JP5486325B2 - チェンソー - Google Patents

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Description

本発明は、チェンソーに関する。
従来、下記特許文献1に記載されるように、駆動力を伝達するための回転部を有する本体と、本体に装着されて本体の前方に延出するガイドバーと、回転部及びガイドバーの外縁部に沿って取り付けられる無終端状のソーチェンと、を備えるチェンソーにおいて、ガイドバーに連結されたチェン引き具と当該チェン引き具に螺合する調整ネジとによって、ガイドバーをソーチェンの張り方向に移動させる張り調整装置が知られている。
この装置では、チェン引き具は、その一端がガイドバーに設けられた穴に挿入され、その他端が調整ネジに螺合されている。そして、この調整ネジを回転させることにより、チェン引き具と共にガイドバーをソーチェンの張り方向に移動させ、ソーチェンの張力を調整可能としている。
特開2002−36203号公報
このようなチェンソーでは、ソーチェンの張り調整にあたりガイドバーを本体に仮装着する際、チェン引き具の位置をガイドバーの穴の位置に合わせる必要がある。しかしながら、上記の装置では、チェン引き具はソーチェンの張り方向に移動し得る構造であるため、チェン引き具の位置をガイドバーの穴の位置に合わせ難く、ガイドバーの仮装着作業が煩わしいという問題があった。
そこで本発明は、ガイドバーを容易に仮装着することができるチェンソーを提供することを目的とする。
本発明に係るチェンソーは、駆動力を伝達するための回転部(2)を有する本体(3)と、本体(3)に装着されて本体(3)の前方に延出するガイドバー(4)と、回転部(2)及びガイドバー(4)の外縁部に沿って取り付けられる無終端状のソーチェン(6)と、を備えるチェンソー(1)であって、ガイドバー(4)には、ガイドバー(4)を厚み方向に貫通すると共にガイドバー(4)の延出方向(A)に沿って延びる長孔部(4b)と、長孔部(4b)とは別にガイドバー(4)を厚み方向に貫通する孔部(4c)とが設けられ、本体(3)には、長孔部(4b)に挿入されてガイドバー(4)を延出方向(A)に案内するための案内突部(13)と、孔部(4c)に挿入され移動不能な突起(16)とが設けられ、突起(16)は、本体(3)に対して定位置にて出没可能であり、ガイドバー(4)の孔部(4c)内に位置する状態から突起(16)の軸方向に押し込まれ本体(3)内に没入した状態とされることで、ガイドバー(4)が延出方向(A)に移動可能とされることを特徴とする。
本発明に係るチェンソーでは、ガイドバー(4)に設けられた長孔部(4b)及び孔部(4c)の各々に、本体(3)に設けられた案内突部(13)及び突起(16)が挿入されて、ガイドバー(4)が本体(3)に仮装着される。ここで、案内突部(13)及び突起(16)の位置は、長孔部(4b)及び孔部(4c)の各々に予め対応しているため、位置合わせの手間を要せず、ガイドバー(4)を容易に仮装着することができる。そして、ソーチェン(6)の張り調整を行う際には、突起(16)が本体(3)内に押し込まれてガイドバー(4)の孔部(4c)から退避(離脱)した状態で、案内突部(13)によってガイドバー(4)が延出方向(A)に案内可能とされるため、ガイドバー(4)の延出方向(A)に沿う移動が支障なく行われる。
ここで、ガイドバー(4)の基部(4a)を覆うように本体(3)に取り付けられるチェンケース(7)を備え、チェンケース(7)は、ソーチェン張り調整用の係止突部(23)と、係止突部(23)を突起(16)に対応する初期位置(B)に移動させる移動手段(34)と、を有し、係止突部(23)は、移動手段(34)により初期位置(B)に移動された状態でガイドバー(4)の孔部(4c)に進入し、突起(16)を本体(3)内に押し込むことが好ましい。
このチェンソー(1)によれば、ガイドバー(4)を本体(3)に仮装着した後、ガイドバー(4)の基部(4a)を覆うようにして本体(3)にチェンケース(7)を取り付ける際、チェンケース(7)の係止突部(23)が、移動手段(34)により初期位置(B)に移動された状態でガイドバー(4)の孔部(4c)に進入し、突起(16)を本体(3)内に押し込む。このようにして、チェンケース(7)の取り付け作業において孔部(4c)に対する係止突部(23)の位置合わせが容易となる。
また、移動手段(34)は、ばね部材(32)を含む構成とすれば、このばね部材(32)によって、係止突部(23)を初期位置(B)に向けて付勢可能となり、上記した係止突部(23)の初期位置(B)への移動を簡易な構成で実現できる。
また、本体(3)には、ガイドバー(4)の延出方向(A)に沿って延びる溝部(14)が形成され、突起(16)は溝部(14)内に設けられ、係止突部(23)は溝部(14)内に進入し、延出方向(A)に移動可能とされている構成とすれば、ガイドバー(4)を移動させる際に孔部(4c)に挿入された係止突部(23)が、突起(16)を本体(3)内に押し込むと同時に溝部(14)内に進入し、溝部(14)内を延出方向(A)に移動可能となり、ソーチェン(6)の張り調整が支障なく行われる。
また、チェンケース(7)は、操作者の手を保護するためのハンドガード(40)を有し、係止突部(23)は、ハンドガード(40)に連結されてハンドガード(40)の動きと連動する構成とすれば、ハンドガード(40)を動かすことによって係止突部(23)を移動させることができ、これによってガイドバー(4)の移動が可能となるため、ソーチェン(6)の張り調整のための操作レバー等を別途設ける必要がなく部材の共用化が図られる。
本発明のチェンソーによれば、ガイドバーを容易に仮装着することができる。
本発明の実施形態に係るチェンソーの右側面図である。 図1のチェンソーを前方から見た図である。 図1のチェンソーを構成する本体の右側面図である。 図3のIV-IV線断面図である。 図3の本体にガイドバーを仮装着した状態を示す図である。 図5の本体に更にチェンケースを装着した状態における、VI-VI線断面図である。 図1中のチェンケースを内側から見た図である。 図7のチェンケースにおいてチェンブレーキが非作動の状態を示す図である。 図7のチェンケースにおいてチェンブレーキを作動させた状態を示す図である。 チェン張り部によるソーチェンの張り調整の動作概念図である。
以下、本発明の実施形態に係るチェンソーについて、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るチェンソーの右側面図、図2は、図1のチェンソーを前方から見た図、図3は、図1のチェンソーを構成する本体の右側面図である。
本実施形態のチェンソー1は、操作者により操作されて木材等の対象物を切るためのものであり、駆動力を伝達するための回転部2を有するチェンソー本体(本体)3と、チェンソー本体3に装着されてチェンソー本体3の前方(図1では右側)に延出するガイドバー4と、回転部2及びガイドバー4の外縁部に沿って取り付けられる無終端状のソーチェン6と、回転部2及びガイドバー4の基部4a(図5参照)を覆うようにチェンソー本体3に取り付けられるチェンケース7と、を備えている。本実施形態の説明においては、特に断らない限り、ガイドバー4の突出方向を前、チェンケース7の取り付け側を右とする。
回転部2は、チェンソー本体3に内蔵されたエンジンに連結されエンジンで生じた回転駆動力を伝達する略円筒形状のクラッチドラム2aと、クラッチドラム2aに設けられたスプロケット2bとを有している。ソーチェン6は、無終端状のチェーン6aに鋸刃6bを付けたものであり、このチェーン6aがスプロケット2bとガイドバー4の外周に掛け渡されている。
このようなチェンソー1では、操作者がフロントハンドル8を左手で握ると共にリヤハンドル9の把手部9aを右手で握り、エンジンを駆動させることでスプロケット2bを回転させ、ソーチェン6を、スプロケット2b及びガイドバー4の外周により形成されている略長円形状の周回軌道を移動させることによって、道具を引くことなく対象物を切ることが可能になっている。
図4は、図3のIV-IV線断面図である。図3及び図4に示すように、チェンソー本体3の右側面には、回転部2の前方側において、ガイドバー4の基部4a(図5参照)をチェンソー本体3に取り付けるためのガイドプレート10が設けられている。ガイドプレート10には、その上下方向の中央部の位置において、前後方向に互いに離間するガイドバー取付ボルト11(以下、単に「ボルト11」ともいう)及びボルト12が、ガイドプレート10の表面10aに対して垂直に突出するようにして並設されている。
更に、ガイドプレート10には、ガイドバー取付ボルト11及びボルト12の並設位置よりも下側において、ガイドバー4の延出方向Aに沿って延び、所定の上下幅を有する溝(溝部)14が形成されている。
また、溝14内の後端部(図3の左側端部)には、先端側が閉じられた略円筒形状のキャップ(突起)16が、表面10aに対して垂直を成すように配置されており、このキャップ16の基端側(底部側)で溝14内には、当該キャップ16を外方へ付勢する圧縮スプリング17が設けられている。この状態で、キャップ16の先端側は、表面10aより所定長さ外方へ突出するように構成されている。
そして、このキャップ16は、後述するチェンケース7のボス(係止突部)23により、キャップ16の先端から基端に向けての押圧力を受けると、ガイドプレート10内に押し込まれてその先端が表面10aよりも内側に退避する(図6参照)。このように、キャップ16は、チェンソー本体3内に押込可能とされている。
図5は、図3の本体3にガイドバー4を仮装着した状態を示す図である。図5に示すように、ガイドバー4には、ガイドバー4を厚み方向に貫通すると共にガイドバー4の延出方向Aに沿って延び、所定の上下幅を有する長孔部4bと、長孔部4bとは別に当該長孔部4bよりも下方の位置でガイドバー4を厚み方向に貫通する円形状の孔部4cとが設けられている。これらの長孔部4b及び孔部4cは、上記したボルト11,12及びキャップ16に対応する位置にそれぞれ設けられており、図5に示すガイドバー4の仮装着状態では、ボルト11,12は長孔部4bに挿入され、キャップ16は孔部4cに挿入される。
上記構成により、キャップ16がチェンソー本体3から突出した状態となるガイドバー4の仮装着時には、当該キャップ16と、ボルト11,12とによって、ガイドバー4が3点(上下方向で見ると2点)で支持され、ガイドバー4が前方向に倒れたりガイドプレート10から脱落したりすることが防止され、仮装着時におけるガイドバー4の姿勢を安定にできる。また、キャップ16がチェンソー本体3内に押し込まれた状態では、ガイドバー4は、ボルト11,12及び長孔部4bにより案内され、ガイドプレート10上に摺接しながら延出方向Aに沿って移動できる。
斯くの如く、ガイドバー取付ボルト11及びボルト12により、長孔部4bに挿入されてガイドバー4を延出方向Aに案内するための案内突部13が構成されている。
また、図6に示すように、チェンソー本体3にチェンケース7が取り付けられ、ガイドバー取付ボルト11とナット18とが締結されることにより、ガイドバー4は、ガイドプレート10及びチェンケース7によって挟持固定される。なお、ソーチェン6を張り調整する場合には、ナット18を緩めることにより、ガイドバー4の姿勢を保持しつつガイドバー4の延出方向Aに沿う移動を許容することができる。
図7は、図1中のチェンケース7を内側から見た図、図8は、図7のチェンケース7においてチェンブレーキが非作動の状態を示す図、図9は、図7のチェンケース7においてチェンブレーキを作動させた状態を示す図である。
図7〜図9に示すように、チェンケース7は、チェンソー本体3の右側面に取り付けられるケース本体20を備え、当該ケース本体20の上部に回動支持部41を介して回動可能に連結され操作者の手を保護するためのハンドガード40を有している(図1、図2も参照)。
このチェンケース7は、チェンソー1の使用中に回転部2の回転を停止するためのブレーキ機構であるチェンブレーキ46と、ソーチェン6の張力を初期調整するための張り調整機構であるチェン張り部21(図10参照)とを備えている。
ハンドガード40は、チェンブレーキ46を操作する機能を有すると共に、チェン張り部21の一部である操作レバーとしての機能を有している。このハンドガード40は、回動支持部41を中心として所定の範囲を回動可能とされており、ハンドガード40の右側面内側に設けられてチェンソー1の幅方向に所定長さ突出する丸棒状の第1ピン42及び第2ピン43を有している。
第1ピン42は、図7において実線で示す通常の使用状態を基準として、ハンドガード40の前方側に配置され、第2ピン43は、第1ピン42よりも後方且つ僅かに上方に配置されている(図8参照)。第1ピン42は、チェンブレーキ46のブレーキを解除し、更には、ソーチェン6を張るためのものである。また、第2ピン43は、チェンブレーキ46のブレーキを作動させるためのものである。以下、チェンブレーキ46及びチェン張り部21について説明する。
まず、チェンブレーキ46について説明する。図8に示すように、チェンブレーキ46は、第2ピン43又は第1ピン42からの押圧作用を受けて軸48を中心に回動させられブレーキの作動又は解除を行うためのブレーキレバー47と、ブレーキレバー47の基端側にその一端が連結されたリンク50と、円筒形状のスプリング収容部51内に配置され、リンク50の他端側に押圧力を与える圧縮コイルばねであるブレーキスプリング52と、ブレーキスプリング52の伸張に伴い回転部2(図5参照)を制動するブレーキリング53とを有している。
ブレーキレバー47は、軸48よりも上部に延びたピン当接部49が、第1ピン42及び第2ピン43の間に位置するように設けられており、ハンドガード40の下降操作に伴い第2ピン43により上方から摺接状態で押し下げられることによりブレーキを作動させ、一方、ハンドガード40の上昇操作に伴い第1ピン42により下方から摺接状態で押し上げられることによりブレーキを解除させる。
ここで、第1ピン42の回動中心は回動支持部41であり、ピン当接部49の回動中心は軸48であることにより、第1ピン42の回動軌跡とピン当接部49先端の回動軌跡とは、ブレーキレバー47のブレーキ解除位置付近で交差するようになっている(図9の位置P参照)。そのため、ハンドガード40の上昇操作によって、ピン当接部49先端より下方に位置する第1ピン42により押し上げられたブレーキレバー47は、その後、位置Pにおいて第1ピン42から離脱する構成とされている。
ブレーキリング53は、回転部2(図5参照)のクラッチドラム2aの外周に着脱自在に巻回された部材であり、一端がブレーキスプリング52の先端側(上端側)に接続され、他端がブレーキスプリング52の基端側に固定されている。このブレーキリング53は、図8に示すブレーキ非作動状態では、クラッチドラム2aから離隔されて回転部2の回転を許容し、図9に示すブレーキ作動状態では、ブレーキスプリング52の伸張に従いクラッチドラム2aを締め付けて回転部2を制動する。
ここで、ブレーキスプリング52は、ブレーキ非作動又は作動のいずれの状態においても、その位置(姿勢)を保持するようになっている。よって、ハンドガード40の下降操作又は上昇操作によってチェンブレーキ46のブレーキを作動又は解除するためには、ブレーキスプリング52の姿勢保持力を上回る程度の強い力でハンドガード40を操作すれば良い。なお、上記チェンブレーキ46では、チェンソー1使用時の跳ね返り現象である所謂キックバックが発生した場合にハンドガード40が左手により強く押し下げられ、チェンソー1が非常停止するようになっている。
続いて、チェン張り部21について、図10も参照しながら説明する。図10は、チェン張り部21によるソーチェン6の張り調整の動作概念図である。図10に示すように、チェン張り部21は、操作者により操作される操作レバーとしてのハンドガード40と、チェンケース7の内側面に設けられた内側カバー19(図6及び図7参照)の開口部25(図7参照)からチェンソー本体3に向けて突出し、ガイドバー4の孔部4c(図5参照)に進入するソーチェン張り調整用のボス23と、ボス23をハンドガード40に連結する連結部24とを有している。これらのハンドガード40、ボス23、及び連結部24は、チェンケース7に一体のユニットとして設けられている。
ボス23は、チェンケース7の内側カバー19から所定長さだけ突出している。このボス23は、その突出長さが、図6に示すようにガイドバー4の厚みよりも長くされ、チェンケース7をチェンソー本体3に装着した状態でガイドバー4の孔部4cに進入し、更には、キャップ16が設けられた溝14内に進入するようになっている。
連結部24は、その上端がハンドガード40の第1ピン42に接続された引張コイルばねである連結スプリング26と、その一端が連結スプリング26の下端に連結され軸29を中心に回動自在に設けられた第1リンク27と、第1リンク27の他端に対し連結軸31を介して回動可能に連結され、前方の端部に前述したボス23が設けられた第2リンク28とを有している。
連結スプリング26は、その上端部において、コイルばね部分の軸線よりも後方に屈曲したU字部26aを有している(図7、図10参照)。このU字部26aは、コイルばね部分から延びる線材とU字状に折り返された線材とにより形成されており、折り返された線材の終端はコイルばね部分の上端付近まで戻ると共に当該上端からは所定距離だけ離間している。そして、このU字部26a内に、上記した第1ピン42が遊嵌配置され、U字部26a内を長手方向に往復移動可能とされている。
図7において実線で示される通常の使用状態では、ハンドガード40の第1ピン42はU字部26a内の長手方向中央部に位置しているが、仮想線で示すように、ハンドガード40の上昇操作に伴い第1ピン42がU字部26a内を上昇し、U字部26aの長手方向上端部内側に係合する。この係合により、連結スプリング26は第1ピン42により引っ張り上げられるようになっている。
なお、第1ピン42がU字部26aの長手方向上端部内側に係合する位置は、上述したブレーキレバー47の第1ピン42からの離脱位置P(第1ピン42の回動軌跡とピン当接部49先端の回動軌跡とが交差する位置P;図9参照)と同程度の位置とされている。これによって、ソーチェン6の張り作業時(図10の仮想線から実線への移動時)には、第1ピン42はブレーキレバー47に干渉せず、張り作業が支障なく行われる。
連結部24を構成する第1リンク27は、その上端27aが連結スプリング26の下端に対し回転自在に連結され、軸29の位置を屈折点として前方に向けて上方に傾くように屈折している。この第1リンク27は、連結スプリング26からの引張力を受けて図10の反時計回りに回動し、第2リンク28と共にボス23を前方(図10の延出方向A)に押し出す。
第2リンク28は、図8及び図9に示すように、ケース本体20の内側において溝状に形成されたガイド部22により案内されて、ガイド部22内を前後方向に移動可能に設けられている。ガイド部22の後端及び前端には、第2リンク28の移動範囲を規制するための後方壁36及び前方壁37が形成されている。
ここで、上記第1リンク27には、ボス23を図8に実線で示す初期位置Bに移動するためのねじりばね(ばね部材)32が取り付けられている。より詳しくは、ねじりばね32は、その一端がケース本体20の内側に形成された係止部33に係止され、軸29の周りを下側から一又は複数巻きした上で、他端が第1リンク27の下部27bに対し前方から引っ掛けられている。
このような構成により、チェン張り部21では、ねじりばね32により第1リンク27の下部27bが後方に付勢されて後方壁36に当接すると共に、この状態でボス23が初期位置Bに位置する。この初期位置Bは、チェンケース7をチェンソー本体3に装着する際にチェンソー本体3に設けられたキャップ16(図3、図5参照)に対面する位置となっている。そして、これらの第1リンク27、第2リンク28、ガイド部22、ねじりばね32、及び後方壁36を含んで、ボス23を初期位置Bに移動させる移動手段34が構成されている。
従って、ボス23は、ハンドガード40に連結されてハンドガード40の動きと連動し、移動手段34による後方への付勢力に抗して、ソーチェン6を張るために必要な最低限の前進位置であるチェン最短位置Cや、このチェン最短位置Cから、前方壁37により規制される最前位置に至るまでの所定範囲の調整位置Dを移動可能とされている(図8参照)。
以上の構成を有するチェンケース7では、ガイドバー4をチェンソー本体3に仮装着するにあたって、ガイドバー4に設けられた長孔部4b及び孔部4cの各々に、チェンソー本体3に設けられた案内突部13(ボルト11,12)及びキャップ16を挿入する。ここで、案内突部13及びキャップ16の位置は、長孔部4b及び孔部4cの各々に予め対応しているため、位置合わせの手間を要せず、ガイドバー4を容易に仮装着することができる。
そして、チェンケース7を、図1に示すようにチェンソー本体3に取り付けることにより、移動手段34により初期位置Bに移動された状態のボス23が、ガイドバー4の孔部4c及びチェンソー本体3の溝14に進入し、キャップ16をチェンソー本体3内に押し込む(図6参照)。
キャップ16は、このように、チェンソー本体3内に押し込まれることによりガイドバー4の孔部4cから退避(離脱)しているため、案内突部13によってガイドバー4を延出方向Aに案内しながらソーチェン6の張り調整を行うことができる。
より詳しくは、ハンドガード40を上方に向けて回動操作することにより、この操作に連動してガイドバー4の孔部4cに進入したボス23が溝14内を延出方向Aに移動するため、このボス23と共にガイドバー4が、延出方向Aであってソーチェン6を張る方向に移動する(図10参照)。そして、ソーチェン6を所定の張力に張り終えた後、ナット18を締めてガイドバー4を挟持固定する。
以上説明した本実施形態のチェンソー1によれば、チェンソー本体3に設けられた案内突部13(ボルト11,12)及びキャップ16の位置は、長孔部4b及び孔部4cの各々に予め対応しているため、位置合わせの手間を要せず、ガイドバー4を容易に仮装着することができ、また、ソーチェン6の張り調整を行う際には、キャップ16がチェンソー本体3内に押し込まれてガイドバー4の孔部4cから退避(離脱)した状態で、案内突部13によってガイドバー4が延出方向Aに案内可能とされるため、ガイドバー4の延出方向Aに沿う移動が支障なく行われる。
また、チェンソー本体3にチェンケース7を取り付ける際、チェンケース7のボス23が、移動手段34により初期位置Bに移動された状態でガイドバー4の孔部4cに進入し、キャップ16をチェンソー本体3内に押し込むため、チェンケース7の取り付け作業において孔部4cに対するボス23の位置合わせが容易となる。
また、移動手段34は、ねじりばね32を含むため、ねじりばね32によって、ボス23を初期位置Bに向けて付勢可能となり、上記したボス23の初期位置Bへの移動を簡易な構成で実現できる。
また、ガイドバー4を移動させる際に孔部4cに挿入されたボス23が、キャップ16をチェンソー本体3内に押し込むと同時に溝14内に進入し、溝14内を延出方向Aに移動可能となり、ソーチェン6の張り調整が支障なく行われる。
また、ハンドガード40を動かすことによってボス23を移動させることができ、これによってガイドバー4の移動が可能となるため、ソーチェン6の張り調整のための操作レバー等を別途設ける必要がなく部材の共用化が図られる。
また、ガイドバー4の仮装着位置を容易に決定できるため、従来のように、ガイドバーにソーチェンを取り付けた後にガイドバーを前方に引いてチェンケース側のソーチェン張り用部品をガイドバーの孔に合わせるといった手間がかかる作業を必要とせず、ガイドバー4の取付性が向上すると共に安全性も向上する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では、ボス23のチェンケース7からの突出長さがガイドバー4の厚みよりも長くされている場合(図6参照)について説明したが、ガイドバー4の厚みと同程度とされてもよい。この場合、チェンケース7をチェンソー本体3に装着した状態でもボス23はガイドバー4の孔部4cに進入するのみでガイドプレート10には突き当たらないため、ガイドプレート10に溝14を設けなくてもガイドバー4の延出方向Aへの移動が可能となる。
1…チェンソー、2…回転部、3…チェンソー本体、4…ガイドバー、4a…基部、4b…長孔部、4c…孔部、6…ソーチェン、7…チェンケース、13…案内突部、14…溝(溝部)、16…キャップ(突起)、23…ボス(係止突部)、32…ねじりばね(ばね部材)、34…移動手段、40…ハンドガード、A…延出方向、B…初期位置。

Claims (5)

  1. 駆動力を伝達するための回転部(2)を有する本体(3)と、前記本体(3)に装着されて前記本体(3)の前方に延出するガイドバー(4)と、前記回転部(2)及び前記ガイドバー(4)の外縁部に沿って取り付けられる無終端状のソーチェン(6)と、を備えるチェンソー(1)であって、
    前記ガイドバー(4)には、前記ガイドバー(4)を厚み方向に貫通すると共に前記ガイドバー(4)の延出方向(A)に沿って延びる長孔部(4b)と、前記長孔部(4b)とは別に前記ガイドバー(4)を厚み方向に貫通する孔部(4c)とが設けられ、
    前記本体(3)には、前記長孔部(4b)に挿入されて前記ガイドバー(4)を前記延出方向(A)に案内するための案内突部(13)と、前記孔部(4c)に挿入され移動不能な突起(16)とが設けられ、
    前記突起(16)は、前記本体(3)に対して定位置にて出没可能であり、前記ガイドバー(4)の前記孔部(4c)内に位置する状態から前記突起(16)の軸方向に押し込まれ前記本体(3)内に没入した状態とされることで、前記ガイドバー(4)が前記延出方向(A)に移動可能とされることを特徴とするチェンソー。
  2. 前記ガイドバー(4)の基部(4a)を覆うように前記本体(3)に取り付けられるチェンケース(7)を備え、
    前記チェンケース(7)は、ソーチェン張り調整用の係止突部(23)と、前記係止突部(23)を前記突起(16)に対応する初期位置(B)に移動させる移動手段(34)とを有し、
    前記係止突部(23)は、前記移動手段(34)により前記初期位置(B)に移動された状態で前記ガイドバー(4)の前記孔部(4c)に進入し、前記突起(16)を前記本体(3)内に押し込むことを特徴とする請求項1記載のチェンソー。
  3. 前記移動手段(34)は、ばね部材(32)を含むことを特徴とする請求項2記載のチェンソー。
  4. 前記本体(3)には、前記ガイドバー(4)の延出方向(A)に沿って延びる溝部(14)が形成され、
    前記突起(16)は前記溝部(14)内に設けられ、前記係止突部(23)は前記溝部(14)内に進入し、前記延出方向(A)に移動可能とされていることを特徴とする請求項2又は3記載のチェンソー。
  5. 前記チェンケース(7)は、操作者の手を保護するためのハンドガード(40)を有し、
    前記係止突部(23)は、前記ハンドガード(40)に連結されて前記ハンドガード(40)の動きと連動することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項記載のチェンソー。
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