JP5484295B2 - 煙道ガス清浄方法 - Google Patents

Description

本発明は例えば石炭のような化石燃料、バイオマス燃料あるいは廃棄物を燃焼するようにボイラの始動の間油等の燃焼の間に形成されるガス状汚染物質からの煙道ガスを清浄にする方法に関する。本方法によると、煙道ガスは粒子状汚染物質を分離するために例えばバッグフィルタのような障壁フィルタまで煙道ダクトを介してボイラから導かれる。

周知の方法においては、油始動バーナにおける例えば油の燃焼からボイラの始動の間形成される煙道ガスはバッグフィルタを分岐し、直接大気中へ排出される。ボイラが必要な温度に達するまでに、すなわち通常温度が約２０℃の大気温度から約１００−３００℃まで温度が昇温してしまうときまで、始動が進行し、前記温度に達すると例えばボイラにおける石炭の安定燃焼が開始可能で、バッグフィルタが作動させられる。

ボイラの始動の間に形成される煙道ガスは、例えばすすのような粒子状の汚染物質および炭化水素や硫黄酸化物のようなガス状汚染物質並びに水蒸気を含有する。ボイラおよびその後に位置したガス清浄システムは始動の間冷たく、すなわち大気温度であり、煙道ガスのガス状汚染物質の大部分は凝縮する。このように形成された凝縮物および小滴は主として炭化水素、（硫黄酸化物によって形成された）硫酸および水とから構成されている。煙道ガス清浄システムの冷たい装置部分は概ねバッグフィルタと煙道ダクトおよび（エネルギ回収段階での）エコノマイザおよびボイラに関連した空気予熱器とから構成されている。通常の場合であるがボイラが先に作動していたとすれば、汚染物質の顕著な部分はまたすすおよびフライアッシュの形態のダストから発生し、これは作動の間ボイラおよびその流路に堆積するようになる。このダストは作動に関連して弛緩し、煙道ガスを伴って大気中へ排出される。また、フィルタ作動に切り替えた直後、この切り替えはある時間を要するので通常汚染物質が放出される。始動は通常０．５から１０時間を要するので、バッグフィルタが作動し、石炭の燃焼が開始するまでの可成りの量の汚染物質が大気中へ排出される。例えば、中型の発電プラント（３００ＭＷ）の始動の間、前述のガス状汚染物資に加え、約５００ｋｇまでのダストが放出されうる。これらの汚染物質は主要な環境問題を構成することは勿論である。この方法はまた、油すすによった着色した煙道ガスの醜い羽毛状物質をもたらし、煙突から出て行く。

例えば化石燃料が燃焼される工場からの排出レベルに対する当局の要件は全体の排出量と最大の排出限界値の双方に指向される。これらの要件は最近多くの国において益々厳しくなってきており、このため、ボイラの始動の間に形成される煙道ガスを直接バッグフィルタまで導くことが必要とされることが屡である。しかしながら、このような周知の方法は残念ながら、バッグフィルタのフィルタバッグに対して問題をもたらしている。フィルタバッグは煙道ガスのガス状汚染物質とそれらの水蒸気によって形成される凝縮物や小滴によってこれらが始動の間フィルタを詰まらせ、かつ「硬化」させるので損傷を受ける。このため、フィルタバッグに亘って極めて急速な圧力降下をもたらし、それはフィルタを可成り激しく、かつ頻繁に清浄することを要する。従って、約１０回の始動の後、フィルタバッグは全体的に損傷を受け、そのため交換を要する。このため、バッグフィルタのフィルタバッグの寿命が極めて短くなる。更に、フィルタバッグに配置されたフィルタケージは凝縮物や小滴によって生じるこのような極めて湿度の高い環境では急速に腐食する。多数回の始動を短時間で行なう必要がある場合、この腐食は特に顕著となる。そのために起因する大掛かりな作用および保全作業はこの方法を極めて高価なものとさせる。

前述のことに照らせば、本発明の目的は化石燃料、バイオマス燃料あるいは廃棄物を燃焼するボイラの始動の間、煙道ガスを清浄にし、それによって凝縮した汚染物質や小滴による影響が排除されるか、あるいは少なくとも可成り低減するような簡単で安価な方法を達成することである。

前述の目的は本発明によると、本発明の説明の序文で記載した種類の方法であって、好ましくはフライアッシュからの微細に拡散した粒子が障壁フィルタの上流および（または）該フィルタ内の煙道ガス内へ導入され、該ガスと混合され、微細に拡散された粒子がダストケーキを形成しながら障壁フィルタにおいて分離され、それによって特に炭化水素、硫酸および水から構成された凝縮したガス状汚染物質および小滴が煙道ガスおよび形成されたダストケーキにおける微細に拡散した粒子の表面に集められることを特徴とする方法によって達成される。

基本的概念は煙道ガスに供給された微細に拡散した粒子が油等を燃焼している間にボイラの始動の間形成された凝縮物および小滴を集め、かくして繊維フィルタが詰まりおよび（または）「硬化」によって損傷されないようにすることである。

微細に拡散した粒子は煙道ガスの１−５００ｇ／Ｎｍ³の間隔、特に５−５０ｇ／Ｎｍ³の間隔である量で適当に導入される。粒子は、特にボイラからのフライアッシュおよび（または）ボトムアッシュからなるが、また凝縮した汚染物質および小滴を集めるのに対応した物性を有しうるその他の微細に拡散した粒子からなることもある。

微細に拡散した粒子は例えばサイロのような外部の貯蔵容器から取り出されることが好ましい。フライアッシュが使用されるには、代替的に障壁フィルタに付属した少なくとも１個のダストホッパの少なくとも１個から直接取り出しうる。一方ボイラからのボトムアッシュが使用される場合には、これは代替的にボイラから取り出し得る。

本発明の代替実施例によると、微細に拡散された粒子はボイラに付属した空気予熱器の上流で煙道ガスに導入され、かつそれと混合しうる。

本発明による方法を実施するプラントの概略図である。

本発明を本発明による方法を実施するプラントを極めて概略的に示す添付図面を参照して以下詳細に説明する。
石炭燃焼ボイラ１において、油は該ボイラに付属した油炊き始動バーナ（図示せず）に始動の間燃焼される。始動工程はボイラ１が安定した石炭燃焼に必要な温度に達するまで継続し、通常数時間要する。油燃焼から形成される煙道ガスは例えばすすやフライアッシュのような粒子状汚染物質並びに炭化水素や硫黄酸化物のようにガス状汚染物質を含有するが、またボイラやそのダクトにそれ以前の作動の間に堆積し、剥離したダストも含有する。

煙道ガスは煙道ガスに存在し、かつ形成された粒子状汚染物質を分離するためにボイラ１から煙道ダクトを介してバッグフィルタ３まで導かれる。高温の煙道ガスからの熱をボイラの燃焼空気まで転送するために空気予熱器４がボイラ１に接続されている（接続は図示せず）。粒子状の汚染物質はバッグフィルタ３のフィルタバッグで分離されてダストケーキを形成しながらフィルタの底部に設けられたダストホッパ５に集められ、それによって汚染物質は導管６を介して図示していない貯蔵容器に排出される。バッグフィルタから、清浄にされた煙道ガスは煙道ダクト２を通して、ファン７を介して最終的に煙突８を通して大気に放出される前に煙道ガスを送るように導かれる。

ボイラ１の始動の間、油は前述のように燃焼される。煙道ガスのガス状汚染物質とそれらの水蒸気の大部分がこの始動の間に凝固し、ボイラとその後の煙道ガス清浄系の双方が冷たいため、すなわち始動の間に大気を取り込むため凝縮物や小滴を形成する。煙道ガス清浄系統のこの冷たい装置部分は実質的に煙道ダクト２およびバッグフィルタ３並びに、それぞれボイラに付属したエコノマイザおよび空気予熱器４とから構成されている。形成された凝縮物および小滴の量はボイラと清浄系統の装置部分との温度によって決まる。凝縮物および小滴の量は主として炭化水素、硫酸および水とから構成されている。始動工程の間の油炊きの場合、石炭燃焼による安定作動の間に発生するダスト粒子の量と比較して極小量のダスト粒子が形成される。このことは、周知の技術によって凝縮物や小滴がその上に堆積するようになりうる粒子の量は基本的に無視しうる程度であることを意味する。凝縮物や小滴はむしろバッグフィルタのフィルタバッグに直接堆積しそのためべとついた集塊が形成され、これが詰まりあるいは「硬化」によってバッグを著しく損傷させる。このように、これがバッグフィルタの機能を急速に損なう。従って、本発明はこの問題の解決を指向する。

ボイラ１の始動の間、ファン７が始動し、そのため大気が煙道ガス清浄系統全体を通される。次に、バッグフィルタ３が作動し、この時間の間も微細に拡散したフライアッシュの噴射がはじまる。このことはフライアッシュの空気式搬送系１１およびサイロ９の排出系を始動させることによって達成される。フライアッシュは図において概略示すようにバッグフィルタ３の上流側において煙道ダクト２に供給される。このように、フライアッシュはサイロ９から取り出される。該サイロは導管１０に接続され、従来の技術により圧縮空気によって導管１０を介して煙道ダクト２に吹き出される。煙道ダクトに吹き込まれたフライアッシュは拡散され、煙道ガスと均一に混合される。本実施例によると、煙道ダクト２に吹き込まれた微細に拡散したフライアッシュの量は５−１０ｇ／Ｎｍ³の間隔である。この量は煙道ガスにおける凝縮物の実際の量に関連して選択され、安定した石炭炊きの間に形成される煙道ガスにおけるダスト粒子の量に対応する。フライアッシュはバッグフィルタ３内へ導かれ、バッグフィルタのフィルタバッグから分離される。フライアッシュの粒子はバッグフィルタ３に生じる圧力均等化によってフィルタバッグに亘って均等に分配される。フィルタバッグが完全にフライアッシュの粒子で覆われると、すなわちフィルタバッグに初期のダストケーキが形成されてしまうと、フライアッシュの噴射が連続的に進行している間に油炊きによるボイラ１の実際の始動が始まる。ここでバッグフィルタの作動はフライアッシュの噴射とフィルタのその他の機能とが調整されるように適合されることを述べておく。

炭化水素、硫酸および水から構成される凝縮物や小滴は煙道ガスおよび形成されたダストケーキの双方におけるフライアッシュの粒子の表面に収集される。微細に拡散したフライアッシュ粒子をこのように供給することによって、凝縮物や小滴はフィルタバッグに直接１００％堆積し、フィルタバッグを詰まらせたり、「硬化」させる代わりに、ダストケーキが概ね構成されているフィルタバッグに介在する可成り大量のフライアッシュに著しく希釈される。このように、フィルタバッグの詰まりや「硬化」の問題は解決される。このためフィルタバッグの寿命を可成り延長させる。ダストケーキはフィルタバッグ内の圧力が始動した後、すなわち石炭炊きによるボイラの安定作動の間当該工程に応じて所定の値まで低下するとバッグフィルタ３から分離される。

このようにフィルタバッグは従来のように頻繁に交換しなくともよく、その結果作用および保全コストが可成り低減する。

本発明による方法の別な利点は当該プラント自体によって産出されたフライアッシュを利用可能にすることであって、これも本方法をはるかに安価にしうる。

本発明は前述の方法に限定されないことは勿論であって、特許請求の範囲内で各種の方法で修正可能である。

本発明は、また凝縮物が発生するボイラの始動に対応するような状況に対しても適用可能である。例えば、本発明はボイラが自動的に１００％油炊き燃焼に切り替わるボイラへの石炭供給の故障の間のような石炭炊きボイラにおける作動上の故障の場合に適用可能である。

１ ボイラ
２ 煙道ダクト
３ バッグフィルタ
４ 空気予熱器
５ ダストホッパ
６ 導管
７ ファン
８ 煙突
９ サイロ
１０ 導管
１１ 空気式搬送系

Claims (6)

1. 化石燃料、バイオマス燃料、あるいは廃棄物を燃焼するようにボイラ（１）の始動から燃焼の間に形成されるガス状汚染物質からの煙道ガスを清浄する方法であって、
   前記煙道ガスが粒子状の汚染物質を分離するように、障壁フィルタまで煙道ダクト（２）を介してボイラ（１）から煙道ガスが導かれ、
   微細に拡散された粒子が前記障壁フィルタ（３）より上流であって、かつ空気予熱器（４）の上流側の煙道ダクト（２）において煙道ガス内へ導入され、かつそれと混合され、
   微細に拡散された粒子がダストケーキを形成しながら障壁フィルタ（３）において分離され、
   それによって凝縮されたガス状汚染物質および小滴が煙道ガスおよび形成されたダストケーキ内の微細に拡散された粒子の表面に集められることを特徴とするガス状汚染物質からの煙道ガスを清浄する方法において、
   前記ボイラ内の石炭燃焼の開始前の前記ボイラ内の油燃焼の始動の前に、前記障壁フィルタ（３）を前記微細に拡散された粒子で覆うよう前記微細に拡散された粒子の前記煙道ダクト内への噴射を開始する、方法。
2. 前記微細に拡散された粒子が、煙道ガスに１−５００ｇ／Ｎｍ³の質量濃度で導入されることを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 前記微細に拡散された粒子がボイラ（１）からのフライアッシュおよび／またはボトムアッシュから構成されていることを特徴とする請求項１および２に記載の方法。
4. 前記微細に拡散された粒子が外部の貯蔵容器から取り出されることを特徴とする請求項１から３までのいずれか１項に記載の方法。
5. フライアッシュがバッグフィルタ（３）に付属したダストホッパ（５）の少なくとも１個から直接取り出されることを特徴とする請求項３に記載の方法。
6. 前記ボトムアッシュがボイラ（１）から直接取り出されることを特徴とする請求項３に記載の方法。

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