JP5477868B2 - マグネトロン型スパッタ装置 - Google Patents
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Description
しかし、マグネトロン型スパッタ装置は、スパッタ効率に優れるものの、磁力の作用によってターゲットのエロージョンが偏ってターゲットの使用効率が低減するという問題を有している。このため、ターゲットのエロージョンの偏りを防止することを意図したマグネトロンスパッタ装置が各種提案されている(例えば特許文献1〜5参照)。以下に、その一部を説明する。
このプレーナマグネトロンスパッタ装置では、長円形状のターゲット24の裏面には、中心軸線に沿って伸びる直線状の中央磁石20と、中央磁石20の周囲に一定の間隔を開けて配置された長円環状の外側磁石21とが設けられている。中央磁石20と外側磁石21との間には、同心的に配列された長円環状の補助磁石22と、補助磁石22と外側磁石21との間にこれら磁石の直線状部分に沿って平行に配列された直線状の補助磁石23とが設けられている。図10(b)には、上記磁石配置におけるターゲット上に形成される垂直磁場Hvの分布と磁力線の形態が模式的に示されている。垂直磁場Hvは、三度ゼロレベルを通る分布となっている。
このマグネトロンスパッタ装置は、ターゲットの裏面に設けられたマグネトロン磁場発生用磁石30、31、33と、マグネトロン磁場発生用磁石30、31、33を矢印34の方向に揺動させる機構とを有している。図示32は、電子のドリフト方向を示すものである。ターゲットの周囲には、マグネトロン磁場発生用磁石の移動方向と直交する方向に位置するシールドと、マグネトロン磁場発生用磁石の移動方向に位置するシールドとが設けられている。ターゲット上では、レーストラック状のプラズマが、マグネトロン磁場発生用磁石の移動とともに移動する。
上記特許文献2では、マグネトロン磁場発生用磁石30とマグネトロン磁場発生用磁石33との間に間隙部を設けて電子電流の通路を確保することにより、プラズマが安定し、マグネトロン磁石の位置によるスパッタ電圧の変化を最小に押えることができるとされている。
スパッタリング装置40は、基板状の第一、第二のターゲット41a、41bが配置されている。第一、第二のターゲット41a、41bの裏面には、磁石走行軌道42が敷設されている。磁石走行軌道42には、大きさが異なる第一、第二のマグネトロン磁石装置43、44がそれぞれ一個、又は二個以上取り付けられている。
各マグネトロン磁石装置は、磁石走行軌道42に沿って並んで配置されており、第一、第二のマグネトロン磁石装置43、44は、磁石移動装置45によって、順番を変えずに磁石走行軌道42上を移動する。
例えば、従来の装置のうち、特許文献1の装置では、ターゲットのエロージョン領域を広げかつエロージョン深さを均一にするために、ターゲットに平行な面における垂直磁場成分Hvが三度ゼロレベルを通る分布とすることにより、磁力線の二つの山の部分とその間を埋める広い帯状の部分で電子の濃度が最も高くなり、この部分にイオンも集まってきて、シース電圧で加速されてターゲットを打ち、従って広いU字型のエロージョンプロファイルが得られる、としている。
上記のような磁力線の二つの山の頂付近は、垂直磁場成分Hvがゼロレベルを切る一回目と三回目のターゲット位置とほぼ同じ位置であり、磁力線の山の頂においては水平磁場成分Hhが最大となる。ここにおいて、ターゲット表面に垂直な電場Eと水平磁場成分Hhとのベクトルクロス積E×Hhの方向(水平磁場Hhと電場Eの両方に垂直な方向)に電子はサイクロイド軌道あるいはトロコイド軌道を描いてドリフトしていく。この軌道をドリフトする間にアルゴンなどの中性粒子と衝突してイオンが発生し、そのイオンはターゲットへ向かって衝突し、ターゲット材料のスパッタ粒子と二次電子の放出が行われる。その二次電子は最初の電子と同じように振舞うことで、イオンが発生しプラズマは成長する。電子と中性粒子との衝突は、中性粒子の密度分布と絶対温度によって計算される電子の平均自由行程λによって決まる。電子は平均自由行程λを移動する間に少なくとも1回中性粒子と衝突すると考えられる。従ってターゲット上においてトロコイド軌道を描いてドリフトしていく電子の移動距離が長いほど中性粒子との衝突回数は増えて発生するイオンが増加し、プラズマ密度も大きくなる。
一方、中央の永久磁石20の真上においては垂直磁場Hvは非常に大きく、この位置付近のターゲット上では電子は発散し、プラズマ密度は極端に小さい。従ってここにおいてはエロージョンはされずに、逆にその周囲からのスパッタ物質が堆積する。それが酸化物であればその付近のターゲットは絶縁物で覆われることになり、異常放電の原因となる。
上記マグネトロン磁場を有するスパッタ装置では、エロージョンプロファイルは必ずしもU字型とはならず、垂直磁場成分Hvがゼロレベルを切る一回目と三回目のターゲット位置においてV字型エロージョンとなる傾向が強く、ターゲット寿命はそれ程には改善されていない。またターゲット中央では垂直磁場Hvは非常に大きく、ここには周囲からのスパッタ物質が堆積し、ターゲットの使用効率を低下させ、その物質が酸化物であれば、異常放電の原因となっている。
前記ターゲット裏面の外周縁に沿って配置され、前記磁力を生じる磁極を有する外周磁石と、前記外周磁石の内周側に位置するシムと、を備え、
前記外周磁石は、前記ターゲットの短軸方向両端部に位置して前記ターゲットの長軸方向に伸長し、互いに異極となる前記磁極を有する長軸磁石部と、前記ターゲットの長軸方向両端部に位置して、それぞれ長さ方向で二つに分割され、隣接する前記長軸磁石部と同極の前記磁極を有する短軸磁石部とからなることを特徴とする。
前記ターゲット裏面の外周縁に沿って配置され、前記磁力を生じる磁極を有する外周磁石と、前記外周磁石の内周側に前記外周磁石と間隔を有して周回配置された周回シムと、前記ターゲット裏面の中央部で前記ターゲットの長軸方向に沿って伸張して前記周回シム内周側と間隔を有して配置された中央シムと、を備え、
前記外周磁石は、前記ターゲットの短軸方向両端部に位置して前記ターゲットの長軸方向に伸長し、互いに異極となる前記磁極を有する長軸磁石部と、前記ターゲットの長軸方向両端部に位置して、それぞれ長さ方向で二つに分割され、隣接する前記長軸磁石部と同極の前記磁極を有する短軸磁石部とを有することを特徴とする。
なお、長軸磁石部と、隣接する両端部の短軸磁石部とは、一体に形成したものとすることができ、また、別体で構成したものとすることもできる。さらに、長軸磁石部や短軸磁石部を複数の磁石で構成することも可能である。なお、外周磁石は、通常は永久磁石により構成されるが、一部または全部を電磁石で構成するようにしてもよい。
上記電子の跳ね返しは、上記した外周磁石の構成によって達成される。
本発明のマグネトロン磁場では、前記のように図5、6のグラフに示されるように、上記垂直方向磁場Bvと水平方向磁場Bhの分布が形成され、ターゲットの短辺端部においては図3に磁力線が模式的に示されるように、水平磁場Bhは湾曲しているため、そこにおいて電子はある角度をもって跳ね返されるので、電子は上記の飛行時間τ=20〜68[nsec]を大きく上回ってターゲット上で運動を継続する。この結果、ターゲットには均一なエロージョンが生じる。
本発明のマグネトロン型スパッタ装置は、半導体基板上における導体電極膜、超伝導体薄膜、透明導電性薄膜の製造あるいは各種配向薄膜の製造に利用することができる。
装置内に設置されるターゲット5は、長軸な矩形形状を有しており、該ターゲット5の裏面側に位置して前記ターゲット5の外周縁に沿うように、外周磁石1が配置されている。外周磁石1は、設置されたターゲット5の裏面と僅かに隙間を有するように位置している。
外周磁石1は、ターゲット5の短軸方向両側に位置してターゲット5の長軸方向に伸長する長軸磁石部2、3と、ターゲット5の長軸方向両側に位置して長さ方向で分割された短軸磁石部2a、2b、3a、3bとを有している。短軸磁石部2a、3a間と、短軸磁石部2b、3b間には間隙が形成されている。長軸磁石部2と短軸磁石部2a、2bは一体に形成されている。但し、本発明としてはこれら磁石部を分割して構成することも可能である。また、長軸磁石部3と短軸磁石部3a、3bが一体に形成されている。但し、本発明としてはこれら磁石部を分割して構成することも可能である。
なお、上記短軸磁石部2a、3aおよび短軸磁石部2b、3bにおける間隙では、異極の磁極を有する磁石が対峙することになる。上記の間隙を含む長軸端部においては、水平磁場は湾曲しているため、電子の運動方向uと水平磁場Bhとの両方に直角な方向に力が働き、かつ電場Eによる力も作用して、電子はある角度をもって跳ね返される。上記の間隙の距離は、電子に対して上記の作用を可能にする湾曲部の水平磁場が得られるように決められる。
周回シム6の内周側には、ターゲット5の中央部で長軸方向に沿った鉄製の中央シム7が配置されている。中央シム7は、周回シム6の内周側と略同じ間隙を有して配置されている。中央シム7は、断面角柱形状を有し、厚肉に形成されている。これにより中央部における磁力の集束を強め、垂直磁場成分がゼロレベルを切る3つの位置を決める構成要素となる。
周回シム6と中央シム7の形状ならびに配置位置は、好適には、実施例で示す図5に示す磁場分布(垂直方向磁場Bvと水平方向磁場Bh)が形成されるように決められる。
上記カソードへの通電によって、マグネトロンスパッタが行われ、ターゲット5のエロージョンが均一化される。
ターゲット上に発生する集団電子の初期条件は、5000個の電子の標準偏差エネルギーを20eVとして、ガウス分布するとし、かつターゲット面からターゲット上空1cmの領域に5000個の電子の初期位置は乱数分布によって決める。上記形態のマグネトロン・スパッタ磁場および電場分布を条件として、5000個の電子集団が運動を開始し、時間が500n秒経過するまで、すべての電子の運動をシミュレーションして、その結果500n秒後にターゲット上空の空間に生き残った電子を(X−Y)平面、(Y−Z)平面にプロットする。
図7は、電子運動シミュレーションを示す図である。電子は同図の例えば位置座標(−16.5,0)から出発し、位置座標(−24.8,0)付近で折り返し、位置座標(−4.5,−4.2)に至るような飛跡をたどる。位置座標(−24.8,0)付近は、ターゲット外周の二辺短辺において磁場の境界となる間隙付近であり、水平方向磁場が非常に強く磁場が湾曲している。
2 長軸磁石部
3 長軸磁石部
2a短軸磁石部
2b短軸磁石部
3a短軸磁石部
3b短軸磁石部
6 周回シム
7 中央シム
8 絶縁スペーサ
9 バッキングプレート
10 真空チャンバーフランジ
11 アノード
Claims (6)
- 装置内に設置されたターゲットの裏面側に位置して前記ターゲット表面側に磁力を及ぼすように磁石およびシムが配置されたマグネトロン型スパッタ装置において、
前記ターゲット裏面の外周縁に沿って配置され、前記磁力を生じる磁極を有する外周磁石と、前記外周磁石の内周側に位置するシムと、を備え、
前記外周磁石は、前記ターゲットの短軸方向両端部に位置して前記ターゲットの長軸方向に伸長し、互いに異極となる前記磁極を有する長軸磁石部と、前記ターゲットの長軸方向両端部に位置して、それぞれ長さ方向で二つに分割され、隣接する前記長軸磁石部と同極の前記磁極を有する短軸磁石部とからなることを特徴とするマグネトロン型スパッタ装置。 - 装置内に設置されたターゲットの裏面側に位置して前記ターゲット表面側に磁力を及ぼすように磁石およびシムが配置されたマグネトロン型スパッタ装置において、
前記ターゲット裏面の外周縁に沿って配置され、前記磁力を生じる磁極を有する外周磁石と、前記外周磁石の内周側に前記外周磁石と間隔を有して周回配置された周回シムと、前記ターゲット裏面の中央部で前記ターゲットの長軸方向に沿って伸張して前記周回シム内周側と間隔を有して配置された中央シムと、を備え、
前記外周磁石は、前記ターゲットの短軸方向両端部に位置して前記ターゲットの長軸方向に伸長し、互いに異極となる前記磁極を有する長軸磁石部と、前記ターゲットの長軸方向両端部に位置して、それぞれ長さ方向で二つに分割され、隣接する前記長軸磁石部と同極の前記磁極を有する短軸磁石部とを有することを特徴とするマグネトロン型スパッタ装置。 - 前記一方の長軸磁石部と、該長軸磁石部に隣接する両端部の短軸磁石部とが、それぞれ一体に形成されているか、または分割して配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のマグネトロン型スパッタ装置。
- 前記短軸磁石部は、隣接する短軸磁石部間に間隙を有して配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマグネトロン型スパッタ装置。
- 前記周回シムは板状からなり、前記中央シムは、前記周回シムよりも厚肉の角柱体からなることを特徴とする請求項2に記載のマグネトロン型スパッタ装置。
- 前記長軸方向両端部の分割された短軸磁石部によって、ターゲット中心側に湾曲する磁力が形成されており、前記湾曲部での最大水平方向磁場が500ガウス以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマグネトロン型スパッタ装置。
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