JP5483228B2 - 導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜及び導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法 - Google Patents

導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜及び導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜及び導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法に関する。さらに詳しくは、比表面積が大きく、二次電池や電気化学キャパシタ等の電極材料や、ガスセンサー、燃料電池に用いるガス拡散電極等に適用可能な導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜及び導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法に関する。
導電性ダイヤモンド薄膜は、機械的・熱的・化学的安定性、生体親和性に極めて優れた導電材料であり、高性能な電気化学電極材料として様々な用途に利用できる可能性がある。例えば、感度や安定性に優れた分析用電極材料として、あるいは長期安定性や電流効率に優れる電解合成用電極材料として、従来の電極材料(グラファイト系炭素材料、貴金属材料)の性能を凌駕するという研究報告がなされている。また、導電性ダイヤモンドの優れた基礎物性を考慮すると、その応用範囲はこれらの用途に限らず、燃料電池や二次電池等の各種電池や電気化学キャパシタ等、他の電気化学的用途に用いた場合でも従来の電極材料と比べて物理・化学安定性等に優れた特性を示すものと考えられる。
人工的にダイヤモンドを製造する方法としては、超高圧を用いる方法と気相から合成する方法の2つに大別されるが、大面積の膜が得られる方法として、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD法)が広く用いられている。基材の表面に薄膜を形成する蒸着法の一つである化学気相成長法(CVD法)は、石英等で出来た反応管内で加熱した所定の基板の表面に、目的とする薄膜(導電性ダイヤモンド膜)の成分を含む原料ガスを供給し、基板の表面あるいは気相での化学反応により膜を堆積する方法である。一方、CVD法で基板上に薄膜として作製される導電性ダイヤモンドは、基板の面積に左右されるため適用面積に制限があり、また加工性に乏しいことから、これらの電極材料に適した大きな比表面積を持つ形状を得ることは困難であり、適用範囲に制限があるという問題があった。
このような事情から、導電性ダイヤモンドを用いた電極材料について、基板上に導電性ダイヤモンドを薄膜として形成しないようにして、大きな比表面積を得るべく検討が進められている。例えば、ポーラスアルミナ膜をマスクとして、酸素プラズマエッチングによりアスペクト比の大きい細孔からなるナノハニカムダイヤモンド電極を得る方法が提供されている(例えば、非特許文献1を参照。)。また、他の例としては、炭素繊維からなるカーボンフェルトを基材として、かかる基材に導電性ダイヤモンドをコーティングしたダイヤモンド電極が作製されている(例えば、非特許文献2を参照。)。
K.Hondaら「Electrochemical Characterization of the Nanoporous Honeycomb Diamond Electrode as an Electrical Double−Layer CapaCitor(電気二重層コンデンサーとしてのナノポーラスハニカムダイヤモンド電極の電気化学的挙動)」、J.Electrochem.Soc.,147、p.659−666(2000年) E.C.Almeidaら「Structural and voltammetric studies at boron−doped diamond electrode grown on carbon felt produced from different tempertures(異なる温度から得られたカーボンフェルトを基材としたボロンをドープしたダイヤモンド電極の成長に関する構造的及び電解分析な考察)」、Diamond and Relate Material 14,p.679−684(2005年)
しかしながら、前記した非特許文献1に開示されたダイヤモンド電極は、孔が貫通していないので、電解液やガスを効率よく流通させることができなかった。また、非特許文献2に開示されたダイヤモンド電極は、導電性ダイヤモンドはカーボンフェルトの一部しか覆っていないので、あくまで電極はダイヤモンド/カーボン複合体材料となる一方、露出したカーボンフェルトが電解液と接触する場合があるため、純粋なダイヤモンド電極の電気化学特性を反映することができず、期待した特性が得られていないのが実情であった。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、比表面積の大きな多孔質体であり、熱的・化学的に安定でかつ良好な電気化学特性が期待できる導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜及び導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜は、導電性ダイヤモンドからなる中空ファイバーが三次元的に絡み合って形成され、前記中空ファイバーの外径が50nm〜10μm、内径が20nm〜5μm、長さが0.1〜10mmであることを特徴とする。
本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法は、前記した本発明に係る導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法であって、耐熱温度が250℃以上の繊維が三次元的に絡み合って形成される多孔質基材に導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液を塗布し、前記多孔質基材にダイヤモンドナノ粒子を固定する工程と、成長温度を250℃以上として、化学気相成長法(CVD法)により、前記多孔質基材の表層部に導電性ダイヤモンド膜を合成する工程と、前記導電性ダイヤモンド膜から前記多孔質基材を除去する工程、を含むことを特徴とする。
本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法は、前記した本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法において、前記多孔質基材の除去が、当該多孔質基材を溶解可能な溶液に浸漬することにより実施されることを特徴とする。
本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法は、前記した本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法において、前記多孔質基材を構成する繊維が石英からなることを特徴とする。
本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜は、熱的・化学的に安定な導電性ダイヤモンドの中空ファイバーが三次元的に絡み合って形成されているため、大きな比表面積を有し、また、貫通した中空部を有する中空体である中空ファイバーにより構成されるので、電解液等の流体の通過も容易となり、高い電気化学的特性を得ることができる。よって、二次電池、電気化学キャパシタ等の電極材料や、ガスセンサー・燃料電池に用いるガス拡散電極材料等といった、大きな比表面積を必要とする電極やその構成材料として使用することができる。
本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜は、当該中空ファイバー膜を構成する中空ファイバーの外径及び内径(中空部の外径)を特定の範囲としているので、大きな比表面積を効率よく形成し、また、電解質等の流体の通過も確実に実施され、電気化学特性に優れた導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜を提供することができる。
本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法は、前記した本発明に係る導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法であって、耐熱温度が250℃以上の繊維が三次元的に絡み合って形成される多孔質基材を鋳型として、かかる多孔質基材の表層部にダイヤモンドナノ粒子を固定し、化学気相成長法により当該ダイヤモンドナノ粒子を成長させ、多孔質基材の表層部(表面及びその内部)に導電性ダイヤモンドからなる膜(導電性ダイヤモンド膜)を形成させる。導電性ダイヤモンド膜は、多孔質基材の表層部を構成する繊維を覆い包むようにして形成されることになるが、その後、多孔質基材を除去することにより、多孔質基材を構成する繊維の形態が転写され、多孔質基材の表層部の形状が反映された、本発明の構成の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜が簡便に製造されることになる。
本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法は、表層部に導電性ダイヤモンドからなる膜を形成された多孔質基材から多孔質基材のみを除去するに際し、多孔質基材を溶解可能な溶液に浸漬して、多孔質基材を化学的に除去するようにしているので、得られた導電性ダイヤモンド膜(導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜)を破損無く確実に取り出すことができる。
本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法は、ダイヤモンドナノ粒子を固定する多孔質基材を構成する繊維として石英を使用しているので、化学気相成長法においても安定であり、以降の多孔質基材の除去においても、化学的処理にて容易に除去することができる。
以下、本発明の一態様を説明する。本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜(以下、単に「中空ファイバー膜」とすることもある。)は、導電性ダイヤモンドからなる中空ファイバーが三次元的に絡み合って形成されている。
本発明の中空ファイバー膜を構成する中空ファイバーは、導電性ダイヤモンドからなる中空ファイバーであり、中空構造を有することから、膜全体の比表面積が大きくなり、電解液等の流体が容易となる。また、複数の中空ファイバーが三次元的に網目状となって絡み合って融合して1つの膜を形成しているために、電極材料等に使用した場合には容易に集電することができ、電気化学的な特性に優れた中空ファイバー膜となる。なお、本発明にあっては、中空ファイバーは、複数のファイバー同士が三次元的に絡み合って融合、融着した状態となっていてもよい。
中空ファイバー膜は、導電性ダイヤモンドから形成される。導電性ダイヤモンドは、高硬度や耐熱性等の物理的・化学的安定性、高い熱導電性等の優れた物性を備えており、熱的・化学的に安定であり二次電池、燃料電池等に使用される電極材料としても最適である。導電性ダイヤモンドを電極材料に用いた場合は、電位窓が広い、バックグラウンド電流が小さい、物理的・化学的に安定、表面改質が可能等といった、グラッシーカーボンや貴金属といった従来の電極材料より優れた性質を持つことが知られている。本発明の中空ファイバー膜は、主として導電性ダイヤモンド単体からなるので、当該導電性ダイヤモンドの特性を十分に発揮させることができる。
なお、中空ファイバー膜には、得られる膜の結晶構造を制御したり、ダイヤモンド膜の導電性を向上させるために、あるいは半導体特性を付与するために、ホウ素(B)、硫黄(S)、酸素(O)、窒素(N)、ケイ素(Si)等の不純物をドープするようにしてもよい。不純物のドープ量は、中空ファイバー膜全体に対して、0.005〜5質量%とすることが好ましい。
中空ファイバー膜を構成する中空ファイバーについて、その外径は、50nm〜10μmとして、50nm〜5μmとすることがさらに好ましく、50nm〜1μmとすることが特に好ましい。また、中空ファイバーの内径(中空部の外径)は、20nm〜5μmとして、20nm〜1μmとすることがさらに好ましく、20nm〜0.5μmとすることが特に好ましい。中空ファイバー膜としての形状を保ち、使用に耐えうる機械的強度を維持する構造とした上で、外径及び内径をともに小さくすることで、比表面積を増加させることができ、また、重量当たりの静電容量や反応電流を向上させることができる。
中空ファイバーの長さは、0.1〜10mmであ、0.5〜5mmであることが特に好ましい。また、中空ファイバーのアスペクト比(長さ/外径)は、10〜1000であることが好ましく、100〜1000であることが特に好ましい。
中空ファイバー膜の厚さは、特に制限はなく、適用される用途等によって決定すればよいが、10μm〜1mmとすることが好ましく、50μm〜1mmとすることが特に好ましい。
本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜は、前記したように、構成体が中空部を有する繊維状の中空体であるので、大きな比表面積となる。中空ファイバー膜の比表面積は、中空ファイバーの外径及び内径、及び長さ等のサイズを勘案して適宜決定することができ、その比表面積も、5〜1000m/gとすることができ、100〜1000m/gとすることが好ましい。
本発明の中空ファイバー膜は、中空ファイバーが三次元的に絡み合っていることより、中空ファイバーの中空部や中空ファイバー同士の空隙により多孔質体となる。多孔質体である中空ファイバー膜は、単位重量当たりの表面積が大きく、従って単位重量当たりの静電容量や反応電流が大きくなるというメリットがある。中空ファイバー膜全体の空孔率は、30〜80%程度であることが好ましい。
かかる構成の本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜は、例えば、耐熱温度が250℃以上の繊維が三次元的に絡み合って形成される多孔質基材に導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液を塗布し、多孔質基材にダイヤモンドナノ粒子を固定する工程と、成長温度を250℃以上として、化学気相成長法により、多孔質基材の表層部(表面及びその内部)に導電性ダイヤモンドからなる膜を合成する工程と、導電性ダイヤモンド膜から多孔質基材を除去する工程、を含む手段により、簡便に製造することができる。
かかる製造方法にあっては、耐熱温度が250℃以上の繊維が三次元的に網目状に絡み合って形成されるシート状の多孔質基材を鋳型として、かかる多孔質基材の表層部にダイヤモンドナノ粒子を固定し、化学気相成長法により当該ダイヤモンドナノ粒子を成長させ、多孔質機材の表層部に導電性ダイヤモンドからなる膜(導電性ダイヤモンド膜)を形成させる。導電性ダイヤモンド膜は、多孔質基材の表層部を構成する繊維を覆い包むようにして形成されることになるが、その後、多孔質基材を除去することにより、多孔質基材を構成する繊維の形態が転写され、多孔質基材の表層部の形状が反映された、導電性ダイヤモンドからなる中空ファイバーが三次元的に絡み合って形成される導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜が製造されることになる。
本発明の製造方法にあっては、導電性ダイヤモンド膜を形成する対象となるシート状の多孔質基材は、耐熱温度が250℃以上の繊維が三次元的に網目状に絡み合って形成され、後工程で化学気相成長法により、成長温度として概ね250℃以上に加熱されるので、多孔質基材を構成する繊維は、耐熱温度を250℃以上とし、例えば、石英、シリコン等の無機材料や金、銀等の金属材料等を構成材料とする繊維を使用することができる。また、繊維としては、石英を使用することが好ましく、石英は、一般に、耐熱温度(軟化温度)が1600〜1750℃であり、化学気相成長法においても熱的に安定であり、以降の多孔質基材の除去においても、化学的処理にて容易に除去することができるため、本発明の実施に適する。なお、かかる石英からなる繊維から構成される多孔質基材としては、例えば、汎用品である石英濾紙や石英不織布を用いるようにしてもよい。シート状の多孔質基材の形状やサイズ(厚さ、面積)は、特に制限なく、得ようとする導電性ダイヤモンド膜ないし導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の仕様に応じて適宜決定すればよい。
多孔質基材を構成する繊維の外径は、得られる導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜を構成する中空ファイバーの内径を左右することになり、例えば、20nm〜5μmとすることが好ましい。繊維の外径をかかる範囲とすることにより、最終的にかかる繊維の外径と同等の内径をもつ中空ファイバーが得られる。多孔質基材を構成する繊維の外径は、20nm〜0.5μmとすることが特に好ましい。また、繊維の長さは、0.1〜10mmであることが好ましく、0.5〜5mmであることが特に好ましい。
本発明の製造方法では、耐熱温度が250℃以上の繊維が三次元的に絡み合って形成される多孔質基材を使用し、その空孔率は、例えば、30〜80%とすることができる。なお、多孔質基材の空孔率が適度に大きければ(例えば、50〜80%程度)、多孔質基材の表層部にダイヤモンドナノ粒子を固定した後に実施される化学気相成長法による導電性ダイヤモンドからなる膜(導電性ダイヤモンド膜)の合成の際に、ダイヤモンドナノ粒子が多孔質基材の表面からより内部に入り込み易くなり、得られる導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の厚さを厚くすることができる。
本発明の製造方法は、化学気相成長法を行う前の多孔質基材に、前処理として導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液(ダイヤモンドナノ粒子分散溶液)を塗布する。多孔質基材に導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液を塗布することにより、ダイヤモンドナノ粒子が多孔質基材の表層部に入り込んで、種付け(シーディング)されて固定されるので、化学気相成長法を実施するにあたって、当該ダイヤモンドナノ粒子と合成される導電性ダイヤモンド膜のなじみがよく、多孔質基材でのダイヤモンド膜の合成が効率よく進行し、核生成速度を速めることができる。また、得られる導電性ダイヤモンド膜の粒子密度も高くなることになる。そして、分散溶液という形態で多孔質基材にダイヤモンドナノ粒子を塗布するようにしているので、多孔質基材の表層部にダイヤモンドナノ粒子が均一に入り込んで、固定されることになる。
適用するダイヤモンドナノ粒子(導電性ダイヤモンドナノ粒子)は、平均粒径が概ね5〜100nm、好ましくは5〜10nmであり、グラファイト不純物が除去され、水や有機溶媒中で一次粒子まで解膠(かいこう)(deflocculant)できる。よって、当該ダイヤモンドナノ粒子を分散した分散溶液は極めて安定なナノコロイドとなり、コロイド中の10nm以下のナノ分散粒子の個数比率は99%以上となり、凝膠(ぎょうこう)体がほとんど存在しない。ダイヤモンドナノ粒子としては、例えば、爆発法で作製したダイヤモンドナノ粒子や、電子衝撃CVD法(EACVD法)、気相合成法及び液相成長法で作製したダイヤモンドナノ粒子等を使用することができる。
ダイヤモンドナノ粒子を分散させる溶媒としては、水のほか、メタノール、エタノール、2−プロパノール、トルエン等の有機溶媒を使用することができる。これらの溶媒は、その1種を単独で使用してもよく、その2種以上を組み合わせて使用してもよい。
導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液におけるダイヤモンドナノ粒子の含有量は、ダイヤモンドナノ粒子が0.01〜5.0g/Lであることが好ましい。分散溶液に対するダイヤモンドナノ粒子の含有量がかかる範囲であれば、多孔質基材にダイヤモンドナノ粒子が確実に固定され、多孔質基材にダイヤモンドナノ粒子を塗布する効果を効率よく発揮することができる。一方、ダイヤモンドナノ粒子の含有量が0.01g/Lより少ないと、多孔質基材の表層部に固定されるダイヤモンドナノ粒子の量が少なすぎ、多孔質基材にダイヤモンドナノ粒子を塗布する効果が得られない場合があり、ダイヤモンドナノ粒子の含有量が5.0g/Lを超えると、成長しなかったダイヤモンドナノ粒子が残留し、生成されるダイヤモンド膜の多孔質基材への密着性が悪くなる場合がある。ダイヤモンドナノ粒子の含有量は、ダイヤモンドナノ粒子が0.05〜2.0g/Lとすることがさらに好ましく、0.1〜1.0g/Lとすることが特に好ましい。
また、導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液は、溶媒にダイヤモンドナノ粒子を加えるほか、増粘剤を含有することが好ましい。増粘剤を含有することにより、分散溶液をゲル化することができ、分散溶液を多孔質基材に塗布した後の乾燥において、溶媒の流れによって溶液中のダイヤモンドナノ粒子が凝集し、多孔質基材の表層部で偏在してしまうことを防止することができる。使用できる増粘剤としては、例えば、寒天、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、グアーガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩系増粘剤、水溶性セルロース類、ポリエチレンオキサイド等が挙げられる。これらの増粘剤は、1種類を単独で使用してもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。なお、増粘剤は、水溶性のものを使用することが好ましく、また、増粘剤は、後工程である化学気相成長法における初期段階の水素プラズマにより、容易に分解・除去される。
導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液に対する増粘剤の含有量は、導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液全体に対して0.01〜10.0質量%とすることが好ましい。分散溶液に対する増粘剤の含有量がかかる範囲であれば、粘度も適当であり、分散溶液を効率よくゲル化することができ、ダイヤモンドナノ粒子の凝集や多孔質基材での偏在を確実に防止することができる。一方、増粘剤の含有量が0.01質量%より少ないと、分散溶液がゲル化せず、増粘剤を添加する効果が現れない場合があり、増粘剤の含有量が10.0質量%を超えると、粘度が高くなり過ぎるため、分散溶液が多孔質基材の表層部に広がらず、多孔質基材の表層部に導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液を均一に塗布することが困難となる場合がある。増粘剤の含有量は、分散溶液全体に対して0.01〜1.0質量%とすることがさらに好ましく、0.025〜0.5質量%とすることが特に好ましい。
導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液を調製するには、前記した溶媒中とダイヤモンドナノ粒子を混合・撹拌して、溶媒中にダイヤモンドナノ粒子を分散されるようにすればよい。また、増粘剤を使用する場合は、あらかじめ加熱した溶媒を使用してもよく、また、増粘剤を添加した後の分散溶液を加熱するようにして、増粘剤を分散溶液中に混合するようにすればよい。なお、溶媒に対するダイヤモンドナノ粒子と増粘剤との混合の順序については、均一なゲル状態の導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液を得ることができれば十分であり、特に問題にはならない。
導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液を多孔質基材に塗布させるに際しては、特に制限はなく、ディップコート法、キャスト法、スプレー法、刷毛塗り法等による公知の方法を使用することができる。本発明の実施に際しては、導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液を均一かつ定量的に塗布できる点で、ディップコート法を用いることが好ましい。
多孔質基材に対する導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液の塗布量は、後工程で実施される化学気相成長法の条件や、製造しようとする導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の厚さ等により左右されるが、概ね0.01〜0.2g/cm程度とすればよく、0.02〜0.1g/cm程度とすることが好ましい。
本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法にあっては、導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液を塗布し、ダイヤモンド粒子を固定した多孔質基材に対して、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD法)を用いて、多孔質基材の表層部に導電性ダイヤモンドからなる膜(導電性ダイヤモンド膜)を合成する。かかるCVD法により、多孔質基材の表層部に存在する繊維は、結晶粒径が数十〜数百nmのサイズの導電性ダイヤモンドの結晶粒子により隙間無く覆われることとなり、結晶密度(核密度)の高い、多結晶の導電性ダイヤモンド膜が多孔質基材の表層部(表面及びその内部)に形成される。
化学気相成長法とは、前記したように、石英等で形成される反応管内で加熱した基材の表面に、目的とする導電性ダイヤモンドからなる膜(導電性ダイヤモンド膜)の成分を含む原料ガスを供給し、基盤表面あるいは気相での化学反応により膜を堆積する方法である。化学気相成長法(CVD法)としては、マイクロ波プラズマ化学気相成長法(マイクロ波プラズマCVD法:MP−CVD法)、プラズマ化学気相成長法(プラズマCVD法)、熱フィラメント化学気相成長法(熱フィラメントCVD法)、光化学気相成長法(光CVD法)等の公知の方法を使用することができるが、高密度プラズマ源であるマイクロ波プラズマを用いて、原料ガスとなる炭化水素等を効率よく分解し、また、形成される導電性ダイヤモンド膜の質の向上を図ることができ、ハイスループットの膜を形成することができるという点で、マイクロ波プラズマCVD法を適用することが好ましい。
なお、マイクロ波プラズマCVD法は、マグネトロン等より発生するマイクロ波を導波管によりプラズマ発生室に導き、炭素源を分解してプラズマ化させ、これを加熱されている被処理基板上に導くことにより、炭素ラジカルがダイヤモンドとなって微結晶を成長させる方法である。
CVD法を実施するにあたり、炭化水素及び水素を含む原料ガスが必要となる。水素は、炭化水素のための希釈ガスとなるとともに、ダイヤモンドの結晶化促進を補助する。水素流量は、200〜500sccm程度とすればよい。
水素源とともに用いられる炭素源としては、メタン、エタン、プロパン、エチレン、アセチレン等や、メタノール、エタノール等のアルコール類や、アセトン等のケトン類等を使用することができる。これらの炭素源は、その1種を単独で使用してもよく、その2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、液体のものは、2種類以上の混合溶液として用いるようにしてもよい。
また、得られる導電性ダイヤモンド膜に不純物をドープすれば、得られるダイヤモンド膜の結晶構造を制御したり、膜の導電性を向上させることができ、さらに、導電性ダイヤモンド膜に対して半導体特性を付与することができる。不純物としては、ホウ素(B)、硫黄(S)、酸素(O)、窒素(N)、ケイ素(Si)が挙げられ、炭化水素及び水素を含む原料ガスには、ホウ素を得るためにはジボラン、トリメトキシボラン、酸化ホウ素、硫黄を得るためには酸化硫黄、硫化水素、酸素を得るためには酸素自体あるいは二酸化炭素、窒素を得るためにはアンモニアあるいは窒素自体、ケイ素を得るためにはシラン、等を加えるようにしてもよい。
原料ガスの圧力は20〜50Torr程度であればよく、反応ガスの圧力がかかる範囲であれば、合成が安定して進行し、結晶粒度が大きい、高品質のダイヤモンド膜が得られることになる。
CVD法を実施する際の成長温度(多孔質基材を載置する基板の温度)は、本発明にあっては、250℃以上として、300〜1200℃とすることが好ましく、300〜900℃とすることが特に好ましい。かかる温度は、一般に、多孔質基材を構成する材料の耐熱温度に応じて決定すればよく、例えば、石英濾紙等、石英を構成材料とする多孔質基材を使用する場合にあっては、石英(濾紙)の耐熱温度が400〜550℃であることから、CVD法を実施する際の成長温度を450〜500℃程度とすることが好ましい。
また、成長時間は、前記した温度や、導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の仕様(中空ファイバーの外径、内径や膜の厚さ、及びその面積等)等により適宜決定することができる。一般に、成長時間が長ければ、得られる導電性ダイヤモンド膜を構成するダイヤモンド粒子の平均粒径、結晶粒径が大きくなり、結晶性も向上し、粒子が融合して粒子間の抵抗が小さくなり、導電性が向上する。これにより、電極として用いた場合にあっては、電極反応速度が増加するといった効果を奏することができる。一方、中空ファイバー膜の形態としては、中空ファイバーの外径が大きくなり、また、得られる膜の厚さが厚くなるものと考えられる。これらを勘案して、成長時間は、例えば、2時間以上であればよく、6〜24時間とすることが好ましく、12〜18時間であることが特に好ましい。
また、プラズマ出力は500〜1500W程度であればよく、プラズマ出力がかかる範囲であれば、合成が効率よく進行し、副生成物の少ない、高品質の導電性ダイヤモンド膜を形成することができる。
多孔質基材の表層部に導電性ダイヤモンドからなる膜(導電性ダイヤモンド膜)が形成されたら、多孔質基材を除去することにより、導電性ダイヤモンドからなる中空ファイバーが三次元的に絡み合って形成される導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜を選択して取り出すことができる。多孔質基材を除去する手段は、特に制限はないが、得られた導電性ダイヤモンド膜(導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜)を破損無く確実に取り出すために、導電性ダイヤモンド膜が形成された多孔質基材を、多孔質基材を溶解可能な溶液に浸漬して、多孔質基材を化学的に除去することが好ましい。
使用される多孔質基材を溶解可能な溶液は、多孔質基材を構成する材料(繊維を構成する材料)に応じて適宜決定すればよく、例えば、多孔質基材が石英やシリコンからなる場合にあっては、フッ化水素酸水溶液、フッ化水素酸−硝酸の混合溶液等の溶液を、金等の金属からなる場合にあっては、王水(濃硝酸−濃塩酸の1/3(体積比)混合溶液)を使用することができる。
得られた本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜は、熱的・化学的に安定な導電性ダイヤモンドの中空ファイバーからなり、かかる中空ファイバーが三次元的に絡み合って形成されているため、大きな比表面積を有し、また、貫通した中空体である中空ファイバーにより構成されるので、電解液等の流体の通過も容易であるため、高い電気化学的特性を得ることができる。従って、本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜は、半導体分野、電子デバイス分野、電気化学デバイス分野等に広く適用でき、例えば、二次電池、電気化学キャパシタ等の電極材料や、ガスセンサー・燃料電池に用いるガス拡散電極材料等といった、大きな比表面積を必要とする電極ないしその構成材料として使用することができる。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1〜実施例4]
導電性ダイヤモンド膜が形成された石英濾紙の製造:
下記(1)及び(2)を用いて、導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜を製造した。
(1)石英濾紙へのダイヤモンドナノ粒子の固定:
溶媒を水として、ダイヤモンドナノ粒子(平均粒径:5〜10nm、ナノアマンド(NanoAmando):(株)ナノ炭素研究所製)を混合して0.5g/Lの導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液を調製した。調製した導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液に、石英繊維が三次元的に絡み合って構成される、基材である下記仕様の市販の石英濾紙を2時間浸漬して塗布した。このようにして導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液を塗布した後、石英濾紙を乾燥させることにより、石英濾紙の表層部にダイヤモンドナノ粒子を固定した。
(石英濾紙の仕様)
品名 : ワットマン QMA(ワットマンジャパン株式会社製)
直径 : 32mm
厚さ : 450μm(0.45mm)
耐熱温度 : 500℃
石英繊維の外径 : 0.4〜2μm
目付 : 85g/m
通気度 : 6.4秒/100mL/in
(2)MP−CVD法による導電性ダイヤモンド膜の形成:
(1)で得られた、ダイヤモンドナノ粒子を固定した石英濾紙を、下記の条件により、マイクロ波プラズマ化学気相成長法(MP−CVD法)を用いて、石英濾紙の表層部にボロンがドープされた多結晶の導電性ダイヤモンド膜を形成した。なお、成長時間は、6、12、18及び24時間の4種類を用いて、順に実施例1(6時間)、実施例2(12時間)、実施例3(18時間)、実施例4(24時間)とした。
(CVDの条件)
炭素源 :メタノール+アセトン混合溶媒
ホウ素源 :70%トリメトキシボラン(B/C 原子比 20000ppm)
水素流量 :400sccm
反応圧力 :50Torr
プラズマ出力:1300W
成長温度 :500℃
(基板温度)
成長時間 :6、12、18、24時間(4種類)
図1A〜図1Dは、MP−CVD法実施後の石英濾紙表面のSEM写真を示した図(図1A:実施例1、図1B:実施例2、図1C:実施例3、図1D:実施例4)である。成長膜表面の石英繊維は多結晶ダイヤモンド膜により均一に覆われており、下記に示すように、成長時間に従って結晶粒径が大きくなり、繊維径が太くなった。
(繊維の外径)
実施例1 : 1〜2μm
実施例2 : 2〜4μm
実施例3 : 3〜5μm
実施例4 : 4〜6μm
また、図2〜図5は、実施例1〜実施例4で得られた、石英濾紙の表層部に形成された導電性ダイヤモンド膜のラマンスペクトルを示した図(図2:実施例1、図3:実施例2、図4:実施例3、図5:実施例4)である。図2〜図5に示すように、得られた導電性ダイヤモンド膜は、いずれもダイヤモンドピーク(1333cm−1)が見られ、ダイヤモンドが形成されていることが確認できた。
(3)導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造:
前記した(1)(2)で得られた、表層部に導電性ダイヤモンド膜が合成された石英濾紙をフッ化水素酸−硝酸(モル比 1/1)水溶液中に2〜3時間浸漬することにより、石英濾紙を除去し、導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜を得た。
図6A〜図6Dは、得られた導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜のSEM写真を示した図(図6A:実施例1、図6B:実施例2、図6C:実施例3、図6D:実施例4)である。いずれも長さが100〜1000μmの中空ファイバーが三次元的に網目状に絡み合って形成されていることが確認された。なお、実施例1〜実施例4の中空ファイバー膜を構成する中空ファイバーの外径及び内径は以下のとおりである。
(中空ファイバーの外径及び内径)
実施例1 : 外径1〜2μm、内径0.4〜2μm
実施例2 : 外径2〜4μm、内径0.4〜2μm
実施例3 : 外径3〜5μm、内径0.4〜2μm
実施例4 : 外径4〜6μm、内径0.4〜2μm
また、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4で得られた導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜について、表面からの距離と、導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜を構成する導電性ダイヤモンド中空ファイバー(中空ファイバー)の管厚(外径−内径)との関係を図7に示す。中空ファイバー膜全体の厚さは、成長時間が6〜24時間の間では製膜時間によらず20〜50μmであり、石英濾紙の表層部分(表面及びその内部)に導電性ダイヤモンドが成長していることがわかった。また、図7に示すように、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4で得られた導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜を構成する中空ファイバーの管厚は、成長時間および表面(ダイヤモンド成長面)からの深さに依存して分布していることが確認できた。
[試験例1]
電解質溶液中のサイクリックボルタモグラム(CV)の測定:
本発明のダイヤモンド中空ファイバー膜が電気化学特性を有しているかを確認するために、実施例3(成長時間:18時間)で得られた導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜について、0.1Mの硫酸ナトリウム溶液中でのサイクリックボルタモグラム(CV)を測定した。なお、走査速度は、10、50、100mV/sの3種類とした。結果を図8に示す。
図8に示すように、実施例3で得られた導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜のサイクリックボルタグラム(CV)から求められる電極重量あたりの電気二重層容量は約1F/gであり、この結果は、直径が約8μmの炭素繊維からなるカーボンペーパーの2倍程度であり、本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜が多孔質電極としての性質を有していることが確認できた。また、−1〜2V vs. Ag/AgClの電位範囲で水の電気分解がほとんど起きていないことから、3V以上の広い電位窓を有することがわかった。これより、導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜が一般的な導電性ダイヤモンド電極としての性質を有していることも確かめられた。
[試験例2]
交流インピーダンス法による評価:
実施例3で得られた導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜について、以下の条件で交流インピーダンス測定を行い、ナイキストプロット及びボードプロットを確認した。なお、図9に、本試験で用いた等価回路モデルを、表1にフィッティングパラメータをそれぞれ示した。図9に示した等価回路モデルは、多孔質電極における電極/電解質界面の一例を表現するものであり、本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の評価結果が、かかる等価回路モデルによるナイキストプロット及びボードプロットの結果に近似するものであれば、多孔質電極の性質を持つことになる。
(交流インピーダンス測定の条件)
電解質 : 0.1M硫酸ナトリウム
電位 : +0.5V vs. Ag/AgCl
交流周波数 : 0.01〜100kHz
(フィッティングパラメータ)
(なお、図9の等価回路モデル中における複数のRとCからなる部分が、本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の中空ファイバー膜内部(中空部内部)の電気特性を表現するモデルになり、この部分のインピーダンスが、Rp(中空ファイバー内表面の長さあたりの抵抗)、C(中空ファイバー内表面の長さあたりの電気容量)及びL(中空ファイバーの長さ)をパラメータとして表現される。また、Rは中空ファイバー外表面の抵抗、Cは中空ファイバー外表面の電気容量、をそれぞれ示す。)
図10にナイキストプロット(インピーダンスの実数成分と虚数成分との関係)、図11及び図12にボードプロット(図11:周波数とインピーダンスの絶対値との関係、図12:周波数と位相角との関係)を示した。前記したように、図9に示した等価回路モデルは、多孔質電極における電極/電解質界面を表現するものである一方、図10〜図12に示すように、実施例3の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の評価結果は、かかる等価回路モデルの結果に近似するものであり、本発明の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜が多孔質電極の性質を持ち、良好な電気化学特性を有することが確認できた。
本発明は、半導体分野、電子デバイス分野、電気化学デバイス分野等で使用される二次電池等に適用される電極等を提供する技術として有利に使用することができる。
実施例1において、MP−CVD法実施後の石英濾紙表面のSEM写真を示した図である。 実施例2において、MP−CVD法実施後の石英濾紙表面のSEM写真を示した図である。 実施例3において、MP−CVD法実施後の石英濾紙表面のSEM写真を示した図である。 実施例4において、MP−CVD法実施後の石英濾紙表面のSEM写真を示した図である。 実施例1において、石英濾紙の表層部に形成された導電性ダイヤモンド膜のラマンスペクトルを示した図である。 実施例2において、石英濾紙の表層部に形成された導電性ダイヤモンド膜のラマンスペクトルを示した図である。 実施例3において、石英濾紙の表層部に形成された導電性ダイヤモンド膜のラマンスペクトルを示した図である。 実施例4において、石英濾紙の表層部に形成された導電性ダイヤモンド膜のラマンスペクトルを示した図である。 実施例1で得られた導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜のSEM写真を示した図である。 実施例2で得られた導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜のSEM写真を示した図である。 実施例3で得られた導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜のSEM写真を示した図である。 実施例4で得られた導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜のSEM写真を示した図である。 導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の表面からの距離と中空ファイバーの管厚との関係を示した図である。 実施例3で得られた導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜のサイクリックボルタモグラム(CV)を示した図である。 試験例2で用いた等価回路モデルを示した図である。 試験例2において、ナイキストプロット(インピーダンスの実数成分と虚数成分との関係)を示した図である。 試験例2において、ボードプロット(周波数とインピーダンスの絶対値との関係)を示した図である。 試験例2において、ボードプロット(周波数と位相角との関係)を示した図である。

Claims (4)

  1. 導電性ダイヤモンドからなる中空ファイバーが三次元的に絡み合って形成され
    前記中空ファイバーの外径が50nm〜10μm、内径が20nm〜5μm、長さが0.1〜10mmであることを特徴とする導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜。
  2. 請求項1に記載の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法であって、
    耐熱温度が250℃以上の繊維が三次元的に絡み合って形成される多孔質基材に導電性ダイヤモンドナノ粒子分散溶液を塗布し、前記多孔質基材にダイヤモンドナノ粒子を固定する工程と、成長温度を250℃以上として、化学気相成長法(CVD法)により、前記多孔質基材の表層部に導電性ダイヤモンド膜を合成する工程と、前記導電性ダイヤモンド膜から前記多孔質基材を除去する工程、を含むことを特徴とする導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法。
  3. 前記多孔質基材の除去が、当該多孔質基材を溶解可能な溶液に浸漬することにより実施されることを特徴とする請求項に記載の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法。
  4. 前記多孔質基材を構成する繊維が石英からなることを特徴とする請求項または請求項に記載の導電性ダイヤモンド中空ファイバー膜の製造方法。
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