JP5478375B2 - 避雷装置の故障診断方法と故障診断装置 - Google Patents
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Description
ギャップが健全であっても、非線形抵抗素子が故障している場合や導入当初の性能を有していない場合には、電力設備の信頼度低下を招くことから、この様な直列ギャップ付き避雷装置における、保守・メンテナンスにおいては大きな問題となる。
しかし、端子間電圧が通過電流に応じて発生することから、同様の通過電流が非線形抵抗素子に流れた事を確認する必要がある。従って、端子間電圧−時間特性を用いた定量的な評価・診断の正確性を期すために補足的診断として用いることとなる。
診断は、原則として、インパルス電圧印加後に得た端子間電圧−時間特性の特性カーブのなかで相対的に平坦な部分(図3の矢印で示した部分:平坦部)の値、範囲、及び傾斜で診断する。例えば、約33kVでは約30μ秒まで、約9000kVでは約200μ秒まで診断を継続する。平坦部が認められない場合には、診断した時間帯における特性カーブの傾斜から診断する。
インパルス電圧の標準波形は、サンプリング手段及び演算手段の能力が許容する限りにおいて、実用的な診断精度が得られる特性カーブを導けるものであれば良く、1.2/50μ秒に限定されるものではない。
また、非線形抵抗素子が破壊に至っている避雷装置を発見することにより、電力設備の信頼度維持が図られる。
本発明による故障診断方法は、図2に示す様な単数又は複数の非線形抵抗素子(本実施の形態では酸化亜鉛素子)7dとギャップ7cを直列に接続してなる避雷装置(直列ギャップ付き避雷装置:試料避雷装置7)の診断に用いるものである。
本実施の形態で用いる診断装置8は、前記電圧測定器及び電流測定器、並びにインパルス発生装置の機能を併せて備えるものである。
電圧測定手段2は、試料避雷装置7のライン端子7a及びアース端子7bとジェネレータ1を結ぶ回路に並列に接続し、両端子7a,7bの端子間の電位差のサンプルを採取する(端子間電圧検出ステップ)。
一方、電流測定手段3は、試料避雷装置7のいずれかの端子7a又は7bとジェネレータ1を結ぶ回路に直列に介在し、当該回路を通過する電流量Ioutのサンプルを採取する(通過電流検出ステップ)。
診断部6は、前記減算を、インパルス電圧印加直後から200μ秒間のなかで、印加したインパルス電圧に応じた時間帯のなかで行い、その減算結果|Vdif|及び|Idif|を基に、試料避雷装置7の評価を出力する(診断ステップ)。
非線形抵抗素子7dを二個直列に接続した避雷装置の場合は、試料避雷装置7の端子間電圧Voutが正常避雷装置の50%程度に低下し、その後平坦な電圧特性を維持する場合は、非線形抵抗素子7dを2個直列に並んでいるうちのいずれか一つが破壊されていると診断する。
試料避雷装置7の端子間電圧Voutが正常避雷装置の0%近傍に低下し、その後平坦な電圧特性を維持する場合は、二個の非線形抵抗素子7d全てが破壊されていると診断する。
試料避雷装置7の端子間電圧Voutが正常避雷装置の0%近傍に低下し、その後平坦な電圧特性を維持する場合は、全て(例えば一個のうちの一個や三個のうちの三個)の非線形抵抗素子7dが破壊されていると診断する。
試料避雷装置7の端子間電圧Voutが正常避雷装置の33%近傍に低下し、その後平坦な電圧特性を維持する場合は、三個の非線形抵抗素子7dのうち二個が破壊されていると診断する。
試料避雷装置7の端子間電圧Voutが正常避雷装置の66%近傍に低下し、その後平坦な電圧特性を維持する場合は、三個の非線形抵抗素子7dのうち一個が破壊されていると診断する。
この様な劣化の場合は、インパルス電圧の印加から端子間電圧Voutが著しく低下を開始するに至る時間が10%程度以上短く、端子間電圧Voutの低下幅が正常避雷装置と比較して10%程度以上大きい場合を目安とする(図3の故障例3参照)。
当該測定結果では、インパルス電圧印加後約0μ秒から約70μ秒にかけて平坦部を有する。
以下、本実施例について上記故障診断基準に照らし、t=10μ秒〜100μ秒におけるその減算結果より、電圧低下の傾向を推認し、試料避雷装置7の状態を診断する。
故障例2は、印加後50μ秒経過までに一気に端子間電圧Voutが低下しているものの、その低下量は、故障例1の半分程度である。よって、この傾向から、片方が割れたものであると診断できる。
故障例3は、印加後50μ秒経過時における端子間電圧Voutは正常避雷装置よりも低いものの、その低下量は、故障例1及び故障例2と比較して少ないことから、その低下は緩やかであると推認できる。よって、この傾向から、両方もしくは片方にクラックなどが生じたことにより非線形抵抗素子沿面の絶縁が低下したものであると診断できる。
2 電圧測定手段,3 電流測定手段,4 プロッタ,
5 比較部,6 診断部,
7 試料避雷装置,
7a ライン端子,7b アース端子,7c ギャップ,7d 非線形抵抗素子,
8 診断装置,9 タイマ,
Claims (2)
- 試料避雷装置の端子間に直列ギャップの放電開始電圧以上のインパルス電圧を印加し電流を流入させるステップと、
インパルス電圧の印加によって得た試料避雷装置の端子間電圧を検出するステップと、
共通のスケールを用いて、検出した端子間電圧と、当該端子間電圧の検出時刻から端子間電圧−時間特性をプロットするステップと、
当該試料避雷装置固有の端子間電圧−時間特性と、予め保持する正常避雷装置の端子間電圧−時間特性を対比し、
相対的な傾向のズレ、及び端子間電圧の著しい増減、並びに特性の変化を確認し、変化が認められた場合に故障避雷装置と診断するステップを経ると共に、
試料避雷装置を診断するステップでは、正常避雷装置の端子間電圧−時間特性においてインパルス電圧の印加から約200μ秒経過までに現れる平坦部と比較し、試料避雷装置の端子間電圧が低下を開始する時刻と、正常避雷装置と比較した試料避雷装置の端子間電圧の低下量により、故障した非線形抵抗素子の数と、故障の態様を診断することを特徴とする避雷装置の故障診断方法。 - 直列ギャップの放電開始電圧以上のインパルス電圧を試料避雷装置のライン端子とアース端子の端子間に印加し電流を流入させるインパルス電圧ジェネレータ(1)と、試料避雷装置の端子間電圧を検出する電圧測定手段(2)と、検出した端子間電圧を共通のスケールでプロットし、端子間電圧−時間特性をメモリー上に実現するプロッタ(4)と、試料避雷装置と正常避雷装置の端子間電圧−時間特性の同じ時刻における格差を導く比較部(5)と、その比較結果から、試料避雷装置の評価を出力する診断部(6)とで構成され、
前記診断部(6)は、正常避雷装置の端子間電圧−時間特性においてインパルス電圧の印加から約200μ秒経過までに現れる平坦部と比較し、試料避雷装置の端子間電圧が低下を開始する時刻と、正常避雷装置と比較した試料避雷装置の端子間電圧の低下量により、故障した非線形抵抗素子の数と、故障の態様を診断することを特徴とする避雷装置の故障診断装置。
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