JP2007075670A - 有機物およびシアンに汚染された土壌の浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで運用性の高い微生物分解方式により、有機物およびシアンの両方で汚染された土壌を効率的、かつ確実に浄化しうる方法の提供。
【解決手段】有機物およびシアンの双方が混在する汚染土壌をバイオレメディエーションにより浄化処理する汚染土壌の浄化方法であって、まず、上記汚染土壌に対して窒素源を含む液肥(A)を供給して有機物の微生物分解を促進させ、次いで、有機物が実質的に分解されたことを確認した上で、液肥(A)の供給を停止し、その後、汚染土壌のpHが4.0〜7.0の範囲にあるか否かを確認し、該範囲内にあるときはそのまま、或いは該範囲内にないときはpH調整手段により汚染土壌のpHを調整した後、窒素源を除外した栄養物質(B)を供給するとともに、汚染土壌のpHを前記範囲に維持しながら、シアンの分解を促進させることを特徴とする汚染土壌の浄化方法によって提供。
【選択図】なし
【解決手段】有機物およびシアンの双方が混在する汚染土壌をバイオレメディエーションにより浄化処理する汚染土壌の浄化方法であって、まず、上記汚染土壌に対して窒素源を含む液肥(A)を供給して有機物の微生物分解を促進させ、次いで、有機物が実質的に分解されたことを確認した上で、液肥(A)の供給を停止し、その後、汚染土壌のpHが4.0〜7.0の範囲にあるか否かを確認し、該範囲内にあるときはそのまま、或いは該範囲内にないときはpH調整手段により汚染土壌のpHを調整した後、窒素源を除外した栄養物質(B)を供給するとともに、汚染土壌のpHを前記範囲に維持しながら、シアンの分解を促進させることを特徴とする汚染土壌の浄化方法によって提供。
【選択図】なし
Description
本発明は、有機物およびシアンに汚染された土壌の浄化方法に関し、さらに詳しくは、低コストで運用性の高い微生物分解方式により、有機物およびシアンの両方で汚染された土壌を効率的、かつ確実に浄化しうる方法に関する。
シアン化合物を含有する土壌は、その毒性が生態系に悪影響を及ぼすため、土壌中にシアンイオン(CN−)又は金属錯体として存在するシアン化合物を処理して、無害化しなければならない。
排水中のシアン化合物を処理するには、物理化学的手法及び微生物による生物学的手法が既に確立しており、物理化学的手法として、紫外線を照射して難分解性の鉄シアノ錯体を易分解性の遊離シアンに分解したのち、酸化処理する方法、あるいは第一鉄塩と第二鉄塩とを添加し、アルカリ剤によりpHを調整することで難溶性の鉄シアノ錯体を形成させ、沈殿除去した後、活性汚泥を用いて未反応のシアンイオンを分解除去する方法が知られている。これらは地上に存在する工場など施設におけるシアン化合物の処理に適した方法といえる。
これに対して、シアンで汚染された土壌の修復手段として、最近では、微生物活動による有害物質の分解または改質を利用する生物学的修復法、すなわちバイオレメディエーションによる浄化処理が検討されている。
バイオレメディエーションには、原位置処理としての原位置バイオレメディエーションがあるが、汚染物質を地上に取り出し、これに微生物とその栄養物質などを混ぜて畑のように耕すランドファーミングなどがあり、汚染されたサイトの状態などによって適宜選択されている。
バイオレメディエーションには、原位置処理としての原位置バイオレメディエーションがあるが、汚染物質を地上に取り出し、これに微生物とその栄養物質などを混ぜて畑のように耕すランドファーミングなどがあり、汚染されたサイトの状態などによって適宜選択されている。
本出願人は、シアン化合物により汚染された土壌(地下領域)を微生物の活動を利用して汚染土壌を修復する際、当該修復対象領域に、窒素源を除外した栄養物質を供給することを提案した(例えば、特許文献1参照)。
この方法では、化学的な分解ではなく酵素活性による生分解作用を利用しているために、クリーンで経済的な浄化が可能である。対象となるシアン系化合物の形態については、鉄シアン錯体のような難酸化分解性の物質であっても生分解が可能であり、他の化学的分解では得られない効果も併せ持っており、他に類のない効率性で地盤中の大規模な汚染に有効に対応できるため、近年注目を集めている。
このような土壌中のシアン系物質の浄化では、微生物活動における栄養物質の窒素源として、シアン系物質中に存在する窒素分を選択的に土壌微生物に利用させることで、シアン成分の分解を進めるため、外部からの窒素源の添加を抑制することになる。
このような土壌中のシアン系物質の浄化では、微生物活動における栄養物質の窒素源として、シアン系物質中に存在する窒素分を選択的に土壌微生物に利用させることで、シアン成分の分解を進めるため、外部からの窒素源の添加を抑制することになる。
一方、シアン系物質と有機系汚染物質の両方で汚染された土壌を浄化する技術については、あまり研究開発が行われていない。
その成果は殆ど公表されていないが、次のような溶剤や洗浄液を用いた土壌洗浄方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。複数の洗浄槽に精製溶剤タンクと洗浄液タンクとをポンプを介して連結し、各洗浄槽内に投入された汚染土壌に対して、まず、精製溶剤タンクの溶剤を供給して所定時間浸漬させることで、汚染土壌に含有する有機物質(例えば、油、PCB、ダイオキシン等)を分離し、次に、洗浄槽内の溶剤を排出してから、洗浄液タンクの洗浄液を供給して所定時間浸漬させることで、汚染土壌に含有する無機物質(水銀や鉛等の重金属、シアン類等)を分離する方法である。
しかしながら、このような溶剤や洗浄液を用いた土壌洗浄方法では、装置が大規模かつコスト高となるうえに、引火性のある有機溶剤を扱わざるをえない場合があり、洗浄液の回収利用も加わり工程の煩雑さに伴う運用上の困難性が予想される。
その成果は殆ど公表されていないが、次のような溶剤や洗浄液を用いた土壌洗浄方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。複数の洗浄槽に精製溶剤タンクと洗浄液タンクとをポンプを介して連結し、各洗浄槽内に投入された汚染土壌に対して、まず、精製溶剤タンクの溶剤を供給して所定時間浸漬させることで、汚染土壌に含有する有機物質(例えば、油、PCB、ダイオキシン等)を分離し、次に、洗浄槽内の溶剤を排出してから、洗浄液タンクの洗浄液を供給して所定時間浸漬させることで、汚染土壌に含有する無機物質(水銀や鉛等の重金属、シアン類等)を分離する方法である。
しかしながら、このような溶剤や洗浄液を用いた土壌洗浄方法では、装置が大規模かつコスト高となるうえに、引火性のある有機溶剤を扱わざるをえない場合があり、洗浄液の回収利用も加わり工程の煩雑さに伴う運用上の困難性が予想される。
そのため、本出願人は、より低コストで運用性の高い対応方法である微生物分解方式で、シアン系物質と有機系汚染物質の両方で汚染された土壌を浄化する方法として、まず、窒素源を含む液肥を供給して有機物の微生物分解を促進させ、次に、この窒素源を含む液肥の供給を停止した上で、窒素源を除外した栄養物質を供給してシアン系物質の分解を促進させる汚染土壌の浄化方法を提案した(例えば、特許文献3参照)。
実際に数多くの汚染土壌に対して、この方法を適用し、浄化試験を行った結果、一定の効果を確認できたが、シアン汚染の浄化速度が著しく遅いケースが存在することがあり、改善の余地があった。
実際に数多くの汚染土壌に対して、この方法を適用し、浄化試験を行った結果、一定の効果を確認できたが、シアン汚染の浄化速度が著しく遅いケースが存在することがあり、改善の余地があった。
このような状況下、シアン汚染の浄化速度が不足するケースを招くことなく、シアン系物質と有機系汚染物質の両方で汚染された土壌で確実に浄化しうる方法が望まれていた。
特開2002−273408号公報
特開2003−88847号公報
特開2005−74288号公報
本発明の課題は、低コストで運用性の高い微生物分解方式により、有機物およびシアンの両方で汚染された土壌を効率的、かつ確実に浄化しうる方法を提供することにある。
本発明者らは、この課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、有機物およびシアン系物質の双方が混在する土壌に、まず、窒素成分を含む特定の液肥を供給して有機物の微生物分解を促進させておき、その後、液肥の添加を止めたうえで、汚染土壌のpHを測定し、pHが4.0〜7.0の範囲内にないときはpH調整手段によって調整してから、窒素源を除外した特定の栄養物質を供給し、pHを前記範囲内に調整・維持することで、シアン系物質が必要かつ十分な浄化速度で微生物分解できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、有機物およびシアンの双方が混在する汚染土壌をバイオレメディエーションにより浄化処理する汚染土壌の浄化方法であって、まず、上記汚染土壌に対して窒素源を含む液肥(A)を供給して有機物の微生物分解を促進させ、次いで、有機物が実質的に分解されたことを確認した上で、液肥(A)の供給を停止し、その後、汚染土壌のpHが4.0〜7.0の範囲にあるか否かを確認し、該範囲内にあるときはそのまま、或いは該範囲内にないときはpH調整手段により汚染土壌のpHを調整した後、窒素源を除外した栄養物質(B)を供給するとともに、汚染土壌のpHを前記範囲に維持しながら、シアンの分解を促進させることを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
が提供される。
が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記pH調整手段は、酸性物質又はその水溶液であることを特徴とする汚染土壌の浄化方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、前記pH調整手段のpHが、4.0〜7.0の範囲にあることを特徴とする汚染土壌の浄化方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第2の発明において、酸性物質が、鉱酸、酸性無機塩、有機酸又はその混合物から選ばれることを特徴とする汚染土壌の浄化方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第2の発明において、酸性物質が、その構成元素中に窒素を含まないものであることを特徴とする汚染土壌の浄化方法が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第1の発明において、浄化方法が、ランドファーミング方式であることを特徴とする汚染土壌の浄化方法が提供される。
本発明によれば、シアン系物質と有機系汚染物質の両方で汚染された土壌を微生物分解法で浄化する際、シアンで汚染された土壌の浄化速度を高く保つことが可能となる。この浄化方法は、比較的容易かつ低コストで運用できることから、その利用価値は極めて大きい。
以下、本発明の有機物およびシアンで汚染された土壌の浄化方法について、詳細に説明する。
1.土壌の浄化方法
本発明の方法は、有機物およびシアン系物質の双方が混在する土壌をバイオレメディエーションにより浄化処理する土壌の浄化方法であって、(1)まず、窒素源を含む液肥を土壌に供給して有機物を微生物分解させ、有機物が実質的に分解されたことを確認した後、(2)液肥の添加を止め、汚染土壌のpHを測定し、pHが4.0〜7.0にあるときはそのまま、又この範囲内にないときはpH調整手段により調整したうえで、次に、(3)窒素源を含まない栄養物質を供給して、汚染土壌のpHを前記範囲に調整・維持しながら、シアン系物質の分解を促進させる各工程を含んだ、有機物およびシアンに汚染された土壌の浄化方法である。
本発明の方法は、有機物およびシアン系物質の双方が混在する土壌をバイオレメディエーションにより浄化処理する土壌の浄化方法であって、(1)まず、窒素源を含む液肥を土壌に供給して有機物を微生物分解させ、有機物が実質的に分解されたことを確認した後、(2)液肥の添加を止め、汚染土壌のpHを測定し、pHが4.0〜7.0にあるときはそのまま、又この範囲内にないときはpH調整手段により調整したうえで、次に、(3)窒素源を含まない栄養物質を供給して、汚染土壌のpHを前記範囲に調整・維持しながら、シアン系物質の分解を促進させる各工程を含んだ、有機物およびシアンに汚染された土壌の浄化方法である。
本発明は、有機物およびシアンの双方が混在する土壌をバイオレメディエーションにより浄化処理する土壌の浄化方法であるが、有機物、シアン系物質とは次のようなものを意味する。
「有機物」とは、各種の炭化水素、各種の天然有機高分子、或いはそれらの混合物などであり、炭化水素としては、へキサン、へプタン、オクタンなど直鎖又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素、オレフィンのような不飽和炭化水素などが例示される。これらは、ガソリンなどの燃料や各種溶剤などに含まれる成分である。また、ケトン、エーテル、アルコール、有機酸、フェノールなどの含酸素炭化水素、さらには、これらを溶剤の成分や合成原料とした石油化学製品も挙げられる。原油を蒸留、精製し、必要により各種添加剤を含有させた灯油、軽油、潤滑油、機械油、金属加工油、パラフィン、ワックスなどの石油製品も挙げられる。この他に、分解して軽質炭化水素を生じうる重油やアスファルトのような重質油も浄化の対象とされる。
さらに、石炭やコークスに由来するべンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、クレゾールなどの芳香族炭化水素、ナフタレン、ビフェニルといった多環芳香族化合物などの難分解性炭化水素も含まれる。なお、これらの物質は、微生物一般に対して毒性を有することから、極端に多量に含まれる場合には浄化処理に適さない場合がある。
また、「シアン」とは、無機シアン化合物及び有機シアン化合物のいずれをも意味する。これらには、金属シアノ錯体、ニトリル化合物等が含まれ、また、金属シアノ錯体としては鉄シアノ錯体、銅シアノ錯体又はニッケルシアノ錯体が、ニトリル化合物としてはジニトリルがそれぞれ挙げられる。
シアン含有物質が地上で漏洩して起きるシアン地下汚染は、シアンの化学的性質上、比較的浅い地下領域に限定され易い。一部は帯水層まで辿り着いて地下水を汚染してしまうものの、多くは深い地中に潜り込む前に地中の金属イオン等と錯結合で結びつき易い。
シアン含有物質が地上で漏洩して起きるシアン地下汚染は、シアンの化学的性質上、比較的浅い地下領域に限定され易い。一部は帯水層まで辿り着いて地下水を汚染してしまうものの、多くは深い地中に潜り込む前に地中の金属イオン等と錯結合で結びつき易い。
(1)有機物の微生物分解
本発明の方法では、汚染土壌に対して、まず、有機物の微生物分解を行うが、それには、対象となる土壌に有機物を分解しうる微生物およびシアンを分解しうる微生物の両方が存在することが前提となる。
本発明の方法では、汚染土壌に対して、まず、有機物の微生物分解を行うが、それには、対象となる土壌に有機物を分解しうる微生物およびシアンを分解しうる微生物の両方が存在することが前提となる。
一般に、土壌は、その環境での生物活動に適した多種多様な微生物が生息した状態にある。汚染土壌中に土着の有機物分解微生物、シアン分解微生物(以下、これらを土着有用微生物ともいう)が存在するか、フラスコ試験などを実施して、確認しておくことが望ましい。
この土着有用微生物の存在確認は、サンプリングした土壌や地下水から有用微生物を単離・同定して行うこともできるが、土着有用微生物を利用して有機物およびシアン系物質を分解できるかどうか判断できればよい場合は、浄化対象の土壌や地下水を用いた分解試験でも確認可能である。有用微生物の単離・同定を行う際は、用いる選択培地中の有機物、シアンは、評価対象となる汚染物質の性質にあわせて選択することが好ましい。
本発明のように、浄化対象とする土壌にシアン系物質だけでなく前記のような有機物が含まれているケースでは、シアン系物質単独の汚染土壌への浄化と比較して、シアンの微生物分解速度が低下することが多い。シアン以上に生体への影響が大きい有機物が共存することでシアン分解微生物の活動が制限されてしまうためである。また、土壌中でシアン系汚染物質と共存する有機物が、たとえ毒性の少ない有機物であっても、有機物の濃度が高い場合には、土壌微生物によって分解が進むのは専らこの有機物ということになり、シアン系汚染物質の分解がやはり阻害される。
さらに、シアン系物質の微生物分解を活性化するには、窒素源の利用を抑制する必要があるのに対し、炭化水素系有機物を対象とする微生物分解では、汚染物質の有機物濃度が高いケースが多いので、微生物分解に多量の窒素が必要とされ、むしろ窒素利用を促進させる上で外部から窒素成分を添加する必要がある。すなわち必要窒素供給量に関してみると、シアン系汚染物質向けと炭化水素系の有機物向けでは全く対称的な関係になり、両方を満足する条件が得られにくいと考えられる。
従って、シアン系汚染物質が、前記のような有機物と共存しているケースにおいて、これらを共に微生物によって分解させるためには、シアン系単独汚染への対応技術に何らかの工夫を加えた新たな浄化方式を構築しなければならない。
バイオレメディエーションによる浄化方法としては、パイル方式やランドファーミング方式などの他に原位置で浄化する方式もあるが、本発明においては、微生物による有害物質の分解または改質が進みやすい最適な環境条件へ容易に制御できて、比較的短期間で汚染の浄化が可能となるため、パイル方式やランドファーミング方式で実施する方がより望ましい。特に有機物を分解する段階に関しては、ランドファーミング方式で実施することがより望ましい。
パイル方式は、浄化の対象となる汚染された土壌をパイル状に積み上げて、浄化する方式である。パイルの大きさは、汚染領域の広さや地形などによって決定され、特に限定されるものではないが、例えば幅3〜20m、高さ1〜5m、長さ10〜100mの範囲から適宜決定できる。
シアン化合物を分解する段階に関しては、浄化対象のシアン汚染土壌でパイルを作成した後、その表面の実質的全てを人工物で覆い、内部には微生物を活性化させる栄養物質を供給するための供給管が配設することが望ましい。供給管は、外周に多数の孔を開けたものであればよいが、パイルの比較的浅い位置に配設することが望ましい。この詳細は、本出願人が提案した特願2003−204996に記載されている。
人工物は、土壌を大気から遮断しうるものであれば特に制限されないが、例えば、通気性がない樹脂シート、アスファルト、コンクリートなどを挙げることができる。これらの中では、展張するだけで施工でき、浄化処理後の撤去も簡単であるということから樹脂シートを用いることが最も好ましい。樹脂シートは、通気性がないものであれば材質に制限はないが、土壌表面積の少なくとも95%以上、特に98%以上を覆うことができるものでなければならない。樹脂シートの厚さは、薄いものよりも厚めのものの方がこの目的に合致している。アスファルトやコンクリートでは、樹脂シートに比べて施工、撤去ともに手間とコストを要する。
人工物は、土壌を大気から遮断しうるものであれば特に制限されないが、例えば、通気性がない樹脂シート、アスファルト、コンクリートなどを挙げることができる。これらの中では、展張するだけで施工でき、浄化処理後の撤去も簡単であるということから樹脂シートを用いることが最も好ましい。樹脂シートは、通気性がないものであれば材質に制限はないが、土壌表面積の少なくとも95%以上、特に98%以上を覆うことができるものでなければならない。樹脂シートの厚さは、薄いものよりも厚めのものの方がこの目的に合致している。アスファルトやコンクリートでは、樹脂シートに比べて施工、撤去ともに手間とコストを要する。
一方、ランドファーミング方式とは、前記のように、浄化対象となる汚染土壌を畑のように広げて、土壌に微生物の栄養物質となる水と肥料を撒いて、時々耕すという方法である。ランドファーミング方式によれば、耕すときに土壌中へ酸素が取り込まれるので、土壌を好気的環境にし易くなり、また、栄養物質を供給する供給管を配設する必要がないという利点がある。ただし、この場合もシアン化合物を分解する段階に関しては、パイル方式の場合と同様に、耕すとき以外は、分別された汚染土壌の畑表面を樹脂シートなどの人工物で覆うことが望ましい。
本発明においては、汚染土壌のpH調整作業が容易であるという点でランドファーミング方式のほうがパイル方式よりも好ましい。
本発明においては、汚染土壌のpH調整作業が容易であるという点でランドファーミング方式のほうがパイル方式よりも好ましい。
オンサイト浄化における温度条件は、通常、汚染地域の環境条件に左右されるので、特に限定されない。土着シアン分解微生物の種類にもよるが、生育温度の範囲(例えば10〜35℃)、好ましくは最適生育温度の範囲(15〜25℃)とすることが望ましい。
本発明においては、有機物およびシアン系物質の双方が混在する土壌に、まず、窒素成分を含む液肥(A)を供給して、先に有機物の微生物分解を促進させる。なお、この時には酸素源(単に酸素ともいう)の供給も合わせて行うのが望ましい。酸素は、空気でもよく、ランドファーミング方式では切り返しの際に土壌へ供給することができる。また、土壌に水相を介して供給してもよい。すなわち、水に酸素を最大限溶存させた状態、または大気飽和の状態で供給することができる。または、パイル方式などでは、配管を通じて気体状の酸素源を直接土壌中へ送り込むこともできる。また、過酸化物などの固体酸素源を予め土壌中に混ぜ込むことにより酸素供給することも可能である。
こうすることで対象土壌中の好気性微生物の密度が増加し、微生物活動の結果、有機物の分解がシアン系汚染物質の分解に先行して進むことになる。
こうすることで対象土壌中の好気性微生物の密度が増加し、微生物活動の結果、有機物の分解がシアン系汚染物質の分解に先行して進むことになる。
(A)液肥
本発明において「液肥」とは、微生物向けの窒素栄養源が溶解している液体を指す。
本発明において「液肥」とは、微生物向けの窒素栄養源が溶解している液体を指す。
液肥中の窒素栄養源は、硫酸アンモニウムや尿素であって良く、これらは微生物への吸収性が良く速効性であり、適時に適量だけ施すことができ、過剰な供給が避けられる。
本発明では、一般に農作物用肥料の分野で、液体肥料といわれ販売されているものを液肥として充てることもできる。また、このような液状の窒素系肥料の他に、リンやカリウム、他の必須微量栄養素などを含んだ複合系の液状組成物であっても構わない。
液肥中に含まれる窒素源として、有機酸もしくはアミノ酸が含まれることがさらに望ましい。ここでいう有機酸やアミノ酸としては、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、セリン、ロイシン、イソロイシンなどが含まれる。供給する窒素源がこれらの物質であれば、地下での硝酸態化の進行をくい止め、環境負荷をより低下させることが可能となる。
また、アミノ酸発酵液からのアミノ酸分離法において副生するアミノ酸晶析母液は、各種有機成分(蛋白質、各種アミノ酸、多糖類、油脂類等)や硫安およびバランスが取れたミネラルを含む液肥の原料として評価されている。従来市販されている液肥としては、ミネラル単独のもの、糖蜜や黒砂糖の様な糖類を長時間発酵させて一部を有機酸に変えたもの、植物の抽出液で「漢方薬」的な要素を含むもの、特殊な成分を表示したものでサイトカイニンや光合成細菌を含むもの、更にはそれらの混合液等がある。しかし、これらは、組成や由来の表示も完全ではなく、また効果も判然としないものが多い。そのため、組成や由来の分かったもので、土着微生物に対する濃縮による浸透圧の上昇による障害等が少なく、かつ効果の明瞭な液肥を用いることが望ましい。
液肥を供給する手段は、特に限定されず、分解すべき有機物が存在する地表面に適宜散布、噴霧すればよい。その際、予め設置した注入井から特定の汚染箇所に集中して供給することもできる。
有機物は、液肥の供給を受けて活性化された土着微生物群によって分解が促進される。その分解状況は、汚染土壌、場合によっては地下水をサンプリングして分析すれば良い。有機物の分解が不十分であれば液肥の供給量を増加させ、場合によっては液肥の種類を変更することもある。
有機物は、液肥の供給を受けて活性化された土着微生物群によって分解が促進される。その分解状況は、汚染土壌、場合によっては地下水をサンプリングして分析すれば良い。有機物の分解が不十分であれば液肥の供給量を増加させ、場合によっては液肥の種類を変更することもある。
(2)液肥の供給停止と汚染土壌のpH確認
上記工程で、有機物が実質的に分解されたことが確認できれば、液肥の供給を停止し、汚染土壌のpHを測定する。
上記工程で、有機物が実質的に分解されたことが確認できれば、液肥の供給を停止し、汚染土壌のpHを測定する。
このとき、液肥の供給を停止しても、酸素源は停止せずに継続して供給するのが望ましい。既に浄化対象土壌中では一定密度の微生物増殖が進んでいるが、酸素の供給が続いても窒素源の供給が絶たれているので、土壌中の窒素源濃度はすぐに低下してくる。これは、前の段階で窒素源を含む液肥を使用しているからであり、もしも、液肥の代わりに固形物を含む窒素栄養源、たとえば粒状の窒素源のみを与えると、緩効性であるがゆえに窒素残留量が大きくなってしまう。
窒素源を含む液肥の供給を停止した後、窒素源を除外した栄養物質(B)を供給してシアン系物質の分解を促進させる段階に移る前に汚染土壌のpHを測定する。そして、このpHの範囲が4.0〜7.0であれば、そのまま次のステップに移行する。
本発明では、窒素源を除外した栄養物質(B)を供給してシアン系物質の分解を促進させる段階に移行する前に、土壌のpHを4.0〜7.0の範囲内に調整し、その後その状態を維持することが重要になる。ただし、土壌pHを調整する作業は、それ以前の段階から開始しても差し支えない。また、土壌のpHは、4.0〜6.0の範囲に調整・維持することが更に望ましい。
これは、上記pH調整・維持のみ省略した方法を適応して浄化試験を重ねた中に一部存在した、一定の効果を確認できたもののシアン汚染の浄化速度が著しく遅いケースについて、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、問題となるケースはシアン分解を促進する段階で土壌pHがアルカリ側であること、上記pH調整・維持によりシアン汚染浄化速度を加速できること、を見出したことによる。
上記pH調整・維持が浄化速度を向上させる機構はまだ十分には解明されていないが、土着のシアン分解能を持つ微生物群自体の性質、競合するシアン分解に寄与しない微生物群の活性など多数の要因が複合し、結果として、土壌pHがアルカリ側だと土着のシアン微生物にとって十分にシアン分解活性を発揮し難い状況になっていることが推定される。
このpH調節手段は、酸性物質やそれを含んだ水を汚染土壌に混入することで行えるが、酸性物質の過剰投入などで土壌pHが4.0未満へと過剰低下した場合には、pHが4.0を越えるところまでアルカリ性物質を混入すれば対処できる。
pH調整剤のうち酸性物質としては、鉱酸、酸性無機塩、有機酸およびその化合物、などが挙げられるが、構成元素中に窒素を含まないものがより好ましい。鉱酸としては、リン酸;酸性無機塩としては、リン酸塩;有機酸としては、クエン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などが例示される。これらは、単独で用いても、混合物として用いてもよい。有機酸やその化合物を用いれば、微生物栄養としての効果も期待できるので好ましいが、汚染土壌に含有されるアルカリ成分の種類や量などの条件に応じて、鉱酸や酸性無機塩の使用を選択する場合もある。
pH調整剤のうち酸性物質としては、鉱酸、酸性無機塩、有機酸およびその化合物、などが挙げられるが、構成元素中に窒素を含まないものがより好ましい。鉱酸としては、リン酸;酸性無機塩としては、リン酸塩;有機酸としては、クエン酸、酢酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などが例示される。これらは、単独で用いても、混合物として用いてもよい。有機酸やその化合物を用いれば、微生物栄養としての効果も期待できるので好ましいが、汚染土壌に含有されるアルカリ成分の種類や量などの条件に応じて、鉱酸や酸性無機塩の使用を選択する場合もある。
本発明では、pH調整剤として水を用いることができる。この場合、水に対して、窒素を含まない鉱酸、もしくは窒素を含まない有機酸などの上記酸性物質を溶解させてもよい。pH調整剤として水を用いれば、土壌中の可溶性成分やアルカリ成分を除去することができる。
pH調整剤のpHが4.0よりも小さいと、土壌に含まれる金属成分の溶出や土壌構成鉱物の変質を招く可能性、また、酸性が強すぎて土着微生物への刺激が強くなり活動を低下させる恐れ、などがあり、一方、pHが7.0よりも大きいとシアン分解効率が悪くなるので好ましくない。
pH調整剤のpHが4.0よりも小さいと、土壌に含まれる金属成分の溶出や土壌構成鉱物の変質を招く可能性、また、酸性が強すぎて土着微生物への刺激が強くなり活動を低下させる恐れ、などがあり、一方、pHが7.0よりも大きいとシアン分解効率が悪くなるので好ましくない。
ここで可溶性成分とは、水に溶解する成分の総称であり、土壌中に含まれないものでは土壌に供給した液肥成分(有機酸やアミノ酸である、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、セリン、ロイシン、イソロイシンなど)の他、土着微生物により有機物が分解して生じた生成物(低分子量のアルコール、有機酸など)も含まれる。
土壌中へのpH調整剤の供給方法は、任意であって土壌上部から降りかけても良いし、通液管を土壌内部に通してそこから供給しても構わないし、重機による土壌の切り返し操作を並行して行いながら、切り返される途中の土壌表面に散布しても構わない。
pHの調整状況は、汚染土壌、場合によっては地下水をサンプリングして分析すれば良い。分析結果によって、pH調整が不十分であればpH調整剤の供給量を増加させ、その種類を変更することもありうる。一方、pH調整が十分になされたことが確認できれば、pH調整剤の供給を停止する。
pHの調整状況は、汚染土壌、場合によっては地下水をサンプリングして分析すれば良い。分析結果によって、pH調整が不十分であればpH調整剤の供給量を増加させ、その種類を変更することもありうる。一方、pH調整が十分になされたことが確認できれば、pH調整剤の供給を停止する。
(3)土壌への栄養物質の供給、pHの維持
次に、pHが所定の条件を満たした汚染土壌に対して、窒素源を除外した栄養物質を供給してシアン系物質の分解を促進させる。この時、液肥供給に由来する対象土壌中、残留窒素源濃度は一定濃度以下に保たれているので、それ以外に土壌微生物が利用可能な窒素源はシアン系物質中の窒素に限定することができ、シアン系物質中の窒素を窒素源として利用できる微生物が増殖するのに有利な条件となり、その結果、シアン系物質の微生物分解がその後速やかに進行する。この間、土壌のpHは前記の通り、4.0〜7.0の範囲に維持しなければならない。
次に、pHが所定の条件を満たした汚染土壌に対して、窒素源を除外した栄養物質を供給してシアン系物質の分解を促進させる。この時、液肥供給に由来する対象土壌中、残留窒素源濃度は一定濃度以下に保たれているので、それ以外に土壌微生物が利用可能な窒素源はシアン系物質中の窒素に限定することができ、シアン系物質中の窒素を窒素源として利用できる微生物が増殖するのに有利な条件となり、その結果、シアン系物質の微生物分解がその後速やかに進行する。この間、土壌のpHは前記の通り、4.0〜7.0の範囲に維持しなければならない。
(B)栄養物質
栄養物質は、微生物の増殖を促進するために添加するものであり、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、サッカロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、メリビオース、ラフィノース、スタキオースなどの単糖類、二糖類、又は多糖類などを挙げることができる。その種類と供給量は、微生物の種類、汚染状況などによって適宜決定することができる。栄養物質は1種でもよく、2種以上を適宜組合わせて用いてもよい。
栄養物質は、微生物の増殖を促進するために添加するものであり、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、サッカロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、メリビオース、ラフィノース、スタキオースなどの単糖類、二糖類、又は多糖類などを挙げることができる。その種類と供給量は、微生物の種類、汚染状況などによって適宜決定することができる。栄養物質は1種でもよく、2種以上を適宜組合わせて用いてもよい。
栄養物質を供給するとき、酸素源も継続して供給するのが望ましい。既に浄化対象土壌中には一定密度の微生物増殖が進んでいるが、酸素の供給が続いても窒素源の供給が絶たれているので、土壌中の窒素源濃度はすぐに低下してくる。前の段階で窒素源として液肥を使用しているから、土壌中に残留する窒素源濃度は極めて少ないレベルにすることができる。もしも、前の段階で液肥でなくて固形物を含む窒素栄養源、たとえば粒状の窒素源のみを与えていると、緩効性であるがゆえに窒素残留量が大きくなってしまう。
この間、土壌のpHを安定して4.0〜7.0の範囲に維持すれば、シアン汚染の浄化効率を高めることができる。pHがこの範囲を外れると、微生物によるシアンの浄化速度が低下してしまう。なお、pHを維持する手段は、前記の通りであり、土壌に酸性物質、あるいはその水溶液を供給すればよい。
次に、実施例と比較例により本発明を説明するが、本発明は、これら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、有機物およびシアン系物質の双方が混在する土壌に、窒素源を含む液肥として、(株)ハイポネックスジャパン社製ハイポネックス原液5−10−5(N:P:K=5:10:5)の2000倍希釈水溶液を半月に一度供給しつつ、3日に一回の間隔で土壌の切り返しを3ヶ月間行うことにより、先に有機物の微生物分解を促進させ、本発明の効果確認用の汚染土壌を得た。この段階で、土壌中の有機炭素濃度が5g/kg以下と低減していたが、土壌のシアン汚染に関しては、遊離シアン含有量が63mg/kg、全シアン溶出量が0.6mg/Lであり、まだ浄化が進んでいなかった。土壌のpHは8.5であった。
次に、この効果確認用汚染土壌50kgに飽和クエン酸溶液を混入して、土壌pHを6.5まで下げた上で、10日に一度、窒素源を除外した栄養物質として単糖類および二糖類を所定の比率で配合し、さらに、リン酸塩を一定濃度溶解させた栄養水を供給しつつ、同時に土壌の切り返しを行うことにより、シアン系物質の分解を促進させた。この栄養水供給と同時に、土壌pHを測定して、pH4.0〜6.5の範囲内にあることを確認し、pH6.5を越えた場合は飽和クエン酸溶液を混入して、土壌pHを6.4まで下げる作業も実施した。
その結果、シアン系物質の微生物分解が速やかに進行し、2ヶ月後には、土壌の遊離シアン含有量が15mg/kg未満、全シアン溶出試験値は未検出(0.1mg/L未満)となり、シアン汚染の浄化が達成された。
まず、有機物およびシアン系物質の双方が混在する土壌に、窒素源を含む液肥として、(株)ハイポネックスジャパン社製ハイポネックス原液5−10−5(N:P:K=5:10:5)の2000倍希釈水溶液を半月に一度供給しつつ、3日に一回の間隔で土壌の切り返しを3ヶ月間行うことにより、先に有機物の微生物分解を促進させ、本発明の効果確認用の汚染土壌を得た。この段階で、土壌中の有機炭素濃度が5g/kg以下と低減していたが、土壌のシアン汚染に関しては、遊離シアン含有量が63mg/kg、全シアン溶出量が0.6mg/Lであり、まだ浄化が進んでいなかった。土壌のpHは8.5であった。
次に、この効果確認用汚染土壌50kgに飽和クエン酸溶液を混入して、土壌pHを6.5まで下げた上で、10日に一度、窒素源を除外した栄養物質として単糖類および二糖類を所定の比率で配合し、さらに、リン酸塩を一定濃度溶解させた栄養水を供給しつつ、同時に土壌の切り返しを行うことにより、シアン系物質の分解を促進させた。この栄養水供給と同時に、土壌pHを測定して、pH4.0〜6.5の範囲内にあることを確認し、pH6.5を越えた場合は飽和クエン酸溶液を混入して、土壌pHを6.4まで下げる作業も実施した。
その結果、シアン系物質の微生物分解が速やかに進行し、2ヶ月後には、土壌の遊離シアン含有量が15mg/kg未満、全シアン溶出試験値は未検出(0.1mg/L未満)となり、シアン汚染の浄化が達成された。
(比較例1)
実施例1と同じ効果確認用汚染土壌(遊離シアン含有量63mg/kg、全シアン溶出試験量0.6mg/L、土壌pH8.5)50kgを対象に、土壌pHの調整を行わないまま、10日に一度、窒素源を除外した栄養物質として単糖類および二糖類を所定の比率で配合し、さらにリン酸塩を一定濃度溶解させた栄養水を供給しつつ、同時に土壌の切り返しを行ってシアン系物質の分解が促進するかどうかを調べた。この栄養水供給と同時に、土壌pHを測定し、pH7.5〜8.5の範囲内で留まったことを確認した。
土壌のpH調整を行わなかった結果、シアン系物質の微生物分解は促進されず、2ヶ月後の土壌の遊離シアン含有量61mg/kg、全シアン溶出試験量は0.5mg/Lと、シアン汚染の浄化は達成されなかった。
実施例1と同じ効果確認用汚染土壌(遊離シアン含有量63mg/kg、全シアン溶出試験量0.6mg/L、土壌pH8.5)50kgを対象に、土壌pHの調整を行わないまま、10日に一度、窒素源を除外した栄養物質として単糖類および二糖類を所定の比率で配合し、さらにリン酸塩を一定濃度溶解させた栄養水を供給しつつ、同時に土壌の切り返しを行ってシアン系物質の分解が促進するかどうかを調べた。この栄養水供給と同時に、土壌pHを測定し、pH7.5〜8.5の範囲内で留まったことを確認した。
土壌のpH調整を行わなかった結果、シアン系物質の微生物分解は促進されず、2ヶ月後の土壌の遊離シアン含有量61mg/kg、全シアン溶出試験量は0.5mg/Lと、シアン汚染の浄化は達成されなかった。
(実施例2)
実施例1と同じ効果確認用汚染土壌(遊離シアン含有量63mg/kg、全シアン溶出量0.6mg/L、土壌pH8.5)を対象に50kgに対し、クエン酸を用いてpH4.0に調整した水を供給して、土壌中のアルカリ成分を中和しつつ洗い流して除去するともに、土壌中の窒素源を含む肥料成分も除去した。この段階での汚染土壌の遊離シアン含有量は62mg/kg、全シアン溶出量は0.5mg/L、土壌pHは5.8となった。その上で、10日に一度、窒素源を除外した栄養物質として単糖類および二糖類を所定の比率で配合し、さらにリン酸塩を一定濃度溶解させた栄養水を供給しつつ、同時に土壌の切り返しを行うことにより、シアン系物質の分解を促進させた。この栄養水供給と同時に、土壌pHを測定してpH4.0〜6.5の範囲内にあることを確認した。
その結果、シアン系物質の微生物分解が速やかに進行し、2ヶ月後には、土壌の遊離シアン含有量が15mg/kg未満、全シアン溶出試験値は未検出(0.1mg/L未満)となり、シアン汚染の浄化が完了できた。
実施例1と同じ効果確認用汚染土壌(遊離シアン含有量63mg/kg、全シアン溶出量0.6mg/L、土壌pH8.5)を対象に50kgに対し、クエン酸を用いてpH4.0に調整した水を供給して、土壌中のアルカリ成分を中和しつつ洗い流して除去するともに、土壌中の窒素源を含む肥料成分も除去した。この段階での汚染土壌の遊離シアン含有量は62mg/kg、全シアン溶出量は0.5mg/L、土壌pHは5.8となった。その上で、10日に一度、窒素源を除外した栄養物質として単糖類および二糖類を所定の比率で配合し、さらにリン酸塩を一定濃度溶解させた栄養水を供給しつつ、同時に土壌の切り返しを行うことにより、シアン系物質の分解を促進させた。この栄養水供給と同時に、土壌pHを測定してpH4.0〜6.5の範囲内にあることを確認した。
その結果、シアン系物質の微生物分解が速やかに進行し、2ヶ月後には、土壌の遊離シアン含有量が15mg/kg未満、全シアン溶出試験値は未検出(0.1mg/L未満)となり、シアン汚染の浄化が完了できた。
Claims (6)
- 有機物およびシアンの双方が混在する汚染土壌をバイオレメディエーションにより浄化処理する汚染土壌の浄化方法であって、
まず、上記汚染土壌に対して窒素源を含む液肥(A)を供給して有機物の微生物分解を促進させ、次いで、有機物が実質的に分解されたことを確認した上で、液肥(A)の供給を停止し、その後、汚染土壌のpHが4.0〜7.0の範囲にあるか否かを確認し、該範囲内にあるときはそのまま、或いは該範囲内にないときはpH調整手段により汚染土壌のpHを調整した後、窒素源を除外した栄養物質(B)を供給するとともに、汚染土壌のpHを前記範囲に維持しながら、シアンの分解を促進させることを特徴とする汚染土壌の浄化方法。 - 前記pH調整手段は、酸性物質又はその水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌の浄化方法。
- 前記pH調整手段のpHが、4.0〜7.0の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載の汚染土壌の浄化方法。
- 酸性物質が、鉱酸、酸性無機塩、有機酸又はその混合物から選ばれることを特徴とする請求項2に記載の汚染土壌の浄化方法。
- 酸性物質が、その構成元素中に窒素を含まないものであることを特徴とする請求項5に記載の汚染土壌の浄化方法。
- 浄化処理が、ランドファーミング方式であることを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌の浄化方法。
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---|---|---|---|
JP2005263190A JP2007075670A (ja) | 2005-09-12 | 2005-09-12 | 有機物およびシアンに汚染された土壌の浄化方法 |
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Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009054368A1 (ja) | 2007-10-22 | 2009-04-30 | Showa Denko K. K. | シアン化合物含有土壌の浄化方法およびその浄化方法に用いる微生物 |
JP2010046623A (ja) * | 2008-08-22 | 2010-03-04 | Showa Denko Kk | 汚染土壌の浄化方法 |
JP2010524687A (ja) * | 2007-05-04 | 2010-07-22 | ソリューションズ アイイーエス インコーポレイテッド | 土壌及び地下水浄化のための現場pH調整 |
KR101207867B1 (ko) * | 2010-02-12 | 2012-12-07 | 김동일 | 아미노산 액비를 이용한 토양 내 중금속의 제거방법 |
JP2014200716A (ja) * | 2013-04-02 | 2014-10-27 | 株式会社大林組 | 地盤浄化方法 |
-
2005
- 2005-09-12 JP JP2005263190A patent/JP2007075670A/ja active Pending
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WO2009054368A1 (ja) | 2007-10-22 | 2009-04-30 | Showa Denko K. K. | シアン化合物含有土壌の浄化方法およびその浄化方法に用いる微生物 |
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