JP5481846B2 - 汚染土壌又は地下水の浄化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機化合物により汚染された土壌又は地下水を浄化する方法に関するものであり、更に詳細には、一定量の無機物窒素源及び無機物リン源を添加することにより、浄化効率を向上させた汚染土壌又は地下水の浄化方法に関する。
近年において、工場等の産業施設跡地等で、石油系炭化水素化合物等の有機化合物による土壌の汚染が問題となることが増えている。土壌は人の生活や経済活動の基盤である土地を構成しており、汚染土壌を放置すると、直接摂取したり、農作物・魚介類等を通じて摂取することによって人の健康に影響が及ぶという問題がある。また、土壌中に残留した、上記有機化合物は雨水等によって地下水中に溶解し、周辺に広がるものとされている。
汚染土壌又は地下水を浄化する技術の一つとして、例えば、特許文献1には、好気性微生物による油汚染土壌の浄化方法として、土壌中の炭素量を基準として、C/N/P比を約100/20/1とするようにN/P型栄養素等を、処理すべき土壌に加える方法が開示されている。該特許文献に記載の方法によると、例えば油分濃度が10,000mg/kgの汚染土壌に対し、約2,000mgN/kgの窒素及び約100mgP/kgのリンを添加する必要があるが、このように過剰に窒素やリンを添加すると、むしろ窒素やリンそれ自体が地下水汚染の原因となるおそれがある。
特許文献2には、土壌のpHを特定の範囲とし、N/P及び土壌中のN量を一定の範囲とするように、土壌に無機物N源及び/又はP源を添加する、油汚染土壌の生物的浄化方法が開示されている。該特許文献に記載の方法においても、油分濃度が低濃度である場合には、窒素及びリンが過剰である可能性がある。
特許文献3には、土壌中の好気性微生物への通気により土壌を浄化する方法において、汚染土壌中の残存酸素濃度の減少速度を測定し、該減少濃度の測定値に基づき汚染土壌への通気量を制御する方法が開示されている。該特許文献に記載の方法においては酸素量を制御することにより、微生物の分解活性に応じて通気を制御できることが記載されているが、窒素量やリン量については言及していない。
特許文献4には、炭素源/窒素含有量/リン含有量が100/1〜10/0.1〜1.0の重量比の栄養源を土壌に加える、土壌浄化方法が開示されている。また、特許文献5には、石油汚染土壌に、窒素源及びリン源の水溶液を混和する、土壌浄化方法が開示されており、土壌乾燥重量1kgに対し、窒素濃度が100〜2,000mgN/kgであることが開示されている。これらの特許文献に開示された方法では、窒素等の添加量に幅がありすぎて、実際に土壌にどの程度添加すればよいかが明確ではない。
特許文献6には、リン、窒素等の栄養塩濃度のみが低い低栄養条件で生育し、環境汚染物質を分解することのできる微生物を用いた環境浄化方法が開示されている。該特許文献に開示された方法では、土壌を浄化するには、上記条件を満たす微生物を、浄化しようとする土壌に添加する必要があった。
特表平9−501841号公報 特許第3346242号公報 特開2003−340431号公報 特開2003−185986号公報 特開平9−276831号公報 特開平10−276771号公報
上述したように、油等の有機化合物で汚染された土壌や地下水を浄化するために、土壌又は地下水に、窒素やリン等の無機塩を添加する方法は知られていたが、実際にどの程度添加すればよいのかは明確でなく、過剰に添加した場合には、逆に土壌や地下水を汚染する原因となっていた。このように、従来は、油等の有機化合物で汚染された土壌や地下水を浄化するための、効率的な無機塩添加方法がないのが実状であった。
従って、本発明の目的は、油等の有機化合物で汚染された土壌や地下水を効率よく浄化するための、汚染土壌又は地下水の浄化方法を提供することにある。本発明の汚染土壌又は地下水の浄化方法は、特に、原位置生物浄化方法として用いられる。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意検討した結果、土壌中に含まれる微生物が有機化合物を分解するときの酸素消費量又は二酸化炭素発生量と、添加すべき無機物窒素源及び無機物リン源の割合との適切な関係を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、有機化合物により汚染された土壌又は地下水に、無機物窒素源及び無機物リン源を添加することにより、該汚染土壌又は地下水中を浄化する汚染土壌又は地下水の浄化方法であって、土壌又は地下水中に含まれる微生物が有機化合物を分解するときの酸素消費量又は二酸化炭素発生量の1/60〜1/15倍(窒素換算重量)の無機物窒素源及び1/600〜1/150倍(リン換算重量)の無機物リン源を、前記土壌又は地下水に添加することを特徴とする、汚染土壌又は地下水の浄化方法を提供するものである。
本発明においては、前記汚染土壌又は地下水の一部をサンプルとして採取し、該サンプルに前記無機物窒素源及び無機物リン源を添加したときの酸素減少量又は二酸化炭素増加量と、前記無機物窒素源及び無機物リン源を添加しなかったときの酸素減少量又は二酸化炭素増加量とを、所定期間断続的又は連続的に測定し、それぞれの測定値の差を酸素消費量又は二酸化炭素発生量として求めることができる。
本発明においては、前記汚染土壌又は地下水に、無機物窒素源及び無機物リン源を、微生物の塩阻害とならない範囲、すなわち、無機塩として、それぞれ水分1Lあたり1000〜5000mgN及び100〜500mgPとなるように添加したときと、しなかったときの酸素減少量又は二酸化炭素増加量を、所定期間断続的又は連続的に測定し、それぞれの測定値の差を、前記酸素消費量又は二酸化炭素発生量とすることができる。
本発明において、浄化の対象となる土壌又は地下水の汚染源である有機化合物としては、油が挙げられる。
本発明の汚染土壌又は地下水の浄化方法によれば、油等の有機化合物で汚染された土壌や地下水を効率よく浄化することができる。また、本発明の汚染土壌又は地下水の浄化方法は、原位置生物浄化方法として用いることができる。
以下、本発明の汚染土壌又は地下水の浄化方法について説明する。本発明の汚染土壌又は地下水の浄化方法は、無機物窒素源及び無機物リン源を添加することを含む。
用いられる無機物窒素源としては、土壌中の微生物により利用されるものであれば特に制限はなく、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムや、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等の硝酸態窒素等が挙げられ、この中でも塩化アンモニウムが好ましく用いられる。
また、無機物リン源としては、土壌中の微生物により利用されるものであれば特に制限はなく、例えば、リン酸塩、過リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられ、具体的には、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、メタリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム等が挙げられる。この中でも、リン酸二水素カリウム及びリン酸水素二カリウムが、経済的な観点から好ましい。また、本発明において、無機塩の添加効果を生じさせるためには、土壌のpHが6〜8に維持されることが好ましい。従って、土壌のpHが上記範囲からはずれた場合、塩基又は酸を用いて土壌のpHを上記範囲とすることが好ましい。土壌のpHが酸性である場合には、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムの水溶液を添加して中和することが好ましい。好ましいのは炭酸水素ナトリウムである。一方、土壌のpHが塩基性の場合には、例えば、硫酸第一鉄、硫酸カリウム等を添加して中和することが好ましい。
上記無機物窒素源、無機物リン源、pHを調整するための酸及び塩基の添加方法としては、原位置処理の場合には、地表から散水してもよく、又は井戸から注入してもよい。掘削土壌を処理する場合には、上記無機物窒素窒素源、無機物リン源、pHを調整するための酸及び塩基を添加し、撹拌して混合することもできる。
本発明の汚染土壌又は地下水の浄化方法においては、土壌又は地下水中に含まれる微生物が有機化合物を分解するときの酸素消費量又は二酸化炭素発生量の1/60〜1/15倍(窒素換算重量)の無機物窒素源及び1/600〜1/150倍(リン換算重量)の無機物リン源を、汚染土壌又は地下水に添加する。無機物窒素源の好ましい量は、酸素消費量又は二酸化炭素発生量の1/30〜1/20倍(窒素換算重量)であり、無機物リン源の1/300〜1/200倍(リン換算重量)である。無機物窒素源及び無機物リン源の量が上記範囲を超えると、有機化合物の分解活性が低下してしまい、一方、上記範囲より少なくても、有機化合物の分解活性が低下してしまう。
なお、本明細書における無機物窒素源及び無機物リン源の量とは、窒素及びリンの量を意味する。
窒素やリン等の無機塩は、一定濃度以上存在すると、油等の有機化合物を分解する、微生物の活性を低下させることが知られている。例えば、これまでに得られている知見によれば、アンモニウム塩は水1Lあたり5,000mgN、リン酸塩は水1Lあたり500mgPの含有量を超えると、油の分解活性が低下することがわかっている。そのため、本発明において、土壌又は地下水中に含まれる微生物が有機化合物を分解するときの酸素消費量又は二酸化炭素発生量とは、前記汚染土壌又は地下水に、無機物窒素源及び無機物リン源を、無機塩としてそれぞれ水分1Lあたり1000〜5000mgN及び100〜500mgPとなるように添加したときと、しなかったときの酸素減少量又は二酸化炭素増加量を、所定期間断続的又は連続的に測定し、それぞれの測定値の差を意味する。
本発明において、無機窒素源及び無機リン源の量を上記範囲とした場合に、浄化効率が向上するのは下記理由によるものと思われる。
すなわち、これまでに油を初めとした様々な有機化合物を基質として生物分解試験を行った場合、微生物の分解によって菌体に取り込まれるCOD量は、酸素消費量又は二酸化炭素発生量とほぼ当量であることがわかっている。一方、油の量はCOD量に対して、重量あたり約1/3倍であることがわかっている。従って、酸素消費量又は二酸化炭素発生量の3分の1が油の分解量となることがわかる。また、菌体を構成する元素の構成割合は、炭素(C):窒素(N):リン(P)=100:(5〜20):(0.5〜2)であることがわかっているので、油の分解に必要な窒素の添加量は、酸素消費量又は二酸化炭素発生量の約1/60〜1/15倍(窒素換算重量)となり、リンの添加量は、酸素消費量又は二酸化炭素発生量の約1/600〜1/15倍(リン換算重量)となると考えられる。
従って、本発明において、無機窒素源添加量は、土壌又は地下水中に含まれる微生物が有機化合物を酸化分解するときの酸素消費量又は二酸化炭素発生量の1/60〜1/15倍(窒素換算重量)、好ましくは1/30〜1/20倍(窒素換算重量)とし、無機リン源添加量は、酸素消費量又は二酸化炭素発生量の1/600〜1/150倍(リン換算重量)、好ましくは1/300〜1/200倍(リン換算重量)とし、無機窒素源窒素換算添加量:無機リン源リン換算添加量=1:0.1〜0.3(重量比)となるように添加量を制御することが好ましい。
土壌又は地下水中に含まれる微生物が有機化合物を分解するときの酸素消費量又は二酸化炭素発生量を測定する方法については特に制限はなく、従来公知の方法で実施することができ、例えば、浄化しようとする土壌又は地下水をサンプリングし、その土壌又は地下水を用いて実験室内にて酸素消費量又は二酸化炭素発生量を測定することができる。
酸素消費量又は二酸化炭素発生量を測定する方法について、図面を参照しつつ説明する。図1は、酸素消費量を測定するための装置を示す概略図である。
図1に示すように、カラム12は、流路14を介して二酸化炭素吸収瓶20と連結されており、また、カラム12と二酸化炭素吸収瓶20とは、他の流路15を介して連結されており、流路15にはポンプ16が接続されている。カラム12中に汚染土壌又は地下水を充填し、ポンプ16によって内部空気が密閉循環されるようになっている。カラム12は、油が付着しにくい材質で作製されているものが好ましく、例えば、ガラス製やステンレス製のものが好ましい。油が分解されると二酸化炭素が発生するが、この二酸化炭素は、二酸化炭素吸収瓶20中に充填された二酸化炭素吸収剤22によって吸収される。二酸化炭素吸収剤22としては、例えば炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム等が挙げられるが、5N濃度の水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
また、図1に示す装置においては、二酸化炭素吸収瓶20に、流路24を介して分圧変化測定装置26が接続されている。分圧変化測定装置26は、二酸化炭素吸収瓶20中の空気の分圧を測定することができる装置で、酸素濃度を連続的に測定でき、酸素の消費に伴い、系内に酸素を連続的に供給できるものが好ましい。このような装置としては、例えば、Challemging Systems社製のANRが挙げられる。この装置によれば、系内に供給した酸素供給量を連続的に記録測定することができ、酸素の消費量の積算値を算出することができる。なお、酸素の供給は、分圧変化測定装置26と、流路28を介して連結された酸素ボンベ30からの供給により実施することができる。また、酸素供給量のデータは、分圧変化測定装置26と、流路32を介して接続されたデータ記録装置34に記録される。
この他、酸素消費量を測定する方法としては、例えば、ライシメーターを用いた方法が挙げられ、また、二酸化炭素発生量を測定する方法としては、例えば、吸収剤中のIC濃度を測定する方法が挙げられる。
なお、酸素消費量又は二酸化炭素発生量を測定する期間は、無機物塩の添加効果が発揮されなくなるまでが好ましい、すなわち、無機物窒素源及び無機物リン源を、無機塩としてそれぞれ水分1Lあたり1000〜5000mgN及び100〜500mgPとなるように添加したときと、しなかったときの酸素減少量又は二酸化炭素増加量を、所定期間断続的又は連続的に測定し、それぞれの測定値の差を意味する。すなわち、無機物窒素源及び無機物リン源を、無機塩としてそれぞれ水分1Lあたり1000〜5000mgN及び100〜500mgPとなるように添加したときと、しなかったときの酸素消費速度(酸素消費量増加の傾き)がほぼ同じになるまで実施することが好ましい。
本発明の汚染土壌又は地下水の浄化方法は、上述のようにして求めた酸素消費量又は二酸化炭素発生量の1/60〜1/15倍(窒素換算重量)の無機物窒素源、及び1/600〜1/50倍(リン換算重量)の無機物リン源を、土壌又は地下水に添加するものである。本発明の汚染土壌又は地下水の浄化方法は、油等の有機化合物で汚染された土壌又は地下水を浄化するものであり、特に原位置浄化方法において用いられる。以下、油で汚染された土壌又は地下水を浄化するものとして本発明を説明するが、本発明は、油で汚染された土壌又は地下水を浄化するものに限定されるものでなく、その他の有機化合物で汚染された土壌又は地下水の浄化にも適用できる。油で汚染された土壌又は地下水としては、例えば、原油、ガソリン、軽油、重油、エンジンオイル等の炭化水素化合物等によって汚染された土壌又は地下水を意味するものであり、このような土壌及び/又は地下水において、バイオレメディエーションを実施するための方法として使用できる。すなわち、このバイオレメディエーションは、土着微生物を活性化、すなわち、汚染土壌及び/又は地下水に生息する、油を分解する能力を有する微生物に栄養物質を与えて増殖、活性化し、汚染物質である油の分解を促進する方法(バイオスティミュレーション)、及び外来微生物を導入し、すなわち、外部で大量に増殖、活性化した、油を分解する能力を有する微生物を汚染土壌又は地下水に注入して浄化する方法(バイオオーグメンテーション)の双方を含む。例えば、汚染土壌又は地下水中に、有機化合物を分解する微生物が含まれない場合、有機化合物を分解する微生物を添加してもよい。なお、微生物を添加する場合、分解しようとする有機化合物が油である場合、そのような微生物としては、従来公知の微生物を用いることができ、例えば、Rhodococcus属細菌、Pseudomonas属細菌、Acinetobacter属細菌等が挙げられる。
上述した、バイオレメディエーションを実施するには、好気性微生物を用いて好気的な雰囲気で処理する場合と、嫌気性微生物を用いて嫌気的な雰囲気で処理する場合とがあり、本発明においては、いずれであってもよい。
本発明によれば、土壌中に含まれる微生物が有機化合物を分解するときの酸素消費量又は二酸化炭素発生量を測定し、その測定量を基準として無機物窒素源及び無機物リン源を添加するので、窒素源及びリン源が過剰に添加されることなく、微生物の有する有機化合物の分解活性を阻害することもなくなるため、浄化効率が向上した、土壌又は地下水の浄化方法が提供される。また、過剰のN/Pによる地下水汚染の危険性を低減することもできる。
本発明における生物浄化処理については、土中に空気を供給して原位置で分解させるスパージング技術や、掘削除土壌に通気管で空気を供給したり、空気を撹拌混合したりして、オンサイト又はオフサイトで分解させる技術が挙げられる。
本発明において添加に用いられる無機物窒素源及び無機物リン源としては、上述したものが用いられる。すなわち、無機物窒素源としては、土壌中の微生物により利用されるものであれば特に制限はなく、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムや、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等の硝酸態窒素等が挙げられ、この中でも塩化アンモニウムが好ましく用いられる。
また、無機物リン源としては、土壌中の微生物により利用されるものであれば特に制限はなく、例えば、リン酸塩、過リン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられ、具体的には、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、メタリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム等が挙げられる。この中でも、リン酸二水素カリウム及びリン酸水素二カリウムが、経済的な観点から好ましい。また、本発明において、無機塩の添加効果を生じさせるためには、土壌のpHが6〜8に維持されることが好ましい。従って、土壌のpHが上記範囲からはずれた場合、塩基又は酸を用いて土壌のpHを上記範囲とすることが好ましい。
本発明において無機物窒素源及び無機物リン源を添加する方法に特に制限はないが、原位置浄化法に用いる場合は、地表から散水してもよく、又は井戸から注入してもよい。掘削土壌を処理する場合には、無機物窒素源及び無機物リン源を撹拌混合してもよい。本発明においては、無機物窒素源及び無機物の添加は、固体の無機物を添加することもできるが、土壌又は地下水に均等に分散させるために水溶液として加えることが好ましい。この場合、の無機物窒素源及び無機物リン源の濃度は、それぞれ10〜20gN/L及び1〜2gP/L程度でよい。
なお、本発明の土壌又は地下水の浄化方法を実施する際には、空気(酸素)を注入しながら行ってもよい。空気(酸素)の注入は、例えば、エアーコンプレッサー等を用いて行うことができる。空気(酸素)の注入量は、土質、処理方法、汚染物質等の条件で変わるが、例えば10〜100L/min程度である。
本発明の土壌又は地下水の浄化方法は、好ましくは、原位置浄化方法を実施する際に用いられるが、原位置浄化方法のシステム等については、従来公知のものを特に制限なく用いることができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。
〔実施例1〕
重質油で汚染した土壌200g(油分濃度、10,000mg/kg土壌、含水率20質量%)を、200mL用量のカラムに充填し、窒素源として塩化アンモニウムを土壌水分1Lあたり5000mg(約1,000mgN/L)、リン源としてリン酸二水素カリウム及びリン酸水素二カリウムを100mgP/Lとなるように、カラム内に添加した後、通気(通気量:100L/min)を行いながら、Challemging Systems社製のANRを用いて酸素消費量を連続的に測定した(図1参照)。
〔比較例1〕
窒素源及びリン源を添加しないで、実施例1と同様にして酸素消費量を連続的に測定した。
酸素消費量を測定した結果を図2に示す。図2は、実施例1及び比較例1において酸素消費量を連続的に測定した結果を示すグラフである。図2において、横軸は時間(日数)を表し、縦軸は酸素消費量(mg/kg)を表わす。図2に示すように、通気を開始し、約20日後には、実施例1、比較例1共に酸素消費速度がほぼ同じとなり、このときの酸素消費量は、実施例1において3000mgO/kgであったのに対し、比較例1においては1500mgO/kgであった。酸素消費量と微生物のCOD分解によって菌体に取り込まれるCOD量(以下「COD取込量」と称す)とは、ほぼ等量であるから、無機物窒素源及び無機物リン源の添加により、CODとして約1500mg/kgが分解されたことになる。また、油の量はCOD量に対して重量あたり約1/3倍であるから、無機物窒素源及び無機物リン源の添加によって多く分解される油分は約500mg/kg(=1500mg/kg÷3)であると算出された。
そのため、上述したように、菌体を構成する元素の構成割合は、炭素(C):窒素(N):リン(P)=100:(5〜20):(0.5〜2)(重量比)であることがわかっているので、例えば、必要な窒素添加量及びリン添加量は、それぞれ約25〜100mgN/kg(酸素消費量の1/60〜1/15倍(窒素換算重量)、約2.5〜10mgP/kg(酸素消費量の1/600〜1/150倍(リン換算重量)と考えられる。ここで、土壌あたりの油分総量は10,000mg/kgであるから、必要となる窒素及びリンの添加量は、土壌中の油分総量あたりの炭素量に対して、最大でC:N:P=10,000:100:10=100:1:0.1(重量比)となる。
〔実施例2、比較例2、比較例3〕
そこで、窒素源として塩化アンモニウムを100mgN/kg (含水率が20%であるため、土壌水分1Lあたり500mgN/L)となるように、リン酸水素カリウムを10mgP/kgとなるように添加した上記土壌(実施例2)と、一般的に言われているC:N:P=100:20:1(重量比)で算出した量の窒素(2,000mgN/kg)及びリン(100mgP/kg)を添加した系(比較例2)、全く添加しない系(比較例3)で、連続的に通気(通気量:100L/min)を3週間行った後の油分残存量を測定した。
油分残存量は、ノルマルヘキサン重量法により測定した。この方法を簡単に説明すると以下の通りである。
土壌中の水分を脱水処理した後、n−ヘキサンを混合撹拌した後、ヘキサン相を回収する。次に、ヘキサン相を加熱してヘキサンのみを揮発させ、ヘキサン相中に溶解していた油分の重量を測定する。土壌を3回採取して測定した。それぞれの測定値及び平均値、並びに分解率を表1に示す。
Figure 0005481846
表1に示すように、実施例2においては、無機物塩を全く添加しない比較例3に対し、約2倍量の油分が分解されたことがわかった。比較例2においては、無機物を過剰量添加したことにより、塩阻害が生じ、油分の分解が阻害されたと考えられる。
〔実施例3、比較例4、比較例5〕
実施例2において3週間通気した後の土壌の油臭及び油膜について試験を行った。それぞれの評価結果を表2に示す。
油臭については、以下のように試験を行った。
土壌10gを100mL容量のガラス瓶に入れ、蓋をして25℃の温度に30分間放置した後、蓋を外して、直ちに土壌から発生する臭いを嗅ぎ、臭気の有無及び臭気強度を判定し、下記評価基準に従って評価を行った。
0:無臭である。
1:やっと感知できる程度の臭いである。
2:何の臭いであるのかわかる程度であるが、臭気は弱い。
3:楽に感知できる臭いである。
4:強い臭いである。
5:強烈な臭いである。
油膜については以下のように評価を行った。
直径90mm、高さ14mmのシャーレに純水を20mL入れ、黒い机の上に静置した。次いで、シャーレ中の純水に、約2gの土壌を静かに入れ、その直後の液面を目視により観察し、下記評価基準に従って評価を行った。
0:油膜が見えない。
1:光の当たり具合によってはかすかに油膜が見る。
2:わずかに油膜が見える。
3:シャーレ面に油膜が薄く見える。
4:シャーレ面に、通常に油膜が見える。
5:シャーレの一面がぎらぎらしている(油滴が観察される場合も含む)。
Figure 0005481846
表2から明らかなように、無機物塩を添加しない比較例5においては、油臭、油膜ともに、かなり残っていることがわかった。これに対し、無機物塩を添加した実施例3においては、油臭、油膜の低減効果が認められた。無機物塩を過剰に添加した比較例4においては塩阻害が生じ、油分の分解が阻害されたと考えられる。
上記結果から明らかなように、汚染土壌又は汚染地下水の浄化において、該汚染土壌又は汚染地下水中に含まれる微生物が、油等の有機化合物を分解するときの酸素消費量又は二酸化炭素発生量の1/60〜1/15倍(窒素換算重量)の無機物窒素源及び1/600〜1/150倍(リン換算重量)の無機物リン源を添加することにより、浄化効率が向上することがわかった。
酸素消費量を測定するための装置を示す概略図である。 実施例1及び比較例1において酸素消費量を連続的に測定した結果を示すグラフである。
符号の説明
12 カラム 14 流路
15 流路 16 ポンプ
20 二酸化炭素吸収瓶 22 二酸化炭素吸収剤
24 流路 26 分圧変化測定装置
28 流路 30 酸素ボンベ

Claims (1)

  1. 油により汚染された土壌又は地下水に、無機物窒素源及び無機物リン源を添加することにより、該汚染土壌又は地下水を浄化する汚染土壌又は地下水の浄化方法であって、
    前記汚染土壌又は地下水の一部をサンプルとして採取し、該サンプルに前記無機物窒素源及び無機物リン源を添加したときの酸素減少量又は二酸化炭素増加量と、前記無機物窒素源及び無機物リン源を添加しなかったときの酸素減少量又は二酸化炭素増加量とを、無機物窒素源及び無機物リン源を、無機塩としてそれぞれ水分1Lあたり1000〜5000mgN及び100〜500mgPとなるように添加したときと、しなかったときの酸素消費速度がほぼ同じになるまでの期間断続的又は連続的に測定し、それぞれの測定値の差を酸素消費量又は二酸化炭素発生量として求め、
    酸素消費量又は二酸化炭素発生量の1/60〜1/15倍(窒素換算重量)の無機物窒素源及び1/600〜1/150倍(リン換算重量)の無機物リン源を、前記土壌又は地下水に添加することを特徴とする、汚染土壌又は地下水の浄化方法。
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