JP5476030B2 - アルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブ用クラッド材およびその製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブ用クラッド材およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、とくに、不活性ガス雰囲気中でのフッ化物系フラックスを用いたろう付けにより接合されるエバポレータ、コンデンサ、ラジエータやヒータコアなどの自動車用アルミニウム合金製熱交換器のチューブ材の製造において好適に用いられるアルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブ用クラッド材およびその製造方法に関する。
自動車用熱交換器、例えばラジエータやヒータコアといったエンジンの冷却水を放熱するための熱交換器は、内面が作動流体(冷媒)の通路となり、外面に熱を空気中に放散させるためのフィンを有する偏平状のチューブが並列に複数積層されて構成されており、チューブの両端には作動流体を集配合するためのタンクが設置されている。このタンクはチューブの差込孔の開いたヘッダープレートとそれに対向する樹脂容器で構成されているが、全てアルミニウム材で構成されているものもある。
前記チューブは、JIS A3003などのAl−Mn系合金を芯材とし、芯材の片面にAl−Si系合金ろう材をクラッドし、他方の面にAl−Zn系合金またはAl−Zn−Mg系合金の犠牲陽極材をクラッドした3層構造のアルミニウム合金クラッド材を偏平形状に成形したものが用いられている。クラッド材のAl−Si系ろう材は、アルミニウム合金製熱交換器を製作するとき、チューブとフィンとの接合、チューブとヘッダープレートとの接合、またはクラッド板からろう付けによりチューブを製造する場合のろう付け接合のためにクラッドされており、ろう付には、最近では一般にフッ化物フラックスを用いる不活性ガス雰囲気ろう付けが適用される。また、犠牲陽極材は、たとえばチューブの内面側に使用され、作動流体と接して犠牲陽極作用を発揮し、芯材の孔食や隙間腐食の発生を防止する。
各種熱交換器の製造において、従来は、図1に示すように、芯材3の一方の面に犠牲陽極材1、他方の面にろう材2をクラッドしてなるクラッド板を、犠牲陽極材1が流体通路側となるよう成形ロールなどによって曲成し、高周波溶接により溶接(溶接部W)して丸管とした後、さらに偏平形状に成形することによりチューブとし、これをヘッダープレートに組付けて一体ろう付けを行っている。また、高周波溶接を行わずに、チューブ材を成形ロールで略B型偏平チューブ形状に成形し、ろう付け加熱することによって偏平チューブの流体通路を形成する手法もある。これらの熱交換器用部材をろう付けする際、アルミニウム合金の表面に存在する酸化皮膜を除去するために、ふっ化物系フラックスが用いられている。
近年、自動車の軽量化の要請に伴い、自動車熱交換器においても省エネルギー、省資源の観点から構成材料の薄肉化が求められ、チューブ材についても高強度材を用いた薄肉化が進行している。前記のように、高周波溶接により偏平チューブを製造する場合には、チューブ材の内面となる犠牲陽極層に高濃度のMgを添加し、このMgがろう付け時に芯材中に拡散すると同時に外面であるろう材側からもSiが拡散し、MgSiを形成させることにより高強度の偏平チューブとすることができる。
一方、ろう付け加熱により偏平チューブ形状とする場合には、チューブ材の内面となる犠牲陽極側とチューブ材の外面となるろう材側が接合される必要がある。このため、内皮である犠牲陽極層に強度を向上するためにMgを添加するとMgとフラックスが反応してMgFを生成してろう付け性が阻害され、ろう付け欠陥が生じるという問題がある。芯材にMgを添加すると、芯材からろう材へMgが拡散し、同様にMgがフラックスと反応してMgFなどの化合物を形成し、フラックスの機能が損なわれて、ろう付け欠陥が生じるという問題がある。このため、Mgの添加量は0.5%以下に限定されており、ろう付け型の場合には、Mg添加による高強度化には限界があり、従って、ろう付け方式で偏平チューブを製造する手法においては、高強度のチューブとすることができなかった。
アルミニウム合金製熱交換器において、例えば、ラジエータが自動車に組みつけられ、エンジンを冷却する場合、特にチューブ内には、100℃前後の高温の流体が通ることになり、エンジンが停止すると常温に戻る。すなわち、熱交換器内には、高温高圧の状態と常温低圧の状態が繰り返され、チューブにも繰り返し応力がかかることとなる。従って、チューブ材にはこの繰り返し応力に耐える疲労特性が要求される。
疲労特性は、静的な引張強度と関係していることが一般的に知られており、熱交換器用アルミニウム材料においても、材料の引張強度を高めるため、Cuを添加した材料(特許文献1参照)、犠牲陽極材にAl−Mg−Zn合金を用い、内皮材の硬度を芯材の硬度より高くした材料(特許文献2参照)、犠牲陽極材の再結晶粒径を犠牲陽極材の厚さ未満とした材料(特許文献3参照)、芯材と犠牲陽極材の界面近傍の析出物の分布を規定した材料(特許文献4参照)、犠牲陽極材にAl−Mg−Zn合金を用い、犠牲陽極材のX線回折強度比を規定した材料(特許文献5参照)などが提案されている。
特開平10−53827号公報 特開平8−60280号公報 特開平11-100628号公報 特開平9−95749号公報 特開2006−291311号公報
一般にアルミニウム合金の場合、静的な引張強度は、高サイクル(繰返し数10回程度)の疲労強度と正の相関を持つことが知られているが、低サイクル(繰返し数10程度)の疲労強度においては、引張強度との相関は明確ではなかった。従来、高サイクルの疲労強度を高めるため、すなわち静的な引張強度を高めるために、芯材や内皮材にMgを添加することにより、チューブ全体としての引張強度が向上し、それに相関して高サイクルの疲労強度も向上していた。芯材に多量のMgを添加すると、ろう付け中に表面に拡散してきたMgとフラックスが反応してろう付け性を低下させるため、芯材のMg添加量は極力抑え、内皮材に多量のMgを添加する例が多かった。
しかしながら、内皮材に多くのMgを添加すると内皮材の強度が芯材より高くなって、チューブ表裏での強度差が発生し、このような材料を熱交換器用チューブとして使用した場合、ラジエータとして稼動している間の高温高圧状態と停止中の常温常圧状態の繰り返しで発生する塑性変形を生じるような曲げ応力が負荷された場合、すなわち低サイクルの曲げ応力が負荷された状態においては、曲げ変形の中立線が板厚中心から内皮側に偏り、その結果、チューブ表裏の伸縮量に偏りを生じ、表面のろう材表面のひずみが大きくなり早期に亀裂を生じる。つまり、高サイクルの疲労強度を上げるために内皮材の強度を高くしすぎると逆に低サイクルの曲げ疲労強度が低下することとなる。
発明者らは、低サイクルの曲げ疲労強度を向上させるとともに、高サイクルの疲労強度も高めたアルミニウム合金製熱交換器の溶接偏平チューブを製造するためのクラッド材を得ることを目的として、芯材と内皮材の合金組成の組み合わせ、芯材と内皮材の硬度と、低サイクルの曲げ疲労強度との関連性について試験、検討を行った。本発明はその結果に基づいてなされたものであり、その目的は、改善された低サイクルの曲げ疲労強度を有するとともに、高サイクルの疲労強度にも優れ、良好なろう付け性と耐食性をそなえたアルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブ用クラッド材およびその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための請求項1によるアルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブ用クラッド材は、Si:0.3〜1.2%(質量%、以下同じ)、Cu:0.3〜1.0%、Mn:0.6〜1.8%、Ti:0.05〜0.3%を含有し、不純物としてのMgを0.05%未満に制限し、残部Alおよび不可避不純物からなる芯材と、芯材の一方の面に、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.6〜1.8%、Zn:0.5〜5%を含有し、不純物としてのMgを0.05%未満に制限し、残部Alおよび不可避不純物からなる内皮材をクラッドし、芯材の他方面に、Si:6〜12%を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるろう材をクラッドしてなり、ろう付けにより接合されるアルミニウム合金製熱交換器のチューブの製造に用いられる3層のクラッド材であって、ろう付け前の芯材の組織が繊維状であり、ろう付け加熱後の芯材の硬度が50Hv以上、内皮材の硬度が50Hv以上であり、内皮材と芯材の硬度の比(内皮材硬度/芯材硬度)が1.0未満であることを特徴とする。
請求項2によるアルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブ用クラッド材は、請求項1において、前記芯材がCr:0.01〜0.3%、Zr:0.01〜0.3%の1種または2種を含有することを特徴とする。
請求項3によるアルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブ用クラッド材は、請求項1または請求項2において、前記内皮材がCr:0.01〜0.3%、Zr:0.01〜0.3%、Ti:0.01〜0.3%の1種または2種以上を含有することを特徴とする。
請求項によるアルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブ用クラッド材の製造方法は、前記請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器の溶接チューブ用クラッド材を、熱間クラッド圧延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延することにより製造する方法であって、中間焼鈍を200〜320℃の温度で0.5〜5時間行い、中間焼鈍後の冷間圧延を5〜20%の冷間加工度で行うことを特徴とする。
本発明によれば、上記の構成により、チューブ全体の引張強度を高めることによって高サイクルの疲労強度が確保され、低サイクルの曲げ応力が負荷された場合にもチューブの変形のバランスが保持されて、良好な低サイクルの曲げ疲労強度を得ることができる。また、ろう付け前の芯材の組織を繊維状組織とすることにより、高周波溶接時に粒界に沿って進展し易い割れを防ぐことができ、良好な溶接造管性を確保することが可能となる。
アルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブの構成を示す断面図である。 実施例で行われる低サイクル曲げ疲労試験の概略を示す図である。
本発明のクラッド材の芯材および内皮材の合金成分の意義およびその限定理由について説明する。
(芯材)
Siは、ろう付け後の芯材強度を向上させるよう機能する。好ましい含有量は0.3〜1.2%の範囲であり、0.3%未満では強度不足の問題があり、1.2%を超えると融点が低下しろう付けが不可能になる。
Cuは、ろう付け後の芯材強度を向上させるよう機能する。好ましい含有量は0.3〜1.0%の範囲であり、0.3%未満では強度不足の問題があり、1.0%を超えると融点が低下しろう付けが不可能になる。
Mnは、ろう付け後の芯材強度を向上させるよう機能する。好ましい含有量は0.6〜1.8%の範囲であり、0.6%未満では強度不足の問題があり、1.8%を超えると粗大化合物を生じ、正常な板材の製造が困難になる。
Tiは、芯材中で層状に分布し、腐食を横広がりにする。好ましい含有量は0.05〜0.3%の範囲であり、0.05%未満ではその効果が小さく、0.3%を超えると粗大化合物を生じ、正常な板材の製造が困難になる。
Cr、Zrは、ろう付け後の結晶粒径を粗大化し、ろう付け性を向上させるよう機能する。好ましい含有量は、Cr:0.01〜0.3%、Zr:0.01〜0.3%の範囲であり、それぞれ下限未満ではその効果が小さく、上限を超えると粗大化合物を生じ、正常な板材の製造が困難になる。
Mgは、ろう付けを阻害するため、0.05%未満に制限する。0.05%以上含有すると、フィン材とのろう付けが困難になる。
(内皮材)
Siは、ろう付け後の内皮強度を向上させるよう機能する。好ましい含有量は0.3〜1.2%の範囲であり、0.3%未満では強度不足の問題があり、1.2%を超えると融点が低下しろう付けが不可能になる。
Mnは、ろう付け後の内皮強度を向上させるよう機能する。好ましい含有量は0.6〜1.8%の範囲であり、0.6%未満では強度不足の問題があり、1.8%を超えると粗大化合物を生じ、正常な板材の製造が困難になる。
Znは、ろう付け後の内皮材の電位を下げて犠牲陽極として作用するようにし、チューブの耐食性を向上させる。好ましい含有量は0.5〜5%の範囲であり、0.5%未満では芯材との電位差が不十分で耐食性が低下し、5%を超えると自己耐食性が低下して耐食性が低下する。
Cr、Zrは、ろう付け後の結晶粒径を粗大化し、ろう付け性を向上させる。好ましい含有量は、それぞれCr:0.01〜0.3%、Zr:0.01〜0.3%の範囲であり、それぞれ下限以下ではその効果が小さく、上限を超えると粗大化合物を生じ、正常な板材の製造が困難になる。
Tiは、内皮材中で層状に分布し、腐食を横広がりにする。好ましい含有量は0.01〜0.3%の範囲であり、0.01%未満ではその効果が小さく、0.3%を超えると鋳造時に粗大化合物を生じやすくなり、正常な板材の製造が困難になる。
Mgは、ろう付け後の内皮材の硬度を増加させ、低サイクル曲げ疲労強度低下の原因となるから、0.05%未満に制限する。
(ろう材)
クラッド材において、内皮材と反対面の芯材にクラッドするろう材としては、例えば、Si:7〜12%を含有する通常のAl−Si系ろう材を使用することができる。
(硬度)
ろう付け後における芯材の硬度は50Hv以上とすることが必要である。50Hv以下では、ろう付け後のチューブの静的強度が低下し、高サイクルの疲労強度が低下する。上限は特に規定しないが、高すぎると圧延や溶接時のロール成形が困難になるため、より好ましい範囲は50Hv以上90Hv以下である。
ろう付け後における内皮材の硬度は50Hv以上とすることが必要である。50Hv以下では、ろう付け後のチューブの静的強度が低下し、高サイクルの疲労強度が低下する。上限は特に規定しないが、高すぎると圧延や溶接時のロール成形が困難になるため、より好ましい範囲は50Hv以上90Hv以下である。
ろう付け後の芯材と内皮材の硬度の比(ろう付け後の内皮材硬度/ろう付け後の芯材硬度)は1.0未満とする。1.0以上になると、低サイクルの曲げ疲労強度が低下する。ろう付け後の内皮材の硬度が低すぎるとクラッド圧延が困難になるため、ろう付け後の芯材と内皮材の硬度の比は、0.5以上1.0未満とするのがより好ましい。なお、上記ろう付け後の芯材および内皮材の硬度、ろう付け後の芯材と内皮材の硬度の比は、芯材と内皮材の合金組成、クラッド材製造時の冷間圧延加工度、焼鈍条件の組合せを調整することにより得ることができる。
(クラッド材の製造)
本発明に係るアルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブ用クラッド材の製造においては、前記の組成を有する芯材、内皮材およびろう材からなる3層のクラッド材を、熱間クラッド圧延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延することにより製造する方法(方法1)が適用される。
方法1において、所定の厚さのクラッド材を得るために、熱間クラッド圧延後中間焼鈍前の冷間圧延加工度は、最終冷間圧延の加工度により調整される。中間焼鈍は、200〜320℃の温度で0.5〜5時間行うのが望ましい。温度が200℃未満では材料強度が高くなり過ぎ、造管時成形加工が困難になる。320℃を超えると、材料組織が再結晶化してしまうため、高周波溶接時に割れが結晶粒界に沿って進展し易くなり、溶接割れが発生し易い。
中間焼鈍後の冷間圧延は冷間圧延加工度を5〜20%として行うことが望ましい。冷間圧延加工度が5%未満では加工度の制御が困難となり、20%を超えると材料強度が高くなり過ぎ、造管時成形加工が困難になる。
実施例1
連続鋳造により、表1に示す組成を有する芯材用合金、表2に示す組成を有する内皮材用合金、およびSi:10%を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなるろう材用合金を造塊し、得られた鋳魂のうち、芯材用合金の鋳塊については、600℃で10時間の均質化処理を行った後、厚さ24mmに面削した。内皮材用合金の鋳塊については、600℃で10時間の均質化処理を行った。
内皮材用合金の鋳塊およびろう材用合金の鋳塊は、熱間圧延を施して3mmの厚さとし、面削した芯材用合金の鋳塊、内皮材用合金の熱延板、ろう材用合金の熱延板を表3に示す組み合わせで重ね合わせて熱間圧延し、クラッド素材を得た。その後、冷間圧延を行い、表4に示す条件で中間焼鈍、冷間圧延を行って、厚さ0.25mmの板(クラッド材、H14)を得た。クラッド材の構成は、内皮材0.025mm、ろう材0.025mmである。
Figure 0005476030
Figure 0005476030
Figure 0005476030
Figure 0005476030
得られたクラッド材のろう材面に、フッ化物フラックスを塗布し、窒素ガス中で600℃で3分のろう付け加熱後、50℃/分の冷却速度で冷却して試験材を作製し、試験材について以下の評価を行った。評価結果を表6に示す。
クラッド材の強度測定、および芯材および内皮材の硬度測定:
強度測定については、試験材からJIS Z 2201の5号試験片を採取し、常温でJIS Z 2241に準拠した引張試験を行い、引張強度を測定した。硬度測定については、試験材から測定試験片を採取して樹脂埋めし、断面を研磨した後JIS Z2244に基づいて、ビッカース硬さを測定した。負荷した荷重は10gとした。
低サイクル曲げ疲労試験:
試験材を切断後、端面を切削して5mm幅の短冊状の試験片を作製し、試験片について、図2に示す曲げ疲労試験機を用いて、歪振幅が1.6%になるように両振りの曲げ疲労試験を実施した。周波数は0.5Hzで室温にて実施し、破断に至るまでのサイクル数を測定した。
高サイクル疲労試験:
試験材を幅50mmに切断後、端面にR=70mmのへこみを形成した試験片を作製し、試験片について、応力比(最小応力/最大応力)R=0.1の条件で油圧サーボ式軸力疲労試験機を用いて疲労試験を実施した。破断回数が10〜10回となる様に最大応力を設定し、破断回数と最大応力をプロットした図から10回における疲労強度を求め、10回における疲労強度が47MPa以上であるものを良好とした。
内面の腐食試験:
試験材のろう材側および端部をマスキングして腐食液に浸漬し、88℃で8時間、室温で16時間の熱サイクルを6ヶ月間繰返し、試験後に光学顕微鏡を用いた焦点深度法により、発生した孔食の深さを測定して判定した。腐食液には粗悪水模擬液(Cl:195ppm、SO 2−:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe3+:30ppm)を用い、pH3〜7の弱酸性で行った。貫通腐食の有無で判断した。
ろう付け性試験:
ろう付け性試験は、クラッド材とフィンとのろう付け性を調査することにより行った。ろう付け性の調査は、Mn:1.6%、Cu:0.3%、Zn:1.0%を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金のフィン(厚さ0.08mm)をコルゲート成形し、二枚のクラッド材のろう材側にフッ化物フラックスを5g/m塗布して挟み、ミニコアを組み立てた。これを、窒素ガス中で600℃(材料温度)に3分間加熱保持してろう付けした。その後、フィンとクラッド材とのろう付け状態を断面観察により調査した。
Figure 0005476030
表6に示すように、本発明に従う試験材1〜28はいずれも、優れた高サイクルの疲労強度と低サイクルの疲労強度を有し、良好なろう付け性と耐食性をそなえていた。
比較例1
連続鋳造により、表7に示す組成を有する芯材用合金、表8に示す組成を有する内皮材用合金、およびSi:10%を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなるろう材用合金を造塊し、得られた鋳魂のうち、芯材用合金の鋳塊については、600℃で10時間の均質化処理を行った後、厚さ24mmに面削した。内皮材用合金の鋳塊については、600℃で10時間の均質化処理を行った。
内皮材用合金の鋳塊およびろう材用合金の鋳塊は、熱間圧延を施して3mmの厚さとし、面削した芯材用合金の鋳塊、内皮材用合金の熱延板、ろう材用合金の熱延板を表9に示す組み合わせで重ね合わせて熱間圧延し、クラッド素材を得た。その後、冷間圧延を行い、表10に示す条件で中間焼鈍、冷間圧延を行って、厚さ0.25mmの板(クラッド材、H14)を得た。クラッド材の構成は、内皮材0.025mm、ろう材0.025mmである。なお、表7、8、10において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
Figure 0005476030
Figure 0005476030
Figure 0005476030
Figure 0005476030
得られたクラッド材のろう材面に、フッ化物フラックスを塗布し、窒素ガス中で600℃で3分のろう付け加熱後、50℃/分の冷却速度で冷却して試験材を作製し、試験材について、実施例1と同じ方法で評価を行った。評価結果を表11に示す。
Figure 0005476030
表11に示すように、試験材101は芯材のSi量が少ないため、ろう付け加熱後のクラッド材の強度が低く、また、芯材の硬度も低く、高サイクル疲労強度および低サイクル疲労強度が劣っていた。試験材102は芯材のSi量が多いため、融点が下がりクラッド材の製造ができなかった。試験材103は芯材のCu量が少ないため、ろう付け加熱後のクラッド材の強度が低く、また、芯材の硬度も低く、高サイクル疲労強度および低サイクル疲労強度が劣っていた。試験材104は芯材のCu量が多いため、融点が下がりクラッド材の製造ができなかった。
試験材105は芯材のMn量が少ないため、ろう付け加熱後のクラッド材の強度が低く、また、芯材の硬度も低く、高サイクル疲労強度および低サイクル疲労強度が劣っていた。試験材106は芯材のMn量が多いため、融点が下がりクラッド材の製造ができなかった。試験材107、試験材108は、それぞれ芯材のCr量、Zn量が多いため、粗大化合物が生じ、クラッド材の製造ができなかった。
試験材109は芯材のTiを含有していないため耐食性が劣っていた。試験材110は芯材のTi量が多いため、粗大化合物が生じ、クラッド材の製造ができなかった。試験材111は芯材のMg量が多いため、ろう付け性が劣っていた。試験材112は内皮材のSi量が少ないため、ろう付け加熱後のクラッド材の強度が低く、高サイクル疲労強度が劣っていた。試験材113は内皮材のSi量が多いため、融点が下がりクラッド材の製造ができなかった。
試験材114は内皮材のMn量が少ないため、ろう付け加熱後のクラッド材の強度が低く、高サイクル疲労強度が劣っていた。試験材115は内皮材のMn量が多いため、融点が下がりクラッド材の製造ができなかった。試験材116は内皮材がZnを含有しないため、耐食性が劣っていた。試験材117は内皮材のZn量が多いため、自己耐食性が低下して耐食性が劣っていた。
試験材118〜120、は、それぞれ内皮材のCr量、Zr量、Ti量が多いため、いずれも粗大化合物が生じ、クラッド材の製造ができなかった。試験材121は内皮材のMg量が多いため、ろう付け加熱後の内皮材の硬度が上がり、低サイクル疲労強度が低下した。試験材122はクラッド材製造時の中間焼鈍温度が高いため再結晶組織となり、溶接チューブの製造における高周波溶接時に結晶粒界に沿った割れが生じるおそれがあるものとなった。試験材123はクラッド材製造時の中間焼鈍温度が低いため、強度が高く、ろう付け加熱後の芯材と内皮材の硬度の比が1.0を超え、低サイクル疲労強度が劣っていた。また、溶接チューブの製造において、成形加工が困難なものとなった。
1 犠牲陽極材(内皮材)
2 ろう材
3 芯材
W 溶接部

Claims (4)

  1. Si:0.3〜1.2%(質量%、以下同じ)、Cu:0.3〜1.0%、Mn:0.6〜1.8%、Ti:0.05〜0.3%を含有し、不純物としてのMgを0.05%未満に制限し、残部Alおよび不可避不純物からなる芯材と、芯材の一方の面に、Si:0.3〜1.2%、Mn:0.6〜1.8%、Zn:0.5〜5%を含有し、不純物としてのMgを0.05%未満に制限し、残部Alおよび不可避不純物からなる内皮材をクラッドし、芯材の他方面に、Si:6〜12%を含有し、残部Alおよび不可避不純物からなるろう材をクラッドしてなり、ろう付けにより接合されるアルミニウム合金製熱交換器のチューブの製造に用いられる3層のクラッド材であって、ろう付け前の芯材の組織が繊維状であり、ろう付け加熱後の芯材の硬度が50Hv以上、内皮材の硬度が50Hv以上であり、内皮材と芯材の硬度の比(内皮材硬度/芯材硬度)が1.0未満であることを特徴とするアルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブ用クラッド材。
  2. 前記芯材がCr:0.01〜0.3%、Zr:0.01〜0.3%の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1記載のアルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブ用クラッド材。
  3. 前記内皮材がCr:0.01〜0.3%、Zr:0.01〜0.3%、Ti:0.01〜0.3%の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のアルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブ用クラッド材。
  4. 前記請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器の溶接チューブ用クラッド材を、熱間クラッド圧延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延することにより製造する方法であって、中間焼鈍を200〜320℃の温度で0.5〜5時間行い、中間焼鈍後の冷間圧延を5〜20%の冷間加工度で行うことを特徴とするアルミニウム合金製熱交換器の溶接チューブ用クラッド材の製造方法。
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