JP5478223B2 - 感熱記録材 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融型熱転写インク層や昇華転写層を加熱することによって感熱記録を行うサーマル記録方式、詳細には感熱記録層としてWAXインキを使用する熱転写方式、レジンインキを使用する感熱転写方式や昇華転写方式に使用される感熱記録材に関する。
サーマル記録方式で使用される感熱記録材において、当該感熱記録材は主に薄いポリエステルフィルムを基材とし、基材上面に溶融型熱転写インク層、または昇華転写型インク層からなる感熱記録層が設けられ、その反対面に背面層が形成される構成である。背面層は、印画時のサーマルヘッドに対する耐熱滑性付与を目的とし設けられる。具体的には印画時に高温となるサーマルヘッドが、感熱記録材の背面と粘着(スティッキング)することを防止し、および摩耗カスがヘッドに焼き付くのを防止する目的で設けられる。これら背面層により、印画時の感熱記録材の走行異常発生防止、印画画質低下防止などの効果がある。
近年、印画画質の向上、印画スピードの向上、印画物の耐久性向上などの要望が強まり、これら要望点を解決する手段として、サーマルヘッドの温度を高温化する処方が採用されている。サーマルヘッドの温度を高温にすると、感熱記録層の各種インクが受像層へ転写するのを容易とし、印画スピードが向上し、高精細な印画が可能になる。また、インクのバインダーとして耐熱性の高いものを使用できるので、各種耐久性に優れる印画物を得ることができる。
一方、サーマルヘッドの温度を高温化させることにより、従来の背面層では耐熱滑性が不十分であり不具合が発生している。具体的には、サーマルヘッドに背面層がスティッキングを起こし、ヘッドの走行異常が発生する。走行異常とは、ヘッドのスティッキングにより感熱記録材の搬送速度にむらが生じ、最悪の場合は感熱記録材が搬送不能となることを示す。一方、走行時のサーマルヘッドを主体とした各種ストレスにより、剥離、削りとられた背面層および基材がサーマルヘッド上のいわゆるヘッドカスといわれる堆積物となる。ヘッドカスの、特にサーマルヘッドの発熱素子への焼き付きは、重大な印画画質の低下などを引き起こす。
また、感熱記録材として長時間印画しても保守作業の必要のない、いわゆるメンテナンスフリータイプが要望されている。これらの達成には前記のスティッキング、焼き付きなどによるサーマルヘッドへのダメージを極力低下させる対策が必要である。これらによりサーマルヘッド自身の磨耗劣化を防止し、サーマルヘッドの交換、保守作業の低減したメンテナンスフリータイプの感熱記録材が要望されている。
また、印画スピードの高速化や上記メンテナンスフリーなどの要望に対応するために、感熱記録材の搬送時や印画時などに発生する静電気原因のトラブルに対する改善が求められている。静電気原因のトラブルとは、静電気の発生により、塵、埃が搬送部品、サーマルヘッド、感熱記録材に付着し、印画時の画質などを低下させる現象である。
従来、上記背面層形成用塗料としては、シロキサン変性ポリウレタン樹脂を含む塗料の使用が提案されている(特許文献1、2)が、高温化されたサーマルヘッドの場合、いずれの背面層も耐熱滑性が不十分であり、サーマルヘッドが感熱記録材へスティッキングを起こし、満足できる性能が得られていない。
さらに背面層形成用塗料として、アクリルシロキサン系グラフト共重合体を含む塗料の使用が提案されている(特許文献3、4)。しかし、耐熱滑性を考慮した高Tgタイプの上記共重合体は、基材との密着性が低く、成膜性に劣るため塗膜の機械強度が低い。このため、得られた背面層は、印画の際、サーマルヘッドの接触により容易に剥離を起こし、ヘッドカスとなり、サーマルヘッドに焼き付き、印画品質の低下が発生する。
また、耐熱性を有するエチルセルロース樹脂に、シリコーンオイルを添加している背面層形成用塗料が提案されている(特許文献5)。一般に感熱記録材は、製造後、巻き取られた状態で保管される。この際、背面層と感熱記録層は面々が合わさった状態となり、上記塗料からなる背面層では、保存中に背面層のシリコーンオイルが感熱記録層へ移行を起こし、感熱記録層へ移行したシリコーンの影響で印画不良(印画欠け、印画ムラ)を発生する。
特開昭61−227087号公報 特開昭64−11888号公報 特開昭62−30082号公報 特開平2−274596号公報 特開平1−221281号公報
本発明の目的は、近年要望の強まっている、背面層からの移行による印画画質の低下のない、サーマルヘッド高温化に対応した高耐熱滑性の背面層を有する感熱記録材を提供することであり、これらの背面層により、従来の背面層を使用した場合より、サーマルヘッドの保守、交換の頻度の低いメンテナンスフリーの感熱記録材となり、サーマルヘッド自身の寿命を延ばす背面層を有する感熱記録材を提供することである。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、基材シートと、該基材シートの一方の面に設けた感熱記録層と、該基材シートの他方の面に設けた背面層とからなる感熱記録材において、上記背面層が、後述のシロキサン変性ウレタン(ウレア)系樹脂A(以下単に「樹脂A」という場合がある)と、耐熱性高分子Bとを皮膜形成成分として含有し、樹脂Aと耐熱性高分子Bとの合計を100重量%としたとき、樹脂Aが1〜50質量%であり、耐熱性高分子Bが50〜99質量%であり、上記耐熱性高分子Bが、ASTM D817に準拠した値にてブチリル基の含有量が15〜40モル%であるセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートからなるセルロース類の群から選ばれる、ガラス転移点(Tg)が140℃以上のものであることを特徴とする感熱記録材を提供する。上記背面層はさらに背面層の0.1〜20質量%の塗料添加剤Cを含むことができる。
さらに、上記本発明においては、前記樹脂Aが、分子内に少なくとも1個の活性水素含有基を有するポリシロキサン化合物(a)と、ポリイソシアネート化合物(b)と、ポリオールおよび/またはポリアミン(c)とから構成された反応物であって、該樹脂Aは、上記化合物(a)が0.1〜50質量%、上記化合物(b)と(c)の合計が50〜99.9質量%の割合で構成され、且つ、全活性水素とイソシアネート基とをNCO/OH=0.9〜1.1のモル比で反応させて得られてなるものであることを特徴とする。また、その数平均分子量が、2,000〜500,000のものであることが好ましい。
また、上記本発明においては、前記耐熱性高分子Bが、下記の特性を有するセルロース類から選ばれることが好ましい。
すなわち、前記耐熱性高分子Bが、ASTM D817に準拠した値にてブチリル基の含有量が15〜40モル%であるセルロースアセテートブチレートであり、その数平均分子量が50,000〜80,000の範囲内にあり、その溶融範囲が190℃〜250℃の範囲にあるものであること;前記耐熱性高分子Bがセルロースアセテートプロピオネートであり、そのプロピオニル基の含有量がASTM D817に準拠した値にて40〜50モル%のものであり、数平均分子量が10,000〜80,000の範囲内にあり、溶融範囲が185℃〜210℃の範囲にあるものであること;前記耐熱性高分子Bがセルロースアセテートであり、該セルロースアセテートは、セルロースジアセテートまたはセルローストリアセテートのいずれかであり、これらはいずれも、数平均分子量が20,000〜100,000の範囲内にあり、Tgが180℃以上であり、溶融範囲が230〜300℃の範囲にあるものであること;のいずれかであることが好ましい。
また、上記本発明においては、前記背面層が塗料添加剤Cを含む場合に、該塗料添加剤Cが、滑剤(ワックス、界面活性剤、金属石鹸、シリコーン系オイル)、有機・無機フィラーまたは帯電防止剤であること;背面層が、イソシアネート架橋剤にて架橋されていること;および背面層が、カルボジイミド架橋剤またはオキサゾリン架橋剤にて架橋されていることが好ましい。
本発明によれば、従来の感熱記録材の背面層よりも、サーマルヘッドの保守、交換の頻度の低いメンテナンスフリーの感熱記録材であって、サーマルヘッド自身の寿命を延ばす背面層を有する感熱記録材を提供することができる。
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明の感熱記録材は、シロキサン変性ウレタン(ウレア)系樹脂Aと、耐熱性高分子Bと、必要に応じて塗料添加剤Cを皮膜形成成分とする背面層を有することが特徴である。
本発明において、ウレタンとは、ポリウレタン、ポリウレア、およびポリウレタン−ポリウレアの総称である。また、本発明における活性水素含有基とは、イソシアネート基と反応性のある水酸基、メルカプト基、カルボキシル基またはアミノ基などの活性水素を有する基をいう。
本発明で用いる樹脂Aは、シロキサンによる滑性を有し、耐熱性滑性が必要な感熱記録材における背面層用材料として有用であり、数々の実績がある。しかし、近年要望の高い、より高温のサーマルヘッドを使用して印字を行った場合、不具合が発生し対応しきれていない。これら従来の背面層は、高温下で使用するには耐熱性が不足しており、ヘッドのスティッキングが発生する。この不具合は、樹脂Aと耐熱性高分子Bとを併用して耐熱滑性層を形成する本発明により解決される。
本発明で用いる樹脂Aは、分子内に少なくとも1個の活性水素含有基を有するポリシロキサン化合物(a)と、ポリイソシアネート化合物(b)と、ポリオールおよび/またはポリアミン(c)とから構成され、おのおのを前記比率で反応することによって得られる。以下に本発明で使用される樹脂Aの原料成分について説明する。
本発明で用いる樹脂Aの合成に使用する化合物(a)は、少なくとも1個の活性水素含有基を有するポリシロキサンであり、例えば、以下のような化合物を用いることが好ましい(この中には活性水素含有基を利用して変性されたエポキシ変性ポリシロキサンも含んでいるが、イソシアネート基と反応してポリウレタン樹脂中に含有されることとなるので含めている)。
化合物(a)から誘導されるシロキサンセグメントは、本発明で用いる樹脂A中に含有され、ウレタン樹脂Aの主鎖中に含有或いは分岐した状態で含有されている。すなわち、原料である化合物(a)が両末端反応型であればウレタン樹脂Aの主鎖である幹部分に、片末端或いは分岐反応型であればウレタン樹脂Aの主鎖から分岐した状態で含有されることとなる。
本発明で用いる化合物(a)としては、例えば、以下のような化合物を用いることができる。
(1)アミノ変性ポリシロキサン
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(2)エポキシ変性ポリシロキサン
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上記のエポキシ化合物はポリオール、ポリアミド、ポリアミン、ポリカルボン酸などと反応させ、末端活性水素を有するようにして使用することができる。
(3)アルコール変性ポリシロキサン
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(4)メルカプト変性ポリシロキサン
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以上列記した活性水素含有基を有するポリシロキサンは、本発明において使用する好ましい化合物(a)であるが、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。従って上述の例示の化合物(a)のみならず、その他現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物(a)はいずれも本発明において好ましく使用することができる。本発明において特に好ましい化合物(a)は2個の水酸基またはアミノ基を有するポリシロキサンである。
これらの他にもポリシロキサンをラクトンで変性したポリラクトン(ポリエステル)−ポリシロキサンおよびエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドで変性したポリエチレンオキサイド−ポリシロキサンやポリプロピレンオキサイド−ポリシロキサンなども好ましく使用される。特に好ましくは分子内に1個以上の活性水素含有基を有するポリシロキサンをラクトンで変性したポリラクトン−ポリシロキサンおよび分子内に1個以上の活性水素含有基を有するポリシロキサンをエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどでエーテル変性したポリエーテル−ポリシロキサンである。
ここで使用する好ましいラクトンは、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、7−ヘプタノリド、8−オクタノリド、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトンおよびδ−カプロラクトンなどである。
また、オキシアルキレン重合体の分子鎖を得るには、アルキレンオキサイド、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−ブチレンオキサイド、β−ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキサイドなどが挙げられ、種々の触媒の存在下に開環重合させることによって得られる。
また、本発明において前記ポリラクトン−ポリシロキサン、すなわち、分子内に1個以上の活性水素含有基を有するポリシロキサンをラクトンで変性したポリラクトン−ポリシロキサンは、分子中に1個または2個以上の活性水素含有基、例えば、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などを有するシロキサンを、その活性水素含有基によりラクトンを開環重合させた後、減圧処理することによって得られる。
以上のように導入される化合物(a)の、シロキサンセグメントの分子量は1,000〜100,000であることが好ましい。分子量が1,000未満であると、形成される背面層に耐熱滑性などの性能が得られず、一方、分子量が100,000を超えると併用する耐熱性高分子Bとの相溶性に欠け、背面層形成用塗料の安定性を阻害する。
本発明で用いる化合物(b)としては、従来公知のポリウレタンの製造に使用されているものがいずれも使用でき、特に限定されない。例えば、好ましいものとして、トルエン−2,4−ジイソシアネート、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−クロル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−ブトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’−メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、ジュリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o−ニトロベンジジンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジベンジルなどの芳香族ジイソシアネート;
メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添MDI、水添XDIなどの脂環式ジイソシアネートなど、或いはこれらのジイソシアネート化合物と低分子量のポリオールやポリアミンを末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマーなども当然使用することができる。
本発明で使用される化合物(c)のうちのポリオールとしては、ポリウレタンの製造に従来から使用されている短鎖ジオール、高分子ポリオールなどの従来公知のものが、また、ポリアミンとしてはポリウレタンの製造に従来から使用されている短鎖ジアミンなどが使用できるが、これらは特に限定されない。
短鎖ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコールおよびそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満);1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,1−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式系グリコールおよびそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満);キシリレングリコールなどの芳香族グリコールおよびそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満);ビスフェノールA、チオビスフェノール、スルホンビスフェノールなどのビスフェノールおよびそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満);C1〜C18のアルキルジエタノールアミンなどのアルキルジアルカノールアミンなどの化合物が挙げられる。
さらに分子内にカルボキシル基を含有した、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸およびそれらのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満)やγ−カプロラクトン低モル付加物(数平均分子量500未満)なども使用可能である。これらカルボキシル基を含有した短鎖ジオールを使用すると背面層と基材との密着が向上したり、樹脂Aと耐熱性高分子Bとの相溶性を向上させ、塗料安定性を向上させる効果がある。また、カルボキシル基を利用して樹脂A中に架橋構造を導入することも可能である。
また、多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらは単独或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
高分子ポリオールとしては、例えば、以下のものが例示される。
(1)ポリエーテルポリオール、例えば、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなど)および/または、複素環式エーテル(テトラヒドロフランなど)を重合または共重合して得られるもの、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール(ブロックまたはランダム)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレングリコールなど、
(2)ポリエステルポリオール、例えば、脂肪族系ジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸など)および/または芳香族系ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、テレフタル酸など)と低分子量グリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサンなど)とを縮重合したもの、具体的にはポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレン/ブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートジオール、ポリ−3−メチルペンタンアジペートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオールなど、
(3)ポリラクトンポリオール、例えば、ポリカプロラクトンジオールまたはトリオール、ポリ−3−メチルバレロラクトンジオールなど、
(4)ポリカーボネートジオール、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネートなど、
(5)ポリオレフィンポリオール、例えば、ポリブタジエングリコール、ポリイソプレングリコールまたは、その水素化物など、
(6)ポリメタクリレートジオール、例えば、α,ω−ポリメチルメタクリレートジオール、α,ω−ポリブチルメタクリレートジオールなどが挙げられる。
これらのポリオールの分子量は特に限定されないが、通常数平均分子量は500〜2,000程度である。また、これらのポリオールは単独或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で用いる樹脂Aの製造方法については特に限定されず、従来公知のポリウレタンの製造方法を用いることができる。例えば、分子内に活性水素を含まない有機溶剤の存在下、または不存在下に、化合物(a)と、化合物(b)と、化合物(c)とを、イソシアネート基と活性水素含有基との当量比(NCO/OH比)が、0.9〜1.1、好ましくは1.0となる配合で、ワンショット法、または多段法により、通常、20〜150℃、好ましくは60〜120℃で反応させることによって得られる。
本発明では、樹脂Aの合成において、必要に応じて触媒が使用できる。例えば、触媒として、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、スタナスオクトエート、オクチル酸亜鉛、テトラn−ブチルチタネートなどの金属と有機および無機酸の塩、および有機金属誘導体、トリエチルアミンなどの有機アミン、ジアザビシクロウンデセン系触媒などが挙げられる。
なお、本発明では、樹脂Aの合成は、無溶剤で行っても、必要であれば有機溶剤を用いて行ってもよい。有機溶剤として好ましい溶剤としては、イソシアネート基に対して不活性であるか、またはイソシアネート基に対して活性水素含有基よりも低活性なものが挙げられる。例えば、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、芳香族系炭化水素溶剤(トルエン、キシレン、スワゾール(コスモ石油株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)、ソルベッソ(エクソン化学株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)など)、脂肪族系炭化水素溶剤(n−ヘキサンなど)、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、エーテル系溶剤(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)が挙げられる。
また、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなど)、グリコールエーテルエステル系溶剤(エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなど)、アミド系溶剤(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、ラクタム系溶剤(N−メチル−2−ピロリドンなど)が挙げられる。これらの内、ウレタン合成時の溶解性、反応性、沸点を考慮すれば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、およびトルエンなどが好ましい。
本発明では、樹脂Aの合成工程においては、ポリマー末端に、イソシアネート基が残った場合、イソシアネート末端の停止反応剤を加えてもよい。例えば、モノアルコールやモノアミンのように単官能性の化合物ばかりでなく、イソシアネートに対して異なる反応性の持つ2種以上の官能基を有するような化合物であっても使用することができ、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどのモノアルコール;モノエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミンなどのモノアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミンなどが挙げられる。
このようにして得られる本発明で用いる樹脂Aの分子量(数平均分子量:標準ポリスチレン換算によるGPC測定)が、2,000〜500,000の範囲が好ましい。上記分子量が2,000未満では背面層の耐熱性に劣り、背面層中から感熱記録層への低分子量成分の移行が起こりやすく、一方、上記分子量が500,000を超えると、溶液の粘度が高くなり、大量の溶剤で溶液を希釈する必要があり、背面層形成用の塗料としての固形分が低下してしまい、さらに、樹脂Aと耐熱性高分子Bとの相溶性が著しく低下するので、背面層形成用塗料としての安定性が得られない。
さらに、本発明で用いる樹脂Aのポリシロキサンセグメントの構成(含有)割合は0.1〜50質量%であることが好ましい。上記含有割合が0.1質量%未満であると、背面層を形成したときに耐熱滑性などの性能が得られず、また、上記含有割合が50質量%を超えると樹脂Aと耐熱性高分子Bとの相溶性に欠けるため、樹脂Aの背面層中から感熱記録層への移行が起こりやすく、耐熱性高分子Bとの相溶性が著しく低下するので、背面層形成用塗料としての安定性が得られない。
本発明で使用される耐熱性高分子Bとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、アセタール基変性ポリビニルアルコール、ブチラール基変性ポリビニルアルコール、シラノール基変性ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール樹脂(エバール)、エチレン−ビニルアルコール−酢酸ビニル樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂、フッ素系樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテル、ポリエステル、ニトロセルロース樹脂、セルロースエステル樹脂、キトサン、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミドエステル樹脂、シリコーン系樹脂およびウレタン樹脂などが使用される。これら耐熱性高分子Bは一種類を単独で使用しても、二種類以上を混合体として使用することができる。
本発明で用いる耐熱性高分子Bのガラス転移点(Tg)は、100℃以上であることが必要であり、Tgが100℃未満では背面層の耐熱性が不足し、良好な印画結果が得られない。前記耐熱性高分子Bの中でもアセタール基変性ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂、ポリエステル類、セルロース類(セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテート)、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂が望ましく、特にアセタール基変性ポリビニルアルコール、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートが好ましい。
さらに本発明で用いる耐熱性高分子Bは、前記樹脂Aなどとの相溶性、基材との密着性、塗膜の乾燥性(高沸点溶剤を必要としないで簡便に成膜可能である良好な乾燥性)が損なわれなければ、Tgが140℃以上であることが望ましい。これら耐熱性高分子BとしてTg140℃以上であるセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートが特に好ましい。
本発明で耐熱性高分子Bとして使用されるアセタール基変性ポリビニルアルコールは、数平均分子量が15,000〜150,000の範囲であり、Tgが100℃以上であるものが好ましい。
本発明で耐熱性高分子Bとして使用されるセルロースアセテートブチレートは、ブチリル基の含有量がASTM D817に準拠した値にて15〜40モル%のものであり、数平均分子量が50,000〜80,000の範囲であり、Tgが140℃以上であり、溶融範囲が190℃〜250℃の範囲であるものが好ましい。
本発明で耐熱性高分子Bとして使用されるセルロースアセテートプロピオネートは、プロピオニル基の含有量がASTM D817に準拠した値にて40〜50モル%のものであり、数平均分子量が10,000〜80,000の範囲であり、Tgが140℃以上であり、溶融範囲が185℃〜210℃の範囲であるものが好ましい。
本発明で耐熱性高分子Bとして使用されるセルロースアセテートは、セルロースジアセテートとセルローストリアセテートであり、それぞれのアセチル基の含有量がASTM D817に準拠した値にてセルロースジアセテートが約40モル%のものであり、セルローストリアセテートが約44モル%のものであり、それぞれの数平均分子量は20,000〜100,000の範囲であり、Tgが180℃以上であり、溶融範囲が230〜300℃の範囲であるものが好ましい。特に背面層形成用塗料への応用を考えた場合、有機溶剤に対する溶解性などを加味するとセルロースジアセテートが特に好ましい。
本発明の背面層における耐熱性高分子Bの質量比は、樹脂Aと熱性高分子Bとの合計を100質量%とした場合に、50〜99質量%であり、好ましくは60〜98質量%であり、従って樹脂Aは1〜50質量%であり、好ましくは2〜40質量%である。耐熱性高分子Bの質量比が少な過ぎると背面層全体としての耐熱性、皮膜強度が弱くなり、印画時に印画不良が発生する。一方、耐熱性高分子Bの割合が多過ぎると、形成される背面層に滑性が得られない。また、密着性が低下する場合がある。
本発明における背面層は、樹脂Aと耐熱性高分子Bとを適当な溶剤、例えば、前記樹脂Aの合成に使用する溶剤に溶解し背面層形成用塗料を調製し、該塗料を基材に塗布することで形成されるが、該背面層形成用塗料には、上記樹脂Aおよび耐熱性高分子Bに加えて、塗料添加剤Cとして、滑剤(ワックス、界面活性剤、金属石鹸、シリコーン系オイル)、有機・無機フィラー、帯電防止剤などを背面層中の樹脂成分の性能を損なわない範囲で1種もしくは2種以上を添加し、耐熱性および滑性のさらなる向上、帯電防止性、サーマルヘッド清浄性などの付与が可能である。
本発明で使用可能なワックスとして、分子量が250〜10,000の範囲の従来公知のワックスがいずれも使用でき、特に限定はされない。例を挙げると、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木蝋、蜜蝋、ラノリン、鯨蝋、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンなどの天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムなどの石油ワックス類とその誘導体の変性ワックス類、硬化ひまし油とその誘導体などの水素化ワックス類、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエステルワックス、塩素化炭化水素などの合成炭化水素類、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミドなどの合成脂肪酸誘導体類がある。
本発明で使用可能な界面活性剤は、従来公知のものがいずれも使用でき、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、およびそれらの共重合物およびエステル、アルキルアミンなど)、アニオン系界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、リン酸エステルおよびその塩など)、カチオン系界面活性剤(四級アンモニウム塩など)、両性界面活性剤が使用できる。
本発明で使用可能な金属石鹸は、従来公知のものいずれも使用でき、ステアリン酸金属石鹸、12−ヒドロキシステアリン酸金属石鹸、モンタン酸金属石鹸、ベヘン酸金属石鹸、ラウリン酸金属石鹸が使用でき、それらの金属部分はカルシウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、リチウム、ナトリウム、カルシウムなどのものが使用できる。その他オクチル酸アルミニウム、セバシン酸ナトリウム、ウンデシレン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、リシノール酸バリウム、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛なども使用できる。
本発明で使用可能なシリコーン系オイルは、従来公知のものいずれも使用でき、ストレートシリコーンオイル、官能基変性シリコーンオイルが使用できる。ストレートシリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサンやポリメチルフェニルシリコーンオイルなどが使用できる。官能基変性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル基変性シリコーンオイル、水酸基変性シリコーンオイルなどが使用できる。
本発明で使用可能な有機・無機フィラーは、従来公知のものが使用でき、有機フィラーとしてメラミン粒子、アクリル粒子、ウレタン粒子、オレフィン粒子、シリコーン粒子、ナイロン粒子、オレフィン粒子、フッ素樹脂粒子などが使用できる。無機粒子としてシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、カオリン、カーボン、粘土鉱物、二硫化モリブデンなどが使用できる。
本発明で使用可能な帯電防止剤は、従来公知のものがいずれも使用でき、金属(粒子状金属、繊維状金属、金属コーティング粒子など)、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化チタンなど)、金属アルコキシド、ITO粉末などの導電性フィラー、炭素(炭素繊維、ケッチェンブラック、アニリンブラックなどのカーボンブラック類、グラファイト、フラーレン、カーボンナノチューブなど)、電子導電性高分子、イオン導電性高分子、その他高分子(ポリアニリンおよびスルホン化ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、アルカリ金属塩含有ポリエーテル、アルカリ金属塩含有エーテル系ポリウレタン、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、四級カチオン塩含有アクリル系樹脂、ポリアミン、特殊変性ポリエステル、特殊カチオン系樹脂、セルロース誘導体など)、界面活性剤(四級アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤、アルキル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルアミンなどのノニオン界面活性剤)、イオン性液体などが使用できる。
背面層に帯電防止機能を持たせると、従来基材やプライマーにて前工程で導入されていた帯電防止付与工程を省くことができ、工程上に多くのメリットがあり、いわゆる1コートシステムとなる。以上、帯電防止機能を有する背面層とすることで、数々の静電気に関するトラブルを防止することができる。
本発明における塗料添加剤Cを使用する場合の添加量は、背面層全体において0.1〜20質量%が望ましく、添加量が20質量%を超えると背面層の皮膜強度が低下し、印画時に印画不良を発生する。
本発明の背面層においては、さらなる耐熱性および密着性の向上を目的としてイソシアネート架橋剤を添加してもよく、イソシアネート架橋剤としては公知のもの(ポリイソシアネート類)を用いることができ、特に限定はされない。例えば、2,4−トルイレンジイソシアネートの二量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス−(p−イソシアネートフェニル)チオフォスファイト、多官能芳香族イソシアネート、多官能芳香族脂肪族イソシアネート、多官能脂肪族イソシアネート、脂肪酸変性多官能脂肪族イソシアネート、ブロック化多官能脂肪族イソシアネートなどのブロック型ポリイソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマーなどが挙げられる。
これらイソシアネート架橋剤のうち、芳香族系或いは脂肪族系のどちらでも使用可能であり、好ましくは芳香族系ではジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネート、脂肪族系ではヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートなどの変性体であり、分子中にイソシアネート基を3個以上含むものが好ましく、前記ポリイソシアネートの多量体や他の化合物との付加体、さらには低分子量のポリオールやポリアミンとを末端イソシアネートになるように反応させたウレタンプレポリマーなども好ましく使用される。それらを下記に構造式を挙げて例示するが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005478223
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これらのイソシアネート架橋剤を併用する場合、該背面層構成成分の樹脂A、耐熱性高分子B、必要に応じて使用される塗料添加剤Cを合わせて100質量部に対し、5〜100質量部、好ましくは5〜55質量部である。
イソシアネート架橋剤を併用する場合、必要に応じて、さらに硬化触媒、反応抑制剤やその他の添加剤を適宜使用することができる。硬化触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、スタナスオクトエート、オクチル酸鉛、テトラ−n−ブチルチタネートおよびビスマスなどの金属と有機または無機酸の塩および有機金属誘導体、トリエチルアミンなどの有機アミンおよびジアザビシクロウンデセン系触媒などが挙げられる。反応抑制剤としては、例えば、燐酸、酢酸、酒石酸、フタル酸およびギ酸エステルなどが挙げられる。
本発明の背面層においては、さらなる耐熱性および密着性の向上を目的としてポリカルボジイミド系やポリオキサゾリン系の架橋剤を使用することができる。これらポリカルボジイミド系やポリオキサゾリン系の架橋剤としては公知のものが使用でき特に限定されない。ポリカルボジイミド系架橋剤としては日清紡ケミカル株式会社製の商品名カルボジライト、ポリオキサゾリン系の架橋剤としては株式会社日本触媒製の商品名エポクロスなどの市販品を入手して使用することができる。これらポリカルボジイミド系やポリオキサゾリン系の架橋剤を併用する場合、該背面層構成成分の樹脂A、耐熱性高分子B、必要に応じて使用される塗料添加剤Cを合わせて100質量部に対し、1〜100質量部、好ましくは2〜55質量部である。
なお、本発明で用いる背面層形成用塗料は、無溶剤でもよいし、水または有機溶剤を用いて水分散液または有機溶剤溶液としてもよい。この塗料が有機溶剤の溶液となっていると、背面層を作成するのが容易となり望ましい。有機溶剤として好ましいのは、例えば、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。また、アセトン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、パークロルエチレン、トリクロルエチレン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテートなども使用することができる。
水または有機溶剤を用いて調製した塗料の固形分は、特に限定されないが、通常、2〜95質量%、好ましくは20〜50質量%程度である。固形分含有量が低過ぎると塗工効率が劣り、一方、固形分含有量が高過ぎると、塗料の粘度が高過ぎて均一な薄膜の形成が困難となる。
本発明の背面層形成用塗料の製造に使用する分散・混合の手段としては、撹拌、超音波処理、振動分散、混練などが挙げられるが、特に限定されない。塗料の濃度や粘度に応じて、慣用の混合分散機(例えば、ボールミル、バスケットミル、サンドミル、ロールミル、アトライター、湿式ジェットミル、ディゾルバー、ペイントシェーカー、押出混合機、ホモジナイザー、超音波分散機など)を用いて混合することにより製造できる。
本発明の感熱記録材に用いる基材シートとしては、従来から感熱記録材の基材として使用されているものが使用可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミドフィルム、ポリイミド、セロハンなどのプラスチックフィルムやグラシン紙、コンデンサー紙などの高密度紙などで、厚さが1.5〜10μm程度のものが好ましい。基材シートがこれよりも薄いと強度が弱くなり、しわやたるみが生じ、これよりも厚いと熱伝導が悪くなり、転写の精度が悪くなる。
本発明の感熱記録材の背面層を形成するに際しては、背面層形成用塗料を、従来公知の方法によって基材シートの一方の面(反対面は感熱記録層)に乾燥厚さが0.02〜1μm程度となるよう塗布して背面層を形成させる。塗布量がこれよりも薄いと背面層の効果が発揮されず、これよりも厚いと背面層の熱伝導性が悪くなる。
上記の基材シートは、塗布される層との密着性を高めるために研磨処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、放射線処理、オゾン処理、薬品処理などの従来公知の表面処理を1種または2種以上施してもよく、必要ならばプライマー層を設けてもよく、このプライマー層に帯電防止性能を付与することもできる。また、予め易接着処理やプライマー処理が施された基材シートを使用することも可能である。
本発明の感熱記録材は、上記の背面層形成用塗料を用い、従来公知の方法で製造することができ、製造方法自体は特に限定されない。また、基材シート、感熱記録層形成材料(WAX溶融熱転写ならばWAXおよび顔料などを含み、レジン溶融熱転写ならばレジンおよび顔料などを含む。インク層が昇華転写ならば昇華性の染料および樹脂などを含むインク層が選択される。)などの背面層形成用材料以外の材料は、いずれも公知の材料が使用でき、特に限定されない。
以下に合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の文中の「部」および「%」は特に断りのない限り質量基準である。
(合成例1)(シロキサン変性ウレタン(ウレア)系樹脂の合成)
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管およびマンホールを備えた反応容器を窒素ガスで置換した後、化合物(a)として下記に構造を示した片末端シロキサンジオール112.0部、化合物(c)としてポリカーボネートジオール200部、および1,4−ブタンジオール13.3部および反応溶剤としてメチルエチルケトン(固形分が70%となる量)を加えた。続いて化合物(b)として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート47.9部を加えて80℃にて反応を進行させた。30分後ジブチルチンジラウレートを触媒として全固形分の0.1%となる量を加え、赤外吸収スペクトルで2,270cm-1の遊離イソシアネート基による吸収が消失するまで行った。
粘度上昇に伴いメチルエチルケトンで希釈を行い、最終固形分を30%とした。得られた樹脂をA−1(固形分30%)とする。GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は85,000で、分子量分布(Mw/Mn)は2.45であった。
(合成例2)(シロキサン変性ウレタン(ウレア)系樹脂の合成)
合成例1と同様な方法で化合物(a)を合成例1と同一のものを13.5部、化合物(c)としてポリカーボネートジオール200部、および1,4−ブタンジオール13.3部および化合物(b)として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート42.4部を使用して合成を行った。得られた樹脂をA−2(固形分30%)とする。GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は91,000で、分子量分布(Mw/Mn)は2.62であった。
(合成例3)(シロキサン変性ウレタン(ウレア)系樹脂の合成)
合成例1と同様な方法で化合物(a)を合成例1と同一のものを13.5部、化合物(c)としてポリカーボネートジオール200部、ジメチロールプロピオン酸19.8部、および化合物(b)として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート42.4部を使用して合成を行った。得られた樹脂をA−3(固形分30%)とする。GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は75,000で、分子量分布(Mw/Mn)は2.93であった。
(合成例4)(シロキサン変性されていないウレタン(ウレア)系樹脂の合成)
合成例1と同様な方法で反応容器を準備し、化合物(a)を使用せず、化合物(c)としてポリカーボネートジオール200部、1,4−ブタンジオール13.3部、および化合物(b)として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート41.6部を使用して合成例1と同様な方法で合成を行った。得られた樹脂をA−4(固形分30%)とする。GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は93,000で、分子量分布(Mw/Mn)は2.72であった。
化合物(a)
片末端ポリシロキサンジオール、nは整数、平均分子量3,000
Figure 0005478223
化合物(c)
・プラクセルCD220:ポリカーボネートジオール(ダイセル化学工業社製、平均分子量2,000)
Figure 0005478223
参考例1]
(背面層用塗料1)
・合成例1の樹脂A−1(固形分30%) 33.3部
・エスレックK KS−1(アセタール基変性ポリビニルアルコール
樹脂、積水化学工業株式会社製、Tg=107℃) 90.0部
・メチルエチルケトン 1496.7部
・シクロヘキサノン 380.0部
上記の背面層用塗料を用い、グラビア印刷により、厚さ6μmの易接着されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表面に、乾燥後の厚みが0.5μmになるように塗布した後、乾燥機中で溶剤を蒸発させて背面層を形成した。
さらに、得られたフィルムの背面層と反対側の面に、下記の組成の感熱記録層塗工液1(昇華転写インク)について、シアン、マゼンタ、イエローをそれぞれグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2になるように塗布した後、乾燥機中で溶剤を蒸発させて感熱記録層を形成し、参考例1の感熱記録材を作成した。
(感熱記録層塗工液1)
シアン
・Kayaset Blue 714(染料:日本化薬株式会社製) 5.0部
・エスレックB BX−1(ポリビニルブチラール樹脂:積水化学工
業株式会社製) 4.0部
・メチルエチルケトン 45.5部
・トルエン 45.5部
マゼンタ
・MS Red G(染料:三井化学株式会社製) 4.0部
・BX−1 4.0部
・メチルエチルケトン 46.0部
・トルエン 46.0部
イエロー
・Foron Brillant Yellow S-6GL(染料:クラリアント社製)
5.5部
・BX−1 4.5部
・メチルエチルケトン 45.0部
・トルエン 45.0部
[実施例2]
参考例1における背面層用塗料中の耐熱性高分子をCAB−381−20(セルロースアセテートブチレート樹脂 イーストマンケミカル社製 Tg=141℃)に代えた(背面層用塗料2)ほかは参考例1と同様にして実施例2の感熱記録材を作成した。
[実施例3]
参考例1における背面層用塗料中の耐熱性高分子をCAP−504−0.2(セルロースアセテートプロピオネート樹脂 イーストマンケミカル社製 Tg=159℃)に代えた(背面層用塗料3)ほかは参考例1と同様にして実施例3の感熱記録材を作成した。
[実施例4]
参考例1における背面層用塗料中の耐熱性高分子をCA−398−10(セルロースアセテート樹脂 イーストマンケミカル社製 Tg=185℃)に代えた(背面層用塗料4)ほかは参考例1と同様にして実施例4の感熱記録材を作成した。
[実施例5]
参考例1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして実施例5の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料5)
・合成例1の樹脂(A−1 固形分30%) 33.3部
・CAP−504−0.2(セルロースアセテートプロピオネート樹
脂 イーストマンケミカル社製 Tg=159℃) 90.0部
・Zn−St(ステアリン酸亜鉛 日東化成工業株式会社製)
5.0部
・メチルエチルケトン 1572.7部
・シクロヘキサノン 399.0部
[実施例6]
参考例1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして実施例6の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料6)
・合成例1の樹脂(A−1 固形分30%) 33.3部
・CAP−504−0.2(セルロースアセテートプロピオネート
樹脂 イーストマンケミカル社製Tg=159℃) 90.0部
・コロネートL(イソシアネート架橋剤 日本ポリウレタン工業
株式会社製、固形分75%) 13.3部
・メチルエチルケトン 1646.1部
・シクロヘキサノン 417.3部
[実施例7]
参考例1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして実施例7の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料7)
・合成例1の樹脂(A−1 固形分30%) 33.3部
・CA−398−10(セルロースアセテート樹脂
イーストマンケミカル社製Tg=185℃) 90.0部
・パゼットZK(導電性ガリウムドープ酸化亜鉛分散体
ハクスイテック株式会社 固形分 20%) 50.0部
・メチルエチルケトン 1608.7部
・シクロヘキサノン 418.0部
得られた背面層の表面抵抗率を三菱化学株式会社製 ハイレスタUP MCP−HP450を用いて測定すると、8.3×109Ω/□であった。比較として従来の帯電防止処理のない背面層を測定すると1013Ω/□以上であった。
[実施例8]
参考例1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして実施例8の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料8)
・合成例1の樹脂(A−1 固形分30%) 33.3部
・CA−398−10(セルロースアセテート樹脂
イーストマンケミカル社製Tg=185℃) 90.0部
・コロネートL(イソシアネート架橋剤 日本ポリウレタン工業
株式会社製、固形分75%) 13.3部
・メチルエチルケトン 1646.1部
・シクロヘキサノン 417.3部
[実施例9]
参考例1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして実施例9の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料9)
・合成例3の樹脂(A−3 固形分30%) 33.3部
・CA−398−10(セルロースアセテート樹脂
イーストマンケミカル社製Tg=185℃) 90.0部
・カルボジライトV−09M(カルボジイミド架橋剤
日清紡ケミカル株式会社製 固形分70%) 7.1部
・メチルエチルケトン 1570.6部
・シクロヘキサノン 399.0部
[実施例10]
参考例1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして実施例10の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料10)
・合成例3の樹脂(A−3 固形分30%) 33.3部
・CA−398−10(セルロースアセテート樹脂
イーストマンケミカル社製Tg=185℃) 90.0部
・エポクロス RPS−1005(オキサゾリン架橋剤 株式会社
日本触媒製 固形分100%) 5.0部
・メチルエチルケトン 1572.7部
・シクロヘキサノン 399.0部
[比較例1]
参考例1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして比較例1の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料11)
・合成例1の樹脂(A−1 固形分30%) 300.0部
・メチルエチルケトン 1158.0部
・シクロヘキサノン 342.0部
[比較例2]
参考例1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして比較例2の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料12)
・合成例2の樹脂(A−2 固形分30%) 200.0部
・CAP−504−0.2(セルロースアセテートプロピオネート
樹脂 イーストマンケミカル社製、Tg=159℃) 40.0部
・メチルエチルケトン 1380.0部
・シクロヘキサノン 380.0部
[比較例3]
参考例1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして比較例3の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料13)
・合成例4の樹脂(A−4 固形分30%) 33.3部
・CAP−504−0.2(セルロースアセテートプロピオネート
樹脂 イーストマンケミカル社製、Tg=159℃) 90.0部
・メチルエチルケトン 1496.7部
・シクロヘキサノン 380.0部
[比較例4]
参考例1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして比較例4の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料14)
・合成例4の樹脂(A−4 固形分30%) 33.3部
・CAP−504−0.2(セルロースアセテートプロピオネート
樹脂 イーストマンケミカル社製、Tg=159℃) 90.0部
・KF−96−100cs(ジメチルシリコーンオイル
信越化学工業株式会社製) 3.0部
・メチルエチルケトン 1542.3部
・シクロヘキサノン 391.4部
[比較例5]
参考例1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして比較例5の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料15)
・合成例4の樹脂(A−4 固形分30%) 33.3部
・CAP−504−0.2(セルロースアセテートプロピオネート
樹脂 イーストマンケミカル社製、Tg=159℃) 90.0部
・Zn−St(ステアリン酸亜鉛 日東化成工業株式会社製)
5.0部
・メチルエチルケトン 1572.7部
・シクロヘキサノン 399.0部
[比較例6]
参考例1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして比較例6の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料16)
・合成例4の樹脂(A−4 固形分30%) 33.3部
・CAP−504−0.2(セルロースアセテートプロピオネート
樹脂 イーストマンケミカル社製、Tg=159℃) 90.0部
・コロネートL(イソシアネート架橋剤 日本ポリウレタン工業
株式会社製、固形分75%) 13.3部
・メチルエチルケトン 1646.1部
・シクロヘキサノン 417.3部
[比較例7]
参考1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして比較例7の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料17)
・合成例2の樹脂(A−2 固形分30%) 200.0部
・CA−398−10(セルロースアセテート樹脂
イーストマンケミカル社製Tg=185℃) 40.0部
・メチルエチルケトン 1380.0部
・シクロヘキサノン 380.0部
[比較例8]
参考例1における背面層用塗料を下記のものに代えたほかは参考例1と同様にして比較例8の感熱記録材を作成した。
(背面層用塗料18)
・合成例1の樹脂(A−1 固形分30%) 33.3部
・エスレックB BX−L(アセタール基変性ポリビニルアルコール
樹脂、積水化学工業株式会社製 Tg=74℃) 90.0部
・メチルエチルケトン 1496.7部
・シクロヘキサノン 380.0部
参考例11、実施例12〜20および比較例9〜16]
参考例1、実施例〜10および比較例1〜8に対して背面層はそれぞれ同一のままで、感熱記録層を感熱記録層塗工液1(昇華転写用塗料)から下記の組成の感熱記録層塗工液2(溶融熱転写用塗料)に変え、その塗布量を5g/m2になるようにホットメルトによるロールコート法によって塗布することによって参考例11、実施例12〜20および比較例9〜16の感熱記録材を作成した。
(感熱記録層塗工液2)
・パラフィンワックス 10部
・カルナウバワックス 10部
・ポリブテン(新日本石油株式会社製) 1部
・カーボンブラック 2部
上記で得られた各感熱記録材を用いて市販のフォトプリンターまたはバーコードプリンターを用いて下記の条件下で印画を行い、サーマルヘッドのスティッキング性、ヘッドの汚染性および印画結果を評価した。また、背面層と基材シートとの密着性をメンディングテープ剥離試験で評価した。
(印画条件 昇華転写方式)
プリンター KX−PX20(松下電器産業株式会社製)
ドット密度 300dpi
印字濃度 最大濃度(256/256諧調)
受像紙 KX−PVMS36L ペーパー
(純正紙 松下電器産業製)
(印画条件 溶融転写方式)
プリンター 110XiIIIplus(Zebra社製)
ドット密度 300dpi
印字濃度 12
受像紙 平滑度50秒の上質紙
(1)スティッキング性
感熱記録材を実装試験に供した場合の、印画時における感熱記録材の皺の発生、サーマルヘッドの背面層に対するスティッキングの発生およびサーマルヘッドと感熱記録材との熱融着を目視にて以下のように評価した。その際の感熱記録材の走行、搬送時の音の変化にも注目した。評点4以上を合格(○)とし、3以下を不合格(×)とした。
*5:スティッキングがないもの
*4:スティッキングがないが走行音が変化するもの
*3:スティッキングが発生気味のもの
*2:スティッキングが発生しているが走行はしているもの
*1:スティッキングにより走行不可能となったもの
(2)サーマルヘッドの汚染性
感熱記録材を実装試験に供した場合の、サーマルヘッドのヘッド熱素子部分に対する汚れの付着の有無をデジタルマイクロスコープにて走行前の状態と比較観察し、汚れのないものを合格(○)とし、汚れのあるものを不合格(×)とした。
(3)印画結果
感熱記録材を実装試験に供して得られた印画物の状態を観察し、問題ないものを合格(○)、スジや色むらが見られるものを不合格(×)とした。
(4)密着性
感熱記録材の背面層と基材シートとの接着性をセロハンテープにて剥離試験(ニチバンセロテープ(登録商標)24mm、貼り付け:圧着ローラー1kg−1往復、剥離:90°)を行い、背面層の剥離がないものを合格(○)、剥離が見られるものを不合格(×)とした。
(5)移行性能
感熱記録材の背面層と100μmのPETフィルムを重ね合わせ、7cm×7cm単位あたり、20kgの荷重をかけ、50℃の恒温槽内で72時間放置した。取り出し後、背面層と重なっていた、100μmPETの表面エネルギーをぬれ張力試験用混合液で確認した(JIS K6768)。和光純薬工業株式会社製、ぬれ張力試験用混合液を用い、35mN/m以上を合格(○)とし、34mN/m以下を不合格(×)と評価した。
各試験の結果を下記表1に示す
Figure 0005478223
Figure 0005478223
表1に示す結果より、実施例は昇華転写方式および溶融熱転写方式のいずれに対してもスティッキングの発生がなく、サーマルヘッドの汚染もなく、良好な印画結果が得られ、密着性も良好であり、移行もない背面層が得られた。これに対し耐熱性高分子を使用しないで、シロキサン変性ウレタン樹脂からなる比較例1および9では、昇華転写方式および溶融熱転写方式にてスティッキング、サーマルヘッドの汚染および印画不良が発生した。また、この比較例1および9は移行性で劣るものであった。比較例4および12では、スティッキングの発生がなく、サーマルヘッドの汚染もなく、密着性も良好であり、これらの結果については実施例と同様の結果であったが、シリコーンオイルにより移行性が不合格となり、印画結果も印画むらが発生した。比較例8および16では、耐熱性高分子のTgが低いため、スティッキング、サーマルヘッドの汚染、印画不良が発生した。
以上のように、本発明によれば、背面層用塗料の移行などによる印画性能の低下がなく、高温化するサーマルヘッドに対してもスティッキング防止性およびサーマルヘッド非汚染性に優れた背面層を有する感熱記録材を提供することができる。

Claims (8)

  1. 基材シートと、該基材シートの一方の面に設けた感熱記録層と、該基材シートの他方の面に設けた背面層とからなる感熱記録材において、
    上記背面層が、シロキサン変性ウレタン(ウレア)系樹脂Aと、耐熱性高分子Bとを皮膜形成成分として含有し、シロキサン変性ウレタン(ウレア)系樹脂Aと耐熱性高分子Bとの合計を100重量%としたとき、シロキサン変性ウレタン(ウレア)系樹脂Aが1〜50質量%であり、耐熱性高分子Bが50〜99質量%であり、
    上記シロキサン変性ウレタン(ウレア)系樹脂Aは、分子内に少なくとも1個の活性水素含有基を有するポリシロキサン化合物(a)と、ポリイソシアネート化合物(b)と、ポリオールおよび/またはポリアミン(c)とから構成された反応物であり、該樹脂Aは、上記化合物(a)が0.1〜50質量%、上記化合物(b)と(c)の合計が50〜99.9質量%の割合で構成され、且つ、全活性水素とイソシアネート基とをNCO/OH=0.9〜1.1のモル比で反応させて得られてなるものであり、
    上記耐熱性高分子Bが、ASTM D817に準拠した値にてブチリル基の含有量が15〜40モル%であるセルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートからなるセルロース類の群から選ばれる、ガラス転移点(Tg)が140℃以上のものであることを特徴とする感熱記録材。
  2. 背面層が、さらに背面層の0.1〜20質量%の塗料添加剤Cを含む請求項1に記載の感熱記録材。
  3. 前記耐熱性高分子Bが、ASTM D817に準拠した値にてブチリル基の含有量が15〜40モル%であるセルロースアセテートブチレートであり、その数平均分子量が50,000〜80,000の範囲内にあり、その溶融範囲が190℃〜250℃の範囲にあるものである請求項1または2に記載の感熱記録材。
  4. 前記耐熱性高分子Bが、セルロースアセテートプロピオネートであり、そのプロピオニル基の含有量がASTM D817に準拠した値にて40〜50モル%であり、数平均分子量が10,000〜80,000の範囲内にあり、溶融範囲が185℃〜210℃の範囲にあるものである請求項1または2に記載の感熱記録材。
  5. 前記耐熱性高分子Bがセルロースアセテートであり、該セルロースアセテートは、セルロースジアセテートまたはセルローストリアセテートのいずれかであり、これらはいずれも、数平均分子量が20,000〜100,000の範囲内にあり、Tgが180℃以上であり、溶融範囲が230〜300℃の範囲にあるものである請求項1または2に記載の感熱記録材。
  6. 塗料添加剤Cが、滑剤、有機・無機フィラーまたは帯電防止剤である請求項2〜5のいずれか1項に記載の感熱記録材。
  7. 前記背面層が、イソシアネート架橋剤にて架橋されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の感熱記録材。
  8. 前記背面層が、カルボジイミド架橋剤またはオキサゾリン架橋剤にて架橋されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の感熱記録材。
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