JP5474861B2 - 無線通信装置および無線通信方法 - Google Patents

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Description

本発明は、送信元無線局が宛先無線局との間で無線パケットの送受信を行う無線通信システムにおいて、送信元無線局と宛先無線局の間の距離が離れている、ないしは見通し外などの理由で直接的な無線通信が困難な場合を含む環境でも安定した無線通信を行う無線通信装置および無線通信方法に関する。
特に、送信元無線局と宛先無線局の間の直接通信が困難となる場合に、送信元無線局および宛先無線局の周辺に位置する複数の無線局が無線パケットを正常に受信できた際に、これらの無線局が協調してマルチホップ中継を行うための中継伝送技術に関する。
近年、無線通信の普及が目覚しい。携帯電話等の移動通信から、準静止環境でのスポット的な無線LANサービスの提供、光ファイバ等の有線回線の代替として無線回線を各家庭に提供するFWA(Fixed Wireless Access )サービスの提供など、様々な形で無線通信の利点を利用したサービスが展開されている。この際、ビジネス的な見地からは、少ない基地局設備で広範囲のエリアをカバーし、より多くのユーザ端末を収容することが望ましい。しかし一般には、ひとつの基地局がカバーできるエリア面積は、そのシステム固有の条件(例えば周波数、送信出力、アンテナ利得、アンテナ設置場所、変調方式等)や伝搬環境により異なる。例えば、無線局の送信側の機能として、大出力の送信アンプを備えていた場合には、より広い領域をサービスエリアに設定することが可能である。また、一般には低い周波数ほど遠くまで伝達する。
しかし、線形性の高い高機能の大出力送信アンプを利用することは、装置の価格を押し上げることになり、さらには電波法等の規定による送信出力の上限もあり、あまり大出力の送信アンプを利用してサービスエリア拡大を図るのは好ましくない。一方で、周波数の低いマイクロ波帯などは使い勝手の良い周波数帯として多くのシステムで利用されているために、既に周波数資源は枯渇しつつある状況であり、新たなシステムへの免許の割り当ては期待できない。
この結果、比較的高い周波数帯を用いて広いサービスエリアに対してサービス提供を図る場合、回線設計から得られるサービスエリア面積はビジネス的な採算性の視点からは十分と言えないことが多い。この場合の対策としては、エリア内の多数の無線局を利用して、無線によるマルチホップネットワークを構築して中継伝送することが考えられる。この様なマルチホップネットワークの例としては、例えばIEEE802.11sと呼ばれる無線LAN規格におけるメッシュワークなどが有名であり(非特許文献1参照)、ここでは送信元無線局から宛先無線局へデータを到達させるためのルーチングとしてAODV等の方式が提案されている。
図15は、従来技術における無線マルチホップネットワークにおけるルーチングの概要を示す。
図15において、100はネットワーク、101〜104は無線局(詳細には、101は送信元無線局、102は宛先無線局、103〜104は中継ノード)を表し、各無線局間リンクの数値は無線メトリック値を表す。例えば、ネットワーク100から無線局103にデータを転送する場合には、単純に無線局101と無線局103が直接的に無線回線を介して通信を行うことで対処可能である。一方、無線局101と直接的に通信を行うことができない無線局102に対してデータを転送する場合には、送信元無線局101→中継ノード103→宛先無線局102のルートと、送信元無線局101→中継ノード104→宛先無線局102のルートの様に、複数の選択肢が存在するルートの中から最適なルートを検索するルーチング処理が必要になる。
このルーチング処理では、まず各無線局間で運用可能な伝送速度、トラフィック量、干渉量などの無線回線の状態を示す指標として定義された無線メトリックを利用する。説明を簡単にするため、ここでは無線メトリック値が少ない方が無線回線の状態が好ましいとする。例えば、図15において、送信元無線局101と中継ノード103との間の無線メトリック値は「12」、送信元無線局101と中継ノード104との間の無線メトリック値は「10」、中継ノード103と宛先無線局102との間の無線メトリック値は「20」、中継ノード104と宛先無線局102との間の無線メトリック値は「12」となっている。この条件において、ルーチングを行うための処理を以下に示す。
(ステップ1)各無線局は、相互に近隣の無線局との間で無線メトリックを交換する。
(ステップ2)送信元無線局101は、リクエストパケットをマルチホップネットワーク内にブロードキャストする。具体的には、送信元無線局101からは近隣の中継ノード103〜104に対し、無線メトリック値を収容したリクエストパケットを送付する。
(ステップ3)各中継ノード103〜104は、受信したリクエストパケット内の無線メトリック値に、次の無線局との間の無線メトリック値を追加(積算または加算)したリクエストパケットを更に先の無線局に宛てて送信する。図15においては、中継ノード103および中継ノード104共に中継先が宛先無線局102のみなので、この局宛にリクエストパケットを送信する。
(ステップ4)宛先無線局102では、受信したリクエストパケットに収容された無線メトリック値を参照し、経路全体で積算または加算された無線メトリック値が最小なものを選択する。図15においては、経路として送信元無線局101→中継ノード103→宛先無線局102のルートは無線メトリック値「12」と「20」の積算(または加算)値、送信元無線局101→中継ノード104→宛先無線局102のルートは無線メトリック値「10」と「12」の積算(または加算)値となるので、経路としては送信元無線局101→中継ノード104→宛先無線局102のルートが好ましいと判断される。
(ステップ5)宛先無線局102は、レスポンスパケットを用いて選択されたルートを中継ノードに通知する。図15においては、中継ノード104宛てにレスポンスパケットを送付する。
(ステップ6)レスポンスパケットを受け取った中継ノード104は、この経路上の先の無線局に対しレスポンスパケットを転送する。具体的には、送信元無線局101にレスポンスパケットを送信し、マルチホップネットワーク内では送信元無線局101、中継ノード104、宛先無線局102のルートを選択して通信を行うことを決定する。
以上がマルチホップネットワークにおけるルーチングの概要である。一般的に、多数の無線局が混在する場合には、論理的なルートの数は膨大となり、それらの中から最適なルートを選択するためには時間がかかる。したがって、この様なルーチング処理を適切に行うためには、ある程度の期間は当該マルチホップネットワークのトポロジーに変化がない、ないしは各ルートの個別のリンクの状態はある程度の期間は定常的で変化が小さいという前提が必要となる。
図16は、従来の無線局装置の構成例を示す。
図16において、121は無線局装置、122は無線部、123はベースバンド信号処理部、124は無線パケット終端手段、125はインタフェース部、126はアンテナ、127は通信制御部、128は識別子取得手段、129は識別子一致判断手段、130は無線メトリック管理手段、131は制御部全体を示す。ここでの無線局装置とは、基地局および端末局を含む一般的な無線局装置であり、基本的な動作は、以下に説明するとおりである。なお、基地局であれば配下の端末局を管理するための機能などが追加されることになるが、例えばこれらの機能は通信制御部127の機能の一部と見ることができる。
無線局装置121は、無線回線を介した信号をアンテナ126で受信し、無線部122で帯域外信号のフィルタリング、ローノイズアンプによる信号増幅、RF周波数からベースバンド帯への周波数変換、アナログ信号からデジタル信号へのA/D変換等の処理を行う。デジタル化されたベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部123に入力され、タイミング検出、物理レイヤに関するヘッダ情報の終端、復調処理、誤り訂正などの一連のベースバンド信号処理が施される。ここでの具体的な処理内容は、この無線局装置が備える無線方式に依存したものとなるが、以下で説明する基本動作はその無線方式には依存しない。
ベースバンド信号処理部123から出力される復調処理された信号は無線パケット終端手段124に入力され、ここで無線通信用のフォーマットからイーサネット(登録商標)等の有線ネットワーク上で通信されるパケットのフォーマットに変換される。この無線パケットには、いわゆるヘッダ領域等のオーバヘッドが含まれており、各種の制御情報や誤り検出用のビットの終端が行われる。例えば、誤り検出機能で誤りなしと判断された無線パケットは、ヘッダ情報から宛先や送信元等を示す識別子が取り出され、これを通信制御部127に転送する。通信制御部127ではこれらのヘッダ情報を管理するが、この中から識別子取得手段128が宛先の識別子を抜き出し、識別子一致判断手段129にて自局の識別子との一致/不一致判定を行う。この結果は通信制御部127にフィードバックされ、宛先が自局であると判断された場合には、通信制御部127は無線パケット終端手段124に対してデータの出力を指示し、フォーマット変換されたパケットをインタフェース部125にて電気的な条件等を調整して、外部に対して出力する。
逆に外部よりパケットが入力された際には、インタフェース部125を介して無線パケット終端手段124に入力され、ここで通信制御部124からの指示に従いヘッダ情報を付加し、更には誤り検出符号などを付加して無線パケットを生成する。ここでは宛先無線局の識別子に加え、送信元の識別子として自局の識別子が付与されている。この信号をベースバンド信号処理部123に入力し、ここで物理レイヤに関するヘッダ情報の付加や誤り訂正のための符号化に加え各種変調処理を施し、さらにプリアンブル信号の付加などを行い無線パケットのベースバンド信号を生成する。この信号は無線部122に入力され、デジタル信号からアナログ信号に変換するD/A変換、周波数変換、帯域外信号のフィルタリング、信号増幅などを行い、アンテナ126より送信される。
また、マルチホップネットワークの中継を行う場合には、通信制御部127にて事前に設定されたルーチング情報をもとに、受信した無線パケットに対し中継を行うべきか否かの判断を行い、中継にて送信する無線パケットに付与すべきヘッダ情報を無線パケット終端手段124に通知し、この新たなヘッダ情報を収容した無線パケットに対し、ベースバンド信号処理部123および無線部122で所定の信号処理を施し、アンテナ126から中継される信号が送信される。
なお、上述のルーチング処理を行う場合には、通信制御部127にてリクエストパケットやレスポンスパケットを生成、終端し、その際には周辺の無線局との間の通信状態である無線メトリック値を管理するための無線メトリック管理手段130を介して必要な情報をデータベース化して管理する。
以上の一連の信号処理は全体的な概要を説明したものであり、詳細には更に細かい処理が含まれるが、例えば無線部における送信と受信の切り替えに相当する時分割スイッチの管理などの各種タイミング管理から様々な制御情報の生成/終端など、通信制御部127が中心となって制御を行う。また、ここでは敢えて識別子取得手段128、識別子一致判断手段129、無線メトリック管理手段130を通信制御部127から切り離して説明を行ったが、これら全てをひとつの制御部全体131と捉えることも可能である。つまりハードウエア的に異なる別回路として構成をする必要はなく、ソフトウエア的な処理を行うひとつの回路として制御部全体131が存在し、その内部処理的に論理的な機能が分かれているとみなすことが可能である。
青木秀憲他「IEEE802.11s 無線LANメッシュネットワーク技術」NTT DoCoMoテクニカル・ジャーナルVol.14 No.2 pp.14-pp.22, 2006年7月
以上のルーチングを伴うマルチホップ中継には以下の課題が存在する。
(1) 従来技術のルーチング処理は、開始から完了までの間に時間がかかるため、中継ノードとなりうる各無線局のトポロジーや各リンクの通信状態が急激に変動する場合、頻繁に再ルーチングが必要となる。この頻発する再ルーチングのオーバヘッドにより通信効率が低下する。
(2) ルーチングにより選択される通信は1対1通信を複数段組み合わせたものであるために、経路上の何処かに不安定なリングが存在する場合には、そのリンクが全経路の通信特性を左右するボトルネックになるリスクがある。
上記の(1) の問題について、例えば高速移動する多数の車に搭載された無線局により構成されるマルチホップネットワークを考える。この場合、各車は高速で移動しており、特に互いに逆方向に向かう車が混在したネットワークでは、トポロジーは急激に変動することになる。多数の車が中継ノードになりうる場合、様々なルートに対して検索をかけると最適ルート検索には時間がかかる。例えば、ルーチングに1秒程度の時間を要すると仮定する。各車が時速60kmで移動していれば、互いに逆方向に進む車同士の相対速度は時速 120kmとなる。この速度で1秒間に移動する距離は約33mであるから、この距離の移動に伴ってトポロジーは大きく変化する。すなわち、ルーチング開始時の上記(ステップ1)で取得した無線メトリック値はルーチング完了時において全く別の値に変化しており、さらにその状態で1秒間通信を継続したとすると累積で車は約67m移動したことになる。この間には、見通しが確保されていたはずのリンクの間に別の車が入り、見通しがさえぎられる状況にもなりうる。すなわち、通信状態が安定していると考えられる時間スケールに対して、ルーチングに要する時間は無視できるほど十分に小さな時間スケールになければならない。しかし、上記の自動車間の無線マルチホップネットワークではこの条件を満たすことはできない。
上記の(2) の問題について、例えばネットワークに接続された基地局が周辺の家庭に対してFWAサービスを提供する場合を考える。この場合の基地局は比較的高所にアンテナを設置していて、各ユーザ宅とは見通しが取れる可能性が高い。しかし、距離に伴う伝搬減衰が避けられないため、距離が大きくなると受信レベルが低下し、この結果として直接通信をすることが可能なエリアは限定される。この様な状態でマルチホップネットワークをユーザ宅内に設定されたFWAの端末局を中継ノードとして活用する場合を考える。
各中継ノードは基地局に対して低い所に設置されているため、中継ノード間は見通しが確保できる可能性は低い。さらに、局所的に中継ノードとなりうる無線局の密度が非常に低い領域がある場合には、中継ノードと中継ノードとの通信の品質が劣化することとなり、選択された経路の中の何れかのリンクが不安定であると全体としての通信品質も不安定になる。そもそもこの様な問題が発生する理由は、基地局と一般の端末局の装置上の条件や設置環境が非対称であり、基地局と各端末局との通信は比較的条件的に良好であることが期待される一方、端末局と端末局との間の通信では基地局との通信に比べて一般的に通信品質が劣るため、その非対称性を補う要素がなければマルチホップネットワークの中継の効率は低下する。
このように、マルチホップネットワークのトポロジーが急激に変化する場合や、マルチホップネットワーク内の基地局と端末局の間の非対象性が見られるような場合には、上記(1) ,(2) の問題を解決するための新たな技術が求められることになる。
本発明は、マルチホップネットワークのトポロジーが急激に変化する場合でも、そのトポロジーの変化の影響を抑えて安定した通信を可能とし、また経路上のどこかに不安定なリンクが存在する場合でも、その不安定なリンクが全経路の通信特性を左右するボトルネックになるリスクを回避して安定した通信を可能とする無線通信装置および無線通信方法を提供することを目的とする。
第1の発明は、ひとつの基地局および複数の無線局により構成され、基地局と無線局の中の通信相手の無線局との間で直接的にないしはマルチホップ中継を行いながら無線パケットの送受信を行う無線通信装置において、無線パケットは、送信元無線局および宛先無線局を示す識別子情報を含み、無線局は、該無線局が無線回線を介して接続すべき基地局の識別子情報を取得する基地局識別子取得手段と、無線パケットを受信する無線パケット受信手段と、受信した無線パケットの送信元無線局および宛先無線局を示す識別子情報を取得する識別子取得手段と、識別子取得手段で取得した送信元無線局または宛先無線局を示す識別子情報のいずれかが基地局の識別子情報または自局を示す識別子と一致するか否かを判断する識別子一致判断手段と、無線パケット内に明示的に記載された再送中継の終了条件およびまたはシステム上で定められた再送中継の終了条件のいずれかに従い再送中継を実施すべきか終了すべきかを判断する再送実施判断手段と、識別子一致判断手段で送信元無線局または宛先無線局を示す識別子情報のいずれかが基地局の識別子情報と一致すると判断され、かつ再送実施判断手段で再送中継を実施すべきと判断された際に、受信したまたは送信済みの無線パケットをそのままないしは所定のフィールドに記載の情報を所定の条件に従い修整して再構成した無線パケットのいずれかを送信する無線パケット送信手段と、識別子一致判断手段で宛先無線局を示す識別子情報が自局の識別子情報と一致すると判断された際に、受信した無線パケットを終端してデータを抜き出す無線パケット終端手段とを備える。
第1の発明の無線通信装置において、無線パケットは、所定のフィールドに再送中継の回数に関する情報である再送カウンタ値を含む制御情報を含み、再送実施判断手段は、受信した無線パケットの所定のフィールドに記載の再送カウンタ値を取得する再送カウンタ値取得手段と、再送カウンタ値が所定の条件に一致するか否かを判断する再送カウンタ値一致判断手段とを含み、さらに、無線パケット送信手段は、再送カウンタ値に加算ないしは減算を施す再送カウンタ更新手段と、更新された再送カウンタ値を所定のフィールドに記録して得られる無線パケットを再構築する無線パケット更新手段とを含む。
第1の発明の無線通信装置において、無線局および基地局は共通に認識されたタイムスロットを用いて通信を行い、再送実施判断手段は、無線パケットが受信されたタイムスロットが所定の周期的条件に一致したタイムスロットであった場合に再送終了と判断する構成である。
第1の発明の無線通信装置において、基地局は、再送中継の実施可否に関する制御情報を報知する制御情報報知手段を備え、無線局は、基地局の制御情報報知手段より通知される情報を取得する報知情報取得手段を備え、再送実施判断手段は、報知情報取得手段で得られた情報と無線パケットを送信すべきタイムスロットの関係を比較し再送中継を実施すべきか終了すべきかを判断する構成である。
第2の発明は、ひとつの基地局および複数の無線局により構成され、基地局と無線局の中の通信相手の無線局との間で直接的にないしはマルチホップ中継を行いながら無線パケットの送受信を行う無線通信方法において、無線パケットは、送信元無線局および宛先無線局を示す識別子情報を含み、無線局は、該無線局が無線回線を介して接続すべき基地局の識別子情報を取得する基地局識別子取得ステップと、無線パケットを受信する無線パケット受信ステップと、受信した無線パケットの送信元無線局および宛先無線局を示す識別子情報を取得する識別子取得ステップと、取得した送信元無線局または宛先無線局を示す識別子情報のいずれかが基地局の識別子情報または自局を示す識別子と一致するか否かを判断する識別子一致判断ステップと、無線パケット内に明示的に記載された再送中継の終了条件およびまたはシステム上で定められた再送中継の終了条件のいずれかに従い再送中継を実施すべきか終了すべきかを判断する再送実施判断ステップと、識別子一致判断ステップにおいて送信元無線局または宛先無線局を示す識別子情報のいずれかが基地局の識別子情報と一致すると判断され且つ再送実施判断ステップにおいて再送中継を実施すべきと判断された際に、受信した無線パケットをそのままないしは所定のフィールドに記載の情報を所定の条件に従い修整して再構成した無線パケットのいずれかを送信する無線パケット送信ステップと、識別子一致判断ステップにおいて宛先無線局を示す識別子情報が自局の識別子情報と一致すると判断された際に、該無線パケットを終端してデータを抜き出す無線パケット終端ステップとを有する。
第2の発明の無線通信方法において、無線パケットは、所定のフィールドに再送中継の回数に関する情報である再送カウンタ値を含む制御情報を含み、再送実施判断ステップは、受信した無線パケットの所定のフィールドに記載の再送カウンタ値を取得する再送カウンタ値取得ステップと、再送カウンタ値が所定の条件に一致するか否かを判断する再送カウンタ値一致判断ステップとを含み、さらに、無線パケット送信ステップは、再送カウンタ値に加算ないしは減算を施す再送カウンタ更新ステップと、更新された再送カウンタ値を所定のフィールドに記録して得られる無線パケットを再構築する無線パケット更新ステップとを含む。
第2の発明の無線通信方法において、無線局および基地局は共通に認識されたタイムスロットを用いて通信を行い、再送実施判断ステップは、無線パケットが受信されたタイムスロットが所定の周期的条件に一致したタイムスロットであった場合に再送終了と判断する。
第2の発明の無線通信方法において、基地局は、再送中継の実施可否に関する制御情報を報知する制御情報報知ステップを実施し、無線局は、基地局の制御情報報知手段より通知される情報を取得する報知情報取得ステップを実施し、再送実施判断ステップは、報知情報取得手段で得られた情報と無線パケットを送信すべきタイムスロットの関係を比較し再送中継を実施すべきか終了すべきかを判断する。
本発明の無線通信装置および無線通信方法は、送信元無線局と宛先無線局が直接的にデータ通信を行うことが困難な状況において、マルチホップで再送中継することで送信元無線局と宛先無線局の間の通信を実現する際に、1対1の通信を多段に組み合わせたルートの最適化を図るルーチング処理を必要とせずに実現することが可能となる。その結果、マルチホップネットワークのトポロジーが急激に変化する場合であっても、そのトポロジーの変化の影響を抑えて安定した通信を提供することが可能となる。
また、1対1の通信を多段に組み合わせる代わりに、複数の無線局が再送中継に関与することで、経路上の何処かに不安定なリングが存在する場合であっても、その他の多数の経路が同時並行的に運用されているために、不安定な局所的なリンクが全経路の通信特性を左右するボトルネックになるリスクを回避することが可能となる。
本発明における再送中継の基本動作の概要を示す図である。 本発明の実施例1の再送中継の動作概要を示す図である。 本発明の実施例1における無線局装置の構成例を示す図である。 本発明の実施例1における再送中継の動作フローを示す図である。 本発明の実施例2の再送中継の動作概要を示す図である。 本発明の実施例2の再送中継の別の動作概要を示す図である。 本発明の実施例3の再送中継の動作概要を示す図である。 本発明の実施例3における無線局装置の構成例を示す図である。 本発明の実施例3における再送中継の動作フローを示す図である。 本発明の実施例4の再送中継の動作概要を示す図である。 本発明の実施例4における無線局装置の構成例を示す図である。 本発明の実施例4における再送中継の動作フローを示す図である。 本発明の実施例5の再送中継の動作概要を示す図である。 本発明の実施例5における再送中継の動作フローを示す図である。 従来の無線マルチホップネットワークにおけるルーチングの概要を示す図である。 従来技術における無線局装置の構成例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の無線通信装置の実施形態について詳しく説明する。まず個々の実施形態の説明の前に、全体的な基本動作について説明する。なお、本明細書においては「再送中継」という用語を用いているが、これはマルチホップ中継を行う際の1対1の通信を多段に組み合わせた通信と異なり、ヘッダ領域に記載される送信元および宛先無線局の識別子を書き換えることなしに中継することを意識したものであり、いわゆる誤り訂正のための再送(ARQ:Automatic Repeat reQest )を意味したものではない。
図1は、本発明における再送中継の基本動作の概要を示す。
図1において、1−1〜1−2は基地局、2−1〜2−7および3−1〜3−7は無線局、4−1〜4−2は無線パケット、5−1〜5−2は各基地局のサービスエリア、100はネットワークを表す。
ネットワーク100に接続された基地局1−1,1−2は、それぞれがサービスエリア5−1,5−2を形成する。サービスエリア5−1は基地局1−1により管理されたエリアで、サービスエリア5−2は基地局1−2により管理されたエリアである。サービスエリア5−1内には無線局2−1〜2−7が存在し、サービスエリア5−2内には無線局3−1〜3−7が存在する。無線局2−1〜2−3は基地局1−1と通信できるが、その他の無線局2−4〜2−7は基地局1−1と直接通信を行うことはできない。なお、ここでのサービスエリアとは、たとえば、基地局1−1により管理される無線局によりマルチホップネットワークとして拡張される、無線局が基地局1−1と通信可能なエリアをいう。各基地局1−1〜1−2および各無線局2−1〜3−7にはそれぞれ識別子が付与されており、例えば基地局1−1には「A」、基地局1−2には「B」、無線局2−1には「a」、無線局2−2には「b」、…、無線局3−7には「n」の識別子が付与されている。
各サービスエリア5−1〜5−2に所属する無線局2−1〜3−7は、そのサービスエリアを管理する基地局の識別子を把握しているものとする。この把握方法は如何なるものであっても良く、例えばFWAサービスであればサービス契約時にサービスエリア毎の基地局情報を設定しても構わないし、無線局の位置が分かればネットワーク上ないしは無線局が備えるデータベースと位置情報を参照して基地局の識別子を把握しても良い。さらには、基地局がエリア内のユーザに対して通知しても構わない。この様にして、例えばサービスエリア5−1内の無線局2−1は、自局を管理する基地局1−1の識別子が「A」であることを事前に認識している。
次に、ネットワーク100から無線局2−7に送信すべきデータが存在する場合を考える。このデータはネットワーク100から基地局1−1に入力され、基地局1−1は、ヘッダ領域に送信元の識別子「A」と宛先の識別子「g」を含む無線パケット4−1を生成し、これを送信する。この信号は基地局1−1の近傍の無線局2−1〜2−3が受信する。例えば、無線局2−1は無線パケット4−1を受信すると、そのヘッダ領域に付与された識別子として送信元の識別子「A」と宛先の識別子「g」を認識する。ここで、自局を管理する基地局1−1の識別子が「A」であることから、送信元が自局を管理する基地局1−1であると認識することができる。この様な条件の無線パケット4−1を受け取った無線局2−1〜2−3はその信号を再送中継し、この中継された信号が無線局2−4〜2−6に受信できたとする。これらの無線局2−4〜2−6も同様に、無線パケット4−1と同等の無線パケットを受信し、そのヘッダ領域に付与された識別子として送信元の識別子「A」と宛先の識別子「g」を認識する。
ここで、無線局2−4〜2−6も自局を管理する基地局1−1の識別子が「A」であることから、送信元が自局を管理する基地局1−1であると認識することができる。そして同様にその信号を再送中継し、この中継された信号を無線局2−7が受信する。無線局2−7は、受信した無線パケットのヘッダ領域に付与された識別子として送信元の識別子「A」と宛先の識別子「g」を認識し、宛先の識別子が自局の識別子と一致することを認識する。これにより、この無線パケットが自局宛であることを認識し、この無線パケットを終端し、中に収容されたデータを取り出すことができる。この様にして、基地局1−1から無線局2−7への通信を実現する。
次に、マルチホップネットワークの下流から上流方向へのアップリンクの通信に関して説明する。例えば、無線局3−7からネットワーク100側に送信すべきデータが存在する場合を考える。無線局3−7は、ヘッダ領域に送信元の識別子「n」と宛先の識別子「B」を含む無線パケット4−2を生成し、これを送信する。この信号は無線局3−7の近傍の無線局3−4〜3−6が受信する。例えば、無線局3−4は無線パケット4−2を受信すると、そのヘッダ領域に付与された識別子として送信元の識別子「n」と宛先の識別子「B」を認識する。ここで、自局を管理する基地局1−2の識別子が「B」であることから、宛先が自局を管理する基地局1−2であると認識することができる。この様な条件の無線パケット4−2を受け取った無線局3−4〜3−6は、その信号を再送中継し、この中継された信号を無線局3−1〜3−3が受信できたとする。これらの無線局3−1〜3−3も同様に、無線パケット4−2と同等の無線パケットを受信し、そのヘッダ領域に付与された識別子として送信元の識別子「n」と宛先の識別子「B」を認識する。
ここで、無線局3−1〜3−3も自局を管理する基地局1−2の識別子が「B」であることから、宛先が自局を管理する基地局1−2であると認識することができる。そして同様に、その信号を再送中継し、この中継された信号を基地局1−2が受信する。基地局1−2は、受信した無線パケットのヘッダ領域に付与された識別子として送信元の識別子「n」と宛先の識別子「B」を認識し、宛先の識別子が自局の識別子と一致することを認識する。これにより、この無線パケットが自局宛であることを認識し、この無線パケットを終端し、中に収容されたデータを取り出しネットワーク100に転送することができる。この様にして、無線局3−7から基地局1−2への通信を実現する。
ここで注意しておくこととして、例えば近接するサービスエリアからの電波の漏れ込み等により、無線局3−4が再送中継した無線パケット4−2と同等の信号を、基地局1−1の配下(基地局1−1のサービスエリア5−1内に存在することを意味する)の例えば無線局2−3や無線局2−6が受信できたとする。この際、無線局2−3または2−6は、受信した無線パケットのヘッダ領域に付与された識別子として送信元の識別子「n」と宛先の識別子「B」を認識することができるが、そのいずれも自局を管理する基地局1−1の識別子「A」と一致しないため、再送中継を行うことはない。
以上が本発明の基本的な動作である。ここで、本発明の特徴は、中継を行う無線局は複数存在し、それらは全て同一の内容の信号を同一周波数でかつ同一タイミングで送信する点にある。それぞれの無線局の周波数誤差が無視できる場合には、若干のタイミング誤差があったとしても、それはあたかもマルチパスの信号と等価な信号とみなすことができる。しかも、図1では3つの無線局が同時に送信するため、総送信電力は3倍となり、かつ物理的に異なる場所からの信号であるためにダイバーシチ効果も得られる。受信側では複数の無線局からの信号が合成されて受信することになるため、無線局毎に特性のばらつきが出ることは予想されるが、平均受信電力について中継局の数だけ利得が向上するため、システム全体としての回線利得が大幅に改善することが期待される。特に、局所的に見通しが利かないリンクがあっても、複数の無線局から信号を受信可能で、かつ受信側も複数の候補が存在するために、ダイバーシチ効果は非常に大きい。さらに、1対1の通信を多段に構成する構成ではないため、最適なルートを選定するルーチング処理が不要であり、トポロジーの急激な変化にも柔軟に対応可能である。
以下、本発明によるマルチホップの再送中継を実現するための具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
図2は、本発明の実施例1の再送中継の動作概要を示す。
図2において、11は基地局、12−1〜12−9は再送中継を行う無線局、13は宛先無線局を表す。図2(1) は基地局11および無線局12−1〜12−9および宛先無線局13の位置関係を示し、図2(2) はタイムスロット#1〜#8における各無線局の送信または受信状態を示し、横軸は時間を示す。
タイムスロット#1で基地局11が無線パケットを送信すると、無線局12−1〜12−3がこの信号を受信する。次のタイムスロット#2では、前のタイムスロット#1で送信していた基地局11と、受信していた無線局12−1〜12−3が送信動作を行い、この信号を無線局12−4〜12−6が受信する。次のタイムスロット#3では、前のタイムスロット#2で送信していた基地局11および無線局12−1〜12−3と、受信していた無線局12−4〜12−6が送信動作を行い、この信号を無線局12−7〜12−9が受信する。次のタイムスロット#4では、前のタイムスロット#3で送信していた基地局11および無線局12−1〜12−6と、受信していた無線局12−7〜12−9が送信動作を行い、この信号を宛先無線局13が受信する。これにより、基地局11が送信した無線パケットを宛先無線局13が受信することができる。
同様に、無線局13が基地局11宛てに無線パケットを送信する場合、タイムスロット#5で無線局13が無線パケットを送信すると、無線局12−7〜12−9がこの信号を受信する。次のタイムスロット#6では、前のタイムスロット#5で送信していた無線局13と、受信していた無線局12−7〜12−9が送信動作を行い、この信号を無線局12−4〜12−6が受信する。次のタイムスロット#7では、前のタイムスロット#6で送信していた無線局13および無線局12−7〜12−9と、受信していた無線局12−4〜12−6が送信動作を行い、この信号を無線局12−1〜12−3が受信する。次のタイムスロット#8では、前のタイムスロット#7で送信していた無線局13および無線局12−4〜12−9と、受信していた無線局12−1〜12−3が送信動作を行い、この信号を基地局11が受信する。これにより、無線局13が送信した無線パケットを基地局11が受信することができる。
本実施例1の特徴は、所定のタイムスロットまでの間は、受信した無線パケットを何度も繰り返して送信し続ける点にある。この様にして、トータルの送信電力を高めることで、最終的な無線パケットの送達を確実なものにすることができる。ここで、どのタイムスロットまで繰り返し送信するか(すなわち再送中継回数の上限)に関しては、例えばサービスエリアの半径と、1回当たりの再送中継にてどの程度にまで無線パケットが届くかに関する統計的な情報が回線設計的に見積もられていれば、何回の再送中継でサービスエリアをカバーできるかを推定することは可能である。以下に示す実施例においては、どのタイムスロットまで再送中継を繰り返すべきかの情報に関する基地局11と配下の無線局(12−1〜12−9および13)の間での情報共有方法を具体的に示しているが、この再送中継回数の上限値自体の設定は、上述の回線設計情報から得られるものとする。
図3は、本発明の実施例1における無線局装置の構成例を示す。
図3において、21は無線局装置、22は無線部、23はベースバンド信号処理部、24は無線パケット終端手段、25はインタフェース部、26はアンテナ、27は通信制御部、28は識別子取得手段、29は識別子一致判断手段、30は基地局識別子取得手段、31は再送中継実施判断手段、32は制御部全体を示す。従来技術の説明でも述べたとおり、ここでの無線局装置とは、基地局および端末局を含む一般的な無線局装置であり、基地局であれば配下の端末局を管理するための機能などが追加されることになるが、これらの機能は通信制御部27の機能の一部と見ることができるため、基本的には以下の説明で基地局および端末局を含めた理解が可能である。
基本的な動作は従来技術の通りであるが、自分宛の無線パケット以外を再送中継する場合の動作が本発明では異なるので、その点に絞ってここでは説明を行う。無線回線を介した信号をアンテナ26で受信し、無線部22、ベースバンド信号処理部23で処理された信号は無線パケット終端手段24に入力され、ここで無線通信用のフォーマットからネットワーク上で一般的なパケットのフォーマットに変換される。ここでは、この無線パケットに付与されたヘッダ情報から宛先や送信元等を示す識別子が取り出され、これを通信制御部27に転送する。通信制御部27ではこれらのヘッダ情報を管理するが、この中から識別子取得手段28が送信元および宛先の識別子を抜き出し、識別子一致判断手段29にて自局の識別子および自局が接続する基地局の識別子との一致/不一致判定を行う。この結果は通信制御部27にフィードバックされ、宛先が自局であると判断された場合には、通信制御部は無線パケット終端手段24に対してデータの出力を指示し、フォーマット変換されたパケットをインタフェース部25にて電気的な条件等を調整して、外部に対して出力する。
一方、識別子一致判断手段29にて自局宛ではないが自局が接続する基地局の識別子が宛先ないしは送信元と一致すると判定した際には、この結果を再送中継実施判定手段31に通知し、再送中継実施判定手段31では後述する様々な判断条件を加味して再送中継の実施の可否を判断し、その結果を通信制御部27に通知する。通信制御部27では再送中継の実施指示を受けた際には、無線パケット終端手段24に対して受信した無線パケットをそのまま、ないしはヘッダ情報を所定のルールで変更し、誤り検出符号化などの処理を施し無線パケットを更新し、これをベースバンド信号処理部23、無線部22、アンテナ26を介して無線回線に送信する。この様にして再送中継を実施する。
なお、無線パケットのヘッダ情報の変更ルールや、再送中継実施判断の判断条件等は以下の実施例の中で説明を行うが、これらの例に限定されない。また、基地局識別子取得手段30は、基地局により報知された基地局識別子を通信制御部27が取得することにより、または自ら備えている様々な情報の中から、自局が接続すべき基地局の識別子情報を取得する。すなわち、基地局の識別子は基地局から受信した無線パケットから取得したものでも構わないし、自局がもつデータベースなどから参照したものでも構わない。この場合、当該無線局がGPS等の自局の位置情報を取得できる場合には、当該位置情報とデータベース上の基地局の位置に基づいて、最も近い基地局に対応する識別子を取得するなど、別の情報をもとにして取得することも可能である。また、FWAサービスなどの場合であれば、契約時、機器設置時などに設定しても構わない。この様に、基地局識別子取得手段30による「識別子の取得」の意図するところは、必ずしも能動的な取得である必要はなく、装置内の設定値の読み込みやデータベースからの検索という処理であっても良い。この様に様々な形で取得される識別子情報を基地局識別子取得手段30が管理し、識別子一致判断手段29の問合せに対して応答する。また、通信制御部27、識別子取得手段28、識別子一致判断手段29、基地局識別子取得手段30、再送中継実施判断手段31は、通信制御部27から切り離して説明を行ったが、これら全てをひとつの制御部全体32と捉えることも可能である。すなわち、ハードウエア的に異なる別回路として構成する必要はなく、ソフトウエア的な処理を行うひとつの回路として制御部全体32が存在し、その内部処理的に論理的な機能が分かれているとみなすことも可能である。
以上は無線回線で無線パケットを受信した場合の動作であるが、外部よりパケットが入力された際には、当然ながら識別子などの参照を省略して従来技術と同様の送信動作を行うことになる。ただし、従来技術ではルーチングのための動作が規定されていたが、本発明ではルーチングを行わずに無線パケットの転送を行うので、これらの機能は必要ない。
以上の一連の信号処理は全体的な概要を説明したものであり、詳細には更に細かい処理が含まれるが、例えば無線部における送信と受信の切り替えに相当する時分割スイッチの管理などの各種タイミング管理から様々な制御情報の生成/終端など、通信制御部27が中心となって制御を行う。
図4は、本発明の実施例1における再送中継の動作フローを示す。
図において、各無線局は無線パケットを受信する(S1 )と、受信した無線パケットの所定のフィールドから送信元および宛先である無線局の識別子を取得(S2 )し、宛先識別子が自局の識別子に一致するかどうかを判定する(S3 )。一致した場合には、無線パケットを終端してデータの出力処理を実施し(S6 )、「再送中継なし」として処理を終了する(S7 )。
一方、処理S3 にて一致しなかった場合は、送信元ないしは宛先識別子が自局を管理する基地局の識別子に一致するかどうかを判断し(S4 )、一致しない場合には「再送中継なし」として処理を終了する(S7 )。一方、一致した場合には再送中継実施条件に合致するかどうかの判断を行い(S5 )、再送実施条件に合致する場合には再送中継を実施し(S9 )、合致しない場合には再送中継を終了する(S8 )。なお、処理S9 にて再送中継を実施した場合には、再送中継の実施後に再度処理S5 に戻り、引き続き再送中継の実施条件に合致するかの判断を行う。繰り返し再送実施条件に合致する場合には、複数回の再送中継を継続し、条件に合致しなくなった段階で再送中継を終了する。なお、ここでの再送中継実施条件とは、以下の実施例でも具体例を示すが、例えば再送中継をどのタイムスロットまで継続するかとか、何回まで再送中継を行ったら再送中継を終了するかなどの条件を意味する。
以上の説明においては、従来技術において説明したようなルーチング処理は一切伴わない。基地局ないしは端末局が送信局となる場合には、必要に応じて無線パケットのヘッダ情報を適宜設定したり、フレーム条件や報知情報などを再送中継条件に適合させるなどの整合性を確保する必要がある。さらに、送信局は無線パケットの新規送信(S10)の後、無線パケットの受信時と同様に処理S5 に移行し、この後の処理は無線パケット受信時と同様であり、再送実施条件に合致するか否かの判断を行い、その判断結果により再送中継の終了(S8 )ないしは再送中継実施(S9 )の処理を実施する。
(実施例2)
図5は、本発明の実施例2の再送中継の動作概要を示す。図2に示す実施例1との違いは、再送中継を実施する無線局が異なる点にある。
図5において、タイムスロット#1で基地局11が無線パケットを送信すると、無線局12−1〜12−3がこの信号を受信する。次のタイムスロット#2では、基地局11は送信を行わず、前のタイムスロット#1で受信していた無線局12−1〜12−3が送信動作を行い、この信号を無線局12−4〜12−6が受信する。次のタイムスロット#3では、基地局11および無線局12−1〜12−3は送信を行わず、前のタイムスロット#2で受信していた無線局12−4〜12−6が送信動作を行い、この信号を無線局12−7〜12−9が受信する。次のタイムスロット#4では、基地局11および無線局12−1〜12−6は送信を行わず、前のタイムスロット#3で受信していた無線局12−7〜12−9が送信動作を行い、この信号を宛先無線局13が受信する。これにより、基地局11が送信した無線パケットを宛先無線局13が受信することができる。
同様に、無線局13が基地局11宛てに無線パケットを送信する場合、タイムスロット#5で無線局13が無線パケットを送信すると、無線局12−7〜12−9がこの信号を受信する。次のタイムスロット#6では、無線局13は送信を行わず、前のタイムスロット#5で受信していた無線局12−7〜12−9が送信動作を行い、この信号を無線局12−4〜12−6が受信する。次のタイムスロット#7では、無線局13および無線局12−7〜12−9は送信を行わず、前のタイムスロット#6で受信していた無線局12−4〜12−6が送信動作を行い、この信号を無線局12−1〜12−3が受信する。次のタイムスロット#8では、無線局13および無線局12−4〜12−9は送信を行わず、前のタイムスロット#7で受信していた無線局12−1〜12−3が送信動作を行い、この信号を基地局11が受信する。これにより、無線局13が送信した無線パケットを基地局11が受信することができる。
本実施例の特徴は、無線パケットを受信した無線局が次のタイムスロットのみで再送中継する点にある。この様にして、あまり再送中継しても効果の少ないと思われる無線局の送信を抑制することで、実施例1に比較して周囲のサービスエリアへの与干渉を低減することができる。なお、再送の回数は必ずしも1回である必要はなく有限回としても構わない。例えば、再送中継を2回行う場合の動作概要を図6に示すが、これは図2と図5で示した中間の動作に相当する。
本発明の実施例2における再送中継の動作フローは、基本的に図4に示した処理と同様であり、図5に記載の内容の場合には図4の処理S5 において、1 回目の再送中継か否かが判断条件になり、図6に記載の内容の場合には図4の処理S5 において2回目までの再送中継か否かが判断条件となる。
なお、ここでは例えばタイムスロット#3で送信した信号が、実際には無線局12−1〜12−3および基地局11で受信される状況が想定される。しかし、以下に示す実施例の様に、一連の再送中継がどのタイムスロットまで継続するかを把握することができていれば、タイムスロット#3で受信した無線パケットは、無線局12−1〜12−3および基地局11にとって再送中継が既に完了した無線パケットであると認識することが可能であり、この場合には図4の処理S5 において、再送中継実施条件に合致しないと判断することになる。また同様の認識は、例えば無線パケットに通し番号などを付与し、再送中継を完了した無線パケットと同一であると判断し、同様に図4における処理S5 において、再送中継実施条件に合致しないと判断することも可能である。
(実施例3)
図7は、本発明の実施例3の再送中継の動作概要を示す。図2に示す実施例1との違いは、再送カウンタを用いて再送中継の回数の上限を管理する点である。
図7において、基地局11が無線局13宛てに無線パケットを送信する場合、ヘッダ領域に送信元無線局および宛先無線局の識別子に加えて、再送中継の回数の上限値を再送カウンタ値RCとして収容した無線パケットを構成し、これを送信する。
タイムスロット#1で基地局11が送信した無線パケットを受信した無線局12−1〜12−3は、この無線パケットに収容された送信元無線局および宛先無線局の識別子、再送カウンタ値RCを参照し、送信元無線局および宛先無線局の識別子のいずれかが自局を管理する基地局11の識別子に一致した場合、再送カウンタ値RCを1だけ減算してタイムスロット#2で送信する。この際、前のタイムスロット#1で送信を行った基地局11も、送信した無線パケットに付与されていた再送カウンタ値RCを1だけ減算してタイムスロット#2で送信する。
同様に、タイムスロット#2で無線パケットを受信した無線局12−4〜12−6は、この無線パケットに収容された送信元無線局および宛先無線局の識別子、再送カウンタ値RCを参照し、送信元無線局および宛先無線局の識別子のいずれかが自局を管理する基地局11の識別子に一致した場合、再送カウンタ値RCを1だけ減算してタイムスロット#3で送信する。この際、前のタイムスロット#2で送信を行った基地局11および無線局12−1〜12−3も、送信した無線パケットに付与されていた再送カウンタ値RCを1だけ減算してタイムスロット#3で送信する。
以上の処理を繰り返し、タイムスロット#1では再送カウンタ値RCは3、タイムスロット#2では再送カウンタ値RCは2、タイムスロット#3では再送カウンタ値RCは1、タイムスロット#4では再送カウンタ値RCは0となり、タイムスロット#4で無線パケットを受信または送信した基地局11および無線局12−1〜12−9および宛先無線局13は、これ以上の再送中継は不要であると認識し、再送中継を完了する。宛先無線局13は、このタイムスロット#4で無線パケットを受信し、基地局11から宛先無線局13への無線パケットの転送は完結する。
同様に、基地局11が無線局12−7宛てに無線パケットを送信する場合について説明する。無線局12−7は無線局13よりも近距離に位置する場合、基地局11はその距離ないしは宛先無線局12−7の存在する場所に応じて、再送カウンタ値RCを適宜設定する。この図では、再送カウンタ値RCを2と設定している。先の説明と同様に、無線パケットは順次再送中継されるが、タイムスロット#7において、無線パケットを送信した基地局11および無線局12−1〜12−6、無線パケットを受信した無線局12−7〜12−9は、この無線パケットに収容された再送カウンタ値RCが0であることから再送中継を終了する。したがって、タイムスロット#8に送信すべき無線パケットがなければ送受信は行われない。
同様に、無線局側から基地局側に無線パケットを再送中継する場合も、送信元になる無線局は、適宜、再送カウンタ値RCを無線パケットに設定して送信することになる。
宛先無線局に無線パケットを送信する基地局が再送カウンタ値RCを設定する方法としては、宛先無線局の存在する大まかな位置を把握している場合には、1ホップでどの程度の距離だけ転送可能かを伝搬環境を考慮して推定し、何回再送中継すれば到達するかを判断することは可能である。また、基地局に無線パケットを送信する無線局においても、自局の存在位置と基地局の場所との関係から同様に何回再送中継すれば到達するかを判断することは可能である。
さらに、基地局11が送信する無線パケットのヘッダ領域に、再送カウンタ値RCに加えて、再送カウンタ値の初期値をあわせて収容しておけば、各無線局は自局宛の無線パケットが何回目の再送で到達できたかを知ることが可能であり、この情報を基に逆方向の伝送に必要なホップ数を推定することも可能である。同様の制御は、再送カウンタ値の初期値を0に設定すると共に再送カウンタ値の最終値をあわせて収容し、1 回の再送中継毎に再送カウンタ値を1ずつ加算し、再送カウンタ値が再送カウンタ値の最終値に一致する場合には再送中継の終了を判断する処理としても実効的には等価である。
なお、これらのホップ数は基地局から端末局側への下り方向と、端末局側から基地局への上り方向とで必ずしも対称とは限らない。これは、基地局と一般の無線局の送信電力が異なる場合には容易に発生するため、この点を考慮して上り/下りの再送カウンタ値を最適化すればよい。最も簡単な方法としては、下り方向に要するホップ数に、固定的なホップ回数の加算(例えばプラス1 回)を行うなどが考えられるが、この回数にしてもサービスエリアの伝搬環境や基地局および無線局の送信電力やアンテナ利得などを考慮した個別の条件で異なる値としても構わない。
また、ここでの実施例では再送カウンタ値RCがゼロになるまでは全ての無線局が繰り返し再送中継する場合を示したが、実施例2で示したように、数回の再送中継を行ったらそれ以降は再送カウンタ値の値に関係なく、再送中継を実施しないという動作でも構わない。
図8は、本発明の実施例3における無線局装置の構成例を示す。図3に示す実施例1の無線局装置の構成例との差分は、再送カウンタ取得手段33、再送カウンタ一致判断手段34が追加された点である。
動作は、無線回線を介して無線パケットを受信した際に、無線パケットのヘッダ領域からは宛先および送信元の無線局の識別子に加えて再送カウンタ値の情報も無線パケット終端手段24より通信制御部27に入力され、さらに通信制御部27から再送カウンタ取得手段33に再送カウンタ値が転送される。再送カウンタ取得手段33では、再送カウンタ一致判断手段34にて所定の値(例えば図7の様にカウント値を1ずつ減算する場合にはゼロ)と再送カウンタ値が一致するかどうかを確認する。その結果を再送中継実施判断手段31に通知し、識別子一致判断手段29から通知される結果とあわせて再送中継の可否を判断し、その結果を通信制御部27に通知し、その指示に従い再送中継を実施する。なお、新規に送信する、または再送中継する再送カウンタ値の設定はここでは通信制御部27で実施し、無線パケット終端手段24にてその値を無線パケットに反映することになる。
図9は、本発明の実施例3における再送中継の動作フローを示す。基本的な動作は図4に示す実施例1と同様であるが、ここでは図4の処理S5 における再送実施条件に合致するかどうかの判断として再送カウンタ値を用いた処理となっている。このため、図4の処理S2 は再送カウンタ値も同時に取得する処理(S11)に置き換えられる。また、再送実施判断である図4の処理S5 においては再送カウンタ値RCが0であるかを判断し(S12)、0の場合には再送中継を終了する(S8 )。処理S12にて0以外の場合には、再送カウンタ値RCを1だけ減算し(S13)、減算した再送カウンタ値RCを収容した無線パケットを再構築し(S14)、この無線パケットの再送中継を実施する(S9 )。
図4の場合と同様に、処理S9 の実施後は次なる再送の実施判断を行う処理S12に戻り、所定の回数だけ再送を繰り返す。また、無線パケットの新規送信時(S10)に対しても同様であり、新規送信処理の完了後に図4の処理S5 に相当する処理S12に移行し、同様の処理を繰り返す。なお、無線パケットの新規送信時には、通常の送信処理に加えて再送カウンタを所定の値に設定する処理をあわせて行う。図9の例では、再送カウンタ値RCとしては残りの再送回数を示す値としているため、再送のたびに1ずつカウンタ値を減算することで対応しているが、同様の処理は異なる条件でも実施可能である。例えば、再送回数の上限値が設定されている場合には、再送のつどに処理S13では再送カウンタ値RCを1ずつ加算し、処理S12では再送カウンタが再送回数の上限に一致するか否かで判断しても良い。また、再送カウンタが2進数表示で表され、各ビットが1回目、2回目、…の再送の実施の有無を示すのであれば、対応したビットを反転させることで処理を実施することも可能である。この様に、再送カウンタの具体的な実現方法は、再送の実施判断および残りの再送の回数が把握できるものであれば如何なるものであっても構わない。
(実施例4)
図10は、本発明の実施例4の再送中継の動作概要を示す。図7に示す実施例3との違いは、ここでは再送カウンタ値を用いることなく再送回数の上限を管理している点である。
図10において、タイムスロット#1からタイムスロット#4は第1フレーム、タイムスロット#5からタイムスロット#8は第2フレームといったフレーム構成を備えている。各再送中継は、フレーム単位で完結し、フレームをまたいでの再送中継は行わない。タイムスロット#1からタイムスロット#4の再送中継は図2に示す実施例1の動作と全く同じであるが、異なる点はタイムスロット#4において、基地局11、無線局12−1〜12−9および宛先無線局13は、第1フレームの最終タイムスロットであることを把握することで、これ以上の再送中継を中止する。
なお、図2では基地局11から宛先無線局13への無線パケットの転送について説明したが、ここでは無線局12−4宛ての無線パケットの転送について説明する。無線局12−4は基地局11から比較的近距離であるために、タイムスロット#6までで十分に無線パケットを受信可能である。しかし、毎フレーム共通のフレーム長を用いる場合には、このタイムスロット#6で再送中継を終了しない。この結果、タイムスロット#6までに、宛先である無線局12−4が無線パケットを正常に受信できているところ、タイムスロット#7およびタイムスロット#8にて再送中継が継続されることとなる。
ここでフレーム周期は、各基地局がサポートするサービスエリアを考慮し、サービスエリアの端まで無線パケットを送り届けるのに必要な再送中継の回数を見積もり、この値に合わせたタイムスロット数をフレーム長に設定する。ないしは、システム固有の値として、システム設置時にフレーム長を固定的に与えても構わない。なお、フレーム長は、必ずしも実時間で与える必要はない。具体的には、各無線パケットは送信するデータ長が必ずしも一定とは限らないため、各無線パケットの送信に必要となる時間も一定ではない。この場合、無線パケットのデータ長と変調方式から与えられる無線パケットの伝送に要する時間と、ガードタイム的な無線パケットと無線パケットとの隙間の時間を合わせた時間を単位タイムスロット長として無線パケット毎に定義し、フレーム長がこの単位タイムスロット長の何個分という定義でもよい。さらには、このフレーム長を固定的な条件で定める以外にも、逐次、基地局から報知する制御情報の中で、このフレーム長をダイナミックに変更しながら定めるという方法をとっても構わない。
なお、本実施形態の場合の機能ブロック構成は、基本的に図3に示す実施例1のものと同等となるが、この場合は通信制御部27にてフレーム周期を管理する機能を備えることになる。このフレーム周期は基地局装置から通知される情報に従い同期を図っても構わないし、図11に示すようにGPS等35の別の無線システムのより得られるタイミングに関する情報をもとに同期を図っても構わない。GPSを用いる場合には精度の高い絶対時間を各無線局で共有できるため、各タイムスロットの区切り(フレームの区切り)などは簡易に把握することができる。また、他の無線システムとは、例えば電波時計の様なものであっても構わない。この様な同期に必要な時刻情報を把握できるものであれば、あらゆるものを利用することが可能である。
図12は、本発明の実施例4における再送中継の動作フローを示す。基本的な動作は図4に示す実施例1と同様であるが、ここでは図4の処理S5 における再送実施条件に合致するかどうかの判断においてフレーム条件を用いた処理となっている。このため、再送実施判断である図4の処理S5 においては、まずフレーム条件を把握し(S15)、フレームENDか否かを判断し(S16)、フレームENDの場合には再送中継を終了する(S8 )。一方、フレームEND以外の場合には再送中継を実施する(S9 )。図4の場合と同様に、処理S9 の実施後は処理S15に戻り、フレームENDとなるまで所定の回数だけ再送を繰り返す。また、無線パケットの新規送信時(S10)に対しても同様であり、新規送信処理の完了後に図4の処理S5 に相当する処理S15および処理S16に移行し、同様の処理を繰り返す。なお、無線パケットの新規送信時には、フレーム先頭から送信を開始することになる。
(実施例5)
以上説明した以外にも、基地局から報知される情報を利用すれば、再送の打ち切りを判断することは可能である。
図13は、本発明の実施例5の再送中継の動作概要を示す。
図13において、19は基地局からの報知情報である。無線パケットの再送中継を行うタイムスロット#1〜#8毎に、再送中継の実施の可否を周知する。再送ありとの指示を受ければ再送を行い、再送の指示がなければ再送を行わない。例えば、タイムスロット#1〜#3およびタイムスロット#5〜#7では、基地局からの再送の指示があるので次のタイムスロットで再送中継を行うが、タイムスロット#4および#8では、基地局からの再送の指示がないので次のタイムスロットでは再送中継は行わない。この再送の指示は、再送実施を明示的に示しても良いし、再送中止の明示的な指示がなければ再送を行うとしても構わない。
ないしは、1回の再送指示がその後複数回の再送を意味するとしても構わない。この場合には、再送指示がなくても直前のタイムスロットで指示がなされていれば、再送を実施することが可能である。この場合、逆に再送中止の際には、その分、前のタイムスロットから再送指示を取りやめる必要がある。具体的には、1 回の「再送あり」の指示が2回分の再送中継を指示するものであるならば、タイムスロット#4での再送中継完了を指示するために、タイムスロット#2での「再送あり」の指示を最後とし、タイムスロット#3では「再送あり」の指示を行わないようにすれば良い。
また、この再送の指示は各無線パケットの送信タイミングの隙間で送信しても良いし、OFDMAなどを用いて特定のサブキャリアにそのような信号を収容しても構わない。さらには、回線利得を確保するために、既知のパターンの固定信号を送信し、受信側ではその信号の相関検出を行い、相関値が所定のレベル以上となる信号を検出できた場合には再送の指示と判断することも可能である。つまり、伝送方式などが異なる場合も含めてどの様な条件で再送の指示をしても構わない。
図14は、本発明の実施例5における再送中継の動作フローを示す。基本的な動作は図4に示す実施例1と同様であるが、ここでは図4の処理S5 における再送実施条件に合致するかどうかの判断において報知情報を用いた処理となっている。このため、再送実施判断である図4の処理S5 においては、まず報知情報を取得し(S17)、報知情報にて再送中継の実施の指示があるか否かを判断し(S18)、実施の指示がなければ再送中継を終了する(S8 )。一方、再送中継の実施の指示があれば再送中継を実施する(S9 )。図4の場合と同様に、処理S9 の実施後は処理S17に戻り、報知情報にて再送実施の指示がなくなるまで所定の回数だけ再送を繰り返す。また、無線パケットの新規送信時(S10)に対しても同様であり、新規送信処理の完了後に図4の処理S5 に相当する処理S17および処理S18に移行し、同様の処理を繰り返す。ここでの処理S17の報知情報取得とは、必ずしもこのタイミングで受信した信号である必要はなく、どのタイムスロットの無線パケットに対応した指示であるかが分かる信号であれば、全く異なる別のタイミングで受信した信号における指示内容を記録しておき、ここでその情報を参照するという動作であっても構わない。
1−1〜1−2 基地局
2−1〜2−7、3−1〜3−7 無線局
4−1〜4−2 無線パケット
5−1〜5−2 各基地局のサービスエリア
100 ネットワーク
11 基地局
12−1〜12−9 再送中継を行う無線局
13 宛先無線局
21 無線局装置
22 無線部
23 ベースバンド信号処理部
24 無線パケット終端手段
25 インタフェース部
26 アンテナ
27 通信制御部
28 識別子取得手段
29 識別子一致判断手段
30 基地局識別子取得手段
31 再送中継実施判断手段
32 制御部全体
33 再送カウンタ取得手段
34 再送カウンタ一致判断手段
35 GPS等

Claims (8)

  1. ひとつの基地局および複数の無線局により構成され、前記基地局と前記無線局の中の通信相手の無線局との間で直接的にないしはマルチホップ中継を行いながら無線パケットの送受信を行う無線通信装置において、
    前記無線パケットは、送信元無線局および宛先無線局を示す識別子情報を含み、
    前記無線局は、
    該無線局が無線回線を介して接続すべき前記基地局の識別子情報を取得する基地局識別子取得手段と、
    前記無線パケットを受信する無線パケット受信手段と、
    受信した前記無線パケットの送信元無線局および宛先無線局を示す識別子情報を取得する識別子取得手段と、
    前記識別子取得手段で取得した送信元無線局または宛先無線局を示す識別子情報のいずれかが前記基地局の識別子情報または自局を示す識別子と一致するか否かを判断する識別子一致判断手段と、
    前記無線パケット内に明示的に記載された再送中継の終了条件およびまたはシステム上で定められた再送中継の終了条件のいずれかに従い再送中継を実施すべきか終了すべきかを判断する再送実施判断手段と、
    前記識別子一致判断手段で送信元無線局または宛先無線局を示す識別子情報のいずれかが前記基地局の識別子情報と一致すると判断され、かつ前記再送実施判断手段で再送中継を実施すべきと判断された際に、受信したまたは送信済みの前記無線パケットをそのままないしは所定のフィールドに記載の情報を所定の条件に従い修整して再構成した無線パケットのいずれかを送信する無線パケット送信手段と、
    前記識別子一致判断手段で宛先無線局を示す識別子情報が自局の識別子情報と一致すると判断された際に、受信した無線パケットを終端してデータを抜き出す無線パケット終端手段と
    を備えたことを特徴とする無線通信装置。
  2. 請求項1に記載の無線通信装置において、
    前記無線パケットは、所定のフィールドに再送中継の回数に関する情報である再送カウンタ値を含む制御情報を含み、
    前記再送実施判断手段は、
    受信した前記無線パケットの所定のフィールドに記載の前記再送カウンタ値を取得する再送カウンタ値取得手段と、
    前記再送カウンタ値が所定の条件に一致するか否かを判断する再送カウンタ値一致判断手段とを含み、
    さらに、前記無線パケット送信手段は、前記再送カウンタ値に加算ないしは減算を施す再送カウンタ更新手段と、前記更新された再送カウンタ値を所定のフィールドに記録して得られる無線パケットを再構築する無線パケット更新手段とを含む
    ことを特徴とする無線通信装置。
  3. 請求項1に記載の無線通信装置において、
    前記無線局および前記基地局は共通に認識されたタイムスロットを用いて通信を行い、
    前記再送実施判断手段は、前記無線パケットが受信されたタイムスロットが所定の周期的条件に一致したタイムスロットであった場合に再送終了と判断する構成である
    ことを特徴とする無線通信装置。
  4. 請求項1に記載の無線通信装置において、
    前記基地局は、再送中継の実施可否に関する制御情報を報知する制御情報報知手段を備え、
    前記無線局は、前記基地局の制御情報報知手段より通知される情報を取得する報知情報取得手段を備え、
    前記再送実施判断手段は、前記報知情報取得手段で得られた情報と前記無線パケットを送信すべきタイムスロットの関係を比較し再送中継を実施すべきか終了すべきかを判断する構成である
    ことを特徴とする無線通信装置。
  5. ひとつの基地局および複数の無線局により構成され、前記基地局と前記無線局の中の通信相手の無線局との間で直接的にないしはマルチホップ中継を行いながら無線パケットの送受信を行う無線通信方法において、
    前記無線パケットは、送信元無線局および宛先無線局を示す識別子情報を含み、
    前記無線局は、
    該無線局が無線回線を介して接続すべき前記基地局の識別子情報を取得する基地局識別子取得ステップと、
    前記無線パケットを受信する無線パケット受信ステップと、
    受信した前記無線パケットの送信元無線局および宛先無線局を示す識別子情報を取得する識別子取得ステップと、
    前記取得した送信元無線局または宛先無線局を示す識別子情報のいずれかが前記基地局の識別子情報または自局を示す識別子と一致するか否かを判断する識別子一致判断ステップと、
    前記無線パケット内に明示的に記載された再送中継の終了条件およびまたはシステム上で定められた再送中継の終了条件のいずれかに従い再送中継を実施すべきか終了すべきかを判断する再送実施判断ステップと、
    前記識別子一致判断ステップにおいて送信元無線局または宛先無線局を示す識別子情報のいずれかが前記基地局の識別子情報と一致すると判断され且つ再送実施判断ステップにおいて再送中継を実施すべきと判断された際に、受信した前記無線パケットをそのままないしは所定のフィールドに記載の情報を所定の条件に従い修整して再構成した無線パケットのいずれかを送信する無線パケット送信ステップと、
    前記識別子一致判断ステップにおいて宛先無線局を示す識別子情報が自局の識別子情報と一致すると判断された際に、該無線パケットを終端してデータを抜き出す無線パケット終端ステップと
    を有することを特徴とする無線通信方法。
  6. 請求項5に記載の無線通信方法において、
    前記無線パケットは、所定のフィールドに再送中継の回数に関する情報である再送カウンタ値を含む制御情報を含み、
    前記再送実施判断ステップは、
    受信した前記無線パケットの所定のフィールドに記載の前記再送カウンタ値を取得する再送カウンタ値取得ステップと、
    前記再送カウンタ値が所定の条件に一致するか否かを判断する再送カウンタ値一致判断ステップとを含み、
    を含み、
    さらに、前記無線パケット送信ステップは、前記再送カウンタ値に加算ないしは減算を施す再送カウンタ更新ステップと、前記更新された再送カウンタ値を所定のフィールドに記録して得られる無線パケットを再構築する無線パケット更新ステップとを含む
    ことを特徴とする無線通信方法。
  7. 請求項5に記載の無線通信方法において、
    前記無線局および前記基地局は共通に認識されたタイムスロットを用いて通信を行い、
    前記再送実施判断ステップは、前記無線パケットが受信されたタイムスロットが所定の周期的条件に一致したタイムスロットであった場合に再送終了と判断する
    ことを特徴とする無線通信方法。
  8. 請求項5に記載の無線通信方法において、
    前記基地局は、再送中継の実施可否に関する制御情報を報知する制御情報報知ステップを実施し、
    前記無線局は、前記基地局の制御情報報知手段より通知される情報を取得する報知情報取得ステップを実施し、
    前記再送実施判断ステップは、前記報知情報取得手段で得られた情報と前記無線パケットを送信すべきタイムスロットの関係を比較し再送中継を実施すべきか終了すべきかを判断する
    ことを特徴とする無線通信方法。
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