JP5482041B2 - 電動機の制御装置 - Google Patents

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本発明は、電動機の制御装置に関する。
従来より、PWM制御のデューティー指令に応じてインバータのスイッチング動作を制御することにより電動機の出力トルクを制御する電動機の制御装置が知られている。ところで、PWM制御では、半導体スイッチのスイッチングノイズが電流に重畳されてしまうため、特許文献1には、スイッチングノイズの影響を回避して電流検出を行うことで制御性の向上を図る電動機の制御装置が開示されている。具体的には、この制御装置は、三角波のキャリア信号を出力するキャリア信号発生器と、電流検出トリガを出力する電流検出トリガ発生器と、モータ電流を検出する電流検出器と、電流制御を行う電流制御器と、PWM信号を出力するPWM制御器とを備えている。ここで、電流検出トリガ発生器は、キャリア信号の山谷から、電流検出と電流制御の処理時間分だけ前で、電流検出トリガを出力する。
特開2008−131712号公報
しかしながら、特許文献1に開示された手法によれば、電流検出を予め決められたタイミングだけで行うため、必ずしもスイッチングノイズの影響を回避することができない場合がある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スイッチングノイズの影響を回避することにより、電流検出誤差を抑制して制御性の向上を図ることである。
かかる課題を解決するために、本発明は、PWMキャリア信号の所定位相のタイミングにおいて、電動機の相電流と電動機のロータの回転角とをそれぞれ取得するとともに、電動機のトルク指令に対応する相電流指令と前記取得された相電流との差、および取得された回転角に基づいて電圧指令が演算される。そして、PWMキャリア信号の次回のキャリア周期における所定位相のタイミングにおいて出力される電圧指令とPWMキャリア信号とに基づいて、PWM制御のデューティー指令が演算される。ここで、相電流および回転角の取得タイミングの位相は、インバータのスイッチング動作のタイミングに基づいて可変に設定される。
本発明によれば、相電流および回転角の取得タイミングの位相を可変とすることで、スイッチングノイズの影響を回避したタイミングで電流検出を行うことができるので、電流検出誤差が抑制され、これにより、制御性の向上を図ることができる。
第1の実施形態にかかるモータ制御システムの全体構成を模式的に示す説明図 ノイズ残存時間Tnの説明図 回転角に対応する三相の電圧指令vu*〜vw*を示す説明図 図3に示すタイミングAにおける三相の電圧指令vu*〜vw*と各相のPWMパルス波形とを示す説明図 各相のPWMパルスのオンオフタイミングを回転角θに対して示す説明図 第1の手法にかかる取得タイミングTgの決定手順を示すフローチャート 取得タイミングTgの変化を示す説明図 各相のPWMパルスのオンオフタイミングを回転角θに対して示す説明図 第2の手法にかかる取得タイミングTgの決定手順を示すフローチャート 取得タイミングTgの変化を示す説明図 第2の実施形態にかかるモータ制御システムの全体構成を模式的に示す説明図 演算時間最大を条件とした際の取得タイミングTgを変調率毎に示す説明図 演算時間最大を条件とした際の取得タイミングTgを電圧位相毎に示す説明図 第2の実施形態にかかるモータ制御システムの変形例を示す説明図 演算時間最大を条件とした際の取得タイミングTgを示す説明図
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかるモータ制御システムの全体構成を模式的に示す説明図である。本実施形態にかかるモータ制御システムは、電動車(例えば、電気自動車)の駆動用モータを制御するモータ制御システムである。このモータ制御システムは、モータ10、インバータ20および制御ユニット30を主体に構成されている。
モータ10は、ロータとステータとを主体に構成されており、中性点を中心に星形結線された複数の相巻線(本実施形態では、U相巻線、V相巻線、W相巻線からなる3つの相巻線)がステータにそれぞれ巻回された永久磁石同期電動機である。このモータ10は、後述するインバータ20から、三相の交流電力が各相巻線にそれぞれ供給されることにより生じる磁界と、回転子の永久磁石が作る磁界との相互作用により駆動することにより、ロータおよびこれに連結された出力軸が回転する。モータ10の出力軸は、例えば、電気自動車の自動変速機に連結されている。
インバータ20は、電源(図示せず)に接続されており、電源からの直流電力を交流電力に変換してモータ10に供給する電力変換手段である。交流電力はモータ10の各相に対応して生成され、インバータ20によって生成された各相の交流電力は、モータ10にそれぞれ供給される。
インバータ20は、電源の正極側の母線に接続される上アームと、電源の負極側の母線に接続される下アームとが直列接続された回路を、U相、V相およびW相の各相に対応して備えている。各相に対応する回路の各アームは、一方向の導通を制御可能な半導体スイッチ(例えば、IGBT等のトランジスタといった自己消弧形のスイッチング素子)を主体に構成されており、この半導体スイッチには、還流用ダイオードが逆並列接続されている。
各アームのオンオフ状態、すなわち、半導体スイッチのオンオフ状態(スイッチング動作)は、制御ユニット30から出力されるPWM指令(PWM制御のデューティー指令)を通じて制御される。個々のアームを構成する半導体スイッチは、制御ユニット30のPWM指令によりオンされることにより導通状態となり、オフされることにより非導通状態(遮断状態)となる。
制御ユニット30は、インバータ20のスイッチング動作を制御することにより、モータ10の出力トルクを制御する電動機の制御装置である。制御ユニット30としては、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。制御ユニット30は、ROMに記憶された制御プログラムに従い、インバータ20を制御するための演算を行う。そして、制御ユニット30は、この演算によって算出された制御信号(PWM指令)をインバータ20に対して出力する。
制御ユニット30は、各種のセンサによって検出される情報を取得する(読み込む)ことができる。位置センサ(例えば、レゾルバ)は、モータ10に取り付けられており、モータ10のロータ位置を表す位置情報、具体的には、ロータ位相(電気角)、すなわち、ロータの回転角θを検出する。また、電流センサは、モータ10における各相の実電流iu,iv,iwを検出する。制御ユニット30による各センサからの情報取得は、当該制御ユニット30の一機能を担う、後述する取得タイミング演算部38の演算結果に従ったタイミングで行われる。
制御ユニット30は、例えば、PWM波電圧駆動といった駆動方式により、インバータ20を駆動する。PWM波電圧駆動は、PWM制御により、直流電圧からPWMパルスを生成してモータ10に印加する、具体的には、PWMキャリア信号に基づいてデューティー指令を算出することで等価的な正弦波交流電圧をモータ10に印加する駆動方式である。
制御ユニット30は、これを機能的に捉えた場合、電流演算部31と、電圧演算部32と、三相変換部33と、PWM変換部34と、デッドタイム補償部35と、dq軸変換部36と、微分演算部37と、取得タイミング演算部38とを有する。
電流演算部31は、外部より与えられるモータ10のトルク指令Te*と、モータ回転数ωとに基づいて、トルク指令Te*に対応するd軸およびq軸電流指令id*,iq*をそれぞれ演算する。モータ10の特性等を考慮して、トルク指令値Te*およびモータ回転数ωと、d軸およびq軸電流指令id*,iq*との関係を実験やシミュレーションを通じて予め取得しておくことで、電流演算部31は、この関係を規定したマップを保持している。電流演算部31は、当該マップを参照してd軸およびq軸電流指令id*,iq*をそれぞれを演算する。ここで、微分演算部37は、位置センサから得られる回転角θを時間微分することによりロータ角速度(電気角)、すなわち、モータ回転数ωを演算している。d軸およびq軸電流指令id*,iq*の演算に必要となるモータ回転数ωは、この微分演算部37の演算結果を利用することができる。
電流演算部31から出力されるd軸およびq軸電流指令id*,iq*は、モータ10の実電流に対応するd軸およびq軸電流id,iqがそれぞれ減算されることにより、d軸およびq軸の電流偏差がそれぞれ演算される。d軸およびq軸の電流偏差は、電圧演算部32に出力される。ここで、モータ10の実電流に対応するd軸およびq軸電流は、dq軸変換部36が、回転角θに基づいて、三相の実電流iu〜iwを座標変換することにより演算される(数式1参照)。
Figure 0005482041
電圧演算部32は、例えば、PI制御を用いて、d軸およびq軸の電流偏差がそれぞれ0となるようなd軸およびq軸電圧指令vd*,vq*をそれぞれ演算する(数式2参照)。
Figure 0005482041
ここで、Kpdはd軸比例ゲインであり、Kidはd軸積分ゲインであり、Kpqはq軸比例ゲインであり、Kiqはq軸積分ゲインである。また、sはラプラス演算士である。演算されたd軸およびq軸電圧指令vd*,vq*は、三相変換部33にそれぞれ出力される。
三相変換部33は、回転角θを参照した上で、d軸およびq軸電圧指令vd*,vq*を、三相に対応する電圧指令vu*,vv*,vw*に座標変換する(数式3参照)。各相の電圧指令vu*〜vw*は、PWM変換部34にそれぞれ出力される。
Figure 0005482041
このように、本実施形態では、三相の電圧指令vu*〜vw*を演算するための電流制御演算が、電流演算部31と、電圧演算部32と、三相変換部33と、dq軸変換部36と、微分演算部37とによって行われる(第1の演算手段)。すなわち、dq軸変換部36によりモータ10の相電流iu〜iw、三相変換部33および微分演算部37によりロータの回転角θがそれぞれ取得される。そして、電動機のトルク指令Te*に対応する相電流指令(本実施形態では、d軸およびq軸電流指令id*,iq*に相当)と、取得された相電流iu〜iw(本実施形態では、d軸およびq軸電流id,iqに相当)との差、および、取得された回転角θに基づいて電圧指令vu*〜vw*が演算される。
つぎに、PWM変換部34は、各相の電圧指令vu*〜vw*と、電源の電圧vdcとに基づいて、各相に対応するPWM指令tu,tv,twをそれぞれ演算する(数式4参照)。このPWM指令tu〜twは、三相の電圧指令vu*〜vw*に対応するPWM制御のデューティー指令である。
Figure 0005482041
ここで、T0はPWMキャリア信号の周期(s)である。また、tuはu相のPWM指令であるu相パルス幅(s)、tvはv相のPWM指令であるv相パルス幅(s)、twはw相のPWM指令であるw相パルス幅(s)である。各相に対応するPWM指令tu〜twは、デッドタイム補償部35に出力される。
デッドタイム補償部35は、三相の実電流iu〜iwに基づいて定まる補償電圧を演算し、この演算した補償電圧を各相に対応するPWM指令tu〜twにそれぞれ加算することにより、最終的な各相のPWM指令tu',tv',tw'を演算する。ここで、三相の実電流iu〜iwと補償値との関係を実験やシミュレーションを通じて予め取得しておくことで、デッドタイム補償部35は、この関係を規定したマップを保持している。デッドタイム補償部35は、当該マップを参照して補償値を演算する。このデッドタイム補償により、各相において上側アームと下側アームとが同時にオンして短絡することを抑制するために、オン/オフの切替の際に、上側アームと下側アームとが同時にオフとなる時間(いわゆる、デッドタイム)が設けられる。
演算された最終的な各相のPWM指令tu'〜tw'は、インバータ20に出力され、最終的な各相のPWM指令tu'〜tw'に従ってインバータ20が駆動されることで、インバータ20を介して三相の電圧vu,vv,vwがモータ10に印加される。このように、本実施形態では、PWM変換部34およびデッドタイム補償部35により、出力された電圧指令vu*〜vw*とPWMキャリア信号とに基づいて、PWM制御のデューティー指令、すなわち、PWM指令tu〜tw(本実施形態では、PWM指令tu'〜tw'に相当)が演算される(第2の演算手段)。
また、デッドタイム補償部35から出力される各相のPWM指令tu'〜tw'は、取得タイミング演算部38にも出力されている。取得タイミング演算部38は、後述するノイズ残存時間Tnと、各相のPWM指令tu'〜tw'とに基づいて、センサ出力を取得するタイミング(以下「取得タイミング」という)Tgを演算する(第1の演算手段)。位置センサおよび電流センサからのセンサ出力は、取得タイミング演算部38によって演算された取得タイミングTgに応じて取得される。本実施形態の特徴の一つは、取得タイミング演算部38による取得タイミングTgの決定方法にあり、以下、その内容について説明する。
図2は、ノイズ残存時間Tnの説明図である。同図において、(a)は、ある相のPWMパルスの推移(PWMパルス波形)を示し、(b)は、電流センサの出力を示している。同図に示すように、PWM指令に応じたスイッチング動作により、電流センサのセンサ出力には、スイッチング動作に起因するノイズ(以下「スイッチングノイズ」という)が重畳されている。ノイズ残存時間Tnは、電流センサのセンサ出力において、スイッチングノイズの影響を受けている時間とする。このノイズ残存時間Tnは、実験やシミュレーションを通じてインバータ20のスイッチング特性等を考慮することにより、その最適値を取得しておく。
図3は、回転角(電気角(°))θに対応する三相の電圧指令vu*〜vw*(V)を示す説明図である。また、図4は、図3に示すタイミングAにおける三相の電圧指令vu*〜vw*と((a)参照)、各相のPWMパルス波形((b)参照)とを示す説明図である。同図において、ハッチングで示す領域は、ノイズ残存時間Tnを示している(以下、後述する図面についても同様)。また、図5は、図4に対応する図面であり、各相のPWMパルスのオンオフタイミングを回転角θに対して示す説明図である。同図において、各種の太線は、PWMキャリア信号の山タイミングまたは谷タイミングからのPWMパルスのオンオフタイミングを示している。
図5において、非ハッチングに対応する領域は、スイッチングノイズの影響を受けることなくセンサ出力を取得することができるタイミングを示す。図5から分かるように、スイッチングノイズの影響を受けないでセンサ出力を取得するタイミングは各回転角θにおいてさまざま存在する。本実施形態では、二つの手法を例示して取得タイミングの決定手法について説明する。
まず、一つ目の手法としては、制御演算時間を最大にするように取得タイミングTgを決定する手法である。一般に、制御ユニット30は、PWMキャリア信号の折り返しタイミングにおいて、センサ出力を取得するとともに電流制御演算(上述した電圧指令vu*〜vw*に至るまでの一連の演算)を行い、次回の対応する折り返しタイミング(次回のキャリア周期における折り返しタイミング)で電圧指令vu*〜vw*を出力する。つまり、次回の折り返しタイミングまでの間に演算を終了しなければ、センサ出力を取得してから電圧指令vu*〜vw*を出力するまでの時間がさらに倍かかってしまうこととなる。そこで、センサ出力の取得タイミングを可能な限り早く設定することにより、制御演算時間を長くすることが可能となる。
図6は、第1の手法にかかる取得タイミングTgの決定手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、所定の周期で呼び出され、取得タイミング演算部38によって実行される。
まず、ステップ10(S10)において、取得タイミング演算部38は、前回出力した電圧指令vu*〜vw*に対応するPWMパルスのオンオフタイミングを比較し、次のPWMキャリア信号の折り返しタイミング(第1のタイミングT1)にオンオフタイミングが最も近い相を選択する。ここで、各相のオンオフタイミングは、各相のPWM指令(パルス幅)tu'〜tw'から算出することとし、第1のタイミングT1を時間軸の基準タイミングとする。
ステップ11(S11)において、取得タイミング演算部38は、選択された相に関する前回のオンオフタイミングTonoff(p)にノイズ残存時間Tnを加算した値がゼロよりも小さいか否かを判断する。このステップ11において肯定判定された場合には、ステップ12(S12)に進む。一方、ステップ11において否定判定された場合には、ステップ13(S13)に進む。
ステップ12において、取得タイミング演算部38は、第1のタイミングT1を取得タイミングTgとして決定する。
ステップ13において、取得タイミング演算部38は、今回出力する電圧指令vu*〜vw*に対応するPWMパルスのオンオフタイミングを比較し、次のPWMキャリア信号の折り返しタイミング(第1のタイミングT1)にオンオフタイミングが最も近い相を選択する。
ステップ14(S14)において、取得タイミング演算部38は、選択された相に関する今回のオンオフタイミングTonoff(t)から、上述した前回のオンオフタイミングTonoff(p)とノイズ残存時間Tnとを減算した値が、ゼロよりも大きいか否かを判断する。このステップ14において肯定判定された場合には、ステップ15(S15)に進む。一方、ステップ14において否定判定された場合には、ステップ16(S16)に進む。
ステップ16において、取得タイミング演算部38は、前回のオンオフタイミングTonoff(p)にノイズ残存時間Tnを加算したタイミングを、取得タイミングTgとして決定する。
一方、ステップ17において、取得タイミング演算部38は、今回のオンオフタイミングTonoff(t)にノイズ残存時間Tnを加算したタイミングを、取得タイミングTgとして決定する。
このようにかかる手法によれば、相電流iu〜iwおよび回転角θの取得タイミングの位相が、インバータ20のスイッチング動作のタイミングに基づいて可変に設定される。具体的には、モータ10に印加する三相の電圧指令vu*〜vw*と、ノイズ残存時間Tnとに基づいて、取得タイミングTgの位相が設定される。特に、本手法によれば、制御演算時間の最大化の観点から、PWMキャリア信号の折り返しタイミングと近づくように、取得タイミングTgの位相が早められる。
図7は、取得タイミングTgの変化を示す説明図であり、同図において、横軸は回転角(電気角(°))、縦軸は谷タイミングからの時間(μs)である。かかる手法において、最大の制御演算時間を確保することができるのは、PWMキャリア信号の折り返しタイミングを取得タイミングTgとする条件である。また、図5に示すように、ノイズ残存時間Tgが折り返しタイミングに重複する場合には、ノイズ残存時間Tn分だけタイミングをずらすことによってスイッチングノイズの影響を受けないでセンサ出力を取得することができる。これにより、電流検出誤差を抑制して制御性の向上を図ることである。また、図8に示すように、電圧振幅(変調率)が大きい場合には、折り返しタイミングを挟んでオンオフタイミングが接近する。そのため、先に述べたように、ノイズ残存時間Tn分ずらしただけでは、タイミング的に後のスイッチングノイズの影響を受けてしまうことがある。そこで、図7(b)に示すように、センサ出力の取得タイミングTgを、折り返しタイミングよりも後のオンオフタイミングに応じて変化させることにより、ノイズの影響が抑制したタイミングに取得タイミングTgを設定することができる。これにより、電流検出誤差を抑制して制御性の向上を図ることである。
つぎに、二つ目の手法としては、制御性の向上、すなわち、無駄時間が最小となるように取得タイミングTgを決定する手法である。この手法は、1つ目の手法とは反対に、センサ出力の取得タイミングTgから電圧指令vu*〜vw*の出力までを最短時間で行うことで制御の無駄時間を小さくし、これにより、制御性の向上を図ることとなる。
図9は、第2の手法にかかる取得タイミングTgの決定手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、所定の周期で呼び出され、取得タイミング演算部38によって実行される。
まず、ステップ20(S20)において、取得タイミング演算部38は、今回出力する電圧指令vu*〜vw*に対応するPWMパルスのオンオフタイミングを比較する。これにより、取得タイミング演算部38は、PWMキャリア信号の折り返しタイミングから制御演算時間(電流制御演算に要する所定時間)を減算したタイミング(第2のタイミングT2)に、オンオフタイミングが最も近い相を選択する。ここで、各相のオンオフタイミングは、各相のPWM指令(パルス幅)tu'〜tw'から算出することとし、第2のタイミングT2を時間軸の基準タイミングとする。
ステップ21(S21)において、取得タイミング演算部38は、選択された相に関する今回のオンオフタイミングTonoff(t)から第2のタイミングT2を減算した値がゼロよりも小さいか否かを判断する。このステップ21において肯定判定された場合には、ステップ23(S23)に進む。一方、ステップ21において肯定判定された場合には、ステップ24(S24)に進む。
ステップ23において、取得タイミング演算部38は、第2のタイミングT2に次に近い相を選択し、その上で、ステップ21の処理を行う。
ステップ24において、取得タイミング演算部38は、選択された相に関する今回のオンオフタイミングTonoff(t)から第2のタイミングT2を減算した値がノイズ残存時間Tnよりも大きいか否かを判断する。このステップ24において肯定判定された場合には、ステップ25(S25)に進む。一方、ステップ24において肯定判定された場合には、ステップ26(S26)に進む。
ステップ25において、取得タイミング演算部38は、第2のタイミングT2を取得タイミングTgとして決定する。
ステップ26において、取得タイミング演算部38は、選択された相に関する今回のオンオフタイミングTonoff(t)を取得タイミングTgとして決定する。
このようにかかる手法によれば、相電流iu〜iwおよび回転角θの取得タイミングの位相が、インバータ20のスイッチング動作のタイミングに基づいて可変に設定される。具体的には、モータ10に印加する三相の電圧指令vu*〜vw*と、ノイズ残存時間Tnとに基づいて、取得タイミングTgの位相が設定される。特に、本手法によれば、制御性の向上の観点から、次回のキャリア周期における電圧指令の出力タイミングと近づくように、取得タイミングTgの位相が遅らせられる。
図10は、取得タイミングTgの変化を示す説明図であり、同図において、横軸は回転角(電気角(°))、縦軸は谷タイミングからの時間(μs)である。二つ目の手法によれば、制御性の向上を図りながら、スイッチングノイズによるセンサ出力の誤差の影響を低減することができる。
なお、上述した二つの手法は、それぞれを単独で実行してもよいし、システムの要求に応じて切り替えながら実行してもよい。また、上述した条件以外でも、スイッチングノイズの影響を受けないような条件で、センサ出力の取得タイミングTgを決定してもよい。また、上述した説明では、演算されたPWMパルスと、スイッチング動作のオンオフタイミングとが一致しているケースを想定しているが、実際はさまざまな要因により両者のタイミングが一致し合い場合がある。その際には、ずれ分を考慮し、スイッチングノイズの影響を受けないようにセンサ出力の取得タイミングTgを算出することが好ましい。
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態にかかるモータ制御システムの全体構成を模式的に示す説明図である。本実施形態にかかるモータ制御システムが、第1の実施形態のそれと相違する点は、制御ユニット30を構成する取得タイミング演算部38の演算手法である。なお、第1の実施形態と共通する点については説明を省略することとし、以下、相違点を中心に説明を行う。
本実施形態において、取得タイミング演算部38は、d軸およびq軸の電圧指令vd*,vq*と、回転角(電気角)θと、ノイズ残存時間Tnとに基づいて、センサ出力の取得タイミングTgを演算する。図7等に示すように、回転角θに対してセンサ出力の検出タイミングTgは周期的に変化する。また、図12は、演算時間最大を条件とした際の取得タイミングTgを、変調率(電圧振幅Va(数式5参照))毎にプロットしたものであり、同図において、横軸は回転角(電気角(°))、縦軸は谷タイミングからの時間(μs)である。
Figure 0005482041
さらに、図13は、演算時間最大を条件とした際の取得タイミングTgを、電圧位相α(数式6参照)毎にプロットしたものであり、同図において、横軸は回転角(電気角(°))、縦軸は谷タイミングからの時間(μs)である。同図から分かるように、電圧振幅Vaと電圧位相αとに応じて、センサ出力の取得タイミングTgが変化していることが分かる。
Figure 0005482041
そこで、ノイズ残存時間Tnを考慮した上で、d軸およびq軸電圧指令vd*,vq*(電圧振幅Vaと電圧位相α)と、回転角θとに対する取得タイミングTgの関係を、実験やシミュレーションを通じて取得しておく。そして、取得タイミング演算部38は、当該関係を反映した数式またはマップを保持し、当該数式またはマップより取得タイミングTgを演算する。
このように本実施形態によれば、モータ10に印加する三相の電圧指令vu*〜vw*を演算するためのd軸およびq軸電圧指令vd*,vq*と、ロータの回転角θと、ノイズ残存時間Tnとに基づいて、取得タイミングTgの位相が設定される。これにより、d軸およびq軸電圧指令vd*,vq*が変化しない際には、回転角θのみによってセンサ出力の取得タイミングTgを演算することができるので、少ない演算でスイッチングノイズによる影響を回避することができる。
また、図14に示すように、第2の実施形態のモータ制御システムは、補正部39をさらに有していてもよい。この補正部39は、取得タイミング演算部38に入力されるd軸およびq軸電圧指令vd*,vq*に、デッドタイム補償部35による補償電圧に相当する値を追加するものである。これにより、デッドタイム補償部35による補償電圧に相当する値を加味したd軸およびq軸電圧指令vd*,vq*にて、取得タイミングTgの演算を行うことができる。
なお、図11に示す構成であっても、取得タイミング演算部38が用いる数式またはマップを算出する場合、スイッチング動作のオンオフタイミングとノイズ残存時間Tnとを補償電圧分を増加減させて算出してもよい。これにより、補正部39を追加せずとも、デッドタイム補償部35による補償電圧に相当する値を加味したd軸およびq軸電圧指令vd*,vq*にて、取得タイミングTgの演算を行うことができる。
また、図12等から分かるように、スイッチングノイズを考慮した取得タイミングTgは、回転角θに対して3分の1周期で変化しているので、回転角θ全域を対象として、数式またはマップを持つ必要はない。この周期は、例えば、図15に示すように、三相電圧指令vu*〜vw*に、3次高調波を重畳して電圧利用率を向上させる演算を使用する場合は回転角θの6分の1周期相当の数式またはマップを保有すればよい。
10…モータ
20…インバータ
30…制御ユニット
31…電流演算部
32…電圧演算部
33…三相変換部
34…PWM変換部
35…デッドタイム補償部
36…dq軸変換部
37…微分演算部
38…取得タイミング演算部
39…補正部

Claims (5)

  1. PWM制御のデューティー指令に応じてインバータのスイッチング動作を制御することにより電動機の出力トルクを制御する電動機の制御装置において、
    PWMキャリア信号の所定位相のタイミングにおいて、前記電動機の相電流と前記電動機のロータの回転角とをそれぞれ取得するとともに、前記電動機のトルク指令に対応する相電流指令と前記取得された相電流との差、および前記取得された回転角に基づいて電圧指令を演算する第1の演算手段と、
    前記相電流および回転角の取得を行ったキャリア周期の次回のキャリア周期において、前記PWMキャリア信号の所定位相のタイミングで前記第1の演算手段が出力する電圧指令と前記PWMキャリア信号とに基づいて、前記PWM制御のデューティー指令を演算する第2の演算手段とを有し、
    前記第1の演算手段は、前記相電流および前記回転角の取得タイミングの位相を、前記インバータのスイッチング動作のタイミングに基づいて可変に設定することを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 前記第1の演算手段は、前記電動機に印加する三相の電圧指令と、前記インバータのスイッチング動作に起因するノイズの残存時間とに基づいて、前記取得タイミングの位相を設定することを特徴とする請求項1に記載された電動機の制御装置。
  3. 前記第1の演算手段は、前記電動機に印加する三相の電圧指令を演算するためのd軸およびq軸電圧指令と、前記ロータの回転角と、前記インバータのスイッチング動作に起因するノイズの残存時間とに基づいて、前記取得タイミングの位相を設定することを特徴とする請求項1に記載された電動機の制御装置。
  4. 前記第1の演算手段は、前記PWMキャリア信号の折り返しタイミングと近づくように、前記取得タイミングの位相を早めることを特徴とする請求項2または3に記載された電動機の制御装置。
  5. 前記第1の演算手段は、前記次回のキャリア周期における前記電圧指令の出力タイミングと近づくように、前記取得タイミングの位相を遅らせることを特徴とする請求項2または3に記載された電動機の制御装置。
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