JP5483062B2 - カーボンナノチューブ製造用基材の製造方法、カーボンナノチューブの製造方法、半導体装置、及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ製造用基材の製造方法、カーボンナノチューブの製造方法、半導体装置、及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノチューブ製造用基材の製造方法、カーボンナノチューブの製造方法、半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関する。
炭素系新材料として、カーボンナノチューブ(以下、CNTとも称する)が着目されている。CNTとは、グラフェンシート(2次元平面内に敷き詰められた炭素の六員環構造)が円筒状に巻かれた構造体を指し、直径数nm、長さ数μmという微小で細長い円柱形状を有する。かかるCNTは、従来の材料では到達し得ない熱伝導性、電気伝導性、機械的強度を有するため、超高密度ナノエレクトロニクス、量子効果ナノデバイス、スピンエレクトロニクス、超高強度材料、ナノメカニカルデバイス、化学センサ、単電子・スピン検出器等の種々の用途への応用が可能である。
CNTはCVD(化学気相成長)法等で製造されているが、かかる方法には触媒元素を含む成長核の形成が必須であるところ、成長核の形成方法としてスパッタ法が従来周知である。しかし、これら従来周知の方法では、成長核の径を小さくすることが困難である結果、製造可能なCNTの径の自由度が狭いという問題が知られている。
そこで、触媒元素の成長核を形成する方法として、基板に触媒元素のイオンを注入した後、加熱処理を施すことでイオンを拡散させる技術が開示されている(特許文献1参照)。この技術によれば、触媒元素がイオン化された原子の形で基板に導入されるため、成長核の小径化が期待される。
特開2003−165713号公報
しかし、本発明者によれば、特許文献1に示される技術では、実際には触媒元素の成長核は形成されないことが判明した。このように、径の小さい触媒元素の成長核を形成する技術は確立されていないのが現状である。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、イオン注入法を用いつつ触媒元素の成長核が形成されたカーボンナノチューブ製造用基材の製造方法、この基材を用いたカーボンナノチューブの製造方法、半導体装置、及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、絶縁膜で被覆され且つ所定の結晶方位を有する基板に対し所定温度でイオン注入することで、成長核の結晶方位が互いに揃った成長核が形成されることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 表面に絶縁膜が位置し且つ所定の結晶方位を有する基板に対し、この基板を1000℃以下の所定温度に調節した状態にて、触媒元素のイオンを注入することで、前記触媒元素を含む成長核を、前記基板と前記絶縁膜との界面に形成させる成長核形成工程を有する、カーボンナノチューブ製造用基材の製造方法。
(1)の発明によれば、絶縁膜で被覆され且つ基板に対し1000℃以下の温度でイオン注入するので、基板と絶縁膜との界面に注入されたイオンが集合し、小径の成長核を形成できる。また、所定の結晶方位を有する基板を用いるので、形成される成長核の結晶方位が互いに揃いやすい。このため、かかる成長核上に炭素構造体を成長させることで、カーボンナノチューブのカイラリティを制御することが期待できる。
(2) 前記基板は第14族元素を含み、前記触媒元素は前記基板を構成する元素と同一である(1)記載の製造方法。
(3) 前記触媒元素は、Siである(1)又は(2)記載の製造方法。
(4) 前記成長核形成工程は、前記触媒元素のイオンを注入するエネルギーを、前記触媒元素の分布のピークが前記基板と前記絶縁膜との界面に理論的に位置するよう調節する工程を有する(1)から(3)いずれか記載の製造方法。
なお、エネルギーをピークが界面に理論的に位置するよう調節するとは、絶縁膜の構成成分、膜厚等を考慮し、理論的にピークが界面に位置するよう算出されたエネルギーに調節することを指し、必ずしも実際のイオン注入後のピークが界面に位置することを指すものではない。
(5) 前記成長核形成工程は、任意元素のイオンを、前記触媒元素のイオンを注入する第1エネルギー以上である第2エネルギーで注入する照射増速拡散工程と、を有する(1)から(4)いずれか記載の製造方法。
注入された触媒元素のイオンの中には、基板と絶縁膜との界面に届かず、絶縁膜内に留まるものも存在する。しかし、かかるイオンは非晶質状態で集合するだけで、結晶化しない。
しかし、(5)の発明によれば、触媒元素のイオンを注入する第1エネルギー以上である第2エネルギーでイオンを注入するので、絶縁膜内に留まる非晶質の触媒元素集合体が界面へと移動して結晶化し、触媒元素を含む成長核を形成することができる。
(6) 前記第2エネルギーは、前記任意元素のイオン濃度のピークが前記基板中になるエネルギーである(5)記載の製造方法。
第2エネルギーが過小であると、非晶質の触媒元素集合体を界面へ充分に移動させるのが困難である。
そこで、(6)の発明によれば、第2エネルギーを、任意元素のイオン濃度のピークが基板中になるエネルギーにしたので、非晶質の触媒元素集合体が界面へ効率的に移動する。これにより、触媒元素を含む成長核をより多く形成することができる。
(7) (1)から(6)いずれか記載の製造方法で製造されたカーボンナノチューブ製造用基材を用い、
前記絶縁膜が除去され、露出した状態の前記成長核に対し炭素含有ガスを供給することで、前記成長核上に筒状の炭素構造体を成長させる成長工程を有するカーボンナノチューブの製造方法。
(8) 前記炭素構造体の成長は、前記炭素含有ガスを用いた化学気相成長法により行う(7)記載の製造方法。
(9) (7)又は(8)記載の製造方法で製造されるカーボンナノチューブの束を備える半導体装置。
(10) 前記カーボンナノチューブの束で構成されるチャネルの側面を包囲するゲート絶縁膜と、
前記カーボンナノチューブの両端に位置するソース及びドレインと、を備える(9)記載の半導体装置。
(11) (1)から(6)いずれか記載の製造方法で製造されたカーボンナノチューブ製造用基材を用い、
前記絶縁膜が除去され、露出した状態の前記成長核に対し炭素含有ガスを供給することで、前記成長核上に筒状の炭素構造体を成長させてカーボンナノチューブを製造する工程と、
前記基板の表面をN型又はP型の半導体膜に変化させて、ソース又はドレインを形成する工程と、
前記カーボンナノチューブの束の側面をゲート絶縁膜で包囲する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
(11)の発明によれば、いわゆるサラウンディングゲートトランジスタ(SGT)が製造される。これにより、半導体装置の高密度化、短チャネル化が期待できるとともに、ゲートからの電場をチャネルの全周方向から加えることができるため、チャネル中のキャリア密度を効率的に制御できる。
(12) 前記カーボンナノチューブを製造する工程は、前記ソース又はドレインを形成する工程よりも前に行う(11)記載の製造方法。
(13) 前記ソース又はドレインを形成する工程は、前記カーボンナノチューブを製造する工程よりも前に行う(11)記載の製造方法。
本発明によれば、絶縁膜で被覆され且つ基板に対し1000℃以下の温度でイオン注入するので、基板と絶縁膜との界面に注入されたイオンが集合し、小径の成長核を形成できる。また、所定の結晶方位を有する基板を用いるので、形成される成長核の結晶方位が互いに揃いやすい。このため、かかる成長核上に炭素構造体を成長させることで、カーボンナノチューブのカイラリティを制御することが期待できる。
本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法の手順を示す図である。 本発明の一実施形態に係る半導体装置の断面図である。 本発明の参考例に係る方法で製造したカーボンナノチューブ製造用基材における成長核を示す画像である。 図3の拡大図である。 前記参考例における成長核の径分布を示すグラフである。 前記参考例に係るカーボンナノチューブ製造用基材を用いて製造した炭素構造体の画像である。 本発明の一実施例に係る方法で製造したカーボンナノチューブ製造用基材における成長核を示す画像である。 本発明の別の実施例に係る方法で製造したカーボンナノチューブ製造用基材における成長核を示す画像である。 図8のカーボンナノチューブ製造用基材を用いて製造した炭素構造体の画像である。 本発明の更に別の実施例に係る方法で製造したカーボンナノチューブ製造用基材における成長核を示す画像である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法の手順を示す図である。この製造方法は、表面に絶縁膜25が位置する基板21’に対し、この基板21’を1000℃以下の所定温度に調節した状態にて、触媒元素のイオンを注入する成長核形成工程を有する(図1(A))。これにより、触媒元素を含む成長核27が、基板21’と絶縁膜25との界面に形成され(図1(B))、カーボンナノチューブ製造用基材が製造される。
ここで、用いた基板21’が所定の結晶方位(図1では説明の便宜上、格子で示している)を有しているため、形成される各々の成長核27の結晶方位が基板21’の結晶方位を反映し、互いに揃いやすい。このため、絶縁膜25を除去し(図1(C))、露出した状態の成長核27に対し炭素含有ガスを供給し炭素構造体30’を成長させる(図1(D))ことで、カイラリティの制御されたカーボンナノチューブを製造できることが期待される。
所定温度は、触媒元素のイオンの注入量(注入量の大小に応じて成長核の径が大小する傾向がある)等に応じ、所望径の成長核が所望の表面密度に形成されるよう、1000℃以下の範囲で適宜設定されてよい。なお、径の小さい成長核の形成を容易化できる観点では、所定温度は800℃以下であることが好ましく、より好ましくは600℃以下である。また、所定温度の下限は、所定温度が低くなるにつれ触媒元素の結晶化自体が困難になることを考慮して適宜設定されてよいが、一般的には200℃であることが好ましく、300℃であることがより好ましい。
ただし、基板21’と絶縁膜25との界面に達せず、絶縁膜25内に留まった触媒元素の中には絶縁膜25内に原子状態で留まるものもあることから、後述の照射増速拡散工程を行う場合には、所定温度が800℃以上の高温もしくは200℃以下の低温であっても、充分に小径の成長核の形成が可能である。
基板21’の素材は、半導体又は金属のいずれでもよいが、C、Si、Ge等の第14族元素を含むことが好ましく、Siを含むことがより好ましい。なお、基板21’は異種材料上に位置してよく、例えば、金属上に位置する半導体膜であっても、半導体上に位置する金属膜であってもよい。
基板21’の結晶方位は、特に限定されないが、(001)面、(011)面、(111)面等のように対称性が高いことが好ましい。なお、基板21’の結晶方位は、基本的に全体が統一していることが好ましいが、少なくとも後述のチャネルを構成するのに必要な範囲で統一していればよい。
触媒元素は、カーボンナノチューブの成長を触媒できる限りにおいて特に限定されないが、一般的には、Fe、Ni、Co等の遷移金属元素、又はC、Si、Ge等の第14族元素が挙げられる。このうち、基板21’がC、Si、Ge等の第14族元素を含む場合には、触媒元素も基板の構成元素と同一であることが好ましい。これにより、更に小径の成長核を形成することができ、また結晶方位の制御がより正確化し得る。
絶縁膜25は、注入する触媒元素のイオンを減速させ、イオンの大部分を基板21’と絶縁膜25との界面に位置させるよう機能する。このような絶縁膜25の素材としては、レジスト、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜等の半導体デバイスの製造プロセスで一般に用いられる材料、アルミナ等のセラミック系材料等が挙げられる。
触媒元素のイオン注入のエネルギー(第1エネルギー)は、LSS理論を用い、触媒元素の種類、絶縁膜25の素材及び厚み等に応じて、一般的には、触媒元素の分布のピークが基板21’と絶縁膜25との界面近傍に位置するよう設定されるのが好ましい。これにより、成長核を効率的に形成することができる。ただし、前述のように、触媒元素の中には絶縁膜25内に原子状態で留まるものもある。このため、次に説明する照射増速拡散工程を行うことを条件として、第1エネルギーは、触媒元素のイオンの分布のピークが絶縁膜25内に位置するよう設定されることも、より小径の成長核を形成できる点では好ましい。
成長核形成工程は、任意元素のイオンを、前記触媒元素のイオンを注入する第1エネルギー以上である第2エネルギーで注入する照射増速拡散工程を有することが好ましい。これにより、絶縁膜25内に留まる非晶質の触媒元素集合体が界面へと移動して結晶化し、触媒元素を含む成長核が形成される。ここで、前述のように、絶縁膜25内の触媒元素集合体は小径になる可能性が高いため、成長核の小径化が期待できる。
照射増速拡散工程で用いるイオンの任意元素は、注入可能である限りにおいて特に限定されず、適宜選択されてよい。基板21’を半導体装置の構成品として利用する場合に備え、任意元素は、装置の特性に影響を与えないよう基板21’の構成元素と同一の元素又は希ガス等の安定元素であってもよいし、ソース又はドレインを形成するべく基板21’の表面を半導体膜に変化させる工程を省略するため、基板21’の構成元素と異なりドーパントになる元素であってもよい。
第2エネルギーは、第1エネルギー以上の範囲で適宜設定されてよいが、過小であると、絶縁膜25内の触媒元素集合体を界面へ移動させるのが不充分になる。そこで、第2エネルギーは、任意元素のイオン濃度のピークが基板21’中になるエネルギーであることが好ましい。これにより、絶縁膜25内の触媒元素集合体が界面へ効率的に移動するため、成長核をより多く形成することができる。なお、第2エネルギーも、任意元素の種類、絶縁膜25の素材及び厚み等に応じ、LSS理論を用いて設定できる。
このようにして製造されたカーボンナノチューブ製造用基材は、カイラリティの制御されたカーボンナノチューブの製造が期待できる点で有用である。本発明に係るカーボンナノチューブ製造用基材は、上記方法で形成された成長核を備える限りにおいて、絶縁膜が製造時のものと同一でも異なっていても、もしくは他の要素が付加されていても、本発明に包含される。なお、成長核が上記方法で形成されていることは、成長核の結晶方位が基板21’の結晶方位を反映していること等で特定し得る。
図1(C)に戻って、絶縁膜の除去は、従来周知の任意の方法で行ってよい。例えば、所定のパターンで形成したレジスト膜をマスクとして用いて絶縁膜25をエッチング除去してもよい。これにより、絶縁膜25の除去された部分において、成長核27が露出する。なお、注入された触媒元素のうち絶縁膜25中に留まったものは、絶縁膜25とともに除去される。図1(C)では、説明の便宜上、基板21’全体を露出させているが、実際にはカーボンチューブを形成させるべき範囲を選択的に露出させればよい。
次に、図1(D)では、露出した状態の成長核27に対し炭素含有ガスを供給することで、成長核27上に筒状の炭素構造体30’を成長させる(成長工程)。炭素含有ガスは、炭素元素を含有する限りにおいて、特に限定されない。
炭素含有ガスの供給は、従来公知の方法で行ってよいが、化学気相成長法(CVD法)により行うことが好ましい。CVD法は、プラズマCVD法又は熱CVD法のいずれであってもよい。具体的に、プラズマCVD法は、減圧下、650〜800℃程度においてメタン(CH)ガス及び水素(H)ガスを流しながら行ってよく、熱CVD法は、減圧下、650〜800℃程度においてアセチレン(C)ガス及び水素ガスを流しながら行ってよい。なお、CVD法では、炭素構造体の成長方向と同じ方向に電界を存在させることが、炭素構造体の成長方向を容易に制御できる点で好ましい。
炭素構造体を所望の長さに成長させることで、カーボンナノチューブが製造される。そして、このカーボンナノチューブの束を備える半導体装置は、本発明に包含される。本発明の方法で製造されるカーボンナノチューブの束は、カイラリティが互いに揃っている傾向が強いため、電気的性質が全体として均質である。なお、カーボンナノチューブの束を半導体装置において用いる場合には、カーボンナノチューブが半導体である必要があるため、ジグザグ型又は螺旋型のカイラリティを有する必要がある。
半導体装置は、従来公知のいずれであってもよいが、カーボンナノチューブの優れた特性を活用できる点で、例えば電界効果トランジスタであることが好ましい。かかる電界効果トランジスタにおけるカーボンナノチューブの束は、チャネル、ソース、ドレインのいずれで使用されてもよいが、好ましい態様では、カーボンナノチューブの束でチャネルが構成される。
この場合、電界効果トランジスタの構造は、従来周知のプレナー型(ソース、ゲート、ドレインが平面に位置する)であってもよいが、サラウンディングゲート型(ソース、ゲート、ドレインの電極が垂直に配置される)であることが好ましい。これにより、半導体装置の高密度化、短チャネル化が期待できるとともに、ゲートからの電場をチャネルの全周方向から加えることができるため、チャネル中のキャリア密度を効率的に制御できる。
サラウンディングゲート型構造の半導体装置は、図2に示されるように、カーボンナノチューブの束で構成されるチャネル30の側面を包囲するゲート絶縁膜41と、カーボンナノチューブの両端に位置するソース20及びドレイン50と、を備える。ゲート絶縁膜41の外周には、好ましくは全周に亘ってゲート電極43が設けられており、このゲート電極43に印加する電圧の大小により、チャネルを流れる電気量を調節することができる。なお、41及び43によりゲート40が構成される。
ソース20を構成する基板21の表面及びドレイン50を構成する基板51の表面には、N型又はP型の半導体膜23,53が形成されている。これら半導体膜23又は53の形成(即ち、ソース又はドレインの形成)は、カーボンナノチューブの製造工程の前に行ってもよいし、後に行ってもよい。例えば、ドーパントになる元素のイオン注入を、カーボンナノチューブの製造工程の前(例えば、前述のように成長核形成工程の間、もしくはその前後)に行ってもよいし、カーボンナノチューブの製造後に行ってもよい。
基板21又は基板51としては、カーボンナノチューブ製造用基材の基板21’をそのまま使用することができる。基板21及び基板51のうち基板21’を使用しない方は、半導体膜を準備しておき、この半導体膜に従来周知のSOI基板形成法等の方法に従って基板を貼り合わせてもよい。いずれの技術も従来周知であるため、詳細な条件設定は当業者が適宜設定することができる。
なお、図2に示す態様では基板51及び53を用いたが、これらを用いなくてもよい。また、カーボンナノチューブの束は、ソース及びドレインにおいて用いてもよい。かかる態様は、特開2006−108377号公報等で開示されるように周知技術に従うものであるため、説明を省略する。
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
<参考例>
まず、単結晶Siからなる基板の表面に、ドライ酸化法(酸化時間60分、酸素流量3.0L/min、酸化温度900℃)を用いて、SiOからなる絶縁膜を形成した。この基板及び絶縁膜の複合体を切断し、触媒形成用の基材として用いた。
触媒形成用基材に対し、中電流型イオン注入装置(アルバック社製)を用いて、加速エネルギー5keV、ドース量2×1016ions/cmの条件で、基板温度を600℃(参考例1)又は1000℃(参考例2)とし、触媒元素Feのイオンを注入することで、カーボンナノチューブ製造用基材を製造した。参考例1〜2で製造したカーボンナノチューブ製造用基材を、表面に垂直に切断し、絶縁膜の表面近傍の切断面を透過型電子顕微鏡で観察した。図3(A)は参考例1の画像であり、(B)は参考例2の画像である。また、図4(A)は図3(A)の部分拡大図であり、(B)は図3(B)の部分拡大図である。
図3に示されるように、600℃で注入されたFeは絶縁膜中で凝集し、クラスター構造を形成している(A)のに対し、1000℃で注入されたFeは大型のクラスター構造を形成している(B)。そして、図4に示されるように、600℃でのイオン注入で形成されたクラスター構造は非晶質であるが、1000℃でのイオン注入で形成されたクラスター構造には格子像が明瞭に確認でき、結晶化が生じたことが分かる。
図5は、参考例1及び2で製造したカーボンナノチューブ製造用基材におけるクラスターの大きさのヒストグラムである。参考例1ではクラスターが比較的小さく、大きさが揃っているのに対し、参考例2ではクラスターが大きく成長し、大きさがばらついている。なお、イオンのドース量や注入時の基板温度を下げて最適化することで、径1〜2nm程度で大きさの揃ったクラスターを生成することが可能であるものと思われる。
参考例1〜2で製造したカーボンナノチューブ製造用基材の絶縁膜に対し、プラズマ化学気相成長法にて、CH/H(10/200sccm)ガスをガス圧3.3kPaで流し、マイクロ波を出力750Wで照射し、基材温度800℃の条件にて10分間に亘り、炭素含有ガスを成長核に供給した。これにより製造された炭素構造体の様子を、走査型電子顕微鏡を用いて観察した。図6(A)は参考例1、(B)は参考例2の結果を示す。
参考例1では、カーボンナノウォール(CNW)が形成され、参考例2ではカーボンナノチューブ(CNT)が形成されたことが確認された。ただし、図6(B)に示すCNTは、成長核の径が大きかった(10nm程度)ことから、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)である。ただし、成長核は非晶質であるSiO膜内に留まったクラスターであったため、その結晶方向がランダムであり、これに伴ってCNTのカイラリティは揃っていない。したがって、カーボンナノチューブの種になる成長核は非晶質クラスターではなく、結晶クラスターである必要があることが分かった。
なお、参考例2で形成されたCNTは曲線状であった。半導体装置への応用のためには直線状のCNTを形成することが望ましい。しかし、CNTが曲線状になったのは、炭素構造体に、六員環ではない五員環や七員環が混じったことによるところ、これはCVD条件の最適化により容易に解消し得るものである。
<実施例1>
加速エネルギー36keV、ドース量5×1015ions/cmの条件で、35nm厚さのSiO膜/Si単結晶基板にイオン注入を行った点を除き、参考例1と同様の手順で、カーボンナノチューブ製造用基材を製造した。なお、加速エネルギー36keVは、絶縁膜のSiO密度を2.21g/cm、Siの密度を2.32g/cmと仮定し、ソフトウェア「SRIM2008」を用いて、Fe原子の分布ピークが基板と絶縁膜との界面に位置するよう、算出したものである。このカーボンナノチューブ製造用基材を、表面に垂直に切断し、絶縁膜の表面近傍の切断面を透過型電子顕微鏡で観察した結果を図7に示す。図7(B)は(A)の界面近傍(左側部分)の拡大図であり、(C)は(B)の界面近傍に形成されたクラスターの拡大図である。
この結果、実施例1で形成されたクラスターは7〜8nmの径を有し、明瞭に格子像を有することが観察された。しかも、格子像の方向から、基板であるSi単結晶の面方位を反映したクラスター成長が生じたことも分かる。前述のように、イオン注入時の基板温度及びドース量を最適化することで、直径1〜2nmで結晶方位の揃った微結晶粒を形成できる。更に注入量率(ドースレート)を制御することで、クラスターの成長時間を調節し、大きさとクラスター形成密度も制御し得る。
<実施例2>
加速エネルギーを42keVとして43nm厚さのSiO膜/Si単結晶基板にイオン注入し、その間の基板温度を300℃とした点を除き、実施例1と同様の手順でカーボンナノチューブ製造用基材を製造した。なお、加速エネルギー42keVは、上記と同様の手順でFe原子の分布ピークが基板と絶縁膜との界面に位置するよう算出したものである。このカーボンナノチューブ製造用基材を、表面に垂直に切断し、絶縁膜の表面近傍の切断面を透過型電子顕微鏡で観察した結果を図8に示す。図8(B)は(A)の界面近傍の拡大図であり、径が2nm程度でほぼ観測限界に近いことから視認しづらいものの、クラスターが界面に形成されている。
実施例2で製造したカーボンナノチューブ製造用基材の絶縁膜をHF溶液に浸漬して除去し、上記で確認された成長核を露出させた。この状態で、参考例2と同様の手順で炭素含有ガスを成長核に供給した。これにより製造された炭素構造体を走査型電子顕微鏡を用いて観察した結果を図9(A)に示す。なお、図9(B)に、比較の便宜のため、参考例2で製造した炭素構造体の走査型電子顕微鏡による観察像を示す。
図9に示されるように、実施例2では参考例2に比べ、はるかに極小で細長いCNTが形成されていた。SWCNTはこの倍率の視野にてぎりぎり視認できるサイズを有するはずであることから、かすかに確認できる筋状の構造体はSWCNTであるか、もしくはそれらがバンドル化したものである可能性が高い。なお、散見される粒子状の構造体は、絶縁膜がエッチング除去されず島状に残った部分である。
<実施例3>
参考例1で製造したカーボンナノチューブ製造用基材に対し、加速エネルギー400keV、基板温度1000℃の条件でArイオン(任意元素のイオンの一例)を3×1015/cmのドース量でイオン注入する(照射増速拡散工程)ことで、カーボンナノチューブ製造用基材を製造した。このカーボンナノチューブ製造用基材を、表面に垂直に切断し、絶縁膜の表面近傍の切断面を透過型電子顕微鏡で観察した。図10(B)は(A)の界面近傍の拡大図であり、(C)は(B)のクラスターの拡大図である。
図10(A)に示されるように、第1エネルギーで注入した際に非晶質クラスター化したFeは、ほとんど動かずに絶縁膜内に留まり、大きく成長して結晶化していた。他方、クラスター化せずに原子状態のFeは、図10(B)及び(C)に示されるように、第2エネルギーでのArイオン注入により、基板に向かって増速拡散し、クラスター化しながら、界面付近あるいは界面に到達していた。
20 ソース
21,21’,51 基板
23,53 半導体膜
25 絶縁膜
27 成長核
30’ 炭素構造体
30 チャネル
40 ゲート
41 ゲート絶縁膜
43 ゲート電極
50 ドレイン

Claims (13)

  1. 表面に絶縁膜が位置し且つ所定の結晶方位を有する基板に対し、この基板を200℃以上1000℃以下の所定温度に調節した状態にて、触媒元素のイオンを注入することで、前記触媒元素を含む結晶化した成長核を、前記基板と前記絶縁膜との界面に形成させる成長核形成工程を有する、カーボンナノチューブ製造用基材の製造方法。
  2. 前記基板は第14族元素を含み、前記触媒元素は前記基板を構成する元素と同一である請求項1記載の製造方法。
  3. 前記触媒元素は、Siである請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記成長核形成工程は、前記触媒元素のイオンを注入するエネルギーを、前記触媒元素の分布のピークが前記基板と前記絶縁膜との界面に理論的に位置するよう調節する工程を有する請求項1から3いずれか記載の製造方法。
  5. 前記成長核形成工程は、任意元素のイオンを、前記触媒元素のイオンを注入する第1エネルギー以上である第2エネルギーで注入する照射増速拡散工程と、を有する請求項1から4いずれか記載の製造方法。
  6. 前記第2エネルギーは、前記任意元素のイオン濃度のピークが前記基板中になるエネルギーである請求項5記載の製造方法。
  7. 請求項1から6いずれか記載の製造方法で製造されたカーボンナノチューブ製造用基材を用い、
    前記絶縁膜が除去され、露出した状態の前記成長核に対し炭素含有ガスを供給することで、前記成長核上に筒状の炭素構造体を成長させる成長工程を有するカーボンナノチューブの製造方法。
  8. 前記炭素構造体の成長は、前記炭素含有ガスを用いた化学気相成長法により行う請求項6記載の製造方法。
  9. 請求項7又は8記載の製造方法で製造されるカーボンナノチューブの束を備える半導体装置。
  10. 前記カーボンナノチューブの束で構成されるチャネルの側面を包囲するゲート絶縁膜と、
    前記カーボンナノチューブの両端に位置するソース及びドレインと、を備える請求項9記載の半導体装置。
  11. 請求項1から6いずれか記載の製造方法で製造されたカーボンナノチューブ製造用基材を用い、
    前記絶縁膜が除去され、露出した状態の前記成長核に対し炭素含有ガスを供給することで、前記成長核上に筒状の炭素構造体を成長させてカーボンナノチューブを製造する工程と、
    前記基板の表面をN型又はP型の半導体膜に変化させて、ソース又はドレインを形成する工程と、
    前記カーボンナノチューブの束の側面をゲート絶縁膜で包囲する工程と、を有する半導体装置の製造方法。
  12. 前記カーボンナノチューブを製造する工程は、前記ソース又はドレインを形成する工程よりも前に行う請求項11記載の製造方法。
  13. 前記ソース又はドレインを形成する工程は、前記カーボンナノチューブを製造する工程よりも前に行う請求項11記載の製造方法。
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