JP2003021159A - 等速自在継手 - Google Patents

等速自在継手

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JP2003021159A
JP2003021159A JP2001205228A JP2001205228A JP2003021159A JP 2003021159 A JP2003021159 A JP 2003021159A JP 2001205228 A JP2001205228 A JP 2001205228A JP 2001205228 A JP2001205228 A JP 2001205228A JP 2003021159 A JP2003021159 A JP 2003021159A
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Japan
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peripheral surface
universal joint
constant velocity
velocity universal
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JP2001205228A
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Inventor
Masazumi Kobayashi
正純 小林
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内輪が軸方向にスライドした時、ボールも同
時にスライドするが、そのボールによる接触楕円が内輪
の軸方向端部に達しても、内輪の許容負荷トルクが大幅
に低下することを簡便な手段により抑制することにあ
る。 【解決手段】 内輪21の外周面と外輪2の内周面の各
々に直線状のトラック溝26,7を軸線に対して互いに
反対方向に傾斜させた状態で軸方向に形成し、両トラッ
ク溝26,7の交叉部にボール3を組み込み、これらボ
ール3を前記内輪21の外周面と外輪2の内周面との間
に配置された保持器4により保持した等速自在継手にお
いて、前記内輪21の外周面を、円筒状の中央部30a
から軸方向端部30cに向けて漸次縮径するように傾斜
させ、前記軸方向端部30cを円筒状に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は等速自在継手に関
し、詳しくは、4WD車やFR車などで使用されるプロ
ペラシャフトに組み込まれる等速自在継手において、軸
方向変位を吸収し得る構造で許容負荷トルクを向上させ
得る等速自在継手に関する。
【0002】
【従来の技術】4WD車やFR車などの自動車で使用さ
れるプロペラシャフトは、トランスミッションとディフ
ァレンシャル間の相対位置変化による軸方向変位と角度
変位に対応できる構造とするために等速自在継手を具備
する。通常、車両全体の重量軽減という観点から、軽量
で、しかも回転バランスおよび振動特性がよいレブロ型
(あるいはクロスグルーブ型)と称される摺動型等速自
在継手が組み込まれている。
【0003】図14はノンフロートタイプと称されるレ
ブロ型等速自在継手を例示し、内輪1、外輪2、ボール
3および保持器4を主要な構成要素としている。このノ
ンフロートタイプの等速自在継手は、保持器4の最小内
径が内輪1の最大外径よりも大きいため、軸方向のスラ
イド幅を十分に確保できて大きな軸方向変位を吸収する
ことができる。
【0004】この等速自在継手において、内輪1はその
外周面に複数のトラック溝6が形成されている。この内
輪1の中心部に形成された孔にスタブシャフト8の軸部
を嵌合させ、内輪1の孔内周面とスタブシャフト8の軸
部外周面に形成されたセレーション9,10による嵌合
でもってトルク伝達可能としている。また、そのスタブ
シャフト8の軸端部に環状溝を形成し、その環状溝に装
着されたスナップリング11によりスタブシャフト8が
内輪1に軸方向に位置決め固定されている。
【0005】また、外輪2は内輪1の外周に位置し、内
周面に内輪1のトラック溝6と同数のトラック溝7が形
成されている。内輪1のトラック溝6と外輪2のトラッ
ク溝7は軸線に対して反対方向に角度をなしている。対
をなす内輪1のトラック溝6と外輪2のトラック溝7と
の交叉部にボール3が組み込まれている。内輪1と外輪
2の間に保持器4が配置され、ボール3は保持器4のポ
ケット17内に保持されている。この外輪2は、中空部
を有するコンパニオンフランジ12に、エンドキャップ
13を挟み込んだ状態でボルト(図示せず)により締結
される。エンドキャップ13は等速自在継手に充填した
グリースの漏洩を防ぐと共に異物の侵入を防止するため
のものである。
【0006】さらに、外輪2とスタブシャフト8との間
には密封装置が装着されている。この密封装置はブーツ
14と金属製のブーツアダプタ15とからなる。ブーツ
14は小端部と大端部を有し、中間にてV字形に折り返
した格好になっている。ブーツアダプタ15は円筒形
で、一端に外輪2の外周面と嵌合するフランジを有し、
コンパニオンフランジ12およびエンドキャップ13と
共にボルトでもって外輪2に固定される。ブーツ14の
小端部はスタブシャフト8に取り付けてブーツバンド1
6で締め付けられている。ブーツ14の大端部はブーツ
アダプタ15の端部を加締めて保持されている。
【0007】前記構成からなるレブロ型等速自在継手で
は、例えば車両衝突などにより生じたトランスミッショ
ンとディファレンシャル間の相対位置変化による軸方向
変位を、外輪2に対して内輪1、ボール3および保持器
4からなる内輪周り部品がその軸方向にスライドするこ
とにより吸収するようにしている。これにより、車体に
生じる衝撃が大幅に低減して安全性が向上する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記タイプ
の等速自在継手では、保持器4の最小内径が内輪1の最
大外径よりも大きいことから、車両衝突時の軸方向衝撃
が加わった場合、内輪周り部品が外輪2に対して軸方向
にスライドする際、その軸方向のスライド幅を十分に確
保できて大きな軸方向変位を吸収することができる。
【0009】一方、この等速自在継手では、内輪1と外
輪2がボール3から負荷トルクを受けた時、内輪1と外
輪2の各トラック溝6,7上にボール3による接触楕円
が生じるが、この接触楕円がトラック溝外へ乗り上げな
いように許容負荷トルクが規定されている。この許容負
荷トルクは、内輪1および外輪2のトラック溝6,7の
深さにより規制され、スライド時、ボール3に対する外
輪2および内輪1の相対位置によりその大きさが変化す
る。
【0010】特に、内輪1では、円筒状の中央部18a
から軸方向端部まで縮径するように傾斜したテーパ状を
なす傾斜部18bとなっているため〔図1(b)参
照〕、ボール3による接触楕円が円筒状中央部18aに
位置する時に許容負荷トルクが最大となり、スライド量
が大きくなるにつれてボール3の位置が内輪1の円筒状
中央部18aから内輪1の軸方向端部に移行するため、
トラック溝6の深さが小さくなり、許容負荷トルクが低
下していく。この時、ボール3による接触楕円が内輪1
の軸方向端部に達すると、許容負荷トルクが大幅に低下
するという問題があった。
【0011】そこで、本発明は前記問題点に鑑みて提案
されたもので、その目的とするところは、内輪1が軸方
向にスライドした時、ボール3の位置が内輪1の円筒状
中央部18aから内輪1の軸方向端部に移行するが、そ
のボール3による接触楕円が内輪1の軸方向端部に達し
ても、内輪1の許容負荷トルクが大幅に低下することを
簡便な手段により抑制し得る等速自在継手を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の技術的手段として、本発明は、内輪の外周面と外輪の
内周面の各々に直線状のトラック溝を軸線に対して互い
に反対方向に傾斜させた状態で軸方向に形成し、両トラ
ック溝の交叉部にボールを組み込み、これらボールを前
記内輪の外周面と外輪の内周面との間に配置された保持
器により保持した等速自在継手において、前記内輪の外
周面を、円筒状の中央部から軸方向端部に向けて漸次縮
径するように傾斜させ、前記軸方向端部を円筒状に形
成したこと、または、軸方向端部を前記傾斜部の角度
よりも僅かに小さい角度でもって傾斜させたことを特徴
とする。
【0013】本発明に係る等速自在継手では、内輪の外
周面において、円筒状の中央部から軸方向端部に向けて
漸次縮径するように傾斜させた傾斜部に連続させて、軸
方向端部を円筒状に形成したことにより、その軸方向端
部でのトラック溝の深さが従来よりも大きくなり、内輪
のスライド時、ボールによる接触楕円が内輪の軸方向端
部に達しても、その内輪の許容負荷トルクが大幅に低下
することを抑制することができる。なお、前記のよう
に軸方向端部を前記傾斜部の角度よりも僅かに小さい角
度でもって傾斜させた場合の方が、前記のように軸方
向端部を円筒状に形成した場合よりも、内輪の軸方向端
部でのトラック溝の深さを大きくすることができるの
で、許容負荷トルクの低下をより一層抑制することがで
きる。
【0014】本発明は、前記保持器の端部内径を前記内
輪の外径よりも大きくしたノンフロートタイプと称され
るレブロ型等速自在継手に適用することが望ましい。こ
のノンフロートタイプの等速自在継手は、保持器の最小
内径が内輪の最大外径よりも大きいため、軸方向のスラ
イド幅を十分に確保できて大きな軸方向変位を吸収する
ことができる。
【0015】前記構成を具備した等速自在継手におい
て、前記内輪が外輪に対して最大作動角をとった時、前
記保持器の内径が内輪の外周面の傾斜部で接するように
設定したことを特徴とする。このようにすれば、内輪が
最大作動角をとった時でも、内輪の外周面の軸方向端部
が保持器の内径と干渉することを抑制できる。
【0016】前記構成を具備した等速自在継手におい
て、前記内輪の外周面における円筒状中央部の軸方向長
さを5mm以上とすることが望ましく、また、前記内輪
の外周面における傾斜部の角度を12°以下とすること
が望ましい。このように内輪の外周面における円筒状中
央部の軸方向長さや傾斜部の角度を規定すれば、内輪の
トラック溝の深さをより一層大きくすることができるの
で、内輪の許容負荷トルクの向上が図れる。
【0017】前記構成を具備した等速自在継手におい
て、前記保持器の内径端部をその端面に向けて漸次拡径
するように傾斜させたことを特徴とする。このようにす
れば、内輪の軸方向端部の外径を大きくすることがで
き、その軸方向端部でのトラック溝の深さを大きくする
ことができるので、内輪の許容負荷トルクの向上が図れ
る。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を以下に詳述す
る。この実施形態は、摺動型等速自在継手の一例とし
て、ノンフロートタイプのレブロ型(あるいはクロスグ
ルーブ型)等速自在継手を図1(a)に示す。例えば、
プロペラシャフト用として使用する場合には、一般的に
ドライブシャフト用として使用される通常のレブロ型等
速自在継手よりもトラック溝の交差角を小さくした高速
回転に好適なハイスピードタイプのレブロ型等速自在継
手が望ましい。ドライブシャフト用などの他の用途に使
用する場合であれば、ハイスピードタイプ以外の通常の
レブロ型等速自在継手も適用可能である。
【0019】また、実施形態のレブロ型等速自在継手
は、保持器の最小内径が内輪の最大外径よりも大きい構
造を具備したノンフロートタイプであるが、保持器の最
小内径が内輪の最大外径よりも小さい構造を具備したフ
ロートタイプのレブロ型等速自在継手にも適用可能であ
る。
【0020】図1(a)は本発明における第一の実施形
態を示し、図14に示す従来の等速自在継手と同一部分
には同一参照符号を付す。図1(a)では、実施形態の
等速自在継手における主要な構成要素である内輪21、
外輪2、ボール3および保持器4のみを表している。こ
れら主要な構成要素以外の部品については、図14に示
す等速自在継手で使用したものと同一である。なお、図
1(b)は従来の等速自在継手(図14)における主要
な構成要素である内輪1、外輪2、ボール3および保持
器4のみを表している。
【0021】この等速自在継手において、内輪21はそ
の外周面に複数のトラック溝26が形成されている。こ
の内輪21の中心部に形成された孔にスタブシャフト8
(図14参照)の軸部を嵌合させ、内輪21の孔内周面
に形成されたセレーション29とスタブシャフト8の軸
部外周面に形成されたセレーション10とによる嵌合で
もってトルク伝達可能とし、そのスタブシャフト8の軸
端部に形成された環状溝に装着したスナップリング11
によりスタブシャフト8が内輪21に軸方向に位置決め
固定されている。
【0022】外輪2は内輪21の外周に位置し、内周面
に内輪21のトラック溝26と同数のトラック溝7が形
成されている。内輪21のトラック溝26と外輪2のト
ラック溝7は軸線に対して反対方向に角度をなしてい
る。対をなす内輪21のトラック溝26と外輪2のトラ
ック溝7との交叉部にボール3が組み込まれている。内
輪21と外輪2の間に保持器4が配置され、ボール3は
保持器4のポケット17内に保持されている。
【0023】ところで、各トラック溝26,7が軸線に
対してなす角度(以下、トラック交叉角と称す)は図2
に符号αで示される。また、図3に示すようにトラック
溝26,7の横断面形状はゴシックアーチ状であり、し
たがって、ボール3との接触は所定の接触角(β:以
下、トラック接触角という。)をもったアンギュラコン
タクトとなっている。ここで、レブロ型等速自在継手
は、その構造上、トラック交叉角αとトラック接触角β
から決まる限界作動角をもっており、この限界作動角以
上で運転すると、異常摩耗を生じたり異音を発生したり
することが一般的に知られているが、プロペラシャフト
用等速自在継手の場合、高速回転で使用されるため、そ
の焼付問題から最大作動角が制限され、実用的な最大作
動角は10°〜13°である。
【0024】そこで、プロペラシャフト用として好適な
ハイスピードタイプのレブロ型等速自在継手(LJ)で
は、内輪21と外輪2の実用的な最大作動角が10°〜
13°で、トラック接触角βが35°〜45°に対し、
内輪21のトラック溝26と外輪2のトラック溝7のト
ラック交叉角αを7°〜12°の範囲に設定している。
なお、ドライブシャフト用として使用される通常のレブ
ロ型等速自在継手の場合では、内輪と外輪の実用的な最
大作動角が20°で、トラック接触角βが35°〜45
°に対し、内輪のトラック溝と外輪のトラック溝のトラ
ック交叉角αを14°〜18°の範囲に設定している。
【0025】前記構成からなるレブロ型等速自在継手で
は、例えば車両衝突などにより生じたトランスミッショ
ンとディファレンシャル間の相対位置変化による軸方向
変位を、外輪2に対して内輪21および保持器4がその
軸方向にスライドすることにより吸収するようにしてい
る。これにより、車体に生じる衝撃が大幅に低減して安
全性が向上する。
【0026】以下、図1(a)に示す第一の実施形態
を、同図(b)に示す従来例と比較しながら詳述する。
同図(a)に示す第一の実施形態における内輪21の外
周面は、円筒状の中央部30aと、その中央部30aか
ら軸方向端部30cに向けて漸次縮径するように傾斜し
た傾斜部30bと、その傾斜部30bから軸方向に延び
る円筒状の軸方向端部30cとからなる。これに対し
て、同図(b)に示す従来例における内輪1の外周面
は、円筒状の中央部18aと、その中央部18aから軸
方向端部まで漸次縮径するように傾斜した傾斜部18b
とからなる。
【0027】図4(a)(b)は、内輪21(1)、ボ
ール3および保持器4からなる内輪周り部品を所定のス
ライド量sだけ移動させ、外輪2に対して内輪21
(1)が作動角θをとった状態を示す。図4(a)に示
す第一の実施形態と図4(b)に示す従来例の両者とも
同じように、内輪21(1)の外周面と保持器4の内周
面とが干渉することになる。
【0028】図5(a)(b)は第一の実施形態と従来
例について、内輪21(1)、ボール3および保持器4
からなる内輪周り部品が外輪2に対して軸方向へスライ
ドした状態を示し、その内輪周り部品が継手中心から離
隔してスライド量が大きくなる順に四つのスライド位置
I、II、III、IVにある状態をそれぞれ示す。
【0029】図6(a)(b)は第一の実施形態と従来
例について、外輪2と内輪21(1)の場合に分けて、
各スライド位置I、II、III、IVでの作動角と許容負荷
トルクとの関係を示すものである。同図(a)(b)に
示すように外輪2の場合には、第一の実施形態と従来例
とで各スライド位置I、II、III、IVについて同程度の
許容負荷トルクとなっており、かつ、両者ともスライド
量および作動角が大きくなれば許容負荷トルクが低下す
るが、スライド量が大きくなったとき(例えばスライド
位置III、IV)に許容負荷トルクが大幅に低下すること
はない。これは、第一の実施形態と従来例のいずれも、
外輪2のトラック溝7が同一形状であり、かつ、軸方向
に沿ってその深さが変化しないからである。
【0030】一方、内輪21(1)の場合では、図6
(b)に示す従来例ではスライド量および作動角が大き
くなれば許容負荷トルクが低下し、特に、スライド量が
大きくなったとき(例えばスライド位置III、IV)に許
容負荷トルクが大幅に低下している。これは、内輪1の
外周面が円筒状の中央部18aから軸方向端部までテー
パ状の傾斜部18bのみであり、その軸方向端部でのト
ラック溝6の深さが小さくなっているからである。これ
に対して、図6(a)に示す第一の実施形態では、内輪
21の外周面が円筒状の中央部30aから傾斜部30b
を経て軸方向端部30cで円筒状となっており、その軸
方向端部30cでのトラック溝26の深さが従来例より
も大きいため、スライド量が大きくなってスライド位置
III、IVへ移動しても許容負荷トルクが大幅に低下する
ことはない。
【0031】図5(a)(b)のスライド位置IVでの要
部拡大を図7(a)(b)に示す。図7(a)に示すよ
うに内輪21のスライド量が大きくなって(スライド位
置IV)、ボール3の接触点P1が内輪21の外周面の軸
方向端部30cの領域に達すると、内輪21の軸方向端
部30cにおいて、第一の実施形態では、トラック溝2
6が深くなっていることから、ボール3の接触点P1
での深さT1が大きく、ボール3の接触点P1がトラック
溝26外へ乗り上げにくくなっている。これに対して、
図7(b)に示すように内輪1の傾斜部18bにおい
て、従来例では、トラック溝6が浅くなっていることか
ら、ボール3の接触点P0までの深さT0が小さく、ボー
ル3の接触点P0がトラック溝6外へ乗り上げやすくな
っている。なお、ボール3の中心Oとボール3の接触点
1,P0との差Δは、トラック交叉角αによるずれであ
る。
【0032】なお、スライド位置I、IIでは、第一の実
施形態と従来例とで内輪21(1)の外周面において、
円筒状の中央部30a(18a)とそれに続く傾斜部3
0b(18b)での外径がほぼ同一であるため、同等の
許容負荷トルクであり、かつ、許容負荷トルクの大幅な
低下はない。
【0033】また、図8(a)(b)は第一の実施形態
と従来例についてのスライド可能領域を示す。このスラ
イド可能領域は、ボール3とエンドキャップ13との干
渉、内輪21(1)の外径と保持器4の内径との干渉、
スタブシャフト8とブーツアダプタ15との干渉、およ
びボール3とブーツアダプタ15との干渉の有無により
規定されるものである。図4(a)(b)に示すように
外輪2に対して内輪21(1)が作動角をとった時、保
持器4と内輪21(1)との干渉位置が同じであるた
め、第一の実施形態は従来例と同等のスライド可能領域
が確保されている。
【0034】また、一般的に等速自在継手の耐久寿命の
指標を示すものに基本トルクがあり、この基本トルクを
負荷した場合でも、ボールによる接触楕円がトラック溝
外へ乗り上げない領域を基本トルク負荷可能領域として
表しており、図8(a)に示す第一の実施形態の方が、
同図(b)に示す従来例よりも基本トルク負荷可能領域
が広く、耐久寿命の向上が図れる。ここで、前記基本ト
ルクとは、内輪と外輪の各トラック溝とボールとの接触
応力から決められたトルク値で、100rpmで150
0時間寿命が得られるトルクを意味し、通称、連続トル
クという。このトルクは等速自在継手の寿命計算に用い
る基準トルクである。
【0035】図9および図10は本発明の他の実施形態
として第二、第三の実施形態を示す。これら第二、第三
の実施形態では、内輪21の外周面における軸方向端部
30c’,30c’’での外径D2を、第一の実施形態
における軸方向端部30cでの外径D1よりも大きくし
たものである。ここで、図9に示す第二の実施形態で
は、傾斜部30b’の角度γ1を第一の実施形態におけ
る傾斜部30bの角度γ1と同一にすることから、円筒
状中央部30a’の軸方向長さL2を5mm以上とした
構造を具備する。また、図10に示す第三の実施形態で
は、円筒状中央部30aの軸方向長さL1を第一の実施
形態と同一にすることから、傾斜部30b’’の角度γ
2を第一の実施形態での角度γ1、例えばγ1=12°よ
りも小さくした構造を具備する。これら第二、第三の実
施形態によれば、第一の実施形態よりも、内輪21の外
周面における軸方向端部30c’,30c’’でのトラ
ック溝26の深さを大きくすることができるので、内輪
21の許容負荷トルクの向上を図れる。
【0036】図11に示す第四の実施形態では、内輪2
1が外輪2に対して最大作動角θma xをとった時、保持
器4の内周面が内輪21の外周面の傾斜部30bで接す
るように設定する(図中の接触点Aで示す)。このよう
にすれば、内輪21が最大作動角θmaxをとった時で
も、内輪21の外周面の軸方向端部30cが保持器4の
内径と干渉することを抑制できる。
【0037】図12に示す第五の実施形態では、保持器
4の内径端部をその端面に向けて漸次拡径するように傾
斜させた構造、例えば保持器4の内径端部において、内
輪21と対向する内径面を、その端面に向けて漸次拡径
するテーパ面31とする。このようにすれば、内輪21
の外周面における軸方向端部30cでの外径を大きくす
ることができてその軸方向端部30cでのトラック溝2
6の深さを大きくすることができる。その結果、内輪2
1の許容負荷トルクの向上を図れる。
【0038】図13に示す第六の実施形態では、内輪2
1の外周面を、円筒状の中央部30aから軸方向端部3
0c’’’に向けて漸次縮径するように傾斜させ、その
傾斜部30bの途中から傾斜部30bの角度γ1よりも
僅かに小さい角度γ3でもって傾斜させた軸方向端部3
0c’’’を形成した構造を具備する。このようにすれ
ば、軸方向端部30c’’’でのトラック溝26の深さ
が第一の実施形態よりも大きくなるので、内輪21の許
容負荷トルクの向上が図れる。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、内輪の外周面と外輪の
内周面の各々に直線状のトラック溝を軸線に対して互い
に反対方向に傾斜させた状態で軸方向に形成し、両トラ
ック溝の交叉部にボールを組み込み、これらボールを前
記内輪の外周面と外輪の内周面との間に配置された保持
器により保持した等速自在継手において、前記内輪の外
周面を、円筒状の中央部から軸方向端部に向けて漸次縮
径するように傾斜させ、前記軸方向端部を円筒状に形成
したり、あるいは、軸方向端部を前記傾斜部の角度より
も僅かに小さい角度でもって傾斜させたことにより、そ
の軸方向端部でのトラック溝の深さが従来よりも大きく
なり、内輪のスライド時、ボールの接触楕円が内輪の軸
方向端部に達しても、その内輪の許容負荷トルクが大幅
に低下することを抑制することができ、長寿命で信頼性
の高い等速自在継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第一の実施形態における等速
自在継手の主要構成要素を示す断面図、(b)は従来例
における等速自在継手の主要構成要素を示す断面図であ
る。
【図2】図1の等速自在継手におけるトラック交叉角α
を説明するための平面図である。
【図3】図1の等速自在継手におけるトラック接触角β
を説明するための拡大断面図である。
【図4】内輪周り部品がスライドして内輪が作動角をと
った状態にある等速自在継手を示し、(a)は第一の実
施形態における断面図、(b)は従来例における断面図
である。
【図5】内輪周り部品がスライドした状態(スライド位
置I、II、III、IV)にある等速自在継手を示し、
(a)は第一の実施形態における断面図、(b)は従来
例における断面図である。
【図6】外輪の場合と内輪の場合における作動角と許容
負荷トルクとの関係を示し、(a)は第一の実施形態に
おける特性図、(b)は従来例における特性図である。
【図7】内輪がスライドしてボールによる接触楕円が内
輪の軸方向端部に達した状態にある等速自在継手を示
し、(a)は第一の実施形態における要部拡大断面図、
(b)は従来例における要部拡大断面図である。
【図8】内輪のスライド可能領域および基本トルク負荷
可能領域を示し、(a)は第一の実施形態における特性
図、(b)は従来例における特性図である。
【図9】本発明の第二の実施形態を説明するためのもの
で、内輪の円筒状中央部の軸方向長さを大きくした構造
を示す要部拡大断面図である。
【図10】本発明の第三の実施形態を説明するためのも
ので、内輪の傾斜部の角度を小さくした構造を示す要部
拡大断面図である。
【図11】本発明の第四の実施形態を説明するためのも
ので、内輪が外輪に対して最大作動角をとった時、保持
器の内径が内輪の外周面の傾斜部で接するように設定し
た構造を示す要部拡大断面図である。
【図12】本発明の第五の実施形態を説明するためのも
ので、保持器の内径端部をその端面に向けて漸次拡径す
るように傾斜させた構造を示す要部拡大断面図である。
【図13】本発明の第六の実施形態を説明するためのも
ので、内輪の軸方向端部を傾斜部の角度よりも僅かに小
さい角度でもって傾斜させた構造を示す要部拡大断面図
である。
【図14】従来の等速自在継手の全体構造を示す断面図
である。
【符号の説明】
2 外輪 3 ボール 4 保持器 7 トラック溝 21 内輪 26 トラック溝 30a 円筒状中央部 30b 傾斜部 30c 軸方向端部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪の外周面と外輪の内周面の各々に直
    線状のトラック溝を軸線に対して互いに反対方向に傾斜
    させた状態で軸方向に形成し、両トラック溝の交叉部に
    ボールを組み込み、これらボールを前記内輪の外周面と
    外輪の内周面との間に配置された保持器により保持した
    等速自在継手において、前記内輪の外周面を、円筒状の
    中央部から軸方向端部に向けて漸次縮径するように傾斜
    させ、前記軸方向端部を円筒状に形成したことを特徴と
    する等速自在継手。
  2. 【請求項2】 内輪の外周面と外輪の内周面の各々に直
    線状のトラック溝を軸線に対して互いに反対方向に傾斜
    させた状態で軸方向に形成し、両トラック溝の交叉部に
    ボールを組み込み、これらボールを前記内輪の外周面と
    外輪の内周面との間に配置された保持器により保持した
    等速自在継手において、前記内輪の外周面を、円筒状の
    中央部から軸方向端部に向けて漸次縮径するように傾斜
    させ、軸方向端部を前記傾斜部の角度よりも僅かに小さ
    い角度でもって傾斜させたことを特徴とする等速自在継
    手。
  3. 【請求項3】 前記保持器の端部内径を前記内輪の外径
    よりも大きくしたことを特徴とする請求項1又は2に記
    載の等速自在継手。
  4. 【請求項4】 前記内輪が外輪に対して最大作動角をと
    った時、前記保持器の内径が内輪の外周面の傾斜部で接
    するように設定したことを特徴とする請求項1乃至3の
    いずれかに記載の等速自在継手。
  5. 【請求項5】 前記内輪の外周面における円筒状中央部
    の軸方向長さを5mm以上としたことを特徴とする請求
    項1乃至4のいずれかに記載の等速自在継手。
  6. 【請求項6】 前記内輪の外周面における傾斜部の角度
    を12°以下としたことを特徴とする請求項1乃至5の
    いずれかに記載の等速自在継手。
  7. 【請求項7】 前記保持器の内径端部をその端面に向け
    て漸次拡径するように傾斜させたことを特徴とする請求
    項1乃至6のいずれかに記載の等速自在継手。
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