JP5471902B2 - 車輪用駆動ユニット - Google Patents

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Description

この発明に係る車輪用駆動ユニットは、等速ジョイントと車輪支持用転がり軸受ユニットとを組み合わせ結合したもので、独立懸架式サスペンションに支持された駆動輪{FF車(前置エンジン前輪駆動車)の前輪、FR車(前置エンジン後輪駆動車)及びRR車(後置エンジン後輪駆動車)の後輪、4WD車(四輪駆動車)の全輪}を懸架装置に対して回転自在に支持すると共に、前記駆動輪を回転駆動する為に利用する。
独立懸架式サスペンションに駆動輪を支持すると共にこの駆動輪を回転駆動する為には、車輪支持用転がり軸受ユニットと等速ジョイントとを結合した車輪用駆動ユニットを使用する。この様な車輪用駆動ユニットとして、従来から図7の様な構造が広く知られている。この従来構造は、車輪支持用転がり軸受ユニット1を構成するハブ2に設けたスプライン孔3と、等速ジョイント4を構成するスプライン軸5とをスプライン係合させている。そして、このスプライン軸5の先端部に螺合したナット6により、前記スプライン孔3からの、このスプライン軸5の抜け止めを図っている。この様な従来構造は、このスプライン軸5の先端部に螺合させたナット6を強く締め付ける事で、前記スプライン孔3内に前記スプライン軸5を強く引き込める。又、前記ハブ2の軸方向両端面と、前記等速ジョイント4を構成するジョイント用外輪8の軸方向外端面及び前記ナット6(により押圧されるワッシャ)の軸方向内側面との当接部に作用する大きな摩擦力に基づき、前記スプライン孔3とスプライン軸5とのスプライン係合部のがたつきを抑えられる。但し、前記従来構造は、このスプライン軸5の先端部に前記ナット6を螺合させる必要上、このスプライン軸5の軸方向寸法が嵩む。この為、このナット6が必要になる事と相まって、車輪用駆動ユニットの小型・軽量化を図りにくい。
一方、特許文献1〜4等には、スプライン軸の外周面とスプライン孔の内周面との間に欠円環状の止め輪を掛け渡す事で、このスプライン軸がこのスプライン孔から抜け出るのを防止する構造が記載されている。又、このうちの特許文献1、3には、等速ジョイントと車輪支持用転がり軸受ユニットとを組み合わせ結合して車輪用駆動ユニットとした後、外部から前記止め輪の直径を縮められる様にして、この車輪用駆動ユニットの修理に要する費用の低減を図れる構造が記載されている。更に、特許文献2、4には、スプライン軸をスプライン孔内に、大きな力で引き込み可能とした構造が記載されている。この様に、スプライン軸をスプライン孔内に大きな力で引き込み可能とする構造を採用する理由、並びに、この様な構造を採用する事に伴って生じる問題に就いて、以下に説明する。
車輪を支持固定するハブの中心部に設けたスプライン孔と、等速ジョイント側に設けたスプライン軸とのスプライン係合部では、大きなトルクを伝達する。又、車両の加速時と減速時とで、このスプライン係合部で伝達するトルクの方向が逆になる。従って、このスプライン係合部に、円周方向に関する隙間(バックラッシ、がたつき)が存在すると、車両の加速度や減速度が変化する度に、前記スプライン孔の内周面に存在する雌スプライン歯の円周方向側面と、前記スプライン軸の外周面に存在する雄スプライン歯の円周方向側面とが勢い良く衝突する。そして、この衝突の結果、耳障りな異音が発生したり、前記各スプライン歯にフレッチング等の磨耗が発生し、前記車輪用駆動ユニットの耐久性が損なわれる可能性がある。
この様な問題が発生するのを防止する為に従来から、前記雌スプライン歯と前記雄スプライン歯とのうちの少なくとも一方のスプライン歯を、軸方向に対して僅かに傾斜したヘリカルスプライン歯としたり、円周方向に関する幅寸法が、軸方向に関して漸次変化する(挿入方向後方に向けて漸増する)テーパスプラインとする事が行なわれている。但し、ヘリカルスプラインにしてもテーパスプラインにしても、トルク伝達に伴うがたつきを防止できる様に、締り嵌めでスプライン係合させる為には、前記スプライン孔に前記スプライン軸を、大きな力で押し込む(或いは引き込む)必要がある。この為に、特許文献2には、図8に示す様に、ハブ2aの中心孔9の軸方向外端開口部に支持したキャップ10を挿通したねじ(ボルト)11を、スプライン軸5aの軸方向外端面(先端面)に開口したねじ孔12に螺入した構造が記載されている。又、特許文献4には、図9に示す様に、スプライン軸5bの軸方向外端面に開口したねじ孔12aに螺着したスタッド13と、ハブ2bの軸方向外端面に突き当てた引っ張り治具14の中心に形成したねじ孔15とを螺合させる構造が記載されている。特許文献2に記載された構造の場合には前記ねじ11を回転させる事で、特許文献4に記載された構造の場合には前記引っ張り治具14を回転させる事で、前記スプライン軸5a、5bをそれぞれスプライン孔3a、3b内に、大きな力で引っ張り込める。
上述の様な特許文献2、4に記載された構造によれば、前記車輪用駆動ユニットを組み立てるべく、前記スプライン孔3a、3bに前記スプライン軸5a、5bを引き込む事はできるが、修理等の為、車輪支持用転がり軸受ユニット1a、1bと等速ジョイント4a、4bとの分離作業の容易化を図る事はできない。即ち、前記車輪用駆動ユニットを構成する、前記車輪支持用転がり軸受ユニット1a、1bと前記等速ジョイント4a、4bとのうちの一方のみが損傷した場合、これら車輪支持用転がり軸受ユニット1a、1bと等速ジョイント4a、4bとを分離し、損傷していない部分を再利用する事が、修理費の低減や省資源化の面からは好ましい。例えばこの様な理由で、前記車輪支持用転がり軸受ユニット1a、1bと前記等速ジョイント4a、4bとを分離する為には、前記スプライン孔3a、3bから前記スプライン軸5a、5bを押し出す必要がある。ところが、上述した様に、これらスプライン孔3a、3bとスプライン軸5a、5bとは、きつく(締り嵌めで)スプライン係合している為、このスプライン孔3a、3bからこのスプライン軸5a、5bを押し出す為には、相当に大きな力が必要になる。前記特許文献2、4には、これらスプライン孔3a、3bとスプライン軸5a、5bとを、容易にスプライン係合させる為の構造は記載されているが、このスプライン係合を容易に外す為の構造に就いては記載されていない。
特許文献5には、等速ジョイントを構成するジョイント用外輪を、このジョイント用外輪とは別体のハウジングの内径側にセレーション係合によりトルク伝達可能に内嵌した構造が記載されている。修理の際には、ハンマーにより軸工具を介して、前記ジョイント用外輪を軸方向内方に向けて叩き、このジョイント用外輪を前記ハウジングの内径側から押し出す様にしている。この様な特許文献5に記載された構造は、等速ジョイントの軸方向内半部を、前記ジョイント用外輪と前記ハウジングとの二重構造にする等、特殊であり、小型・軽量化の面から不利になるものと考えられる。又、前記ジョイント用外輪を前記ハウジングの内径側から押し出す際に、このジョイント用外輪及びこのジョイント用外輪の内径側に設置した各ボール等に衝撃が加わる。この為、損傷した部分が車輪支持用転がり軸受ユニットの側であった場合に、分離作業に伴って等速ジョイントの側まで損傷し、修理の低廉化や省資源化を図れなくなる可能性がある。特に、車両への搭載状態では、ナックルから車輪支持用転がり軸受ユニットの外輪を引き抜きつつ、この車輪支持用転がり軸受ユニットのハブと等速ジョイントとを分離する必要がある。この様な状況下で、前記特許文献5に記載された方法により、この分離作業を行おうとしても、前記外輪の内周面に形成した外輪軌道に圧痕を生じるのみで、前記ハブと等速ジョイントとを分離する事は難しい。
更に、特許文献6には、車輪支持用転がり軸受ユニットを構成するハブの軸方向内端面と、等速ジョイントを構成するジョイント用外輪の軸方向外端面とを付き合わせた状態で、これらハブとジョイント用外輪とを複数本のボルトにより結合固定した構造が記載されている。この様な特許文献6に記載された構造によれば、前記各ボルトを弛める事で、前記ハブと前記ジョイント用外輪とを、両方の部材を傷めずに分離できる。但し、この様な特許文献6に記載された構造も特殊であり、大きなトルク伝達に伴って前記各ボルトに大きな剪断方向の力が加わる為、耐久性の確保が難しい等の問題があり、実用性は乏しいものと考えられる。しかも、前記特許文献6に記載された構造では、等速ジョイント用の内輪とボール及び保持器とをジョイント用外輪の内側から取り外さない限り、前記各ボルトを弛める事ができない。この為、車両への搭載状態のままでは、車輪支持用転がり軸受ユニットと相当ジョイントとを分離する事はできない。
特開2000−142009号公報 特開2002−120506号公報 特開2002−172908号公報 特開2002−337504号公報 特開2005−170208号公報 特開2010−036611号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、車輪支持用転がり軸受ユニット側に設けたスプライン孔と、等速ジョイント側に設けたスプライン軸とを、締り嵌めでスプライン係合させる構造で、これらスプライン孔とスプライン軸とのスプライン係合を外して、前記車輪支持用転がり軸受ユニットと等速ジョイントとを分離する作業を、車両に搭載していない状態では勿論、搭載している状態でも、容易に、しかも、各部を損傷せずに行える構造を実現すべく発明したものである。
本発明の車輪用駆動ユニットは、前述した従来から知られている車輪用駆動ユニットと同様に、外輪と、ハブと、複数個の転動体と、等速ジョイントとを備える。
このうちの外輪は、内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない。
又、前記ハブは、外周面の軸方向外端寄り部分に車輪を支持する為の回転フランジを、同じく中間部乃至内端部に複列の内輪軌道を、中心部にスプライン孔を、それぞれ設けており、使用時に回転する。
又、前記各転動体は、前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ、転動自在に設けられている。
更に、前記等速ジョイントは、前記スプライン孔とスプライン係合するスプライン軸を軸方向外端部に、ジョイント用外輪を軸方向内端部に、それぞれ有する。
そして、前記ハブと前記スプライン軸とを結合している。
特に、本発明の車輪用駆動ユニットに於いては、ねじ孔と、ねじ(ボルトを含む。本明細書及び特許請求の範囲全体で同じ。)と、内向鍔部とを備える。
このうちのねじ孔は、前記スプライン軸の軸方向外端部に、このスプライン軸の軸方向外端面に開口する状態で、このスプライン軸の軸方向に形成している。
又、前記ねじは、前記ねじ孔に螺合している。
又、前記内向鍔部は、前記ハブの中心部に形成した中心孔の一部で前記スプライン孔よりも軸方向外寄り部分に、この中心孔の内周面から径方向内方に突出する状態で形成している。
そして、前記内向鍔部と前記ねじの頭部とを、この頭部をこの内向鍔部よりも軸方向外側から回転駆動可能に、且つ、この内向鍔部に対するこの頭部の軸方向外側への変位を阻止した状態で係合させている。
この様な本発明の車輪用駆動ユニットを実施する場合、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記ねじ孔を、前記スプライン軸の軸方向外端面の中心部に開口する状態で形成する。そして、前記ねじの頭部を前記内向鍔部の中心部に、自身の中心軸回りの回転を可能に、且つ、軸方向に関する変位を阻止した状態で支持する。
この様な請求項2に記載した発明を実施する場合、より具体的には、請求項3、4に記載した発明の様に、前記ねじの頭部を、軸方向中央部の小径部と同じく両端部の大径部とから成る段付形状とする。
そして、請求項3に記載した発明の場合には、前記内向鍔部の中心部に、このうちの小径部の外径よりも大きく大径部の外径よりも小さな内径を有する係止孔部を、前記内向鍔部の中心から径方向外方に外れた部分に、この係止孔部と連続する状態で、前記大径部の外径よりも大きな内径を有する挿通孔部を、それぞれ形成する。
更に、前記両大径部のうちの軸方向内側の大径部をこのうちの挿通孔部を通じて前記内向鍔部よりも軸方向内側に挿入してから、前記小径部をこの挿入孔部から前記係止孔部に、径方向に挿入する。
そして、前記両大径部と、前記内向鍔部の中央寄り部分で前記係止孔部の周囲部分との係合に基づき、前記ねじを前記内向鍔部に対し、自身の中心軸回りの回転を可能に、且つ、軸方向に関する変位を阻止した状態で支持する。
これに対して、請求項4に記載した発明の場合には、前記内向鍔部を、前記ハブと別体の部材を、前記中心孔の一部で前記スプライン孔よりも軸方向外寄り部分に、このハブに対する軸方向の変位を阻止した状態で内嵌固定する事により構成する。
又、前記内向鍔部の中心部に形成した、前記小径部の外径よりも大きく前記大径部の外径よりも小さな内径を有する係止孔にこの小径部を、前記内向鍔部の中央寄り部分の軸方向両側に前記両大径部を、それぞれ配置する。
そして、前記ねじをこの内向鍔部に対し、自身の中心軸回りの回転を可能に、且つ、軸方向に関する変位を阻止した状態で支持する。
或いは、前述の様な本発明の車輪用駆動ユニットを実施する場合に、請求項5に記載した発明の様に、前記ねじ孔を複数設けて、それぞれのねじ孔を、前記スプライン軸の軸方向外端面に開口させる。
そして、一部のねじ孔に、前記内向鍔部の一部でこの一部のねじ孔に対向する部分に形成された挿通孔に挿通した引っ張り用のねじを螺合すると共に、この引っ張り用のねじの頭部の軸方向内端面を、前記内向鍔部の軸方向外側面のうちで前記挿通孔の周囲部分に当接させる。
これに対して、残部のねじ孔に、押し出し用のねじを螺合すると共に、この押し出し用のねじの頭部を、前記内向鍔部の一部に、回転可能に対向乃至は当接させる。
更に、この内向鍔部のうちで、この押し出し用のねじの頭部に整合する部分に、この押し出し用のねじの頭部の外径よりも小さな内径を有し、この押し出し用のねじの頭部を回転させる為の工具を挿通可能な第二の挿通孔を形成する。
上述の様に構成する本発明によれば、車輪支持用転がり軸受ユニット側に設けたスプライン孔と、等速ジョイント側に設けたスプライン軸とを、締り嵌めでスプライン係合させる構造で、これらスプライン孔とスプライン軸との係合を外す作業を容易に、しかも、各部を損傷せずに行える車輪用駆動ユニットを実現できる。
即ち、本発明の車輪用駆動ユニットの場合、前記係合を外す作業を行う際には、ねじの頭部を回転させて、ねじ孔に対する、このねじの螺入量(ねじの雄ねじ部とねじ孔の雌ねじとが螺合している部分の軸方向長さ)を減少させる。これに伴って、前記スプライン軸の軸方向外端面からの、前記ねじの突出量が増大し、このねじが、このスプライン軸と、ハブ側に固設した内向鍔部との間で突っ張る。この結果、このスプライン軸が前記スプライン孔から押し出されて、前記スプライン孔と前記スプライン軸とのスプライン係合が外れる。この際、特に各部に無理な力や衝撃が加わる事はないので、前記各部が損傷する事はない。
更に、請求項2〜5に記載した発明の場合には、前記スプライン孔と前記スプライン軸とのスプライン係合を外す作業を容易に行える事に加えて、これらスプライン孔とスプライン軸とをスプライン係合させる作業も容易に行える。
先ず、請求項2〜4に記載した発明の場合には、単一のねじを回転させて、ねじ孔に対するこのねじの螺入量を変化させる事により、前記スプライン軸を前記スプライン孔に引き込んだり、このスプライン軸をこのスプライン孔から押し出す事ができる。
これに対して、請求項5に記載した発明の場合には、一部のねじ孔に対する引っ張り用のねじの螺入量を増大させる事により、前記スプライン軸を前記スプライン孔に引き込める。又、残部のねじ孔に対する押し出し用のねじの螺入量を減少させる事により、前記スプライン軸を前記スプライン孔から押し出す事ができる。
本発明の実施の形態の第1例を示す断面図。 図1の拡大A矢視図。 本発明の実施の形態の第2例を示す断面図。 同第3例を示す断面図。 防塵キャップを外した状態で示す、図4の拡大B矢視図。 本発明の実施の形態の第4例を示す、図1の右上部に相当する部分断面図。 従来構造の第1例を示す断面図。 同第2例を示す断面図。 同第3例を示す断面図。
[実施の形態の第1例]
図1〜2は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の車輪用駆動ユニットは、車輪支持用転がり軸受ユニット1cと等速ジョイント4cとを、ねじ11aにより、不用意に分離しない様に組み合わせ結合して成る。このうちの車輪支持用転がり軸受ユニット1cは、外輪16と、ハブ17と、それぞれが転動体である複数個の玉18a、18bとを備える。このうちの外輪16は、内周面に複列の外輪軌道19a、19bを、外周面に静止フランジ20を、それぞれ有する。この様な外輪16は、使用状態に於いて、この静止フランジ20をナックル等の懸架装置の構成部材に結合固定し、回転しない。
又、前記ハブ17は、ハブ本体21と内輪22とを結合固定して成る。このうちのハブ本体21は、外周面の軸方向外端寄り部分に車輪を支持する為の回転フランジ23を、同じく中間部に内輪軌道24aを、同じく内端部に小径段部25を、中心部のうちの軸方向内寄り部分にスプライン孔3cを、それぞれ形成している。このうちの小径段部25には、外周面に内輪軌道24bを形成した前記内輪22を外嵌し、更に前記ハブ本体21の軸方向内端部に形成したかしめ部26により、前記小径段部25からの抜け止めを図っている。前記ハブ本体21の軸方向外半部内側には、軸方向外端面に開口する凹部27を形成している。そして、この凹部27の奥端面と前記スプライン孔3cの軸方向外端部との間に、仕切壁状の内向鍔部28を設けている。又、この内向鍔部28の中心部に、内径が比較的小さな係止孔部29を、同じく中心から径方向外方に外れた部分に挿通孔部30を、それぞれ形成している。これら係止孔部29と挿通孔部30とは、互いに連続する状態で形成している。具体的には、このうちの係止孔部29の形状を、半円よりも少しだけ大きくし、この係止孔部29の内径が最も大きくなった部分に近い位置で、この係止孔部29と前記挿入孔部30とを重ねて、前記内向鍔部28のほぼ中央部に達磨型の孔を、この内向鍔部28を軸方向に貫通する状態で形成している。
又、前記両列の内輪軌道24a、24bと前記両列の外輪軌道19a、19bとの間には、前記各玉18a、18bを両列毎に複数個ずつ、それぞれ保持器31a、31bにより保持した状態で、転動自在に設けている。又、前記複列に配置された各玉18a、18bには、背面接触型の接触角と共に、予圧を付与している。従って前記ハブ17は、前記外輪16の内径側に回転自在に支持されており、このハブ17に加わるラジアル荷重及び両方向のアキシアル荷重は、前記外輪16により支承される。
又、前記等速ジョイント4cは、軸方向外半部にスプライン軸5cを、軸方向内半部にジョイント用外輪8aを、それぞれ設けている。このうちのスプライン軸5cは、前記ハブ本体21の中心部に設けたスプライン孔3cとスプライン係合して、前記等速ジョイント4cと前記ハブ17との間でのトルク伝達を自在とする。又、前記ジョイント用外輪8aの内径側には、前述の図7に示した従来構造と同様に、ジョイント用内輪を設置しており、前記ジョイント用外輪8aの内周面の円周方向複数箇所に設けた外径側係止溝と、前記ジョイント用内輪の外周面の円周方向複数箇所に設けた内径側係止溝との間に、それぞれボールを設置する事により、前述の図7に示す様な、ツェッパ型或いはバーフィールド型の等速ジョイント4cを構成している。
前述の様なハブ17と上述の様な等速ジョイント4cとは、前記スプライン軸5cと前記スプライン孔3cとをスプライン係合させて、トルクの伝達を可能に組み合わせている。又、前記ねじ11aにより、前記スプライン軸5cが前記スプライン孔3cから抜け出ない様にしている。このねじ11aは、軸方向内半部にねじ杆部32を、軸方向外半部に頭部33を、互いに同心に設けて成る。このうちのねじ杆部32は、前記スプライン軸5cの軸方向外端の中心部に設けられて、このスプライン軸5cの軸方向外端面に開口した、ねじ孔12bと螺合自在である。又、前記頭部33は、軸方向中央部の小径部34と、同じく両端部の大径部35a、35bとから成る段付形状である。
これら小径部34と大径部35a、35bとのうち、小径部34の外径は、前記係止孔部29の内径よりも少しだけ小さく、この係止孔部29と前記挿入孔部30との連続部(達磨型の括れ部)を通過できる大きさとしている。これに対して、前記両大径部35a、35bの外径は、前記係止孔部29の内径よりも大きくしている。又、これら両大径部35a、35bのうちの、少なくとも前記ねじ杆部32に隣接する、軸方向内側の大径部35aの外径は、前記挿入孔部30の内径以下としている。更に、軸方向外側の大径部35bに関しては、工具により大きな力で回転させられる様にすべく、外周面を六角形等の非円形としたり、端面に開口する、非円形の係止孔を設ける。
この様な頭部33を有する、前記ねじ11aは、図1〜2に示す様に、前記ねじ杆部32を前記スプライン孔3cの内径側に位置させた状態で、前記頭部33を前記内向鍔部28に、回転のみ可能に支持する。この為に、前記ねじ杆部32及び前記軸方向内側の大径部35aを、前記挿通孔部30を通じて前記内向鍔部28よりも軸方向内側に挿入してから、前記小径部34をこの挿入孔部30から前記係止孔部29に、径方向に(図1〜2の下から上に)挿入する。この状態で前記ねじ11aが前記ハブ17の中心部に、前記ねじ杆部32を軸方向に向け、軸方向に関して何れの方向にも変位しない状態で、両方向の回転を可能に支持される。
前記ハブ17と前記スプライン軸5cとを非分離に結合するには、このスプライン軸5cを前記スプライン孔3c内に、このスプライン孔3cの軸方向内端側開口から挿入する。これらスプライン軸5cの外周面の雄スプライン歯とスプライン孔3cの内周面の雌スプライン歯とは、組立完了後の状態でスプライン係合部にバックラッシが存在しない様にすべく、ヘリカルスプラインやテーパスプラインとし、前記各スプライン歯同士を締り嵌めで係合させている。但し、ヘリカルスプラインを採用した場合にしても、或いはテーパスプラインを採用した場合にしても、前記スプライン軸5cを前記スプライン孔3cに挿入する作業の初期段階では、前記各スプライン歯同士が締り嵌めで係合する訳ではない。締り嵌めの係合状態となるのは、挿入作業の中盤乃至終盤のみである。従って、前記スプライン軸5cを前記スプライン孔3cの途中まで挿入する作業は、軽い力で、容易に行える。
そこで、前記スプライン軸5cを前記スプライン孔3cの途中まで挿入した状態で、このスプライン軸5cの先端面に開口した前記ねじ孔12bに、前記ねじ11aのねじ杆部32を螺入する。この螺入作業は、このねじ11aを所定方向に回転させながら、前記スプライン軸5cを前記スプライン孔3cに押し込む事により行う。この状態では、前記ねじ11aを回転させたり、前記スプライン軸5cを前記スプライン孔3cに押し込む為に要する力は小さくて済む為、前記螺入作業は容易に行える。前記ねじ孔12bに前記ねじ杆部32を或る程度螺入させたならば、スパナ、レンチ等の工具により、前記ねじ11aを大きな力で、更に前記所定方向に回転させて、前記ねじ孔12b内への前記ねじ杆部32を螺入量を増大させる。前記ねじ11aは、前記ハブ17に対し、軸方向に変位する事はない為、前記螺入量の増大に伴って、前記スプライン軸5cが前記スプライン孔3c内に引き込まれる。そして、前記ねじ11aの回転を停止した後の状態でも、前記スプライン軸5cが、そのまま前記スプライン孔3cから抜け出る事がなくなり、このスプライン軸5cと前記ハブ17とが、非分離に結合される。
又、この様に、これらスプライン軸5cとハブ17とを、前記ねじ11aを介して非分離に結合した状態で、これらスプライン軸5cとハブ17とが軸方向に相対変位する事はなくなる。即ち、このスプライン軸5cの外周面に形成した雄スプライン歯と、前記スプライン孔3cの内周面に形成した雌スプライン歯とは、前述の様にヘリカルスプラインやテーパスプラインの如き、軸方向に関する相対変位に伴って互いに楔状に食い込む構造となっている。そして、前記ねじ11aを所定方向に大きな力で締め付けた状態で、前記雄スプライン歯と前記雌スプライン歯とが締り嵌めでスプライン係合し、前記スプライン軸5cが、それ以上前記スプライン孔3c内に入り込む事はなくなる。又、このスプライン軸5cがこのスプライン孔3cから抜け出す方向に変位する事は、前記ねじ11aにより阻止される。この結果、前記スプライン軸5cと前記ハブ17とは、回転方向に関しても、軸方向に関しても、十分に大きな剛性で結合固定された状態となる。尚、前記凹部27の奥端部に形成した円筒面部46には、防塵キャップ47(図3参照、図1には省略)を締り嵌めで内嵌固定し、前記挿入孔部30を通じて前記スプライン孔3c内に、泥水等の異物が入り込まない様にする。
上述の様な本例の車輪用駆動ユニットにより、懸架装置を構成するナックル36に対して車輪を回転駆動自在に支持する為には、このナックル36に前記静止フランジ20をねじ止め固定すると共に、前記ハブ17の軸方向外端部外周面に形成した回転フランジ23に前記車輪をねじ止め固定する。この状態で、前記ジョイント用外輪8aの軸方向外端部に外嵌固定した回転円板37のスリンガ部38の外周縁が、前記ナックル36の支持孔39の内周面に近接対向し、当該部分にラビリンスシールを構成する。又、前記回転円板37の径方向内端部の軸方向外側面に添設したシールリップ40の先端縁を、前記かしめ部26の軸方向内側面に全周に亙り当接させて、当該部分をシールする。
更に、図示の例では、前記車輪をねじ止め固定した、前記ハブ17の回転速度を測定可能としている。この為に本例の場合には、前記外輪16の軸方向内端部内周面と前記内輪22の内端部外周面との間に設けた組み合わせシールリング41を構成するスリンガ42の軸方向内側面に、エンコーダ43を添着固定している。そして、前記ナックル36に支持したセンサユニット44の検知素子45を、前記エンコーダ43の被検出面である軸方向内側面に近接対向させている。この様な、検知素子45とエンコーダ43とから成る回転速度検出装置の構成及び作用は、従来から周知であり、本発明の要旨とも関係しない為、詳しい説明は省略する。
修理等の為、前記ハブ17と前記スプライン軸5cとを分離するには、前記工具により前記ねじ11aを、前記所定方向と逆方向に、大きな力で回転させる。前述した様に、このねじ11aは前記ハブ17に対して、軸方向の変位を阻止された状態で、回転のみ可能に支持されており、前記スプライン軸5cは前記ハブ17に対し回転する事はない。この為、前記逆方向への回転に伴って前記ねじ11aのねじ杆部32の、前記ねじ孔12bへの螺入量が低減し、このねじ11aが前記スプライン軸5cを軸方向内方に強く押して、このスプライン軸5cを前記スプライン孔3cから押し出す。
上述の様に本例の車輪用駆動ユニットによれば、前記車輪支持用転がり軸受ユニット1c側に設けたスプライン孔3cと、前記等速ジョイント4c側に設けたスプライン軸5cとを、締り嵌めでスプライン係合させる構造で、これらスプライン孔3cとスプライン軸5cとの着脱作業を、何れも容易に、しかも、各部を損傷せずに行える。
[実施の形態の第2例]
図3は、請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合も、上述した実施の形態の第1例の場合と同様に、ねじ11aの頭部33を、軸方向中央部の小径部34と、同じく両端部の大径部35a、35bとから成る段付形状とする。
特に、本例の構造の場合には、内向鍔部28aを、ハブ17aを構成するハブ本体21aと別体の円板状部材48をこのハブ本体21aに内嵌固定する事により構成している。即ち、この円板状部材48を、このハブ本体21aの軸方向外半部内側に設けた凹部27の奥端部内周面である円筒面部46の奥半部に内嵌すると共に、この円筒面部46の中間部に係止した止め輪49により、前記円板状部材48がこの円筒面部46から抜け出ない様にしている。この状態でこの円板状部材48は、その外径寄り部分が、前記凹部27の奥端面である段差面50と前記止め輪49とにより軸方向両側から挟持されて、前記ハブ本体21aに対する軸方向の変位を阻止される。
前記円板状部材48はその中心部に円形の係止孔51を形成して、前記内向鍔部28aとしている。この係止孔51の内径は、前記頭部33の小径部34の外径よりも大きく、同じく大径部35a、35bの外径よりも小さい。そして、この小径部34を前記係止孔51の内径側に配置した状態で、前記両大径部35a、35bを、前記円板状部材48(内向鍔部28a)の軸方向両側面の径方向中央寄りで、前記係止孔51の周囲部分に配置している。尚、この様に配置可能とすべく、前記両大径部35a、35bのうちの少なくとも一方の部位は、他の部分と別体とし、前記小径部34を前記係止孔51内に挿入した後、この他の部分に対し、ねじ止め、焼き嵌め、溶接等により結合固定する。或いは、前記円板状部材48を径方向に関して二分割構造とする。何れにしても、前記各部34、35a、35bを上述の様に配置した状態で、前記ねじ11aを前記円板状部材48に対し、自身の中心軸回りの回転を可能に、且つ、軸方向に関する変位を阻止した状態で支持する。
上述の様な本例の構造の場合も、前記ねじ11aのねじ杆部32を、スプライン軸5cの外端面中心部に開口したねじ孔12bに螺合する。そして、前述した実施の形態の第1例の場合と同様にして、前記ハブ17aと前記スプライン軸5cとを着脱する。
前記内向鍔部28aの構造、及び、この内向鍔部28aに対する前記ねじ11aの組み付け部分の構造以外は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
[実施の形態の第3例]
図4〜5は、請求項1、5に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、スプライン軸5cの先端部(軸方向外端部)に3個のねじ孔12b、12cを、それぞれこのスプライン軸5cの先端面(軸方向外端面)に開口する状態で形成している。前記各ねじ孔12b、12cのうちの1個のねじ孔12bは、前記スプライン軸5cの先端面中央部に開口する状態で、このスプライン軸5cの軸方向に形成している。これに対して、残り2個のねじ孔12c、12cは、前記スプライン軸5cの先端面のうちで前記1個のねじ孔12bを径方向両側から挟む位置に開口する状態で、このスプライン軸5cの軸方向に形成している。又、ハブ17bを構成するハブ本体21bの中心孔の軸方向中間部に、このハブ本体21bと一体に設けた内向鍔部28bのうち、前記各ねじ孔12b、12cに整合する部分に、それぞれ挿通孔52及び第二の挿通孔53、53を形成している。即ち、前記内向鍔部28bの中心部にこのうちの挿通孔52を、この挿通孔52を径方向両側から挟む位置に前記両第二の挿通孔53、53をそれぞれ形成している。
そして、前記挿通孔52を軸方向に関して外側から内側に挿通した引っ張り用のねじ54のねじ杆部を、前記1個のねじ孔12bに螺合させている。この引っ張り用のねじ54の頭部55の外径は、前記の挿通孔52の内径よりも大きい。そして、この頭部55の軸方向内端面を、前記内向鍔部28bの軸方向外側面のうちで、前記挿通孔52の周囲部分に当接させている。
これに対して、前記残り2個のねじ孔12c、12cに、押し出し用のねじ56、56のねじ杆部を螺合させている。この押し出し用のねじ56、56は、それぞれの頭部57、57を含む全体が、前記内向鍔部28bよりも軸方向内側に存在する。そして、これら両押し出し用のねじ56、56の頭部57、57を、前記内向鍔部28bの軸方向内側面の一部で、前記両第二の挿通孔53、53の開口部の周囲部分に、対向乃至は回転可能に当接させている。即ち、前記両押し出し用のねじ56、56の頭部57、57の外径は、前記両第二の挿通孔53、53の内径よりも大きい。又、これら両押し出し用のねじ56、56の頭部57、57の軸方向外端面の中央部には、それぞれ六角レンチ等の工具の先端部を係止する為の係止孔58、58を形成している。
上述の様な本例の構造を組み立てるべく、スプライン孔3cに前記スプライン軸5cを挿入し、これらスプライン孔3cとスプライン軸5cとをスプライン係合させる際には、前記引っ張り用のねじ54と前記1個のねじ孔12bとを螺合させ、この引っ張り用のねじ54を所定方向に強い力で回転させて、前記スプライン軸5cを前記スプライン孔3c内に引っ張り込む。この際、前記両押し出し用のねじ56、56はそれぞれ残り2個のねじ孔12c、12cの奥にまで螺入し、前記スプライン軸5cの先端面からの前記両頭部57、57の突出量を少なくしておく。この状態で前記引っ張り用のねじ54を所定方向に強い力で回転させれば、前記スプライン軸5cを前記スプライン孔3c内に十分に引っ張り込んで、これらスプライン軸5cとスプライン孔3cとを、十分に大きな締り嵌めでスプライン係合させられる。この様に、これらスプライン軸5cとスプライン孔3cとを締り嵌めでスプライン係合させた後、前記両頭部57、57と前記内向鍔部28bの軸方向内側面とは離隔したままでも良い。但し、図4に示す様に、前記引っ張り用のねじ54の頭部55を前記内向鍔部28bの軸方向外側面に、前記両押し出し用のねじ56、56の頭部57、57を同じく軸方向内側面に、それぞれ突き当てれば、前記ハブ17bと前記スプライン軸5cを含む等速ジョイント4cとの結合部の、軸方向に関する剛性をより向上させる事ができる。
修理等の為、前記スプライン孔3cから前記スプライン軸5cを押し出すには、先ず、前記引っ張り用のねじ54を緩めて前記1個のねじ孔12bから抜き取る。そして、前記両第二の挿通孔53、53から挿入した工具により、前記両押し出し用のねじ56、56を強い力で回転させ、これら両ねじ56、56の、前記スプライン軸5cの先端面からの突出量を増大させる。すると、これら両ねじ56、56が、このスプライン軸5cの先端面と前記内向鍔部28bとの間で突っ張り、このスプライン軸5cを前記スプライン孔3cから押し出す。
その他の部分の構造及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略する。
本発明を実施する場合に、車輪の回転速度を検出する為の検出装置を設けるか否かは自由であるが、設ける場合、その構造も自由である。例えば、図6に示す様に、回転円板37のスリンガ部38の軸方向側面にエンコーダ43aを添着し、被検出面であるこのエンコーダ43aの軸方向側面に、センサユニット44の検出素子45を近接対向させる事もできる。
1、1a、1b、1c 車輪支持用転がり軸受ユニット
2、2a、2b ハブ
3、3a、3b、3c スプライン孔
4、4a、4b、4c 等速ジョイント
5、5a、5b、5c スプライン軸
6 ナット
7 止め輪
8、8a ジョイント用外輪
9 中心孔
10 キャップ
11、11a ねじ
12、12a、12b、12c ねじ孔
13 スタッド
14 引っ張り治具
15 ねじ孔
16 外輪
17、17a、17b ハブ
18a、18b 玉
19a、19b 外輪軌道
20 静止フランジ
21、21a、21b ハブ本体
22 内輪
23 回転フランジ
24a、24b 内輪軌道
25 小径段部
26 かしめ部
27 凹部
28、28a、28b 内向鍔部
29 係止孔部
30 挿入孔部
31a、31b 保持器
32 ねじ杆部
33 頭部
34 小径部
35a、35b 大径部
36 ナックル
37 回転円板
38 スリンガ部
39 支持孔
40 シールリップ
41 組み合わせシールリング
42 スリンガ
43、43a エンコーダ
44 センサユニット
45 検知素子
46 円筒面部
47 防塵キャップ
48 円板状部材
49 止め輪
50 段差面
51 係止孔
52 挿通孔
53 第二の挿通孔
54 引っ張り用のねじ
55 頭部
56 押し出し用のねじ
57 頭部
58 係止孔

Claims (5)

  1. 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外輪と、外周面の軸方向外端寄り部分に車輪を支持する為の回転フランジを、同じく中間部乃至内端部に複列の内輪軌道を、中心部にスプライン孔を、それぞれ設けて、使用時に回転するハブと、これら両内輪軌道と前記両外輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体と、前記スプライン孔とスプライン係合するスプライン軸を軸方向外端部に、ジョイント用外輪を軸方向内端部に、それぞれ有する等速ジョイントとを備え、前記ハブと前記スプライン軸とを結合した車輪用駆動ユニットに於いて、このスプライン軸の軸方向外端部に、このスプライン軸の軸方向外端面に開口する状態で、このスプライン軸の軸方向に形成されたねじ孔と、このねじ孔に螺合したねじと、前記ハブの中心部に形成した中心孔の一部で前記スプライン孔よりも軸方向外寄り部分に、この中心孔の内周面から径方向内方に突出する状態で形成された内向鍔部とを備え、この内向鍔部と前記ねじの頭部とを、この頭部をこの内向鍔部よりも軸方向外側から回転駆動可能に、且つ、この内向鍔部に対するこの頭部の軸方向外側への変位を阻止した状態で係合させた事を特徴とする車輪用駆動ユニット。
  2. 前記ねじ孔が前記スプライン軸の軸方向外端面の中心部に開口する状態で形成されており、前記ねじの頭部が前記内向鍔部の中心部に、自身の中心軸回りの回転を可能に、且つ、軸方向に関する変位を阻止した状態で支持されている、請求項1に記載した車輪用駆動ユニット。
  3. 前記ねじの頭部が、軸方向中央部の小径部と同じく両端部の大径部とから成る段付形状であり、前記内向鍔部の中心部に、このうちの小径部の外径よりも大きく大径部の外径よりも小さな内径を有する係止孔部を、前記内向鍔部の中心から径方向外方に外れた部分に、この係止孔部と連続する状態で、前記大径部の外径よりも大きな内径を有する挿通孔部を、それぞれ形成しており、前記両大径部のうちの軸方向内側の大径部をこのうちの挿通孔部を通じて前記内向鍔部よりも軸方向内側に挿入してから前記小径部をこの挿入孔部から前記係止孔部に、径方向に挿入し、前記両大径部と、前記内向鍔部の中央寄り部分で前記係止孔部の周囲部分との係合に基づき、前記ねじを前記内向鍔部に対し、自身の中心軸回りの回転を可能に、且つ、軸方向に関する変位を阻止した状態で支持している、請求項2に記載した車輪用駆動ユニット。
  4. 前記ねじの頭部が、軸方向中央部の小径部と同じく両端部の大径部とから成る段付形状であり、前記内向鍔部を、前記ハブと別体の部材を、前記中心孔の一部で前記スプライン孔よりも軸方向外寄り部分に、このハブに対する軸方向の変位を阻止した状態で内嵌固定する事により構成しており、前記内向鍔部の中心部に形成した、前記小径部の外径よりも大きく前記大径部の外径よりも小さな内径を有する係止孔にこの小径部を、前記内向鍔部の中央寄り部分の軸方向両側に前記両大径部を、それぞれ配置する事により、前記ねじをこの内向鍔部に対し、自身の中心軸回りの回転を可能に、且つ、軸方向に関する変位を阻止した状態で支持している、請求項2に記載した車輪用駆動ユニット。
  5. 前記ねじ孔が複数設けられていて、それぞれのねじ孔が、前記スプライン軸の軸方向外端面に開口しており、一部のねじ孔に、前記内向鍔部の一部でこの一部のねじ孔に対向する部分に形成された挿通孔に挿通した引っ張り用のねじを螺合すると共に、この引っ張り用のねじの頭部の軸方向内端面を、前記内向鍔部の軸方向外側面のうちで前記挿通孔の周囲部分に当接させており、残部のねじ孔に、押し出し用のねじを螺合すると共に、この押し出し用のねじの頭部を、前記内向鍔部の一部に、回転可能に対向乃至は当接させており、この内向鍔部のうちで、この押し出し用のねじの頭部に整合する部分に、この押し出し用のねじの頭部の外径よりも小さな内径を有し、この押し出し用のねじの頭部を回転させる為の工具を挿通可能な第二の挿通孔を形成している、請求項1に記載した車輪用駆動ユニット。
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