JP5484769B2 - 摺動式等速自在継手およびその製造方法 - Google Patents

摺動式等速自在継手およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば4WD車やFR車などの自動車で使用されるプロペラシャフトやドライブシャフト等の動力伝達軸に組み込まれ、駆動軸と被駆動軸との間で角度変位および軸方向変位を可能にした摺動式等速自在継手およびその製造方法に関する。
例えば4WD車やFR車などの自動車で使用されるプロペラシャフトは、トランスミッションとディファレンシャル間の相対位置変化による角度変位に対応できる構造とするためにクロスグルーブ型と称される摺動式等速自在継手を具備するものがある。この等速自在継手は、通常、車両全体の重量軽減という観点から、軽量で、しかも回転バランスおよび振動特性がよく、また、衝突時の軸方向衝撃によるトランスミッションとディファレンシャル間の軸方向変位を吸収できる構造を採用している。
クロスグルーブ型等速自在継手は、図9および図10に示すように外輪110、内輪120、ボール130およびケージ140を主要な構成要素とし、内輪120、ボール130およびケージ140からなる内部要素を外輪110に軸方向変位可能に収容した構造を具備する。
外輪110は、軸方向に延びる複数の直線状トラック溝112が軸線に対して交互に逆方向に傾斜した状態で内周面114に形成されている。内輪120は、軸方向に延びる複数の直線状トラック溝122が軸線に対して外輪110のトラック溝112と反対方向に傾斜した状態で外周面124に形成されている(図11参照)。なお、図11は、外輪110の内周面114および内輪120の外周面124を展開したもので、外輪110のトラック溝112を実線で示し、内輪120のトラック溝122を破線で示している。
ボール130は、外輪110のトラック溝112と内輪120のトラック溝122との交差部に組み込まれて両者間でトルクを伝達する。ケージ140は、外輪110の内周面114と内輪120の外周面124との間に介在してボール130をポケット142で保持する。
この種の等速自在継手をプロペラシャフトに組み込んだ場合、自動車に衝撃が生じたとき、その衝撃を受けたシャフトを介して、内輪120、ボール130およびケージ140からなる内部要素が外輪110に対して軸方向にスライド移動しようとする。このスライド移動により、トランスミッションとディファレンシャルとの間の軸方向変位が吸収され、ディファレンシャルを介して車体に入力する衝撃力が低減され、車体に生じる衝撃が大幅に低減して安全性が向上する。
前述した構成を具備する等速自在継手は、図9に示すようにケージ140の最小内径を内輪120の最大外径よりも小さく設定することにより、ケージ140と内輪120の干渉により軸方向変位量を規制するフロートタイプと、図示しないが、ケージの最小内径を内輪の最大外径よりも大きく設定することにより、ボールとケージの干渉により軸方向変位量を規制するノンフロートタイプの二種類に大別される。
また、前述したクロスグルーブ型等速自在継手では、従来から6個ボールタイプのものがよく知られているが、より一層の高性能化を図るため、近年では10個ボールタイプのものが開発され、摺動ストロークを多くとっても最大作動角が小さくならず、作動角をとった時の引掛かりが少なく、かつ、等速性に優れた等速自在継手が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2006−266423号公報 特開2006−266424号公報
ところで、前述したフロートタイプで10個ボールの等速自在継手では、図9に示すようにケージ140の最小内径を内輪120の最大外径よりも小さく設定していることから、通常の6個ボールタイプの等速自在継手の場合と同様、図12および図13(a)(b)に示すように外輪110に対して内輪120およびケージ140からなる内部部品を傾けた状態でボール130をケージ140のポケット142に組み込むようにしている。従来、10個ボールの等速自在継手では、図12の矢印で示すようにボール130を1個ずつケージ140のポケット142に組み込んでいる。
ここで、外輪110に対して内輪120およびケージ140を傾けた状態、つまり、内輪120が組み込み作動角θをとった状態では、ケージ140のポケット142に収容されたボール130は、図14(a)の破線で示すようにその位相位置(図10参照)によりポケット142内を周方向に移動する。そのボール130の周方向移動量Lは、図15に示すようにボール130の位相によって異なる。また、このボール130の周方向移動量Lは、内輪120の組み込み作動角によっても異なる。
なお、図15はボール130の位相に対する周方向移動量を示し、図中の実線mは、外輪110および内輪120に形成された複数のトラック溝112,122のうち、周方向で1つおきに配置されて同一方向に傾斜したトラック溝112,122での周方向移動量を示し、図中の破線nは、周方向で1つおきに配置されて前記トラック溝112,122とは逆向きで同一方向に傾斜したトラック溝112,122での周方向移動量を示す(図11参照)。
従って、外輪110に対して内輪120およびケージ140を傾けた状態でボール130をケージ140のポケット142に組み込む際、そのボール130を組み込む位相以外の位相にあるボール130がポケット142内での周方向移動によりポケット142間の柱部144と干渉しないように、図14(a)(b)に示すようにポケット142の周方向長さWを設定するようにしている。
一方、クロスグルーブ型等速自在継手では、隣接するトラック溝112,122が逆方向に傾斜した状態で配設されているため(図11参照)、隣接するトラック溝112,122でケージ140のポケット142間の柱部144を押す力が逆方向に発生し、その柱部144に大きな応力がかかることになる。そこで、ケージ140の強度を確保するため、ケージ140の柱部144の周方向長さKを大きくする必要がある〔図14(b)参照〕。
しかしながら、10個ボールの等速自在継手では、6個ボールの等速自在継手と比較してボール個数が多く、ケージ140の柱部144の周方向長さKが小さくなる傾向にある。そのため、ケージ140のポケット142の周方向長さWをできるだけ小さくすることが望ましい。
このように、ケージ140のポケット142の周方向長さWを小さくすると、ケージ140の柱部144の周方向長さKが大きくなってケージ140の強度が向上するが、ケージ140のポケット142の周方向長さWを小さくしたことにより、外輪110に対して内輪120およびケージ140を傾けた状態でボール130をケージ140のポケット142に組み込む際、そのボール130を組み込む位相以外の位相にあるボール130がポケット142内での周方向移動によりポケット142間の柱部144と干渉し易くなり、ボール130の組み込み性が大幅に低下するという問題が発生する。
また、6個ボールの等速自在継手の場合、外輪110に対して内輪120およびケージ140を傾けた状態でボール130をケージ140のポケット142に組み込む際、図13(b)に示すようにその内輪120およびケージ140の傾け角度(内輪120の組み込み作動角θ)をできるだけ小さく設定することで、そのボール130を組み込む位相以外の位相にあるボール130の周方向移動量Lを小さくすることができる。
しかしながら、10個ボールの等速自在継手の場合、ボール130のピッチ配置の関係から、ボール130を1箇所ずつ組み込む方法では、ボール130を組み込む位相以外の位相にあるボール130の周方向移動量L〔図14(a)参照〕が大きくなり、ケージ140のポケット142の周方向長さWが大きくなり、ケージ140の柱部144の周方向長さKが小さくなってケージ140の強度を確保することが困難となる。また、ボール130が10個の場合、ボール130を1個ずつ組み込んでいたのでは、10回のボール組み込みが必要となり、作業が煩雑となって作業性が低下する。
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、ボールの組み込み時の作業性を向上させると共にケージの強度を向上させ得る摺動式等速自在継手およびその製造方法を提供することにある。
前述の目的を達成するための技術的手段として、本発明は、内周面に複数のトラック溝が軸線に対して交互に逆方向に傾斜した状態で形成された外側継手部材と、外周面に複数のトラック溝が軸線に対して外側継手部材のトラック溝と反対方向に傾斜した状態で形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との交差部に組み込まれてトルクを伝達する10個のボールと、外側継手部材の内周面と内側継手部材の外周面との間に介在してボールをポケットに収容した状態で保持するケージとを備え、ケージの最小内径を内側継手部材の最大外径よりも小さく設定したクロスグルーブ型等速自在継手の製造方法であって、内側継手部材の外周面で軸線に対して交互に逆方向に傾斜した状態で隣接するトラック溝が拡開する側がボール組込側となるように内側継手部材およびケージを外側継手部材に対して傾け、内側継手部材の隣接するトラック溝と対応する2つのポケットに2個のボールを同時に組み込むことを特徴とする。
また、本発明は、内周面に複数の直線状トラック溝が軸線に対して傾斜した状態で形成された外側継手部材と、外周面に複数の直線状トラック溝が軸線に対して外側継手部材のトラック溝と反対方向に傾斜した状態で形成された内側継手部材と、外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との交差部に組み込まれてトルクを伝達する10個のボールと、前記外側継手部材の内周面と内側継手部材の外周面との間に介在してボールをポケットに収容した状態で保持するケージとを備え、ケージの最小内径を内側継手部材の最大外径よりも小さく設定したクロスグルーブ型等速自在継手であって、内側継手部材の外周面で軸線に対して交互に逆方向に傾斜した状態で隣接するトラック溝が拡開する側がボール組込側となるようにトラック溝と対応する2つのポケットに2個のボールが同時組み込み可能で、ボールを組み込む位相以外の位相にあるボールがポケット内での周方向移動によりポケット間の柱部と干渉しないように、ボールを1個ずつ組み込む場合のボールのポケット内での周方向移動量が最大となる36°位相での周方向移動量よりも小さくした2個ボール同時組み込み時の18°位相での周方向移動量に合わせて、ケージのポケットの周方向長さを設定したことを特徴とする。
本発明では、ケージの最小内径を内側継手部材の最大外径よりも小さく設定した摺動式等速自在継手、つまり、フロートタイプのクロスグルーブ型等速自在継手に適用することから、外側継手部材に対して内側継手部材およびケージを傾けた状態でケージのポケットにボールを組み込むことになる。このボールの組み込み時、内側継手部材の外周面で隣接するトラック溝が拡開する側がボール組込側となるように内側継手部材およびケージを傾け、内側継手部材の隣接するトラック溝と対応する2つのポケットに2個のボールを同時に組み込むことにより、ポケット内でのボールの周方向移動量が小さくなることから、ケージの柱部の周方向長さを大きく設定することができ、ケージの強度を向上させることができる。また、ボールを2個ずつ組み込むことができるので、ボールの組み込み回数を半減させることができ、ボールの組み込み性を向上させることも可能である。
本発明は、外側継手部材がディスク形状で10個ボールの摺動式等速自在継手に適用することが望ましい。6個ボールの等速自在継手の場合と比較して、10個ボールの等速自在継手ではボール個数が多くなる分、ボールの組み込み時の作業性を向上させると共にケージの強度を向上させる点で有効となる。
また、本発明における内側継手部材の外周面は外球面部を有すると共にケージの内周面は内側継手部材の外球面部と摺接する内球面部を有し、内側継手部材の外球面部およびケージの内球面部は継手中心に対して軸方向にオフセットされていることが望ましい。このように内側継手部材の外球面部およびケージの内球面部が継手中心に対して軸方向にオフセットされていれば、必要なスライド量を確保しつつ、ボールが端部に移動した際の内側継手部材のトラック深さを確保することができるため、負荷容量の低下を防ぐことができる点で有効である。
さらに、本発明における外側継手部材のトラック溝の中心線とその外側継手部材の軸線との交差角、および内側継手部材のトラック溝の中心線とその内側継手部材の軸線との交差角が、4°以上10°以下であることが望ましい。このように交差角が4°以上10°以下であれば、作動角をとった時の引掛かりが少なく、等速性に優れている点で有効である。なお、交差角が4°よりも小さいと、作動角をとった時の引掛かり現象が発生し易くなり、車両組み付け作業性が悪化することになる。交差角が10°よりも大きいと、隣り合うトラック溝間に形成される外輪内径および内輪外径の端面における幅が非常に狭くなり、強度低下を招くおそれがある。
本発明によれば、外側継手部材に対して内側継手部材およびケージを傾けた状態でケージのポケットにボールを組み込むに際して、内側継手部材の外周面で隣接するトラック溝が拡開する側がボール組込側となるように内側継手部材およびケージを傾け、内側継手部材の隣接するトラック溝と対応する2つのポケットに2個のボールを同時に組み込むことにより、ポケット内でのボールの周方向移動量が小さくなることから、ケージの柱部の周方向長さを大きくすることができ、ケージの強度を向上させることができる。また、ボールを2個ずつ組み込むことができるので、ボールの組み込み回数を半減させることができ、ボールの組み込み性を向上させることも可能である。その結果、ボールの組み込み時の作業性を向上させることで製品のコスト低減が図れると共に、ケージの強度を向上させることで耐久性に優れた長寿命の等速自在継手を提供できる。
本発明の実施形態で、フロートタイプのクロスグルーブ型等速自在継手の概略構成を示す断面図である。 本発明の実施形態で、図1の等速自在継手を示す側面図である。 本発明の実施形態で、外輪および内輪に形成されたトラック溝を示す展開図である。 本発明の実施形態で、ボールを組み込むために作動角をとった状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態で、(a)はボールを組み込むために作動角をとった状態を示す側面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。 本発明の実施形態で、(a)はケージのポケットおよびボールを示す平面図、(b)はケージを示す部分拡大断面図である。 本発明方法と従来方法とを比較したもので、ボールのポケット内での周方向移動量を示す特性図である。 図7のX部分の拡大図である。 従来におけるフロートタイプのクロスグルーブ型等速自在継手の概略構成を示す断面図である。 従来において、図9の等速自在継手を示す側面図である。 従来における外輪および内輪に形成されたトラック溝を示す展開図である。 従来において、ボールを組み込むために作動角をとった状態を示す斜視図である。 従来において、(a)はボールを組み込むために作動角をとった状態を示す側面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。 従来において、(a)はケージのポケットおよびボールを示す平面図、(b)はケージを示す部分拡大断面図である。 従来において、ボールのポケット内での周方向移動量を示す特性図である。
本発明に係る摺動式等速自在継手およびその製造方法の実施形態を詳述する。なお、以下の実施形態では、摺動式等速自在継手の一つであるクロスグルーブ型等速自在継手で、フロートタイプのものに適用した場合について説明する。
図1および図2に示す実施形態の等速自在継手は、外側継手部材である外輪10、内側継手部材である内輪20、ボール30およびケージ40を主要な構成要素とし、内輪20、ボール30およびケージ40からなる内部要素を外輪10に軸方向変位可能に収容した構造を具備する。この実施形態は、ケージ40の最小内径を内輪20の最大外径よりも小さく設定することにより、ケージ40と内輪20の干渉により軸方向変位量を規制するフロートタイプで、外輪10がディスク形状を有する10個ボールの等速自在継手を例示する。
外輪10は、軸方向に延びる複数の直線状トラック溝12が軸線に対して交互に逆方向に傾斜した状態で内周面14に形成されている。内輪20は、外輪10の内周に位置し、外輪10のトラック溝12と同数で軸方向に延びる直線状トラック溝22が軸線に対して外輪10のトラック溝12と反対方向に傾斜した状態で外周面24に形成されている(図3参照)。なお、図3は、外輪10の内周面14および内輪20の外周面24を展開したもので、外輪10のトラック溝12を実線で示し、内輪20のトラック溝22を破線で示している。
これら外輪10および内輪20のトラック溝12,22は、交互に逆方向に傾斜した状態で周方向の複数箇所に形成されていることから、外輪10および内輪20に形成された複数のトラック溝12,22のうち、周方向で1つおきに同一方向に傾斜したトラック溝12,22が配置され、そのトラック溝12,22とは逆向きで同一方向に傾斜したトラック溝12,22が周方向で1つおきに配置されている。
外輪10のトラック溝12の中心線とその外輪10の軸線との交差角α、および内輪20のトラック溝22の中心線とその内輪20の軸線との交差角αが、4°以上10°以下としている(図3参照)。交差角αをこのような範囲とすることにより、作動角をとった時の引掛かりが少なく、等速性に優れているジョイントとなる。なお、交差角αが4°よりも小さいと、作動角をとった時の引掛かり現象が発生し易くなり、車両組み付け作業性が悪化することになる。交差角αが10°よりも大きいと、隣り合うトラック溝間に形成される外輪内径および内輪外径の端面における幅が非常に狭くなり、強度低下を招くおそれがある。
また、内輪20の外周面24は外球面部24aを有すると共にケージ40の内周面46は内輪20の外球面部24aと摺接する内球面部46aを有し、内輪20の外球面部24aは継手中心Oに対して軸方向に等距離Fだけオフセットされ、ケージ40の内球面部46aは継手中心Oに対して軸方向に等距離fだけオフセットされている(図1参照)。このように内輪20の外球面部24aおよびケージ40の内球面部46aが継手中心Oに対して軸方向にオフセットされていることで、必要なスライド量を確保しつつ、ボールが端部に移動した際の内側継手部材のトラック深さを確保することができるため、負荷容量の低下を防ぐことができる。
ボール30は、外輪10のトラック溝12と内輪20のトラック溝22との交差部に組み込まれて両者間でトルクを伝達する。ケージ40は、外輪10の内周面14と内輪20の外周面24との間に介在してボール30をポケット42で保持する。そのボール30の数は10個である。
この種の等速自在継手をプロペラシャフトに組み込んだ場合、自動車に衝撃が生じたとき、その衝撃を受けたシャフトを介して、内輪20、ボール30およびケージ40からなる内部要素が外輪10に対して軸方向にスライド移動しようとする。このスライド移動により、トランスミッションとディファレンシャルとの間の軸方向変位が吸収され、ディファレンシャルを介して車体に入力する衝撃力が低減され、車体に生じる衝撃が大幅に低減して安全性が向上する。
このフロートタイプで10個ボールの等速自在継手では、図1に示すようにケージ40の最小内径を内輪20の最大外径よりも小さく設定していることから、通常の6個ボールタイプの等速自在継手の場合と同様、図4および図5(a)(b)に示すように外輪10に対して内輪20およびケージ40からなる内部部品を傾けた状態でボール30をケージ40のポケット42に組み込む。
この実施形態の等速自在継手では、内輪20の外周面24で隣接するトラック溝22が拡開する側がボール組込側となるように内輪20およびケージ40を傾け〔図4および図5(a)参照〕、図4の矢印で示すように内輪20の隣接するトラック溝22と対応する2つのポケット42に2個のボール30を同時に組み込む。
ここで、外輪10に対して内輪20およびケージ40を傾けた状態、つまり、内輪20が組み込み作動角θをとった状態では、ケージ40のポケット42に収容されたボール30は、図6(a)の破線で示すようにその位相位置(図2参照)によりポケット42内を周方向に移動する。そのボール30の周方向移動量Lは、図7に示すようにボール30の位相によって異なる。また、このボール30の周方向移動量Lは、内輪20の組み込み作動角によっても異なる。
なお、図7はボール30の位相に対する周方向移動量を示し、図中の実線m,mは、外輪10および内輪20に形成された複数のトラック溝12,22のうち、周方向で1つおきに配置されて同一方向に傾斜したトラック溝12,22での周方向移動量を示し、図中の破線n,nは、周方向で1つおきに配置されて前記トラック溝12,22とは逆向きで同一方向に傾斜したトラック溝12,22での周方向移動量を示す(図3参照)。また、実線mと破線nは、ボール130を1個ずつ組み込む従来方法の場合を示し(図15参照)、実線mと破線nは、ボール30を2個ずつ同時に組み込む本発明方法の場合を示す。
従って、外輪10に対して内輪20およびケージ40を傾けた状態でボール30をケージ40のポケット42に組み込む際、そのボール30を組み込む位相以外の位相にあるボール30がポケット42内での周方向移動によりポケット42間の柱部44と干渉しないように、図6(a)(b)に示すようにポケット42の周方向長さWを設定するようにしている。
この実施形態のように、2個のボール30を同時に組み込む場合、図5(b)に示すように内輪20およびケージ40の傾け角度(内輪20の組み込み作動角θ)は、従来〔図13(b)参照〕のようにボール130を1個ずつ組み込む場合(内輪120の組み込み作動角θ)よりも大きくなる(θ>θ)。しかしながら、10個ボールの等速自在継手において、2個のボール30を同時に組み込む場合、従来のようにボール130を1個ずつ組み込む場合よりも、ボール30を組み込む位相以外の位相にあるボール30のポケット42内での周方向移動量Lが小さくなる(L<L)。
つまり、図7の実線mおよび破線nにおいて○印で示すように従来のようにボール130を1個ずつ組み込む場合のボール位置は、0°、36°、72°、108°、144°、180°、216°、252°、288°、324°となる。従来では、前述した各位相ごとでボール130を1個ずつ組み込むことになる。ボール130のポケット142内での周方向移動量Lが最大となる36°位相(216°位相も同一)での周方向移動量Lに合わせて、ボール130がケージ140の柱部144と干渉しないようにポケット142の周方向長さWを設定している〔図14(a)(b)参照〕。
これに対して、図7の実線mおよび破線nにおいて□印で示すように実施形態のように2個のボール30を組み込む場合のボール位置は、18°、54°、90°、126°、162°、198°、234°、270°、306°、342°となる。この実施形態では、例えば、図2の破線で示すように18°位相で2個、90°位相で2個、162°位相で2個、234°位相で2個、最後に306°位相で2個ずつボール30を順次組み込むことになる。
この実施形態のように2個のボール30を同時に組み込む場合、外輪10に対する内輪20およびケージ40の傾け角度(内輪20の組み込み作動角θ)は従来のようにボール130を1個ずつ組み込む場合(内輪120の組み込み作動角θ)よりも大きくなるが(θ>θ)、図7のX部分を拡大した図8に示すように2個のボール30を同時に組み込む場合においては18°位相での周方向移動量Lを、従来においてボールのポケット内での周方向移動量が最大となる36°位相での周方向移動量Lよりも小さくすることができる。
従って、図6(a)(b)に示すように18°位相での周方向移動量Lに合わせて、ボール30がケージ40の柱部44と干渉しないようにポケット42の周方向長さWを設定することができ、従来の場合〔図14(a)(b)参照〕よりも柱部44の周方向長さKを大きくすることができ(K>K)、ケージ40の強度を向上させることができる。
また、従来のように10個ボールの等速自在継手に対して、ボール130を1個ずつ組み込んでいたので10回のボール組み込みが必要であったが、この実施形態では、2個のボール30を同時に組み込むことにより、5回のボール組み込みで済み、ボール組み込み回数が半減することから、ボール30の組み込み性が向上する。
なお、以上の実施形態では、プロペラシャフトに適用した等速自在継手について説明したが、この等速自在継手はドライブシャフトにも適用可能である。また、等速自在継手の外輪がディスクタイプのものを例示したが、この他、フランジタイプやカップタイプの外輪についても適用可能である。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
10 外側継手部材(外輪)
12 トラック溝
14 内周面
20 内側継手部材(内輪)
22 トラック溝
24 外周面
24a 外球面部
30 ボール
40 ケージ
42 ポケット
46a 内球面部
α 交差角
ポケットの周方向長さ

Claims (8)

  1. 内周面に複数のトラック溝が軸線に対して交互に逆方向に傾斜した状態で形成された外側継手部材と、外周面に複数のトラック溝が軸線に対して前記外側継手部材のトラック溝と反対方向に傾斜した状態で形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との交差部に組み込まれてトルクを伝達する10個のボールと、前記外側継手部材の内周面と内側継手部材の外周面との間に介在してボールをポケットに収容した状態で保持するケージとを備え、前記ケージの最小内径を内側継手部材の最大外径よりも小さく設定したクロスグルーブ型等速自在継手の製造方法であって、
    前記内側継手部材の外周面で軸線に対して交互に逆方向に傾斜した状態で隣接するトラック溝が拡開する側がボール組込側となるように前記内側継手部材およびケージを前記外側継手部材に対して傾け、前記内側継手部材の隣接するトラック溝と対応する2つのポケットに2個のボールを同時に組み込むことを特徴とする摺動式等速自在継手の製造方法。
  2. 前記内側継手部材の外周面は外球面部を有すると共に前記ケージの内周面は前記内側継手部材の外球面部と摺接する内球面部を有し、内側継手部材の外球面部およびケージの内球面部は継手中心に対して軸方向にオフセットされている請求項1に記載の摺動式等速自在継手の製造方法。
  3. 前記外側継手部材のトラック溝の中心線とその外側継手部材の軸線との交差角、および前記内側継手部材のトラック溝の中心線とその内側継手部材の軸線との交差角が、4°以上10°以下である請求項1又は2に記載の摺動式等速自在継手の製造方法。
  4. 前記外側継手部材がディスク形状である請求項1〜3のいずれか一項に記載の摺動式等速自在継手の製造方法。
  5. 内周面に複数の直線状トラック溝が軸線に対して傾斜した状態で形成された外側継手部材と、外周面に複数の直線状トラック溝が軸線に対して前記外側継手部材のトラック溝と反対方向に傾斜した状態で形成された内側継手部材と、前記外側継手部材のトラック溝と内側継手部材のトラック溝との交差部に組み込まれてトルクを伝達する10個のボールと、前記外側継手部材の内周面と内側継手部材の外周面との間に介在してボールをポケットに収容した状態で保持するケージとを備え、前記ケージの最小内径を内側継手部材の最大外径よりも小さく設定したクロスグルーブ型等速自在継手であって、
    前記内側継手部材の外周面で軸線に対して交互に逆方向に傾斜した状態で隣接するトラック溝が拡開する側がボール組込側となるように前記トラック溝と対応する2つのポケットに2個のボールが同時組み込み可能で、ボールを組み込む位相以外の位相にあるボールがポケット内での周方向移動によりポケット間の柱部と干渉しないように、ボールを1個ずつ組み込む場合のボールのポケット内での周方向移動量が最大となる36°位相での周方向移動量よりも小さくした2個ボール同時組み込み時の18°位相での周方向移動量に合わせて、前記ケージのポケットの周方向長さを設定したことを特徴とする摺動式等速自在継手。
  6. 前記内側継手部材の外周面は外球面部を有すると共に前記ケージの内周面は前記内側継手部材の外球面部と摺接する内球面部を有し、内側継手部材の外球面部およびケージの内球面部は継手中心に対して軸方向にオフセットされている請求項5に記載の摺動式等速自在継手。
  7. 前記外側継手部材のトラック溝の中心線とその外側継手部材の軸線との交差角、および前記内側継手部材のトラック溝の中心線とその内側継手部材の軸線との交差角が、4°以上10°以下である請求項5又は6に記載の摺動式等速自在継手。
  8. 前記外側継手部材がディスク形状である請求項5〜7のいずれか一項に記載の摺動式等速自在継手。
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