JP5479380B2 - 鋏 - Google Patents

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Description

本発明は、一対の鋏片がボルトとナットとで組み付けられた鋏に関するものである。
一般的に、一対の鋏片の刃体には、それぞれの対向面が軸方向に沿って反対方向に湾曲するように、「ソリ(反り)」と称されるカーブが形成されている。これは、対象物を切断する際に、対象物から刃体を互いに離隔させる方向の力が作用するため、この力に抗して刃体どうしを接触させるためである。このようなソリが形成されていることにより、鋏の閉じ操作に伴って、刃元に比べて刃先で接触圧力が増加し、一対の刃体は弾性により刃先で互いに押圧しながら擦れ合う。このとき、接触圧力が大き過ぎる場合は、摩擦抵抗が大きく、使用感が重く手に負担がかかると共に、刃先が磨耗しやすいものとなる。一方、接触圧力が小さ過ぎる場合は、対象物が刃先間に挟まれて切断されにくくなる。
そして、どの程度の接触圧力が適しているかは、鋏の用途や切断対象物の種類、使用者の手指の力、或いは、使用者の好み等によって異なる。そのため、通常、理容師や美容師など専門家が使用する鋏は、ボルトとナットとの螺合により形成される支軸部によって一対の鋏片が組み付けられており、使用者がボルトとナットの締結具合を調整することにより、刃先の接触圧力を調整している。
更に、このような接触圧力の調整をし易くすることを目的として、従来、鋏片の表面に板バネを取り付けた鋏が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。これは、図8(a),(b)に示すように、持手部111及び刃体112を備える鋏片110と持手部121及び刃体122を備える鋏片120とがボルト131とナット132で組み付けられた鋏100であって、一方の鋏片110の表面とナット132との間に、板バネ140を介在させたものである。ここで、板バネ140は、図8(b)に示すように、湾曲させた金属の薄板であり、一端を屈曲させた突片144が、鋏片110の表面に設けた係止孔114に嵌め込まれている。
しかしながら、このような金属の板バネは、ナットとの接触により多少なりとも傷が付くため、鋏の開閉操作の繰り返しに伴って傷が大きく深くなり、ガタツキの原因となると共に、機械的強度が低下する。また、金属の板バネは、鋏の開閉操作に伴って作用する応力を繰り返し受けることによっても、機械的強度が低下する(疲労する)。そのため、板バネにおけるバネの作用が経時的に低下し、刃先の接触圧力の調整がしにくくなるという問題があった。加えて、金属の板バネは、ボルトとナットにより鋏片を強く締め付けた場合に、塑性変形してしまうことがあり、その場合は、もはやバネの作用を得ることができない。
そこで、本発明は上記の実情に鑑み、刃先の接触圧力の調整を、長期にわたり安定して行うことができる鋏の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる鋏は、「それぞれ持手部及び刃体を有する一対の鋏片が、ボルトとナットとの螺合により形成された支軸部によって回動可能に組み付けられた鋏であって、前記一対の鋏片の少なくとも一方の表面の前記支軸部周りに形成された凹部と、平板状の炭素繊維強化プラスチックで形成され、前記凹部に挿入された板体と、前記凹部の底面と前記板体との間に空隙を形成させている空隙形成体とを具備する」ものである。
「炭素繊維強化プラスチックで形成された平板状の板体」としては、炭素繊維の織物、または、炭素繊維を一方向に引きそろえたシート状物に、熱硬化性樹脂を含浸させた半硬化状態のプリプレグを、平板状に保持しつつ硬化させたものを使用することができる。また、複数の上記プリプレグを積層した状態で平板状に硬化させたものを使用することができる。
凹部が形成される鋏片の「表面」は、一方の鋏片が他方の鋏片と対面する表面、すなわち、鋏の開閉操作に伴い摺接する面(以下、「摺接面」と称する)であっても、摺接面とは反対側の表面(以下、「外表面」と称する)であっても良い。また、一つの鋏に複数の凹部が形成され、それぞれの凹部に板体が挿入される構成とすることができる。例えば、一方の鋏片の外表面に凹部が形成されると共に、他方の鋏片の摺接面に凹部が形成された鋏とすることができる。
凹部が「支軸部周り」に形成される態様としては、支軸部を挿通させる孔部が凹部の底面に開口する態様の他、支軸部を挿通させる孔部を回避しつつ、そのごく近傍に凹部が形成される態様とすることができる。ここで、凹部の形状(凹部の内側周面によって囲まれる形状)は特に限定されず、楕円形、円形、卵型を例示することができる。また、板体を、凹部の形状と同一の外形で、且つ、凹部より僅かに小さく形成すれば、鋏の開閉の際に板体が凹部内で移動しないため、望ましい。更に、凹部及び板体の形状を、非円形または中心が支軸部の軸心と一致しない円形、すなわち、支軸部の軸心周りに任意の角度回転させる前と後とで外形が重ならないことがある形状とすれば、鋏の開閉の際に板体が回転しないため、望ましい。
上記構成により、ボルトとナットとの締結によって一対の鋏片を締め付けたとき、板体が凹部内でたわむ。このとき、板体と凹部の底面との間には空隙が存在するため、この空隙において板体はたわむことができる。この板体のたわみにより、刃先の接触圧力を調整し易いものとなると共に、鋏の閉じ操作の際に刃先の擦れ合いに伴って支軸部周りに作用する応力を、吸収することができる。
そして、本発明では板体が炭素繊維強化プラスチック(以下、「CFRP」と称することがある)で形成されており、CFRPは鋼などの金属に比べて疲労強度が高い。そのため、鋏の開閉操作に伴い繰り返し発生する応力を受け続けても、長期にわたり安定して上記のバネの作用を発揮することができる。
また、CFRPは鋼などの金属に比べて降伏応力が大きいため、一対の鋏片を大きな力で締め付けたとしても塑性変形しにくく、バネの作用を失いにくい。例えば、板体が金属製であれば、空隙形成体によって凹部の底面との間に形成されている距離だけ押圧された際に、塑性変形によって座屈してしまう場合と、同じ厚さに形成したとしても、CFRPの板体であれば塑性変形することなく、バネの作用を発揮することができる。
更に、CFRPは鋼などの金属に比べて比強度が高いため、ボルトやナットの頭部、あるいは空隙形成体と接触した際に、極めて傷つきにくく、長期にわたり使用してもガタツキなどの不具合が生じにくい。
加えて、CFRPは鋼などの金属に比べて比弾性率が高いため、同程度の厚さの金属の板より強いバネの作用を得ることができる。そのため、板体の厚さを薄くすることにより、板体を挿入する凹部を浅くすることが可能であり、凹部の形成による鋏片の強度低下のおそれを低減することができる。換言すれば、板体をCFRPとすることにより、板体を凹部内に挿入するという手段を採用しても、凹部の形成による鋏片の強度低下のおそれを低減することができる。これにより、特許文献1,2で例示される、板バネが鋏片の表面から突出している従来の鋏では、板バネと鋏片との間に髪などの切断対象物がからんだりゴミが挟まったりする不都合があったところ、かかる不都合を回避することができる。
本発明にかかる鋏は、上記構成において、「前記空隙形成体は、前記凹部内に嵌め込まれた、厚さが前記凹部の深さより小さい環状体である」ものとすることができる。
「環状体」は、凹部の内側周面によって囲まれる形状と同一の外形で、且つ、凹部より僅かに小さく形成すれば、鋏の開閉の際に環状体が凹部内で移動しないため、望ましい。
上記構成の鋏は、凹部に環状体を嵌め込み、その環状体の上に板体を載置して使用する。従って、環状体の厚さが、凹部の底面と板体との間の距離、すなわち、板体がたわむ方向の最大距離に相当する。なお、環状体を厚さの異なる別の環状体に取り換えることにより、凹部の底面と板体との間の距離を、容易に変更することができる。
本発明にかかる鋏は、上記構成において、「前記空隙形成体は、前記底面の周囲に形成された、高さが前記凹部の深さより小さい段部である」ものとすることができる。
上記構成の鋏は、凹部内の段部の上に板体を載置して使用する。従って、段部の高さが、凹部の底面と板体との間の距離に相当する。
本発明にかかる鋏は、上記構成において、「前記凹部は、一方の前記鋏片において他方の鋏片と対向する面に形成されており、前記空隙形成体は、前記凹部に嵌め込まれた、平板状のスペーサ体の複数からなり、それぞれのスペーサ体は前記底面より面積が小さく、前記板体は前記スペーサ体上に載置された状態で少なくとも一部が前記スペーサ体の外周線より外側に張り出しており、前記板体の厚さと前記スペーサ体の厚さの和は、前記持手部側で前記凹部の深さより大である」ものとすることができる。
「スペーサ体」は、板体の厚さとスペーサ体の厚さの和が、持手部側で凹部の深さより大となる程度を、増減させる調整を行うための部材である。この調整は、スペーサ体の枚数を増減させることにより行うことができる。あるいは、厚さの異なる複数種類のスペーサ体の中から、凹部に嵌め込むために選ばれるスペーサ体の組み合わせを変えることによっても、その調整を行うことができる。また、「持手部側で」板体の厚さとスペーサ体の厚さの和を凹部の深さより大とする手段は、スペーサ体の厚さを持手部側に向かって増加させるものであっても、凹部の深さを持手部側に向かって減少させるものであっても良い。
上記構成の鋏では、板体の厚さとスペーサ体の厚さの和が持手部側で凹部の深さより大であるため、持手部側では一対の鋏片を離隔させる方向に力が作用する。これにより、刃先側ではそれぞれの鋏片は相手側に押し付けられ、刃先どうしが強く圧接しあうこととなる。従って、スペーサ体の枚数や組み合わせによって、スペーサ体の厚さ及び板体の厚さの合計が、持手部側で凹部の深さより大となる程度を変化させることにより、刃先の接触圧力を調整することができる。
このとき、板体には対面する鋏片から押圧力が作用するが、板体の少なくとも一部はスペーサ体の外周線より外側に張り出しているため、その部分では凹部の底面と板体との間に空隙が存在する。これにより、板体はこの部分でたわむため、上記と同様に、刃先の接触圧力を微調整することが容易となると共に、刃先どうしが擦れ合う際に支軸部周りに作用する応力を、板体の弾性によって吸収することができる。
以上のように、本発明の効果として、刃先の接触圧力の調整を、長期にわたり安定して行うことができる鋏を、提供することができる。
本発明の第一実施形態の鋏の分解斜視図である。 (a)図1の鋏の要部分解斜視図、及び、(b)本発明の第二実施形態の鋏の要部分解斜視図である。 図1の鋏について(a)第一凹部近傍を説明する断面図、及び、(b)第二凹部近傍を説明する断面図である。 第二板体にスペーサ体を重ねて真上から見た図である。 図2(b)の鋏についての第一凹部近傍を説明する断面図である。 他の実施形態の鋏の分解斜視図である。 板体における炭素繊維の方向を説明する図である。 従来の鋏の(a)平面図、及び(b)要部断面図である。
以下、本発明の第一実施形態である鋏について、図1、図2(a)、図3及び図4を用いて説明する。なお、本実施形態では、美容師や理容師が使用する理美容用の鋏に本発明を適用した場合を例示する。
第一実施形態の鋏1は、図1に示すように、指通孔11fを備える持手部11と刃体12とを有する第一鋏片10と、指通孔21fを備える持手部21と刃体22とを有する第二鋏片20が、ボルト70とナット80との螺合により形成された支軸部によって回動可能に組み付けられた鋏であって、第一鋏片10の外表面の支軸部周りに形成された第一凹部30と、平板状の炭素繊維強化プラスチックで形成され、第一凹部30に挿入された第一板体51と、第一凹部30の底面31と第一板体51との間に空隙Sを形成させている第一空隙形成体とを具備している。ここで、第一実施形態では、第一凹部30内に嵌め込まれた、厚さが第一凹部30の深さより小さい環状体61によって、第一空隙形成体が構成されている。
更に、鋏1は、第二鋏片20の摺接面の支軸部周りに形成された第二凹部40と、平板状の炭素繊維強化プラスチックで形成され、第二凹部40に挿入された第二板体52と、第二凹部40の底面41と第二板体52との間に空隙Sを形成させている第二空隙形成体とを具備している。ここで、第二空隙形成体は、第二凹部40に嵌め込まれた、平板状のスペーサ体62の複数からなり、それぞれのスペーサ体62は第二凹部40の底面41より面積が小さく、第二板体52はスペーサ体62上に載置された状態で少なくとも一部がスペーサ体62の外周線より外側に張り出している。
より詳細に説明すると、ナット80のナット軸部82は、円柱部82aと角柱部82bとを有し、その内部に螺子溝83が形成されている。そして、第一鋏片10にはナット軸部82の角柱部82bを挿通可能な矩形の軸孔15が貫通して穿設されており、第二鋏片20には、ナット軸部82の円柱部82aを挿通可能な円形の軸孔25が貫通して穿設されている。また、ナット軸部82の円柱部82a側の端部には、円柱部82aの外形より大径のナット頭部81が設けられている。一方、ボルト70は、ナット軸部82の螺子溝83と螺合する螺子山を有するボルト軸部72と、ボルト軸部72の一端に設けられたボルト頭部71を備えている。そして、ナット80の螺子溝83とボルト70の螺子山とを螺合させると、ナット軸部82及びボルト軸部72によって支軸部が形成される。
第一凹部30は、第一鋏片10の外表面において軸孔15の周囲に形成されており、その底面31に軸孔15が開口している。本実施形態では、第一凹部30の形状(第一凹部30の内側周面で囲まれた形状)及び底面31の外形は卵型である。
環状体61、及び、炭素繊維強化プラスチックで形成された第一板体51は、ともに外形が第一凹部30の形状と同一で、且つ、第一凹部30より僅かに小さく形成されている。そのため、環状体61及び第一板体51は、ともに第一凹部30内にぴったりと嵌め込まれる。そして、第一板体51には、第一凹部30に嵌め込まれた状態で軸孔15と一致する位置に、貫通孔51hが穿設されている。
一方、第二凹部40は、第二鋏片20の摺接面において軸孔25の周囲に形成されており、その底面41に軸孔25が開口している。本実施形態では、第二凹部40の形状は、第一凹部30と同様に卵型である。また、第二凹部40は、図3に示すように、刃体側から軸孔25までは略同一の深さで、そこから持手部側に向かって漸次浅くなるように形成されている。なお、図3は、第二凹部40の底部の傾斜を説明する便宜上、実際の寸法比よりも誇張して図示している。また、図3(a)は、第二凹部40にスペーサ体62及び第二板体52を嵌め込んでいない状態を図示している。
第二凹部40に挿入される第二板体52は、外形が第二凹部40の形状と同一で、且つ、第二凹部40より僅かに小さく形成されており、第二凹部40内にぴったりと嵌め込まれ得る。一方、スペーサ体62は、第二板体52と重畳させた状態で、その一部の外形は第二板体52の外形と一致するが、残部では外周線が第二板体52の外周線より内側に位置するように形成されている。具体的には、第二板体52の上にスペーサ体62を重ねた状態を図示した図4に示すように、卵型の外形において曲率の小さな側では両者の外周線は一致するが、曲率の大きな側では、第二板体52の曲率よりスペーサ体62の曲率の方が小さくなっている。
なお、本実施形態では、複数枚のスペーサ体62の外形は同一としているが、厚さについてはそれぞれ異なる設定とすることも、同一の厚さとすることもできる。そして、それぞれのスペーサ体62には、第二凹部40に嵌め込んだ状態で軸孔25と一致する位置に、貫通孔62hが穿設されている。また、第二板体52には、最上のスペーサ体62に載置した状態で、軸孔25及び貫通孔62hと一致する位置に、貫通孔62hと同程度の大きさの貫通孔52hが穿設されている。
なお、鋏1が使用により摩耗したり研磨処理を施されたりしていない初期状態で、スペーサ体62及び第二板体52の厚さの合計が、第二凹部40の持手部側の深さよりも大きく、第二凹部40の刃部側の深さ以下となるように、スペーサ体62の厚さ、枚数、及び第二凹部40の深さが設定されている。
次に、第一実施形態の鋏1の使用方法及び作用を説明する。鋏1においては、二つの方法で刃先の接触圧力を調整することができる。一つの方法は、ボルト軸部72をナット軸部82の螺子溝83内で螺進及び螺退させることにより、第一鋏片10及び第二鋏片20の支軸部による締付けの程度を変化させることである。強く締め付ければ、第一鋏片10及び第二鋏片20がより密着し、互いの刃先がより強く圧接される。このとき、ボルト頭部71で第一板体51が押圧され、第一板体51がたわむ。
このような第一板体51のたわみにより、第一鋏片10及び第二鋏片20の刃先の接触圧力を、微調整することが容易となる。また、接触圧力を高められた第一鋏片10及び第二鋏片20の刃先が、互いに押圧し合いながら擦れ合う際に、第一鋏片10及び第二鋏片20それぞれの支軸部周りに作用する応力を、第一板体51の弾性によって吸収することができる。なお、第一板体51とボルト頭部71との間にワッシャ69を介在させることができる。
接触圧力を調整するもう一つの方法は、第二凹部40に嵌め込むスペーサ体62の枚数や、厚さの異なるスペーサ体62の組み合わせを異ならせる方法である。スペーサ体62の厚さ及び第二板体52の厚さの合計が、持手部側で第二凹部40の深さより大であると、図3(b)に示すように、持手部側で第一鋏片10と第二鋏片20とを離隔させる力が作用し、第一鋏片10の刃先及び第二鋏片20の刃先が、より強く圧接しあうこととなる。従って、スペーサ体62の厚さ及び第二板体52の厚さの合計が、持手部側で第二凹部40の深さより大となる程度を変化させることにより、すなわち、スペーサ体62に載置された第二板体52が持手部側で第二鋏片20の摺接面から突出する高さを変化させることにより、刃先の接触圧力を変化させることができる。例えば、鋏の用途や使用者の好みにより、刃先の接触圧力を増減させることができる。また、鋏の使用に伴う磨耗や研磨処理によって、刃体が薄くなり刃先の接触圧力が小さくなった場合も、スペーサ体62の厚さの合計を増加させることにより、刃先の接触圧力を高めることができる。
このとき、第二板体52には第一鋏片10から押圧力が作用するが、第二板体52は部分的にスペーサ体62より外側に張り出しており、その部分で第二板体52と第二凹部40の底面との間には空隙Sが形成されている。そのため、第二板体52はこの空隙Sにおいてたわむことができる。これにより、第一板体51に加えて第二板体52によっても、刃先の接触圧力を微調整することが容易となると共に、刃先どうしが擦れ合う際に支軸部周りに作用する応力を、第二板体52の弾性によって吸収することができる。なお、図3(b)は、スペーサ体62及び第二板体52それぞれの厚さや、第二板体52が第二鋏片20の摺接面から突出する高さを正確に図示したものではない。また、図3(b)は第二板体52がたわむ様子までは図示していない。
ここで、炭素繊維強化プラスチック製の第一板体51及び第二板体52は、厚さを0.15mm〜0.3mmとすると好適である。第一板体51及び第二板体52が薄過ぎる場合は機械的強度が不十分となるおそれがあり、厚過ぎる場合はたわみにくいものとなる。また、環状体61の厚さは、0.4mm〜0.5mmとすることができる。環状体61が薄過ぎる場合は第一板体51及び第二板体52がたわむ量が制限される一方、厚過ぎる場合は凹部を深くせざるを得ず、鋏片の強度が低下するおそれがある。
実際に、ポリアクリロニトリル繊維を原料とする炭素繊維を平織りにしたクロスに、エポキシ樹脂を含浸させた厚さ0.13mmのプリプレグ(東レ製、F6142−05K)を、二枚積層し硬化させた炭素繊維強化プラスチックのシートで、第一板体(厚さ0.26mm)を形成した。そして、第一鋏片に約0.8mmの第一凹部を形成した鋏において、第一凹部に厚さ0.5mmの環状体61を嵌め込み、その上に第一板体を載置した上で、ボルト及びナットで第二鋏片と組み付けた。
この鋏によれば、ボルトとナットの締結により第一鋏片及び第二鋏片を強く締め付けても、第一板体は塑性変形することなく、第一凹部の底面との間で0.5mm離れている空間で十分にたわんだ。そして、そのたわみは、ボルトとナットによる締め付け力を除けば、元の状態に戻るものであった。また、鋏の開閉を無限回数(疲労試験回数)繰り返しても、第一板体のバネの作用に変化は見られなかった。更に、第一板体が高弾性であるため、刃先の接触圧力を微調整することが容易であった。加えて、鋏の開閉を無限回数繰り返した後の第一板体の表面には、ボルト頭部と接触する部分においても、環状体の内周縁と接触する部分においても、肉眼で観察される傷や手感触で感じられる傷は生じていなかった。すなわち、第一板体のバネの作用が長期にわたり良好に持続することにより、長期にわたり安定的に接触圧力の調整を行うことが可能であった。また、長期にわたり鋏を使用しても、ガタツキなどの不具合は生じなかった。
ちなみに、ステンレス鋼(例えば、SUS304)で第一板体と同程度の厚さ0.3mmに形成した金属板を、第一板体に代替して使用した場合、第一凹部の底面と第一板体との間に0.5mmの距離があると、ボルトとナットで第一鋏片及び第二鋏片を強く締め付けたとき、金属板は塑性変形してしまう。なお、特許文献1,2に例示される従来の鋏の市販品では、金属製の板バネの厚さは0.6mm〜0.7mmとかなり厚いものである。
なお、上記のように、複数のプリプレグを積層してCFRPの板体(第一板体、第二板体)を形成する場合、各層における炭素繊維の方向が異なるように積層すれば、ねじれや剪断に対する板体の弾性率の異方性が低減する。一方、各層における炭素繊維の方向が一致するようにプリプレグを積層することにより、敢えて弾性率の異方性が大きい板体とすることもできる。この場合は、板体における炭素繊維の方向を異ならせることにより、板体が発揮するバネの特性が異なる鋏を設計することができる。例えば、図7(a),(b)に示すように、板体51aと板体52bとでは、取り付けられる鋏片の軸方向に対する炭素繊維の方向が相違するため、ねじれ易い方向、たわみ易い方向が異なっている。
次に、第二実施形態の鋏2について、図2(b)及び図5を用いて説明する。第一実施形態の鋏1との相違点は、第一空隙形成体が、第一凹部30の底面31の周囲に形成された、高さが第一凹部30の深さより小さい段部33である点である。その他の構成は第一実施形態と同様であり、同一の符号を付すと共に詳細な説明は省略する。
このような段部33によっても、第一凹部30の底面31と第一板体51との間に空隙Sが形成されるため、第一板体51はたわむことができ、第一実施形態の第一板体51と同様の作用を発揮する。なお、段部33の高さは、第一実施形態の環状体61の厚さと同様に、0.4mm〜0.5mmとすることができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記では、第一鋏片10が静刃であり第二鋏片20が動刃である場合を図示し、第一鋏片10の外表面に第一凹部30(環状体61が嵌め込まれ、あるいは、段部33が形成される凹部)を設け、第二鋏片20の摺接面に第二凹部40(スペーサ体62が嵌め込まれる凹部)を設ける場合を例示したが、これに限定されず、動刃の外表面に第一凹部を設けると共に静刃の摺接面に第二凹部を設けても良い。また、上記では、第一凹部及び第二凹部が共に卵型の場合を例示したが、形状は卵型に限定されない。
そのような他の実施形態の鋏3を、図6を用いて説明する。鋏3では、動刃である第二鋏片20の外表面にハート型の第一凹部35が形成されており、静刃である第一鋏片10の摺接面に円形の第二凹部45が形成されている。そして、第一凹部35には、ハート型の環状体65を嵌め込んだ上で、CFRPでハート型に形成された第一板体55が挿入される。一方、第二凹部45には、円形の一部が三日月形に切り欠かれた形状のスペーサ体66が嵌め込まれた上で、CFRPで円形に形成された第二板体56が挿入される。
なお、鋏3は、ナット頭部85aを非円形であるハート型とし、第一鋏片10の外表面に形成されたハート型の凹部(図示しない)に嵌め込むことによって、第一鋏片10を支軸部と一体的に回動させ、ボルト70とナット85のゆるみを抑制している鋏である。そのため、支軸部が円柱部82aと角柱部82bとを備える第一実施形態の鋏1及び第二実施形態の鋏2とは異なり、ナット軸部85bは円柱状であり、第一鋏片10を貫通する軸孔16及び第二鋏片20を貫通する軸孔26は、ともに円形である。
また、上記では、一対の鋏片の一方の外表面に第一凹部30(または35)が形成される場合を例示したが、これに限定されず、双方の鋏片の外表面に第一凹部が形成された鋏とすることができる。更に、上記では、鋏片の外表面に第一凹部30(または35)が形成され、摺接面に第二凹部40が形成される場合を例示したが、これに限定されず、外表面及び摺接面の双方に第一凹部が形成された鋏とすることもできる。
1,2,3 鋏
10 第一鋏片
11 持手部
12 刃体
20 第二鋏片
21 持手部
22 刃体
30,35 第一凹部(凹部)
31 第一凹部の底面(凹部の底面)
33 段部(空隙形成体)
40 第二凹部(凹部)
41 第二凹部の底面(凹部の底面)
51,55 第一板体(板体)
52,56 第二板体(板体)
70 ボルト
80 ナット
61 環状体(空隙形成体)
62,66 スペーサ体(空隙形成体)
特開平7−299261号公報 特開平8−52285号公報

Claims (3)

  1. それぞれ持手部及び刃体を有する一対の鋏片が、ボルトとナットとの螺合により形成された支軸部によって回動可能に組み付けられた鋏であって、
    前記一対の鋏片の少なくとも一方の表面の前記支軸部周りに形成された凹部と、
    平板状の炭素繊維強化プラスチックで形成され、前記凹部に挿入された板体と、
    前記凹部の底面と前記板体との間に空隙を形成させている空隙形成体とを具備し、
    前記空隙形成体は、前記底面の周囲に形成された、高さが前記凹部の深さより小さい段部である
    ことを特徴とする鋏。
  2. それぞれ持手部及び刃体を有する一対の鋏片が、ボルトとナットとの螺合により形成された支軸部によって回動可能に組み付けられた鋏であって、
    前記一対の鋏片の少なくとも一方の表面の前記支軸部周りに形成された凹部と、
    平板状の炭素繊維強化プラスチックで形成され、前記凹部に挿入された板体と、
    前記凹部の底面と前記板体との間に空隙を形成させている空隙形成体とを具備し、
    前記凹部は、一方の前記鋏片において他方の鋏片と対向する面に形成されており、
    前記空隙形成体は、前記凹部に嵌め込まれた、平板状のスペーサ体の複数からなり、
    それぞれのスペーサ体は前記底面より面積が小さく、前記板体は前記スペーサ体上に載置された状態で少なくとも一部が前記スペーサ体の外周線より外側に張り出しており、
    前記板体の厚さと前記スペーサ体の厚さの和は、前記持手部側で前記凹部の深さより大である
    ことを特徴とする鋏
  3. それぞれ持手部及び刃体を有する一対の鋏片が、ボルトとナットとの螺合により形成された支軸部によって回動可能に組み付けられた鋏であって、
    前記一対の鋏片の一方の外表面の前記支軸部周りに形成された第一凹部と、
    平板状の炭素繊維強化プラスチックで形成され、前記第一凹部に挿入された第一板体と、
    前記第一凹部の底面と前記第一板体との間に空隙を形成させている第一空隙形成体と、
    前記一対の鋏片の他方の摺接面の前記支軸部周りに形成された第二凹部と、
    平板状の炭素繊維強化プラスチックで形成され、前記第二凹部に挿入された第二板体と、
    前記第二凹部の底面と前記第二板体との間に空隙を形成させている第二空隙形成体とを具備し、
    前記第一空隙形成体は、前記第一凹部内に嵌め込まれた、厚さが前記第一凹部の深さより小さい環状体であり、
    前記第二空隙形成体は、前記第二凹部に嵌め込まれた、平板状のスペーサ体の複数からなり、それぞれのスペーサ体は前記第二凹部の底面より面積が小さく、前記第二板体は前記スペーサ体上に載置された状態で少なくとも一部が前記スペーサ体の外周線より外側に張り出しており、前記第二板体の厚さと前記スペーサ体の厚さの和は、前記持手部側で前記第二凹部の深さより大である
    ことを特徴とする鋏
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