JP5483363B2 - マグネシウム合金の熱処理方法 - Google Patents

マグネシウム合金の熱処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、時効または時効硬化としても知られている、析出硬化によって改良することができるマグネシウム合金の熱処理に関する。本発明は、特に、析出硬化性マグネシウム合金を改良するための低温(low temperature)時効プロセスに関する。
温度の低下に伴って合金元素の少なくとも1つの溶解度が減少する合金は、時効硬化によって強化することができる。時効硬化は、マグネシウム合金を含む多くの合金系に共通である。時効硬化プロセスは、一般に以下の3つのステージを含んでいる:
1)固溶化熱処理−このステージで、合金は、単一相固溶体を得て、マグネシウム母材中に合金元素を溶解するために、(合金固相線温度に接近している)非常に高い温度で保持される。
2)焼き入れ−固溶体中の合金元素を保持し、過飽和固溶体を得るために、(冷水のような)焼入剤を使用する固溶化熱処理の温度からの急冷。
3)マグネシウム原子をしばしば含む合金元素が結晶粒の至るところに析出を生成する、非常に不安定な過飽和固溶体の分解を促進するために、焼き入れしたままの合金を中間温度で保持すること(人工時効)。
時効中の強化が、マグネシウム母材を補強し、転位の動きの障害を表す析出の微細分散の生成の結果としてしばしば生じ、それにより不具合に結びつく変形に抵抗する合金の能力を増加させる。一般に、最適な強化は、滑り転位によって容易に回避することができない、一様に分散されて非常に密集した析出が高密度に存在することによって達成される。
多くの鋳造および鍛造マグネシウム合金は、時効硬化性である。最も一般的なものは、Mg−Zn(−Zr)(ZK系列)、Mg−Zn−Cu(ZC系列)、Mg−Zn−RE(ZEおよびEZ系列;ここでREは希土類元素を意味する)、Mg−Zn−Mn(−Al)(ZM系列)、Mg−Al−Zn(Mn)(AZおよびAM系列)、Mg−Y−RE(−Zr)(WE系列)、Mg−Ag−RE(−Zr)(QEおよびEQ系列)、Mg−Sn(−Zn,Al,Si)基合金などの系に基づいたものである。各系において、マグネシウムは、典型的には85重量%以上含まれる。主要な合金元素としてZnを含むマグネシウム合金は、析出硬化可能であり、現在用いられているマグネシウム合金の大きな割合を構成する。
以下の説明はMg−Zn合金に焦点を当てているが、本発明はそれらの合金組成に限定されず、すべての析出硬化性マグネシウム基合金に適用可能なことが分かる。
熱処理可能なマグネシウム合金は、一般に150℃と350℃の間の温度で高温熱処理(一般に技術において「T6」と呼ばれる)が典型的に実施される、人工時効のステージ(上記の時効硬化プロセスのステージ(3))を受ける。
Mg−Zn合金の場合には、〜110℃以上の析出シーケンスが、以下のようであることが報告された:
過飽和固溶体→(前駆β')→β'ロッド┴{0001}Mg(場合によってはMgZn)→β' ディスク‖{0001}Mg(MgZn)→β平衡相(MgZnまたはMgZn
これらの相のうちのいくつかの構造、組成、および安定性は、まだ完全には調査および決定されていないが、しかしながら、多くのレポートは、従来のT6熱処理を受けたMg−Zn基合金中の析出による最大の硬化がロッド状の遷移β'相の生成に関係していることに同意する。この相は、場合によっては前駆β'で表された別の遷移相を経て、Mg底面に垂直に生じる。過時効においては、β'が、Mg底面と平行なプレートの形をしている粗いβ'相によって置き換えられる。平衡β相、MgZnまたはMgZnは、高い過時効で生じるかもしれない。減温(reduced temperature)(〜<110℃)での析出は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって明らかには観察されていない。GPゾーンは減温でおそらく生じるかもしれないと信じられているが、生成、構造、熱安定性およびGPゾーンの生成のシーケンスは、まだ明確にされていない。
多くのマグネシウム合金は析出硬化を起こすが、現在、それらの機械的特性を増加させる最も有効な方法は、望ましくは、固溶体硬化、分散硬化および結晶粒微細化をさらに含んでいる。その場合にも、ほとんどの熱処理可能なマグネシウム合金の引張特性は、現在用いられているアルミニウム合金のそれらと比較して、制限されている。それは、マグネシウム合金のより広い適用のための主な制限のうちの1つである。マグネシウム合金の時効硬化は、それがアルミニウム合金の場合にそうであるように、引張特性を改良するために有効なこととしては一般に考えられていない。これは、主として、マグネシウム合金中に従来のT6時効で生成された析出の数密度が、時効されたアルミニウム合金中でよりも数桁分低いと信じられているからである。したがって、マグネシウム合金のT6状態で生じる広い間隔の析出は、滑り転位によって容易にバイパスされ、そのような合金は、低下された変形抵抗性を見せる。
時効硬化によるマグネシウム合金の強化は、微細構造の至るところに細かく分散した析出の、より高密度の生成の場合にもっと有効になるだろう。
従って、強度を増加するに当たって析出硬化をより有効とすることは望ましいだろう。そして、それは、マグネシウム合金中で達成することができる機械的特性の上限を増大させるために、単独であるいは加工硬化と結晶粒微細化との組合せで使用することができ、それによって、これらの軽量合金のより広くより競争力のある使用を可能にする。析出強化されたマグネシウム合金をより展性があるようにすることは、特に望ましいだろう。
従来のT6時効のそれらより低い温度で実施できる時効プロセスを使用して、それらの特性を改良することも望ましいだろう。
本発明は、マグネシウム基合金の時効硬化が、常温のような、従来のT6時効中に典型的に使用されるより著しく低い温度で達成できるという、発明者による驚くべき発見に基づく。さらに、本発明を使用して達成可能な時効反応は、従来のT6時効を使用して達成されたそれと同程度、あるいはいくつかの場合には超えることができる。
注目に値する大きさの常温での時効硬化は、Mg−Zn基合金を含む時効硬化性マグネシウム合金中で以前に観察されることはなかったし、したがって固溶化熱処理温度から焼き入れした後に常温に近い減温で保持された時、マグネシウム合金が顕著な析出硬化反応を示さないと見なされていた。
<発明の要約>
本発明によれば、時効硬化性マグネシウム基合金の低温熱処理のための方法が提供され、以下の工程を含む:
(a)稠密六方格子構造を持つ、固溶化熱処理され焼き入れされた時効硬化性マグネシウム基合金を供給する工程;および
(b)前記合金に、降伏強度、ならびに、ピーク硬度、引張強度、延性および破壊靱性の1つ以上における改良を含む改良時効反応が進展するために十分な期間100℃以下の低温時効を受けさせる工程、
ここにおいて、時効された合金は、マグネシウム底面に垂直に生じた(以下に定義されるような)GP1およびGP2析出を含むギニエ−プレストン(GP)ゾーン型析出を含んでいる。
本発明は、さらに、時効硬化性マグネシウム基合金を生産する方法を提供し、以下の工程を含む:
(a)適切な高温範囲内で、時効硬化性マグネシウム基合金が、元素を析出反応において固溶体に溶解されるように活性化するために十分な1回以上の溶体化処理をする工程;
(b)工程(a)のための温度サイクルから溶体化処理された、稠密六方格子構造を持つ焼き入れされた合金を生産するために溶解された元素が過飽和固溶体中で保持されるようにする工程;および
(c)工程(b)からの焼き入れされた合金に、降伏強度、ならびに、ピーク硬度、引張強度、延性および破壊靱性の1つ以上における改良を含む改良時効反応が進展するために十分な期間100℃以下の低温時効を受けさせる工程、ここにおいて、前記時効された合金は、マグネシウム底面に垂直に生じた(以下に定義されるような)GP1およびGP2析出を含むギニエ−プレストン(GP)ゾーン型析出を含んでいる
改良時効反応は、少なくとも降伏強度および延性の両方における改良を典型的に含む。この実際的な効果は、合金が時効の前に形成されるべき先行技術の熱処理工程と異なり、本発明のプロセスの後に本発明によって時効された合金を形成することができるということである。
改良時効反応は、T6時効ステージを受けた同じ組成の合金のそれと望ましくは同程度であるか、または超えている。
<発明の詳細な説明>
本発明の熱処理は、任意の析出硬化性マグネシウム基合金、ならびに鋳造および鍛造マグネシウム基合金の両方に適用可能である。特に、それは、ZK、ZMおよびZC系列のような、主要な合金元素のうちの1つとして亜鉛を含んでいるマグネシウム合金、および希土類元素またはスズを含んでいる合金に適用可能である。
本発明の熱処理は、時効反応促進剤、つまり析出の核生成を助けて核生成率を増加させる合金元素を含んでいる、鋳造および鍛造Mg−Zn基合金の両方に非常に有効である。これらの合金元素は、析出の数密度を増加させて、低温、特に常温で時効速度を加速することを支援する。
主要な合金元素としてZnを含むマグネシウム合金中で、減温、特に常温で時効硬化を加速する合金元素の一例は、Cu(マグネシウム合金のZC系列)である。0.1原子%より少ない量のCuの添加は、常温でさえ時効硬化を著しく加速するだろう。析出プロセスに影響し、一般に析出の核生成を促進するCuに加えて、さらなる合金元素の添加は、減温での時効硬化も加速するだろう。
銅の代わりに、あるいは銅に加える他の反応促進剤の例は、マンガン、アルミニウムおよび特にチタン、さらに適度な反応促進剤としてのバナジウム、クロムおよびバリウムである。
合金添加物の結果、低温熱処理が加速され、延性、強度および硬度レベルのような改良機械的特性が、T6状態でのそれらと同程度であるか、またはよりよいものに結果する。合金の破壊靭性も、本発明のプロセスを使用して著しく改良することができる。
特定の機構に制限されることを望まなければ、本発明に係る減温で時効された合金の改良された機械的特性は、T6熱処理中に典型的に生成される、より粗く、より広い間隔の析出の代わりに、3〜30nmの寸法の密集したギニエ−プレストン(GP)ゾーン型析出の超高密度の析出により生み出されると信じられている。従って、発明者は、T6(150℃−350℃)に従来から使用されるそれらより著しく低い温度で低温時効が生じるはずであることを見出した。低温時効状態での析出密度は、マグネシウム合金のT6状態で一般に観察されるもの(〜1018−1020析出/m)より著しく高く、多くの場合に、典型的な熱処理をされたアルミニウム合金の析出密度のオーダー、つまり1023−1024析出/mである。GPゾーンの3つの型のそれぞれの割合は、合金組成、特にZn以外の合金添加物の量、およびさらに時効温度によって制御することができる。常温に近い温度では、強化は、主としてGP1ゾーン(マグネシウム底面に垂直な板状析出)の生成、およびGP2ゾーンとして以下で表記される、マグネシウム底面に垂直な柱状析出によって生み出される。〜70℃を越えた熱処理温度の上昇は、GP3ゾーン(マグネシウム底面と平行なディスク/プレート)として以下で表記される、付加的で熱的により安定したGPゾーン型相の生成へと導く。Zn以外の合金添加物がより多い量(約1重量%以上)加えられた場合、GP1ゾーンの生成は、常温時効中のGP2ゾーンの生成より有利である一方、GP2ゾーンは、Zn以外の任意の合金元素がない状態、およびこれらの添加物が非常に小さいときには、より優勢な析出型である。
低温熱処理は、選択された合金用の典型的な固溶化熱処理温度での典型的な固溶化熱処理の後に、最適には合金固相線温度より5℃−20℃低い温度で、少なくとも1時間、実施される。望ましくは、固溶化熱処理温度は、固溶体中の合金元素および空孔の最大溶解度を保証するために、上限に接近して選ばれるべきである。その結果、合金元素および空孔の高い過飽和は、焼き入れしたままの状態で達成される。本出願に述べられた熱処理中の時効硬化反応、特に常温硬化は、固溶化熱処理温度、およびこの温度から焼き入れする速度に高感応性であることができる。
固溶化熱処理の後、合金は、つまり、単に冷やされるだけではなく、(冷水あるいは他の媒体のような)適切な焼入剤中で、急速に焼き入れされるべきである。焼き入れ後、合金は、典型的に時効温度に直ちに移されるか、あるいは常温熱処理の場合には常温で放置される。
低温時効は、常温と110℃±10℃との間で一般的に実施される。選択された温度が常温である場合、時効プロセスは、有利なことに加熱用エネルギー消費量を必要としない。1つの実施例では、時効は、時効時間を短縮するために常温より高い温度で実施される。別の実施例では、低温時効は、100℃未満で実施される。別の実施例では、低温時効は、95℃以下で実施される。
一般的には、低温時効は、少なくとも24時間実施される。時効処理の期間は、時効温度に依存する。常温では、時効は、通常、最低2〜16週間実施される。時効の期間は、時効温度および合金中にどのような反応促進剤が存在するかに依存する。いくつかの実施例では、時効は、少なくとも4週間実施される。他の実施例では、時効は、最低8週間実施される。また、さらなる実施例では、時効は、最低12週間実施される。常温より高い温度で実施される、あるいは合金組成が1つ以上の反応促進剤を含んでいる低温時効については、時効の期間が一般的に減少する。さらなる実施例では、減温時効は、T6状態と比較されたときに、かなり高い降伏強度(および硬度)および改良された延性のような、引張特性の望ましい組合せを得るのに十分な時間実施される。一旦最適な機械的特性に達すれば、それらは常温で安定しているままであり、過時効の可能性はほとんどない。
常温より高い温度の使用は、典型的には、炉または油浴中で熱くすることを必要とする。常温より高い温度で時効された合金にとって、最適な機械的特性は、著しくより短い熱処理時間の後に到達される。〜75℃以下の温度での時効に対して、T6状態でのそれらと同程度である機械的特性が、最低限約110時間の時効後に達成され、延長された時効後に超えることができる。95℃以上の温度での時効に対して、最適な機械的特性は、少なくとも100時間時効した後に一般的に達成される。
4〜16週間、必要な場合にはそれより長い常温時効を受けた合金は、高硬度を呈するT6状態と比較して、適度な引張強度と相まって、延性および破壊靭性が改良した。熱処理温度の上昇、ならびにGPゾーンの型、寸法、形態および密度の変化は、一般に引張強度および硬度の上昇を結果する一方、延性および破壊靭性は、T6状態と比較して改良された。
本発明がより容易に理解されるために、今、説明は添付の図面に向けられる:[訳注:以下の説明にある▲1アッパーバー▼は、
を意味する。]
温度対時間は、相当に高温で典型的に実施されるT6熱処理に対して、一般的な固溶化熱処理の後に合金が減温で時効される各熱処理を比較して図示する。 硬度(VHN)対タイム(時間、対数目盛)は、(a)Mg−6Zn−3Cu−0.1MnおよびMg−7Zn合金を160℃(T6)および〜22℃で時効する間の硬度曲線の比較;(b)Mg−6Zn−3Cu−0.1Mn合金を160℃(T6)、95℃、70℃および〜22℃で時効する間の硬度曲線の比較を示すようにプロットする。 硬度(VHN)対タイム(時間)は、Mg−7Zn合金を160℃(T6)、95℃、70℃および〜22℃で時効する間の硬度曲線の比較を示すようにプロットする。 硬度(VHN)対タイム(時間)は、(a)Mg−6Zn−0.8Cu−0.1MnおよびMg−7Zn;(b)Mg−4.6Zn−0.4CuおよびMg−7Zn合金を160℃(T6)および〜22℃で時効する間の硬度曲線の比較を示すようにプロットする。 硬度(VHN)対タイム(時間)は、Mg−6Zn−1.8Cu−0.1Mn合金の大規模鋳造品を160℃(T6)、95℃、70℃および〜22℃で時効する間の硬度曲線の比較を示すようにプロットする。 硬度(VHN)対タイム(時間)は、Mg−6Zn−0.8Ti合金を160℃(T6)、95℃、70℃および〜22℃で時効する間の硬度曲線の比較を示すようにプロットする。 硬度(VHN)対タイム(時間)は、(a)Mg−6Zn−0.2CrおよびMg−7Zn;(b)Mg−7Zn−0.3VおよびMg−7Zn合金を160℃(T6)、95℃、70℃および〜22℃で時効する間の硬度曲線の比較を示すようにプロットする。 硬度(VHN)対タイム(時間)は、Mg−7Zn−1.2Ba合金を160℃(T6)、70℃および〜22℃で時効するときと、Mg−7Zn合金を160℃および〜22℃で時効するときとの間の硬度曲線の比較を示すようにプロットする。 Mg−7Zn(a,b)、Mg−6Zn−3Cu−0.1Mn(c,d)およびMg−6Zn−0.8Cu−0.1Mn(e,f)合金の、160℃(左側のすべての画像)、および〜22℃(右側のすべての画像)で時効した微細構造の透過型電子顕微鏡(TEM)の画像。 <2▲1アッパーバー▼▲1アッパーバー▼0>Mg方向(a,c)と平行で、さらに<0001>Mg方向(b,d)と平行である電子ビームで撮影された、4週間70℃で時効したMg−6Zn−3Cu−0.1Mn合金の微細構造のTEM(a,b)およびHRTEM(c,d)の画像。 TEM観察に基づいて160℃、70℃および〜22℃で時効する間に生成されると信じられた微細構造のモデル。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。[訳注:様式に合わせるために加筆した。]
図1は、固溶化熱処理、従来のT6時効、および本発明の低温時効プロセスのためのそれぞれの温度−時間形態を比較する。本発明の低温時効は、T6のそれより低い温度で、しかししばしばより長い時間生じる。
図2〜8では、多くの異なる固溶化熱処理および焼き入れがされたMg合金のための時効反応が比較される。合金組成、および冷水中で焼き入れすることによって後続される固溶化熱処理の状態は、以下のとおりである:
Mg−7Zn:340℃で5時間、固溶化熱処理された。
Mg−6Zn−3Cu−0.1Mn:440℃で5時間、固溶化熱処理された。
Mg−6Zn−0.8Cu−0.1Mn:390℃で5時間、固溶化熱処理された。
Mg−4.6Zn−0.4Cu:435℃で5時間、固溶化熱処理された。
Mg−6Zn−1.8Cu−0.1Mn:460℃で5時間、固溶化熱処理された。
Mg−6Zn−0.8Ti:340℃で4時間、固溶化熱処理された。
Mg−6Zn−0.2Cr:360℃で5時間、固溶化熱処理された。
Mg−7Zn−0.3V:360℃で5時間、固溶化熱処理された。
Mg−7Zn−1.2Ba:430℃で5時間、固溶化熱処理された。
図2(a)は、160℃(つまりT6状態)および常温(〜22℃)でそれぞれ時効された各Mg−7ZnおよびMg−6Zn−3Cu−0.1Mnの、2つの鋳造マグネシウム基合金のための硬度曲線を比較する。両合金のために、常温時効中に達成された硬度(Mg−6Zn−3Cu−0.1MnおよびMg−7Zn合金それぞれのための104VHNおよび89VHN)は、T6状態で時効することにより達成されたそれら(Mg−6Zn−3Cu−0.1MnおよびMg−7Zn合金のそれぞれのための109VHNおよび87VHN)とほとんど等しい。Mg−7Zn合金の場合には、これに必要な時効時間は、ほぼ8ヵ月(5208時間後の86VHN)である。しかしながら、ZC型合金では、常温時効状態の硬度は、4週間以上時効した後は、T6状態でのそれとほとんど等しい。常温時効に対する(硬度という意味での)時効反応は、Mg−6Zn−3Cu−0.1Mn合金中のCuの存在およびMnの添加によって著しく改良され加速される。図2(b)は、Mg−6Zn−3Cu−0.1Mn合金組成をそれぞれ160℃(T6)、95℃、70℃および〜22℃で時効させる間の硬度曲線を比較する。特に常温以上の温度での減温時効は、T6熱処理と比較して、合金の時効硬化反応を著しく改良することがわかる。
図3は、Mg−7Zn合金組成を160℃(T6)、95℃、70℃および〜22℃で時効させる間の硬度曲線を比較する。常温時効は、T6状態のそれと等しい硬度のために長い時間(ほぼ8ヵ月)を必要とするが、95℃および70℃で時効することは、時効硬化反応を著しく改良し、合金硬度における著しい改良を時効後の比較的短い延時間(典型的には時効の250時間後)で達成することができる。
図4(a)は、160℃(T6)および〜22℃の時効温度で、Mg−6Zn−0.8Cu−0.1MnおよびMg−7Zn合金組成を時効する間の硬度曲線を比較する。この図は、常温で加速された時効硬化およびT6状態のそれと同程度である硬度レベルが、加速された時効硬化を促進する合金元素の含有率が減らされる場合でさえ、達成できることを示す。同様に、常温時効のたった4週間後のMg−4.6Zn−0.4Cu時効合金組成について、硬度は、T6状態で時効された合金のそれに等しい。これは、図4(b)に示され、160℃(T6)および〜22℃の時効温度でMg−7Zn合金と比較される。この結果は、Cuのような、析出の核生成を促進する合金元素の微量の添加でさえ、引張特性、耐食性、結晶粒微細化などを改良するために一般に加えられる他の合金元素(Mn、Al、Zrなど)がない状態でさえ、減温時効に対する時効硬化反応を著しく加速し改良することを示す。図4(a)および(b)は、減温熱処理が、より低いレベルの合金元素を備えた合金、つまり鍛造Mg−Zn基合金に適用可能であることをさらに示す。
図5は、Mg−6Zn−1.8Cu−0.1Mn合金組成の大規模鋳造品を時効させる間の硬度曲線を比較する。見てわかるように、95℃および70℃で時効された合金のために達成されたピーク硬度は、T6状態のそれを超えている一方、22℃で時効後に達成された硬度は、T6状態で約5.5ヵ月時効させたそれにほとんど等しい。同様の組成の合金のより小さな寸法の鋳造品と比較した、常温時効に対する減少された反応は、より大きな金属部材の焼き入れ減少率による。
表1は、160℃で16時間(図5中の硬度曲線上で囲まれている)、および〜22℃で2180時間(〜13週、硬度曲線上で同様に囲まれている)、時効されたMg−6Zn−1.8Cu−0.1Mn合金の硬度および引張特性を示す。延性における著しい改良(T6値の3倍)は、T6の0.2%耐力の72%、T6のピーク硬度の86.5%、および著しく改良された引張強度(UTS)と組み合わされて、自然時効状態で達成された。
図6は、チタンが減温時効の別の非常に有効な反応促進剤であり、自然時効状態の硬度がT6中の7週間後のそれにほとんど等しかったことを示す。95℃および70℃で時効する間に達成されたピーク硬度は、同じ合金のT6状態のそれを超えている。この元素も、Mg−7Zn合金と比較されたとき、人工時効の強度および反応速度を改良する。
図7は、(a)Mg−6Zn−0.2Crおよび(b)Mg−7Zn−0.3V合金を160℃(T6)、95℃、70℃および〜22℃で時効する間の硬度曲線を、Mg−7Zn合金を160℃(T6)および〜22℃で時効する間の硬度曲線と比較する。見てわかるように、クロムおよび特にバナジウムは、Mg−7Zn合金と比較されたときのT6時効反応を顕著に改良することに加えて、減温時効の反応促進剤として働く。反応促進剤を含んでいる両合金のための95℃および70℃で時効する間に達成されたピーク硬度は、同じ合金のT6状態のそれを超えている。
図8は、バリウムが、Mg−7Zn合金と比較されたときにT6時効反応が著しく改良されることに加えて、減温時効の適度な反応促進剤を務めることを示す。さらに、70℃で時効することにより達成されたピーク硬度が、同じ合金のT6状態のそれを超えていることが示される。
図9は、Mg−7Mn(a,b)、Mg−6Zn−3Cu−0.1Mn(c,d)およびMg−6Zn−0.8Cu−0.1Mn(e,f)合金組成のために、160℃(a,c,e)で時効された合金微細構造のTEM画像と、〜22℃(b,d,f)で時効したそれらとを示す。合金のT6状態で見られた析出は、{0001}Mg面(<0001>Mg方向と平行)から垂直なβ'ロッドと呼ばれるそれである。これらのTEM画像は、ロッド状の析出が真横向きに見られるような<2▲1アッパーバー▼▲1アッパーバー▼0>Mg方向に平行な電子ビームによって撮影された。これらの析出の密度は、Cu含有合金のT6状態でCuの含有率に比例して増加される。
11週間常温時効されたMg−7Zn合金では、(b)GP2ゾーンであると信じられ、{0001}Mg面に垂直に生成された、希薄に分散された柱状析出の比較的低密度が、<0001>Mg方向に平行な電子ビームで観察される(挿入画像は、これら析出の高分解能TEM−HRTEMの画像を示す)。({0001}Mg面に垂直に生成された)板状GP1ゾーンのより小さな破片は、この状態で同様にしばしば観察される。
11週間常温時効されたMg−6Zn−3Cu−0.1Mn合金では、(d)均質的に分散された析出の超高密度が、<0001>Mg方向に平行な電子ビームで観察された。これらの析出の多数は、板状GP1ゾーン(挿入HRTEM画像中に示される)であった。非常に細かいGP2ゾーンのより小さな破片も、この状態で観察された。この状態での析出の数密度は、マグネシウム合金のT6状態で一般に観察されるそれ(〜1018−1020析出/m)よりは著しく高い約1024析出/mとほぼ同程度であることが測定された。
さらに、12週間常温時効されたMg−6Zn−0.8Cu−0.1Mn合金では、(f)均質的に分散された析出の超高密度が、<0001>Mg方向と平行な電子ビームで観察された。これらの析出の重要な割合は、細かいGP1ゾーンと組み合わせられた細かいGP2ゾーンであった(両者は、挿入HRTEM画像中に示される)。この画像は、不変のZn含有量のための析出核生成を促進する合金元素(等)の含有率の変化によるGPゾーンの形態/型の変化を示す。Cuの含有率が減少されるとき、柱状GP2ゾーンの生成は、板状GP1ゾーンの生成より有利である。
図10は、4週間70℃で時効されたMg−6Zn−3Cu−0.1Mn組成の合金の微細構造のTEM(a,b)およびHRTEM(c,d)の画像を示す。均質的に分散された非常に細かいGPゾーン型析出の非常に高い密度が、この状態で観察される。HRTEM画像は、これらの析出が主として、{0001}Mg面に垂直に生成された柱状GP2ゾーンおよび{0001}Mg面に平行に生成された板状GP3ゾーンであることを示す。いくつかのGP1ゾーンも、この状態で時々観察された。
図11は、160℃(a)、70℃(b)および〜22℃(c)で時効する間に生成されると考えられるTEM観察に基づいた合金微細構造の提案されたモデルを示す。減温時効された微細構造(bおよびc)は、時効硬化アルミニウム合金中で自然に観察されたそれ(〜1023−1024析出/m)と同程度である、T6状態(a)で時効された微細構造より細かい析出の著しくより高い密度を示す。この種の微細構造は、従来のT6熱処理中に生成されたそれと比較されたとき、適度な(常温時効の場合)または同程度および同等の改良された引張強度(常温を越えた温度での時効であるが、T6時効温度より相当に低い場合)と相まって、改良された延性、硬度、最大引張強度および(予想された)破壊靭性の望ましい組合せを提示する。
最後に、様々な訂正、変更および/または追加が、本発明の精神または範囲から外れることなしに、先に記載された構成および部分配列に導入されるかもしれないことは理解されるだろう。

Claims (11)

  1. 時効硬化性マグネシウム−亜鉛基合金の低温熱処理のための方法において:
    (a)低温時効硬化を加速するバナジウム、クロミウムおよびバリウムからなるグループから選択される1つ以上の合金元素からなる反応促進剤を含み、固溶化熱処理され焼き入れされた稠密六方格子構造を持つ時効硬化性マグネシウム−亜鉛基合金を供給する工程;および
    (b)前記合金に、降伏強度ならびに硬度および引張強度の一方又は両方における改良を含む改良時効反応を進展するために十分な期間100℃以下の低温時効を受けさせ、時効された合金に、マグネシウム底面に垂直なGP1およびGP2析出を含むギニエ−プレストン(GP)ゾーン型析出を生成させる工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記低温時効が、3〜30nmの寸法を持つ前記GPゾーン型析出の高い数密度の析出を生じさせることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記低温時効が、常温より高い温度で行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 前記低温時効が、95℃以下の温度で行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 前記低温時効が、少なくとも24時間行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 前記低温時効が、少なくとも2週間行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
  7. 前記低温時効が、少なくとも8週間行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
  8. 前記低温時効が、焼入れ直後に行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
  9. 低温時効硬化を加速する、バナジウム、クロミウムおよびバリウムからなるグループから選択される1つ以上の合金元素からなる反応促進剤を含む時効硬化性マグネシウム−亜鉛基合金を生産する方法において:
    (a適切な高温範囲内で、時効硬化性マグネシウム−亜鉛基合金が、元素を析出反応においてマグネシウム固溶体に溶解されるように活性化するために十分な1回以上の溶体化処理をする工程;
    (b)工程(a)で溶体化処理された合金に対して、溶解された元素が過飽和固溶体中で保持されるように焼き入れする工程;および
    (c)工程(b)からの焼き入れされた合金に、降伏強度ならびに硬度および引張強度の一方又は両方における改良を含む改良時効反応が進展するために十分な期間100℃以下の低温時効を受けさせ、時効された合金に、マグネシウム底面に垂直なGP1およびGP2析出を含むギニエ−プレストン(GP)ゾーン型析出を生成させる工程を含むことを特徴とする方法。
  10. 工程(a)の前記高温範囲が、合金固相線温度より少なくとも5℃以上低い温度範囲であることを特徴とする請求項記載の方法。
  11. 工程(a)の前記高温範囲が、焼入れの後に固溶体中の空孔の過飽和を最大限にするようなものであることを特徴とする請求項記載の方法。
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