JP5474602B2 - 太陽電池の製造装置及び太陽電池の製造方法 - Google Patents

太陽電池の製造装置及び太陽電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池の製造装置及び太陽電池の製造方法に関し、より詳細には、高性能な太陽電池を効率よく量産することのできる、太陽電池の製造装置及び太陽電池の製造方法に関するものである。
近年、石油等の化石原料の高騰や、発電を行う際の環境への配慮から太陽電池パネルを用いた発電が注目されている。なぜなら、太陽電池は太陽光を基に発電するので、枯渇性燃料が持つ有限性への対策になり、また、発電時に二酸化炭素を排出しないので、地球温暖化の緩和策に成り得る等の理由によるものである。
太陽電池は、ガラス基板(基体)の上に半導体層を積層したものであり、例えば、ガラス基板上にp型シリコン層、i型シリコン層、n型シリコン層を成膜して積層した、pin構造又はnip構造の多結晶シリコン層を有する太陽電池や、同じくp型シリコン層、i型シリコン層、n型シリコン層からなるpin構造又はnip構造のアモルファスシリコン層を有する太陽電池等が知られている。
また、このような多結晶シリコン層やアモルファスシリコン層の様なpin構造又はnip構造を有する層(以下太陽電池層と称す)は、複数積み重ねて1つの多接合型太陽電池(又はタンデム型太陽電池、ハイブリッド型太陽電池)として使用することができる。多接合型太陽電池は、利用波長の異なる太陽電池を複数積み重ねることにより、各波長域の光子のエネルギーをより無駄なく取り出すことができ、且つ、単接合の太陽電池より長波長まで含めたより多くの光子を利用できる。そのため、エネルギーの変換効率が高いという利点がある。
ところで、太陽電池層を構成するシリコンによる半導体層(p型シリコン層、i型シリコン層、n型シリコン層)の形成にはプラズマCVD法が活用されることが多い。プラズマCVD等のCVD法によって、このようなシリコン系半導体層の成膜を実施するCVD装置が特許文献1に開示されている。
特開2005−139524号公報
特許文献1に開示されているプラズマCVD装置は、4個の成膜チャンバーと、1個の移動チャンバーと、1個の基体受取・払出し装置を有している。
成膜チャンバーはそれぞれ成膜室を備えており、成膜室内では、太陽電池層のp型シリコン層、i型シリコン層及びn型シリコン層(以下p層、i層、n層と称す)の各半導体層を順次積層することで、基体に太陽電池層を成膜することができる。また、これを繰り返すことにより、多接合型太陽電池を構成する各太陽電池層を、1つの成膜室内で積層させることができる。
基体受取・払出し装置は、成膜前の基体を移動チャンバーへ受け渡し、成膜後の基体を移動チャンバーから受け取ることが可能な装置である。移動チャンバーは基体を積載した状態で移動するチャンバーであり、基体を成膜チャンバー内や基体受取・払出し装置へ運搬する装置である。
ところで、使用する原料ガスの異なる各太陽電池層を、同一の成膜室で成膜して積層させる場合、そのとき成膜している太陽電池層に応じて成膜室内に供給する原料ガスの種類を変化させなければならない。そのため、複数の成膜チャンバーで同時に成膜を開始すると、全ての成膜チャンバーで同じ時刻に同じ太陽電池層を成膜することになり、全ての成膜チャンバーに同種の原料ガスを同時に供給する必要が生じる。つまり、従来のCVD装置では成膜チャンバーの数の増加に伴い、CVD装置の原料ガスの最大供給量(同時に供給可能な原料ガスの量)を増加させる必要があった。したがって、成膜チャンバーの数を増やすと原料ガスの供給装置(タンクやバルブ)等を交換しなければならないため、CVD装置の拡張コストが大きくなる等の問題があった。また、成膜の原料にシラン等の可燃性の高いガスや危険なガスを使用する場合、最大供給量が増加すると、危険性の高い原料ガスを大量に貯蔵したタンクをCVD装置に配置せねばならず、危険であるという問題もあった。
ここで、CVD装置は原料ガスの最大供給量を少なくする手段として、各成膜チャンバーにおいて成膜開始時間をずらすという手段が考えられる。つまり、1番目の成膜チャンバーで1つ目の太陽電池層を成膜し、続いて、1番目の成膜チャンバーで2つ目の太陽電池層の成膜を開始すると同時に、2番目の成膜チャンバーで1つ目の太陽電池層の成膜を開始するという具合に、各成膜チャンバーで成膜開始時間を順次ずらしていく。このように成膜開始時間をずらしていくと、例えば2番目の成膜チャンバーで1つ目の太陽電池層の成膜が開始された際、1番目の成膜チャンバーでは2つ目の太陽電池層を成膜しているため、1つ目の太陽電池層の成膜に必要な原料ガスを使用しない。したがって、CVD装置全体で一度に使用する原料ガスの量を減少させることができる。
しかしながら、複数の成膜チャンバーで成膜の開始時間をずらして実行すると、次のような生産効率上の問題があった。即ち、成膜チャンバーを連続して稼働できないという問題や、移動チャンバーに稼働しない時間が発生するという問題である。
具体的に説明すると、全ての太陽電池層の成膜に必要な時間に対して成膜チャンバーの数が少なすぎる場合、すべての成膜チャンバーに基体を搬入しても、最初に成膜を開始した成膜チャンバーの成膜が終了しないので、成膜が終了するまでの間、移動チャンバーが休止させなくてはならない。さらに、成膜チャンバーの数が多すぎる場合、最初に成膜を開始したチャンバーで成膜を完了しても、移動チャンバーはいまだ成膜を開始していない成膜チャンバーに対して基体を搬入するので、成膜を完了した基体を払い出すことができず、成膜チャンバーで連続して成膜ができない。そのため、移動チャンバーや成膜チャンバーを休止することなく稼働できないので、生産効率が悪いという問題である。
そこで本発明は、原料ガス供給源の最大供給量が少なくて済むことに加えて、生産性の高い太陽電池の製造装置を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、基板上に少なくとも第1太陽電池層と、第2太陽電池層とが積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造装置であって、前記第1太陽電池層と第2太陽電池層とをCVD法によって単一の成膜チャンバーで成膜するものであり、前記成膜チャンバーを複数有し、さらに成膜チャンバーに基板を供給・排出するために基板を輸送する移動チャンバーを有し、移動チャンバーによって電池層成膜前の基板をそれぞれの成膜チャンバーに搬送し、それぞれの成膜チャンバーで基板に対して第1太陽電池層と第2太陽電池層とを成膜し、第1太陽電池層と第2太陽電池層とが成膜された電池層成膜後の基板を移動チャンバーに移送して移動チャンバーで所定の位置に搬送し、さらに空いた成膜チャンバーに新たな電池層成膜前の基板を搬入し、これら一連の動作を連続的に実施する太陽電池の製造装置において、第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間と成膜後の基板を成膜チャンバーから取り出し、新たな基板を成膜チャンバーへ搬入するまでの時間の合計をT2としたとき、成膜チャンバーの数がT1:T2≒1:N、又はT1:T2≒N:1のいずれかのNに1を加えた数であることを特徴とする太陽電池の製造装置である。
なお、「≒」は端数の四捨五入を意味しており、Nは整数である。また、各成膜チャンバーでT2の値が異なる場合、各成膜チャンバーのT2の値の内いずれかの値、又は各成膜チャンバーのT2の値に基づく値(例えば平均値等)をT2とする。
また、請求項2に記載の発明は、基板上に少なくとも第1太陽電池層と、第2太陽電池層とが積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造装置であって、前記第1太陽電池層と第2太陽電池層とをCVD法によって単一の成膜チャンバーで成膜するものであり、前記成膜チャンバーを複数有し、さらに成膜チャンバーに基板を供給・排出するために基板を輸送する移動チャンバーを有し、移動チャンバーによって電池層成膜前の基板をそれぞれの成膜チャンバーに搬送し、それぞれの成膜チャンバーで基板に対して第1太陽電池層と第2太陽電池層とを成膜し、第1太陽電池層と第2太陽電池層とが成膜された電池層成膜後の基板を移動チャンバーに移送して移動チャンバーで所定の位置に搬送し、さらに空いた成膜チャンバーに新たな電池層成膜前の基板を搬入し、これら一連の動作を連続的に実施する太陽電池の製造装置において、第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間と成膜後の基板を所定の位置に搬送してから、新たな基板を成膜チャンバーへ搬入するまでに要する時間の合計をT2としたとき、成膜チャンバーの数がT1:T2≒1:N、又はT1:T2≒N:1のいずれかのNに1を加えた数であることを特徴とする太陽電池の製造装置である。
なお、「≒」は端数の四捨五入を意味しており、Nは整数である。また、各成膜チャンバーでT2の値が異なる場合、各成膜チャンバーのT2の値の内いずれかの値、又は各成膜チャンバーのT2の値に基づく値(例えば平均値等)をT2とする。
本発明の太陽電池の製造装置は、単一の成膜チャンバーで2つの太陽電池層の成膜が可能であって、複数の成膜チャンバーを同時に稼働することが可能である。そして、成膜チャンバーの数を、第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間と基体搬送に要する時間(成膜チャンバーで成膜を行うために必要な、基体の搬送及び装置間の基体の受け渡しに必要な時間)の合計をT2とした場合のT1:T2≒1:N又はT1:T2≒N:1のいずれかのNに1を加えた数としている。
そのことにより、成膜チャンバーで第1太陽電池層を成膜している時間が重ならないように連続して成膜を行うと、N台の成膜チャンバーの第1太陽電池層の成膜時間の合計(T1×N)と、第2太陽電池層の成膜時間と基体搬送に要する時間の合計(T2)が略等しくなる。そのため、全成膜チャンバーで第1太陽電池層の成膜が完了するとほぼ同時に、最初に成膜を開始した成膜チャンバーで新たな成膜が実施可能な状態となるので、連続して成膜を行うことができる。また、太陽電池の製造装置全体において、第1の太陽電池層を成膜する成膜チャンバーは常に一つとなるので、原料ガスの最大供給量を減少させることが可能となる。また、全成膜チャンバーで連続して成膜を行うため、稼働率が高く効率がよい成膜が可能となる。
また、請求項3に記載の発明は、基板上に少なくとも第1太陽電池層と、第2太陽電池層とが積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造装置であって、前記第1太陽電池層と第2太陽電池層とをCVD法によって単一の成膜チャンバーで成膜するものであり、前記成膜チャンバーを複数有し、さらに成膜チャンバーに基板を供給・排出するために基板を輸送する移動チャンバーを有し、移動チャンバーによって電池層成膜前の基板をそれぞれの成膜チャンバーに搬送し、それぞれの成膜チャンバーで基板に対して第1太陽電池層と第2太陽電池層とを成膜し、第1太陽電池層と第2太陽電池層とが成膜された電池層成膜後の基板を移動チャンバーに移送して移動チャンバーで所定の位置に搬送し、さらに空いた成膜チャンバーに新たな電池層成膜前の基板を搬送し、これら一連の動作を連続的に実施する太陽電池の製造装置において、第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間をT2とし、成膜後の基板を成膜チャンバーから取り出し、新たな基板を成膜チャンバーへ搬入するまでの時間の合計をT3としたとき、T3がT1,T2及びT3の内で最小の値である場合、成膜チャンバーの数がT3:T1:T2≒1:N:ZのNとZの和に1を加えた数であることを特徴とする太陽電池の製造装置である。
なお、「≒」は端数の四捨五入を意味しており、N及びZは整数である。また、各成膜チャンバーでT3の値が異なる場合、各成膜チャンバーのT3の値の内で任意のいずれかの値、又は各成膜チャンバーのT3の値に基づく値(例えば平均値等)をT3とする。さらに、T1,T2及びT3の内で最小の値は2つ以上あってもよく、例えばT1=T2=T3が成立してもよい。T3の値が3つの内で最小の値であればよい。
また、請求項4に記載の発明は、基板上に少なくとも第1太陽電池層と、第2太陽電池層とが積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造装置であって、前記第1太陽電池層と第2太陽電池層とをCVD法によって単一の成膜チャンバーで成膜するものであり、前記成膜チャンバーを複数有し、さらに成膜チャンバーに基板を供給・排出するために基板を輸送する移動チャンバーを有し、移動チャンバーによって電池層成膜前の基板をそれぞれの成膜チャンバーに搬送し、それぞれの成膜チャンバーで基板に対して第1太陽電池層と第2太陽電池層とを成膜し、第1太陽電池層と第2太陽電池層とが成膜された電池層成膜後の基板を移動チャンバーに移送して移動チャンバーで所定の位置に搬送し、さらに空いた成膜チャンバーに新たな電池層成膜前の基板を搬送し、これら一連の動作を連続的に実施する太陽電池の製造装置において、第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間をT2とし、成膜後の基板を所定の位置に搬送してから、新たな基板を成膜チャンバーへ搬入するまでに要する時間の合計をT3としたとき、T3がT1,T2及びT3の内で最小の値である場合、成膜チャンバーの数がT3:T1:T2≒1:N:ZのNとZの和に1を加えた数であることを特徴とする太陽電池の製造装置である。
なお、「≒」は端数の四捨五入を意味しており、N及びZは整数である。また、各成膜チャンバーでT3の値が異なる場合、各成膜チャンバーのT3の値の内で任意のいずれかの値、又は各成膜チャンバーのT3の値に基づく値(例えば平均値等)をT3とする。さらに、T1,T2及びT3の内で最小の値は2つ以上あってもよく、例えばT1=T2=T3が成立してもよい。T3の値が3つの内で最小の値であればよい。
本発明の太陽電池の製造装置は、第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間をT2とし、前記基体搬送に要する時間の合計をT3とし、T3がT1,T2及びT3の内で最小の値である場合、成膜チャンバーの数がT3:T1:T2≒1:N:ZのNとZの和に1を加えた数とすることもできる。
このことにより、基体搬送に要する時間が重ならないように連続して成膜を行うと、N+Z台の成膜チャンバーの基体搬送に要する時間の合計(T3×(N+Z))と、第1太陽電池層の成膜時間(T1)と第2太陽電池層の成膜時間(T2)の合計が略等しくなる。そのため、全成膜チャンバーへの基体の搬送が完了するとほぼ同時に、最初に基体を搬送した成膜チャンバーで、第1太陽電池層と第2太陽電池層の成膜が完了し、基体の取り出し、及び新たな基体の搬入が可能となる。そのことにより、全成膜チャンバーで連続して成膜を行うことができ、稼働率が高く効率がよい成膜が可能となる。また、それぞれの成膜チャンバーで成膜時間がずれているため、原料ガスの最大供給量を減少させることが可能となる。
請求項5に記載の発明は、第1太陽電池層と第2太陽電池層の内の一方は、アモルファスシリコンを素材としてp層i層n層が積層されたものであり、他方は結晶質シリコンを素材としてp層i層n層が積層されたものであり、成膜チャンバーの数が6であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池の製造装置である。
なお、本発明において結晶質の用語は、部分的に非晶質を含んでいるものも含むものとする。
本発明の太陽電池の製造装置は、アモルファスシリコンの太陽電池層と結晶質シリコンの太陽電池層のような、成膜に4倍の時間差があり、成膜時間の短い太陽電池層と基体の搬送に必要な時間が略等しい場合において、より好適に運用することができる。なぜなら、本発明では、成膜チャンバーの数が増加するにつれて最大供給量を低減させる効果が大きくなるので、第1太陽電池層と第2太陽電池層の成膜時間の差が小さい場合、成膜チャンバーの数が少なすぎることにより、最大供給量を低減させる効果が小さくなってしまう。また、第1太陽電池層と第2太陽電池層の成膜時間の差が大きすぎる場合、成膜チャンバーの数が多すぎることにより、成膜チャンバーの設置場所の確保や、装置の稼働に必要なコストといった装置運用上の問題が発生するためである。
請求項6に記載の発明は、基板上に少なくとも第1導電膜層と、アモルファスシリコンを素材としてp層i層n層が積層された第1太陽電池層と、結晶質シリコンを素材としてp層i層n層が積層された第2太陽電池層と、第2導電膜層が積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造装置であって、前記第1太陽電池層と第2太陽電池層とをCVD法によって単一の成膜チャンバーで成膜するものであり、前記成膜チャンバーを複数有し、さらに成膜チャンバーに基板を供給・排出するために基板を輸送する移動チャンバーを有し、移動チャンバーによって電池層成膜前の基板をそれぞれの成膜チャンバーに搬送し、それぞれの成膜チャンバーで基板に対して第1太陽電池層と第2太陽電池層とを成膜し、第1太陽電池層と第2太陽電池層とが成膜された電池層成膜後の基板を移動チャンバーに移送して移動チャンバーで所定の位置に搬送し、さらに空いた成膜チャンバーに新たな電池層成膜前の基板を搬入し、これら一連の動作を連続的に実施する太陽電池の製造装置において、成膜チャンバーの数が6であることを特徴とする太陽電池の製造装置である。
本発明の太陽電池の製造装置は、上記の構成で行うことが好適であり、移動チャンバーと各成膜チャンバーが無理なく連動するため、請求項1乃至請求項5に記載の発明の効果をより顕著に得ることができる。
請求項7に記載の発明は、前記太陽電池は、基板上に少なくとも第1導電膜層と、アモルファスシリコンを素材としてp層i層n層が積層された第1太陽電池層と、結晶質シリコンを素材としてp層i層n層が積層された第2太陽電池層と、第2導電膜層が積層されており、前記各層の少なくとも一部を光ビームによる加工によって複数のセルに分離し、相互に電気的に集積化してなる薄膜太陽電池モジュールであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の太陽電池の製造装置である。
本発明の太陽電池の製造装置は、薄膜太陽電池モジュールを製造する際にも好適に用いることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7に記載の太陽電池の製造装置を使用して、第1太陽電池層及び第2太陽電池層を成膜することを特徴とする太陽電池の製造方法である。
本発明の太陽電池の製造方法は、請求項1乃至7に記載の太陽電池の製造装置を使用するため、太陽電池の製造装置全体における原料ガスの最大供給量を減少させることが可能であって、移動チャンバー及び成膜チャンバー等が連続して稼働可能な効率のよい成膜を行うことができる。
請求項9に記載の発明は、成膜室を有し当該成膜室内で基体に薄膜を成膜する成膜チャンバーを有し、複数の成膜チャンバーを備えた太陽電池の製造装置を使用して、基板上に少なくとも第1太陽電池層と、第2太陽電池層とが積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造方法であって、アモルファスシリコンを素材とするp層i層n層を積層し、第1太陽電池層を製造する第1の工程と、第1太陽電池層上に結晶質シリコンを素材とするp層i層n層を積層して第2太陽電池層を製造する第2の工程とを有しており、前記第1の工程と第2の工程は単一の成膜チャンバー内で行われ、第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間と、成膜後の基板を成膜チャンバーから取り出し、新たな基板を成膜チャンバーへ搬入するまでの時間の合計をT2としたとき、T1:T2≒1:Nを満たすNに1を加えた数の成膜チャンバーにおいて、前記第1の工程がT1以上の間隔を設けて開始されることを特徴とする太陽電池の製造方法である。
請求項10に記載の発明は、成膜室を有し当該成膜室内で基体に薄膜を成膜する成膜チャンバーを有し、複数の成膜チャンバーを備えた太陽電池の製造装置を使用して、基板上に少なくとも第1太陽電池層と、第2太陽電池層とが積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造方法であって、アモルファスシリコンを素材とするp層i層n層を積層し、第1太陽電池層を製造する第1の工程と、第1太陽電池層上に結晶質シリコンを素材とするp層i層n層を積層して第2太陽電池層を製造する第2の工程とを有しており、前記第1の工程と第2の工程は単一の成膜チャンバー内で行われ、第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間と、成膜後の基板を所定の位置に搬送するために要する時間、及び新たな基板を成膜チャンバーへ搬入するために要する時間の合計をT2としたとき、T1:T2≒1:Nを満たすNに1を加えた数の成膜チャンバーにおいて、前記第1の工程がT1以上の間隔を設けて開始されることを特徴とする太陽電池の製造方法である。
本発明の太陽電池の製造方法は、第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間及び、1つの成膜チャンバーで成膜を行う際に必要な、基体の搬送や設置に要する時間をT2とした場合に、N+1台の成膜チャンバーを使用する。また、それぞれの成膜チャンバーで、少なくともpin構造(nip構造)を有するアモルファスシリコンの第1太陽電池層と、pin構造(nip構造)を有する結晶質シリコンの第2太陽電池層の成膜を行う。そして、その際に各成膜チャンバーでT1以上の間隔を設けて成膜を開始する。そのことにより、第1太陽電池層を成膜する時間帯が重複しないため、太陽電池の製造装置全体における第1太陽電池層の原料ガスの最大供給量を低減することができる。また、T2がN台の成膜チャンバーにおける第1太陽電池層の成膜時間の合計(T1×N)と同じであるため、最後に基体を搬入した成膜チャンバーで第1太陽電池層の成膜が終了すると略同時刻に、最初に基体を搬入した成膜チャンバーで2層成膜後の基体の払い出し、及び未成膜の基体の搬入が完了する。つまり、最後に成膜を開始した成膜チャンバーで第1太陽電池層の成膜が完了すると、再び最初に成膜を実施した成膜チャンバーで、第1太陽電池層の成膜が可能になる。このことから、各成膜チャンバーを第1太陽電池層の成膜が重複しない状態で、連続して稼働させることが可能なため、原料ガスの最大供給量の低減しつつ、効率よい多接合型太陽電池の成膜が可能となる。
本発明の太陽電池の製造装置及び太陽電池の製造方法は、原料ガスの最大供給量を減少可能であり、且つ生産性の高い成膜を行うことができるという効果がある。
本発明の実施形態にかかる薄膜製造装置を示す斜視図である。 図1の成膜チャンバー、移動チャンバー及び基体受取・払出し装置が備える基体移動装置の要部の斜視図である。 図1の成膜チャンバーの内部構造を示す斜視図である。 図1の成膜チャンバーの内部構造を示す一部破断平面断面図である。 成膜チャンバーに内蔵される電極の断面斜視図である。 成膜チャンバーにガスが供給される構造を示す説明図である。 図1の移動チャンバーを収納室出入口側から見た斜視図である。 移動チャンバーの内部を示す斜視図である。 移動チャンバーの内部構造を示す平面断面図である。 チャンバー移動装置の断面図である。 本発明の実施形態で使用する基体キャリアの斜視図である。 図11の基体キャリアの分解斜視図である。 移動チャンバーから成膜チャンバーに基体キャリアが移動する状態を示す移動チャンバーと成膜チャンバーの一部破断斜視図である。 各成膜チャンバーで成膜する太陽電池層の種類を示すタイムテーブルである。
本発明の実施形態に係る太陽電池の製造装置及び太陽電池の製造方法について、以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の薄膜製造装置1はガラス製の基体46に半導体膜を形成するものである。本実施形態の薄膜製造装置1は、図1に示される様に、大きく分けて、基体受取・払出し装置2、成膜チャンバー群42、移動チャンバー6によって構成される。
基体受取・払出し装置2は、例えば図1に示される様に、ベース部材14に基体移動装置15が5基設けられたものである。
それぞれの基体移動装置15は、例えば図2に示すような構成をしている。即ち、基体移動装置15は、高さの高いリブ16が平行に2本延びており、その間にガイド溝17が形成されている。また、ガイド溝17の中にはピニオンギア18が一定間隔をあけて複数設けられている。ピニオンギア18は、図示しない動力によって回転する。
成膜チャンバー群42は成膜チャンバー7〜12によって構成され、これらの成膜チャンバー7〜12は同一の構造をしたものである。以下構造について説明するが、成膜チャンバー7についてのみ説明し、成膜チャンバー8〜12に関しては同様の説明を省略する。
成膜チャンバー7の外観形状は、図1,3に示す様に天面、底面、左右側面、裏面の6面が囲まれた箱状であり、正面には開口が長方形の成膜室出入口19が設けられている。成膜室出入口19の開口端にはフランジ20が設けられている。
フランジ20は、成膜室出入口19と相似形であって、長方形であるが、その4隅の内の対向する2角に穴13が設けられている。
成膜室出入口19には、気密性を備えたシャッター21が設けられている。
シャッター21は、スライド型ゲートバルブと称されるものが採用されており、扉状の部材が図3の矢印Xの方向にスライドする。
なお、このシャッター21は、上記したスライドゲートバルブに限定されるものではなく、例えば、スイング型ドアバルブと称されるものを適宜採用してもよい。
成膜チャンバー7の内部は図4に示す様に、プラズマCVD法によって基体46に成膜する成膜室22となっている。そしてその内部には、図3,4に示す様に6基の板状の面ヒータ23a,b,c,d,e,fと、5基の電極25a,b,c,d,eが設けられている。即ち、図3,4において、ヒータ23は細い長方形として図示されており、電極25は太い長方形として図示されている。
一方、電極25a,b,c,d,eは、図5に示すように枠体26の両面にシャワープレート27が取り付けられたものである。また、枠体26はマッチング回路(MBX)を介して高周波電源に接続されている。
さらに、図5,6に示されるように、枠体26には複数のガスパイプ31が接続されており、それぞれ別途の原料ガス供給源87,88に接続されている。そのため、成膜室22内に異なる種類の原料ガスを供給することができる。また、ガスパイプ31はバルブ90,91を有しており、ガスの供給量を適宜変更可能である。
また成膜室22の内部には、前記した基体移動装置15と同様の基体移動装置29が設けられている(図3)。基体移動装置29の数は、前記した基体受取・払出し装置2の基体移動装置15の数と同一であり、その間隔も基体受取・払出し装置2が備えている基体移動装置15の間隔と同一である。
また図3に示すように、成膜室22には弁33を介して真空ポンプ(成膜室側減圧装置)34が接続されている。
次に移動チャンバー6及びチャンバー移動装置32について説明する。
移動チャンバー6は、図7に示すように天面、底面、左右側面、裏面の6面が囲まれた箱状であり、正面には長方形の収納室出入口35が設けられている。収納室出入口35の開口端にはフランジ37が設けられている。
収納室出入口35及びフランジ37の大きさ及び形状は、前記した成膜チャンバー7の成膜室出入口19およびフランジ20と等しい。
ただし、成膜チャンバー7のフランジ20では、その4隅の内の対向する2角に穴13が設けられていたが、移動チャンバー6のフランジ37では、相当する位置にピン40が設けられている。ピン40はテーパー状である。
移動チャンバー6の収納室出入口35には、これを遮蔽する部材が無く、収納室出入口35は常に開放されている。
なお、本実施形態では収納室出入り口35を開放する構成を採用したが、この構成に限定されるものではなく、気密性がなく外部からゴミの侵入等を防ぐだけの扉を取り付けてもよい。すなわち、気密性を備えた部材がなければよい。
移動チャンバー6の内部は、図8に示す様に基体46を収納する収納室47となっている。
収納室47の内部には、前記した基体移動装置15及び基体移動装置29と同様の基体移動装置49(図7,9参照)が設けられている。基体移動装置49の数は、前記した基体受取・払出し装置2、及び成膜室22のそれと同一であり、その間隔も基体受取・払出し装置2及び成膜室22のそれと同一である。
また移動チャンバー6の収納室47内には、6基のヒータ43a,b,c,d,e,fが設けられている。6基のヒータ43a,b,c,d,e,fの構造は、前記した成膜チャンバー7の成膜室22に配された6基のヒータ23a,b,c,d,e,fと同様である。移動チャンバー6内の6基のヒータ43a,b,c,d,e,fの位置関係についても成膜チャンバー7の成膜室22に配された6基のヒータ23a,b,c,d,e,fと同一である。
なお、収納室47内のヒータ(ヒータ43a〜43f)の数や位置は上記構成に限定されるものではない。例えば、移動チャンバー6が成膜チャンバーと接続した際に、成膜チャンバーの電極25a,b,c,d,eに対向する位置に5基のヒータ43a,b,c,d,eを設けてもよい。この位置にヒータを設けると、収納室47に基体キャリア72を格納した際に、ヒータが空隙74に位置することになり、ヒータが基板46により近づくため加熱時間が短縮される。
チャンバー移動装置32は、横列方向と、前後方向に移動チャンバー6を移動させるものであり、図1,7の様に横列方向の移動はレール50に沿って行われ、前後方向には直線ガイド51に沿って行われる。
すなわちチャンバー移動装置32は、横列方向に延びる一対のレール50を有する。レール50は、公知の列車用レールと同様の断面形状をしている。レール50は、床面に設けられたまくら木54に公知のタイプレート等によって接続されている。
そしてレール50の間には、図1,7の様に長尺のラック52が歯面を横方向に向けて取り付けられている。
またレール50の端部には、図7の様にストッパ53が取り付けられている。ストッパ53は、後記する移動台車55の暴走を阻止するものであり、公知のショックアブゾーバが内蔵されている。
そしてレール50には図1、7の様に移動台車55が載置されている。移動台車55は、ベース板60の下面に4個の車輪61が設けられたものである。本実施形態では、車輪61は、自由回転を許すものであり、車輪61は、レール50に載置されている。
またベース板60の一部には、張出部62があり、ギャードモータ等の低速回転する電
動機63が設けられている。電動機63は、回転軸(図示せず)がベース板60の下面側
に突出された状態で取り付けられており、回転軸にはピニオンギア65が取り付けられて
いる。そしてピニオンギア65は、レール50の間に設けられたラック52と係合として
いる。
したがって電動機63を回転すると、ピニオンギア65が回転し、ラック52から受ける反力によって移動台車55が自走する。なお本実施形態では、移動台車55に真空ポンプ44(図8)が搭載されている。
ここで、移動台車55を自走させる構成は、上記したラックアンドピニオン形式に限定されるものではなく、車輪を直接モータ等によって回転させる形式にしてもよい。
移動台車55のベース板60の上面には、前記した直線ガイド51が設けられている。直線ガイド51は平行に二列設けられ、その方向は、床面のレール50に対して直行する。
前記した直線ガイド51の上には、移動板67が設けられている。そして前記した移動チャンバー6は、図7,10で示されるように移動板67に固定されている。
また移動板67の正面側(移動チャンバー6の収納室出入口35側)の辺であって、その中央には、移動側ブラケット部68(図7、図10参照)が設けられている。移動側ブラケット部68は移動板67の下面側に突出する板体である。
一方、ベース板60の上面側には、図10に示すように固定側ブラケット部70が設けられている。そして前記した固定側ブラケット部70と移動側ブラケット部68の間には、油圧又は空気圧シリンダー71が取り付けられている。そのためシリンダー71のロッドを伸縮させると、ベース板60上の移動板67が直線ガイド51に沿ってレール50と直行する方向に直線移動し、移動板67に載置された移動チャンバー6が前後方向(成膜チャンバー群42を構成するいずれかの成膜チャンバーに対して近接・離反方向)に直線移動する。
また移動板67には図示しない真空ポンプ44(図8に図示。図1,7には作図の都合上、図示を省略。)が搭載されている。真空ポンプ44は、収納室側減圧装置として機能し、図8の様に移動チャンバー6の収納室47に接続されている。
次に、基体46を運搬する基体キャリア72について説明する。
図11に示されるように、基体キャリア72は、細長い台車に二枚の枠体77を対向して立設した様な形状をしている。すなわち基体キャリア72は、直方体のキャリアベース73を有し、その両側に合計8個の車輪75が設けられている。またキャリアベース73の底面には、ラック76が取り付けられている。
キャリアベース73の上面側の長辺部には、二枚の枠体77が平行に対向して設けられている。枠体77どうしの間は空隙74となっている。すなわちキャリアベース73と二枚の枠体77によって上向きの「コ」の字形状をなしている。
枠体77は、図11,12の様に、正方形の開口78が2個設けられたものであり、当該開口78の周囲にクリップ80が多数設けられている。
基体キャリア72の枠体77には、図12に示すように、背板82と重ね合わせた状態で基体46たるガラス基板が取り付けられ、この二者をクリップ80が押さえている。
したがって、基体46たるガラス基板の露出面は、対向する枠体77の内側を向いている。
次に、本実施形態の薄膜製造装置1の全体的なレイアウトについて説明する。
本実施形態の薄膜製造装置では、図1の様に成膜チャンバー群42を構成する6個の成膜チャンバーがいずれも成膜室出入口19を同一方向に向けた状態で横列に配置されている。また基体受取・払出し装置2は、成膜チャンバー群42と並んだ位置にあり、ガイド溝15の長手方向の延長線がレール50と直交する様な状態で配置されている。
成膜チャンバー群42を構成する6個の成膜チャンバー及び基体受取・払出し装置2は、いずれも床面にしっかりと固定されており、動かない。
そして図1、7の様にチャンバー移動装置32のレール50が、成膜チャンバー群42及び基体受取・払出し装置2の正面側に沿って設置されており、前記した様に移動台車55を介して移動チャンバー6がレール50に載置されている。移動チャンバー6の収納室出入口35は、成膜チャンバー7〜12の成膜室出入口19に対して対向する方向を向いている。
本実施形態では、チャンバー移動装置32の電動機63を回転すると、移動台車55が自走し、移動チャンバー6は、成膜チャンバー群42の列方向に移動する。
またチャンバー移動装置32のシリンダー71を伸縮させると、移動チャンバー6は、成膜チャンバー群42に対して近接・離反方向に移動する。
次に、本実施形態の薄膜製造装置1を利用した、薄膜の製造方法について説明する。
本実施形態の薄膜の製造方法の準備段階として、成膜チャンバー群42を構成する6個の成膜チャンバー7〜12の成膜室22内を減圧する。具体的には、成膜室出入口19のシャッター21を閉じ、真空ポンプ(成膜室側減圧装置)34を起動すると共に、弁33を開いて成膜室22内の空気を排気する。また基体46を基体キャリア72に取り付けておく。
本実施形態の薄膜の製造方法では、まず、基体受取・払出し装置2に基体キャリア72をセットする。具体的には、基体キャリア72を基体受取・払出し装置2に載置し、基体受取・払出し装置2の基体移動装置15のガイド溝17間に基体キャリア72の車輪75を嵌め込む。この時、基体キャリア72の底面に設けられたラック76が基体受取・払出し装置2に設けられた基体移動装置15のピニオンギア18と係合する。
そして以下の一連の作業工程は、図示しない制御装置によって自動的に行われる。
すなわち図示しない制御装置によって基体受取・払出し装置2、移動チャンバー6、成膜チャンバー群42が有機的に動作し、基体46上に多接合型太陽電池を構成する各層を形成していく。具体的には、基体46上にアモルファスシリコンのp層、i層及びn層を成膜することで、第1太陽電池層を形成し、さらに第1太陽電池層上に結晶質シリコン等の多結晶シリコンによるp層、i層及びn層を成膜することで第2太陽電池層を形成する。
具体的に説明すると、基体キャリア72を基体受取・払出し装置2に載置すると、基体受取・払出し装置2の位置に移動チャンバー6が移動する。すなわち、移動チャンバー6は、成膜チャンバー群42の列方向に移動して基体受取・払出し装置2の前で停止する。なお位置決めは、電動機63の回転数をカウントする方策や、公知のリミットスイッチを設けることによって行われる。
そして基体受取・払出し装置2に設けられた基体移動装置15のピニオンギア18、及び移動チャンバー6に設けられた基体移動装置49のピニオンギア18が回転する。そのことにより、基体キャリア72が前進し、移動チャンバー6側に移動する。そして、移動チャンバー6側に移動した基体キャリア72は、移動チャンバー6側に入り込む。
そして前記した様に、移動チャンバー6の基体移動装置49のピニオンギア18も回転しているから、基体キャリア72のラック76は、移動チャンバー6側のピニオンギア18と係合し、基体キャリア72は移動チャンバー6の収納室47内に引き込まれる。
本実施形態では、基体受取・払出し装置2に5列の基体移動装置15が設けられ、基体受取・払出し装置2には5基の基体キャリア72がセットされている。ここで、基体受取・払出し装置2に設けられた基体移動装置15の数及び間隔等と、移動チャンバー6側の基体移動装置49の数及び間隔等が同一であるから、基体受取・払出し装置2にセットされた5基の基体キャリア72は、全て移動チャンバー6側に移動し、その収納室47内に納まる。
なお、5基の基体キャリア72の移動は、一度に行っても良く、順に行ってもよい。移動チャンバー6から成膜チャンバー7〜12への基体キャリア72の移動、成膜チャンバー7〜12から移動チャンバー6への基体キャリア72の移動、及び移動チャンバー6から基体受取・払出し装置2への基体キャリア72の移動についても同様であり、一斉に行っても良く、個別に行ってもよい。また、本実施形態では、基体受取・払出し装置2に5列の基体移動装置15を設けているが、基体受取・払出し装置2、及び移動チャンバー6,成膜チャンバー7〜12に設ける基体移動装置の数(基体移動装置15,29,49の列数)は任意であり、適宜変更してよい。
基体受取・払出し装置2にセットされた5基の基体キャリア72が、全て移動チャンバー6側に移動し、基体受取・払出し装置2上に基体キャリア72が無くなれば、再度基体キャリア72を基体受取・払出し装置2に補充する。この補充作業は、多くの場合、作業者の手作業によって行われる。
全ての基体キャリア72が移動チャンバー6側に移動したことが確認されると、移動チャンバー6が再度横列方向に移動し、隣接する位置の成膜チャンバー7の前で停止する。なお、本実施形では成膜チャンバー7に基体キャリア72を移動させる場合について説明し、移動チャンバー6から成膜チャンバー8〜12のいずれかに基体キャリア72を移動させる場合については、同様の説明を省略する。
続いて移動チャンバー6のシリンダー71が伸び、移動チャンバー6が成膜チャンバー7に対して近接する方向に移動する。
そしてついには、図13に示される様に、移動チャンバー6の先端が成膜チャンバー7の先端と当接する。
すなわち移動チャンバー6の収納室出入口35が、成膜チャンバー7の成膜室出入口19と合致し、移動チャンバー6のフランジ37が、成膜チャンバー7のフランジ20と合致して移動チャンバー6のフランジ37が、成膜チャンバー7のフランジ20を押しつける。
前記した様に成膜チャンバー7の成膜室出入口19には気密性を備えたシャッター21が設けられているので、移動チャンバー6においては、収納室47と、成膜チャンバー7のシャッター21とによって囲まれた閉塞空間が形成される。
移動チャンバー6のフランジ37と成膜チャンバー7のフランジ20が完全に結合されたことが確認されると、真空ポンプ(収納室側減圧装置)44を起動すると共に弁45を開き、前記した収納室47と、成膜チャンバー7のシャッター21とによって囲まれた閉塞空間から空気を排気し、減圧して真空にする。
そして前記した閉塞空間が所定の真空度に達すると、移動チャンバー6の収納室47内に設けられた6基のヒータ43a,b,c,d,e,fを昇温し、内部の基体46を加熱昇温する。
基体46が所定の温度になったことが確認されると、成膜チャンバー7のシャッター21が開かれる。ここで成膜チャンバー7の成膜室22は、先に高真空状態となっているが、前記した様に収納室47と、成膜チャンバー7のシャッター21とによって囲まれた閉塞空間から空気を排気して当該部分も真空状態であるから、成膜チャンバー7のシャッター21を開いても成膜室22内の真空度は維持される。
そしてシャッター21が完全に開いたことが確認されると、移動チャンバー6側の基体移動装置49のピニオンギア18、及び成膜チャンバー7の成膜室22内に設けられた基体移動装置29のピニオンギア18を回転させる。なお今回のピニオンギア18の回転方向は、基体キャリア72を移動チャンバー6側に移動させる場合とは逆である。
ピニオンギア18を回転させると基体キャリア72が収納室出入口35側に進む。すなわち基体キャリア72は、移動チャンバー6側から、成膜チャンバー7の成膜室22側に進み、成膜チャンバー7の成膜室22に入り込む。そして前記した様に、成膜チャンバー7側の基体移動装置29のピニオンギア18も回転しているから、基体キャリア72のラック76は、成膜チャンバー7側のピニオンギア18と係合し、基体キャリア72は成膜チャンバー7の成膜室22内に引き込まれる。
このとき、図13に示される様に、基体キャリア72の長方形のキャリアベース73は、各電極25a,b,c,d,eの下部に設けられた隙間に入り込み、基体キャリア72の枠体77は、各電極25a,b,c,d,eの両脇に入り込む。そして、図4に示される様に、成膜室22の内部には6基のヒータ23a,b,c,d,e,fがあり、各電極25a,b,c,d,eとヒータ23a,b,c,d,e,fは互い違いに配されているので、各基体46が、いずれもヒータ23と電極25の間に挿入される。
基体キャリア72の全てが成膜チャンバー7の成膜室22内に移動し、それぞれ所定の位置に配置されたことが確認されると成膜チャンバー7のシャッター21を閉じる。そして成膜チャンバー7の成膜室22内において、基体キャリア72の基体46にシリコン半導体が成膜されていく。
すなわち電極25a,b,c,d,eの枠体26内に第1太陽電池層の原料ガス(シランガス)を供給すると共に電極25a,b,c,d,eに高周波の電流を印加し、電極25a,b,c,d,eと基体キャリア72の間にグロー放電を発生させて原料ガスを分解し、縦置きされた基体46の表面上にアモルファスシリコンから形成される第1太陽電池層を形成させる。
次に、第1太陽電池層の原料ガスを成膜室22及び枠体26内から除去し、電極25a,b,c,d,eの枠体26内に第2太陽電池層の原料ガスを供給した上で、前述した第1太陽電池層の成膜と同様の手段により、結晶質シリコンから形成される第2太陽電池層を形成させる。
そして本実施形態では、1つの成膜チャンバー7の成膜室22内で、太陽電池を構成する各薄膜層を形成させる。すなわち、多接合型太陽電池は、p層、i層及びn層の各半導体層を積層して形成するシリコン層(太陽電池層)を複数積層させたものであるが、本実施形態では、1つの成膜チャンバー7の成膜室22内で、全ての太陽電池層のp層、i層及びn層の各半導体層を順次積層して行く。
また成膜チャンバー7内で成膜工程が実行されている間に、基体キャリア72が排出されて空状態となり且つ減圧状態の移動チャンバー6に大気又は窒素を導入して、収納室47内の圧力を外気圧と均衡化させる。
そして収納室47内と外気との圧力差が解消すると、チャンバー移動装置32のシリンダー71を縮め、移動チャンバー6が成膜チャンバー7から離れる方向に移動する。すなわち接合状態であった、移動チャンバー6を成膜チャンバー7から分離する。
そして移動チャンバー6の電動機63を再度回転させ、移動チャンバー6の移動台車55をレール50に沿って自走させて成膜チャンバー群42の列方向に移動し、基体受取・払出し装置2の前で停止させる。
その後は、先の工程と同様に基体受取・払出し装置2にセットされた基体キャリア72を移動チャンバー6の収納室に移動させ、移動チャンバー6の移動台車55をレール50に沿って自走させて二番目の成膜チャンバーである成膜チャンバー8の前で停止し、移動チャンバー6の先端を成膜チャンバー8の先端と当接させる。
その後に、収納室47と成膜チャンバー8のシャッター21とによって囲まれた閉塞空間を減圧し、ヒータ43a,b,c,d,e,fによって内部の基体46を加熱昇温する。
その後に成膜チャンバー8のシャッター21を開いて移動チャンバー6内の基体キャリア72を成膜チャンバー8の成膜室22に移動させ、シャッター21を閉じて成膜を行う。
こうして次々に成膜チャンバー群42を構成する成膜チャンバー(成膜チャンバー7〜12)に基体46を挿入し、各成膜チャンバー内でp層、i層及びn層の各半導体層を積層する。
そして積層工程が終了した成膜チャンバー(成膜チャンバー7〜12)から順次基体キャリア72を運び出し、基体受取・払出し装置2に戻す。
本実施形態では、この戻し作業についても、移動チャンバー6を使用する。
すなわち6基の成膜チャンバー群42の中で全ての成膜作業が終了した成膜チャンバーがある場合、あるいは成膜作業か終盤に差しかかった成膜チャンバーがある場合は、基体キャリア72を内蔵せずに空状態の移動チャンバー6を当該成膜チャンバーに接続する。すなわち移動チャンバー6の移動台車55をレール50に沿って自走させて成膜作業が終了した成膜チャンバーの前で停止し、移動チャンバー6を前進させて移動チャンバー6の先端を当該成膜チャンバーの先端と当接させ、移動チャンバー6のフランジ37を、当該成膜チャンバーのフランジ20に押しつける。なお、以下では成膜チャンバー7で成膜が終了した場合についてのみ説明し、成膜チャンバー8〜12ついては同様の説明を省略する。
真空ポンプ44によって収納室47と、成膜チャンバー7のシャッター21とによって囲まれた閉塞空間を減圧する。
そしてシャッター21を開き、成膜が終了した基体46を成膜チャンバー7側から移動チャンバー6側に移動させる。すなわち成膜チャンバー7及び移動チャンバー6の基体移動装置29,49のピニオンギア18を先の場合とは逆に回転させ、基体キャリア72を成膜チャンバー7の成膜室出入口19側に移動させ、さらに移動チャンバー6の収納室47側に基体キャリア72を引き込む。
すべての基体キャリア72が移動チャンバー6側に移動したことが確認されると、シャッター21を閉じ、移動チャンバー6に大気又は窒素が導入される。
そして収納室47内と外気との圧力差が解消すると、移動チャンバー6のシリンダー71を縮め、移動チャンバー6を成膜チャンバー7から離れる方向に移動させ、移動チャンバー6を成膜チャンバー7から分離する。そしてチャンバー移動装置32の電動機63を再度回転させ、移動台車55をレール50に沿って自走させて成膜チャンバー群42の列方向に移動し、基体受取・払出し装置2の前で停止させる。
そして移動チャンバー6内の基体移動装置15、及び基体受取・払出し装置2の基体移動装置49,15のピニオンギア18を回転させ、移動チャンバー6内の基体キャリア72を基体受取・払出し装置2側に移動させる。
以下、この工程を繰り返し、基体46に薄膜を積層する作業を行う。
ここで、本実施形態では、アモルファスシリコンによる太陽電池層であって、形成に必要な時間が約30分であるものを第1太陽電池層に採用した。そして、結晶質シリコンによる太陽電池層であって、形成に必要な時間が約2時間であるものを第2太陽電池層に採用した。加えて本実施形態では、基体の移動及び受け取り、払い出しに要する時間が約30分のものを採用した。このことより、「第1太陽電池層の成膜に要する時間」であるT1を30分とし、「第2太陽電池層成膜に要する時間」と「基体の移動及び受け取り、払い出しに要する時間」の合計であるT2を2時間30分とした。そしてT1とT2の関係から成膜チャンバー群42の成膜チャンバーの数Xを6とした。つまり、T1:T2≒1:Nを満たすNに1を加えた数をXとした。(「≒」は四捨五入するものであり、Nは整数とする)
具体的に説明すると、上記した「第1太陽電池層の成膜に要する時間」とは、成膜チャンバーのシャッター21が閉じた瞬間から、成膜チャンバー内に第1太陽電池層の原料ガスを供給し、グロー放電を発生させて原料ガスを分解し、第1太陽電池層を形成させた後、成膜チャンバー内から当該第1太陽電池層の原料ガスを除去するまでの時間である。
また、「第2太陽電池層成膜に要する時間」とは成膜チャンバー内に第2太陽電池層の原料ガスの供給を開始してから、グロー放電を発生させて原料ガスを分解し、第2太陽電池層を形成させた後、成膜チャンバー内から当該第2太陽電池層の原料ガスを除去するまでの時間である。
そして、「基体の移動及び受け取り、払い出しに必要な時間」とは、移動チャンバー6を適宜の成膜チャンバーの前まで移動してから、移動チャンバー6が成膜チャンバーと密着した後、収納室47内を減圧し、成膜チャンバーのシャッター21を開き、成膜チャンバー内にある全ての基体キャリア72を収納室47内に移動させ、成膜チャンバーのシャッター21を閉じて、収納室47内を加圧し、移動チャンバー6を成膜チャンバーから離れる方向へ移動させ、移動チャンバー6を基体受取・払出し装置2の前まで移動し、基体受取・払出し装置2に全ての基体キャリア72を受け渡し、移動チャンバー6が基体受取・払出し装置2から未成膜の基体46(新たな基体キャリア72)を受け取って、前記成膜チャンバーの前まで移動し、前記成膜チャンバーの成膜室22へ未成膜の基体46を受け渡し、成膜チャンバーのシャッター21を閉じるまでの時間である。
つまり、上記したように本実施形態では、成膜チャンバーの数Xを前記T1と前記T2の関係によって決定している。したがって、Xは6に限るものではなく、例えばT1が5分でT2が60分の場合は、成膜チャンバーの数は13個となる。また、例えばT1が4分でT2が29分の場合は、T1:T2=1:7.25より、N=7であるので、成膜チャンバーの数は8個となるものである。
加えて、図14に示されるように、各成膜チャンバーにおける最初の第1太陽電池層の成膜開始時間がT1(30分)ずつずれるように、基体を搬入して成膜を開始した。なお、図14の左端の数字は成膜が開始される順番を示すものとする。具体的には、成膜チャンバー7で第1太陽電池層の成膜が開始されてから、T1(30分)後、成膜チャンバー8で第1太陽電池層の成膜を開始する、という具合に成膜チャンバー群42を構成する成膜チャンバー7〜12において、順次T1(30分)ずつの間隔を設けて、第1太陽電池層の成膜を開始した。
すると、成膜チャンバー8で第1太陽電池層の成膜を開始するとき、成膜チャンバー7における第1太陽電池層の成膜開始からT1(30分)経過しているので、成膜チャンバー7では第1太陽電池層の成膜が終了し、第2太陽電池層の成膜が開始されている。以下同様に、いずれかの成膜チャンバーで第1太陽電池層の成膜が開始される時、1つ前に第1太陽電池層の成膜を開始した成膜チャンバーで、第1太陽電池層の成膜が完了されている状態となる。
したがって、いずれかの成膜チャンバーにおいて第1太陽電池層の成膜を行う際に、他のチャンバーで第1太陽電池層を成膜しない状態にできる。つまり、薄膜製造装置1全体で、第1太陽電池層を成膜するチャンバーを常に1つのみにすることができる。このことにより、薄膜製造装置1の第1太陽電池層の原料ガス(シランガス)の最大供給量は、薄膜製造装置1の成膜チャンバーが1台のみである場合と同じ量にすることが可能なため、従来のX分の1(本実施形態では6分の1)の量に低減させることができる。
ここで、本発明の太陽電池の製造装置及び太陽電池の製造方法では、薄膜製造装置1の全成膜チャンバーの数XをT1:T2≒1:Nを満たすNに1を加えた数(X=N+1)としている。そのため、最初に第1太陽電池層の成膜を開始した成膜チャンバー7を除く、全ての成膜チャンバーにおける第1太陽電池層の成膜にかかる時間(T1)の合計Sは、S=T1(X−1)又は、S=T1×Nとなる。
また、上記したように、全ての成膜チャンバーで第1太陽電池層を成膜する時間が重ならず、連続して第1太陽電池層を成膜するため、前記S(成膜チャンバー7以外の全ての成膜チャンバーの第1太陽電池層の成膜にかかる時間の合計)と、2番目の成膜チャンバー(成膜チャンバー8)が第1太陽電池層の成膜を開始してから、最後の成膜チャンバー(成膜チャンバー12)で第1太陽電池層の成膜が完了するまでの時間が等しくなる。
さらに、本発明の太陽電池の製造装置及び太陽電池の製造方法では、T1とT2がT1:T2≒1:Nを満たす。第2太陽電池層を成膜するために要する時間と基体の移動及び受け取り、払い出しに要する時間の合計であるT2がT2≒T1×Nを満たす。したがって、このT2≒T1×Nと前記したS=T1×NよりT2≒Sが成立する。
これらのことから、本発明の太陽電池の製造装置及び太陽電池の製造方法では、成膜チャンバー7で第2太陽電池層の成膜成膜を開始してから、第2太陽電池層の成膜が終了し、成膜後の基体を払い出し、新たな基体を搬入するまでの時間と、成膜チャンバー8(2番目に成膜を開始する成膜チャンバー)が第1太陽電池層の成膜を開始してから、成膜チャンバー12(最後に成膜を開始するチャンバー)で第1太陽電池層の成膜が完了するまでの時間は略等しく2時間30分(T2)となる。
ここで、成膜チャンバー7で第2太陽電池層の成膜を開始する時刻と、成膜チャンバー8で第1太陽電池層の成膜を開始する時刻は略同じ(成膜チャンバー7での成膜開始からT1(30分)後)となっている。したがって、成膜チャンバー7で第2太陽電池層の成膜を開始してからT2(2時間30分)経過すると、成膜チャンバー8から順番に第1太陽電池層の成膜が完了していき、成膜チャンバー12での第1太陽電池層の成膜が完了する。そのとき、成膜チャンバー7では第2太陽電池層の成膜が完了した基体が払い出され、新たな未成膜の基体が搬入されており、新たな未成膜の基体に対して成膜可能な状態となっている。つまり、成膜チャンバー12での1回目の第1太陽電池層の成膜の完了と略同時に、成膜チャンバー7で2回目の第1太陽電池層の成膜が開始することができる。なお、このとき、成膜チャンバー8〜12はいずれも第2太陽電池層の成膜をおこなっており、第1太陽電池層の成膜を行っている成膜チャンバーはない。
その後、成膜チャンバー8〜12でT1(30分)ずつ間隔をおいて、基体46への成膜及び新たな基体46への成膜の準備が完了するので、再び、順次T1(30分)ずつの間隔を設けて2回目の成膜を行っていく。このように成膜を行うことで、第1太陽電池層の原料ガスの最大供給量を従来のX分の1(6分の1)の量に低減させたまま、成膜チャンバー群42を構成する全ての成膜チャンバー及び、移動チャンバー6を休止することなく稼働させることができる効率のよい成膜を行うことができる。
なお、本実施形態では基体受取・払出し装置2は、1台のみ設けたが、太陽電池の製造装置に設ける基体受取・払出し装置2は1台に限るものではない。例えば、2台設けて、基体の受取りと払出し別途行ってもよいし、3台設けて基体の受取りと払出しを別途行うと共に、突発故障時の基体の退避場所を設けてもよい。また4台以上設けて、上記した基体の受取り、払出し及び基体の退避場所の様な工程上必要な機能をそれぞれ任意に割り当ててもよい。
上記した実施形態では、「第1太陽電池層の成膜に要する時間」をT1とし、「第2太陽電池層成膜に要する時間」と「基体の移動及び受け取り、払い出しに要する時間」の合計をT2としたが、「第1太陽電池層の成膜に要する時間」をT1、「第2太陽電池層成膜に要する時間」をT2「基体の移動及び受け取り、払い出しに要する時間」をT3としてもよい。この場合、成膜チャンバーの数XはT1,T2,T3の関係から決定することができる。即ち、T3:T1:T2≒1:N:Zを満たすNとZの和に1を加えた数(T3がT1,T2及びT3の内で最小の値である場合)とすることができる。そして、T3ずつずらして成膜を実施することにより、従来の太陽電池の製造装置及び太陽電池の製造方法に比べて、第1太陽電池層と第2太陽電池層の少なくとも1つの原料ガスの最大供給量を減少することができる。
また、前記した「基体の移動及び受け取り、払い出しに要する時間」は上記したものに限るものではない。「基体の移動及び受け取り、払い出しに要する時間」とは、基体を成膜チャンバーに搬入し、基体に成膜を行い、成膜後の基体を成膜チャンバーから搬出し、新たな基体を成膜チャンバーに搬入するという一連の工程を繰り返す場合、成膜チャンバー内で基体に成膜を行うために必要な前工程と後工程に要する時間である。そのため、「基体の移動及び受け取り、払い出しに要する時間」は太陽電池の製造装置の構成により適宜変更されるものである。
例えば、2つの移動チャンバーを用いて、それぞれの移動チャンバーで成膜後の基体の搬出と未成膜の基体の搬入を行う場合においては、一つの移動チャンバーが未成膜の基体を搬入している間に、もう一つの移動チャンバーが成膜後の基体を基体受取・払出し装置に移送することができる。したがって、「基体の移動及び受け取り、払い出しに要する時間」は、成膜後の基板を成膜チャンバーから取り出し、新たな基板を成膜チャンバーへ搬入するまでの時間の合計とすることができる。
ここで、本発明の太陽電池の製造装置及び太陽電池の製造方法で製造される太陽電池は、特に限定されるものではないが、基板上に複数の導電膜層及び太陽電池層を積層させ、各層の適当な部分を光ビームによる加工によって複数のセルに分離し、相互に電気的に集積化してなる薄膜太陽電池モジュールの製造において好適に用いることができる。即ち、光ビームによる加工の前工程に使用することができる。
なお、上記した実施形態では、第1太陽電池層と第2太陽電池層を同一の成膜チャンバーにて成膜する場合について説明したが、本発明の太陽電池の製造装置はこれに限定されるものでなく、例えば第1太陽電池層と第2太陽電池層を異なる成膜チャンバーにて成膜を行う場合においても好適に使用することができる。
1 薄膜製造装置
6 移動チャンバー
7,8,9,10,11,12 成膜チャンバー
46 基板

Claims (10)

  1. 基板上に少なくとも第1太陽電池層と、第2太陽電池層とが積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造装置であって、前記第1太陽電池層と第2太陽電池層とをCVD法によって単一の成膜チャンバーで成膜するものであり、前記成膜チャンバーを複数有し、さらに成膜チャンバーに基板を供給・排出するために基板を輸送する移動チャンバーを有し、移動チャンバーによって電池層成膜前の基板をそれぞれの成膜チャンバーに搬送し、それぞれの成膜チャンバーで基板に対して第1太陽電池層と第2太陽電池層とを成膜し、第1太陽電池層と第2太陽電池層とが成膜された電池層成膜後の基板を移動チャンバーに移送して移動チャンバーで所定の位置に搬送し、さらに空いた成膜チャンバーに新たな電池層成膜前の基板を搬入し、これら一連の動作を連続的に実施する太陽電池の製造装置において、
    第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間と成膜後の基板を成膜チャンバーから取り出し、新たな基板を成膜チャンバーへ搬入するまでの時間の合計をT2としたとき、成膜チャンバーの数が次式のNに1を加えた数であることを特徴とする太陽電池の製造装置。
    T1:T2≒1:N
    又は
    T1:T2≒N:1
  2. 基板上に少なくとも第1太陽電池層と、第2太陽電池層とが積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造装置であって、前記第1太陽電池層と第2太陽電池層とをCVD法によって単一の成膜チャンバーで成膜するものであり、前記成膜チャンバーを複数有し、さらに成膜チャンバーに基板を供給・排出するために基板を輸送する移動チャンバーを有し、移動チャンバーによって電池層成膜前の基板をそれぞれの成膜チャンバーに搬送し、それぞれの成膜チャンバーで基板に対して第1太陽電池層と第2太陽電池層とを成膜し、第1太陽電池層と第2太陽電池層とが成膜された電池層成膜後の基板を移動チャンバーに移送して移動チャンバーで所定の位置に搬送し、さらに空いた成膜チャンバーに新たな電池層成膜前の基板を搬入し、これら一連の動作を連続的に実施する太陽電池の製造装置において、
    第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間と成膜後の基板を所定の位置に搬送してから、新たな基板を成膜チャンバーへ搬入するまでに要する時間の合計をT2としたとき、成膜チャンバーの数が次式のNに1を加えた数であることを特徴とする太陽電池の製造装置。
    T1:T2≒1:N
    又は
    T1:T2≒N:1
  3. 基板上に少なくとも第1太陽電池層と、第2太陽電池層とが積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造装置であって、前記第1太陽電池層と第2太陽電池層とをCVD法によって単一の成膜チャンバーで成膜するものであり、前記成膜チャンバーを複数有し、さらに成膜チャンバーに基板を供給・排出するために基板を輸送する移動チャンバーを有し、移動チャンバーによって電池層成膜前の基板をそれぞれの成膜チャンバーに搬送し、それぞれの成膜チャンバーで基板に対して第1太陽電池層と第2太陽電池層とを成膜し、第1太陽電池層と第2太陽電池層とが成膜された電池層成膜後の基板を移動チャンバーに移送して移動チャンバーで所定の位置に搬送し、さらに空いた成膜チャンバーに新たな電池層成膜前の基板を搬送し、これら一連の動作を連続的に実施する太陽電池の製造装置において、
    第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間をT2とし、成膜後の基板を成膜チャンバーから取り出し、新たな基板を成膜チャンバーへ搬入するまでの時間の合計をT3としたとき、T3がT1,T2及びT3の内で最小の値である場合、成膜チャンバーの数が次式のNとZの和に1を加えた数であることを特徴とする太陽電池の製造装置。
    T3:T1:T2≒1:N:Z
  4. 基板上に少なくとも第1太陽電池層と、第2太陽電池層とが積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造装置であって、前記第1太陽電池層と第2太陽電池層とをCVD法によって単一の成膜チャンバーで成膜するものであり、前記成膜チャンバーを複数有し、さらに成膜チャンバーに基板を供給・排出するために基板を輸送する移動チャンバーを有し、移動チャンバーによって電池層成膜前の基板をそれぞれの成膜チャンバーに搬送し、それぞれの成膜チャンバーで基板に対して第1太陽電池層と第2太陽電池層とを成膜し、第1太陽電池層と第2太陽電池層とが成膜された電池層成膜後の基板を移動チャンバーに移送して移動チャンバーで所定の位置に搬送し、さらに空いた成膜チャンバーに新たな電池層成膜前の基板を搬送し、これら一連の動作を連続的に実施する太陽電池の製造装置において、
    第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間をT2とし、成膜後の基板を所定の位置に搬送してから、新たな基板を成膜チャンバーへ搬入するまでに要する時間の合計をT3としたとき、T3がT1,T2及びT3の内で最小の値である場合、成膜チャンバーの数が次式のNとZの和に1を加えた数であることを特徴とする太陽電池の製造装置。
    T3:T1:T2≒1:N:Z
  5. 第1太陽電池層と第2太陽電池層の内の一方は、アモルファスシリコンを素材としてp層i層n層が積層されたものであり、他方は結晶質シリコンを素材としてp層i層n層が積層されたものであり、成膜チャンバーの数が6であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の太陽電池の製造装置。
  6. 基板上に少なくとも第1導電膜層と、アモルファスシリコンを素材としてp層i層n層が積層された第1太陽電池層と、結晶質シリコンを素材としてp層i層n層が積層された第2太陽電池層と、第2導電膜層が積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造装置であって、前記第1太陽電池層と第2太陽電池層とをCVD法によって単一の成膜チャンバーで成膜するものであり、前記成膜チャンバーを複数有し、さらに成膜チャンバーに基板を供給・排出するために基板を輸送する移動チャンバーを有し、移動チャンバーによって電池層成膜前の基板をそれぞれの成膜チャンバーに搬送し、それぞれの成膜チャンバーで基板に対して第1太陽電池層と第2太陽電池層とを成膜し、第1太陽電池層と第2太陽電池層とが成膜された電池層成膜後の基板を移動チャンバーに移送して移動チャンバーで所定の位置に搬送し、さらに空いた成膜チャンバーに新たな電池層成膜前の基板を搬入し、これら一連の動作を連続的に実施する太陽電池の製造装置において、成膜チャンバーの数が6であることを特徴とする太陽電池の製造装置。
  7. 前記太陽電池は、基板上に少なくとも第1導電膜層と、アモルファスシリコンを素材としてp層i層n層が積層された第1太陽電池層と、結晶質シリコンを素材としてp層i層n層が積層された第2太陽電池層と、第2導電膜層が積層されており、前記各層の少なくとも一部を光ビームによる加工によって複数のセルに分離し、相互に電気的に集積化してなる薄膜太陽電池モジュールであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の太陽電池の製造装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の太陽電池の製造装置を使用して、第1太陽電池層及び第2太陽電池層を成膜することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  9. 成膜室を有し当該成膜室内で基体に薄膜を成膜する成膜チャンバーを有し、複数の成膜チャンバーを備えた太陽電池の製造装置を使用して、基板上に少なくとも第1太陽電池層と、第2太陽電池層とが積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造方法であって、
    アモルファスシリコンを素材とするp層i層n層を積層し、第1太陽電池層を製造する第1の工程と、
    第1太陽電池層上に結晶質シリコンを素材とするp層i層n層を積層して第2太陽電池層を製造する第2の工程とを有しており、
    前記第1の工程と第2の工程は単一の成膜チャンバー内で行われ、
    第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間と、成膜後の基板を成膜チャンバーから取り出し、新たな基板を成膜チャンバーへ搬入するまでの時間の合計をT2としたとき、T1:T2≒1:Nを満たすNに1を加えた数の成膜チャンバーにおいて、前記第1の工程がT1以上の間隔を設けて開始されることを特徴とする太陽電池の製造方法。
  10. 成膜室を有し当該成膜室内で基体に薄膜を成膜する成膜チャンバーを有し、複数の成膜チャンバーを備えた太陽電池の製造装置を使用して、基板上に少なくとも第1太陽電池層と、第2太陽電池層とが積層された太陽電池を製造する太陽電池の製造方法であって、
    アモルファスシリコンを素材とするp層i層n層を積層し、第1太陽電池層を製造する第1の工程と、
    第1太陽電池層上に結晶質シリコンを素材とするp層i層n層を積層して第2太陽電池層を製造する第2の工程とを有しており、
    前記第1の工程と第2の工程は単一の成膜チャンバー内で行われ、
    第1太陽電池層の成膜に要する時間をT1とし、第2太陽電池層の成膜に要する時間と、成膜後の基板を所定の位置に搬送するために要する時間、及び新たな基板を成膜チャンバーへ搬入するために要する時間の合計をT2としたとき、T1:T2≒1:Nを満たすNに1を加えた数の成膜チャンバーにおいて、前記第1の工程がT1以上の間隔を設けて開始されることを特徴とする太陽電池の製造方法。
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