擦温度:20℃〜200℃、絶対湿度:5〜15g/mの条件を組合せたテストコードで試験を行い、音圧70db以上のブレーキ鳴きの発生した割合を比較した。
(試験結果)
これらの試験結果を第2表に示す。
Figure 0005487411
その結果、本発明の複合摩擦材を用いた実施例1及び2の摩擦材は比較例1〜3のそれらよりもフェードによる摩擦係数の低下が少なく、摩擦材摩耗量も低減することが出来た。また、実施例1〜2の摩擦材はブレーキ鳴きの発生もなく顕著な改良効果が認められた。
本発明の複合摩擦調整材は、従来のカシューダストと層状粘土鉱物からなる摩擦調整材に比べて格段に耐熱性及び機械的強度が向上している。従って、この複合摩擦調整材を含有する摩擦材は、フェード抑制、高温摩耗改善効果が大きく、低温域から高温域まで摩擦係数が安定化し、しかも静摩擦係数が小さくなるのでブレーキ鳴きが抑制され、高強度、高熱伝導率、高減衰率などの改良効果が認められ、摩擦材の製造工程に本発明により製造された複合摩擦調整材が採用される可能性は大きい。

Claims (4)

  1. 少なくとも有機系基材と層状粘土鉱物とからなる複合摩擦調整材であって、
    前記有機系基材の原料の一部又は全部がカシューオイル又はカシューオイル縮合物からなり、
    前記層状粘土鉱物がモンモリロナイト又はフッ素雲母であり、
    前記層状粘土鉱物の層間に有機オニウムイオンが挿入され層間距離が拡大した層状粘土鉱物が、薄層化されて該有機系基材中に分散していることを特徴とする複合摩擦調整材。
  2. 前記薄層化された層状粘土鉱物の厚みが1〜50nmであることを特徴とする請求項1に記載の複合摩擦調整材。
  3. 前記複合摩擦調整材の平均粒径が10μm〜5mmであることを特徴とする請求項1または2に記載の複合摩擦調整材。
  4. 補強繊維、摩擦調整材及び結合材を主成分とする摩擦材であって、請求項1〜のいずれか1項に記載の複合摩擦調整材を配合したことを特徴とする摩擦材。
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